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特許6239001Cu−SSZ−13を合成するためのワンポット方法、該方法によって得られる化合物並びにそれの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239001
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】Cu−SSZ−13を合成するためのワンポット方法、該方法によって得られる化合物並びにそれの使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20171120BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20171120BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20171120BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C01B39/48ZAB
   B01D53/94 400
   B01J37/10
   B01J37/04 102
   B01J29/76 A
   B01D53/94 222
   F01N3/08 B
   F01N3/10 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-546955(P2015-546955)
(86)(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公表番号】特表2016-506353(P2016-506353A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】EP2013075785
(87)【国際公開番号】WO2014090698
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年11月29日
(31)【優先権主張番号】PA201200784
(32)【優先日】2012年12月12日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】マリン・マヌエル・モリネル
(72)【発明者】
【氏名】フランコ・ラケル・マルティネス
(72)【発明者】
【氏名】カノス・アベリノ・コルマ
(72)【発明者】
【氏名】テゲルスン・ヨアキム・レイマー
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−521871(JP,A)
【文献】 特表2010−519038(JP,A)
【文献】 米国特許第04544538(US,A)
【文献】 特表2010−514663(JP,A)
【文献】 特開2005−320238(JP,A)
【文献】 特表2010−504275(JP,A)
【文献】 特表2010−519039(JP,A)
【文献】 特表2010−519037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20−39/54
B01J 21/00−38/74
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程を含む、Cu−SSZ−13を直接合成する方法:
(i)次のモル組成:
SiO2:a Al2O3:b Cu:c ポリアミン:d OSDA:e H2O:f Alk:g F
(式中、
aは0.007〜0.16の範囲内にあり;
bは0.001〜0.6の範囲内にあり;
cは0.001〜0.6の範囲内にあり;
dは0.001〜2の範囲内にあり;
eは1〜200の範囲内にあり;
fは0〜1の範囲内にあり;そして
gは0〜1の範囲内である。)
を有する最終的な合成混合物を得るために、水、少なくとも一種のケイ素源、少なくとも一種のAl源、少なくとも一種のCu源、Cuと錯化する少なくとも一種のポリアミン、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムカチオン又はベンジルトリメチルアンモニウムカチオンから選択される単一のOSDA成分、アルカリカチオン[Alk]及びフッ化物アニオン[F]を含有する、混合物を調製する工程;
(ii)Cu−SSZ−13の結晶性物質が形成されるまで、80〜200℃の温度で該最終的な合成混合物を熱水処理する工程;及び
(iii)Cu−SSZ−13の結晶性物質を回収する工程。
【請求項2】
前記少なくとも一種のポリアミンが、第一級アミン、第二級アミン及び/又は第三級アミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一種のポリアミンが、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記最終的な合成混合物が、次のモル組成:
SiO:a Al:b Cu:c ポリアミン:d OSDA:e HO:f Alk:g F
(式中、
aは、0.01〜0.06の範囲内にあり;
