特許第6239058号(P6239058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6239058
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   B66B3/00 R
   B66B3/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-150079(P2016-150079)
(22)【出願日】2016年7月29日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】藤本 拓也
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−025561(JP,A)
【文献】 特開2003−335463(JP,A)
【文献】 特開2013−060244(JP,A)
【文献】 特開2004−277063(JP,A)
【文献】 特開2011−057319(JP,A)
【文献】 特開2013−100172(JP,A)
【文献】 特開2012−240796(JP,A)
【文献】 特開2012−240839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00─ 3/02
B66B 1/00─ 1/52
B66B 5/00─ 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごの積載荷重を検出する荷重センサを備えたエレベータ制御装置において、
前記荷重センサから出力される電気信号を荷重値に変換して出力する信号変換手段と、
前記信号変換手段から出力される荷重値を継続的に所定の記憶領域に時系列データとして記録する荷重値記録手段と、
前記荷重値記録手段により記録された所定期間分の荷重値の中の最小値を判定する処理を所定期間毎に行う荷重最小値判定手段と、
前記荷重最小値判定手段により判定された最小値の0からの乖離に応じて、前記信号変換手段における電気信号または荷重値を調整するためのオフセット値を補正する処理を所定期間毎に行うオフセット値補正手段と
を具備し、
前記補正手段は、前記信号変換手段におけるオフセット値の所定期間毎の補正量を所定値以下に制限する手段を備えており、所定期間前に設定したオフセット値と今回設定するオフセット値との差が所定の制限値を超える場合、前記所定期間前に設定したオフセット値に前記制限値を加算または減算した値を今回設定するオフセット値とする
ことを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記荷重最小値判定手段は、前記荷重値記録手段により記録された所定期間分の荷重値のうち、乗り場からの呼びが無くかご内からの呼びも無く且つかごが戸閉している状態が一定時間以上継続する時間帯の荷重値を対象に、前記最小値の判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記荷重最小値判定手段は、前記最小値と判定した荷重値が所定時間以内に所定幅以上上昇する事象がある場合、当該事象が生じている時間帯における一連の荷重値を、前記記憶領域に記録された所定期間分の荷重値から除外した上で、再度最小値の判定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記荷重最小値判定手段は、前記最小値と判定した荷重値が所定時間以内に所定回数以上振動する事象がある場合、当該事象が生じている時間帯における一連の荷重値を、前記記憶領域に記録された所定期間分の荷重値から除外した上で、再度最小値の判定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータには、乗りかご(以下、「かご」と呼ぶ。)の積載荷重を検出する荷重センサが設けられる。荷重センサの出力は、かごの中の人や物が積載可能量を超過していないかどうかの判定に使用されるほか、ロープを通じてかごを昇降させる電動機のトルク調整等にも使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−137751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷重センサは、一般に、物体のひずみに応じて電気抵抗が変化することを利用したひずみゲージを用いて構成されるが、周囲の温度変化や素子の経年劣化などに応じてその出力に誤差が生じ、実際の荷重から乖離した値を示すようになる。
【0005】
