【実施例】
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
実施例1:ODC(Ornithine decarboxylase)の構造分析及び変異体の設計
一般に、大腸菌は2つの形態のODCを有することが知られている。一方は周辺のpHが酸性状態のときに発現が誘導されるinducible ODC(speF)であり、他方はプトレシンなどのジアミン(diamine)の生産に関与するconstitute ODC(speC)である(非特許文献5)。そのうち、プトレシン生産に関与するconstitute ODCであるspeCを標的遺伝子に選定した。
【0060】
現在まで、バクテリアにおいてはビブリオ菌とラクトバチルス菌のODCの構造が明らかになっており、そのうち大腸菌のODC(speC)はラクトバチルス30a ODCに類似の構造を有するものと予測されていた。よって、ラクトバチルスODCの3D構造に基づいて、大腸菌ODC(speC)のアミノ酸配列をGeneDocプログラムで整列比較(align)した(非特許文献6)。アミノ酸配列を比較した結果、大腸菌speCとラクトバチルス30a ODCの配列同一性は53%、類似性は65%であり、両酵素は非常に類似したタンパク質であることが判明した。よって、RCSB Protein Data Bankに登録されているラクトバチルス30a ODC(PDB ID: 1ORD)の構造に基づいて、大腸菌speCの構造をホモロジーモデリング(homology modeling)した。その結果、タンパク質の全体的な骨格が非常に類似しており、PLP(pyridoxal phosphate)との結合に関与する活性部位(active site)のアミノ酸配列もほぼ同じであった。
【0061】
両酵素の構造分析の結果、ODCは二量体の形態で細胞内に存在し、二量体の境界面(interface)に活性部位が形成されるが、基質が活性部位に接近する通路の入口領域(entrance region)が狭いものと分析された。よって、基質が活性部位に効果的に接近して生成物が速く変換されるように、入口領域を広くするために入口領域のかさ高い(bulky)残基を小さな残基に置換する変異を導入する設計を行った(V156,D160,I163,E165,Q691)。
【0062】
さらに、活性部位に結合されている補因子(cofactor)であるPLPを安定化させるために、活性部位の周囲の残基にも変異を設計した(N153,D309)。
【0063】
実施例2:大腸菌ODC(speC)遺伝子のクローニング及び発現
大腸菌speC遺伝子を発現させるために、酵素発現のために通常用いられるpET28a(Novagen)ベクターシステムを用いた。まず、speC遺伝子は、大腸菌野生型菌株W3110の染色体を鋳型とし、表1に示すプライマーを用いてPCRで増幅した。PCR増幅により得られた遺伝子断片とベクターpET28aは、NdeIとXhoI制限酵素で処理(37℃,3時間)し、その後通常のライゲーション方法を用いてpET28aベクターにspeC遺伝子断片を挿入した。
【0064】
【表1】
【0065】
前述したように作製したspeC発現ベクター(pET28a−speC)の変異導入の有無は配列分析により確認した。
【0066】
実施例1において、対象残基にはそれぞれ小さな残基であるアラニン(alanine)に置換する変異を導入し、PLP安定化のためには、PLPと結合する位置によって異なる変異を導入した。
【0067】
前述したように作製したpET28a−speCベクターを鋳型とし、表1及び2に示すプライマーを用いてPCRを行った。1次的にspeC遺伝子に変異を導入するために、変異を起こそうとする部位を中心に前方部分(5’)と後方部分(3’)にそれぞれPCRを行い、次いで2次的に2つのPCR断片を組み合わせるPCRを行った。例えば、speC V156Aの場合、前方部分はspeC_start(NdeI)_5(配列番号2)及びspeC_V156A_3(配列番号5)プライマーを用いてPCRで増幅し、後方部分はspeC_V156A_5(配列番号4)及びspeC_stop(XhoI)_3(配列番号3)プライマーを用いてPCRで増幅した。1次PCRにより得られた2つのPCR断片を2次PCRの鋳型とし、speC_start(NdeI)_5(配列番号2)及びspeC_stop(XhoI)_3(配列番号3)プライマーを用いてPCRを行った。最終的に得られたspeC V156A遺伝子は、前記speC遺伝子断片と同じ方法でpET28aベクターに挿入した。その他の変異も、表2に示すプライマーを用いて、前記と同様にPCRを行ってpET28aベクターに挿入した。
