(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6239087
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】融雪装置、融雪方法及び融雪アルミデッキヘリポート
(51)【国際特許分類】
E01H 5/10 20060101AFI20171120BHJP
E01F 3/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
E01H5/10 Z
E01F3/00
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-257150(P2016-257150)
(22)【出願日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年6月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510262150
【氏名又は名称】エアロファシリティー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147348
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲一
(72)【発明者】
【氏名】木下 幹巳
【審査官】
袴田 知弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−147744(JP,A)
【文献】
特開2010−156155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/10
E01F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
降雪を検知する降雪センサと、
融雪を必要とする構造物の融雪を行う融雪手段と、
前記降雪センサの情報に基づき、前記融雪手段の動作停止を制御する融雪制御部と
を有し、前記構造物が使用されない休止時間帯において、前記休止時間帯の開始時及び前記休止時間帯の間の積算した降雪深と、前記融雪手段の休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深とを比較して、前記休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深が、前記降雪深と等しいか、前記降雪深より小の場合に、前記融雪手段の運転を開始するように前記融雪制御部が制御することを特徴とする融雪装置。
【請求項2】
前記休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深は、前記降雪センサが降雪を検知していない場合は、前記休止時間帯の残時間と時間融雪可能降雪深の積であり、前記降雪センサが降雪を検知している場合は、前記休止時間帯の残時間と、時間融雪可能降雪深から推定平均時間降雪深を減じたものとの積であることを特徴とする請求項1に記載の融雪装置。
【請求項3】
前記降雪センサが降雪を検出している状態で前記融雪手段が運転を開始した後に、降雪が止んで前記降雪センサが降雪を検出しなくなった場合に、前記融雪手段の運転を一時停止し、前記降雪がない場合の休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深と、降雪停止後の前記降雪深とを比較し、前記休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深が、前記降雪深と等しいか、前記降雪深より小になった場合に、前記融雪手段の運転を再度開始するように制御することを特徴とする請求項2に記載の融雪装置。
【請求項4】
前記降雪センサが降雪を検出していない状態で前記融雪手段が運転を開始した後に、前記降雪センサが降雪を検出した場合には、前記融雪手段の余裕能力を始動して前記休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深を増すように制御することを特徴とする請求項2に記載の融雪装置。
【請求項5】
休止時間帯がある構造物の融雪を行う方法であって、
前記休止時間帯の間の降雪を検出するステップと、
前記休止時間帯の開始時及び前記休止時間帯の間の降雪深を積算するステップと、
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深を算出するステップと、
前記積算した降雪深と、前記算出した休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深とを比較して、前記休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深が前記降雪深と等しいか、前記降雪深より小の場合に、前記融雪手段の運転を開始するように制御するステップと
