(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願発明に係る化合物の好ましい実施態様によれば、0<n<2および0<m<2であり、ここで、nは特に0.5〜1.5、好ましくは0.6〜1.4、より好ましくは0.7〜1.3、特に好ましくは0.8〜1.2、および非常に特に好ましくは0.9〜1.1である。言い換えれば、本願発明のこの構造配置は、式(I)の化合物の混合物に関連するものであり、そのため統計的には該化合物の少なくとも一部はベータ−アミノ酸基、並びにアスパラギン酸エステル基を有する。ほぼ1に等しいnおよびmの上記数値範囲においては、この混合物は、統計的な観点からはほとんど専ら、ベータ−アミノ酸エステル修飾アスパラギン酸エステルを含む。該硬化剤の反応性はnおよびmを調整することによって変えることができるので、このことは、特に有益である。従って、硬化速度(例えばポリウレタン−尿素システムの場合)は、ベータ−アミノ酸基の占有率、すなわち連続数字のnが、式(I)に記載の本願発明に係る化合物の場合には統計学的に増加する、という事実に起因して、増大し得る。それに対して、アスパラギン酸エステル基の占有率、すなわち連続数字のmは、過度の硬化速度の場合に増加し得る。
【0018】
ベータ−アミノ酸基およびアスパラギン酸エステル基の占有率の前記の適合は、様々な手法によって達成し得る。従って、それぞれの官能基をもたらすための反応物の適当な混合比率を選択することによって、これらの基の占有率は製造の間に既に調節し得る。このことは、更に以下で再度説明する。更に考えられ得ることは、式(I)の純粋なジ−ベータ−アミノ酸エステル化合物(すなわち、n=2、m=0)または式(I)の純粋なジ−アスパラギン酸エステル化合物(すなわち、n=0、m=2)を、式(I)の純粋なベータ−アミノ酸エステル修飾アスパラギン酸エステル化合物(すなわち、n、m=1)と、適当な比率で混合することである。上で説明する通り、この混合物はまた、ジ−アスパラギン酸エステルおよびジ−ベータ−アミノ酸エステルの場合の占有率を含み得て、ここで、この占有率は、該化合物の物質の総量に対して、この場合に同じく、好ましくは90mol%未満、特に75mol%未満である。
【0019】
本願発明の更なる目的は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載する化合物を製造するための製法に関するものであって、そのために、一般式(II):
【化2】
で示されるジアミン化合物を、一般式(III):
【化3】
で示されるアクリル酸エステルと反応させ、所望する場合には、一般式(IV):
【化4】
で示される不飽和ジカルボン酸のジエステルと反応させる。ここで、
アクリル酸エステルのn mol、および不飽和ジカルボン酸のジエステルのm molは、ジアミン化合物のmol当たりで使用される。式中、
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、ツェレビチノフ活性水素を有しない同じかまたは様々な有機基であり、
R
4は、独立して、水素、またはツェレビチノフ活性水素を有しない同じかまたは異なる有機基であるか、あるいは一緒になって、適宜ヘテロ原子を含んでいてもよい不飽和または芳香族の環を形成し、ここで該R
4はツェレビチノフ活性水素を有しない、
Xは、鎖内の炭素原子が適宜ヘテロ原子によって置き代えられていてもよい、直鎖または分枝の有機基であって、これはツェレビチノフ活性水素を有しない、
nは、0<n≦2であり、
mは、0≦m<2であり、そして、
n+m=2である。
【0020】
実際には、すべてのタイプのジアミンを、本願発明に係る製法において使用し得る。それらは、2個の第1級アミノ基とは別に、いずれのツェレビチノフ活性水素原子を示さない。
【0021】
該ツェレビチノフ活性H原子は、本願発明の範囲内で酸性H原子または「活性」H原子を意味する。このことは、個々のグリニャール試薬との反応性による通常の方法で測定することができる。ツェレビチノフ活性H水素の量は、典型的にメタンの放出によって測定し、これは、試験する物質と臭素メチルマグネシウム(CH
3−MgBr)との反応における、以下の反応式(式1)に従って生じる。
【化5】
ツェレビチノフ活性H原子は典型的に、C−H酸性の有機基、−OH、−SH、−NH
2または−NHR(有機基としてのRを有する)、または−COOHから生じる。
【0022】
アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリレートタイプのものを使用することができる。この点について、例えば、C1〜C12アクリレート、特にC1〜C10アクリレート、好ましくはC1〜C8アクリレート、より好ましくはC2〜C6アクリレートを示すことができる。
【0023】
マレイン酸エステルまたはテトラヒドロフタル酸のエステルは、例えば不飽和ジカルボン酸(特に、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸)のジエステル、並びにそれらの組み合わせとみなすことができる。本願明細書中、両方のR
4基はそれぞれ、マレイン酸エステルの場合には水素に相当し、テトラヒドロフタル酸エステルの場合には、両方のR