【0068】
前述したように作製したspeC変異体発現ベクター(pET28a−speC_V156A,pET28a−speC_D160A,pET28a−speC_I163A,pET28a−speC_E165A,pET28a−speC_Q691A,pET28a−speC_N153D,pET28a−speC_N153E,pET28a−speC_D309E)の変異導入の有無は配列分析により確認した。
【0069】
【表2】
【0070】
実施例3:ODC(speC)変異体酵素のプトレシン合成活性の測定
3−1.ODC変異体酵素の取得
DE3遺伝子型を有する大腸菌に実施例2で作製したpET28a−speC変異体ベクターを導入することにより、酵素を取得できる菌株を作製した。
【0071】
前記pET28a−speC変異体ベクターの発現は、pETシステムマニュアル(Novagen)を参照した。具体的には、LB平板培地から各菌株の単一コロニーを選択して3mlのLB液体培地(+カナマイシン 50ug/ml)に接種し、37℃、200rpmの条件で16時間培養した。これを新たな15mlのLB培地(+カナマイシン 50ug/ml)に再接種し、OD
600が0.6程度になるように同じ培養条件で培養した直後に、最終濃度が0.5mMになるようにIPTGを添加して18℃、180rpmで20時間培養して酵素発現を誘導した。
【0072】
酵素発現誘導後に得られた細胞を超音波粉砕し、その後遠心分離し、得られた上清を1次活性評価のために用いた。さらに、酵素の特性を把握するために精製後に2次活性評価を行ったが、酵素はpETベクターにより酵素に結合して発現したhis−tagを用いてNi−NTA columnで分離した。精製にはChelating Excellose spin kit(Bioprogen)を用いた。前記過程で得られたODC(SpeC野生型と変異型)酵素は、8% SDS PAGEによりそれぞれ可溶な(soluble)形態で発現して上清から得られることが確認された。
【0073】
3−2.ODC(speC)変異体酵素のプトレシン合成活性の測定
オルニチンを基質として用いて、ODCによるプトレシン合成可否の程度を評価するために、実施例3−1で得られたODC(SpeC野生型と変異型)酵素の活性を測定した。プトレシン合成活性を把握するためのODCの活性評価条件は、既存の文献報告を参照して行った(非特許文献7)。
【0074】
すなわち、オルニチン1分子からODC酵素によりプトレシンが生成されると水1分子が消費され、プトレシンと共に二酸化炭素1分子とOH
−イオン1分子が生成されるので、全体的なpHは増加する(反応式1)。増加したpHに従ってpH指示薬の1つであるフェノールレッド(phenol red)による559nmでの吸光度が変化し、pHが増加した量に比例して吸光度の値も増加する。このような反応特性を用いて間接的にプトレシン生成量を測定した。
【0075】
[反応式1]
L−オルニチン+H
2O→プロレシン+CO
2+OH
−
【0076】
ODC酵素の1次活性評価のために、精製前に上清のタンパク質定量を行って濃度を同一にした。反応条件は、酵素上清30ug、10mMオルニチン、1.25uM PLPになるように反応液を作製し、その後40uMフェノールレッドでpH変化量をモニタリングした。
【0077】
測定した結果、ODC変異型酵素のうち野生型よりプトレシン生成速度が増加したのはI163AとE165Aであった。他の6種の変異型V156A、D160A、Q691A、N153D、N153E、D309Eにより変異を導入したODCは、559nmでの吸光度の変化がほとんどなかった(
図1参照)。
【0078】