を含む融雪方法。
【請求項6】
前記構造物が、アルミデッキヘリポートであることを特徴とする請求項1に記載の融雪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降雪ないしは積雪を融雪する融雪装置であって、特に、休止時間帯がある場合に効率よく融雪することができる融雪装置及び融雪方法に関する。
【0002】
本発明はまた、この融雪装置を適用した融雪アルミデッキヘリポートにも関する。
【0003】
近年、降雪ないしは積雪を溶かす融雪装置は、道路、滑走路などの地表面において、広く使用されている。一方で、融雪装置において必要とされるエネルギーをなるべく少なくしたいという要請もある。
【0004】
例えば、特許文献1には、家庭の駐車場やアプローチに降り積もる雪を溶かす融雪装置において、断続的に降雪があった場合でも、実際の降雪量に応じた最適な加熱温度を設定できる技術思想が開示されている。これによれば、降雪時間計測手段により計測した降雪時間に応じて、追加加熱終了時間設定手段により降雪終了後の追加加熱終了時刻を設定することで、省エネルギーの融雪装置を実現している。
【0005】
ところで、使用時間が限定されており、休止時間のある構造物において、使用しない時間帯に、降雪の有無にかかわらず、断続的に、あるいは継続して融雪装置を作動させていることは、エネルギーの消費の面からは、問題がある。
【0006】
特に、使用時間が限定されており、休止時間のある構造物の典型例であるヘリポートについては、災害救助やドクターヘリなど、緊急度の高いヘリコプターの運航も多くなっており、そのためのヘリポートが多数設置されているところである。そして、緊急度の高い運用では、冬季であっても安全な運航が可能である必要があり、寒冷・積雪地にあっては融雪装置の設置が必須となっている。
【0007】
従来、ヘリポートはコンクリート構造が主となっており、質量が大きく設置場所に大きな制限を受けている。更に、質量に伴い熱容量も非常に大きくなり温度の立上に時間を要することから、急な降雪とヘリコプターの飛来に備えて、融雪装置も常時運転(降雪のない時は中温で待機する予熱運転)をしている。そのためのランニングコストも多大なものとなっている。
【0008】
近年、コンクリート構造のヘリポートの質量・熱容量の短所を補うアルミ合金製デッキを用いたヘリポート(以下アルミデッキヘリポートとする)が普及している。アルミデッキヘリポートは設置が容易であり、軽量で熱容量が小さいことから、融雪特性にも優れ、降雪の検出と同時に融雪運転を開始すれば、冠雪を防ぎ融雪が可能なため、待機運転(予熱運転)が不要であり、ランニングコストが低く抑えられる。特に降雪頻度の少ない地域や、市街地で顕著である。このような技術思想については特許文献2にも記載されている。
【0009】
融雪機能を持ったアルミデッキヘリポートを構成するアルミ材は、押し出し成型時に、表面板の裏に、加熱用発熱線または温水用プラスチックパイプを収納する溝を設けてあり、予め当該溝内に設置した発熱線または温水パイプに、通電または摂氏15度〜40度程度の温水を通すことで加温し、融雪するものである。
【0010】
図8に従来からアルミデッキヘリポートにおいて用いられている技術(通常運転)を示す。これによれば、
1)降雪を検出したら即座に融雪運転を開始する。
2)融雪運転中は、融雪に必要な温度、すなわち融雪運転温度を、表面で摂氏約1度、加熱部で摂氏3度〜5度に温度制御を行う。
3)雪が止んだ後、融けムラ処理および融雪水の排水のため、降雪検出状態を延長して、しばらくの間、融雪運転を延長する。
4)ごく弱い降雪でも降雪が検出され、融雪運転が行われるが、夜間は通常気温が低く、降雪が少なくても融雪温度に維持するために相当の熱量を消費するため、実用上無駄な熱量を消費する。
5)ドクターヘリの運航が行われない日没後の夜間も、翌朝(例えば8時)の運用に備え、上記1)〜3)の運転を行う。
【0011】
しかしながら、日没後から翌朝までの夜間の運航が無い、ドクターヘリ用のアルミデッキヘリポートにおいて、夜間は融雪設備の運転を可能な限り停止して、一層のランニングコスト低減を図ることが求められているが、未だ実現していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−285800号公報
【特許文献2】特開2010−156155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする問題点は、使用時間が限定されている、例えば夜間は休止時間となるヘリポートなどの構造物において、休止時間の終了まで、使用に差支えなく融雪できて、かつ、エネルギーの消費が少ない融雪装置を提供することが難しい点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、融雪装置であって、