bは、0.01〜0.4の範囲内にあり;
cは、0.01〜0.4の範囲内にあり;
dは、0.05〜1の範囲内にあり;
eは、2〜100の範囲内にあり;
fは、0〜0.6の範囲内にあり;そして
gは、0〜0.6の範囲内である。)
を有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記工程(ii)における熱水処理のための温度が、100〜200℃である、請求項1〜のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
酸化物の全量を基に計算された25重量%までの量でSSZ−13の結晶が種として混合物又は前記最終的な合成混合物に添加される、請求項1〜のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
抽出及び/又は25℃を超える温度での熱処理によって、前記Cu−SSZ−13の結晶性物質内部を閉塞する有機物を除去する工程をさらに含む、請求項1〜のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅原子を含有するSSZ−13ゼオライトを直接製造する方法に関する。この新しい方法には、銅ポリアミン錯体、及び有機構造規定剤(OSDA)として作用する追加的な有機分子との特定の組合せが必要である。本発明はまた、本発明の方法に従って合成されたCu−SSZ−13物質をNOxの選択的触媒還元(SCR)の触媒として使用する方法も含む。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、均一な大きさとで分子の寸法範囲(3〜15Å)及び形状の細孔及び空洞を形成する酸素原子によって相互結合されたTO四面体(T=Si、Al、P、Ti、Ge、Sn…)によって形成された微孔質物質である。
【0003】
最初の合成ゼオライトは、1948年、Barrerによって開示された(Barrer, J. Chem. Soc. 127 (1948)(非特許文献1)。この発見以来、200を超える新たなゼオライト構造物が発見され、それらの全ては異なる細孔構造を含んでいる(http://www.iza−online.org/)。確かに、ゼオライトは、それらの細孔の寸法に依存して分類することができるが、その環開口は、T原子の数によって画定される。この意味で、細孔径の小さいゼオライトは、8−T原子による開口構造を示し、細孔径が中程度のゼオライトには、10−T原子による開口が存在し、細孔径が大きいゼオライトは12−T原子による開口を有し、最後に、細孔径が非常に大きいゼオライトには、12超−T原子による開口が存在する。
【0004】
それらの結晶性微孔質物質は、多数の化学的なプロセスにおける優れた触媒として幅広く適用されている。特定の物理化学的特性を有するゼオライトの特定の化学的なプロセスのための使用は、そのプロセスに関連する反応物質及び生成物の性質(寸法、形状、疎水性等)に直接依存し、そしてまた、反応条件にも直接依存する。一方で、反応物質及び生成物の性質は、ゼオライトの細孔及び空洞内へ、それらの分子が拡散するのに影響するため、反応に関連する化学物質に対して適切な細孔トポロジーを有するゼオライトの選択が重要である。他方で、ゼオライトは、必要な反応条件に関して構造的及び化学的の両方について安定でなくてはならない。
【0005】
化石燃料を燃焼する間の窒素酸化物(NOx)の形成は、それらが、主要な空気汚染物質の一つであることから、現実の環境問題となった。アンモニアによるNOxの選択的触媒還元(SCR)が、効率的な排ガス制御として登場した。
【0006】
Iwamoto等は、ベータ型及びZSM−5型のものを含む銅交換ゼオライトが、NOxのSCRに活性な触媒であることを発見した(Iwamoto et al. J.Chem.Soc., Chem.Comm., 1986, 1272(非特許文献2))。残念ながら、これらの中程度及び細孔径の大きいゼオライトは、NOxのSCRに要求される厳しい条件下での反応の際に低い熱水安定性を示す(高温での水蒸気の存在)。
【0007】
ここ数年、銅含有の細孔径の小さいゼオライトのいくつかが、細孔径の大きいゼオライトよりもはるかに優れた熱水安定性を示すことが記載された(Bull, et al. 米国特許第7,601,662号(2009)(特許文献1); Moliner, et al. PCT/EP2012/057795号(特許文献2); Korhonen, et al, Chem. Commun., 2011, 47, 800(非特許文献3))。このより高い熱水安定性は、これらの小さい細孔のゼオライトの大きい空洞中に存在する二重6員環(double six−ring)単位(D6R)に対する銅原子の配位によって説明することができる(J. Phys. Chem. C., 2010, 114, 1633(非特許文献4)。
【0008】
開示されている細孔径の小さいゼオライトの全てから、CHA構造にかなりの注目が集まった。この物質は、その骨格中にD6Rケージを有する大きな空洞を含有する三次元の細孔径の系によって形成されている。
【0009】
