特許第6239051号(P6239051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239051液体増強式、ガス発生式消火システムおよび関連の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239051
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】液体増強式、ガス発生式消火システムおよび関連の方法
(51)【国際特許分類】
   A62C 13/22 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   A62C13/22
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-126811(P2016-126811)
(22)【出願日】2016年6月27日
(62)【分割の表示】特願2014-534523(P2014-534523)の分割
【原出願日】2011年10月6日
(65)【公開番号】特開2016-168410(P2016-168410A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】598174370
【氏名又は名称】オーバイタル・エイティーケイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】サンプソン,ウィリアム・ピー
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6076468(US,A)
【文献】 米国特許第5845716(US,A)
【文献】 米国特許第5660236(US,A)
【文献】 特開2010−216118(JP,A)
【文献】 特開平11−197265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00 − 99/00
B60R 21/264
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生材料がその中に配設されている発生器筐体と、前記発生器筐体に隣接して配設されている冷却システムと、を備える消火システムであって、
前記冷却システムは、
冷却剤材料がその中に配設された第1チャンバと、
前記第1チャンバによって少なくとも部分的に横方向に取り囲まれた第2チャンバと、
前記第1チャンバの第1の長手方向端部と前記第2チャンバとの間に形成された1つ又は複数の第1の開口部と、
前記1つ又は複数の第1の開口部をカバーする第1の圧力感応性の障壁と、
前記第1チャンバの第2の長手方向端部と前記第2チャンバとの間に形成された1つ又は複数の第2の開口部と、
前記1つ又は複数の第2の開口部をカバーする第2の圧力感応性の障壁と、
を備えている、消火システム。
【請求項2】
前記第1チャンバは、第1の筐体によって少なくとも部分的に画定され、前記第2のチャンバは、前記第1の筐体内に配置された第2の筐体によって少なくとも部分的に画定されている、請求項1に記載の消火システム。
【請求項3】
前記第1チャンバの前記第1の長手方向端部に形成された前記1つ又は複数の第1の開口部は、前記第2の筐体の壁を通って延在する、請求項2に記載の消火システム。
【請求項4】
前記第1チャンバの前記第2の長手方向端部と前記第2チャンバとの間に形成された前記1つ又は複数の第2の開口部は、前記第2の筐体の壁を通って延在する、請求項2に記載の消火システム。
【請求項5】
前記第1チャンバは、該第1チャンバの前記第1の長手方向端部に配置された穿孔板によって少なくとも部分的に画定されている、請求項1に記載の消火システム。
【請求項6】
前記1つ又は複数の第1の開口部は、前記穿孔板の穿孔を備え、前記第1の圧力感応性の障壁は前記穿孔板をカバーする、請求項5に記載の消火システム。
【請求項7】
前記第2チャンバ内に配置された、少なくとも1つの開口部が貫通する板をさらに備える、請求項1に記載の消火システム。
【請求項8】
前記冷却システムは、ピストンを備えていない、請求項1に記載の消火システム。
【請求項9】
前記第1の圧力感応性の障壁及び前記第2の圧力感応性の障壁の各々は、前記消火システムの外側の周囲圧力を超える所定の圧力で破裂するように構成されたフォイルを備えている、請求項1に記載の消火システム。
【請求項10】
固体ガス発生材料及び点火材料がその中に配設されている発生器筐体と、前記発生器筐体に連結されている冷却システムと、を備える消火システムであって、
前記冷却システムは、
第1チャンバをその内部で少なくとも部分的に画定する第1の外側筐体と、
第2チャンバをその内部で少なくとも部分的に画定する第2の筐体であって、該第2の筐体は、前記第1チャンバ内で略中央に配置されている、前記第2の筐体と、
前記第1のチャンバ内に配置され、前記第2の筐体を少なくとも部分的に取り囲んでいる、冷却材料と、
前記発生器筐体から前記第1チャンバへの流体連通を提供するように配置されサイズが定められた、前記第1チャンバ内への1つ又は複数の第1の開口部をカバーする第1の障壁と、
前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの間の流体連通を提供するように配置されサイズが定められた、1つ又は複数の第2の開口部をカバーする第2の障壁と、
を備える、消火システム。
【請求項11】
前記発生器筐体及び前記第1の外側筐体の各々は、円筒形状である、請求項10に記載の消火システム。
【請求項12】
前記第1の外側筐体は、前記第2チャンバ内に配置された、少なくとも1つの開口部が貫通する板をさらに備え、前記1又は複数の第1の開口部は、前記板の上流にある、発生ガス流路内に位置決めされている、請求項10に記載の消火システム。
【請求項13】
消火する方法であって、
発生器筐体内に配置されたガス発生材料で消火ガスを発生させる工程と、
発生した前記消火ガスを前記発生器筐体に隣接して配置された冷却システムに差し向ける工程と、
発生した前記消火ガスからの圧力に応答して、前記冷却システムの第1チャンバの第1の長手方向端部に形成された1つ又は複数の第1の開口部をカバーする第1の圧力感応性の障壁を破裂させる工程と、
