(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)それを必要とする対象において疾患または状態の処置であって、前記疾患が炎症性疾患または状態、免疫疾患または状態、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶および移植片対宿主疾患から選択され、前記疾患または状態がTYK2阻害に対し感受性があり、前記化合物の有効なTYK2阻害量を前記対象に投与することを含む処置;または
(B)それを必要とする対象において自己免疫疾患の処置であって、前記対象においてTYK2キナーゼを阻害しそれによって自己免疫疾患に関連する炎症プロセスの規模を遮断するか低減するように前記化合物の有効なTYK2阻害量を前記対象に投与することを含む処置;または
(C)それを必要とする対象において疾患または状態の処置であって、前記疾患が自己免疫疾患以外であり炎症性疾患または状態、免疫疾患または状態、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶および移植片対宿主疾患から選択され前記疾患または状態がTYK2阻害に対し感受性があり、前記化合物の有効なTYK2阻害量を前記対象に投与することを含む処置;または
(D)それを必要とする対象において疾患または状態の処置であって、前記疾患が
(a)放射線曝露による皮膚炎症;
(b)喘息;
(c)アレルギー性炎症;
(d)慢性炎症;
(e)炎症性眼疾患;
(f)ドライアイ症候群(DES、乾性角結膜炎または涙機能不全症候群としても公知);
(g)ブドウ膜炎(例えば、非罹患性ブドウ膜炎の慢性進行性または再発性形態);
(h)インスリン依存型糖尿病(I型);
(i)橋本甲状腺炎;
(j)グレーブス病;
(k)クッシング病;
(l)アディソン病(副腎が罹患)
(m)慢性活動性肝炎(肝臓が罹患);
(n)多嚢胞性卵巣症候群(PCOS);
(o)小児脂肪便症;
(p)乾癬;
(q)炎症性腸疾患(IBD);
(r)強直性脊椎炎;
(s)関節リウマチ;
(t)全身性エリテマトーデス;
(u)重症筋無力症;
(v)移植拒絶(同種移植片移植拒絶);および
(w)移植片対宿主病(GVDH);
から選択される任意の1種または複数の疾患または状態であり、前記疾患が
(x)敗血症および敗血症性ショック;ならびに
(y)多発性硬化症
からさらに選択されていてもよく、前記化合物の有効なTYK2阻害量を前記対象に投与することを含む処置;または
(E)TYK2キナーゼによって媒介される病態または状態の診断および処置であって、(i)患者をスクリーニングして、前記患者が罹患しているか罹患し得る疾患または状態が、前記キナーゼに対して活性を有する化合物での治療に感受性があるであろう疾患または状態であるかどうかを決定するステップと;(ii)患者が罹患し得る疾患または状態が示された場合、その後で前記化合物の有効なTYK2阻害量を前記患者に投与するステップとを含む診断および処置
のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0019】
したがって、第1の実施形態(実施形態1.0)では、本発明は、TYK2キナーゼを阻害する方法であって、TYK2キナーゼと、式(0)を有する化合物またはその塩もしくは立体異性体の有効なTYK2キナーゼ阻害量とを接触させることを含む方法を提供する:
【化1】
[式中、
nは、0、1または2であり;
Ar
1は、フェニル、ピリジル、チエニルおよびフラニルから選択され、これらはそれぞれ、ハロゲン、C
1〜4アルキル、ヒドロキシル−C
1〜4アルキル、C
1〜2アルコキシ−C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜2アルコキシ−C
1〜4アルコキシ、C
2〜4アルケニル、C
2〜4アルケニルオキシ、C
2〜4アルキニル、C
2〜4アルキニルオキシ、シアノ、C
1〜4アルカノイル、ヒドロキシおよびC
1〜4アルカノイルオキシから独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、上記C
1〜4アルキルおよびC
1〜4アルコキシ部分はそれぞれ、1個または複数個のフッ素原子で置換されていてもよく;
Q
1は、C(=O)、S(=O)およびSO
2から選択され;
Aは、存在しないか、またはNR
2であり;
R
1は、
水素;
ヒドロキシル、C
1〜2アルコキシ、アミノ、モノ−C
1〜4アルキルアミノ、ジ−C
1〜4アルキルアミノ、3〜7員非芳香族炭素環式および複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環から選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜6非芳香族炭化水素基(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシル−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい);および
3〜7員非芳香族炭素環式および複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニル、アミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシル−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2は、水素およびC
1〜4アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2は、窒素および酸素から選択される第2のヘテロ原子環員を含有してもよい4〜7員非芳香族窒素含有複素環式環を形成しており、上記複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルアミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい]。
【0020】
式(0)内で、nは、0および1(実施形態1.0A)から選択され得るか、またはnは、0であり得るか(実施形態1.0B)またはnは、1であり得る(実施形態1.0C)。
【0021】
第2の実施形態(実施形態1.1)では、本発明は、TYK2キナーゼを阻害する方法であって、TYK2キナーゼと、式(1)を有する化合物またはその塩もしくは立体異性体の有効なTYK2キナーゼ阻害量とを接触させることを含む方法を提供する:
【化2】
[式中、
Ar
1は、フェニル、ピリジル、チエニルおよびフラニルから選択され、これらはそれぞれ、ハロゲン、C
1〜4アルキル、ヒドロキシル−C
1〜4アルキル、C
1〜2アルコキシ−C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜2アルコキシ−C
1〜4アルコキシ、C
2〜4アルケニル、C
2〜4アルケニルオキシ、C
2〜4アルキニル、C
2〜4アルキニルオキシ、シアノ、C
1〜4アルカノイル、ヒドロキシおよびC
1〜4アルカノイルオキシから独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、上記C
1〜4アルキルおよびC
1〜4アルコキシ部分はそれぞれ、1個または複数個のフッ素原子で置換されていてもよく;
Q
1は、C(=O)、S(=O)およびSO
2から選択され;
Aは、存在しないか、またはNR
2であり;
R
1は、
水素;
ヒドロキシル、C
1〜2アルコキシ、アミノ、モノ−C
1〜4アルキルアミノ、ジ−C
1〜4アルキルアミノ、3〜7員非芳香族炭素環式および複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環から選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜6非芳香族炭化水素基(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシル−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい);および
3〜7員非芳香族炭素環式および複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニル、アミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシル−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2は、水素およびC
1〜4アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2は、窒素および酸素から選択される第2のヘテロ原子環員を含有してもよい4〜7員非芳香族窒素含有複素環式環を形成しており、上記複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルアミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい]。
【0022】
本発明の特定の好ましい態様および実施形態を、実施形態1.2〜2.26および3.1〜3.3において、下記に提示する。
【0023】
1.2
Ar
1が、置換されていてもよいフェニルである、実施形態1.0〜1.1のいずれか一つによる方法。
【0024】
1.3
Ar
1が、置換されていてもよいピリジルである、実施形態1.0〜1.1のいずれか一つによる方法。
【0025】
1.4
Ar
1が、置換されていてもよいチエニルである、実施形態1.0〜1.1のいずれか一つによる方法。
【0026】
1.5
Ar
1が、置換されていてもよいフラニルである、実施形態1.0〜1.1のいずれか一つによる方法。
【0027】
1.6
Ar
1のための任意選択の置換基が、ハロゲン、C
1〜4アルキル、ヒドロキシ−C
1〜4アルキル、C
1〜2アルコキシ−C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜2アルコキシ−C
1〜4アルコキシ、C
2〜4アルケニル、C
2〜4アルケニルオキシ、C
2〜4アルキニル、C
2〜4アルキニルオキシ、シアノ、C
1〜4アルカノイル、ヒドロキシおよびC
1〜4アルカノイルオキシから独立に選択され、上記C
1〜4アルキルおよびC
1〜4アルコキシ部分がそれぞれ、1個または複数個のフッ素原子で置換されていてもよい、実施形態1.0〜1.5のいずれか一つによる方法。
【0028】
1.7
Ar
1のための任意選択の置換基が、ハロゲン、C
1〜3アルキル、ヒドロキシ−C
1〜3アルキル、C
1〜2アルコキシ−C
1〜3アルキル、C
1〜3アルコキシ、C
1〜2アルコキシ−C
1〜3アルコキシ、シアノ、C
1〜3アルカノイルおよびC
1〜3アルカノイルオキシから独立に選択され、上記C
1〜3アルキルおよびC
1〜3アルコキシ部分がそれぞれ、1個または複数個のフッ素原子で置換されていてもよい、実施形態1.6による方法。
【0029】
1.8
Ar
1のための任意選択の置換基が、フッ素、塩素、臭素、C
1〜3アルキル、ヒドロキシ−C
1〜3アルキル、メトキシ−C
1〜3アルキル、C
1〜3−アルコキシ、メトキシ−C
1〜3アルコキシ、シアノ、C
1〜3アルカノイルおよびC
1〜3アルカノイルオキシから独立に選択され、上記C
1〜3アルキルおよびC
1〜3アルコキシ部分がそれぞれ、1個または複数個のフッ素原子で置換されていてもよい、1.7による方法実施形態。
【0030】
1.9
Ar
1のための任意選択の置換基が、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、イソプロピル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、シアノ、アセチル、アセトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメチルおよびジフルオロメトキシから独立に選択される、実施形態1.8による方法。
【0031】
1.10
Ar
1のための任意選択の置換基が、フッ素、塩素、メチル、エチル、イソプロピル、ヒドロキシメチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、シアノ、アセチル、アセトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメチルおよびジフルオロメトキシから独立に選択される、実施形態1.9による方法。
【0032】
1.11
Ar
1のための任意選択の置換基が、フッ素、塩素、メチル、エチル、メトキシ、シアノ、アセチルおよびトリフルオロメチルから独立に選択される、実施形態1.10による方法。
【0033】
1.12
Ar
1のための任意選択の置換基が、フッ素および塩素から独立に選択される、実施形態1.11による方法。
【0034】
1.13
各置換基がフッ素である、実施形態1.12による方法。
【0035】
1.14
Ar
1が、非置換であるか、もしくは1、2または3個の置換基を有する、実施形態1.1〜1.13のいずれか1つによる方法。
【0036】
1.15
Ar
1が、非置換である、実施形態1.14による方法。
【0037】
1.16
Ar
1が、1個の置換基を有する、実施形態1.14による方法。
【0038】
1.17
Ar
1が、2個の置換基を有する、実施形態1.14による方法。