CHA、SSZ−13のケイアルミン酸塩の形態は、Zoneによって1985年に最初に開示された(米国特許第4,544,538号(1985)(特許文献3))。この最初の特許では、SSZ−13を調製するための、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタアンモニウム、N−メチル−3−キヌクリジノール及びN,N,N−トリメチル−2−アンモニウムエクソノルボランなど、いくつかのOSDAが報告されている。その文献中に見られるように、SSZ−13の合成に好ましいOSDAは、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタアンモニウムである。
【0010】
近年、Chevronの研究者等によって、OSDAとしてN,N,N−トリメチル−1−アダマンタアンモニウム及びベンジルトリメチルアンモニウムの混合物を使用して(Zones, 米国特許出願公開第20080075656号(2008)(特許文献4))、あるいは、独特のテンプレートとしてベンジルトリメチルアンモニウムを使用して(Miller and Yuen, 米国特許第8,007,764号(2011)(特許文献5))SSZ−13が合成された。
【0011】
記載されているように、Cu−置換の細孔径の小さいゼオライトは、アンモニアによるNOxの、又は酸素の存在下における炭化水素のSCRにおける優れた触媒として作用する。従来の金属含有ゼオライト(Me−ゼオライト)型は、後合成のイオン交換方法(procedures)によって達成される。この意味で、Me−ゼオライトを達成するために、いくつかの工程は、ケイアルミン酸塩の熱水合成、OSDAを除去するためのか焼き、必要に応じてNHを形成するための転換、金属イオン交換、及び最後に、最終的なMe−ゼオライトを得るためのか焼きなどを必要とする。これら全ての工程は、材料全体の費用を増大させる一因となる。
【0012】
金属−ケイアルミン酸塩の“ワンポット”合成又は直接合成は、その製造の経済性を著しく向上させることができた。というのも、上述の工程のほとんどが、これらの、直接製造された物質の製造を回避するため、産業的に非常に魅力的だからである。Cu−含有のSSZ−13ゼオライトの直接合成に関する文献において極少数の例だけが見出される。
【0013】
一方、Xiao et al.の近年の論文は、固有のテンプレートとして銅−アミン錯体を用いたCu−SSZ−13の“ワンポット”合成が開示されている(Chem. Commun, 2011, 47, 9783; Chin. J. Catal. 2012, 33, 92(非特許文献5)。これらの研究では、か焼によって有機物を除去した後に、カチオン性の銅種をSSZ−13ケージ中に導入するという主たる目的で、OSDAとしてCu+2のテトラエチレンペンタミン(TEPA)との銅錯体が使用された。しかしながら、これらの論文に記載された例によれば、最終的な固形物中で達成されたSi/Al比は非常に低い(4〜7の範囲)ことがわかってきた。これらの低いSi/Al比は、ゼオライト中に非可逆的な脱アルミニウム化プロセスを引き起こす場合があり、そのため、現実的かつ厳しい反応条件下で試験した際(NOxのSCRは高温及び蒸気処理を要する)、触媒の失活を招き得る。確かに、一般的な傾向として、Si/Al比が高ければ高いほど、熱水安定性はますます良好になる。さらに、Xiao et. alによって報告されたCu−SSZ−13の様々な例は、ゲル中の理論的な含有量は相違する(Cu/Si=0.08〜0.2)にも拘わらず、同様のCu−担持量(Cu/Si=0.09〜0.10)を示す。それ故、SSZ−13を製造するための固有のOSDAとして錯体のCu−TEPAをベースとする直接合成方法を用いる際には、Si/Al比及びCu含有量の制御は、適していない。
【0014】
他方、BASFの研究者等は、Cu及びアンモニアの水溶液と組み合わせたOSDAの特定の混合物を用いたCu−含有のSSZ−13の直接合成を報告している(Trukhan et al. 米国特許出願第2011/0076229号(2011)(特許文献6)。この特許の全ての例に見ることができるように、BASFの研究者等によって報告された、Cu−SSZ−13をワンポット合成で製造方法は、二種の有機アンモニウムカチオンの組み合わせ(例えば、N,N,N−トリメチル-1-アダマンタンアンモニウム及びベンジルトリメチルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウム及びテトラメチルアンモニウム又はベンジルトリメチルアンモニウム及びテトラメチルアンモニウム)、及びアンモニアの銅塩との反応によって形成される有機金属錯体の添加を常に必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7,601,662号
【特許文献2】PCT/EP2012/057795
【特許文献3】米国特許第4,544,538号
【特許文献4】米国特許出願公開第20080075656号
【特許文献5】米国特許第8,007,764号