発生した前記消火ガスの一部分を前記1つ又は複数の第1の開口部を通して前記第1チャンバへと差し向ける工程と、
前記第1チャンバ内の冷却剤材料に作用する、発生した前記消火ガスからの圧力に応答して、前記第1チャンバの第2の長手方向端部と前記第1チャンバにより少なくとも部分的に取り囲まれた前記冷却システムの第2チャンバとの間に形成された1つ又は複数の第2の開口部をカバーする第2の圧力感応性の障壁を破裂させる工程と、
前記冷却剤材料の少なくとも一部分を前記第1チャンバから前記第2チャンバまで前記1つ又は複数の第2の開口部を通して差し向ける工程と、
を備える方法。
【請求項14】
発生した前記消火ガスの別の一部分を前記第2チャンバを通して差し向ける工程を更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
発生した前記消火ガスの別の一部分を前記第2チャンバを通して差し向ける前記工程は、前記第2チャンバ内に位置決めされる、少なくとも1つの開口部が貫通する板を通して、発生した前記消火ガスの前記別の一部分を差し向ける工程を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記冷却剤材料の前記少なくとも一部分を、前記第2チャンバを通して差し向けられた前記発生した消火ガスの前記別の一部分と混合する工程を更に備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
発生した前記消火ガスからの圧力に応答して、前記冷却システムの第1チャンバの第1の長手方向端部に形成された1つ又は複数の第1の開口部をカバーする第1の圧力感応性の障壁を破裂させる工程は、前記第1チャンバの前記第1の長手方向端部に位置決めされた穿孔板の穿孔をカバーする前記第1の圧力感応性の障壁を破裂させる工程を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
発生した前記消火ガスからの圧力に応答して、前記冷却システムの第1チャンバの第1の長手方向端部に形成された1つ又は複数の第1の開口部をカバーする第1の圧力感応性の障壁を破裂させる工程は、前記第2チャンバを画定する筐体の壁を通して延在する前記1つ又は複数の第1の開口部をカバーする前記第1の圧力感応性の障壁を破裂させる工程を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記冷却剤材料の少なくとも一部分を前記第1チャンバから前記第2チャンバまで前記1つ又は複数の第2の開口部を通して差し向ける工程は、ピストンを動かすこと無しに実行される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して消火に関する。本開示の実施形態は、ガス発生器と冷却システムとを有する消火装置、および、消火するためにそのような消火装置を使用する方法に関する。また、本開示の実施形態は、液体冷却剤を使用して消火ガスを冷却する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去において、ハロンハロカーボンについては、消火に関連する広範囲の用途が見出されてきた。「ハロンハロカーボン」の用語は、概して、ハロアルカン、または、ハロゲノアルカン、結合した(linked)ハロゲンを備えるアルカンからなる化学化合物のグループを参照し、とりわけ、臭素含有ハロアルカンを指す。ハロンハロカーボンは、一般に、ほとんどのタイプの火災を消すのに効果的であり、望ましくは、非導電性であり、残留物の形成なしに急速に消散する傾向があり、限られた人体の露出(human exposure)に対して比較的に安全である傾向がある。過去において、ハロカーボンハロン1301(ブロモトリフルオロメタン、CBrF3)などのハロンハロカーボンは、典
型的に水スプリンクラーシステムの適用があまり適切でない領域または建物、データおよびコンピュータセンタ、博物館、図書館、手術室、および、水ベースの抑制剤の適用が、電子機器、重要な記録文書収集などに取り返しのつかない損傷を結果的に生じさせ得る他の場所などの領域の中で、または、それらの領域のために、消火剤として有用であることが見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5、439、537号
【特許文献2】米国特許第5、673、935号
【特許文献3】米国特許第5、725、699号
【特許文献4】米国特許第6、039、820号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ハロンハロカーボンは、大気に関してオゾン層を破壊する態様に起因して、環境に有害な影響を有することが見出されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
消火装置が開示されており、この消火装置は、ガス発生材料がその中に配設されている筐体と、ガス発生材料の少なくともの一部分に点火してガスを形成させるように構成されている点火器と、筐体に隣接して配設されている冷却システムとを含む。冷却システムは、第1チャンバと第2チャンバとを含み、第1チャンバの中には、冷却剤材料が配設されている。作動時には、冷却剤材料の少なくとも一部分が、第1チャンバから第2チャンバの中へ流入し、ガス発生材料の点火によって形成されるガスと混合され、そのガスを冷却する。いくつかの実施形態では、消火装置が、冷却システムの第1チャンバの中に配設されているピストンをさらに含み、ピストンが、第1チャンバの中で移動可能であり、冷却剤材料を加圧し、第1チャンバから第2チャンバの中へ冷却剤材料を流入させる。冷却剤材料は、液体であることが可能である。
【0006】
消火装置で消火するための方法が開示されており、この方法は、ガス発生材料に点火し、消火ガスを形成させる工程と、冷却システムの第1および第2チャンバの中へ消火ガス
を流入させる工程と、消火ガスによって第1チャンバの中でピストンを移動させることによって、第1チャンバから第2チャンバの中へ冷却剤材料を流入させる工程とを含む。冷却剤材料は、消火ガスと混合され、消火ガスを冷却することが可能である。冷却剤材料と消火ガスとの混合物を火炎に向かって方向付けすることが可能である。