【0039】
1.18
Ar
1が、3個の置換基を有する、実施形態1.14による方法。
【0040】
1.19
Ar
1が、非置換であるか、もしくは1または2個の置換基を有する、実施形態1.14による方法。
【0041】
1.20
Ar
1が、非置換フェニル基または2−一置換、3−一置換、4−一置換、2,3二置換、2,4二置換、2,5二置換もしくは2,6二置換フェニル基である、実施形態1.0〜1.1、1.2、および1.6〜1.17のいずれか一つによる方法。
【0042】
1.21
Ar
1が、非置換フェニル、2−フルオロフェニル、2−ヒドロキシフェニル、2−メトキシフェニル、2−メチルフェニル、3−フルオロフェニル、3−メトキシフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−3−メトキシフェニル、2−フルオロ−5−メトキシフェニル、2−クロロ−6−メトキシフェニル、2−フルオロ−6−メトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−クロロ−6−フルオロフェニル、および5−フルオロ−2−メトキシフェニルから選択される、実施形態1.20による方法。
【0043】
1.22
Ar
1が、2,6−ジフルオロフェニル、2−クロロ−6−フルオロフェニルおよび2,6−ジクロロフェニルから選択される、実施形態1.21による方法。
【0044】
1.23
Ar
1が、2,6−ジフルオロフェニルである、実施形態1.22による方法。
【0045】
1.23A
Ar
1が、2−クロロ−6−フルオロフェニルである、実施形態1.22による方法。
【0046】
1.23B
Ar
1が、2,6−ジクロロフェニルである、実施形態1.22による方法。
【0047】
1.24
Q
1がC(=O)である、実施形態1.0〜1.23Bのいずれか1つによる方法。
【0048】
1.25
Q
1がS(=O)である、実施形態1.0〜1.23Bのいずれか1つによる方法。
【0049】
1.26
Q
1がSO
2である、実施形態1.0〜1.23Bのいずれか1つによる方法。
【0050】
1.27
Aが存在しない(すなわち、上記部分R
1およびQ
1が、一緒に直接結合している)、実施形態1.0〜1.26のいずれか1つによる方法。
【0051】
1.28
Aが存在せず、Q
1がSO
2である、実施形態1.0〜1.23Bのいずれか1つによる方法。
【0052】
1.29
AがNR
2である、実施形態1.0〜1.26のいずれか1つによる方法。
【0053】
1.30
R
1が、
水素;
ヒドロキシ、C
1〜2アルコキシ、アミノ、モノ−C
1〜4アルキルアミノ、ジ−C
1〜4アルキルアミノ、3〜6員飽和炭素環式環および4〜7員複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環から選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜6飽和炭化水素基(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニル、アミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい);および
3〜6員飽和炭素環式環および4〜7員複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニル、アミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合に、水素およびC
1〜4アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2が、窒素および酸素から選択される第2のヘテロ原子環員を含有してもよい4〜7員飽和窒素含有複素環式環を形成しており、上記複素環式環が、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.0〜1.29のいずれか1つによる方法。
【0054】
1.31
R
1が、
水素;
ヒドロキシル、C
1〜3アルコキシ、アミノ、モノ−C
1〜3アルキルアミノ、ジ−C
1〜3アルキルアミノ、3〜5員飽和炭素環式環および4〜6員複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)から選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜4アルキル基(上記炭素環式および複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜3アルキル、C
1〜3アルコキシ、C
1〜3アルカノイル、C
1〜3アルカノイルオキシ、C
1〜3アルコキシカルボニル、またはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい);および
3〜5員飽和炭素環式環および4〜6員複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)(上記炭素環式および複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜3アルキル、C
1〜3アルコキシ、C
1〜3アルカノイル、C
1〜3アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびC
1〜2アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2が、窒素および酸素から選択される第2のヘテロ原子環員を含有してもよい4〜7員飽和窒素含有複素環式環を形成しており、上記複素環式環が、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜3アルキル、C
1〜3アルカノイル、C
1〜3アルカノイルオキシ、C
1〜3アルコキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.30による方法。
【0055】
1.31
R
1が、
水素;
ヒドロキシ、アミノ、モノ−C
1〜3アルキルアミノおよびジ−C
1〜3アルキルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜4アルキル基;および
窒素環員ならびに任意選択により、NおよびOから選択される第2の環員を含有する5〜6員複素環式環(上記複素環式環は、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびC
1〜2アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2が、窒素環員ならびに任意選択により、NおよびOから選択される第2の環員を含有する5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環は、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.30による方法。
【0056】
1.32
R
1が、
水素;
ヒドロキシ、アミノ、およびモノ−C
1〜3アルキルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜4アルキル基;および
ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環(上記複素環式環は、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびC
1〜2アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環は、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.31による方法。
【0057】
1.33
R
1が、
水素;
ヒドロキシ、アミノおよびメチルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜3アルキル基;および
ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環(上記複素環式環は、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびC
1〜2アルキルから選択され;または
NR
1R
2が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環は、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.32による方法。
【0058】
1.34
R
1が、
水素;
ヒドロキシ、アミノおよびメチルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜3アルキル基;および
ピロリジンおよびピペリジンから選択される5〜6員複素環式環(上記複素環式環は、メチル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびメチルから選択されるか;または
NR
1R
2が、ピロリジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環は、ヒドロキシメチル基で置換されていてもよい、実施形態1.33による方法。
【0059】
1.35
Q
1−A−R
1が、下記の表中の基AA〜ARから選択される、実施形態1.34による方法:
【化3】
[式中、フェニル基への結合点が、アステリスクによって示されている]。
【0060】
1.36
Q
1−A−R
1が、上記基AAである、実施形態1.35による方法。
【0061】
1.37
式(0)または(1)の化合物が、
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(メチルスルホニル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−スルファモイルフェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(N,N−ジメチルスルファモイル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(N’−メチルスルファモイル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(ジメチルカルバモイル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
5−(4−((3−アミノプロピル)カルバモイル)フェニルアミノ)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)オキサゾール−4−カルボキサミド;
(R)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(ピペリジン−3−イルカルバモイル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
(S)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(ピペリジン−3−イルカルバモイル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
5−(4−((2−(メチルアミノ)エチル)カルバモイル)フェニルアミノ)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)オキサゾール−4−カルボキサミド;
5−(4−((3−(メチルアミノ)プロピル)カルバモイル)フェニルアミノ)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)オキサゾール−4−カルボキサミド;
(R)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(ピロリジン−3−イルカルバモイル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
(S)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(ピロリジン−3−イルカルバモイル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
(R)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボニル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;
5−(4−((2−ヒドロキシエチル)カルバモイル)フェニルアミノ)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)オキサゾール−4−カルボキサミド;
5−(4−((3−ヒドロキシプロピル)カルバモイル)フェニルアミノ)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)オキサゾール−4−カルボキサミド;
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−(4−(ピペリジン−4−イルカルバモイル)フェニルアミノ)オキサゾール−4−カルボキサミド;および