【特許文献6】米国特許出願第2011/0076229号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Barrer, J. Chem. Soc. 127 (1948)
【非特許文献2】Iwamoto et al. J.Chem.Soc., Chem.Comm., 1986, 1272
【非特許文献3】Korhonen, et al, Chem. Commun., 2011, 47, 800
【非特許文献4】J. Phys. Chem. C., 2010, 114, 1633
【非特許文献5】Chem. Commun, 2011, 47, 9783; Chin. J. Catal. 2012, 33, 92
【0017】
本発明の主要な目的は、外部の骨格銅原子を含有するケイアルミン酸塩SSZ−13のワンポット製造のための改善された方法を提供することである。改善されたその方法は、銅−ポリアミン錯体と、SSZ−13ゼオライトをテンプレートできるOSDAとして作用する追加的かつ独特な有機分子との単純な組み合わせを含む。Cu−錯体と、該追加的な有機分子とのこの単純な組み合わせによって、最終的なゼオライト中の広範囲のSi/Al比及び制御されたCu含有量のもとでCu−SSZ−13を直接“ワンポット”合成することが可能となる。この新しい方法は、単一のOSDAだけが必要であり、そしてさらに、アンモニアの使用が回避されるため、Xiaoの方法(Chem. Commun, 2011, 47, 9783; Chin. J. Catal. 2012, 33, 92(非特許文献5)によって得られるCu−SSZ−13物質の物理化学的な特性を明らかに改善する一方で、BASFの研究者等によって報告された製造方法を簡略化する。
【0018】
さらに、最も広い観点において、本発明は、次の工程を含むCu−SSZ−13の直接合成のための方法を提供する。
(i)次のモル組成:
SiO2:a Al2O3:b Cu:c Polyamine:d OSDA:e H2O:f Alk:g F
(式中、
aは0.007〜0.16の範囲内にあり;
bは0.001〜0.6の範囲内にあり;
cは0.001〜0.6の範囲内にあり;
dは0.001〜2の範囲内にあり;
eは1〜200の範囲内にあり;
fは0〜1の範囲内にあり;そして
gは0〜1の範囲内である。)
を有する最終的な合成混合物を得るために、水、少なくとも一種のケイ素源、少なくとも一種のAl源、少なくとも一種のCu源、Cuと錯化する少なくとも一種のポリアミン、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムカチオン又はベンジルトリメチルアンモニウムカチオンから選択される一つのOSDA成分、任意に、アルカリカチオン[Alk]及びフッ化物アニオン[F]を含有する、混合物を調製する工程;
(ii)Cu−SSZ−13の結晶性物質が形成されるまで、80〜200℃の温度で該最終的な合成混合物を熱水処理する工程;及び
(iii)Cu−SSZ−13の結晶性物質を回収する工程。
【0019】
Cu−TEPAとして、異なる量のCu−錯体を、SSZ−13ゼオライトと結合可能な追加の有機分子、例えば、N,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウム又はベンジルトリメチルアンモニウムと一緒に導入することにより、制御されたCu含有量及びSi/Al比を有するCu−SSZ−13ゼオライトを直接製造することができる。興味深いことに、これらのCu−錯体分子は、紫外・可視分光法(図2を参照)によって明らかなように、結晶化後の製造されたSSZ−13結晶内で無傷のままであるため、か焼後に、活性な外部骨格の銅カチオン性種が生成される。
【0020】
本発明の方法の工程(i)において、Cu−SSZ−13の製造に全ての可能なケイ素源、アルミニウム源及び銅源を使用できる。
【0021】
さらに、Cu原子と共に錯体構造を形成可能なポリアミン又は種々のポリアミン分子の混合物を使用することができ、これらには、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンが包含される。
【0022】
好ましいポリアミンは、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン及び1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン。
【0023】
工程(i)における最終的な合成混合物は、次のモル組成を好ましく含む:
SiO:a Al:b Cu:c ポリアミン:d OSDA:e HO:f Alk:g F
(式中、
aは、0.01〜0.06の範囲内、より好ましくは、0.015〜0.05の範囲内、特に好ましくは、0.02〜0.05の範囲内にあり、;
bは、0.01〜0.4の範囲内、より好ましくは0.02〜0.2の範囲内にあり;
cは、0.01〜0.4の範囲内、より好ましくは0.02〜0.2の範囲内にあり;
dは、0.05〜1の範囲内、より好ましくは0.1〜0.7の範囲内にあり;
eは、2〜100の範囲内、より好ましくは2〜50の範囲内にあり;
