特許第6239093号(P6239093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239093自己整列浮遊及び消去ゲートを有する不揮発性メモリセル及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239093
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】自己整列浮遊及び消去ゲートを有する不揮発性メモリセル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20171120BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20171120BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20171120BHJP
   H01L 27/11521 20170101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01L29/78 371
   H01L27/11521
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-509058(P2016-509058)
(86)(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公表番号】特表2016-515771(P2016-515771A)
(43)【公表日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】US2014034318
(87)【国際公開番号】WO2014172433
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2015年10月14日
(31)【優先権主張番号】61/812,685
(32)【優先日】2013年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/252,929
(32)【優先日】2014年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ド ナン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジンホ
(72)【発明者】
【氏名】リュー シーアン
【審査官】 宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0127308(US,A1)
【文献】 特開2005−260235(JP,A)
【文献】 特表2009−532876(JP,A)
【文献】 特開2007−300098(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0133602(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 27/11521
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のメモリセルであって、
第1導電型と、表面を有する半導体材料の基板と、
対向する一対の壁を有し、前記基板の前記表面内へと設けられたトレンチと、
前記トレンチ下の前記基板に形成された第1領域と、
前記基板内に形成された一対の第2領域であって、一対のチャネル領域がそれぞれ前記基板内で前記第1領域と前記一対の第2領域の1つとの間に設けられ、前記第1領域及び前記一対の第2領域は第2導電型を有し、前記一対のチャネル領域はそれぞれ、前記トレンチの対向する前記一対の側壁の1つにほぼ沿って延在する第1部分と、前記基板表面にほぼ沿って延在する第2部分とを有する一対の第2領域と
少なくとも部分的に前記トレンチ内部で前記一対のチャネル領域の前記第1部分のうちの1つに絶縁された状態で隣接して配置されることで当該一対のチャネル領域の前記第1部分のうちの前記1つの導電性が制御されるようにし、更に前記第1領域上に絶縁された状態でそれぞれ配置される導電性の一対の浮遊ゲートと
前記トレンチ内で前記一対の浮遊ゲートに絶縁された状態で隣接する下部を有する導電性の消去ゲートと、
前記トレンチ内に配置され、前記一対の浮遊ゲート間に絶縁された状態で配置され、前記第1領域上に絶縁された状態で配置され、前記消去ゲートの前記下部の完全に下に絶縁された状態で配置される、導電性のカップリングゲートと、
それぞれ絶縁された状態で前記一対のチャネル領域の前記第2部分の1つの上に配置されることで、前記一対のチャネル領域の前記第2部分の当該1つの導電性が制御されるようにする、導電性の一対の制御ゲートと、を有し、前記カップリングゲートが、前記一対の浮遊ゲートを前記第1の領域から絶縁する絶縁材料よりも厚い絶縁材料により、前記第1領域から絶縁されていることを特徴とする一対のメモリセル。
【請求項2】
請求項1に記載の一対のメモリセルであり、
前記カップリングゲートは、第1総厚さの絶縁材料により前記第1領域から絶縁されており、
前記一対の浮遊ゲートは、第2総厚さの絶縁材料により前記第1領域から絶縁されており、
前記第1厚さは前記第2厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の一対のメモリセル。
【請求項3】
前記一対の制御ゲート及び前記一対の浮遊ゲートが、垂直方向に重なっていないことを特徴とする、請求項1に記載の一対のメモリセル。
【請求項4】
前記消去ゲートは、前記一対の浮遊ゲートに対し隣接して配置され、ファウラーノルドハイムトンネリングが可能となる厚さを有する絶縁材料により絶縁されていることを特徴とする、請求項1に記載の一対のメモリセル。
【請求項5】
前記消去ゲートは一対の切欠きを有し、前記一対の浮遊ゲートはそれぞれ、前記一対の切欠きの1つに対して直接対向し、絶縁されている縁を有することを特徴とする、請求項1に記載の一対のメモリセル。
【請求項6】
前記消去ゲートは、第1幅を持つ上部を有し、前記消去ゲート下部は、前記第1幅よりも小さい第2幅を持つことを特徴とする、請求項5に記載の一対のメモリセル。
【請求項7】
前記一対の切欠きは、前記消去ゲートの前記上部及び下部が交わる箇所に設けられることを特徴とする、請求項6に記載の一対のメモリセル。
【請求項8】
一対のメモリセルを形成する方法であって、
第1導電型を有する半導体の基板の表面内へと、対向する一対の壁を有するトレンチを形成することと、
第1領域を前記トレンチ下の前記基板に形成することと、