5−(4−((1−メチルピペリジン−4−イル)カルバモイル)フェニルアミノ)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)オキサゾール−4−カルボキサミド;
およびその塩から選択される、実施形態1.0または1.1による方法。
【0062】
別の態様では、本発明は、実施形態1.0の式(0)の範囲内の化合物の新規の群を提供する。本発明の新規の化合物自体は、実施形態1.38〜1.96において定義するとおりである。
【0063】
1.38
式(2)の化合物:
【化4】
またはその塩もしくは立体異性体
[式中、
R
7は、塩素およびフッ素から選択され;
R
3、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立に、水素、フッ素および塩素から選択され;
nは、0、1または2であり;
Q
1は、C(=O)、S(=O)およびSO
2から選択され;
Aは、存在しないか、またはNR
2であり;
R
1は、
水素;
ヒドロキシル、C
1〜2アルコキシ、アミノ、モノ−C
1〜4アルキルアミノ、ジ−C
1〜4アルキルアミノ、3〜7員非芳香族炭素環式および複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環から選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜6非芳香族炭化水素基(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシル−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい);および
3〜7員非芳香族炭素環式および複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニル、アミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシル−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2は、水素およびC
1〜4アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2は、窒素および酸素から選択される第2のヘテロ原子環員を含有してもよい4〜7員非芳香族窒素含有複素環式環を形成しており、上記複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルアミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよく;ただし、
(i)R
3〜R
6の2個以下は、水素以外であり;
(ii)R
7およびR
6が両方ともフッ素である場合、R
3〜R
5の1個は、塩素またはフッ素であり、かつ/またはR
1−A−Q
1は、エチルスルホニルおよびイソプロピルスルホニルから選択される]。
【0064】
1.38A
R
7およびR
6が両方ともフッ素である場合に、R
3〜R
5の1個が塩素またはフッ素である、実施形態1.38による化合物。
【0065】
1.39
R
7が塩素である、実施形態1.38または実施形態1.38Aによる化合物。
【0066】
1.40
R
7が塩素であり、R
6がフッ素である、実施形態1.39による化合物。
【0067】
1.41
R
7およびR
6が両方とも塩素である、実施形態1.39による化合物。
【0068】
1.42
R
3およびR
5の少なくとも1個が水素である、実施形態1.38〜1.41のいずれか1つによる化合物。
【0069】
1.43
R
3およびR
5の両方が水素である、実施形態1.42による化合物。
【0070】
1.44
R
4が水素である、実施形態1.38〜1.43のいずれか1つによる化合物。
【0071】
1.45
R
4がフッ素である、実施形態1.38〜1.43のいずれか1つによる化合物。
【0072】
1.46
R
4が塩素である、実施形態1.38〜1.43のいずれか1つによる化合物。
【0073】
1.47
Q
1がC(=O)である、実施形態1.38〜1.46のいずれか1つによる化合物。
【0074】
1.48
Q
1がS(=O)である、実施形態1.38〜1.46のいずれか1つによる化合物。
【0075】
1.49
Q
1がSO
2である、実施形態1.38〜1.46のいずれか1つによる化合物。
【0076】
1.50
Aが存在しない(すなわち、上記部分R
1およびQ
1が、一緒に直接結合している)、実施形態1.38〜1.49のいずれか1つによる化合物。
【0077】
1.51
Aが存在せず、Q
1がSO
2である、実施形態1.50による化合物。
【0078】
1.52
AがNR
2である、実施形態1.38〜1.49のいずれか1つによる化合物。
【0079】
1.53
R
1が、
水素;
ヒドロキシ、C
1〜2アルコキシ、アミノ、モノ−C
1〜4アルキルアミノ、ジ−C
1〜4アルキルアミノ、3〜6員飽和炭素環式環および4〜7員複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環から選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜6飽和炭化水素基(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニル、アミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい);および
3〜6員飽和炭素環式環および4〜7員複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニル、アミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびC
1〜4アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2が、窒素および酸素から選択される第2のヘテロ原子環員を含有してもよい4〜7員飽和窒素含有複素環式環を形成しており、上記複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.38〜1.52のいずれか1つによる化合物。
【0080】
1.54
R
1が、
水素;
ヒドロキシル、C
1〜3アルコキシ、アミノ、モノ−C
1〜3アルキルアミノ、ジ−C
1〜3アルキルアミノ、3〜5員飽和炭素環式環および4〜6員複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)から選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜4アルキル基(上記炭素環式および複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜3アルキル、C
1〜3アルコキシ、C
1〜3アルカノイル、C
1〜3アルカノイルオキシ、C
1〜3アルコキシカルボニル、またはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい);および
3〜5員飽和炭素環式環および4〜6員非芳香族複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)(上記炭素環式および複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜3アルキル、C
1〜3アルコキシ、C
1〜3アルカノイル、C
1〜3アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびC
1〜2アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2が、窒素および酸素から選択される第2のヘテロ原子環員を含有してもよい4〜7員飽和窒素含有複素環式環を形成しており、上記複素環式環が、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜3アルキル、C
1〜3アルカノイル、C
1〜3アルカノイルオキシ、C
1〜3アルコキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.53による化合物。
【0081】
1.55
R
1が、
水素;
ヒドロキシ、アミノ、モノ−C
1〜3アルキルアミノおよびジ−C
1〜3アルキルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜4アルキル基;および
窒素環員ならびに任意選択により、NおよびOから選択される第2の環員を含有する5〜6員非芳香族複素環式環(上記複素環式環は、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびC
1〜2アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2が、窒素環員ならびに任意選択により、NおよびOから選択される第2の環員を含有する5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環が、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.54による化合物。
【0082】
1.56
R
1が、
水素;
ヒドロキシ、アミノおよびモノ−C
1〜3アルキルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜4アルキル基;および
ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される5〜6員非芳香族複素環式環(上記複素環式環は、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびC
1〜2アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環が、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.55による化合物。
【0083】
1.57
R
1が、
水素;
ヒドロキシ、アミノおよびメチルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜3アルキル基;および
ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環(上記複素環式環は、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびC
1〜2アルキルから選択されるか;または
NR
1R
2が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環は、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.56による化合物。
【0084】
1.58
R
1が、
水素;
ヒドロキシ、アミノおよびメチルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜3アルキル基;および
ピロリジンおよびピペリジンから選択される5〜6員複素環式環(上記複素環式環は、メチル基で置換されていてもよい)
から選択され;
R
2が、存在する場合、水素およびメチルから選択されるか;または
NR
1R
2が、ピロリジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環が、ヒドロキシメチル基で置換されていてもよい、実施形態1.57による化合物。
【0085】
1.59
R
1が、
水素;および
ヒドロキシル、C
1〜2アルコキシ、アミノ、モノ−C
1〜4アルキルアミノ、ジ−C
1〜4アルキルアミノ、3〜7員非芳香族炭素環式および複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環から選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜6非芳香族炭化水素基(上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシル−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)
から選択される、実施形態1.38〜1.52のいずれか1つによる化合物。
【0086】
1.60
R
1が、
水素;および
ヒドロキシル、C
1〜3アルコキシ、アミノ、モノ−C
1〜3アルキルアミノ、ジ−C
1〜3アルキルアミノ、3〜5員飽和炭素環式環および4〜6員複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)から選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜4アルキル基(上記炭素環式および複素環式環は、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜3アルキル、C
1〜3アルコキシ、C
1〜3アルカノイル、C
1〜3アルカノイルオキシ、C
1〜3アルコキシカルボニル、またはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい)から選択される、実施形態1.38〜1.52のいずれか1つによる化合物。