fは、0〜0.6の範囲内、より好ましくは0〜0.5の範囲内にあり;そして
gは、0〜0.6の範囲内、より好ましくは0〜0.5の範囲内である。)
【0024】
本発明の方法における結晶化の工程(ii)は、静電的又は動的条件下におけるオートクレーブ中での熱水処理によって行われる。好ましい温度は、100〜200℃の範囲であり、より好ましくは130〜175℃の範囲内である。好ましい結晶化の時間は、6時間〜50日間、より好ましくは1〜20日間の範囲であり、さらに好ましくは、2〜15日間の範囲内である。合成混合物の組成が様々な源由来であることができ、かつ、それらに依存して、時間及び結晶化の条件が可変であることは考慮すべきである。
【0025】
合成を促進させるために、酸化物の全量に対して25重量%までの量でSSZ−13の結晶を種として合成混合物に加えることができる。これは、Cu−SSZ−13の結晶化の前か又はその間に加えることができる。
【0026】
結晶化段階の後、Cu−SSZ−13結晶を母液から分離する。固形物は、洗浄して、デカンテーション、ろ過、限外ろ過、遠心分離、又はその他の固−液分離技術によって母液から分離することができる。
【0027】
本発明の方法は、か焼された結晶性物質を製造することを目的とする場合に、物質の内部を閉塞する有機物を除去する段階をさらに含むことができる。これは、2分〜25時間の期間の間25℃を超える温度で抽出及び/又は熱処理することによって遂行することができる。
【0028】
本発明によって製造された物質は、公知の技術によってペレット化することができる。これらはまた、異なるプロセスで使用することもできる。
【0029】
本発明のさらなる特徴は、上述の方法によって得られるSSZ−13の骨格構造を有するCu含有分子篩である。
【0030】
本発明のさらなる特徴は、SSZ−13の骨格構造及びモル組成:Cu0.005−0.15Si0.88−0.98Al0.02−0.12を有する、Cu含有分子篩である。
【0031】
本発明の他の特徴は、SSZ−13の骨格構造を有する上記のCu含有分子篩の、有機化合物から形成された原料を、その原料を、本発明の多孔質の結晶性物質の活性形状物と接触させることによる転化における使用に関する。
【0032】
本発明はまた、この単純な協働的な方法によって合成されたそれらのCu−SSZ−13を、NOxの選択的触媒還元(SCR)のための活性触媒として使用することにも関する(表3の触媒活性参照)。
【0033】
本発明のさらなる特徴は、SSZ−13の骨格構造を有するCu含有分子篩の、ガス流中の窒素酸化物(NOx)の選択的還元(“SCR”)のための触媒としての使用に関する。
【0034】
特に、NOxのSCRは、還元剤としてアンモニア、尿素及び/又は炭化水素の存在下で本発明による分子篩を触媒として使用する。
【0035】
分子篩触媒の触媒活性は、以下の表3に示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、OH媒体中で合成された、調製されたCu−SSZ−13ゼオライト(実施例3〜6)のPXRDパターンを示す図である。
図2図2は、溶液中のCu−TEPA錯体及び調製されたCu−SSZ−13ゼオライトの紫外可視分析によるスペクトルを示す図である。
図3図3は、Cu−SSZ13−1 (A)、Cu−SSZ13−2 (B)及びCu−SSZ13−4 (C)のSEM画像である。
図4図4は、OH媒体中で合成された、調製されたCu−SSZ−13ゼオライト(実施例7〜8)のPXRDパターンを示す図である。
図5図5は、F媒体中で合成された、調製されたCu−SSZ−13ゼオライト(実施例9〜10)のPXRDパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0037】
実施例1:N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムの合成
29.6gの1−アダマンタンアミン(Sigma−Aldrich)及び64gの炭酸カリウム(Sigma−Aldrich)を320mlのクロロフォルムと一緒に混合した。この時点で、反応物を氷浴中で撹拌しながら75gのヨウ化メチルを滴下して加えた。撹拌しながら、室温で5日間反応を維持する。混合物をろ過し、そしてジエチルエーテルで洗浄し、そして結果として得られた固形物をクロロフォルムでさらに抽出した。最終的な生成物は、ヨウ化N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムである。このヨウ化物塩を、イオン交換樹脂を用いてアニオン交換してその水酸化物を得る。
【0038】
実施例2:OH媒体中での“Cu−SSZ13−1”の直接合成