一対の第2領域であって、一対のチャネル領域がそれぞれ前記基板内で前記第1領域と前記一対の第2領域の1つとの間に設けられ、前記第1領域及び一対の第2領域は第2導電型を有し、前記一対のチャネル領域はそれぞれ、前記トレンチの対向する前記一対の側壁の1つにほぼ沿って延在する第1部分と、前記基板表面にほぼ沿って延在する第2部分とを有するような一対の第2領域を前記基板内に形成することと、
少なくとも部分的に前記トレンチ内部で前記一対のチャネル領域の前記第1部分のうちの1つに絶縁された状態で隣接して配置されることで当該一対のチャネル領域の前記第1部分のうちの前記1つの導電性が制御されるようにし、更に前記第1領域上に絶縁された状態でそれぞれ配置される導電性の一対の浮遊ゲートを形成することと、
前記トレンチ内で前記一対の浮遊ゲートに絶縁された状態で隣接する下部を有する導電性の消去ゲートを形成することと、
前記トレンチ内に配置され、前記一対の浮遊ゲート間に絶縁された状態で配置され、前記第1領域上に絶縁された状態で配置され、前記消去ゲートの前記下部の完全に下に絶縁された状態で配置される、導電性のカップリングゲートを形成することと、
それぞれ絶縁された状態で前記一対のチャネル領域第2部分の1つの上に配置されることで、前記一対のチャネル領域第2部分の当該1つの導電性が制御されるようにする、導電性の一対の制御ゲートを形成することと、を含み、前記カップリングゲートが、前記一対の浮遊ゲートを前記第1の領域から絶縁する絶縁材料より物よりも厚い絶縁材料により、前記第1領域から絶縁されていることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であり、
前記カップリングゲートは、第1総厚さの絶縁材料により前記第1領域から絶縁されており、
前記一対の浮遊ゲートは、第2総厚さの絶縁材料により前記第1領域から絶縁されており、
前記第1厚さは前記第2厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記一対の制御ゲート及び前記一対の浮遊ゲートが、垂直方向に重なっていないことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記消去ゲートは一対の切欠きを有し、前記一対の浮遊ゲートはそれぞれ、前記一対の切欠きの1つに対して直接対向し、絶縁されている縁を有することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記消去ゲートを形成することは、
前記消去ゲートの第1幅を持つ上部を形成することと、
前記消去ゲートの前記第1幅よりも小さい第2幅をもつ下部を形成することと、を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記一対の切欠きは、前記消去ゲートの前記上部及び下部が交わる箇所に設けられることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法であり、
前記トレンチの前記対向する側壁に、酸化物犠牲層を生成することと、
前記酸化物犠牲層を除去することと、を更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記一対の浮遊ゲートを形成することは、
導電性材料を前記トレンチ内に形成することと、
対向する一対の絶縁材料スペーサを、前記導電性材料の一部が前記対向する一対の絶縁材料スペーサの間から露出するように、前記導電性材料上に設けることと、
前記導電性材料の前記露出部分を除去することと、を含む請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記導電性材料の前記露出部分を除去することは、異方性エッチングすることを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記消去ゲート及び一対の制御ゲートを形成することは、
前記対向するスペーサ間に設けられた第1部分と、前記対向するスペーサを挟んで前記基板表面上に設けられる第2及び第3部分とを有する導電性材料層を形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第1導電型と、表面を有する半導体材料の基板と、対向する一対の壁を有し、前記基板の前記表面内へと設けられたトレンチと、前記トレンチ下の前記基板に形成された第1領域と、前記基板内に形成された一対の第2領域であって、一対のチャネル領域がそれぞれ前記基板内で前記第1領域と前記一対の第2領域の1つとの間に設けられ、前記第1領域及び一対の第2領域は第2導電型を有し、前記一対のチャネル領域はそれぞれ、前記トレンチの対向する前記一対の側壁の1つにほぼ沿って延在する第1部分と、前記基板表面にほぼ沿って延在する第2部分とを有する一対の第2領域と、少なくとも部分的に前記トレンチ内部で前記一対のチャネル領域の前記第1部分のうちの1つに絶縁された状態で隣接して配置されることで当該一対のチャネル領域の前記第1部分のうちの前記1つの導電性が制御されるようにし、更に前記第1領域上に絶縁された状態でそれぞれ配置される導電性の一対の浮遊ゲートと、前記トレンチ内で前記一対の浮遊ゲートに絶縁された状態で隣接する下部を有する導電性の消去ゲートと、前記トレンチ内に配置され、前記一対の浮遊ゲート間に絶縁された状態で配置され、前記第1領域上に絶縁された状態で配置され、前記消去ゲートの前記下部の完全に下に絶縁された状態で配置される、導電性のカップリングゲートと、それぞれ絶縁された状態で前記一対のチャネル領域の前記第2部分の1つの上に配置されることで、前記一対のチャネル領域の前記第2部分の当該1つの導電性が制御されるようにする、導電性の一対の制御ゲートと、を有し、前記カップリングゲートが、前記一対の浮遊ゲートを前記第1の領域から絶縁する絶縁材料よりも厚い絶縁材料により、前記第1領域から絶縁されていることを特徴とする一対のメモリセルの1つをプログラミングする方法であって、
正電圧を前記一対の第2領域の1つにかけることと、
正電圧を前記一対の制御ゲートの1つにかけることと、
正電圧を前記第1領域にかけることと、
正電圧を前記カップリングゲートにかけることと、
正電圧を前記消去ゲートにかけることと、を含み、
前記第1領域にかけられる前記正電圧は、前記カップリングゲートにかけられる前記正電圧とは異なる、方法。
【請求項19】
前記カップリングゲートにかけられる前記正電圧は、前記第1領域にかけられる前記正電圧よりも大きいことを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