4基は一緒になって不飽和6員環を形成する。
【0024】
このこととは無関係に、個々の二酸のC1〜C12エステル由来のジエステル、特にC1〜C8エステル由来、好ましくはC2〜C4エステル由来のものを選択することができる。
【0025】
本願発明に係る製法の場合には、アクリル酸エステルのn molおよびジエステルのm molは、ジアミン化合物のmol当たりで使用する。この様式で、化合物の上記混合物を、該式(I)に従って直接に製造することができる。従って、上記の硬化速度の適合は、該製造方法を個別に制御することによって、既に実施することができる。
【0026】
本願発明はまた該式(I)の化合物に関連し、これは、本願発明に係る製法に従って製造することができる。
【0027】
本願発明の更なる目的は、以下の成分を含有するポリ尿素システムに関連する:
成分(A)としての、イソシアネート官能性プレポリマー(これは、脂肪族ポリイソシアネートA1)とポリオールA2)との反応によって達成し得て、特に≧400g/molの数平均分子量および2〜6の平均OH官能基を有し得る。)、
成分B)としての、該一般式(I)に記載の本願発明の化合物、
適宜、成分C)としての、有機増量剤(これは特に、23℃でのDIN 53019に従って測定される粘度を、10〜6000mPaの範囲で有する)、
適宜、成分D)としての、成分B)に記載する化合物および/または成分C)に記載の有機増量剤を有する、成分A)に記載のイソシアネート官能性プレポリマーの反応生成物、および
適宜、成分E)としての、水および/または第3級アミン。
【0028】
本願発明に係るポリ尿素システムは、プレポリマーA)を、該一般式(I)の本願発明に係る該化合物B)、並びに適宜、成分C)、D)および/またはE)と、混合することによって達成し得る。この点、遊離NCO基に対する遊離または保護されたアミノ基の比率は、好ましくは1:1.5であり、特に好ましくは1:1である。水および/またはアミンを、該製法における成分B)またはC)に加える。
【0029】
イソシアネート官能性プレポリマーA)は、適宜、触媒、および第2のおよび追加の物質を用いて、ポリイソシアネートA1)とポリオールA2)との反応によって達成し得る。
【0030】
ポリイソシアネートA1)としては例えば、単量体の脂肪族または環状脂肪族のジ−またはトリイソシアネート(例えば、1,4−ブチレン ジイソシアネート(BDI)、1,6−ヘキサメチレン ジイソシアネート(HDI)、イソホスホロン ジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス−(4,4’−イソシアネートシクロヘキシル)−メタン、または何れかの異性体のそれら混合物、1,4−シクロヘキシレン ジイソシアネート、4−イソシアネートメチル−1,8−オクタン ジイソシアネート(ノナン トリイソシアネート)、並びにアルキル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート(リジン ジイソシアネート))を、C1〜C8アルキル基で使用し得る。
【0031】
上記の単量体ポリイソシアネートA1)に加えて、それらの高分子量の派生製品をまた、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオンの構造で、並びにその混合物で使用することができる。
【0032】
上記タイプのポリイソシアネートA1)は、専ら脂肪族的にもしくは環状脂肪族的に結合したイソシアネート基、またはそれらの混合物と一緒に使用することが好ましい。
【0033】
上記のタイプのポリイソシアネートA1)を、平均NCO官能基が1.5〜2.5、好ましくは1.6〜2.4、より好ましくは1.7〜2.3、非常に特に好ましくは1.8〜2.2、および特に2で使用する場合も同様に好ましい。
【0034】
ヘキサメチレン ジイソシアネートを、ポリイソシアネートA1)として使用することが非常に特に好ましい。
【0035】
本願発明に係る該ポリ尿素システムの1つの好ましい実施態様は、ポリオールA2)が、ポリエステル ポリオール、および/またはポリエステル−ポリエーテル ポリオール、および/またはポリエーテル ポリオールである態様を提供する。この点について、60〜90重量%の間のエチレンオキシド占有率を有する、ポリエステル−ポリエーテル ポリオールおよび/またはポリエーテル ポリオールが特に好ましい。
【0036】
該ポリオールA2)が4000〜8500g/molの数平均分子量を有する場合もまた好ましい。
【0037】
適当なポリエーテル エステル ポリオールは、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の無水物、並びに、揮発性アルコール(C1〜C6モノオール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、またはブタノール)が好ましい)と、モル過剰量の低分子および/または高分子のポリオールとの、ポリカルボン酸のエステルからの重縮合によって、当該分野における技術に従って製造することが好ましい。ここで、エーテル基を含有するポリオールは適宜、ポリオールとして、エーテル基を全く含まない他のポリオールとの混合物で使用し得る。