【0007】
また、消火ガスを冷却するための方法も開示されており、この方法は、第1および第2チャンバの中へ消火ガスを流入させる工程と、消火ガスでピストンを押すことによって、第1チャンバの中に動作可能に配設されているピストンを移動させる工程と、ピストンで冷却剤材料を押すことによって、第1チャンバから第2チャンバの中へ冷却剤材料を流入させる工程と、第2チャンバの中で冷却剤材料と消火ガスを混合させる工程とを含む。
本明細書には、下記の態様が記載されている。
(態様1)
ガス発生材料がその中に配設されている筐体と、
前記ガス発生材料の少なくとも一部分に動作可能に関連付けされている点火器であって、当該点火器が作動すると当該ガス発生材料の少なくとも一部分に点火してガスを形成させるように構成されている点火器と、
前記筐体に隣接して配設されている冷却システムであって、冷却剤材料がその中に配設された第1チャンバと第2チャンバとを含み、当該筐体を出ていくガスの圧力に応答して作動すると当該冷却剤材料の少なくとも一部分が当該第1チャンバから当該第2チャンバの中へ流入させられ、当該筐体を出ていく前記ガスと接触して前記ガスを冷却する、冷却システムと、
を含む、消火装置。
(態様2)
態様1に記載の消火装置において、
前記消火装置が、前記第1チャンバの中に配設されているピストンをさらに含み、
前記ピストンが、前記第1チャンバの中で移動可能であり、前記筐体を出ていく前記ガスの前記圧力に応答して前記冷却剤材料を加圧し、当該冷却剤材料を当該第1チャンバから前記第2チャンバの中へ流入させる、消火装置。
(態様3)
態様2に記載の消火装置において、
前記ピストンが、前記ピストンの周りに配設された少なくとも1つの封止部をさらに含み、
前記ピストンと前記第1チャンバの壁部との間の流体流れを阻止する、消火装置。
(態様4)
態様2に記載の消火装置において、
前記ガスを形成する前記ガス発生材料の少なくとも一部分の反応によって生成される圧力が、前記ピストンを移動させ、前記冷却剤材料の少なくとも一部分を前記第1チャンバから前記第2チャンバの中へ流入させるように機能する、消火装置。
(態様5)
態様1に記載の消火装置において、
前記冷却剤材料が、少なくとも1つの吸熱的に変更可能な材料を含む、消火装置。
(態様6)
態様5に記載の消火装置において、
前記吸熱的に変更可能な材料が、前記ガス発生材料の点火によって形成される前記ガスと接触すると、蒸発および分解のうちの少なくとも1つをする液体を含む、消火装置。
(態様7)
態様6に記載の消火装置において、
前記吸熱的に変更可能な材料が、前記ガス発生材料の前記点火によって形成される前記ガスと接触すると、追加的なガス生成物を形成させる、消火装置。
(態様8)
態様5に記載の消火装置において、
前記吸熱的に変更可能な材料が、水を含む、消火装置。
(態様9)
態様8に記載の消火装置において、
前記吸熱的に変更可能な材料が、塩化カルシウム、プロピレングリコール、酢酸カリウム、およびアルカリ金属重炭酸塩のうちの少なくとも1つをさらに含む、消火装置。
(態様10)
態様1に記載の消火装置において、
前記冷却剤材料の流れを前記第2チャンバの中へ方向付けするように構成されている開口部およびノズルのうちの少なくとも1つをさらに含む、消火装置。
(態様11)
態様10に記載の消火装置において、
前記消火ガスの圧力が前記冷却剤材料の少なくとも一部分を前記第1チャンバから前記第2チャンバの中へ流入させることを可能にするために、当該第1チャンバの中への少なくとも1つの追加的な開口部をさらに含む、消火装置。
(態様12)
態様1に記載の消火装置において、
前記消火装置が、前記第2チャンバの中に配設された構造体をさらに含み、前記構造体が、前記筐体を出ていくガスの圧力を増加させて前記冷却剤材料に作用するためのものである、消火装置。
(態様13)
態様12に記載の消火装置において、
前記構造体が、それを通る少なくとも1つの開口部を有する板を含む、消火装置。
(態様14)
態様1に記載の消火装置において、
前記第1チャンバが、前記第2チャンバに横方向に隣接して位置付けされている、消火装置。
(態様15)
態様1に記載の消火装置において、
前記第1チャンバが、前記第2チャンバを少なくとも部分的に横方向に取り囲む、消火装置。
(態様16)
消火装置で消火するための方法であって、
ガス発生材料に点火し、消火ガスを形成させる工程と、
冷却システムの第1チャンバおよび第2チャンバの中へ前記消火ガスを流入させる工程と、
前記消火ガスの圧力に応答して、前記第1チャンバの中でピストンを移動させることによって、冷却剤材料を前記冷却システムの当該第1チャンバから前記第2チャンバへ流入させる工程と、
前記消火ガスを前記冷却剤材料と接触させ、当該消火ガスを冷却する工程と、
を含む、方法。
(態様17)
態様16に記載の方法において、
前記消火ガスと前記冷却剤材料との組み合わせを火炎に向かって方向付けする工程をさらに含む、方法。
(態様18)
消火ガスを冷却するための方法であって、
第1チャンバ、および、前記第1チャンバに近接する第2チャンバの中へ消火ガスを流入させる工程と、
前記消火ガスの圧力を前記ピストンに加えることによって、前記第1チャンバの中に配設されているピストンを移動させる工程と、
前記ピストンの移動に応答して、前記第1チャンバの中に配設されている冷却剤材料を当該第1チャンバから前記第2チャンバの中へ流入させる工程と、
前記第2チャンバの中で、前記消火ガスを前記冷却剤材料と接触させ、当該消火ガスを冷却する工程と、
を含む、方法。
(態様19)
態様18に記載の方法において、
ガス発生材料に点火し、前記消火ガスを形成させる工程をさらに含む、方法。
(態様20)
態様18に記載の方法において、
冷却剤材料を流入させる工程が、水、塩化カルシウム、プロピレングリコール、酢酸カリウム、アルカリ金属重炭酸塩、および、それらの組み合わせのうちの少なくとも1つを流入させる工程を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態による消火装置のガス発生器の断面図である。
図2図1に示されているガス発生器の斜視断面図である。
図3図1に示されているガス発生器の一部分の斜視断面図であり、図1に示されているように線3−3に沿って見た図である。