1次スクリーニングで選択されたODC変異体I163AとE165Aの2つの酵素の特性を具体的に把握するために、his−tagで精製、定量して各オルニチン濃度におけるプトレシン合成速度を測定した。用いたODC酵素濃度は10ug、オルニチン濃度は0.15〜10mMの範囲で、前述したようにフェノールレッドでpH変化量を測定した。
【0079】
【表3】
【0080】
これらの結果から、ODCの構造分析により設計したI163A、E165A変異型ODC酵素は、野生型に比べてK
M値がそれぞれ53%、27%減少し、基質であるオルニチンの結合親和性(binding affinity)が増加したことが分かる。また、kcat値は、WTに比べてI163A変異型は12.5%、E165A変異型は50%増加した値となったので、オルニチンをプトレシンに変換する能力も増加したことが分かる。最終的に、酵素活性の特徴を示すkcat/K
M値を計算した結果、WTに比べてI163A変異型は2.4倍、E165A変異型は2倍に増加したことが確認された(表3)。
【0081】
実施例4:ODC(speC)変異の最適化
実施例3で確認されたように、ODC活性に重要な残基である163番目のアミノ酸(イソロイシン)及び165番目のアミノ酸(グルタミン酸)に各種小さなサイズのアミノ酸への変異を導入した。変異導入は実施例1の方法と同様に行い、用いたプライマーは表4の通りである。さらに、163、165番目の位置にそれぞれ単一変異を導入し、その後各位置にODC活性が増加した変異の組み合わせを導入した二重変異体(double mutant)を作製して評価した。
【0082】
【表4】
【0083】
表4のプライマーにより導入されたODC変異体を実施例2及び3の方法で精製し、プトレシン合成速度を測定した。前述したように作製したODC変異体に対するプトレシン合成速度測定の結果は表5の通りである。
【0084】
【表5】
【0085】
表5に示すように、163、165番目のアミノ酸残基にそれぞれグリシン(G, glycine)、セリン(S, serine)、バリン(V, valine)への単一変異を導入した結果、163番目の残基においてはセリン、165番目の残基においてはバリンに置換した場合に、kcat/K
M値が野生型に比べてそれぞれ4.4倍、6.9倍に増加した活性を示した。これらの結果に基づいて、2つの残基に二重変異を導入して活性を確認した。意外にも、単一変異を導入した際に最も高かったI163SとE165Vの組み合わせの二重変異の場合より、163、165番目の残基をどちらもバリンに置換した場合に、野生型に比べて21.3倍増加した最も高い活性を示した。
【0086】
全体的には、ODC酵素変異体の活性増加は、K
M値の減少よりも、kcat値の増加によるkcat/K
M値の増加として現れた。これは、変異導入により基質であるオルニチンの酵素に対する結合親和性の増加よりも、生成物であるプトレシンに変換される速度を増加させる方向にODC酵素の構造が変化したことを示唆するものである。
【0087】
実施例5:オルニチンを基質とするODC変異体酵素発現菌株の作製及びプトレシン変換の測定
実施例4で変異を最適化したODC変異体酵素が実際に微生物内でもオルニチンをプトレシンに変換する効果があるか否かを評価した。
【0088】
具体的には、DE3遺伝子型を有する大腸菌に前述したように作製したpET28a−speC変異体ベクターを導入した菌株を用いて実験を行った。LB平板培地から各菌株の単一コロニーを選択して3mlのLB(+カナマイシン 50ug/ml)液体培地に接種し、37℃、200rpmの条件で16時間培養した。これを新たな25mlのLB(+カナマイシン 50ug/ml及び0.2% グルコース)液体培地に再接種し、OD
600値が0.5〜0.6になるように培養した。その後、0.5mM IPTGを添加してODC(speC)の発現を誘導し、18℃、200rpmの条件で20時間培養し、次いで遠心分離により上清を除去して細胞を得た。凝集体(pellet)の形態で得られた細胞を再び1XM9最小培地(3.37mM Na
2HPO
4,2.2mM KH
2PO
4,0.86mM NaCl,0.94mM NH
4Cl)に再懸濁してOD