【0038】
当然に、高分子および低分子のポリオールの混合物もまた、ポリエーテル−エステル合成のためにも使用し得る。
【0039】
該モル過剰量の低分子ポリオールは、2〜12個のC原子および少なくとも2個のヒドロキシル官能基を有する、分子量が62〜299ダルトンのポリオールであって、これはまた、分枝および非分枝であり、そしてそれらのヒドロキシル基は第1級または第2級のものであり得る。これらの低分子ポリオールは、その上エーテル基を有していてもよい。典型的な基は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、および高分子量のホモログ、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、および高分子量のホモログ、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、並びにヒドロキシ末端基を有するオリゴ−テトラヒドロフランを挙げられる。当然に、それら混合物もまたこれらの基の範囲内で使用することができる。
【0040】
モル過剰量の高分子ポリオールは、300〜3000ダルトンのモル質量を有するポリオールであり、このものは、エポキシド、好ましくはエチレンおよび/またはプロピレンオキシドの開環重合、並びにテトラヒドロフランの酸触媒開環重合、によって得ることができる。アルカリ金属水酸化物または複合金属シアニド触媒の何れかが、エポキシドの開環重合に使用される。
【0041】
アミンおよび上記の低分子ポリオールの群由来の少なくとも二官能性分子の全てを、開環エポキシド重合のための開始剤として使用することができる。典型的な基としては、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセリン、o−TDA、エチレンジアミン、1,2−プロピレングリコール等、並びに水、およびそれらの混合物を挙げられる。当然に、それら混合物もまた、過剰量の高分子ポリオールのこの群の範囲内で使用することができる。
【0042】
エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド由来のヒドロキシル基−末端のポリアルキレンオキシドと呼称する場合には、高分子ポリオールの構造形成は、統計学的にまたはブロック単位(ここで、ミックスブロックもまた含み得る)で生じ得る。
【0043】
ポリカルボン酸は、脂肪族および芳香族のカルボン酸の両方であり、これらは、環状、直鎖、分枝または非分枝であり、4〜24個の間の炭素原子を有し得る。
【0044】
例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸が挙げられる。コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、乳酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、およびピロメリット酸が好ましい。コハク酸、グルタル酸、およびアジピン酸が特に好ましい。
【0045】
その上、ポリカルボン酸の群はまた、ヒドロキシカルボン酸、またはそれらの分子内無水物(例えば、カプロラクトン、乳酸、ヒドロキシ酪酸、リシノール酸等)を含む。これはまた、モノカルボン酸、特に10個以上の炭素(C)原子を有するもの(例えば、大豆油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、ピーナッツ油脂肪酸)を含み、ここで、ポリエーテル−エステル ポリオールを形成する全反応混合物中のそれらの占有率は10重量%を超えることはなく、加えて、その結果生じる官能基の減少は、低分子量または高分子量のポリオールの部分に関係なく、少なくとも三官能基のポリオールの使用によって相殺される。
【0046】
ポリエーテル−エステル ポリオールは、120〜250℃の範囲の高温で、最初は標準圧で、続けて1〜100ミリバールの減圧に付すことによって(エステル化またはトランスエステル化の触媒の使用によることは、好ましいが必ずしも必須でない)、当該分野の技術に従って製造する。ここで、該反応は、酸価が0.05〜10mg KOH/g、好ましくは0.1〜3mg KOH/g、および特に好ましくは0.15〜2.5mg KOH/gにまで低下する大きさまで、完結される。
【0047】
その上、不活性ガスは、減圧に付す前に標準圧の段階の範囲内で使用することができる。当然に、液体または気体の添加溶剤を、二者択一的にまたはエステル化の個々の段階で使用することができる。例えば、反応水は、共沸性添加溶剤(例えば、ベンゾール、トルエン、キシロール、ジオキサン等)を用いるのと全く同時に、キャリヤーガスとして窒素を用いて、廃棄することができる。
【0048】
当然に、ポリエーテル ポリオールの混合物は、ポリエステル ポリオールを任意の割合で共に使用することができる。
【0049】
ポリエーテル ポリオールは、エチレンオキシドおよび適宜プロピレンオキシドをベースとするポリアルキレンオキシド ポリエーテルが好ましい。
【0050】
