特許第6239048号(P6239048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239048
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20171120BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20171120BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01L23/12 501C
   A61B1/04 530
   H01L23/12 E
   G02B23/24 B
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-123626(P2016-123626)
(22)【出願日】2016年6月22日
(62)【分割の表示】特願2012-65791(P2012-65791)の分割
【原出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2016-197731(P2016-197731A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】小師 敦
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−017530(JP,A)
【文献】 特開2006−210954(JP,A)
【文献】 特開2003−124390(JP,A)
【文献】 特開2008−130738(JP,A)
【文献】 特開2001−267460(JP,A)
【文献】 特開平09−246318(JP,A)
【文献】 特開2004−172260(JP,A)
【文献】 特開2010−69217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
1/04
1/06
1/12 −1/24
1/267−1/31
1/32
G02B23/24 −23/26
H01L23/12 −23/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ・レベル・チップサイズ・パッケージ加工を行った撮像素子を含む半導体パッケージが搭載され、可撓管を通して配線が行われる電子内視鏡であって、前記半導体パッケージのパッケージ底面にBGAバンプが格子状に形成され、前記BGAバンプが全ての格子点に配置され、前記BGAバンプのうち周辺部に位置するバンプの一部がダミーバンプであり、前記ダミーバンプが前記周辺部を構成する複数の辺に含まれるとともに回路基板を介してケーブルの信号線に接続される
ことを特徴とする電子内視鏡
【請求項2】
前記BGAバンプが加工可能な最小ピッチで配置されることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡
【請求項3】
前記BGAバンプが正方格子状に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子内視鏡
【請求項4】
前記BGAバンプが前記正方格子の隅に配置されることを特徴とする請求項3に記載の電子内視鏡
【請求項5】
前記ダミーバンプの少なくとも1つが前記半導体パッケージのグランドパターンに接続されることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の電子内視鏡
【請求項6】
前記回路基板が前記BGAバンプ全てに対応するランドを備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電子内視鏡
【請求項7】
前記ダミーバンプの中の複数のダミーバンプが互いに隣接して配置されることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の電子内視鏡。
【請求項8】
前記ダミーバンプの全てが前記周辺部に配置されることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の電子内視鏡。
【請求項9】
前記周辺部の中の相対する辺の各々に複数のダミーバンプが設けられることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の電子内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハ状態でパッケージングまでを行うウェハレベル・チップサイズ・パッケージ(WLCSP:Wafer Level Chip Size Package)タイプの半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば撮像素子に発生するノイズは、温度上昇に伴い増大する。特に電子内視鏡では、撮像素子が気密された極めて狭い空間に配置され、かつ熱源となるライトガイドも隣接して配置されるため放熱対策は画質の維持・向上にとって極めて重要である。電子内視鏡において撮像素子は、表面のボンディング電極からボンディングワイヤ、TABテープ等を介して裏面に配置された回路基板に接続され、撮像素子の熱はボンディングワイヤやTAB(Tape Automated Bonding)テープの配線、または撮像素子裏面と回路基板の接合面を通して放熱される。放熱効率を高めるために撮像素子裏面近傍に熱伝導性の高い部材を配置する構成も提案されている(特許文献1)。また近年、電子機器の小型・軽量化に伴い、半導体パッケージをウェハ状態のままパッケージにするWLCSP技術が開発されており、携帯電話などにおいては、WLCSP技術を用いた撮像素子も採用されている(引用文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−291693号公報
【特許文献2】特開2008−130738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このWLCSPタイプの撮像素子を電子内視鏡に実装する場合、撮像素子はその裏面に形成されるBGA(Ball Grid Array)バンプを介して回路基板に接合されることとなり、主な放熱経路はバンプを通したものとなる。一方、電子内視鏡においては、細い可撓管を通して配線を行う必要があるため、撮像素子のI/Oピンの数が制限され、そのバンプの数も少ない。そのため撮像素子の放熱が十分に行えず、画質の劣化を招く恐れがある。
【0005】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであり、放熱効率の高いWLCSPタイプの半導体パッケージを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体パッケージは、ウェハ・レベル・チップサイズ・パッケージ加工を行った半導体パッケージであって、パッケージ底面にBGAバンプが格子状に形成され、BGAバンプが全ての格子点に配置されたことを特徴としている。
【0007】
BGAバンプの一部は例えばダミーバンプであり、BGAバンプは加工可能な最小ピッチで配置されることが好ましい。本発明の半導体パッケージは例えば撮像素子へのアプリケーションにおいて有効である。ダミーバンプは、例えば半導体パッケージのグランドパターンに接続されることが好ましい。
【0008】