温度変化による誤差に対しては、温度センサを用いることにより、検出される温度の変化に応じて荷重センサの出力を補正することも考えられるが、その場合、温度センサを含む新たな部品や機器の追設が必要になる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、コストを抑えつつ簡易な構成で荷重センサの出力を補正することを可能にするエレベータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るエレベータ制御装置は、かごの積載荷重を検出する荷重センサを備えたエレベータ制御装置において、前記荷重センサから出力される電気信号を荷重値に変換して出力する信号変換手段と、前記信号変換手段から出力される荷重値を継続的に所定の記憶領域に時系列データとして記録する荷重値記録手段と、前記荷重値記録手段により記録された所定期間分の荷重値の中の最小値を判定する処理を所定期間毎に行う荷重最小値判定手段と、前記荷重最小値判定手段により判定された最小値の0からの乖離に応じて、前記信号変換手段における電気信号または荷重値を調整するためのオフセット値を補正する処理を所定期間毎に行うオフセット値補正手段とを具備し、前記補正手段は、前記信号変換手段におけるオフセット値の所定期間毎の補正量を所定値以下に制限する手段を備えており、前記補正手段は、所定期間前に設定したオフセット値と今回設定するオフセット値との差が所定の制限値を超える場合、前記所定期間前に設定したオフセット値に前記制限値を加算または減算した値を今回設定するオフセット値とする
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るエレベータのシステム全体の構成を示すブロック図。
図2】かご1に人が載っている状態を判定する手法の一例を示す概念図。
図3】荷重センサ4のゼロ調整を説明するための概念図。
図4】制御部7による荷重値補正の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るエレベータのシステム全体の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、エレベータのかご1は、昇降路内において滑車2にかかるロープ3によって吊るされ、ロープ3の一端が荷重センサ4を介して架体5に取り付けられている。
【0012】
荷重センサ4は、かご1の積載物の荷重を常に検出し、検出した荷重を電気信号(電圧または電流)に変換して出力する。この荷重センサ4は、例えば物体のひずみに応じて電気抵抗が変化することを利用したひずみゲージを用いて構成され、周囲の温度変化や素子の経年劣化などに応じてその出力に誤差が生じ、実際の荷重から乖離した値を示すことがある。
【0013】
荷重センサ4から出力される電気信号は、エレベータ制御装置6へ供給される。エレベータ制御装置6へ供給された荷重センサの出力は、かご1の中の人や物が積載可能量を超過していないかどうかの判定に使用されるほか、ロープ3を通じてかご1を昇降させる電動機(図示せず)のトルク調整等にも使用される。
【0014】
なお、ここでは荷重センサ4が引張型(両端部を互いに相反する方向に引っ張ったときの力を測定するタイプ)である場合を例示しているが、荷重センサ4はこのタイプに限るものではない。かご1の積載荷重を検出できるものであれば、別のタイプを採用してもよい。例えば、代わりに圧縮型(圧縮されたときの力を測定するタイプ)の荷重センサを採用し、これをかご内の床下に設置するようにしてもよい。
【0015】
エレベータ制御装置6は、制御部7およびメモリ8を備えている。制御部7は、例えば所定のプログラムを実行するプロセッサを用いて構成され、信号変換部10、荷重値記録部11、荷重最小値判定部12、補正部13を含む各種の機能を実現する。
【0016】
メモリ8は、制御部7が使用する各種の情報を記憶する記憶媒体であり、荷重値記憶領域21、荷重最小値記憶領域22、オフセット値記憶領域23を含む複数の記憶領域を備えている。
【0017】
信号変換部10は、荷重センサ4から常に出力される電気信号を荷重値に変換して出力する処理を継続的に行う機能である。
【0018】
この信号変換部10は、当該信号変換部10内で処理する電気信号(電圧値又は電流値)または荷重値のゼロ点調整を可能とするオフセット値を有する。オフセット値は、例えば電圧値に対する加算値や減算値(+1[V]や−1[V]など)で表したり、あるいは荷重値に対する加算値や減算値(+1[kg]や−1[kg]など)で表したりすることも可能である。このオフセット値を適正に設定することにより、荷重センサ4において発生する出力のゼロ点誤差を補償し、実際の荷重を示す値に調整された荷重値を得ることができる。
【0019】
荷重値記録部11は、信号変換部10から出力される荷重値を取得してメモリ8の荷重値記憶領域21に時系列データとして記録する処理を継続的に行う機能である。
【0020】
荷重値の取得および記録は、例えばプロセッサの基準クロックに応じた所定の周期(例えば数十ミリ秒)毎に実施する。なお、荷重値の時系列データは、例えば24時間単位で区分して記録されるようにしてもよい。荷重値記憶領域21に記録された24時間分の荷重値の時系列データは、後述する荷重最小値判定部12により使用される。荷重最小値判定部12により使用された後の荷重値の時系列データは、重値記憶領域21から消去されるようにしてもよい。
【0021】
荷重最小値判定部12は、荷重値記録部11により荷重値記憶領域21に記録された24時間分の荷重値の中の最小値(以下、「最小値Wmin」と称す。)を判定する処理を24時間毎に実施する機能である。判定した最小値Wminは、メモリ8の荷重最小値記憶領域22に記録される。
【0022】
24時間の期間においては、かご1に人が載っていない無負荷の状態の時間帯が存在するため、荷重値記憶領域21に記録された24時間分の荷重値の中の最小値Wminは、かご1に人が載っていない無負荷時の荷重値とみなすことができる。また、この最小値Wminが0でない場合は、荷重値0からの誤差(乖離)が生じているとみなすことができる。よって、この誤差(乖離)が解消されるように、信号変換部10において設定されているオフセット値を後述する補正部13で補正する(ゼロ点調整を行う)ことにより、実際の荷重を示す値に補正された荷重値を得ることができる。