これらのポリエーテル ポリオールは、二個のまたはより高い官能基の開始剤分子(例えば、2個またはそれ以上の官能基アルコールまたはアミン)をベースとすることが好ましい。
【0051】
該開始剤の例としては、水(ジオールとみなす)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、TMP、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、アンモニア、またはエチレンジアミンを挙げられる。
【0052】
ヒドロキシル基を有するポリカーボネート、好ましくはポリカーボネート ジオールは同様に、数平均分子量が400〜8000g/mol、好ましくは600〜3000g/molで使用することができる。これらは、炭酸誘導体(例えば、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチル)またはホスゲンの、ポリオール(ジオールが好ましい)との反応によって達成し得る。
【0053】
これらのタイプのジオールの例としては、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、および上記のタイプのラクトン−修飾ジオールを挙げられる。
【0054】
該ポリイソシアネートA1)は、ポリオールA2)と、NCO/OHの比率が好ましくは4:1〜12:1で(プレポリマーA)の製造の場合には、8:1が特に好ましい)反応させることができ、続いて未反応性のポリイソシアネートの占有率を適当な方法を用いて区別して決定することができる。薄膜蒸発法が通常この場合に使用され、ここで、残留単量体の含量を1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、および特に好ましくは0.03重量%未満で有するプレポリマーを得ることができる。
【0055】
安定化剤(例えば、塩化ベンゾイル、塩化イソフタロイル、リン酸ジブチル、3−クロロプロピオン酸、またはメチルトシレート)を、適宜製造の間に使用することができる。
【0056】
該反応温度は、プレポリマーA)を製造する場合には20〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
【0057】
該製造するプレポリマーは、DIN EN ISO 11909に従って測定される平均NCO含量を2〜10重量%、好ましくは2.5〜8重量%有する。
【0058】
本願発明に係る該ポリ尿素システムの更なる実施態様によれば、プレポリマーA)は、平均NCO官能基を2〜6個、好ましくは2.3〜4.5個、より好ましく2.5〜4個、非常に特に好ましくは2.7〜3.5個、および特に3個、有し得る。
【0059】
成分C)の有機増量剤は、ヒドロキシ官能性化合物、特に繰り返しエチレンオキシド単位を有するポリエーテルポリオールであることが好ましい。
【0060】
成分C)の増量剤が、平均OH官能基を1.5〜3個、好ましくは1.8〜2.2個、および特に好ましくは2個、有する場合が有利である。
【0061】
例えば、液体ポリエチレングリコール(例えば、PEG200〜PEG600)、それらのモノ−もしくはジアルキルエーテル(例えば、PEG500ジメチルエーテル)、液体ポリエーテルおよびポリエステルポリオール、液体ポリエステル(例えば、ウルトラモール(ランクセスAG社製、レバークーゼン、独国)、並びにグリセリンおよびその液体誘導体(例えば、トリアセチン(ランクセスAG社製、レバークーゼン、独国)を、23℃で有機増量剤として使用することができる。
【0062】
該有機増量剤の粘度(DIN 53019に従って23℃で測定)は、好ましくは50〜4000mPa、特に好ましくは50〜2000mPaであり得る。
【0063】
本願発明に係る該ポリ尿素システムの好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールを、有機増量剤として使用する。それらは、数平均分子量を好ましくは100〜1000g/mol、特に好ましくは200〜400g/mol有する。
【0064】
NCO反応性基に関連したプレポリマーのグループ分けについて、全体で使用される該化合物の平均等価重量を更に減少させるためには、該一般式(I)の本願発明に係る成分B)および/または有機増量剤C)とのプレポリマーA)の反応生成物を更に製造し(それらが、アミノまたはヒドロキシ官能基である場合には、別の予備的な反応において行う)、次いでそれらを高分子量の硬化剤として使用することが可能となる。
【0065】
50:1〜1.5:1、特に15:1〜4:1のイソシアネート基に対するイソシアネート反応性基の比率は、予備的な伸長反応において使用することが好ましい。
【0066】
予備的な伸長反応によるこの改変の利益は、等価な重量および等価な体積の硬化剤成分をより大きな程度にまで改変することを可能とすることである。従って、商業的に入手可能な2−チャンバー分配システムを該利用法に使用することができ、NCO基に対するNCO反応性基の所望する比率で該チャンバーの体積に対して現存する比率で加えることができる、接着システムを得ることができる。
【0067】
本願発明に係るポリ尿素システムの更に好ましい実施態様は、成分E)が一般式(V):