図4A】本開示の実施形態による消火装置の冷却システムの断面図である。
図4B】本開示の実施形態による消火装置の冷却システムの断面図である。
図4C】本開示の実施形態による消火装置の冷却システムの断面図である。
図5】本開示の別の実施形態による消火装置の冷却システムの断面図である。
図6A】本開示の別の実施形態による消火装置の冷却システムの断面図である。
図6B】本開示の別の実施形態による消火装置の冷却システムの断面図である。
図7】本開示のさらなる別の実施形態による消火装置の冷却システムの断面図である。
図8】本開示の追加的な実施形態による消火装置の冷却システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図8は、本開示の消火装置の実施形態の一部分を図示している。本開示の消火装置は、ガス発生器(図1図3参照)と、ガス発生器によって発生させられる消火ガスを冷却するように構成されている冷却システム(図4A図8参照)とを含む。
【0010】
図1は、本開示の消火装置のガス発生器20の実施形態の断面図を示している。ガス発生器20は、発生器筐体22と、発生器筐体22の第1の長手方向端部に位置付けされている第1の端壁部24と、第1の長手方向端部の反対側の発生器筐体22の第2の長手方向端部に位置付けされている第2の端壁部76とを含む。発生器筐体22、第1の端壁部24、および第2の端壁部76は、ガス発生器20の作動の間に生成される上昇した温度および/または圧力に耐えることができる材料からそれぞれ形成することが可能である。例えば、発生器筐体22、第1の端壁部24、および第2の端壁部76は、金属(例えば、鋼鉄)、ポリマー、複合材料(例えば、繊維複合材料)、およびセラミックのうちの1つまたは複数からそれぞれ形成することが可能である。第1および第2の端壁部24、76は、発生器筐体22と一体に形成するか、または、別々に形成することが可能であり、例えば、溶接、接着剤、圧着、ねじ、機械的な留め具、圧入などによって、発生器筐体22に取り付けることが可能である。
【0011】
ガス発生材料52は、ガス(例えば、消火ガス)を発生させるための発生器筐体22の中に配設することが可能である。ガス発生材料52として使用することができる材料には、例えば、膨張式の車両乗員安全拘束システム(例えば、エアバッグシステム)の技術分野で知られている材料が含まれる。ガス発生材料52に適切な組成物は、当業者に知られており、発生したガスの意図する用途に応じて異なることが可能である。とりわけ、人間がいる領域での消火で使用するために、ガス発生ウェハ66のガス発生材料52は、Hi
nshawらによる米国特許第5、439、537号、第5、673、935号、第5、725、699号、および第6、039、820号に開示されているように、HACN組成物であることが可能であり、それらの特許のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれている。ガス発生材料52の中で使用されるHACNは、再結晶することが可能であり、おおよそ0.1%より少ない活性炭または活性炭素を含む。ガス発生材料52の中の炭素の量を低く維持することによって、ガス発生材料52が燃焼するときに、CO、CO2、または、その混合物などの、炭素含有ガスの量を最小化することが可能である
。代替的に、おおよそ1%までの活性炭または活性炭素を有する工業銘柄(technical grade)のHACNを使用することが可能である。また、炭素含有ガスまたはNOxを含まないガス状燃焼生成物を生成する従来のガス発生材料を使用することも可能であるということも考えられる。
【0012】
HACN組成物、または、他のガス発生材料52は、酸化剤、点火促進剤、バリスティック調整剤(ballistic modifier)、スラグ促進剤(slag enhancing agent)、冷却剤、化学的消火剤、無機結合剤、または有機結合剤のうちの少なくとも1つなどの、追加的な原料を含むことが可能である。例として、HACN組成物は、酸化第二銅、二酸化チタン、硝酸グアニジン、硝酸ストロンチウム、およびガラスのうちの少なくとも1つを含むことが可能である。ガス発生材料52の中に使用される多くの添加剤は、複数の目的を有する。単に例示のために、酸化剤として使用される添加剤は、冷却特性、バリスティック調整特性、またはスラグ促進特性を、材料52に提供することが可能である。HACNの中に存在する活性炭の酸化、または、HACNの中のコバルトに配位された(coordinated)アンモニアグループの酸化を推進するために、酸化剤を使用することが可能である。酸化剤は、硝酸アンモニウム、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ土類金属硝酸塩、過塩素酸アンモニウム、アルカリ金属過塩素酸塩、アルカリ土類金属過塩素酸塩、過酸化アンモニウム、アルカリ金属過酸化物、または、アルカリ土類金属過酸化物であることが可能である。また、酸化剤は、それに限定されないが、基本的な硝酸銅(〔Cu2(OH)3NO3〕)(「BCN」)、Cu2O、またはCuOを含む銅ベースの酸化剤などの、遷移金属ベースの酸化剤であることが可能である。酸化剤であることに加えて、銅ベースの酸化剤は、冷却剤、バリスティック調整剤、またはスラグ促進剤として作用することが可能である。ガス発生材料52の燃焼時に、銅ベースの酸化剤は、コバルト金属および酸化第一コバルトなどのコバルト燃焼生成物と混合できる、銅金属および酸化第一銅などの銅を含有する燃焼生成物を生成することが可能である。これらの燃焼生成物は、溶融スラグを生成し、溶融スラグは、ウェハ66の燃焼表面において、または、ウェハ66の燃焼表面の近くで溶解し、微粒子が形成されることを防止する。また、銅ベースの酸化剤は、ガス発生材料52の圧力指数を低下させ、燃焼速度の圧力依存性を減少させることが可能である。典型的に、銅ベースの酸化剤を含むHACNを含有するガス発生材料は、大気圧において、または、大気圧の近くで、より容易に点火し、かつ、より急速に燃焼する。しかし、より低い圧力依存性に起因して、おおよそ20.69MPa(3000psi)よりも大きい圧力などのような極端に高い圧力では、それらは、急速には燃焼しない。
【0013】