【0087】
1.61
R
1が、
水素;および
ヒドロキシ、アミノ、モノ−C
1〜3アルキルアミノおよびジ−C
1〜3アルキルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜4アルキル基
から選択される、実施形態1.38〜1.52のいずれか1つによる化合物。
【0088】
1.62
R
1が、
水素;および
ヒドロキシ、アミノおよびモノ−C
1〜3アルキルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜4アルキル基
から選択される、実施形態1.38〜1.52のいずれか1つによる化合物。
【0089】
1.63
R
1が、
水素;および
ヒドロキシ、アミノおよびメチルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜3アルキル基
から選択される、実施形態1.38〜1.52のいずれか1つによる化合物。
【0090】
1.64
R
1が、C
1〜3アルキル基である、実施形態1.63による化合物。
【0091】
1.65
R
1が、メチル、エチルおよびイソプロピルから選択される、実施形態1.64による化合物。
【0092】
1.66
R
1が、メチルである、実施形態1.65による化合物。
【0093】
1.67
R
1が、エチルである、実施形態1.65による化合物。
【0094】
1.68
R
1が、イソプロピルである、実施形態1.65による化合物。
【0095】
1.69
R
1が、ヒドロキシ、アミノおよびメチルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されていてもよいC
1〜3アルキル基である、実施形態1.63による化合物。
【0096】
1.70
R
1が、ヒドロキシ、アミノおよびメチルアミノから選択される1個または複数個の置換基で置換されているC
2〜3アルキル基である、実施形態1.69による化合物。
【0097】
1.71
R
1が、3−アミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、2−メチルアミノエチル、3−ヒドロキシプロピルおよび2−ヒドロキシエチルから選択される、実施形態1.70による化合物。
【0098】
1.73
R
1が、水素である、実施形態1.63による化合物。
【0099】
1.74
R
1が、3〜6員飽和炭素環式環および4〜7員複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)、ならびにその1員または2員が窒素原子である7〜9環員の架橋二環式複素環式環から選択され、上記炭素環式および複素環式環、ならびに架橋二環式複素環式環が、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニル、アミノ−C
1〜3アルキル、モノ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキル、ジ−C
1〜2アルキルアミノ−C
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.38〜1.52のいずれか1つによる化合物。
【0100】
1.75
R
1が、3〜5員飽和炭素環式環および4〜6員非芳香族複素環式環(O、NおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含有)から選択され、上記炭素環式および複素環式環が、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜3アルキル、C
1〜3アルコキシ、C
1〜3アルカノイル、C
1〜3アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.38〜1.52のいずれか1つによる化合物。
【0101】
1.76
R
1が、窒素環員ならびに任意選択により、NおよびOから選択される第2の環員を含有する5〜6員非芳香族複素環式環から選択され、上記複素環式環が、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.38〜1.52のいずれか1つによる化合物。
【0102】
1.77
R
1が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される5または6員非芳香族複素環式環であり、上記複素環式環が、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.38〜1.52のいずれか1つによる化合物。
【0103】
1.78
R
1が、ピロリジンおよびピペリジンから選択される5〜6員複素環式環であり、上記複素環式環が、メチル基で置換されていてもよい、実施形態1.57による化合物。
【0104】
1.79
Aが、NR
2であり、NR
1R
2が、窒素および酸素から選択される第2のヘテロ原子環員を含有してもよい4〜7員飽和窒素含有複素環式環を形成しており、上記複素環式環が、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜4アルキル、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.38〜1.49のいずれか1つによる化合物。
【0105】
1.80
Aが、NR
2であり、NR
1R
2が、窒素および酸素から選択される第2のヘテロ原子環員を含有してもよい4〜7員飽和窒素含有複素環式環形成しており、上記複素環式環が、1個または複数個のヒドロキシ、C
1〜3アルキル、C
1〜3アルカノイル、C
1〜3アルカノイルオキシ、C
1〜3アルコキシ、C
1〜4アルコキシカルボニルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.38〜1.49のいずれか1つによる化合物。
【0106】
1.81
Aが、NR
2であり、NR
1R
2が、窒素環員ならびに任意選択により、NおよびOから選択される第2の環員を含有する5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環が、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.38〜1.49のいずれか1つによる化合物。
【0107】
1.82
Aが、NR
2であり、NR
1R
2が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環が、1個または複数個のC
1〜3アルキルまたはヒドロキシ−C
1〜3アルキル基で置換されていてもよい、実施形態1.38〜1.49のいずれか1つによる化合物。
【0108】
1.83
Aが、NR
2であり、NR
1R
2が、ピロリジンおよびモルホリンから選択される5〜6員複素環式環を形成しており、上記複素環式環が、ヒドロキシメチル基で置換されていてもよい、実施形態1.38〜1.49のいずれか1つによる化合物。
【0109】
1.84
R
2が、水素およびメチルから選択される、実施形態1.38〜1.49および1.52〜1.78のいずれか1つによる化合物。
【0110】
1.85
R
2が水素である、実施形態1.38〜1.49および1.52〜1.78のいずれか1つによる化合物。
【0111】
1.86
R
2がメチルである、実施形態1.38〜1.49および1.52〜1.78のいずれか1つによる化合物。
【0112】
1.87
Q
1−A−R
1が、以下の表中の基AA〜ATから選択される、実施形態1.38〜1.46のいずれか1つによる化合物:
【化5】
[式中、フェニル基の結合点は、アステリスクによって示されている]。
【0113】
1.88
Q
1−A−R
1が、基AA、AG、AH、AI、AR、ASおよびATから選択される、実施形態1.87による化合物。
【0114】
1.89
Q
1−A−R
1が、基AA、ASおよびATから選択される、実施形態1.88による化合物。
【0115】
1.90
Q
1−A−R
1が、基AAである、実施形態1.89による化合物。
【0116】
1.91
Q
1−A−R
1が、基AG、AH、AIおよびARから選択される、実施形態1.88による化合物。
【0117】
1.92
nが、0および1から選択される、実施形態1.38〜1.91のいずれか1つによる化合物。
【0118】
1.93
nが、0である、実施形態1.92による化合物。
【0119】
1.94
nが、1である、実施形態1.92による化合物。
【0120】
1.95
上記フッ素原子が、上記部分Q
1に対してオルト位でベンゼン環に結合している、実施形態1.94による化合物。
【0121】
1.96
式(2)の化合物が、
2−(2,6−ジクロロ−フェニル)−5−(4−メタンスルホニル−フェニルアミノ)−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
2−(2−クロロ−6−フルオロ−フェニル)−5−(4−メタンスルホニル−フェニルアミノ)−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
5−(4−メタンスルホニル−フェニルアミノ)−2−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−5−(4−メタンスルホニル−フェニルアミノ)−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
(S)2−(2−クロロ−6−フルオロ−フェニル)−5−[4−(ピペリジン−3−イルカルバモイル)−フェニルアミノ]−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
(R)2−(2−クロロ−6−フルオロ−フェニル)−5−[4−(ピペリジン−3−イルカルバモイル)−フェニルアミノ]−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
2−(2−クロロ−6−フルオロ−フェニル)−5−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニルアミノ]−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
2−(2−クロロ−6−フルオロ−フェニル)−5−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルバモイル)−フェニルアミノ]−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
(S)2−(2,6−ジクロロ−フェニル)−5−[4−(ピペリジン−3−イルカルバモイル)−フェニルアミノ]−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
(R)2−(2,6−ジクロロ−フェニル)−5−[4−(ピペリジン−3−イルカルバモイル)−フェニルアミノ]−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
2−(2,6−ジクロロ−フェニル)−5−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニルアミノ]−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
2−(2,6−ジクロロ−フェニル)−5−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルバモイル)−フェニルアミノ]−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
2−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−5−(4−エタンスルホニル−フェニルアミノ)−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
2−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−5−(4−メタンスルホニル−フェニルアミノ)−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;および
2−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−5−[4−プロパン−2−スルホニル)−hエニルアミノ]−オキサゾール−4−カルボン酸アミド;
から選択される、実施形態1.38による化合物ならびにその塩および立体異性体。
【0122】
1.97
式(0)、(1)または(2)の化合物が、塩の形態である、実施形態1.0〜1.37のいずれか1つによる方法または実施形態1.38〜1.96のいずれか1つによる化合物。
【0123】
1.98
上記塩が酸付加塩である、実施形態1.97による方法または化合物。
【0124】
1.99
上記酸付加塩が、薬学的に許容される塩である、実施形態1.97または実施形態1.98による方法または化合物。
【0125】
1.100
式(0)、(1)または(2)の化合物が、遊離塩基の形態である、実施形態1.0〜1.37のいずれか1つによる方法または実施形態1.38〜1.96のいずれか1つによる化合物。