159mgの硫酸銅(II)(98重量%、Alfa)の20重量%水溶液を、36mgのテトラエチレンペンタミン(TEPA、99重量%、Aldrich)と一緒に混合し、そして、撹拌下に2時間維持した。その後、1041mgの水酸化N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム(TMaDA、16重量%)の水溶液、及び95mgの水酸化ナトリウムの水溶液(20重量%)を加え、そして、撹拌しながら15分間維持した。その後、21mgの水酸化アルミニウム(66重量%、Sigma−Aldrich)及び607mgのコロイダルシリカ(Ludox AS40、40重量%、Aldrich)を、この合成混合物に導入し、所望のゲル濃度になるまで溶媒の蒸発に必要な時間撹拌しながら維持した。最終的なゲル組成は、SiO:0.033 Al:0.049 Cu(TEPA)2+:0.19 TMaDA:0.12 NaOH:18.3 HOであった。
【0039】
そのゲルを、Teflonライナーを具えたオートクレーブ中に移し、そして静的条件下で14日間150℃の温度に加熱した。熱水による結晶化後の試料をろ過し、そして十分な蒸留水で洗浄し、そして100℃で最終的に乾燥させた。
【0040】
粉末X線回折(PXRD)により固形物を特徴付け、SSZ−13物質の特徴的なPXRDパターンが得られた(図1中のCu−SSZ13−1を参照)。得られた固形物の化学分析は、Si/Al比及びCu/(Si+Al)比がそれぞれ13.9及び0.03であることを示している。興味深いことに、Cu−錯体分子は、製造されたSSZ−13結晶内で依然として無傷のままであり(図2中のCu−SSZ13−1を参照)、SEM画像は、平均結晶寸法が4〜7μmであることを明らかにしている(図3中のCu−SSZ13−1を参照)。
【0041】
結晶化工程の間に微孔質物質の内部を妨げる有機部分を除去するために、Cuを含有するSSZ−13を空気中で550℃でか焼した。
【0042】
実施例3:OH媒体中における“Cu−SSZ13−2”の直接合成
325mgの硫酸銅(II)(98重量%、Alfa)の20重量%水溶液を、74mgのテトラエチレンペンタミン(TEPA、99重量%、Aldrich)と一緒に混合し、そして、撹拌しながら2時間維持した。その後、535mgの水酸化N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム水溶液(TMaDA、16重量%)、及び161mgの水酸化ナトリウム水溶液(20重量%)を加え、撹拌しながら15分間維持した。その後、21mgの水酸化アルミニウム(66重量%、Sigma−Aldrich)及び614mgのコロイダルシリカ(Ludox AS40、40重量%、Aldrich)を、その合成混合物に導入し、そして所望のゲル濃度になるまで溶媒の蒸発に必要な時間撹拌しながら維持した。最終的なゲル組成は、SiO:0.033 Al:0.10 Cu(TEPA)2+:0.10 TMaDA:0.20 NaOH:19.1 HOであった。
【0043】
そのゲルを、Teflonライナーを具えたオートクレーブ中に移し、そして静的条件下で14日間150℃の温度に加熱した。熱水による結晶化後の試料をろ過し、そして十分な蒸留水で洗浄し、そして100℃で最終的に乾燥させた。
【0044】
粉末X線回折(PXRD)により固形物を特徴付け、SSZ−13物質の特徴的なPXRDパターンが得られた(図1中のCu−SSZ13−2を参照)。得られた固形物の化学分析は、Si/Al比及びCu/(Si+Al)比がそれぞれ14.2及び0.06であることを示している。興味深いことに、Cu−錯体分子は、製造されたSSZ−23結晶内で依然として無傷のままであり(図2中のCu−SSZ13−1を参照)、SEM画像は、平均結晶寸法が4〜7μmであることを明らかにしている(図3中のCu−SSZ13−2を参照)。
【0045】
結晶化工程の間に微孔質物質の内部を妨げる有機部分を除去するために、Cuを含有するSSZ−13を空気中で550℃でか焼した。
【0046】
実施例4:OH媒体中における“Cu−SSZ13−3”の直接合成
143mgの硫酸銅(II)(98重量%、Alfa)の20重量%水溶液を、33mgのテトラエチレンペンタミン(TEPA、99重量%、Aldrich)と一緒に混合し、そして、撹拌下に2時間維持した。その後、951mgの水酸化N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムの水溶液(TMaDA、16重量%)及び143mgの水酸化ナトリウムの水溶液(20重量%)を加え、そして、撹拌しながら15分間維持した。その後、18mgの水酸化アルミニウム(66重量%、Sigma−Aldrich)及び511mgのコロイダルシリカ(Ludox AS40、40重量%、Aldrich)をこの合成混合物に導入し、所望のゲル濃度になるまで溶媒の蒸発に必要な時間撹拌しながら維持した。最終的なゲル組成は、SiO:0.034 Al:0.051 Cu(TEPA)2+:0.22 TMaDA:0.21 NaOH:20.7 HOであった。
【0047】
そのゲルを、Teflonライナーを具えたオートクレーブ中に移し、そして静的条件下で14日間150℃の温度に加熱した。熱水による結晶化後の試料をろ過し、そして十分な蒸留水で洗浄し、そして100℃で最終的に乾燥させた。
【0048】
粉末X線回折(PXRD)により固形物を特徴付け、SSZ−13物質の特徴的なPXRDパターンが得られた(図1中のCu−SSZ13−3を参照)。得られた固形物の化学分析は、Si/Al比及びCu/(Si+Al)比がそれぞれ10.6及び0.06であることを示している。