降雪を検知する降雪センサと、
融雪を必要とする構造物の融雪を行う融雪手段と、
降雪センサの情報に基づき、融雪手段の動作停止を制御する融雪制御部と
を有し、構造物が使用されない休止時間帯に、降雪センサによって降雪が検知された場合には、休止時間帯の終了時までに、概ね融雪を完了するように融雪制御部が制御することを特徴とする。
【0015】
ここで、構造物とは、道路、滑走路、コンクリート製のヘリポートなど、地表面それ自体に設けられるもののほか、地表面や建物の上に設置される、アルミデッキヘリポート、ドローンなどの無人飛行体用の離着陸場、観光地の展望台、作業用デッキなどが含まれ、これらの中でも、終日使用せず、使用時間帯が限られているものが対象となる。
【0016】
この発明によれば、使用時間帯が限られている構造物の主に表面の融雪について、その休止時間中の降雪を、使用開始時間に間に合うように融雪するように制御するので、エネルギー効率もよく、消費エネルギーを少なくすることができる。
【0017】
なお、ここで、「概ね融雪を完了する」としたのは、休止時間帯の終了時を目ざして融雪運転するものの、安全を見込んで早めに融雪を完了する場合や、若干の融雪遅れを許容する場合もあり得ることから、それらも含めて「概ね」としたものである。
【0018】
また、本発明の融雪装置は、更に、融雪制御部が、降雪センサの検知結果に基づき、休止時間帯における降雪深を算出し、融雪手段の
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深と比較することで、融雪手段の動作停止を制御することを特徴としてもよい。
【0019】
ここで、降雪深とは、降雪により積もる雪の深さであり、その算出は、過去の累積降雪深から推測する方法や、時間当たりの降雪深の度数分布を用いて推測する方法などがあるが、その方法には限定されない。
【0020】
また、融雪可能降雪深とは、融雪手段の能力であり、融雪要素の発熱量、雪密度、融解潜熱などを用いて算出する。
【0021】
このような方法によれば、より精緻に融雪の制御ができるため、更に、エネルギー効率の向上が期待できる。
【0022】
また、本発明は、
休止時間がある構造物の融雪を行う方法であって、
休止時間中の降雪を検出するステップと、
休止時間中の降雪深を積算するステップと、
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深を算出するステップと、
積算した降雪深と、算出した
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深とを比較して、休止時間帯の終了時までに、概ね融雪を完了するように制御するステップと
を含む融雪方法という態様であってもよい。
【0023】
このようにすれば、構成するハードウェアによらずに、適切な融雪方法が実現できる。
【0024】
また、本発明は、これまで説明した融雪要素を含む融雪装置と、その融雪要素を内蔵したアルミデッキとを有するアルミデッキヘリポートという態様であってもよい。
【0025】
これによれば、原則として夜間の使用が行われないドクターヘリなどの離着陸場として用いられる、病院の屋上などに設置されるアルミデッキヘリポートでは、夜間の降雪は、朝の使用開始までに融雪しておけばよく、そのようにすることで、消費エネルギーの少ないヘリポートが実現できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の融雪装置では、使用時間が限定されている、例えば夜間は休止時間となるヘリポートなどの構造物において、休止時間の終了まで、使用に差支えなく融雪できて、かつ、エネルギーの消費が少ない融雪装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態の融雪装置の構成図である。
【
図2】本発明を適用する構造物の一例の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態の、融雪装置の融雪要素の説明のための断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の融雪制御部の構成図である。
【
図5】本発明の一実施形態の融雪装置の動作のフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態の融雪装置の動作状況図である。
【
図7】本発明の一実施形態の融雪装置の別の動作状況図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の、融雪装置1の構成図である。
【0029】