第1導電型と、表面を有する半導体材料の基板と、対向する一対の壁を有し、前記基板の前記表面内へと設けられたトレンチと、前記トレンチ下の前記基板に形成された第1領域と、前記基板内に形成された一対の第2領域であって、一対のチャネル領域がそれぞれ前記基板内で前記第1領域と前記一対の第2領域の1つとの間に設けられ、前記第1及び第2領域は第2導電型を有し、前記一対のチャネル領域はそれぞれ、前記トレンチの対向する前記一対の側壁の1つにほぼ沿って延在する第1部分と、前記基板表面にほぼ沿って延在する第2部分とを有する一対の第2領域と、少なくとも部分的に前記トレンチ内部で前記一対のチャネル領域の前記第1部分のうちの1つに絶縁された状態で隣接して配置されることで当該一対のチャネル領域の前記第1部分のうちの前記1つの導電性が制御されるようにし、更に前記第1領域上に絶縁された状態でそれぞれ配置される導電性の一対の浮遊ゲートと、前記トレンチ内で前記一対の浮遊ゲートに絶縁された状態で隣接する下部を有する導電性の消去ゲートと、前記トレンチ内に配置され、前記一対の浮遊ゲート間に絶縁された状態で配置され、前記第1領域上に絶縁された状態で配置され、前記消去ゲートの前記下部の完全に下に絶縁された状態で配置される、導電性のカップリングゲートと、それぞれ絶縁された状態で前記一対のチャネル領域の前記第2部分の1つの上に配置されることで、前記一対のチャネル領域の前記第2部分の当該1つの導電性が制御されるようにする、導電性の一対の制御ゲートと、を有し、前記カップリングゲートが、前記一対の浮遊ゲートを前記第1の領域から絶縁する絶縁材料よりも厚い絶縁材料により、前記第1領域から絶縁されていることを特徴とする一対のメモリセルを消去する方法であって、
前記カップリングゲートに負電圧をかけることと、
前記消去ゲートに正電圧をかけることと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2013年4月16日に出願された米国特許仮出願第61/812,685号の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、浮遊ゲートメモリセルの半導体メモリアレイを形成するための自己整列を伴う方法に関する。本発明は更に、当該種類の浮遊ゲートメモリセルの半導体メモリアレイに関する。
【背景技術】
【0003】
浮遊ゲートを使用して電荷を蓄積する不揮発性半導体メモリセル、及び半導体基板の中に形成されたかかる不揮発性メモリセルのメモリアレイは、当該技術分野において周知である。典型的には、かかる浮遊ゲートメモリセルは、スプリットゲート型、又はスタックゲート型となっている。
【0004】
半導体浮遊ゲートメモリセルアレイの製造性に直面している問題の1つがソース、ドレイン、コントロールゲート、及び浮遊ゲートなどの様々な構成要素の整列である。半導体処理を統合させる設計基準寸法が縮小するにつれ、最小のリソグラフィック機構が縮小し、正確な整列に対する必要性がより重要度を増している。様々なパーツの整列によって、半導体製品の製造の歩留まりも決定することができる。
【0005】
自己整列は、当業界では既知である。自己整列は、1つ以上の材料を含む1つ以上の工程を処理する行為を意味し、この工程の処理において、機構がお互いに対して自動的に整列する。したがって、本発明は、浮遊ゲートメモリセル型半導体メモリアレイを製造するため、自己整列技術を使用する。
【0006】
性能(具体的にはプログラミング、消去、読込みについての効率や信頼性)を落とすことなく、単一のウェハ上のメモリセルの数を最大限増やすため、メモリセルアレイの小型化が常に求められている。メモリセルを組で形成し、各組が単一のソース領域を共有し、隣接するセルの組同士が共通のドレイン領域を共有するようにすることで、メモリセルアレイが小型化可能であることがよく知られている。また、基板にトレンチを形成し、1つ以上のメモリセル要素をトレンチ内に配置することで、所定の単位表面積に嵌合するメモリセルの数を増やすことができることも知られている(例えば、米国特許第5,780,341号及び第6,891,220号参照)。しかし、そのようなメモリセルでは、チャンネル領域制御(低電圧動作中)及び浮遊ゲート消去(高電圧動作中)の両方に制御ゲートが使用される。これは、制御ゲートは低電圧要素、高電圧要素の両方であることを意味するため、低電圧動作用に過剰に電気的絶縁しないようにしつつ、高電圧動作用に十分絶縁して囲繞することが困難である。更に、消去動作のため、制御ゲートを浮遊ゲートに近接させることが求められるため、制御ゲートと浮遊ゲートとの間で過剰な容量的カップリングが生じてしまうこともあり得る。
【0007】
米国特許第8,148,768号は、半導体材料の基板10内にトレンチが形成されたメモリ装置とその製造方法を開示する。ソース領域46がトレンチ下に形成され、ソース及びドレイン領域の間のチャネル領域72は、トレンチの側壁にほぼ沿って延在する第1部分72aと、基板表面にほぼ沿って延在する第2部分72bとを有する。浮遊ゲート42はトレンチ内に配置され、チャネル領域第1部分72aから絶縁されることで、導電性が制御される。制御ゲート62は、絶縁された状態でチャネル領域第2部分72b上に設けられることで、導電性が制御される。消去ゲート58は、絶縁された状態で、浮遊ゲート42上に少なくとも部分的に設けられる。消去ゲート58は、切欠き80と、切欠き80に直接対向した上で絶縁される縁42aとを有する。ポリブロック50がトレンチの底に設けられ、ソース領域46に対し電気的に接続されているため、ソース領域46とポリブロック50の電圧が同一になる。ポリブロック50はそれぞれ、絶縁された状態で浮遊ゲート42に沿って延在することで、両者の間にメモリセルのプログラミングや消去に不可欠な高い電圧結合が確保される。
【0008】
上記セルの寸法縮小に伴い、いくつかの問題が生じる。第1に、ソースジャンクションのブレークダウン電圧が低いと、プログラムディスターブウィンドウが制限される。第2に、ソース電圧は、プログラミング時のディスターブを防ぐために十分高くなければならないが、これによりプログラミングウィンドウが制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、上記問題を解決するメモリセルの構成と製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
メモリセル組であって、
第1導電型と、表面を有する半導体材料の基板と、
対向する側壁組を有し、前記基板の前記表面内へと設けられたトレンチと、
前記トレンチ下の前記基板に形成された第1領域と、
前記基板内に形成された第2領域組であって、チャネル領域組がそれぞれ前記基板内で前記第1領域と前記第2領域の1つとの間に設けられ、前記第1及び第2領域は第2導電型を有し、前記チャネル領域はそれぞれ、前記対向するトレンチ側壁の1つにほぼ沿って延在する第1部分と、前記基板表面にほぼ沿って延在する第2部分とを有する第2領域組と、
少なくとも部分的に前記トレンチ内部で前記チャネル領域第1部分のうちの1つに絶縁された状態で隣接して配置されることで当該チャネル領域第1部分のうちの前記1つの導電性が制御されるようにし、更に前記第1領域上に絶縁された状態でそれぞれ配置される導電性の浮遊ゲート組と、