【0049】
結晶化工程の間に微孔質物質の内部を妨げる有機部分を除去するために、Cuを含有するSSZ−13を空気中で550℃でか焼した。
【0050】
実施例5:OH媒体中における“Cu−SSZ13−4”の直接合成
278mgの硫酸銅(II)(98重量%、Alfa)の20重量%水溶液を、64mgのテトラエチレンペンタミン(TEPA、99重量%、Aldrich)と一緒に混合し、そして、撹拌下に2時間維持した。その後、941mgの水酸化N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム(TMaDA、16重量%)の水溶液、及び141mgの水酸化ナトリウムの水溶液(20重量%)を加え、そして、撹拌しながら15分間維持した。その後、17mgの水酸化アルミニウム(66重量%、Sigma−Aldrich)及び531mgのコロイダルシリカ(Ludox AS40、40重量%、Aldrich)を、この合成混合物に導入し、所望のゲル濃度になるまで溶媒の蒸発に必要な時間撹拌しながら維持した。最終的なゲル組成は、SiO:0.032 Al:0.095 Cu(TEPA)2+:0.21 TMaDA:0.20 NaOH:21.7 HOであった。
【0051】
そのゲルを、Teflonライナーを具えたオートクレーブ中に移し、そして静的条件下で14日間150℃の温度に加熱した。熱水による結晶化後の試料をろ過し、そして十分な蒸留水で洗浄し、そして100℃で最終的に乾燥させた。
【0052】
粉末X線回折(PXRD)により固形物を特徴付け、SSZ−13物質の特徴的なPXRDパターンが得られた(図1中のCu−SSZ13−4を参照)。得られた固形物の化学分析は、Si/Al比及びCu/(Si+Al)比がそれぞれ11.2及び0.08であることを示している。興味深いことに、Cu−錯体分子は、製造されたSSZ−13結晶内で依然として無傷のままであり(図2中のCu−SSZ13−4を参照)、SEM画像は、平均結晶寸法が4〜7μmであることを明らかにしている(図3中のCu−SSZ13−4を参照)。
【0053】
結晶化工程の間に微孔質物質の内部を妨げる有機部分を除去するために、Cuを含有するSSZ−13を空気中で550℃でか焼した。
【0054】
実施例6:OH媒体中における“Cu−SSZ13−5”の直接合成
60mgの、硫酸銅(II)(98重量%、Alfa)の20重量%水溶液を、76mgの1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(cyclam、99重量%、Aldrich)と一緒に混合し、そして、撹拌下に2時間維持した。その後、442mgの水酸化N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム(TMaDA、14.4重量%)の水溶液、及び58mgの水酸化ナトリウムの水溶液(20重量%)を加え、そして、撹拌しながら15分間維持した。その後、8.2mgの水酸化アルミニウム(66重量%、Sigma−Aldrich)及び226mgのコロイダルシリカ(Ludox AS40、40重量%、Aldrich)を、この合成混合物に導入し、所望のゲル濃度になるまで溶媒の蒸発に必要な時間撹拌しながら維持した。最終的なゲル組成は、SiO:0.035 Al:0.05 Cu(cyclam)2+:0.20 TMaDA:0.20 NaOH:20.4 HOであった。
【0055】
そのゲルを、Teflonライナーを具えたオートクレーブ中に移し、そして静的条件下で12日間150℃の温度に加熱した。熱水による結晶化後の試料をろ過し、そして十分な蒸留水で洗浄し、そして100℃で最終的に乾燥させた。
【0056】
粉末X線回折(PXRD)により固形物を特徴付け、SSZ−13物質の特徴的なPXRDパターンが得られた(図4中のCu−SSZ13−5を参照)。
【0057】
結晶化工程の間に微孔質物質の内部を妨げる有機部分を除去するために、Cuを含有するSSZ−13を空気中で550℃でか焼した。
【0058】
実施例7:OH媒体中における“Cu−SSZ13−6”の直接合成
60mgの硫酸銅(II)(98重量%、Alfa)の20重量%水溶液を、11mgのトリエチレンテトラミン(TETA、99重量%、Aldrich)と一緒に混合し、そして、撹拌下に2時間維持した。その後、246mgの水酸化N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム(TMaDA、14.4重量%)の水溶液、及び60.8mgの水酸化ナトリウムの水溶液(20重量%)を加え、そして、撹拌しながら15分間維持した。その後、8.6mgの水酸化アルミニウム(66重量%、Sigma−Aldrich)及び285.2mgのコロイダルシリカ(Ludox AS40、40重量%、Aldrich)を、この合成混合物に導入し、所望のゲル濃度になるまで溶媒の蒸発に必要な時間撹拌しながら維持した。最終的なゲル組成は、SiO:0.03 Al:0.04 Cu(TEPA)2+:0.1 TMaDA:0.2 NaOH:15 HOであった。
【0059】