融雪装置1の構成外である、融雪を必要とする構造物30、例えば、アルミデッキヘリポートの表面を融雪するために、例えば、電熱線からなる融雪要素41を電源からなる熱源42で作動させる融雪手段40と、構造物30に接して、または、構造物30の近傍に設置される降雪センサ60と、 降雪センサ60からの情報に基づき、融雪手段40を制御する融雪制御部50を有している。
【0030】
図2は、本発明を適用する構造物30の一例であるアルミデッキヘリポート100の斜視図であり、T型形状のアルミニウム製デッキ材101を水平方向に複数連結した構成であって、デッキ材101は水平方向に所定間隔で配設された小梁10に支持され、さらに、それら小梁10は、水平方向に所定間隔で配設された大梁20に支持されている。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態の、融雪装置1の融雪要素41の説明のための断面図である。構造物30であるアルミデッキヘリポート100のデッキ材101は、デッキ材本体102とデッキ材蓋体103とから構成されており、デッキ材蓋体103の内側に、水平方向に延伸する、下方を切り欠いた円筒状の融雪要素保持部104を有している。ここに、円形断面で真っ直ぐに延伸している融雪要素41としての電熱線を保持させる。電熱線は、図示しない配線を介して、熱源42である電源と接続される。
【0032】
なお、融雪手段40の融雪要素41としては、電熱線のほか、温水なども用いられる。
その場合の熱源42としては、ボイラーなどであればよい。
【0033】
降雪センサ60は、構造物30に接して、あるいは構造物30の近傍に設置され、気温、地温なども併せて検知できてもよい。なお、降雪センサの検知方式は、電極間の抵抗を検知する水分検知方式、反射光で雪片を検知する赤外線検知方式などがあるが、それらの方式に限定されず、降雪を検知できるものであればどのようなものであってもよい。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態の融雪制御部50の構成図である。融雪制御部50は、融雪制御部メモリー51、融雪制御部プロセッサ52、融雪制御部出力部53、融雪制御部入力部54、融雪制御部インターフェース55、融雪制御部タイマー56を有している。
【0035】
融雪制御部メモリー51は、融雪に関する情報処理に必要な、データ及びプログラムなどを記憶している。
【0036】
融雪制御部プロセッサ52は、例えば降雪センサ60からの情報に基づき、融雪手段40の運転/停止のタイミングを算出したり、運転/停止の指示を発したり、種々の情報の入力を受け、それを処理して、記憶したり、出力したりする。
【0037】
融雪制御部出力部53は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどを必要に応じて備えて構成され、各種情報を出力する。
【0038】
融雪制御部入力部54は、キーボード、タッチパネル、バーコードリーダ、スキャナ、マイクなどを必要に応じて備えて構成され、情報の入力を行う。
【0039】
融雪制御部タイマー56は、現在時刻、降雪開始時刻、降雪終了時刻、構造物30の使用休止時間帯などを計時することができる24時間制のものである。
【0040】
ここで、融雪制御部50は、専用の機器であっても、パソコン、タブレット端末、スマートホンなど汎用の機器であってもよく、また、機能の一部を独立させたり、クラウドコンピューティングのように各機能を分散して有していたりしてもよい。
【0041】
この構成による融雪装置1の動作について説明する。
【0042】
図5は本発明の一実施形態の融雪装置1の動作のフローチャートである。また、
図6及び
図7は本発明の一実施形態の融雪装置1の動作状況図であり、休止時間帯を17時から8時としたものである。
【0043】
フローチャートに従って動作の説明をおこなう。
ステップ01(S01):休止時間開始。
構造物の使用が休止状態となり、休止時間が開始する。ここでは、融雪手段40は運転を停止する。
【0044】
S02:時間計測。
ここでは、融雪制御部タイマー56などを用いて、現在時刻、休止時間開始からの経過時間、休止時間終了までの残時間などを算出する。
【0045】
S03:降雪深(F) 積算。
ここでは、降雪センサ60などの情報に基づき、休止時間開始後の降雪深を積算する。
【0046】
降雪の有無を検出する降雪センサ60を使用する場合は、次式 による。
F=休止中の降雪時間×推定平均時間降雪深
【0047】
この中の、推定平均時間降雪深は、予め取得して融雪制御部メモリー51に記憶してある3〜5年間の累積降雪深を、その期間の総降雪時間で除したものとする。
【0048】
または、時間降雪深の度数分布から、推定平均時間降雪深=Σ(階級値×度数)/総度数 として求めたものであってもよく、そのほかの推定方法であってもよい。
【0049】