前記トレンチ内で前記浮遊ゲートに絶縁された状態で隣接する下部を有する導電性の消去ゲートと、
前記トレンチ内に配置され、前記浮遊ゲート間に絶縁された状態で配置され、前記第1領域上に絶縁された状態で配置され、前記消去ゲート下に絶縁された状態で配置される、導電性のカップリングゲートと、
それぞれ絶縁された状態で前記チャネル領域第2部分の1つの上に配置されることで、チャネル領域第2部分の当該1つが制御されるようにする、導電性の制御ゲート組と、を有するメモリセル組。
【0011】
メモリセル組を形成する方法であって、
第1導電型を有する半導体の基板の表面内へと、対向する側壁組を有するトレンチを形成することと、
第1領域を前記トレンチ下の前記基板に形成することと、
第2領域組であって、チャネル領域組がそれぞれ前記基板内で前記第1領域と前記第2領域の1つとの間に設けられ、前記第1及び第2領域は第2導電型を有し、前記チャネル領域はそれぞれ、前記対向するトレンチ側壁の1つにほぼ沿って延在する第1部分と、前記基板表面にほぼ沿って延在する第2部分とを有するような第2領域組を前記基板内に形成することと、
少なくとも部分的に前記トレンチ内部で前記チャネル領域第1部分のうちの1つに絶縁された状態で隣接して配置されることで当該チャネル領域第1部分のうちの前記1つの導電性が制御されるようにし、更に前記第1領域上に絶縁された状態でそれぞれ配置される導電性の浮遊ゲート組を形成することと、
前記トレンチ内で前記浮遊ゲートに絶縁された状態で隣接する下部を有する導電性の消去ゲートを形成することと、
前記トレンチ内に配置され、前記浮遊ゲート間に絶縁された状態で配置され、前記第1領域上に絶縁された状態で配置され、前記消去ゲート下に絶縁された状態で配置される、導電性のカップリングゲートを形成することと、
それぞれ絶縁された状態で前記チャネル領域第2部分の1つの上に配置されることで、チャネル領域第2部分の当該1つの導電性が制御されるようにする、導電性の制御ゲート組を形成することと、を含む方法。
【0012】
第1導電型と、表面を有する半導体材料の基板と、対向する側壁組を有し、前記基板の前記表面内へと設けられたトレンチと、前記トレンチ下の前記基板に形成された第1領域と、前記基板内に形成された第2領域組であって、チャネル領域組がそれぞれ前記基板内で前記第1領域と前記第2領域の1つとの間に設けられ、前記第1及び第2領域は第2導電型を有し、前記チャネル領域はそれぞれ、前記対向するトレンチ側壁の1つにほぼ沿って延在する第1部分と、前記基板表面にほぼ沿って延在する第2部分とを有する第2領域組と、少なくとも部分的に前記トレンチ内部で前記チャネル領域第1部分のうちの1つに絶縁された状態で隣接して配置されることで当該チャネル領域第1部分のうちの前記1つの導電性が制御されるようにし、更に前記第1領域上に絶縁された状態でそれぞれ配置される導電性の浮遊ゲート組と、前記トレンチ内で前記浮遊ゲートに絶縁された状態で隣接する下部を有する導電性の消去ゲートと、前記トレンチ内に配置され、前記浮遊ゲート間に絶縁された状態で配置され、前記第1領域上に絶縁された状態で配置され、前記消去ゲート下に絶縁された状態で配置される、導電性のカップリングゲートと、それぞれ絶縁された状態で前記チャネル領域第2部分の1つの上に配置されることで、チャネル領域第2部分の当該1つの導電性が制御されるようにする、導電性の制御ゲート組と、を有するメモリセル組の1つをプログラミングする方法であって、
正電圧を前記第2領域の1つにかけることと、
正電圧を前記制御ゲートの1つにかけることと、
正電圧を前記第1領域にかけることと、
正電圧を前記カップリングゲートにかけることと、
正電圧を前記消去ゲートにかけることと、を含み、
前記第1領域にかけられる前記正電圧は、前記カップリングゲートにかけられる前記正電圧とは異なる、方法。
【0013】
第1導電型と、表面を有する半導体材料の基板と、対向する側壁組を有し、前記基板の前記表面内へと設けられたトレンチと、前記トレンチ下の前記基板に形成された第1領域と、前記基板内に形成された第2領域組であって、チャネル領域組がそれぞれ前記基板内で前記第1領域と前記第2領域の1つとの間に設けられ、前記第1及び第2領域は第2導電型を有し、前記チャネル領域はそれぞれ、前記対向するトレンチ側壁の1つにほぼ沿って延在する第1部分と、前記基板表面にほぼ沿って延在する第2部分とを有する第2領域組と、少なくとも部分的に前記トレンチ内部で前記チャネル領域第1部分のうちの1つに絶縁された状態で隣接して配置されることで当該チャネル領域第1部分のうちの前記1つの導電性が制御されるようにし、更に前記第1領域上に絶縁された状態でそれぞれ配置される導電性の浮遊ゲート組と、前記トレンチ内で前記浮遊ゲートに絶縁された状態で隣接する下部を有する導電性の消去ゲートと、前記トレンチ内に配置され、前記浮遊ゲート間に絶縁された状態で配置され、前記第1領域上に絶縁された状態で配置され、前記消去ゲート下に絶縁された状態で配置される、導電性のカップリングゲートと、それぞれ絶縁された状態で前記チャネル領域第2部分の1つの上に配置されることで、チャネル領域第2部分の当該1つの導電性が制御されるようにする、導電性の制御ゲート組と、を有するメモリセル組を消去する方法であって、
前記カップリングゲートに負電圧をかけることと、
前記消去ゲートに正電圧をかけることと、を含む方法。
【0014】
本発明のその他の目的及び特徴は、本明細書、請求項、及び添付の図面を参照することで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】絶縁領域を形成するための、本発明の方法の第1工程に使用される半導体基板の上面図である。
図1B】本発明の初期処理工程を示す、線IB−IBに沿った構造の断面図である。
図1C】絶縁領域が画定された、図1Bの構造に対する処理の次の工程を示す上面図である。
図1D】構造に形成された絶縁トレンチを示す、図1Cの構造の線1D−1Dに沿った断面図である。
図1E】絶縁トレンチに、材料の絶縁ブロックが形成された、図1Dの構造の断面図である。
図1F】絶縁領域の最終的な構造を示す、図1Eの構造の断面図である。
図2A図1Fの半導体構造の、線2A−2Aに沿った断面図であり、本発明の浮遊ゲートメモリセルの不揮発性メモリアレイ形成における半導体構造の処理の工程を順に示す。
図2B図1Fの半導体構造の、線2A−2Aに沿った断面図であり、本発明の浮遊ゲートメモリセルの不揮発性メモリアレイ形成における半導体構造の処理の工程を順に示す。
図2C図1Fの半導体構造の、線2A−2Aに沿った断面図であり、本発明の浮遊ゲートメモリセルの不揮発性メモリアレイ形成における半導体構造の処理の工程を順に示す。
図2D図1Fの半導体構造の、線2A−2Aに沿った断面図であり、本発明の浮遊ゲートメモリセルの不揮発性メモリアレイ形成における半導体構造の処理の工程を順に示す。