ガス発生材料52は、例として、固体材料であることが可能であり、固体材料は、ウェハ66として形成されており、ウェハ66は、概して円筒形状である。ガス発生材料52のウェハ66は、それぞれ、ウェハ66を通る1つまたは複数の孔部を有し、その作動時に、ガス発生材料52の点火の改善、および、ガス発生器20を通るガス流量の増加を提供することが可能である。ガス発生材料52のウェハ66は、図1に示されているように、1つまたは複数を積み重ねて配置することが可能である。ウェハ66のそれぞれの積み重ねを、ガス発生容器54の中に少なくとも部分的に配設することが可能である。それぞれのガス発生容器54は、概して円筒形状であり、ガス流量およびガス発生材料52の点火を改善するために、ガス発生容器54を通る穿孔を含有することが可能である。それぞ
れのガス発生容器54の間にスペース34を設けることが可能であり、ガス発生器20の作動時に、ガスがスペース34を通って流れることを可能にする。任意の数のガス発生容器54を、発生器筐体22の中に配設することが可能である。ガス発生容器54の数、したがって、ガス発生材料52の量を修正し、例えば、提供される消火の量、消火装置のコスト、消火装置の重量などを調整することが可能である。
【0014】
図2と併せて図1を参照すると、ガス発生材料52のウェハ66を、ガス発生容器54の中の適当な位置に保持することが可能であり、ガス発生容器54の一方の端部に第1のリテーナディスク62を備え、第2のリテーナディスク64が、ガス発生容器54の反対側の端部に配設されている。第1および第2のリテーナディスク62、64は、それを通る点火生成物および/またはガスの流れを可能にするために、第1および第2のリテーナディスク62、64を通る1つまたは複数の開口部をそれぞれ有することが可能である。随意的に、追加的なリテーナディスク(図示せず)を、ガス発生材料52のそれぞれのウェハ66の間に配設することが可能である。
【0015】
図1図3に示されているように、第1のリテーナ板48を、第1の端壁部24に近接して発生器筐体22の中に位置付けすることが可能であり、第2のリテーナ板70を、第2の端壁部76に近接して発生器筐体22の中に位置付けすることが可能である。ガス発生容器54をガス発生器20の筐体22の中の適当な位置に保持するように、第1および第2のリテーナ板48、70を構成させることが可能である。第1のリテーナ板48は、凹部36を含むことが可能であり、凹部36の中に、点火材料50を配設することが可能である。第1のリテーナ板48は、それを通る孔部44を含み、ガス発生器20の作動時にガス発生材料52に点火するために点火生成物が第1のリテーナ板48を通過することを可能にすることができる。ガス発生器20の作動は、点火装置72の作動を通して起こることが可能であり、点火装置72は、第1の端壁部24に近接して位置付けされており、点火材料50の少なくとも一部分に近接して位置付けされている。例として、点火装置72は、例えば、火災警報器が作動したときに点火するように構成される電子的な点火装置であることが可能である。したがって、点火装置72が作動したときに、点火材料50が点火され、結果的に、ガス発生材料52が、点火され、燃焼し、消火ガスを発生させる。換言すれば、ガス発生材料52は、点火材料50の点火生成物と接触すると消火ガスを形成するように反応することが可能である。
【0016】
再度、図1を参照すると、ガス発生材料52によって発生させられる消火ガスが、開口部78を通って流れ、ガス発生器20から流出することを可能にするために、第2の端壁部76は、開口部78を含むことが可能である。障壁81を、第2の端壁部76の中の開口部78の上方に位置付け、ガス発生器20が作動する前に、開口部78を通る材料の通過を防止することが可能であり、ガス発生器20の中の圧力増加を可能にし、ガス発生材料52の燃焼が自立するようになっている。障壁81は、圧力感応性の障壁であることが可能であり、十分な圧力がそれに加えられると破裂するように構成されており、したがって、ガス発生器20が作動したときに、燃焼するガス発生材料52によって発生させられた消火ガスが開口部78を通過することを可能にする。例として、障壁81は、フォイルバンドまたはテープであることが可能であり、ガス発生器20の外側の大気圧を超える所定の圧力において破裂するように選定することが可能である。
【0017】
図1図3を参照して、ガス発生器20の特定の実施形態が示されているが、本開示はそれに限定されない。例として、消火ガス、または、他の消火材料の任意の供給源は、特定の用途に関して消火材料ストリームから熱を除去することを必要とされる可能性があり、本開示の冷却システムとともに使用することが可能である。
【0018】
図1から分かるように、より詳細に以下に説明されている冷却システム100(図4A
図4C)などの冷却システムに、ガス発生器20を連結することが可能である。随意的に、接続エレメント30を、ガス発生器20と冷却システム100との間に配設することが可能である。他の実施形態では、冷却システム100を、溶接、圧着、圧入、ねじ、接着剤、機械的な留め具などによって、ガス発生器20に直接的に接続することが可能である。したがって、ガス発生器20によって発生させられる消火ガスは、より詳細に以下に説明されているように、ガス発生器20の第2の端壁部76の開口部78を通過して、冷却システム100の中へ進むことが可能である。
【0019】
図4A図8の図は、ガス発生器を示していないが、上記のようなガス発生器を、図4A図8の冷却システムに隣接して位置付けることが可能であり、ガス発生器によって発生させられ、ガス発生器から出ていく消火ガスが、冷却システムによって冷却され得るようになっているということが理解されるべきである。例えば、図4A図8の視点で見たときに、上記のガス発生器20を、冷却システムの底部において、図4A図8の冷却システムのいずれにも取り付けることが可能である。したがって、より詳細に以下に説明されることとなるように、ガスは、開口部78を通ってガス発生器20を出ていき、冷却システム100、200、300、400、500のうちのいずれかの中へ入り、それを通って流れ、冷却されることが可能である。
【0020】