【0126】
定義
下記の式(1)に対する言及には、内容によって別段に示されていない限り、式(1)はもちろん、式(0)および(2)が含まれる。
【0127】
「C
1〜6非芳香族炭化水素基」においてなど、「非芳香族炭化水素基」という用語は、本明細書で使用する場合、炭素および水素からなり、芳香族の特徴を有さない構造基を指す。
【0128】
別段に示されていない限り、上記非芳香族炭化水素基は、非環式または環式であってよく、飽和または不飽和であってよい。したがって、この用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基、ならびにそれらの組み合わせに及ぶ。
【0129】
明記されている場合、非芳香族炭化水素基は、置換されていてよい。すなわち、水素原子が、別の原子または官能基によって置き換えられていてよい。
【0130】
「非芳香族炭素環式および複素環式環」に対する言及は、本明細書で使用する場合、飽和および不飽和環系の両方を指すが、ただし、いずれのそのような不飽和環系も、芳香族の特徴を有さない。
【0131】
「架橋二環式複素環式環」という用語は、本明細書で使用する場合、2個の環が、2個を超える原子を共有している非芳香族複素環式環系を指す。例えば、Advanced Organic Chemistry、Jerry March、第4版、Wiley Interscience、131〜133頁、1992を参照されたい。架橋二環式環系は、例えば、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル基などの[3.2.1]二環式環系、またはキヌクリジン−3−イル基などの[2.2.2]二環式環系であってよい。
【0132】
塩
式(0)、(1)および(2)の化合物は、塩の形態で提供し得る。
【0133】
塩(実施形態1.97〜1.99において定義されているとおり)は典型的には、酸付加塩である。
【0134】
上記塩は、Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use、P. Heinrich Stahl(Editor)、Camille G. Wermuth(Editor)、ISBN: 3−90639−026−8、Hardcover、388頁、2002年8月において記載されている方法などの慣用の化学的方法によって、親化合物から合成できる。一般に、そのような塩は、水中で、もしくは有機溶媒中で、またはそれら2種の混合物中で(一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が使用される)、化合物の遊離塩基形態を酸と反応させることによって調製できる。
【0135】
酸付加塩(実施形態1.98において定義したとおり)は、無機および有機の両方の広範囲の様々な酸を用いて形成できる。酸付加塩の例には、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)カンファ酸、カンファ−スルホン酸、(+)−(1S)−カンファ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプト酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸および吉草酸、さらには、アシル化アミノ酸およびカチオン交換樹脂からなる群から選択される酸と共に形成される塩が含まれる。
【0136】
本発明の化合物の塩形態は典型的には、薬学的に許容される塩であり、薬学的に許容される塩の例は、Bergeら、1977、「Pharmaceutically Acceptable Salts」、J.Pharm. Sci.、Vol.66、pp.1〜19において論述されている。しかしながら、薬学的に許容されない塩も、薬学的に許容される塩に次いで変換し得る中間体として調製できる。例えば、本発明の化合物の精製または分離において有用であり得る、そのような薬学的に許容されない塩形態も、本発明の一部を形成している。
【0137】
同位体
実施形態1.0〜1.100のいずれか1つにおいて定義したとおりの本発明の化合物は、1つまたは複数の同位体置換を含み得て、特定の元素に対する言及は、その範囲内に、その元素のすべての同位体を含む。例えば、水素に対する言及は、その範囲内に、
1H、
2H(D)、および
3H(T)を含む。同様に、炭素および酸素に対する言及は、その範囲内に、それぞれ
12C、
13Cおよび
14Cならびに
16Oおよび
18Oを含む。
【0138】
同様に、特定の官能基に対する言及も、内容によって別段に示されていない限り、その範囲内に、同位体変形形態を含む。
【0139】
例えば、エチル基などのアルキル基に対する言及も、例えば、5個の水素原子のすべてがジュウテリウム同位体形態であるエチル基(ペルジューテロエチル基)においてなど、その基中の水素原子の1個または複数個がジュウテリウムまたはトリチウム同位体の形態である変形に及ぶ。
【0140】
同位体は、放射性または非放射性であってよい。本発明(実施形態1.101)の一実施形態では、実施形態1.0〜1.100のいずれか1つの化合物は、放射性同位体を含有しない。そのような化合物は、治療用途に好ましい。しかしながら、別の実施形態では(実施形態1.102)、実施形態1.0〜1.100のいずれか1つの化合物は、1個または複数の放射性同位体を含有する。そのような放射性同位体を含有する化合物は、診断環境において有用であり得る。
【0141】
溶媒和物
実施形態1.0〜1.102のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)または(2)の化合物は、溶媒和物を形成し得る。
【0142】
好ましい溶媒和物は、非毒性の薬学的に許容される溶媒(以下では、溶媒和溶媒と称する)の分子の、本発明の化合物の固体状態構造(例えば、結晶構造)への組み込みによって形成される溶媒和物である。そのような溶媒の例には、水、アルコール(エタノール、イソプロパノールおよびブタノールなど)およびジメチルスルホキシドが含まれる。溶媒和物は、本発明の化合物を、溶媒、または溶媒和溶媒を含有する溶媒の混合物で再結晶化させることによって調製できる。溶媒和物が任意の所与の事例において形成しているかどうかは、その化合物の結晶を、熱重量分析(TGE)、示差走査熱分析(DSC)およびX線結晶学などの周知の標準的な技術を使用する分析に掛けることによって決定できる。
【0143】
溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的溶媒和物であってよい。
【0144】
特に好ましい溶媒和物は水和物であり、水和物の例には、半水和物、一水和物および二水和物が含まれる。
【0145】
したがって、さらなる実施形態1.103および1.104では、本発明は、下記を提供する。
【0146】
1.103
式(0)、(1)または(2)の化合物が溶媒和物の形態である、実施形態1.0〜1.102のいずれか1つによる方法または化合物。
【0147】
1.104
上記溶媒和物が水和物である、実施形態1.103による方法または化合物。
【0148】
溶媒和物のより詳細な論述、ならびにそれらを作製および特徴づけるために使用される方法については、Brynら、Solid−State Chemistry of Drugs、Second Edition、SSCIにより刊行、Inc of West Lafayette、IN、USA、1999、ISBN 0−967−06710−3を参照されたい。
【0149】
別法では、水和物として存在するのではなく、本発明の化合物は、無水であってよい。したがって、別の実施形態では(実施形態1.105)、実施形態1.0〜1.102のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(1)の化合物は、無水形態である。
【0150】
TYK2キナーゼの阻害およびそれによって生じる治療用途
実施形態1.0〜1.37では、TYK2キナーゼを阻害する方法であって、TYK2キナーゼと、式(0)または式(1)を有する化合物の有効なTYK2キナーゼ阻害量とを接触させることを含む方法を提供する。
【0151】
TYK2キナーゼの阻害は、in vitroまたはin vivoのいずれかで行うことができる。
【0152】
したがって、本発明は、下記を提供する。
【0153】
2.1
TYK2キナーゼの阻害をin vitroで実施する、実施形態1.0〜1.37および1.97〜1.105のいずれか1つによる方法。
【0154】
2.2
TYK2キナーゼの阻害をin vivoで実施する、実施形態1.1〜1.37および1.97〜1.105のいずれか1つによる方法。
【0155】
実施形態1.38〜1.105の新規の化合物も、TYK2キナーゼを阻害するために使用できる。したがって、本発明はさらに、下記を提供する。
【0156】
2.3
TYK2キナーゼを阻害する方法であって、TYK2キナーゼと、実施形態1.38〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(2)を有する化合物またはその塩もしくは立体異性体の有効なTYK2キナーゼ阻害量とを接触させることを含む方法。
【0157】
2.4
TYK2キナーゼの阻害をin vitroで実施する、実施形態2.3による方法。
【0158】
2.5
TYK2キナーゼの阻害をin vivoで実施する、実施形態2.4による方法。
【0159】
2.6
TYK2キナーゼの阻害薬として使用するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)または(2)の化合物。
【0160】
2.7
医薬品において使用するための、実施形態1.38〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(2)の化合物。
【0161】
TYK2キナーゼの阻害を、TYK2キナーゼが関係している疾患または状態の治療的処置の一部として、好ましくはin vivoで実行する。
【0162】
本発明の方法は、炎症性疾患または状態、免疫疾患または状態、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶および移植片対宿主疾患から選択される疾患または状態を治療する状況において特に適用可能である。上記方法は、敗血症および敗血症性ショックを治療する状況においても適用可能である。
【0163】
したがって、さらなる態様では、本発明は、下記を提供する。
【0164】
2.8
疾患または状態を、それを必要とする対象において治療する方法であって、上記疾患が炎症性疾患または状態、免疫疾患または状態、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶および移植片対宿主疾患、または敗血症および敗血症性ショックから選択される疾患または状態から選択され、上記疾患または状態がTYK2阻害に対し感受性があり、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物またはその塩の有効なTYK2阻害量を上記対象に投与することを含む方法。
【0165】
2.9
TYK2阻害に対し感受性がある炎症性疾患または状態、免疫疾患または状態、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶および移植片対宿主疾患を治療する際に使用するための;または敗血症または敗血症性ショックを治療する際に使用するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物、またはその塩。
【0166】
2.10
TYK2阻害に対し感受性がある炎症性疾患または状態、免疫疾患または状態、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶および移植片対宿主疾患を治療するための医薬品;もしくは敗血症または敗血症性ショックを治療する際に使用するための医薬品を製造するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物、またはその塩の使用。
【0167】
自己免疫疾患
式(0)、(1)および(2)の化合物のTYK2阻害活性は、自己免疫疾患を治療する際に使用できる。したがって、さらなる態様では、本発明は、下記を提供する。
【0168】
2.11
自己免疫疾患を、それを必要とする対象において治療する方法であって、上記対象においてTYK2キナーゼを阻害しそれによって自己免疫疾患に関連する炎症プロセスの規模を遮断するか低減するように、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)または(2)の化合物の有効なTYK2阻害量を上記対象に投与することを含む方法。
【0169】
2.12
上記対象においてTYK2キナーゼを阻害しそれによって自己免疫疾患に関連する炎症プロセスの規模を遮断するか低減するように、上記化合物の有効なTYK2阻害量を上記対象に投与することを含む、自己免疫疾患を、それを必要とする対象において治療する方法において使用するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)または(2)の化合物。
【0170】
2.13