【化6】
で示される第3級アミンを含む、ことを提供する。式中、
R
5、R
6およびR
7は、独立して、アルキル基、またはアルキル鎖中もしくはそれらの末端にヘテロ原子を有するヘテロアルキル基であり得て、あるいは、
R
5およびR
6は、それらを含む窒素原子と一緒になって、脂肪族、不飽和または芳香族のヘテロ環を形成し得て、これらは適宜更なるヘテロ原子を含み得る。
【0068】
これらのポリ尿素システムは、特に速い硬化によって区別される。
【0069】
成分E)において使用される化合物は、特に第3級アミン(これは、トリエタノールアミン、テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタンアミン、2−{[2−(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ}エタノール、および3,3’,3’’−(1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリイル)トリス(N,N−ジメチル−プロパン−1−アミン)からなる群から選ばれる)であり得る。
【0070】
非常に特に高い硬化速度はまた、成分E)が0.2〜2.0重量%の水、および/または0.1〜1.0重量%の第3級アミンを含む場合に、達成し得る。
【0071】
当然に、薬理学的に活性な物質(例えば、抗炎症効果を有するかもしくは有しない鎮痛薬、消炎薬、抗菌活性な物質、抗真菌薬、および抗寄生虫活性な物質)を、その上ポリ尿素システム中に組み入れることができる。
【0072】
該活性物質は、純粋な活性物質であったり、または例えば徐放性を得るためにカプセル剤の形態であり得る。本願発明の範囲内において、多数のタイプおよびクラスの活性物質を、医薬的な活性物質として使用することができる。
【0073】
1つの該医薬的な活性物質は、例えばインビボ条件で一酸化窒素を放出する成分(L−アルギニンが好ましい)、またはL−アルギニン(特に、L−アルギニン塩酸が好ましい)を含有するかもしくは放出する成分を含み得る。プロリン、オルニチン、および/または他の生物起源の中間期のもの(例えば、生物起源ポリアミン(スペルミン、スペルミジン、プトレッシン、または生物活性な人工ポリアミン))を、その上使用することができる。知っての通り、これらのタイプの成分は創傷の治癒を促進し、ここで、それらの連続的で定量的にほとんど等しい放出は、特に創傷治癒に許容性である。
【0074】
本願発明に係る使用可能な更なる活性物質は、ビタミンもしくはプロビタミン、カロチノイド、鎮痛薬、防腐剤、止血剤、抗ヒスタミン薬、抗菌性金属もしくはそれらの塩、創傷のハーブ治癒を促進する物質もしくは物質の混合物、ハーブエキス、酵素、成長因子、酵素阻害剤、またはそれらの組み合わせ、からなる群から選ばれる少なくとも1つの物質を含む。
【0075】
特に非ステロイド性の鎮痛薬、特にサリチル酸、アセチルサリチル酸およびそれらの誘導体(例えば、アスピリン(商標)およびその誘導体)、アセトアミノフェン(例えば、パラセタモール(商標))、アントラニル酸およびその誘導体(例えば、メフェナム酸)、ピラゾールおよびその誘導体(例えば、メタミゾール、ノバルジン(商標)、フェナゾン、アンピリン(商標)、イソプロピルフェナゾン、および非常に特に好ましくはアリール酢酸、並びにその誘導体、ヘテロアリール酢酸およびその誘導体、アリールプロピノン酸誘導体、およびヘテロアリールプロピン酸およびその誘導体(例えば、インドメタシン(商標)、ジクロフェナク(商標)、イブプロフェン(商標)、ナキソプロフェン(商標)、インドメタシン(商標)、ケトプロフェン(商標)、ピロキシカム(商標)が、鎮痛薬として適当である。
【0076】
成長因子として、以下のものを特に挙げられる:aFGF(酸性線維芽細胞増殖因子)、EGF(上皮成長因子)、PDGF(血小板由来成長因子)、rhPDGF−BB(ベカプレルミン)、PDECGF(血小板由来内皮細胞増殖因子)、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)、TGF α;(トランスフォーミング増殖因子アルファ)、TGF β(トランスフォーミング増殖因子ベータ)、KGF(ケラチノサイト成長因子)、IGF1/IGF2(インスリン様成長因子)、およびTNF(腫瘍壊死因子)を挙げられる。
【0077】
特に、それら脂溶性もしくは水溶性ビタミン、ビタミンA、レチノイドの群、プロビタミンA、カロテノイドの群(特にβ−カロテン)、ビタミンE、トコフェロールの群(特に、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、およびα−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、およびδ−トコトリエノール)、ビタミンK、フィロキノン(特に、フィトメナジオンまたは植物性のビタミンK)、ビタミンC、L−アスコルビン酸、ビタミンB1、チアミン、ビタミンB2、リボフラビン、ビタミンG、ビタミンB3、ナイアシン、ニコチン酸、およびニコチン酸アミド、ビタミンB5、パントテン酸、プロビタミンB5、パンテノールまたはデクスパンテノール、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンH、ビオチン、ビタミンB9、葉酸、並びにそれらの組み合わせが、ビタミンまたはプロビタミンとして適当である。