図2E図1Fの半導体構造の、線2A−2Aに沿った断面図であり、本発明の浮遊ゲートメモリセルの不揮発性メモリアレイ形成における半導体構造の処理の工程を順に示す。
図2F図1Fの半導体構造の、線2A−2Aに沿った断面図であり、本発明の浮遊ゲートメモリセルの不揮発性メモリアレイ形成における半導体構造の処理の工程を順に示す。
図2G図1Fの半導体構造の、線2A−2Aに沿った断面図であり、本発明の浮遊ゲートメモリセルの不揮発性メモリアレイ形成における半導体構造の処理の工程を順に示す。
図2H図1Fの半導体構造の、線2A−2Aに沿った断面図であり、本発明の浮遊ゲートメモリセルの不揮発性メモリアレイ形成における半導体構造の処理の工程を順に示す。
図2I図1Fの半導体構造の、線2A−2Aに沿った断面図であり、本発明の浮遊ゲートメモリセルの不揮発性メモリアレイ形成における半導体構造の処理の工程を順に示す。
図2J図1Fの半導体構造の、線2A−2Aに沿った断面図であり、本発明の浮遊ゲートメモリセルの不揮発性メモリアレイ形成における半導体構造の処理の工程を順に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ソース領域に電気的に接続されたポリブロックの代わりに、電気的に絶縁されたカップリングゲートを(浮遊ゲートに対する容量的カップリング用に)トレンチ内に設けることで、プログラミング電圧が、ソースブレークダウン電圧により制限されなくなることが知られている。より具体的には、ソース領域がトレンチ内のカップリングゲートから電気的に絶縁されているため、より低い電圧で動作可能となる(したがって、カップリングゲートがより高い電圧で動作可能となる)。更に、カップリングゲートとソースとの間の分離層の厚さを、浮遊ゲートとソースとの間の厚さよりも大きくすることで、より高い性能が得られることも知られている。
【0017】
本発明の方法を、図1A図1F図2A図2J(本発明のメモリセルアレイを製造する処理工程を示す)に示す。本方法は、好ましくは、P型であり、当業界では既知である半導体基板10から開始される。以下に説明する層の厚さは、設計ルールや製造処理技術に依存するものである。ここでは、ディープサブミクロン技術処理について説明されるが、当業者には本発明が、いかなる特定の製造処理技術や、以下に説明されるいずれの処理パラメータの特定値にも限定されるものではないことが理解されよう。
【0018】
分離領域形成
図1A図1Fは、基板に分離領域を形成する公知のSTI法を示している。図1Aは、半導体基板10(又は半導体ウェル)の上面図を示しており、好ましくはP型であり、本技術分野では公知である。第1及び第2の材料層12、14は、基板の上に形成される(例えば、成長する又は蒸着される)。例えば、第1の層12は、二酸化珪素(以下、「酸化物」)で、基板10上に、約50〜150Åの厚さとなるよう、酸化又は酸化蒸着(例えば、化学蒸着(CVD))のような任意の公知の技術により形成される。窒素ドープ酸化物又は他の絶縁性誘電体も使用されてもよい。第2の層14は、窒化珪素(以下、「窒化物」)で、酸化物層12上に約1000〜5000Åの厚さとなるよう、好ましくはCVD又はPECVDにより形成される。図1Bは、結果得られる構造の断面を図示する。
【0019】
第1及び第2の層12/14が形成されると、好適なフォトレジスト材料16を窒化物層14上に塗布し、マスキング工程を行い、図1Cに示すように、Y又はカラム方向に延在する特定領域(ストライプ18)からフォトレジスト材料を選択的に除去する。フォトレジスト材料16を除去したところに、標準的なエッチング技術(つまり異方性窒化物及び酸化物/誘電体エッチング処理)を使って、露出された窒化物層14と酸化物層12とをストライプ18内でエッチングし、構造内にトレンチ20を形成する。隣接するストライプ18間の距離Wは、使用する処理の最小リソグラフィック機構と同じぐらい小さくてもよい。その後、図1Dに示すように、トレンチ20がシリコン基板10に達するように(例えば、約500Å〜数ミクロンの深さまで)、シリコンエッチング処理が行われる。フォトレジスト16が除去されていないところに、窒化物層14と酸化物層12とが残存する。図1Dに示すその結果得られる構造により、分離領域24と織り交ぜられた活性領域22が画定される。
【0020】
この構造を更に処理し、残存するフォトレジスト16を除去する。その後、厚い酸化物層を蒸着することで、トレンチ20内に二酸化珪素のような分離材料が形成され、その後、化学機械研磨(CMP)エッチングが実行され(窒化物層14をエッチングのストッパとして使用)、図1Eに示すように、トレンチ20内の酸化物ブロック26を除いて、酸化物層を除去する。その後、残存する窒化物層14及び酸化物層12は、窒化/酸化エッチング処理を使用して除去され、図1Fに示すように、分離領域24に沿って延在するSTI酸化物ブロック26が残される。
【0021】
上述したSTI分離法は、分離領域24を形成するための好ましい方法である。あるいは、トレンチ20が基板内まで達しない公知のLOCOS分離法(例えば、リセスLOCOSや、ポリ緩衝LOCOSなど)を使用し、ストライプ領域18内の基板表面上に分離材料を形成してもよい。図1A図1Fは、基板のメモリセルアレイ領域を図示し、そこでメモリセルのカラムは、分離領域24によって離間される活性領域22に形成されるであろう。なお、基板10は、メモリセルアレイ領域に形成されたメモリセルを動作させるため使用される制御回路が形成された少なくとも1つの周辺領域(不図示)も有する。好ましくは、上述したものと同じSTI又はLOCOS処理中に、周辺領域内に分離ブロック26も形成される。
【0022】
メモリセル形成
図1Fに示す構造は、更に以下のとおりに処理される。図2A図2Jは、図1Fに対して直交する方向から(図1C及び図1Fに示す線2A−2Aに沿って)見た、活性領域22の構造の断面図を示す。本発明の処理における次の工程は両方の領域に同時に実行される。
【0023】
絶縁層30(好ましくは酸化物層又は窒素ドープ酸化物層)が最初に基板10上に(例えば〜10〜50Åの厚さで)形成される。基板10の活性領域部分は、メモリデバイスのセルアレイ部分を周辺領域に比べ良好に独立して制御するために、ドープ処理を施してもよい。そのようなドープ処理はしばしばVtインプラント又はセルウェルインプラントと呼ばれ、当該技術では周知である。このインプラントの間、周辺領域は、構造全体に蒸着され基板のメモリセルアレイ領域だけから取り除かれるフォトレジスト層によって保護されている。次に、厚い窒化物等のハードマスク材料層32を酸化物層30(例えば厚さ〜3500Å)の上に形成する。更に、酸化物等の絶縁層34を窒化物層32の上に形成する。図2Aは結果得られる構造を示す。
【0024】