600値が20になるように調整し、さらに基質である10mMオルニチンと補因子である0.5uM PLPを添加して最終反応体積が10mlになるようにした。25℃、200rpmの条件で振盪しながら反応させ、所定時間毎にサンプリングしてTNBSを用いたプトレシン定量測定方法で変換されたプトレシン濃度を測定した(非特許文献8)。
【0089】
TNBS方法は、前述したようにサンプリングした培養液を遠心分離し、その後上清を50倍に希釈して分析を行った。希釈した分析試料0.5mlに4N NaOHを1ml添加して十分に混合し、それに1−ペンタノールを2ml注いでさらに混合した。2000rpmで5分間遠心分離し、その後0.1M Na
2B
4O
7(pH8.0)を1ml入れた新たなチューブに上清1mlを注いで十分に混合した。さらに10mM TNBSを1ml添加して混合し、DMSOを2ml注いで混合し、その後遠心分離し、次いで上清を取って426nmで吸光度を測定した。
【0090】
【表6】
【0091】
野生型とODC変異体3種に対してプトレシン変換測定実験を行った結果、反応2時間後のsampleにおいて、ODC変異体はオルニチンをプトレシンに変換する速度が野生型に比べて相対的に約32〜39%増加した。ODC変異体間の変換速度差はほとんどなく、in vitro実験で見られた精製したODC変異体間における大きな活性の差は見られなかったものの、野生型においては4時間経過しても反応が完全には終了しなかったが、変異体においては4時間以内に反応がほぼ終了した。上記結果から、in vivo実験である酵素変換菌株においてもODC変異体の活性効果が向上することが確認された。
【0092】
実施例6:ODC変異体導入プトレシン生産菌株の作製及びプトレシン生産能の測定
前述したように作製したプトレシン変換活性が増加したODC変異体を実際にプトレシン生産菌株に導入するとプトレシン生産性にいかなる影響を与えるかを確認するために、プトレシン生産能を測定した。
【0093】
6−1.ODC変異体導入プトレシン生産菌株の作製
NCgl1469タンパク質の活性を内在性活性より低下させることによりプトレシン生産能が向上したコリネバクテリウム属微生物(KCCM11240P)に基づき、前記プトレシン変換活性が増加したODC(speC)変異体を染色体内の野生型speCに導入した変異菌株を作製した。
【0094】
前記プトレシン生産能が向上したコリネバクテリウム・グルタミカム(KCCM11240P)菌株は、特許文献2に開示されている菌株であり、母菌株として特許文献3に開示されているプトレシン生産能を有するコリネバクテリウム属微生物(KCCM11138P)を用いて作製した。より具体的な菌株作製方法は、ATCC13032菌株の遺伝子NCgl1469の塩基配列に基づいて、NCgl1469のN末端部分とC末端部分をpDZベクターにクローニングし、プトレシン生産能を有するコリネバクテリウム属微生物(KCCM11138P)菌株に電気穿孔法を用いて導入し、その後カナマイシン(25μg/ml)を含む培地に塗抹して選択した。ベクターの染色体挿入が正常に行われたものは、X−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含む培地で青色を示すコロニーを選択し、1次染色体挿入が行われた菌株を栄養培地で培養し、その後希釈してX−galを含む抗生物質を含まない培地に塗抹し、低い割合で出現する白色コロニーを選択することにより、交差(cross over)による最終のNCgl1469遺伝子欠失菌株を選択した。最終的に作製されたKCCM11138P△NCgl1469菌株は、細胞内でプトレシン分解経路の1つであるプトレシンがN−アセチルプトレシンに分解される経路に関与するタンパク質であるNCgl1469をコードする遺伝子を欠失させることにより、母菌株であるKCCM11138P菌株よりプトレシン生産能が向上したプトレシン過剰生産菌株である。
【0095】