【0078】
防腐剤として、殺菌剤、殺細菌薬、静菌薬、防かび薬、殺ウイルス薬、ウイルス抑制薬、および/または一般的な殺微生物薬として作用する媒質を使用することが必要である。。
【0079】
特に、レゾルシノール、ヨウ素、ポビドンヨード、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、過酸化ベンゾイル、または塩化セチルピリジニウムの群から選ばれる物質が適当である。その上、特に抗菌性金属を防腐薬として使用することができる。特に、銀、銅または亜鉛、並びにそれらの塩、酸化物または複合体を、抗菌性金属して一緒にまたは別個に使用する。
【0080】
本願発明に関連して、特にカモミールエキス、ハマメリスエキス(例えば、アメリカマンサク、トウキンセンカエキス、アロエエキス(例えば、アロエベラ、アロエ・バーバデンシス、アロエフェロックス、またはアロエブルガリス)、緑茶エキス、海藻エキス(例えば、紅藻類または緑藻類のエキス)、アボガドエキス、ミルラエキス(例えば、コンミフォラ・モルモル)、竹エキス、並びにそれらの組み合わせを、創傷の治癒を促進するための植物性の活性物質と呼称する。
【0081】
該活性物質の含量は、医学的に必要な用量、並びに本願発明に係る組成物の残りの成分との許容性で主に調整される。
【0082】
本願発明に係る該ポリ尿素システムは、細胞組織を閉鎖し、細胞組織と結合し、細胞組織と接着し、もしくは細胞組織を被覆するのに、および特に血液もしくは組織液の排出を停止させるのに、または細胞組織中の漏出を閉鎖するのに、特に適合する。そのものは、ヒトまたは動物の細胞組織を閉鎖し、細胞組織と結合し、細胞組織と接着し、もしくは細胞組織を被覆するための媒質の適用または製造のために使用されることが特に好ましい。そのものは、速く硬化し、組織と強く結合し、透明で、弾力的で、および生体適合性である、接着剤接合を与えるのに役立ち得る。
【0083】
本願発明の別の目的は、本願発明に係るポリ尿素システムのための2個のチャンバーを有する分配システムを提供することであって、ここで、成分A)は、該ポリ尿素システムの1つのチャンバー中に含まれ、そして成分B)、および適宜、成分C)、D)およびE)は、他方のチャンバー中に含まれる。該分配システムは、該ポリ尿素システムを組織への接着剤として適用するのに特に適当である。
本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
〔1〕式(I):
〔化1〕
[式中、
R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、ツェレビチノフ活性水素を有しない同じかまたは様々な有機基であり、
R4は、独立して、水素、またはツェレビチノフ活性水素を有しない同じかまたは異なる有機基であるか、あるいは一緒になって、適宜ヘテロ原子を含んでいてもよい不飽和または芳香族の環を形成し、ここで該R4はツェレビチノフ活性水素を有しない、
Xは、鎖内の炭素原子が適宜ヘテロ原子によって置き代えられていてもよい、直鎖または分枝の有機基であって、これはツェレビチノフ活性水素を有しない、
nは、0<n≦2であり、
mは、0≦m<2であり、そして、
n+m=2である。]
で示される化合物。
〔2〕R1、R2およびR3基が、それぞれ独立して、直鎖または分枝の、特に飽和の脂肪族C1〜C10、好ましくはC2〜C18、特に好ましくはC2〜C6、または非常に特に好ましくはC2〜C4の炭化水素基である、上記〔1〕に記載の化合物。
〔3〕X基が、直鎖、分枝または環状の有機C2〜C16基、好ましくはC3〜C14、特に好ましくはC4〜C12の基であって、特に脂肪族炭化水素基である、上記〔1〕または〔2〕のいずれかに記載する化合物。
〔4〕R1およびR2基が同じであり、特にR1、R2およびR3基が同じである、上記〔1〕乃至〔3〕のいずれか1項に記載する化合物。
〔5〕0<n<2および0<m<2であって、ここで、nが特に0.5〜1.5、好ましくは0.6〜1.4、より好ましくは0.7〜1.3、特に好ましくは0.8〜1.2、および非常に特に好ましくは0.9〜1.1である、上記〔1〕乃至〔4〕のいずれか1項に記載する化合物。
〔6〕一般式(II):
〔化2〕
で示されるジアミン化合物を、一般式(III):
〔化3〕
で示されるアクリル酸エステルと反応させ、所望する場合には、一般式(IV):
〔化4〕
で示される不飽和ジカルボン酸のジエステルと反応させ、ここで、
アクリル酸エステルのn mol、および不飽和ジカルボン酸のジエステルのm molは、ジアミン化合物のmol当たりで使用され、
式中、
R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、ツェレビチノフ活性水素を有しない同じかまたは様々な有機基であり、
R4は、独立して、水素、またはツェレビチノフ活性水素を有しない同じかまたは異なる有機基であるか、あるいは一緒になって、適宜ヘテロ原子を含んでいてもよい不飽和または芳香族の環を形成し、ここで該R4はツェレビチノフ活性水素を有しない、