また、降雪の有無だけでなく、降雪強度(1時間当たりの降雪深)の検出が可能な降雪センサ60を使用する場合は、次式 による。
F=Σ(休止中の当該降雪強度時間×当該降雪強度の降雪センサ60の降雪深特性値)
【0050】
なお、降雪量の連続観測が可能なセンサであれば、それを利用してもよいし、それ以外の手法による降雪量の測定及び推定の手法であってもよい。
【0051】
図6には、休止時間中に降雪が開始し、そのまま休止時間の終了以降も降雪が続く場合の降雪深の推移、
図7には、休止時間中に降雪が開始し、終了する場合の降雪深の推移が示されている。
【0052】
S04:
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深(M) 算出。
判断する時点が降雪中の場合は、次式によって計算する。
M
1=休止残時間×(時間融雪可能降雪深−推定平均時間降雪深)
【0053】
雪が止んでいる場合は、次式によって計算する。
M
2=休止残時間×時間融雪可能降雪深
【0054】
ここで、時間融雪可能降雪深は、融雪装置1の設計値であって、通常は、
(単位面積当たりの融雪要素41の発熱量)−(裏側などへの損失)/(単位体積当たりの雪の融解に要する熱量)として求める。ここで、融解に要する熱量は、雪温を融解温度まで上昇させる熱量(顕熱)と水の融解潜熱であるが、融解潜熱が極めて大きいため、顕熱は無視しても実用上は差支えない。
【0055】
S05:融雪 要否。
ここでは、先に求めた降雪深(F)と、
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深(M
1またはM
2)とを比較して、融雪の要否を判断する。なお、この際に降雪センサ60からの降雪の有無の情報も利用する。
【0056】
すなわち、判断時点の降雪深(F)を休止残時間で融雪できるかどうかを判断するため、M≦Fであれば、運転を開始するとの判断を行うもので、その時点で降雪がある場合は、
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深(M
1)として、以降の推定平均降雪深を差し引いたものを用い、降雪がない場合は、差し引かない
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深(M
2)を用いることとする。
【0057】
図6は判断時点に降雪がある場合であり、
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深としてM
1を採用している。また、
図7は判断時点に降雪がない場合であり、
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深としてM
2を採用している。
【0058】
S06:融雪手段40 運転。
先の判断で、運転が必要とされた場合に、融雪手段40の運転が開始され、連続運転、または温度調節運転を行う。融雪要素41が電熱線の場合は、熱源42である電源に通電することになる。なお、温度調節運転とは、構造物に設置した図示しない温度センサからの信号などを用いて、発熱量を調節して目標温度に保つ運転のことである。
【0059】
S07:時間計測
その後、休止残時間などの計測を継続する。
【0060】
S08:休止時間終了
休止残時間がある場合は、引き続き、融雪手段40の運転を継続し、休止残時間がなくなったら融雪手段40の運転を停止する。
【0061】
ここで、
図6、
図7に示すように、いずれの場合も休止時間終了時には降雪深が0となり、その後の構造物の使用に支障がない状態となっている。特に、
図7の例と、
図8の従来の通常運転の例を比較すると、通電時間が大幅に短縮され、省エネルギー効果があることがよく分かる。
【0062】
なお、これまでの説明で、
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深として、M
1、M
2のいずれを採用する場合において、休止時間終了時にちょうど融雪が完了するように表現していたが、安全率を見込んで
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深を小さく設定してもよい。その場合は、正常に動作したときは、休止時間終了よりも早めに融雪が完了するが、確実に使用時間に間に合わせることを重視する場合は、そのような制御方法が望ましい。
【0063】
S09:通常運転。
休止時間が終了したら、通常運転に戻り、降雪があれば、融雪手段40を運転し、降雪が止めば、延長運転時間を経過後に停止する。
【0064】
ここで、S05において、融雪手段40の運転が不要と判断された場合は、S02:時間計測に戻り、更に、S10にて休止時間終了かどうかの判断がなされ、休止残時間がある場合は、そのままS03:降雪深(F)の積算以降のステップへ進むが、休止時間終了の場合は、S09:通常運転となる。この例は、休止期間中、全く降雪がなく、降雪深の発生がなかった場合である。