また本発明の回路基板は、上記半導体パッケージが実装される回路基板であって、BGAバンプ全てに対応するランドを備えたことを特徴としている。
【0009】
回路基板において、ダミーバンプに接合される少なくとも1つのランドがグランドパターンに接続されることが好ましい。
【0010】
本発明の撮像ユニットは、上記半導体パッケージと、半導体パッケージが実装される回路基板とを備え、回路基板がBGAバンプ全てに対応するランドを備えたことを特徴としている。
【0011】
また撮像ユニットにおいて、ダミーバンプに接合される少なくとも1つのランドがグランドパターンに接続されることが好ましい。
【0012】
また本発明の電子内視鏡は、上記撮像ユニットが搭載されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、放熱効率の高いWLCSPタイプの半導体パッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態であるWLCSPタイプの半導体パッケージを搭載した撮像ユニットの構成を示す側断面図である。
図2】本実施形態の半導体パッケージを底面側から見た平面図である。
図3】半導体パッケージの変形例の底面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態であるWLCSPタイプの半導体パッケージを搭載した撮像ユニットの構成を示す側断面図である。
【0016】
撮像ユニット10は、例えば電子内視鏡に搭載され、WLCSPタイプの半導体パッケージ11と回路基板パッケージ12を備える。本実施形態において半導体パッケージ11は撮像素子であり、ガラス層13、樹脂層14、シリコン層15、および格子状に配列されたBGAバンプ16から主に構成される。
【0017】
回路基板パッケージ12には、例えば半導体パッケージ11の全てのBGAバンプに対応して格子状に配列されるランド17が形成され、例えば全てのBGAバンプ16は対応する各ランド17に半田付けなどにより接合される。また、シリコン層15と回路基板パッケージ12と間にはBGAバンプ16の高さ分の隙間が形成されるが、この隙間は熱伝導性の高い樹脂充填剤18により充填される。
【0018】
また回路基板パッケージ12には、ケーブル接続用の複数のケーブル接合用ランド19が設けられ、ケーブル20の各信号線21が半田等を用いて接合される。図1では、回路基板パッケージ12の一部が破断図として示され、グランドパターン22の配線の一部が模式的に示される。図1の例において、バンプ16Gは、例えば半導体パッケージ11のグランドパターン(図示せず)を構成するグランド端子であり、ランド17Gを介してケーブル20のグランド線21Gに接続される。またバンプ16Dは、後述するダミーバンプであり、ダミーバンプ16Dに対応するランド17Dはダミーランドとなる。図示例ではダミーランド17Dはグランドパターン22(ランド17G)に接続される。なお、回路基板パッケージ12には必要に応じて電子部品23、24等が実装される。
【0019】
図2は本実施形態の半導体パッケージ11を底面側から見た平面図である。本実施形態において、半導体パッケージ11の底面には格子状にBGAバンプが配置され、図2の例では、縦横5×5、合計25個の格子点を有する正方格子状にBGAバンプ(白丸および黒丸)が配置されている。格子点の全てにBGAバンプが形成され、図2では25個のBGAバンプのうち白丸で示される18個のBGAバンプ16Eが半導体パッケージ11のI/Oピンであり、黒丸で示される7個のBGAバンプ16Dがダミーバンプである。
【0020】
従来、WLCSPタイプの半導体パッケージでは、必要なI/Oピンに応じてバンプピッチを設定し、余ったスペースにバンプを配することは基本的にない。例えば、I/Oピンは底面の周縁部に集められ底面中央付近はバンプが形成されない空き領域とされる。これに対して本実施形態では、例えば半導体パッケージ製造の後工程において安定処理可能な最小のピッチで配置できる全てのバンプが形成される。すなわち本実施形態では半導体パッケージに必要なI/Oピンの数からBGAバンプの行数、列数を割り付けるのではなく、例えばパッケージサイズと製造工程における加工可能ピッチから、BGAバンプによる全接合面積がなるべく大きくなるように設置可能な限りの数のBGAバンプを配置する。
【0021】
例えば、図2の例では、I/Oピンは18個なので、5行×4列としてダミーバンプ16Dを2個とすることもできるが、本実施形態ではより大きな接合面積を得るためBGAバンプの配列を5行×5列としている(バンプ断面積は一定であることを前提としている)。本実施形態では、このように配置されるBGAバンプのうち、I/Oピン以外の7個のバンプをダミーバンプ16Dとする。ダミーバンプ16Dは、電気的にフローティングされた状態であってもよいが、本実施形態のように半導体パッケージ11内のグランドパターンに接続する構成とすることで放熱効果を更に向上できる。なおダミーバンプ16Dは、任意の格子点上に配置できるが、回路基板パッケージ12側において配線の引き回しが容易な位置に配置されることが好ましい。
【0022】
またバンプサイズとバンプの最小加工ピッチの組合せが選択可能な場合には、全バンプ接合面積に当たるバンプ数×バンプ断面積がより大きくなる組合せを選択してもよい。例えば、図2の例において、バンプサイズを大きくして前述のようにBGAを4行×5列とすることもできる。図3に、パッケージサイズが図2と同サイズの半導体パッケージにおいて必要なI/Oピン数が16個のとき、バンプサイズを大きくするとともにBGAを4行×4列とし、ダミーバンプをなくした構成を示す。
【0023】
以上のように、本実施形態によればWLCSPタイプの半導体パッケージにおいて、バンプ接合面積を大きくすることができ、バンプを通してより効率的に熱を回路基板側へと伝達することができるので放熱効率が向上される。
【0024】
また本実施形態では、回路基板パッケージに半導体パッケージの全てのバンプに対応してランドを設けたり、ダミーバンプをグラウンドパターンに接続したりすることにより放熱効果を更に高めている。また本実施形態では回路基板のダミーランドもグランパターン、ケーブルのグランド線へと接続されているため熱は効率よくケーブルへと排出される。
【0025】
なお、本実施形態では半導体パッケージの全てのBGAバンプに対応したランドを回路基板パッケージに設けたが、ランド数はバンプ数と異なってもよい。またダミーバンプ、ダミーランドは、必ずしもグランドパターンに接続されていなくともよい。また、BGAバンプの配置は正方格子に限定されず、六角格子状などの配置であってもよく、バンプ、ランド、信号線の接合方法も半田付け以外の方法を用いてもよい。また本実施形態では電子内視鏡を例に説明を行ったが、放熱を十分に考慮する必要がある他の電子機器(特に撮像ユニット)においても適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
10 撮像ユニット
11 WLCSPタイプ半導体パッケージ
12 回路基板パッケージ
13 ガラス層
15 シリコン層
16 BGAバンプ
16D ダミーバンプ
16E I/Oピン
16G グランド端子(バンプ)
17 バンプ接合ランド
17D ダミーランド
19 ケーブル接合ランド
20 ケーブル
21 信号線
21G グランド線
22 グランドパターン
図1
図2
図3