上記対象においてTYK2キナーゼを阻害しそれによって自己免疫疾患に関連する炎症プロセスの規模を遮断するか低減するように、上記化合物の有効なTYK2阻害量を上記対象に投与することによって、自己免疫疾患を、それを必要とする対象において治療するための医薬品を製造するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)または(2)の化合物の使用。
【0171】
2.14
上記自己免疫疾患が多発性硬化症である、実施形態2.11〜2.13のいずれか1つによる方法、使用するための化合物または使用。
【0172】
実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)およびタイラーマウス脳炎ウイルス誘発性脱髄疾患(TMEV−IDD)は、多発性硬化症(MS)の2種の臨床関連マウスモデルである((i)Raine CS:Biology of disease. The analysis of autoimmune demyelination: its impact upon multiple sclerosis. Lab Invest 1984、50:608〜635;(ii)Steinman L:Assessment to the utility of animal models for MS and demyelinating disease in the design of rational therapy. Neuron 1999、24:511〜514;および(iii)Kevin G. Fullerら、Mouse Models of Multiple Sclerosis:Experimental Autoimmune Encephalomyelitis and Theiler’s Virus−Induced Demyelinating Disease, Autoimmunity:Methods and Protocols(Series: Methods in Molecular Medicine)、Volume:102、2004、339〜361を参照されたい)。
【0173】
多発性硬化症を治療する際の式(0)、(1)または(2)の化合物の有用性は、上記のモデルのいずれか、特に、下記の実施例において記載する実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)モデルを使用して実証できる。
【0174】
「治療する」および「治療」という用語は、多発性硬化症の内容において本明細書で使用する場合、
上記疾患の進行の停止;
上記疾患の進行の減速;
上記疾患の進行の改変;
例えば、1種または複数の症状の除去またはその重症度の低減による、症状の軽減の提供;
緩解期間の延長;
再発の予防;
再発の重症度の低減;および
再発寛解型MSから二次性進行型MSへの進行の予防または減速
のいずれか1つまたは複数を含む。
【0175】
本発明によって除去するか、または重症度を低減できる多発性硬化症の症状には、
1本または複数本の四肢における衰弱および/または無感覚;
四肢の刺痛;
体躯または四肢周囲における締め付け感;
1本または複数本の四肢の振戦;
片足または両足の引きずりまたは不十分な制御;
痙性または失調性不全対麻痺;
1本または複数本の四肢の麻痺;
多動性腱反射;
腹壁反射の消失;
レルミット徴候;
延髄後または視神経炎;
歩行中の不安定さ;
平衡に伴う問題、
筋肉倦怠の増大;
脳幹症状(複視、めまい、嘔吐);
排尿障害;
片麻痺;
三叉神経痛;
他の疼痛症候群;
眼振および運動失調;
小脳型運動失調;
シャルコー3徴;複視;
両側核間眼筋麻痺;
顔面筋のミオキミアまたは麻痺;
難聴;
耳鳴り;
無構造幻聴(蝸牛接続の関与による);
一過性の顔面知覚麻痺または三叉神経痛;
尿失禁および/または大便失禁
膀胱機能不全多幸感;
うつ病;
倦怠;
認知症;
下部背面のだるさ、うずく痛み;
四肢における鋭く、焼けるような、限局性の低い疼痛;
神経学的欠損の突然の発作;
構音障害および運動失調;
四肢における発作性疼痛および知覚不全;
閃光;
発作性掻痒;
強直性発作;
知覚変化;
視覚問題;
筋肉衰弱;
強調および発話困難;
認知障害;
過熱;ならびに
運動障害および身体障害
から選択される任意の1種または複数の症状が任意の組み合わせで含まれる。
【0176】
本化合物を、再発を予防するかその可能性もしくは重症度を低減するために、寛解の期間中に予防的に使用でき、または再発している患者を治療するために使用できる。好ましくは、予防的に使用する。
【0177】
式(0)、(1)もしくは(2)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、単独の治療薬として使用でき、またはステロイドまたはインターフェロンなどの他の治療薬と併せて使用できる。
【0178】
本発明の一般的な一実施形態では、式(0)、(1)もしくは(2)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、単独の治療薬として使用する。
【0179】
多発性硬化症以外の疾患および状態を治療する際の使用
式(1)の化合物のTYK2阻害活性を、自己免疫疾患の治療において使用でき、これは、幅広い他の炎症性疾患、さらには、免疫疾患およびアレルギー性疾患の治療においても良好に使用できる。したがって、本発明はまた、下記を提供する。
【0180】
2.15
疾患または状態を、それを必要とする対象において治療する方法であって、上記疾患が自己免疫患以外であり炎症性疾患または状態、免疫疾患または状態、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶および移植片対宿主疾患から選択され、上記疾患または状態がTYK2阻害に対し感受性があり、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物またはその塩の有効なTYK2阻害量を上記対象に投与することを含む方法。
【0181】
2.16
疾患または状態を、それを必要とする対象において治療する方法であって、上記疾患が多発性硬化症以外であり炎症性疾患または状態、免疫疾患または状態、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶および移植片対宿主疾患から選択され、上記疾患または状態がTYK2阻害に対し感受性があり、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物またはその塩の有効なTYK2阻害量を上記対象に投与することを含む方法。
【0182】
2.17
疾患または状態を、それを必要とする対象において治療する方法であって、上記疾患が(a)放射線曝露による皮膚炎症;
(b)喘息;
(c)アレルギー性炎症;
(d)慢性炎症;
(e)炎症性眼疾患;
(f)ドライアイ症候群(DES、乾性角結膜炎または涙機能不全症候群としても公知);
(g)ブドウ膜炎(例えば、非罹患性ブドウ膜炎の慢性進行性または再発性形態);
(h)インスリン依存型糖尿病(I型);
(i)橋本甲状腺炎;
(j)グレーブス病;
(k)クッシング病;
(l)アディソン病(副腎が罹患)
(m)慢性活動性肝炎(肝臓が罹患);
(n)多嚢胞性卵巣症候群(PCOS);
(o)小児脂肪便症;
(p)乾癬;
(q)炎症性腸疾患(IBD);
(r)強直性脊椎炎;
(s)関節リウマチ;
(t)全身性エリテマトーデス;
(u)重症筋無力症;
(v)移植拒絶(同種移植片移植拒絶);および
(w)移植片対宿主病(GVDH);
から選択される任意の1種または複数の疾患または状態であり、
実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物またはその塩の有効なTYK2阻害量を上記対象に投与することを含む方法。
【0183】
2.18
実施形態2.15、2.16および2.17のいずれか1つにおいて定義したとおりの方法において使用するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)または(2)の化合物。
【0184】
2.19
実施形態2.15、2.16および2.17のいずれか1つにおいて定義したとおりの方法において使用するための医薬品を製造するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)または(2)の化合物の使用。
【0185】
本発明の内容では、自己免疫疾患は、自身の成分、例えば、タンパク質、脂質またはDNAに対する身体の免疫反応によって少なくとも部分的に誘発される疾患である。臓器特異的自己免疫障害の例は、膵臓を侵すインスリン依存型糖尿病(I型)、甲状腺を侵す橋本甲状腺炎およびグレーブス病、胃を侵す悪性貧血、副腎を侵すクッシング病およびアディソン病、肝臓を侵す慢性活動性肝炎;多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、セリアック病、乾癬、炎症性腸疾患(IBD)ならびに強直性脊椎炎である。非臓器特異的自己免疫障害の例は、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性狼瘡および重症筋無力症である。I型糖尿病は、ランゲルハンス島のインスリン分泌β細胞に対する自己反応性T細胞の選択的凝集から生じる。
【0186】
関節リウマチ(RA)は、世界人口の約1%が罹患する慢性進行性の衰弱性炎症性疾患である。RAは、手足の小関節を主に侵す対称性多関節関節炎である。滑膜における炎症に加えて、パンヌスと称される組織の攻撃性の前線である関節の内層が、局所関節構造を侵襲および破壊する(Firestein 2003、Nature 423:356〜361)。
【0187】
炎症性腸疾患(IBD)は、慢性再発性腸管炎症によって特徴づけられる。IBDは、クローン病および潰瘍性大腸炎の表現型に細分される。クローン病は、最も高い頻度で、末端回腸および結腸に関与し、経壁で不連続である。対照的に、潰瘍性大腸炎では、炎症は連続していて、直腸および結腸の粘膜層に限定される。直腸および結腸に限定される症例の約10%において、クローン病または潰瘍性大腸炎の決定的な分類を行うことができず、それらは、「不確定大腸炎」と名付けられる。両方の疾患が、皮膚、眼、または関節の腸管外炎症を含む。好中球遊走阻害薬を使用することによって、好中球誘発性障害を予防し得る(Asakuraら、2007、World J. Gastroenterol. 13(15):2145〜9)。
【0188】
乾癬は、人口の約2%が罹患する慢性炎症性皮膚疾患である。これは、頭皮、ひじ、および膝において通常見いだされる赤く、鱗片状の皮膚斑によって特徴づけられ、重症の関節炎を伴うこともある。病変は、異常な角質細胞増殖、ならびに真皮および表皮への炎症細胞の浸潤に起因する(Schonら、2005、New Engl.J.Med.352:1899〜1912)。全身性エリテマトーデス(SLE)は、T細胞媒介B細胞活性化によって生じる慢性炎症性疾患であり、これは、糸球体腎炎および腎不全をもたらす。ヒトSLEは、長期持続性自己反応性CD4+記憶細胞の展開によって、早期に特徴づけられる(D’Cruzら、2007、Lancet 369(9561):587〜596)。
【0189】
移植拒絶(同種移植片移植拒絶)には、限定ではないが、例えば、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚および角膜の移植後の急性および慢性同種移植拒絶が含まれる。T細胞は、同種移植拒絶の特異的免疫応答において、中心的な役割を果たすことが知られている。超急性、急性および慢性臓器移植拒絶を治療し得る。超急性拒絶は、移植から数分以内に起こる。急性拒絶は一般に、移植から6〜12か月以内に起こる。超急性および急性拒絶は、免疫抑制薬で治療する場合、典型的には可逆性である。臓器機能の段階的喪失によって特徴づけられる慢性拒絶は、それが移植後にいつでも起こり得るので、移植レシピエントの継続的な関心事である。
【0190】
移植片対宿主疾患(GVDH)は、同種骨髄移植(BMT)における主要な合併症である。GVDHは、組織適合性複合体系におけるレシピエントの差異を認識してその差異に対し反応するドナーT細胞に起因し、かなりの罹患率および死亡率をもたらす。
【0191】
式(0)、(1)および(2)の化合物は、TYK2キナーゼの過剰発現(発現の増大)によって特徴づけられるか引き起こされる(少なくとも一部が)疾患または状態もしくはTYK2キナーゼの過剰発現に関連する疾患または状態の治療においても使用できる。高レベルのTYK2に関連することが示されている疾患の1つは、肺サルコイドーシスである。
【0192】
肺サルコイドーシスは、典型的には20〜50歳の成人において発生する原因不明の比較的まれな炎症性障害である。肺サルコイドーシスは、大抵は自然に治癒および消失する、肺内の小さな腫瘍、または肉芽腫によって特徴づけられる。しかしながら、治癒しない肉芽腫では、その組織は炎症し続けて瘢痕となったり、繊維化し得る。肺サルコイドーシスは肺線維症へと発展することもあり、これは肺の構造を変形させ、呼吸を阻害する。
【0193】
したがって、さらなる態様において、本発明は、下記を提供する。
【0194】
2.20
疾患または状態を、それを必要とする対象において治療する方法であって、上記疾患がTYK2キナーゼの過剰発現(発現の増大)によって特徴づけられるか引き起こされる(少なくとも一部が)ものであるかTYK2キナーゼの過剰発現に関連するものであり、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物またはその塩の有効なTYK2阻害量を上記対象に投与することを含む方法。