ここで、図4Aを参照すると、消火装置の冷却システム100が示され、説明されている。冷却システム100は、第1チャンバ110を含むことが可能であり、第1チャンバ110は、第1筐体132によって少なくとも部分的に画定されている。第1チャンバ110は、ピストン112を含み、ピストン112は、第1チャンバ110の中に配設されており、十分な力(例えば、圧力)がピストン112に対して加えられると、第1チャンバ110の中を移動するように構成されている。1つまたは複数の封止部114(例えば、Oリング)を、ピストン112と第1筐体132との間に配設し、ピストン112の周りの流体連通を阻止することが可能である。冷却剤材料130を、第1チャンバ110の中に配設することが可能である。冷却剤材料130を、例えば、充填ポート118を通して、第1チャンバ110の中に供給することが可能である。冷却剤材料130は、少なくとも冷却システム100の運転の前には、液体の形態であることが可能である。しかし、より詳細に以下に説明されるように、冷却システム100の運転中には、冷却剤材料130の少なくとも一部分が蒸発し、ガス状材料を形成することが可能である。運転中に、冷却剤材料130は、ノズル116を通って第1チャンバ110から流出することが可能である。図1の障壁81を参照して上記に説明されているように、フォイルなどの圧力感応性の障壁117によって、ノズル116をカバーするか、または、閉じることが可能である。
【0021】
冷却システム100は、第2チャンバ120を含むことが可能であり、第2チャンバ120は、第2筐体122によって少なくとも部分的に画定されている。随意的に、第2筐体122は、ガス発生器20に接続するためのフランジ123を含むことが可能である。それを通る少なくとも1つの開口部126を備えた板124を、第2筐体122の中に配設することが可能である。第2筐体122は、火炎を消火するように、それを通して消火ガスを吐出するための、少なくとも1つの開口部140を含むことが可能である。
【0022】
図4Bおよび図4Cは、運転状態の冷却システム100を図示している。冷却システム100に連結されたガス発生器20(図1図3)によって、消火ガスが発生させられると、消火ガスは、筐体22を出ていき、冷却システム100の中へ流入することが可能である。消火ガスは、板124の形態の構造体に対して流れることが可能であり、板124の上流において、筐体22を出ていく消火ガスの圧力を増加させる。そのような増加した圧力は、ピストン112を通して、第1チャンバ110の中の冷却剤材料130により効果的に作用することが可能である。換言すれば、消火ガスの圧力は、第1チャンバ110
の中のピストン112を押すことが可能であり、ピストン112を第1チャンバ110の中で移動させ、ピストン112を冷却剤材料130に押し付ける。したがって、板124および対応する開口部126のサイズを調整し、ピストン112を移動させるのに十分な圧力を生じさせることが可能である。ピストン112の移動に起因して、冷却剤材料130は、ノズル116をカバーしている障壁117(図4A)を加圧し、破壊することが可能であり、冷却剤材料を冷却システム100の第2チャンバ120の中へ流入させる。少なくとも消火ガスの一部分が、板124の中の少なくとも1つの開口部126を通って、第2チャンバ120の中へ流れることが可能である。ノズル116を通って流れる冷却剤材料130は、第2チャンバ120を通って流れる消火ガスに接触して冷却することが可能である。ノズル116を出ていき、消火ガスに接触すると、材料(例えば、冷却剤材料130および消火ガス)ならびに関連する条件(例えば、温度、圧力など)に応じて、少なくとも冷却剤材料130の一部分は蒸発し、ミスト、または、さらに実質的にガス状になることが可能である。そのような相変化は、消火ガスからの熱を除去することが可能であり、その冷却を強化することが可能である。したがって、ガス発生器20を出ていき、冷却システム100に進入する消火ガスの温度と比較して低減された温度で、消火ガスと冷却剤材料130の組み合わせ(液体の形態、ガス状の形態、または、液体およびガス状の形態の組み合わせ)を、冷却システム100から、開口部140を通して排出することが可能である。消火ガスの温度の低減は、その消火を強化することが可能であり、消火システムが作動するときに消火システムに近接し得る人への傷害(例えば、火傷)を低減するか、または、除くことが可能である。
【0023】
図4Cから分かるように、ピストン112は、第1チャンバ110を通って移動し続けることが可能であり、ピストン112を押す消火ガスの圧力が十分に低減されるまで、または、実質的にすべての液体冷却剤材料130が第1チャンバ110から押し出されるまで、冷却剤材料130を第2チャンバ120の中へ流入させる。
【0024】
様々な材料を冷却剤材料130として使用することが可能である。一実施形態では、冷却剤材料は、少なくとも1つの吸熱的に変更可能な(endothermically alterable)材料を含むことが可能である。吸熱的に変更可能な材料は、ガス発生材料52の点火によって発生させられる消火ガスと接触すると蒸発および/または分解し得る液体を含むことが可能であり、それは、消火ガスを冷却することが可能である。
【0025】
いくつかの実施形態では、吸熱的に変更可能な材料は、吸熱的に分解および/または蒸発し、追加的なガス状生成物を形成することが可能であり、したがって、結果として生じるガス状生成物の量を増加させる。ガス状生成物の量のそのような増加は、消火装置の適正な働きに必要とされるガス発生材料52の量を低減させることが可能である。ガス発生材料52の必要量を低減させることによって、消火装置のガス発生器20のサイズを低減させることが可能であり、したがって、消火装置のコストおよび/もしくはサイズを低減させ、ならびに/または、消火装置の消火能力を増加させる。
【0026】
適切な冷却剤材料130は、消火装置が運転され得る室温(例えば、約−35℃から約85℃の間)において液体のままである液体材料を含むことが可能である。そのうえ、冷却剤材料130から形成される任意の生成物は、特定の消火用途に関連付けされた許容可能な流出制限内であることが可能である。また、冷却剤材料130は、非腐食性であり、第1チャンバ110の中での貯蔵を容易にすることが可能である。そのような基準を概して満足する冷却剤材料130の例には、塩化カルシウム(CaCl2)を混合した水、お