Xは、鎖内の炭素原子が適宜ヘテロ原子によって置き代えられていてもよい、直鎖または分枝の有機基であって、これはツェレビチノフ活性水素を有しない、
nは、0<n≦2であり、
mは、0≦m<2であり、そして、
n+m=2である、
上記〔1〕乃至〔5〕のいずれか1項に記載する化合物の製造方法。
〔7〕成分(A)としての、イソシアネート官能性プレポリマー(これは、脂肪族ポリイソシアネートA1)とポリオールA2)との反応によって達成され、該ポリオールA2)は特に≧400g/molの数平均分子量および2〜6の平均OH官能基を有し得る)、
成分B)としての、上記〔1〕に記載の化合物、
適宜、成分C)としての、有機増量剤(これは特に、23℃でのDIN 53019に従って測定される粘度を、10〜6000mPaの範囲で有する)、
適宜、成分D)としての、成分B)に記載する化合物および/または成分C)に記載の有機増量剤を有する、成分A)に記載のイソシアネート官能性プレポリマーの反応生成物、および
適宜、成分E)としての、水および/または第3級アミン、
を含有する、ポリ尿素システム。
〔8〕該ポリオールA2)が、ポリエステル ポリオール、および/またはポリエステル−ポリエーテル ポリオール、および/またはポリエーテル ポリオール、特に、60〜90重量%の間のエチレンオキシド占有率を有する、ポリエステル−ポリエーテル ポリオールおよび/またはポリエーテル ポリオールを含む、上記〔7〕記載のポリ尿素システム。
〔9〕該成分C)の有機増量剤が、ヒドロキシ官能性化合物、特に繰り返しエチレンオキシド単位を有するポリエーテルポリオールである、上記〔7〕または〔8〕のいずれかに記載のポリ尿素システム。
〔10〕該成分E)が一般式(V):
〔化5〕
で示される第3級アミンを含み、式中、
R5、R6およびR7が、独立して、アルキル基、またはアルキル鎖中もしくはそれらの末端にヘテロ原子を有するヘテロアルキル基であり得て、あるいは、
R5およびR6が、それらを含む窒素原子と一緒になって、脂肪族、不飽和または芳香族のヘテロ環を形成し得て、これらは適宜更なるヘテロ原子を含み得る、
上記〔7〕乃至〔9〕のいずれか1項に記載のポリ尿素システム。
〔11〕該第3級アミンが、トリエタノールアミン、テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタンアミン、2−{[2−(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ}エタノール、または3,3’,3’’−(1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリイル)トリス(N,N−ジメチル−プロパン−1−アミン)の群から選ばれる、上記〔7〕乃至〔10〕のいずれか1項に記載のポリ尿素システム。
〔12〕該成分E)が、0.2〜2.0重量%の水、および/または0.1〜1.0重量%の第3級アミンを含む、上記〔7〕乃至〔11〕のいずれか1項に記載のポリ尿素システム。
〔13〕細胞組織を閉鎖し、細胞組織と結合し、細胞組織と接着し、もしくは細胞組織を被覆するのに、特に血液もしくは組織液の排出を停止させるのに、または細胞組織中の漏出を閉鎖するための、上記〔7〕乃至〔12〕のいずれか1項に記載のポリ尿素システム。
〔14〕ヒトまたは動物の細胞組織を閉鎖し、該細胞組織と結合し、細胞組織と接着し、または細胞組織を被覆するための、上記〔13〕に記載のポリ尿素システム。
〔15〕該成分A)が、該ポリ尿素システムの1つのチャンバー中に含まれ、そして成分B)、および適宜、成分C)、D)およびE)は、他方のチャンバー中に含まれる、上記〔7〕乃至〔14〕のいずれか1項に記載のポリ尿素システムのための2個のチャンバーを有する分配システム。
【実施例】
【0084】
本願発明を、以下の使用する応用例でさらに詳細に説明する。
【0085】
方法
分子量:
分子量は、以下の通り、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
較正は、Mp 1,000,000〜162の分子量を有するポリスチレン標準物質を用いて行った。テトラヒドロフランp.A.を溶出剤として使用した。以下のパラメータを、二重測定の間に保持した。脱気:オンライン−脱気装置;流速:1ml/分;分析期間:45分間;検出器:屈折率計およびUV検出器;注入体積:100μl〜200μl。該モル質量平均値Mw;MnおよびMp、並びに多分散度Mw/Mnを、ソフトウェアを用いて実施した。ベースラインポイントおよび評価限界を、DIN 55672 パート1に従って定義した。
【0086】
NCO含量:
該NCO含量は、特に断らない限りDIN−EN ISO 11909に従って体積分析で測定した。
【0087】
粘度:
該粘度は、ISO 3219に従って23℃で測定した。
【0088】
残留単量体の含量:
該残留単量体の含量は、DIN ISO 17025に従って測定した。
ブルカーDRX700装置を、NMR分析に使用した。
【0089】
NCO−末端プレポリマーAの製造:
465gのHDIおよび2,35gの塩化ベンゾイルを、1Lの四つ口フラスコに供した。931.8gの三官能性ポリエーテル(バイエル マテリアルサイエンス AG社の製品)(これは、総アルキレンオキシド含量に関連して、それぞれエチレンオキシド含量を71%、およびプロピレンオキシド含量を29%有する)を、80℃で2時間以内に加え、続いて1時間撹拌した。次いで、過剰量のHDIを、薄膜蒸留装置によって130℃および0.13ミリバールで留去した。NCO含量を2.53%(等価重量:1660g/mol)および粘度を4500mPa/23℃で有する、980g(71%)のプレポリマーを得た。残留単量体の含量は<0.03%HDIであった。
【0090】
プレポリマーCのための、ラクチドを有するポリオールBの製造:
98.1gのポリ(オキシプロピレン)トリオール(OH価=400mg KOH/gを有するグリセリンで出発とする)、48.4gのジラクチド、並びに0.107gのDMC触媒(EP−A 700 949に従って製造)を、窒素下、2リットルのステンレススチール加圧容器中に供した。0.1バールでの窒素による30分間のストリッピング後に、温度が130℃まで上昇し、次いで、701.8gのエチレンオキシドおよび217.8gのプロピレンオキシドから成る混合物を、この温度で130分間以内で分配した。130℃で45分間の続く反応時間後に、揮発性分配物を、減圧下、90℃で30分間留去し、次いで該反応混合物を室温まで冷却した。
生成物の性質:
OH価:33.7mg KOH/g
粘度(25℃):1370mPa
多分散度(Mw/Mn):1.13
【0091】
NCO−末端プレポリマーCの製造:
239gのHDIおよび1.5gの塩化ベンゾイルを、1リットルの四つ口フラスコ中に供した。665.9gのポリオールBを、80℃で2時間以内に加え、続けて1時間撹拌した。次いで、過剰量のHDIを、薄膜蒸留装置によって130℃および0.13ミリバールで留去した。該プレポリマーを、NCO含量が2.37%(等価量:1772g/mol)で得た。残留単量体の含量は、<0.03% HDIであった。粘度:5740mPa/23℃。
【0092】
本願発明に係る硬化剤の製造:
本願発明に係る硬化剤は、ジアミン化合物ベースでそれぞれ製造した。該製法において、以下の化合物を製造した:
【表1】
【0093】
上記の化合物の製造について、以下の方法をそれぞれ採用した。
0.5molのそれぞれのジアミンを室温で供し(固体のアミンは融解物として供した)、そして(1−x)molのマレイン酸ジエチル(0≦x≦1)を、1時間にわたって滴下し、該反応混合物の温度が60℃を超えないようにした。室温で12時間撹拌後に、xmolのアクリル酸エステルを1時間かけて滴下し、該反応混合物の温度が60℃を超えないようにした。発熱反応が弱まった後に、該反応混合物を60℃で24時間撹拌した。
【0094】
室温まで冷却後に、該反応混合物を3部の水に加え、そして透明な溶液が形成するまで濃塩酸を加えた(pH値=1)。得られた溶液を、同量の酢酸エチルまたはジクロロメタンを用いて3回抽出し、そして層分離した(有機層を廃棄した)。該水層を、濃苛性ソーダを用いてアルカリ性に調節し(pH値=10)、そして同量の酢酸エチルまたはジクロロメタンを用いてもう一度3回抽出し、そして層分離した。該有機層を、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去した。黄色油状物を定量で得た。
【0095】
硬化試験:
1当量のプレポリマーAまたはCを、1等量の硬化剤(HA1−3、HB1−3、HC1−3、HD、HE、HF)と一緒にそれぞれプラスチックカップ中に供し、そして30秒間よく混ぜた。次いで、該混合物が不粘着となるまでの時間を測定した。
【0096】
組織と結合させるインビトロでの試み:
それぞれ1当量の硬化剤(HA1−3、HB1−3、HC1−3、HD、HE、HF)を、1当量のプレポリマーAに加え、そしてカップ中で20秒間注意深く撹拌した。その後に直ちに、該ポリ尿素システムの薄層を、結合させる筋肉組織に塗布した。該接着システムがなお低い粘度を有し、その結果困難なく組織に塗布できる時間を処理時間として測定した。
【0097】
該ポリ尿素システムがもはや粘着性でなくなった後の時間(不粘着時間)を、ガラス棒を用いる結合試験によって測定した。このことを行う際に、該ガラス棒を該ポリ尿素システム由来の層に接触させた。もはや結合が残っていないとき、該システムは不粘着であるとみなした。加えて、該接着強度を以下の通り測定した:2片の筋肉組織の端(長さ=4cm、高さ=0.3cm、幅=1cm)を、ポリ尿素システムを用いて1cm間隔で被覆し、そして重なり様式で接着させた。該ポリ尿素システムの結合力を、それぞれ張力を用いて試験した。
【0098】
プレポリマーAを用いる組織結合試験の結果を、以下の表に編集する。
【表2】
【0099】
該結果は、特に硬化剤のHA2、HA3、HB2およびHB3は、短時間の不粘着時間を有する同程度に長い処理時間、並びに良好な接着強度を兼ね備えることが分かる。それに対して、硬化剤のHA1およびHB1は、特に速い不粘着であり、そしてそれぞれより短時間で処理することができる。その上、これらの硬化剤は、他の硬化剤と比較して、最小限度に低下した接着強度によって区別される。