フォトレジスト(マスキング)材料を酸化物層34上に塗布し、次にマスキング工程を実行して、選択された平行なストライプ領域からフォトレジスト材料を取り除くことによって、酸化物層34、窒化物層32、酸化物層30内に複数の平行な第2トレンチ36を形成する。異方性酸化物−窒化物−酸化物エッチングを使用して帯状領域内の酸化物層34、窒化物層32、酸化物層30の露出部分を除去することで、基板10まで延び、基板10を露出させる第2のトレンチ36が残る。次に、シリコン異方性エッチングを用いて、第2トレンチ36を各活性領域内22において基板10内へと下方に伸張する(例えば、約130Å〜数ミクロンのような、機構約1つ分の深さまでエッチングが行われる)。フォトレジストを取り除くのは、基板10内にトレンチ36が形成される前でも後でもよい。
【0025】
酸化物エッチングにより、酸化物34を除去する。次に、絶縁材料による任意の犠牲層37を(好ましくは熱酸化処理又はCVD酸化処理により)、第2のトレンチ36内で、第2のトレンチ36の底壁や下方側壁を形成する、露出シリコンに沿って形成する。酸化物37を形成することで、酸化物除去後の酸化工程により、損傷したシリコンを除去できる。次に、任意のインプラント工程により、ドーパントをトレンチ36下の基板(浮遊ゲート電圧閾値調整用、貫通防止用に、浮遊ゲートの下に存在する基板の部分)にインプラントする。好ましくは、インプラントは傾斜しており、結果得られた構造を図2Bに示す。
【0026】
酸化物エッチングを実行して、犠牲酸化物層37を除去する。その後、酸化物層38を(好ましくは熱酸化又はCVD酸化処理により)、第2のトレンチ36内で、第2のトレンチ36の底壁や下方側壁を形成する、露出シリコンに沿って形成する(厚さは例えば〜60Å〜150Åとする)。その後、ポリシリコンの厚い層40(以下、「ポリ」)を第2トレンチ36に充填された構造上に形成する。ポリ層40をイオンインプラントでドープ処理(例えばn+)してもよく、In−situリン又はヒ素ドーピングポリ処理を行ってもよい。ポリ40がイオンインプラントでドープ処理されている場合、インプラント焼成処理を実行してもよい。結果得られた構造を図2Cに示す。
【0027】
ポリエッチング処理(例えば、エッチングストッパに窒化物層32を使用したCMP処理)を使用して、第2トレンチ36に残留するポリシリコン層40のブロックを除いて、ポリ層40を除去する。その後、制御性ポリエッチングを使用して、ポリブロックの高さを下げる。その結果、ポリブロック頂部が、基板10の表面とほぼ同じ高さになる。その後、酸化物スペーサ44が第2トレンチ36の側壁に沿って形成される。スペーサの形成は、当該技術分野において既知であり、構造の輪郭上で材料の蒸着の後、異方性エッチング処理を伴い、材料は、構造の水平面から除去される一方で、材料は、(丸みを帯びた上面を有する)構造の垂直に配向した表面上に大部分はそのまま残存する。構造上に酸化物を蒸着し(例えば厚さ約300〜1000Å)、その後異方性酸化物エッチングを行うことで、トレンチの側壁に沿って、ポリブロックを部分的に覆うよう、スペーサ44が形成される。その後、異方性ポリエッチングにより、ポリブロックの露出部分を除去し、スペーサ44の一つの下にそれぞれ設けられた(そして自己整列した)ポリブロック42の組が残る。
【0028】
基板がP型、N型かによって、ヒ素、リン、ホウ素、アンチモンの少なくとも1つを含む(更に任意で焼成された)イオンインプラント処理が構造表面に行われ、第2トレンチ36の底の基板部分内の第1(ソース)領域46が形成され、その後インプラントが焼成される。ソース領域46は、第2トレンチ36に対し自己整列し、基板(例えばP型)の第1導電型と異なる第2導電型(例えばN型)を持つ。ソース領域46が分離領域24間に跨って延在するよう、イオンインプラントが深くなっているか、インプラント処理の前にSTI絶縁材料を第2トレンチ36の分離領域から除去しておく。結果得られた構造を図2Dに示す。
【0029】
次に、絶縁層48が、第2トレンチ36の側壁及び底部を含む構造上に形成される。絶縁層48は、異なる材料の複数の副層により形成可能である。好ましい実施形態では、層48は、酸化物、窒素物、酸化物副層を含むONO(酸化物−窒素物−酸化物)層である。その後、厚い導電層(例えばポリ)が構造上に形成され、ポリエッチング(例えばポリCMPエッチングとポリエッチバック)により、第2トレンチ36の底部に存在するポリブロック50を除いてポリ層が除去される。結果得られた構造を図2Eに示す。
【0030】
絶縁材料(例えば酸化物)の厚い層が構造上に蒸着され、その後酸化物CMPエッチングが行われて、酸化物層(及び層48の第2トレンチ36外の部分)が除去される。その結果、図2Fに示すように、第2トレンチ36の上部に酸化物52が充填される。酸化物エッチバックにより、トレンチ上部の酸化物52、層48、スペーサ44が除去され、図2Gに示すようにポリブロック42の頂部が露出される。酸化物蒸着処理が実行され、酸化物エッチングが行われることで、第2トレンチ36の側壁に沿って、酸化物スペーサ54が形成される。酸化物形成により、ポリブロック42の露出部分上に酸化物層56が形成される。層56は、高品質酸化物化学蒸着法(CVD)処理により形成される。あるいは、酸化物層56は高温酸化(HTO)処理により形成可能である。この場合、図2Hに示すよう、層56はポリブロック42の露出部分にのみ形成される。
【0031】
窒化物、酸化物エッチングを実行して、窒化物32と酸化物30を除去する。任意でリソグラフィ処理を実行して、トレンチ36内に酸化物56を残してもよい。あるいは、窒化物32を、酸化物56を形成する前に除去してもよい。P型イオンインプラント処理により、メモリセル用の制御(又はWL)トランジスタを形成する。熱酸化を行って、基板10の露出部分にゲート酸化物層58を形成する(厚さ15A〜70A)。厚いポリ層が構造上に蒸着される(即ち、トレンチ36内の酸化物層58)。In−situリン又はヒ素ドーピングを実行してもよい。又はポリインプラント処理及び焼成処理を実行してもよい。ポリ平面化エッチングにより、ポリ層の頂部を平坦化する。フォトリソグラフィと、ポリエッチングを実行して、図2Iに示すように、トレンチ36内のポリブロック60とトレンチ36外のゲート酸化物層58上のポリブロック62及び隣接する酸化物スペーサ54を残して、ポリ層を部分的に除去する。
【0032】
その後、酸化物エッチングを行って、酸化物層58の露出部分を除去する。酸化物蒸着と異方性エッチングにより、ポリブロック62外側に酸化物スペーサ64を形成する。適切なイオンインプラント処理(及び焼成)により、基板内に第2(ドレイン)領域66を形成する。BPSG又は酸化物のような絶縁材料68を構造上全体に形成する。ドレイン領域66全体でエッチングされる領域を決定するため、マスキング工程を行う。絶縁材料68は、マスクされた領域で選択的にエッチングされて、下向きの、ドレイン領域66まで達するコンタクト開口が形成される。コンタクト開口は、導電性金属(例えばタングステン)により充填され、ドレイン領域66に電気的に接触した金属コンタクト70を形成する。最終的な活性領域メモリセル構造を図2Jに示す。