【0195】
2.21
上記疾患または状態が肺サルコイドーシスである、実施形態2.20による方法。
【0196】
2.22
実施形態2.20または2.21において定義したとおりの方法において使用するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物またはその塩。
【0197】
2.23
実施形態2.20または2.21において定義したとおりの方法において使用するための医薬品を製造するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物またはその塩の使用。
【0198】
他の態様
さらなる態様(実施形態2.24〜2.26)では、本発明は、下記を提供する。
【0199】
2.24
TYK2キナーゼを阻害する際に使用するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物またはその塩。
【0200】
2.25
本明細書において定義するとおりの、炎症性疾患または状態、免疫疾患または状態、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶および移植片対宿主疾患から選択される疾患または状態を治療する際に使用するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物またはその塩。
【0201】
2.26
本明細書において定義するとおりの、炎症性疾患または状態、免疫疾患または状態、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶および移植片対宿主疾患から選択される疾患または状態を治療するための医薬品を製造するための、実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)もしくは(2)の化合物またはその塩の使用。
【0202】
TYK2阻害薬としての式(0)、(1)および(2)の化合物の活性は、以下の実施例において記載するアッセイを使用して測定でき、所与の化合物によって示される活性のレベルは、IC
50値で定義され得る。好ましい本発明の化合物は、0.03μM未満のIC
50値を有する化合物である。
【0203】
本明細書において定義するとおりの式(0)、(1)および(2)の化合物の利点は、それらが、JAKファミリーの他のキナーゼと比較して、TYK2キナーゼに対する選択性を示すことである。
【0204】
例えば、本明細書において例示した式(0)、(1)および(2)の化合物の大部分は、JAK2およびJAK3と比較して、少なくとも10倍のTYK2に対する選択性を有し、JAK1と対比して、少なくとも5倍のTYK2に対する選択性を有する。
【0205】
TYK2に対する選択性が有利であると考えられるが、場合によっては、TYK2に加えて他のJAKキナーゼに対する活性も、有利であり得ると考えられる。したがって、例えば、本明細書において定義するとおりの式(0)、(1)または(2)の化合物は、200ナノモル未満(例えば、50ナノモル未満)のTYK2に対するIC
50値、および500ナノモル未満(例えば、200ナノモル未満)のJAK1、JAK2およびJAK3に対するIC
50値を有し得るが、TYK2に対する活性は、JAK1、JAK2およびJAK3のいずれに対する活性よりも高い。
【0206】
式(0)、(1)および(2)の化合物を調製する方法
式(0)、(1)および(2)の化合物は、国際特許出願WO2008/139161(Sareum)において記載されている方法によって:例えば、実施例Q−3、Q−14、Q−20、Q−21、Q−22、Q−25、Q−26、Q−27、Q−28、Q−29、Q−50、Q−51、Q−52 Q−53、Q−54、Q−55、Q−57、U−2、U−3、U−4、U−6、U−7、U−8、U−9、U−12、U−13、U−14、U−15、U−16、U−17、U−18、U−19、U−24、U−25、U−26およびU−27において記載されている方法、ならびにそれに類似の方法を使用して調製できる。式(2)の化合物を調製するための方法も、実施例セクションにおいて以下で提示する。
【0207】
医薬製剤
活性化合物は単独で投与され得るが、少なくとも1種の本発明の活性化合物を担体、補助剤、希釈剤、増量剤、緩衝剤、安定剤、防腐剤、滑沢剤、または当業者に周知の他の物質などの1種または複数の薬学的に許容される添加剤、および任意選択により、他の治療用または予防用薬剤と一緒に含む医薬組成物(例えば、製剤)としてそれを提供することが好ましい。
【0208】
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用する場合、適正な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、合理的なベネフィット/リスク比に見合って、対象(例えば、ヒト)の組織と接触させて使用するために適した化合物、物質、組成物、および/または剤形を指す。各添加剤はまた、製剤の他の成分と適合性であるという意味において、「許容される」必要がある。
【0209】
医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻腔内、眼、耳、直腸、膣内、または経皮投与に適した任意の形態であってよい。組成物が非経口投与のために意図されている場合、それらを静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下投与のために、または注射、注入もしくは他の送達手段によるターゲット臓器もしくは組織への直接送達のために製剤化できる。
【0210】
経口投与に適した医薬剤形には、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、ロゼンジ剤、シロップ剤、液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤および懸濁剤、舌下錠剤、ウェハ剤または貼付剤および頬側貼付剤が含まれる。
【0211】
式(0)、(1)および(2)の化合物を含有する医薬組成物は、公知の技術に従って製剤化でき、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA、USAを参照されたい。
【0212】
したがって、錠剤組成物は、単位投薬量の活性化合物を、糖または糖アルコール、例えば;ラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトール、などの不活性な希釈剤または担体;および/または炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの非糖由来希釈剤、またはメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースもしくはその誘導体、およびトウモロコシデンプンなどのデンプンと一緒に含有し得る。錠剤はまた、ポリビニルピロリドンなどの結合剤および造粒剤、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロースなどの膨潤性架橋ポリマー)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸塩)、防腐剤(例えば、パラベン)、抗酸化剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸またはクエン酸緩衝剤)、およびクエン酸塩/炭酸水素塩混合物などの発泡剤などの標準的な成分を含有してよい。そのような添加剤は周知であり、本明細書において詳細に論述する必要はない。
【0213】
カプセル製剤は、硬ゼラチンまたは軟ゼラチン変種であってよく、活性成分を、固体、半固体、または液体形態で含有し得る。ゼラチンカプセル剤は、動物性ゼラチンまたはその合成もしくは植物由来同等品から形成されていてよい。
【0214】
固体剤形(例えば、錠剤、カプセル剤など)は、コーティングされていても、またはコーティングされていなくてもよいが、典型的には、コーティング、例えば、保護フィルムコーティング(例えば、ワックスまたはワニス)または放出制御コーティングを有する。コーティング(例えば、Eudragit(商標)タイプポリマー)は、活性成分を胃腸管内の所望の位置で放出するように設計できる。したがって、コーティングは、胃腸管内の特定のpH条件下で分解して、それによって胃内でまたは回腸もしくは十二指腸内で化合物を選択的に放出するように選択できる。
【0215】
コーティングの代わりに、またはコーティングに加えて、化合物を胃腸管内の様々な酸性またはアルカリ性の条件下で選択的に放出するように適合され得る放出制御剤、例えば、放出遅延剤を含む固体マトリックスで薬物を提供できる。別法では、マトリックス物質または放出遅延コーティングは、剤形が胃腸管を通過するときに実質的に連続して浸食される浸食性ポリマー(例えば、マレイン酸無水物ポリマー)の形態をとってよい。さらなる選択肢として、活性化合物を、化合物の放出の浸透圧制御をもたらす送達システムで製剤化できる。浸透圧放出および他の遅延放出または持続放出製剤は、当業者に周知の方法に従って調製できる。
【0216】
局所使用のための組成物には、軟膏剤、クリーム剤、噴霧剤、貼付剤、ゲル剤、液状滴剤および挿入剤(例えば、眼内挿入剤)が含まれる。そのような組成物は、公知の方法に従って製剤化できる。
【0217】
非経口投与のための組成物は、滅菌水性または油性または微細懸濁液として典型的に提供され、または滅菌注射用水を用いて即時に製造するための微粉滅菌粉末形態で提供できる。
【0218】
非経口投与のための組成物は、別個の投薬量単位として投与するために製剤化でき、または注入によって投与するために製剤化できる。
【0219】
直腸または膣内投与のための製剤の例には、例えば、活性化合物を含有する成形された成形用またはワックス物質から形成できる膣坐剤および坐剤が含まれる。
【0220】
吸入によって投与するための組成物は、吸入可能な粉末組成物または液体もしくは粉末噴霧剤の形態をとってよく、粉末吸入デバイスまたはエアロゾル分配デバイスを使用して、標準的な形態で投与できる。そのようなデバイスは周知である。吸入による投与では、粉末化製剤は典型的には、活性化合物を、ラクトースなどの不活性な固体の粉末化希釈剤と一緒に含む。
【0221】
本発明の化合物は一般に単位剤形で提供され、したがって、所望のレベルの生物学的活性を与えるために十分な化合物を典型的に含有するであろう。例えば、経口投与を意図されている製剤は、0.1ミリグラム〜2グラムの活性成分、より通常では10ミリグラム〜1グラム、例えば、50ミリグラム〜500ミリグラムを含有し得る。
【0222】
活性化合物は、それを必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に、所望の治療効果を達成するために十分な量で投与される。
【0223】
治療方法
実施形態1.0〜1.105のいずれか1つにおいて定義したとおりの式(0)、(1)および(2)の化合物は、炎症性疾患または状態、免疫疾患または条件、アレルギー性疾患または障害、移植拒絶、および移植片対宿主病を予防または治療する際に有用であろうと考えられる。そのような病態および状態の例は、上で提示した。
【0224】
上記化合物は典型的には、治療的にまたは予防的に有用で、一般に非毒性である量で投与されるであろう。しかしながら、特定の状況では(例えば、切迫した疾患の症例では)、式(0)、(1)または(2)の化合物を投与する有益性が、いずれかの毒性作用または副作用の不利益よりも高いことがあり、この場合、ある程度の毒性を随伴する量で化合物を投与することが望ましいと考えられ得る。
【0225】
上記化合物は、有益な治療効果を維持するために長期間にわたって投与でき、または短期間のみ投与できる。別法では、それらを拍動性または連続的手法で投与できる。
【0226】
式(0)、(1)または(2)の化合物は一般に、そのような投与を必要とする対象、例えば、ヒト患者に投与されるであろう。
【0227】
化合物の典型的な1日用量は、1日当たり1000mgまで、例えば、体重1キログラム当たり0.01ミリグラム〜10ミリグラム、より通常は体重1キログラム当たり0.025ミリグラム〜5ミリグラムの範囲、例えば、体重1キログラム当たり3ミリグラムまで、より典型的には、体重1キログラム当たり0.15ミリグラム〜5ミリグラムであってよいが、より多い、または少ない用量を必要ならば投与できる。
【0228】
例として、12.5mgの当初出発用量を、1日当たり2〜3回投与できる。医師が決定して、最大許容および有効用量が個体について達成されるまで、投薬量を、3〜5日毎に1日当たり12.5mgずつ増加させることができる。最終的に、投与する化合物の量は、治療される疾患または生理学的状態の性質、ならびに所与の投与計画によって生じる治療効果および副作用の有無と適合し、医師の裁量によるであろう。
【0229】
式(0)、(1)および(2)の化合物は、単独の治療薬として投与されるか、またはステロイドまたはインターフェロンなどの1種または複数の他の化合物との併用療法で投与され得る。
【0230】
診断方法
式(0)、(1)または(2)の化合物を投与する前に、患者が罹患しているか罹患し得る疾患または状態が、TYK2に対して活性を有する化合物での治療に対し感受性があり得る疾患または状態であるかどうかを決定するために、患者をスクリーニングしてよい。
【0231】