そのゲルを、Teflonライナーを具えたオートクレーブ中に移し、そして静的条件下で12日間150℃の温度に加熱した。熱水による結晶化後の試料をろ過し、そして十分な蒸留水で洗浄し、そして100℃で最終的に乾燥させた。
【0060】
粉末X線回折(PXRD)により固形物を特徴付け、SSZ−13物質の特徴的なPXRDパターンが得られた(図1中のCu−SSZ13−6を参照)。
【0061】
結晶化工程の間に微孔質物質の内部を妨げる有機部分を除去するために、Cuを含有するSSZ−13を空気中で550℃でか焼した。
【0062】
実施例8:F媒体中における“Cu−SSZ13−7”の直接合成
198mgの硫酸銅(II)(98重量%、Alfa)の20重量%水溶液を、47mgのテトラエチレンペンタミン(TEPA、99重量%、Aldrich)と一緒に混合し、そして、撹拌下に2時間維持した。その後、1335mgの水酸化N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム(TMaDA、16重量%)の水溶液を加え、そして、撹拌しながら15分間維持した。その後、16mgの水酸化アルミニウム(66重量%、Sigma−Aldrich)及び740mgのコロイダルシリカ(Ludox AS40、40重量%、Aldrich)をこの合成混合物に導入して撹拌下で維持した。次いで、377mgのフッ化アンモニウムの水溶液(10重量%、Aldrich)をそのゲルに導入し、所望のゲル濃度になるまで溶媒の蒸発に必要な時間撹拌しながら維持した。最終的なゲル組成は、SiO:0.02 Al:0.05 Cu(TEPA)2+:0.20 TMaDA:0.20 F:3.0 HOであった。
【0063】
そのゲルを、Teflonライナーを具えたオートクレーブ中に移し、そして静的条件下で14日間150℃の温度に加熱した。熱水による結晶化後の試料をろ過し、そして十分な蒸留水で洗浄し、そして100℃で最終的に乾燥させた。
【0064】
粉末X線回折(PXRD)により固形物を特徴付け、SSZ−13物質の特徴的なPXRDパターンが得られた(図4中のCu−SSZ13−7を参照)。得られた固形物の化学分析は、Si/Al比及びCu/(Si+Al)比がそれぞれ23.7及び0.01であることを示している(図1を参照)。
【0065】
結晶化工程の間に微孔質物質の内部を妨げる有機部分を除去するために、Cuを含有するSSZ−13を空気中で550℃でか焼した。
【0066】
実施例9:F媒体中における“Cu−SSZ13−8”の直接合成
128mgの硫酸銅(II)(98重量%、Alfa)の20重量%水溶液を、30mgのテトラエチレンペンタミン(TEPA、99重量%、Aldrich)と一緒に混合し、そして、撹拌下に2時間維持した。その後、1682mgの水酸化N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム(TMaDA、16重量%)の水溶液を加え、そして、撹拌しながら15分間維持した。その後、17mgの水酸化アルミニウム(66重量%、Sigma−Aldrich)及び476mgのコロイダルシリカ(Ludox AS40、40重量%、Aldrich)をこの合成混合物に導入して撹拌下で維持した。次いで、473mgのフッ化アンモニウムの水溶液(10重量%、Aldrich)をそのゲルに導入し、所望のゲル濃度になるまで溶媒の蒸発に必要な時間撹拌しながら維持した。最終的なゲル組成は、SiO:0.034 Al:0.05 Cu(TEPA)2+:0.40 TMaDA:0.40 F:3.7 HOであった。
【0067】
そのゲルを、Teflonライナーを具えたオートクレーブ中に移し、そして静的条件下で14日間150℃の温度に加熱した。熱水による結晶化後の試料をろ過し、そして十分な蒸留水で洗浄し、そして100℃で最終的に乾燥させた。
【0068】
粉末X線回折(PXRD)により固形物を特徴付け、SSZ−13物質の特徴的なPXRDパターンが得られた(図1中のCu−SSZ13−8を参照)。得られた固形物の化学分析は、Si/Al比及びCu/(Si+Al)比がそれぞれ13.1及び0.02であることを示している(図1を参照)。
【0069】
結晶化工程の間に微孔質物質の内部を妨げる有機部分を除去するために、Cuを含有するSSZ−13を空気中で550℃でか焼した。
【0070】
実施例10:本発明によって合成された様々なCu−SSZ13によるNOxのSCRに対する触媒に関する試験
固定床、2.2cmの直径及び53cmの長さの石英管型反応装置における試料のNOxの触媒的還元に関する活性を調査した。典型的な実験において、触媒は、0.25〜0.42mmの粒度で製造した。それを反応装置に導入し、550℃に加熱し(表2中の反応条件を参照)、そして、窒素を流しながら1時間それらの温度で維持した。その後、所望の反応温度を設定し、そして反応供給物を収容した。還元剤としてNHを用いてNOxのSCRを調査した。化学発光法検出器(Thermo 62C)を用いて、反応装置から排出されるガス中に存在するNOxを連続的に分析した。触媒の結果を表3に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5