【0023】
なお、最小値判定の対象となる荷重値は、24時間分に限るものではなく、かご1に人が載る頻度や、地域、環境、季節等の違いに応じて、12時間分、48時間分など、適宜異なるように設定してもよい。
【0024】
また、荷重最小値判定部12は、かご1に人が載っているときに検出された荷重値の一部を誤って最小値Wminとして判定してしまわないように、最小値判定の対象となる荷重値の絞り込みを行ったり、あるいは最小値判定の対象から除外すべき荷重値を決定したりする機能を備えている。
【0025】
例えば、最小値判定の対象を、かご1に人が載っておらず且つかご1が運転中でない時間帯に絞り込む場合、荷重値記憶領域21に記録された24時間分の荷重値のうち、乗り場からの呼びが無くかご内からの呼びも無く且つかご1が戸閉している状態が一定時間以上継続する時間帯の荷重値を対象に、最小値Wminの判定を行うようにしてもよい。
【0026】
また、人がかご1の中を歩くと、かご1が振動する。かご1が振動すると、検出される荷重値も振動し、当該荷重値がマイナス側に振れたときに、これが最小値Wminとして判定されてしまう可能性がある。そこで、図2に示すように、最小値Wminと判定した荷重値が所定時間Tth以内に所定幅Hth以上上昇する(波高値がHth以上となる)事象がある場合、人がかご1に載っているとみなし、当該事象が生じている時間帯における一連の荷重値を、荷重値記憶領域21に記録された24時間分の荷重値から除外した上で、再度最小値Wminの判定を行うようにしてもよい。あるいは、最小値Wminと判定した荷重値が所定時間Tth以内に所定回数以上振動する(周波数が所定値以上となる)事象がある場合、人がかご1に載っているとみなし、当該事象が生じている時間帯における一連の荷重値を、荷重値記憶領域21に記録された24時間分の荷重値から除外した上で、再度最小値Wminの判定を行うようにしてもよい。
【0027】
補正部13は、荷重最小値判定部12により判定された最小値Wminの0からの乖離に応じて、信号変換部10における電気信号または荷重値に対して設定されているオフセット値を補正する処理を24時間毎に実施する機能である。設定したオフセット値は、オフセット値記憶領域23に記録される。なお、オフセット値記憶領域23には、少なくとも今回設定したオフセット値と前回設定した(24時間前の補正時に設定した)オフセット値とが残され、これより古いオフセット値は消去されるようにしてもよい。
【0028】
荷重最小値判定部12により判定される最小値Wminが0[kg]を示す場合、図3に示すように、荷重センサ4は、実際の荷重0[kg]に対する出力(最低出力)が0[V](または0[A])となる出力特性C1を有している。そして、その24時間後に、荷重最小値判定部12により判定された最小値Wminが0[kg]よりも高い値を示すようになった場合を考える。このとき、荷重センサ4は、実際の荷重0[kg]に対する出力(最低出力)が0[V]よりも高いP[V]となる出力特性C2を有している。そこで、補正部13は、荷重センサ4の最低出力P[V]が0[V]として観測されるように信号変換部10のオフセット値を補正する(ゼロ点調整を行う)。
【0029】
具体的には、補正部13は、荷重最小値判定部12により判定された最小値Wminの0からの乖離が解消されるように(最小値Wminが0となるように)信号変換部10のオフセット値を補正する。例えば、荷重最小値判定部12により判定された最小値が1[kg]であれば、現在のオフセット値に対し、1[kg]分に相当する電圧値分(または電流値分)を減少させる補正を行う。一方、荷重最小値判定部12により判定された最小値が−1[kg]であれば、現在のオフセット値に対し、1[kg]分に相当する電圧値分(または電流値分)を増加させる補正を行う。
【0030】
さらに、補正部13は、オフセット値の24時間毎の補正量を所定値以下に制限する機能を備えている。例えば、補正部13は、前回設定した(24時間前の補正時に設定した)オフセット値と今回設定するオフセット値との差が所定の制限値(例えば、15[kg]に相当する電圧値(または電流値))を超える場合、荷重センサ4などに何らかの問題が発生している可能性があるものとみなし、前回設定したオフセット値に当該制限値を加算または減算した値を今回設定するオフセット値とする。なお、上記制限値は、例えば荷重センサ4の仕様やこれまでの変動傾向を考慮して決定される。
【0031】
このようにオフセット値の24時間毎の補正量に制限を設けることにより、かりに荷重センサ4などに何らかの異常が発生していても、補正動作が大きく間違った方向へ進むことを極力抑えつつ、周囲の温度変動などに対応した補正動作を止めずに継続させることができる。
【0032】
次に、図4を参照して、本実施形態の制御部7による荷重値補正の動作の一例について説明する。
【0033】
制御部7において、信号変換部10は、荷重センサ4から出力される電気信号を入力し、入力した電気信号を設定されているオフセット値で調整したのち、荷重値に変換して出力する処理を継続的に行っており、また、荷重値記録部11は、信号変換部10から出力される荷重値を取得してメモリ8の荷重値記憶領域21に時系列データとして記録する処理を継続的に行っている(ステップS1)。