よび、プロピレングリコールを混合した水が含まれる。
【0027】
冷却剤材料130に加えて、または、冷却剤材料130の一部として、第1チャンバ110は、1つまたは複数の活性のある消火化合物を含むことが可能であり、活性のある消
火化合物は、火炎に接触すると、一般的に、消火するのに有用である。使用され得る化学的に活性のある消火化合物の例には、酢酸カリウムおよびアルカリ金属重炭酸塩が含まれる。
【0028】
例えば、30重量%の酢酸カリウム水溶液は、必要とされるガス発生材料52の量を低減させ、かつ、主題の消火装置の発生器筐体22のサイズおよび重量を、第1チャンバ110のサイズ、または、消火装置の消火能力のいずれかをほとんど変化させることなく、酢酸カリウム溶液のない他の同様の装置と比較して約40%低減させることが可能である。
【0029】
本開示の消火装置の冷却システム200の別の実施形態が、図5に示されている。図5の冷却システム200は、図4A図4Cに示されている冷却システム100と同様であり、第1筐体132によって少なくとも部分的に画定されている第1チャンバ110と、第2筐体122によって少なくとも部分的に画定されている第2チャンバ120と、第1チャンバ110の中に配設されているピストン112とを含むことが可能である。第1チャンバ110を、冷却剤材料130で少なくとも部分的に充填することが可能であり、冷却剤材料130は、例えば、充填ポート118を通して供給される。少なくとも1つの封止部114(例えば、Oリング)をピストン112の周りに配設し、ピストン112の周りの流体流れを阻止することが可能である。第2筐体122は、ガス発生器(例えば、上記のガス発生器20)に接続するためのフランジ123と、それを通る少なくとも1つの開口部126を備える板124と、それを通して消火ガスを吐出するための開口部140とを含むことが可能である。しかし、冷却システム200は、冷却剤材料130を第2筐体122の中に噴射するために、第2筐体122の周りに半径方向に位置付けされている1つまたは複数の開口部216を含むという点で、図4A図4Cの冷却システム100と異なる。1つまたは複数の開口部216は、障壁81および117を参照して上記に説明されているようなフォイルバンドなどの圧力感応性の障壁217によってカバーされ得る。
【0030】
冷却システム200に進入する消火ガスが、ピストン112を押し付け、ピストン112を第1チャンバ110の中で移動させることが可能であるという点で、冷却システム200は、図4A図4Bを参照して説明されているものと同様の様式で運転することが可能である。加圧された冷却剤材料130は、障壁217を破裂させることが可能であり、冷却剤材料130が、1つまたは複数の開口部216を通って第2チャンバ120の中へ流入し、消火ガスと混合され、消火ガスを冷却することを可能にする。しかし、第2筐体122の周りの半径方向の1つまたは複数の開口部216の位置は、図4A図4Cに示されているノズル116の位置と比較して、混合特性および冷却特性の修正を可能にすることができる。
【0031】
図4A図5は、冷却システム100、200の実施形態を示しており、冷却システム100、200は、第1筐体132によって少なくとも部分的に画定されている第1チャンバ110を備え、第1筐体132は、第2チャンバ120に横方向に隣接して位置付けされており、第2チャンバ120は、第2筐体122によって少なくとも部分的に画定されているが、本開示は、それに限定されない。例えば、第1チャンバ110を、第2チャンバ120の第2筐体122の中に少なくとも部分的に配設することが可能である。別の例として、第2チャンバ120を、第1筐体132の中に少なくとも部分的に配設することが可能である。さらに別の例として、第1チャンバ110は、第2チャンバ120を少なくとも部分的に横方向に取り囲むことが可能である。本開示の冷却システム300、400、500のさらなる例示的な実施形態が、図6A図8に示されており、より詳細に以下に説明されている。
【0032】
図6Aを参照すると、冷却システム300は、第1チャンバ310を含むことが可能であり、第1チャンバ310は、第1筐体332によって少なくとも部分的に画定されており、第1筐体332の中に冷却剤材料130が配設されている。第2筐体322によって少なくとも部分的に画定されている第2チャンバ320を、第1筐体332および第1チャンバ310の中に少なくとも部分的に配設することが可能である。ピストン312を第1チャンバ310の中に配設することが可能であり、ピストン312は、第2チャンバ320を画定する第2筐体322の一部分を横方向に取り囲むことが可能である。1つまたは複数の封止部314(例えば、Oリング)を、ピストン312と第1筐体332との間に、および、ピストン312と第2筐体322との間に配設し、ピストン312の周りの流体連通を阻止することが可能である。第1筐体332は、ガス発生器に接続するためのフランジ323を含むことが可能である。それを通る少なくとも1つの開口部326を備える板324を、第2チャンバ320の中に位置付けすることが可能である。第2筐体322は、1つまたは複数の開口部316を含み、1つまたは複数の開口部316を通して、第1および第2チャンバ310、320の間に流体連通を提供することが可能である。1つまたは複数の開口部316を、フォイルバンドなどの圧力感応性の障壁317によってカバーし、冷却システム300が運転されていないときに、1つまたは複数の開口部316を通る流体連通を阻止することが可能である。
【0033】
図6Aおよび図6Bから分かるように、消火ガスが冷却システム300の底部へ導入されると(図6Aおよび図6Bの視点で見たときに)、消火ガスは、ピストン312を押し、ピストン312を第1チャンバ310を通して移動させることが可能である。消火ガスのうちの少なくともいくらかが、板324の中の1つまたは複数の開口部326を通って、第2チャンバ320の中へ流入することが可能である。ピストン312の移動は、冷却剤材料130によって障壁317を破裂させ、冷却剤材料130を第2チャンバ320の中へ流入させ、第2チャンバ320を通って流れる消火ガスと混合させ、消火ガスを冷却することが可能である。したがって、上記のように、冷却システム300から吐出される前および/または後に、消火ガスを冷却剤材料130によって冷却することが可能である。