【0033】
図2Jに示すように、本発明の処理により、メモリセルが酸化物ブロック48両側に配置された対称的なメモリセル組が形成される。各メモリセルについて、第1及び第2領域46、66がそれぞれソース及びドレイン領域となる(当業者であれば、ソース及びドレインを動作中に切り替えることが可能であることが理解されよう)。ポリブロック42は浮遊ゲートを成し、ポリブロック50はカップリングゲートを成し、ポリブロック60は消去ゲートを成し、ポリブロック62はワードライン(制御)ゲートを成す。各メモリセル用のチャネル領域72は、ソース及びドレイン46、66間の基板の表面部分に画定される。各チャネル領域72は、ほぼ直角に交わる2つの部分を有する。具体的には、第1(直角)部分72aが充填された第2トレンチ36の垂直壁に沿って延在し、第2(水平)部分72bが充填された第2トレンチ36の側壁と、ドレイン領域66との間に延在する。各メモリセル組は、充填された第2トレンチ36下に配置された(更に浮遊ゲート42及びカップリングゲート50下の)共通のソース領域46を共有する。同様に、各ドレイン領域66が、異なる対称的なメモリセル組の隣接したメモリセルにより共有される。図2Jに示すメモリセルアレイでは、カップリングゲート50が、活性及び分離領域22、24の両方に跨って延在する制御線として連続的に形成されている。
【0034】
浮遊ゲート42は、それぞれチャネル領域垂直部分72aに対し、絶縁された状態で対向して、第2トレンチ36内且つ1つのソース領域46上に配置される。各浮遊ゲート42は、消去ゲート60の切欠き80に対向(且つ絶縁)した角縁42aを有する上部を有する。これにより、酸化物層56から消去ゲート60へのファウラーノルドハイムトンネリング用経路が設けられる。
【0035】
メモリセル動作
メモリセルの動作について説明する。上記のようなメモリセルの動作及び動作原理は、浮遊ゲート、ゲート間トンネリング、メモリセルアレイが形成された不揮発性メモリセルの動作及び動作原理について、参照により本書に組み込まれる米国特許第5,572,054号にも説明されている。最終的な構造では、メモリセル組が共通のソース領域46を共有している。制御(ワードライン)ゲート62が、下のチャネル領域72の水平部分72bを制御するため、基板上に形成されている。浮遊ゲート42は、チャネル領域72の(トレンチ36の側壁に沿った)垂直部分72aを制御するため、第2トレンチ36内に設けられている。消去ゲート60は、浮遊ゲート42の縁42a周りに延びる切欠き80を有する。カップリングゲート50はトレンチ36内に設けられ、浮遊ゲート42及びソース領域46の両方から絶縁されている。好ましくは、カップリングゲート50下の絶縁物(絶縁層38及び48を成す)は、浮遊ゲート42下の絶縁物(絶縁層38のみを成す)よりも厚い。
【0036】
任意のある活性領域22の、選択されたメモリセルを消去するため、その消去ゲート60に正の高電圧がかけられる。浮遊ゲート42上の電子は、ファウラーノルドハイムトンネリング機構により、浮遊ゲート42の角縁42aから、酸化物層56を介して、消去ゲート60までトンネリングされる。これにより、浮遊ゲート42が正に帯電される。角縁42aが鋭く、消去ゲート60に形成された切欠き80に対向することで高いトンネリング効果が得られる。消去ゲート60が上部より狭く、角縁42aを包むよう第2トレンチ36頂部迄延びることで、切欠き80が形成される。各消去ゲート60は浮遊ゲート42組の両方に対向するため、各組の浮遊ゲート42は同時に消去される。
【0037】
選択されたメモリセルにプログラミングしようとする場合、そのドレイン領域66に小電圧がかけられる。正電圧がその制御ゲート62、カップリングゲート50、ソース領域46、消去ゲート60にかけられる。浮遊ゲート42は、ソース領域46、カップリングゲート50、消去ゲート60に強く容量性カップリングされているため、浮遊ゲート42は電圧電位に「なる」。ドレイン領域66で生成された電子は、当該領域から、チャネル領域72の深い空乏層の水平部分72bを介してソース領域46に流れる。電子がチャネル領域72の垂直部分72aに達すると、浮遊ゲート42は高電位となる(浮遊ゲート42が正に帯電したソース領域46、カップリングゲート50、及び消去ゲート60に強く電圧結合されるため)。電子は加速、加熱されて、大部分が絶縁層38内に注入されて浮遊ゲート42上に至る。これにより浮遊ゲート42が負帯電される。Vcc又は接地電位が、選択されたメモリセルを含まないメモリセル行、列用のソース/ドレイン領域46、66、カップリングゲート50、制御ゲート62にかかる。したがって、選択された行及び列のメモリセルにのみプログラミングが行われる。
【0038】
浮遊ゲート42に電子が注入され続けるのは、浮遊ゲート42上の電荷の減少により、高温電子を生成するための垂直チャネル領域部分72aに沿った高表面電位を維持できなくなるまでである。その時点で、浮遊ゲート42内の電子又は負電荷は、ドレイン領域66から浮遊ゲート42上へ流れる電子を減少させる。
【0039】
最後に、選択されたメモリセルに読み込みを行うため、そのソース領域46に接地電位がかけられ、そのドレイン領域66にリード電圧がかけられ、その制御ゲート62にVcc電圧がかけられる。浮遊ゲート42が正帯電されていると(即ち浮遊ゲートから電子が排出されていると)、垂直チャネル領域部分72a(浮遊ゲート42に隣接)が活性化される(即ち、導電する)。制御ゲート62がリード電位まで引き上げられると、水平チャネル領域部分72b(制御ゲート62に隣接)も活性化される。これにより、チャネル領域72全体が活性化し、電子がソース領域46からドレイン領域66に流れる。このように検知された電流を「1」状態とする。
【0040】
一方、浮遊ゲート42が負帯電の場合、垂直チャネル領域部分72aは弱く活性化されるか、完全に遮断される。制御ゲート62及びドレイン領域66がリード電位に引き上げられても、垂直チャネル領域部分72aにはせいぜい小さな電流しか流れないか、まったく電流が流れなくなる。この場合、電流は「1」状態と比較して非常に小さいか、まったく流れない。このようにして、メモリセルが「0」状態でプログラミングされることが検出される。選択されていない列や行ではソース/ドレイン領域46、66及び制御ゲート62に接地電位がかけられるため、選択されたメモリセルのみ読み込まれる。
【0041】
図2Jのメモリセルの利点の1つとして、トレンチ36内のカップリングゲート50が高電圧で動作可能(プログラミング、読み込み中に浮遊ゲート42への容量性カップリングのため)でありながらソースが低い(又は異なる)電圧で動作可能であることが挙げられる。ワードライン62、ビットライン66、カップリングゲート50、消去ゲート60、ソースライン46について、消去、読み込み、プログラミング用の電圧の例を以下の表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