【0034】
制御部7は、前回の補正から24時間が経ったかどうかを監視している(ステップS2)。24時間が経っていなければ(ステップS2のNO)、ステップS1の処理を繰り返し、一方、24時間が経ったならば(ステップS2のYES)、荷重最小値判定部12による荷重最小値の判定、および、その荷重最小値を用いた補正部13によるオフセット値の補正を実施する(ステップS3〜S7)。具体的には、以下のような処理を行う。
【0035】
すなわち、荷重最小値判定部12は、荷重値記録部11により荷重値記憶領域21に記録された24時間分の荷重値の中の最小値Wminを求める(ステップS3)。ここで、かご1に人が載っているときに検出された荷重値の一部を誤って最小値Wminとして判定してしまわないように、最小値判定の対象となる荷重値の絞り込みを行ったり、あるいは最小値判定の対象から除外すべき荷重値を決定したりする処理を行ってもよい。求めた最小値Wminは、メモリ8の荷重最小値記憶領域22に記録される。
【0036】
次に、補正部13は、荷重最小値判定部12により判定された最小値Wminの0からの乖離が解消されるように(最小値Wminが0となるように)するためのオフセット値を求め(ステップS4)、この求めたオフセット値と前回設定した(24時間前の補正時に設定した)オフセット値との差が所定の制限値を超えているか否かを判定する(ステップS5)。
【0037】
ステップS5の判定において差が制限値を超えていれば(ステップS5のYES)、補正部13は、前回設定したオフセット値に上記制限値を加算または減算した値を今回設定するオフセット値とし、信号変換部10に設定されているオフセット値を補正する(ステップS6、S7)。一方、差が制限値を超えていなければ(ステップS5のNO)、補正部13は、今回設定するオフセット値をステップS4で求めたオフセット値とし、信号変換部10に設定されているオフセット値を補正する(ステップS7)。以降は、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0038】
本実施形態によれば、所定期間(例えば24時間)の間においてはかご1に人が載っていない無負荷の状態の時間帯が存在することに着目し、所定の記憶領域に記録した24時間分の荷重値の中の最小値を求める処理を行うので、温度センサなどの新たな部品や機器を追設することなく、かご1に人が載っていない無負荷時に検出された荷重値の0kgからの誤差を容易に得ることができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、最小値判定の対象となる荷重値の絞り込みを行ったり、あるいは最小値判定の対象から除外すべき荷重値を決定したりする処理を行うことにより、かご1に人が載っているときに検出された荷重値の一部を誤って最小値として判定されてしまうことを抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、求めた最小値がかご1に人が載っていない無負荷時に検出された荷重値の0kgからの誤差を示すものであるため、この最小値を用いることによって、オフセット値を適正に補正する(ゼロ点調整する)ことができ、実際の荷重を示す値に補正された荷重値を容易に得ることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、オフセット値の24時間毎の補正量に制限を設けることにより、かりに荷重センサ4などに何らかの異常が発生していても、補正動作が大きく間違った方向へ進むことを極力抑えつつ、周囲の温度変動などに対応した補正動作を止めずに継続させることができる。
【0042】
以上詳述したように、実施形態によれば、温度センサなどの新たな部品や機器を追設することなく、コストを抑えつつ簡易な構成で、荷重センサ4の出力を補正することが可能となる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1…かご、2…滑車、3…ロープ、4…荷重センサ、5…架体、6…エレベータ制御装置、7…制御部、8…メモリ、10…信号変換部、11…荷重値記録部、12…荷重最小値判定部、13…補正部、21…荷重値記憶領域、22…荷重最小値記憶領域、23…オフセット値記憶領域。
【要約】
【課題】コストを抑えつつ簡易な構成で荷重センサの出力を補正することを可能にする。
【解決手段】実施形態に係るエレベータ制御装置は、かごの積載荷重を検出する荷重センサを備えたエレベータ制御装置において、前記荷重センサから出力される電気信号を荷重値に変換して出力する信号変換手段と、前記信号変換手段から出力される荷重値を継続的に所定の記憶領域に時系列データとして記録する荷重値記録手段と、前記荷重値記録手段により記録された所定期間分の荷重値の中の最小値を判定する処理を所定期間毎に行う荷重最小値判定手段と、前記荷重最小値判定手段により判定された最小値の0からの乖離に応じて、前記信号変換手段における電気信号または荷重値を調整するためのオフセット値を補正する処理を所定期間毎に行うオフセット値補正手段とを具備する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4