【0034】
図7は、本開示の消火装置の冷却システム400の別の実施形態を示している。図7に示されている冷却システム400は、図6A図6Bに示されている冷却システム300と同様であり、第1筐体332によって少なくとも部分的に画定されている第1チャンバ310を含むことが可能であり、第1筐体332は、第2チャンバ320を少なくとも部分的に横方向に取り囲み、第2チャンバ320は、第2筐体322によって少なくとも部分的に画定されている。冷却剤材料130を第1チャンバ310の中に配設することが可能である。1つまたは複数の開口部316が、第2筐体322を通って延在し、第1および第2チャンバ310、320の間に流体連通を提供することが可能である。上記のように、障壁317は、1つまたは複数の開口部316をカバーすることが可能である。それを通る少なくとも1つの開口部326を備える板324を、第2チャンバ320の中に位置付けすることが可能である。しかし、冷却システム400は、ピストンを含まない。より正確に言えば、冷却システム400は、追加的な1つまたは複数の開口部406を含むことが可能であり、追加的な1つまたは複数の開口部406は、第2筐体322を通り、別の障壁407によってカバーされており、別の障壁407は、上記の障壁81、117、217、317と同様である。追加的な1つまたは複数の開口部406を板324の前の流路に位置付けすることが可能であり、冷却システム400を通って流れる消火ガスが、別の障壁407を破裂させ、第1チャンバ310に進入し、第1チャンバ310を加圧し、冷却剤材料130に障壁317を破裂させ、開口部316を通して第2チャンバ320の中へ冷却剤材料130を流入させることが可能である。したがって、冷却剤材料130は、上記のように、冷却システム400から吐出される前に第2チャンバ320を通って流れる消火ガスと混合され、その消火ガスを冷却することが可能である。
【0035】
図8は、本開示の消火装置の冷却システム500の別の実施形態を示している。図8に示されている冷却システム500は、図6A図6Bに示されている冷却システム300と同様であり、第1筐体332によって少なくとも部分的に画定されている第1チャンバ310を含むことが可能であり、第1筐体332は、第2チャンバ320を少なくとも部分的に横方向に取り囲み、第2チャンバ320は、第2筐体322によって少なくとも部分的に画定されている。冷却剤材料130を第1チャンバ310の中に配設することが可能である。1つまたは複数の開口部316が、第2筐体322を通って延在し、第1および第2チャンバ310、320の間に流体連通を提供する。上記のように、障壁317は、1つまたは複数の開口部316をカバーすることが可能である。それを通る少なくとも1つの開口部326を備える板324を、第2チャンバ320の中に位置付けすることが可能である。しかし、冷却システム500は、ピストンを含まない。より正確に言えば、冷却システムは、穿孔した板508を含むことが可能であり、穿孔した板508は、消火ガスの供給源(例えば、上記のようなガス発生器20)に最も近い、第1チャンバ310の長手方向端部に配設されている。穿孔した板508の穿孔部を、少なくとも1つの追加的な開口部と称することが可能である。上記の障壁81、117、217、317、407と同様の追加的な障壁507が、穿孔した板508をカバーすることが可能である。冷却システム500を通って流れる消火ガスは、追加的な障壁507を破裂させ、穿孔した板508を通って第1チャンバ310に進入することが可能である。消火ガスは、第1チャンバ310を加圧し、冷却剤材料130に障壁317を破裂させ、開口部316を通して第2チャンバ320の中へ冷却剤材料130を流入させることが可能である。したがって、冷却剤材料130は、上記のように、冷却システム500から吐出される前に第2チャンバ320を通って流れる消火材料と混合され、その消火材料を冷却することが可能である。
【0036】
本開示は、消火ガスを冷却するための方法を含む。冷却システムの第1チャンバおよび第2チャンバの中へ消火ガスを流入させることが可能である。第1チャンバおよび第2チャンバは、互いに近接することが可能である。消火ガスは、第1チャンバの中のピストンを押し、ピストンを移動させることが可能であり、第1チャンバの中の冷却剤材料を第1チャンバから第2チャンバの中へ流入させる。冷却剤材料は、第2チャンバの中の消火ガスと混合され、その消火ガスを冷却することが可能である。消火ガスの冷却は、図4A図8のうちのいずれかを参照して上記のように起こり得る。
【0037】
また、本開示は、消火するための方法を含む。そのような方法は、上記のように、ガス発生材料によって消火ガスを発生させることと、消火ガスを冷却することとを含むことが可能である。冷却システムを通して消火ガスを流すことによって、消火ガスを冷却することが可能である。消火ガスは、冷却剤材料を、第1チャンバから第2チャンバの中へ流入させ、消火ガスと混合させ、消火ガスを冷却することが可能である。いくつかの実施形態では、消火ガスは、第1チャンバの中でピストンを移動させ、冷却剤材料を加圧し、ノズルまたは開口部を通して第2チャンバの中へ冷却剤材料を流入させることが可能である。冷却剤材料と消火ガスの混合の後で、結果として生じる混合物を第2チャンバから吐出させることが可能である。混合物を火炎に向かって方向付けし、および/または、混合物を火炎が存在するスペースの中へ吐出し、消火することが可能である。図1図3を参照して上記に説明されているように、消火ガスを発生させることが可能である。図4A図8のうちのいずれかを参照して上記に説明されているように、消火ガスを冷却することが可能である。
【0038】
本開示は、様々な修正例および代替的な形態になりやすいが、特定の実施形態が、例として、図面に示され、本明細書で詳細に説明されてきた。しかし、本開示は、開示されている特定の形態に限定されることを意図していない。より正確に言えば、本開示は、以下
の添付の特許請求の範囲およびその法律上の均等物によって規定されるような本発明の範囲に入る、すべての修正例、組み合わせ、均等物、および、代替例を包含している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7
図8