【0065】
なお、これまで述べた標準的なステップに対して、種々の変形が考えられる。例えば、変形例1として、休止時間中に降雪を検出して融雪運転を開始した後に、降雪が止んだ場合は、降雪停止時の残る降雪深を、降雪がない場合の
休止時間帯の残時間における融雪可能降雪深(M
2)で融雪完了できるまで、融雪手段40の運転を一時停止し、その後運転を再開すればよい。このようにすれば更に消費エネルギーの低減に資する。
【0066】
更に、変形例2として、通常運転では休止時間開始時には降雪深はないはずであるが、何らかの事情で、休止時間開始時に降雪深があり、その深さが把握できている場合は、その上に休止時間に降雪した分の降雪深を積算していけばよい。これでそれ以降のステップは、標準的なステップと同様に行われる。
【0067】
なお、変形例3として、今までとは逆に、融雪手段40の運転の判断をした時点で、降雪がなく、その後降雪が開始した場合には、これまで述べてきた制御方法では、融雪が間に合わない事態も想定される。
【0068】
ここで、省エネルギー効果を優先させて、若干の融雪遅れが発生してもよいとする場合は、これまでの制御方法でよい。
【0069】
また、融雪遅れが許容できない場合には、
−融雪手段40の能力に余裕を持たせて、降雪が開始したら、余裕の能力を始動する。
−気象予報を活用し、降雪が予想される場合は、判断時点で「降雪あり」とみなす。
−常に、判断時点では「降雪あり」とみなす。
などの制御方法が考えられ、省エネルギーと融雪遅れの確率を勘案し、適宜選択すればよい。
【0070】
このような運転制御方法による場合の利点は、次のようになる。
降雪強度(1時間当たりの降雪深)は常に変動して一定ではない。また、降雪中、常に融雪運転を行うと、気温の低い夜間は表面から大気に逃げる熱量が大きく、裏側からの放熱(損失になる)を加えると必要熱量が大きくなり、消費熱量が増加する。
【0071】
本発明では、夜間の降雪を積らせ、まとめて融雪することで、下記のように消費熱量を低減させ、消費熱量(ランニングコスト)を下げるというメリットが得られる。
【0072】
第1のメリットは、積った雪をヒータの最大能力で連続して融雪することになり、融雪能力以下の弱い降雪に対して、高い熱量消費率で運転することがなく、消費熱量が減少する。
【0073】
第2のメリットは、積雪した状態で融雪すると、表面から大気に逃げる熱量は、積雪が断熱層となりごく僅かとなって、熱の損失が減少して、消費熱量が減少する。
【0074】
第3のメリットは、融雪中の表面温度は低く、裏側から空気までの温度差が小さくなるため、裏側からの熱損失が少なくなり、消費熱量が減少する。
【実施例】
【0075】
実際に、電熱式の融雪手段40を備えたアルミヘリポートのモデルを2組制作し、通常運転と本発明による制御による運転とを比較測定した例では、次のようであった。
運転期間 960.0時間
期間中降雪時間 278.6時間
通電時間 通常運転 273.4時間
本発明による運転 210.1時間
従来の制御方式では273.4時間通電されたが、本発明による運転では210.1時間の通電となり、約 23.2%の節電がなされた。
【0076】
なお、これまで、融雪の対象を、降った雪の嵩を深さで表した「降雪深」として説明してきたが、一般的に降り積もった雪の深さを表す「積雪量」「積雪深」を対象として本発明の技術思想を応用することは可能である。但し、積雪量の場合には、自重による圧縮など、更に考慮すべき要素が加わることもあるため、注意が必要である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の融雪装置は、特に休止時間のある構造物の融雪を、省エネルギーで行えることから、アルミデッキヘリポートを始めとして、道路、通路、飛行体の離着陸場、展望台、作業用デッキなど、幅広く産業界で利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 融雪装置
30 構造物
40 融雪手段
41 融雪要素
42 熱源
50 融雪制御部
60 降雪センサ
【要約】
【課題】使用時間が限定されている、例えば夜間は休止時間となるヘリポートなどの構造物において、休止時間の終了まで、使用に差支えなく融雪できて、かつ、エネルギーの消費が少ない融雪装置を提供すること。
【解決手段】融雪装置であって、降雪を検知する降雪センサと、融雪を必要とする構造物の融雪を行う融雪手段と、降雪センサの情報に基づき、融雪手段の動作停止を制御する融雪制御部とを有し、構造物が使用されない休止時間帯に、降雪センサによって降雪が検知された場合には、休止時間帯の終了時までに、融雪を完了するように融雪制御部が制御すること。
【選択図】
図1