具体的には、表7に示すspeC_start(BamHI)_5、speC_stop(XbaI)_3プライマーを用いて、実施例2及び4で作製したODC(speC)変異体のDNAを増幅した。より具体的には、前述したように作製したpET28a−speC変異体(I163S,I163V,I163S E165V)ベクターを鋳型とし、表7に示すspeC_start(BamHI)_5、speC_stop(XbaI)_3の2つのプライマーを用いてPCRを行った。
【0096】
【表7】
【0097】
PCR増幅により得られた遺伝子断片とベクターpDZをBamHIとXbaI制限酵素で処理(37℃,3時間)し、その後通常のライゲーション(ligation)方法を用いてpDZベクターにspeC変異体の遺伝子断片を挿入した。作製された染色体挿入用組換えベクター(pDZ−speC_I163S,pDZ−speC_I163V,pDZ−speC_I163S E165V)は配列分析により確認した。
【0098】
speC変異体が染色体に挿入された菌株を得るために、前述したように作製したpDZ−speC_I163S、pDZ−speC_I163V、pDZ−speC_I163S E165V組換えベクターのそれぞれをKCCM11240P菌株に電気穿孔法でトランスフェクションし、その後BHIS平板培地(ブレインハートインフージョン 37g/l,ソルビトール 91g/l,寒天 2%,1L中+カナマイシン 25ug/ml)に塗抹した。
【0099】
ベクターの染色体挿入が正常に行われたか否かは、X−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含む固体培地で青色を示すか否かにより判別した。1次染色体挿入が行われた菌株を栄養培地で振盪培養(30℃,8時間)し、その後それぞれに段階希釈(serial dilution)を行い、X−galを含む固体培地に塗抹した。ほとんどのコロニーが青色を示すのに対して、低い割合で出現する白色のコロニーを選択することにより、2次交差により最終的にspeC変異体が染色体に導入された菌株が得られた。最終的に、菌株は変異体の配列分析により確認した。確認された菌株をKCCM11240P::speC_I163S、KCCM11240P::speC_I163V、KCCM11240P::speC_I163S E165Vと命名し、そのうちKCCM11240P::speC_I163S E165VをCorynebacterium glutamicum CC01−0578と命名し、2013年6月10日付けでブダペスト条約上の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms, KCCM)に受託番号KCCM11425Pとして寄託した。
【0100】
6−2.ODC変異体導入プトレシン生産菌株のプトレシン生産能の測定
ODC(speC)変異体導入によるプトレシン生産菌株のプトレシン生産能の影響を確認するために、実施例6−1で作製した菌株を対象にプトレシン生産能を評価した。
【0101】
具体的には、前述したように作製した菌株を1mMアルギニンを含むCM平板培地(ブドウ糖1%,ポリペプトン 1%,酵母抽出物0.5%,牛肉抽出物 0.5%,NaCl 0.25%,尿素 0.2%,50% NaOH 100ul,寒天 2%,pH6.8,1L中)で30゜Cにて16時間培養し、その後表8の組成からなる25mlの力価培地に1白金耳程度接種し、次いでこれを30℃にて200rpmで24時間振盪培養した。作製された全ての菌株において、発酵時に培地に1mMアルギニンを添加して培養した。
【0102】
【表8】
【0103】
その結果、表9に示すように、活性が増加したODC(speC)変異体を導入した菌株において、12時間後の試料のプトレシン生産量が37〜105%増加した。
【0104】
これらの結果は、ODC変異体が導入されることにより、プトレシン生産菌株において糖消費の割に従来より高い濃度のプトレシンを生産できることを示すものである。
【0105】
【表9】
【0106】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は、明細書ではなく特許請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更又は変形された形態を含むものであると解釈すべきである。
【0107】
【表10】