本実施形態では、プログラミング中、ソース46は4.5V下におきながら、カップリングゲート50を10V(即ちカップリングゲート50により浮遊ゲート42へより高電圧の容量性カップリングを行う)においてもよい。同様に、読み込み中、ソース46を0V下としながら、カップリングゲート50をVcc下においてもよい。
【0044】
別実施形態では、消去時にカップリングゲート50に負電圧をかけてもよい。これにより、以下の表2に示すように、消去ゲートの高電圧を(12ボルトから)9ボルトへと下げることができる。
【0045】
【表2】
【0046】
上述のメモリセルを形成する方法の更なる利点として、制御ゲート62及び消去ゲート60が同じポリ層及びポリ層形成工程により形成されることで、より高い制御と製造効率が得られることが挙げられる。しかし、制御、消去ゲートを別々に形成するため、別々のポリ蒸着工程を実行してもよい。例えば、図2Hの構造から、ポリブロック60でトレンチ36上が充填されるよう、ポリ蒸着及びCMPエッチバックを実行可能である。ポリブロック60上に保護酸化物層を形成してもよい。更に、上述したような窒化物32及び酸化物30の除去、イオンインプラント、ゲート酸化物58形成が行われる。厚いポリ層が構造上に形成され、その後スペーサとしてのポリブロック62を形成するべくポリエッチングが行われる。そして、構造は上述のように処理されて、メモリセルが完成する。
【0047】
メモリセルアレイは、本分野では公知である従来のローアドレス複合回路、カラムアドレス複合回路、センスアンプ回路、出力バッファ回路、入力バッファ回路を含む周辺回路を有する。
【0048】
本発明は、より小型で、プログラミング、読み込み、消去をより効率的に行えるメモリセルアレイを提供する。メモリセルの小型化を大幅に進めることが可能なのは、ソース領域46が基板10に埋め込まれ、第2トレンチ36に対し自己整列しているため、リソグラフィ生成、コンタクト合わせ、コンタクト精度による制限により空間が使用されないためである。各浮遊ゲート42は、基板の第2トレンチ36に設けられ、プログラミング動作中に電子のトンネリングが行われ、読み込み動作中には垂直チャネル領域部分72aの活性化が行われるための下部を有する。更に、各浮遊ゲート42は、消去ゲート60の切欠き部分80に対向した角縁42aまでの上部を有することで、消去動作中、そこへのファウラーノルドハイムトンネリングが生じる。角縁42aを囲う、消去ゲート60の切欠き80により、高い消去効率が得られる。
【0049】
更に本発明では、ソース領域46及びドレイン領域60が垂直及び水平に分離しているため、セルのサイズとは無関係に、信頼性パラメータをより容易に最適化できる。更に、制御ゲート62は消去ゲート60とは別に設けられているため、単に低電圧装置であってもよい。このため、高電圧駆動回路を制御ゲート62に連結する必要がなく、制御ゲート62を浮遊ゲート42からより離間でき、両者間の容量性カップリングを低下できる。更に、制御ゲート62が高電圧動作しないため、基板10から制御ゲート62を絶縁する酸化物層58は薄くてもよい。メモリセルは、2つのポリ蒸着工程のみで形成可能である。第1の工程で、浮遊ゲートを形成し、第2の工程で制御及び消去ゲートを形成するのである。最後に、独立したカップリングゲート50を、ソース領域46から浮遊ゲート42を絶縁している絶縁物より厚い絶縁物によりソース領域46から絶縁された状態で、トレンチ内に設けることで、より高い性能を得られ、ソース、消去ゲート、制御ゲートに対しより低いカップリング電圧を使用可能となる。
【0050】
本発明は、図示された上記実施例に限定されるものではなく、請求の範囲にあるあらゆる変形例も包含することが理解されよう。例えば、トレンチ20、36は基板へと延在するいかなる形状であってもよく、側壁は垂直であってもなくてもよく、図示されたような矩形でなくてもよい。上記方法では、メモリセルを形成するために使用される導電性材料として適切にドープ処理されたポリシリコンを使用したが、本開示及び特許請求の範囲において、不揮発性メモリセルの要素を形成するために使用可能な「ポリシリコン」があらゆる適切な導電性材料を示すことは、当業者であれば自明である。更に、任意の適切な絶縁体は、二酸化珪素又はシリコン窒化物の所定の位置で使用されてもよい。更に、二酸化珪素(又はあらゆる絶縁体)やポリシリコン(又はあらゆる導電体)とは異なるエッチング特性を有するあらゆる適切な材料を使用することができる。更に、請求項を見てわかるように、全ての方法の工程が、例示又は請求した正確な順序で実施される必要はなく、むしろ任意の順序で本発明のメモリセルの適切な成形が可能である。また、上記の発明は、一様にドープ処理されているように示されている基板に形成されていたが、メモリセル要素が基板のその他の部分とは異なる導電型を有するようにドープ処理された領域である基板のウェル領域に形成可能であることは公知であり本発明においても考慮されている。絶縁材料又は導電材料の単一の層が、そのような材料の複数の層として形成されてもよく、逆も又同様である。浮遊ゲート42の頂面は、基板表面の上方に延在可能であり、あるいは下方に埋没可能である。最後に、浮遊ゲート縁42aを取り囲む切欠き80が好ましいが、これらは必須要素ではなく、消去ゲート60は切欠き80を設けずとも実施可能である(例えば、消去ゲート60の下部は、浮遊ゲート42に単に横方向に隣接しているか垂直方向に隣接し(浮遊ゲート42から絶縁され)ている)。
【0051】
本明細書における本発明に対する言及は、いかなる請求項も又は請求項の用語も限定することを意図するものではなく、代わりに請求項の1つ以上によって包含されることがある1つ以上の特徴に言及することを意図するにすぎない。上述の材料、プロセス、及び数値例は、単なる例示であり、請求項を限定するものと見なされるべきではない。本明細書で使用されるとおり、用語「〜の上に(over)」及び「〜の上に(on)」の両方は、「直接的に〜の上に」(中間の材料、要素、又は間隙が間に配設されていない)及び「間接的に〜の上に」(中間の材料、要素、又は間隙が間に配設されている)を包括的に含むことに留意されるべきである。同様に、用語「隣接する」は、「直接的に隣接する」(中間の材料、要素、又は間隙が間に配設されていない)及び「間接的に隣接する」(中間の材料、要素、又は間隙が間に配設されている)を含む。例えば、「基板の上に」要素を形成することは、中間の材料/要素が介在せずに直接的に基板の上にその要素を形成することも、1つ以上の中間の材料/要素が介在して間接的に基板の上にその要素を形成することも含む可能性がある。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J