したがって、さらなる実施形態(3.1〜3.6)では、本発明は、下記を提供する。
【0232】
3.1
スクリーニングされていて、かつTYK2キナーゼに対して活性を有する化合物での治療に対し感受性があるであろう疾患または状態に罹患しているか罹患するリスクを有すると決定されている患者において、病態または状態を治療または予防する際に使用するための、本明細書において実施形態1.0〜1.105のいずれか1つで定義したとおりの化合物または本明細書において定義するとおりのその任意のサブグループもしくは例示物。
【0233】
3.2
スクリーニングされていて、かつTYK2キナーゼに対して活性を有する化合物での治療に対し感受性があるであろう疾患または状態に罹患しているか罹患するリスクを有すると決定されている患者において、病態または状態を治療または予防する際に使用するための医薬品を製造するための、本明細書において実施形態1.0〜1.105のいずれか1つで定義したとおりの化合物または本明細書において定義したとおりのその任意のサブグループもしくは例示物の使用。
【0234】
3.3
TYK2キナーゼによって媒介される病態または状態を診断および治療するための方法であって、(i)患者をスクリーニングして、患者が罹患しているか罹患し得る疾患または状態が、キナーゼに対して活性を有する化合物での治療に対し感受性があるであろう疾患または状態であるかどうかを決定するステップと;(ii)患者が罹患し得る疾患または状態が示された場合、その後、本明細書において実施形態1.0〜1.105のいずれか1つで定義したとおりの化合物または本明細書において定義したとおりのその任意のサブグループもしくは例示物の有効なTYK2阻害量を患者に投与するステップとを含む方法。
【0235】
対象(例えば、患者)を、TYK2が関与している疾患または状態の存在を示すマーカー、または上記疾患または状態に対する感受性を示すマーカーを検出するための診断検査にかけることができる。例えば、対象を、自己免疫疾患または炎症性疾患を発生する感受性を示す遺伝子マーカーについてスクリーニングできる。
【0236】
上記遺伝子マーカーは、多発性硬化症などの自己免疫疾患(例えば、Banら、European Journal of Human Genetics(2009)、17、1309〜1313を参照されたい)またはクローン病などの炎症性腸疾患(Satoら、J. Clin. Immunol.(2009)、29:815〜825を参照されたい)に対する感受性を示すTYK2遺伝子の特定の対立遺伝子または単一ヌクレオチド多形性を含み得る。上記遺伝子マーカーは、例えば、TYK2遺伝子における単一ヌクレオチド多形性であってよく、またはTYK2遺伝子における単一のヌクレオチド多形性および別の遺伝子における多形性を含むハプロタイプであってよい。
【0237】
診断検査を典型的には、血液試料、生検試料、糞便生検、痰、染色体分析、胸膜液、腹膜液または尿から選択される生体試料で行う。
【0238】
単一ヌクレオチド多形性などの遺伝子マーカーを同定する方法は、周知である。そのようなマーカーを同定するための適切な方法の例は、上記のBanらおよびSatoらにおいて記載されている。
【0239】
実施例
本発明を、次に例示するが、次の実施例において記載する具体的な実施形態についての言及によって、本発明が限定されることはない。
【0240】
酵素阻害
本発明の化合物を、TYK2キナーゼおよび他のJAKキナーゼを阻害するそれらの能力についてアッセイした。
【0241】
アッセイにおいて使用する基質およびキナーゼを、下記の表2において同定する。
【0242】
キナーゼアッセイを、次の一般手順を使用して、Reaction Biology Corp.、Malvern、Pennsylvania、USAにおいて行った:
1)新たに調製したBase反応緩衝液(20mM Hepes pH7.5、10mM MgCl
2、1mM EGTA、0.02%Brij35、0.02mg/ml BSA、0.1mM Na
3VO
4、2mM DTT、1%DMSO)中で、示されている基質を調製する
2)補因子(1.5mM CaCl
2、16ug/mLカルモジュリン、2mM MnCl
2)を、上記基質溶液に送達する
3)示されているキナーゼを、基質溶液に送達し、穏やかに混合する
4)DMSO中の様々な濃度の試験化合物を、キナーゼ反応混合物に送達する
5)
33P−ATP(最終0.01μCi/μLの比放射能)を、反応混合物に送達して、反応を開始させる
6)キナーゼ反応物を室温で120分間にわたってインキュベートする
7)反応物を、P81イオン交換濾紙(Whatman # 3698−915)上にスポットする
8)フィルターを0.75%リン酸中で十分に洗浄することによって、未結合のリン酸を除去する
9)
33Pシグナルを、Typhoon phosphorimagers(GE Healthcare)を使用して決定した。不活性な酵素を含有する対照反応に由来する背景を差し引いた後に、Prism(Graphpad software)の非線形回帰機能を使用して、IC
50値を決定した。
【表1】
【0243】
結果を、下記の表3において示す。
【表2】
【0244】
上記の表において提示したデータは、式(1)の化合物が、TYK2キナーゼの強力な阻害薬であり、他のJAKキナーゼと比較して、TYK2キナーゼに対して顕著な選択性を示すことを例証している。
【0245】
TYK2キナーゼに対するそれらの活性に基づき、式(1)の化合物は、広範な炎症性、免疫性およびアレルギー性の疾患および状態を治療するための治療薬として有用であろうと考えられる。
【0246】
実施例19〜33
下記の表4における実施例19〜33の化合物は新規化合物であり、下記に記載の方法またはそれに類似の方法を使用して作製される。それらの方法において使用される出発物質および合成中間体を表5において示し、最終生成物のNMRおよびLCMS特性を表6において提示する。
【表3】
【表4】
【0247】
一般方法A
ステップa 中間体化合物(12)の調製
【化6】
上記反応スキームにおいて、式(11)および(12)中の基R
1’は、本明細書において定義するとおりの基R
1、または基R
1の保護された形態のいずれかである。
【0248】
DMF(7.1mL)中の酢酸パラジウム(0.025mmol)および(±)−2,2’’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’’−ビナフタレン(0.024mmol)の溶液を、室温で3分間撹拌する。次いで、化合物(10)(0.35mmol)、化合物(11)(1.40mmol)およびリン酸三カリウム(0.70mmol)を添加し、その混合物をマイクロ波中で3分間180℃で加熱する。その反応物をEtOAcで希釈し、水で洗浄する。有機相をMP−SH樹脂カートリッジに通し、MgSO
4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去する。残渣を、ヘキサン中の10〜100%EtOAc勾配を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して化合物(12)が得られ、その同一性は、
1H NMR(DMSO)およびLCMSによって確認できる。
【0249】
ステップb 化合物(2)の調製
【化7】
濃硫酸(1.7mL)中の化合物(12)(0.09mmol)の溶液を、室温で1.5時間撹拌する。その溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液中に注ぐことによって中和する。その水性相を、EtOAcで抽出する。合わせた有機相をMgSO
4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去して化合物(2)が得られ、その同一性は、
1H NMR(DMSO)およびLCMSによって確認できる。
【0250】
一般方法B
ステップa 中間体化合物(14)の調製
【化8】
一般方法Aのステップaにおいて提示した条件下で化合物(10)を化合物(13)と反応させて化合物(14)を得る。
【0251】
ステップb 中間体化合物(15)の調製
【化9】
水酸化リチウムを使用して化合物(14)を加水分解して、カルボン酸化合物(15)を得る。
【0252】
別法では、化合物(15)を、WO2008/139161の実施例U−1のステップaの方法またはそれに類似の方法によって調製できる。
【0253】
ステップc 中間体化合物(16)の調製
【化10】
N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の化合物(15)(0.059mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(0.059mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(0.117mmol)の溶液に、式HNR
xR
y(0.059mmol)のアミンを添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌する。次いで、反応混合物をEtOAcで希釈し1M HCl、水およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO
4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去する。残渣を分取HPLCによって精製して化合物(16)が得られ、その同一性は、LCMSによって確認できる。
【0254】
ステップd 化合物(17)の調製
【化11】
濃硫酸(0.5mL)中の化合物(16)(0.022mmol)の溶液を、室温で1.5時間撹拌する。その溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液中に注ぐことによって中和する。次いで、その水性相を、5M NaOHを使用してpH14へと塩基性にし、EtOAcで抽出した。合わせた有機相をMgSO
4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去して化合物(17)が得られ、その同一性は、
1H NMR(DMSO)およびLCMSによって確認できる。酸感受性窒素保護基を有する、I−11またはI−12から調製されたものなどの、塩基性窒素を含有する化合物(17)を、最終の酸媒介反応ステップの間に同時に保護する。
【0255】
一般方法Bを使用して、NR
xR
yがモルホリノ、ピペラジノもしくはピペリジノ基などの環式アミンを形成している化合物、またはR
xが水素もしくは置換基でありR
yが水素もしくは置換基である化合物を作製できる。
【表5】
【0256】
実施例34
式(2)の新規化合物の酵素阻害活性
式(2)の新規化合物を、上記のTYK2キナーゼ阻害アッセイおよび他のJAKキナーゼ阻害アッセイにおいて試験した。結果を、以下の表7に示す。
【表6】
【0257】
上記の表において提示したデータは、式(2)の化合物がTYK2キナーゼの強力な阻害薬であり、他のJAKキナーゼと比較してTYK2キナーゼに対して顕著な選択性を示すことを例証している。
【0258】
TYK2キナーゼに対するそれらの活性に基づき、式(2)の化合物は、広範な炎症性、免疫性およびアレルギー性の疾患および状態を治療するための治療薬として有用であろうと考えられる。
【0259】
実施例35
医薬製剤
(i)錠剤製剤
式(0)、(1)または(2)の化合物を含有する錠剤組成物を、上記化合物50mgを希釈剤としてのラクトース(BP)197mg、および滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgと混合し、公知の手法で圧縮して錠剤を形成することによって調製する。
【0260】
(ii)
カプセル剤製剤
カプセル剤製剤を、式(0)、(1)または(2)の化合物100mgをラクトース100mgと混合し、得られた混合物を標準的な不透明硬ゼラチンカプセルに充填することによって調製する。
【0261】
(iii)注射用製剤I
注射による投与のための非経口組成物は、式(0)、(1)または(2)の化合物(例えば、塩の形態)を、1.5重量%の活性化合物濃度が得られるように10%プロピレングリコール含有水に溶かして、調製できる。次いで、その溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に充填し密封する。
【0262】
(iv)注射用製剤II
注射用の非経口組成物を、水に、式(0)、(1)または(2)の化合物(例えば、塩の形態)(2mg/mL)およびマンニトール(50mg/mL)を溶かし、その溶液を滅菌濾過し、密封可能な1mLバイアルまたはアンプル中に充填することによって調製する。
【0263】
(iv)
皮下注射用製剤
皮下投与用の組成物を、5mg/mLの濃度が得られるように、式(0)、(1)または(2)の化合物を医薬グレードのトウモロコシ油と混合することによって調製する。上記組成物を滅菌し、適切な容器中に充填する。
【0264】
同等品
上述の実施例は、本発明を説明する目的で提示したものであって、本発明の範囲に対する何らかの限定を課すものと解釈されるべきではない。本発明の根底にある原理から逸脱することなく、上において記載し、実施例において例示した本発明の具体的な実施形態に対して、多くの変更および改変を成すことができることは容易に分かるであろう。そのような変更および改変はすべて、本出願に包含されることが意図されている。