(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239119
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】複数のアームを有するコンタクト舌片を備えた大電流用プラグインコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/187 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
H01R13/187 B
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-537251(P2016-537251)
(86)(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公表番号】特表2016-529675(P2016-529675A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014068013
(87)【国際公開番号】WO2015028434
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年2月29日
(31)【優先権主張番号】102013217256.7
(32)【優先日】2013年8月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ザウア
(72)【発明者】
【氏名】ジェンユー フー
【審査官】
前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06062919(US,A)
【文献】
特表2005−506662(JP,A)
【文献】
特開2014−236000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/187
H01R 13/11
H01R 13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大電流用プラグインコネクタを形成する、円筒形のコンタクトピンを収容するブシュ(10)であって、
中空円筒形に環状の内壁(26)を備えたコンタクトスリーブ(12)と、
中空円筒形のコンタクト装置(20)であって、前記コンタクトスリーブ(12)と、該コンタクトスリーブ(12)のうち前記内壁(26)によって取り囲まれた内側領域(18)に挿入されたコンタクトピンと、の間の中間域において延在するように構成されたコンタクト装置(20)と、を有しており、
該コンタクト装置(20)は、複数の縦長のコンタクト舌片(34)を有していて、該コンタクト舌片(34)は、前記内側領域(18)へのコンタクトピンの挿入時に、該コンタクトピンと前記コンタクトスリーブ(12)との間において機械的及び電気的な接触接続部を形成するように、構成されており、
前記コンタクト装置(20)は、前記コンタクトスリーブ(12)の前記内側領域(18)内に配置されていて、前記コンタクト装置(20)はその周方向において前記コンタクトスリーブ(12)の前記内壁(26)に沿って延びていて、その外壁の少なくとも一部で前記内壁(26)に支持されており、
コンタクト装置(20)は、その両端面側にそれぞれ、周方向において環状に延びる、第1のカラー(30)及び第2のカラー(32)を有しており、
前記コンタクト舌片(34)は、前記第1のカラー(30)と前記第2のカラー(32)との間において延びていて、それぞれの端部で前記カラー(30,32)に結合されている、ブシュ(10)において、
1つのコンタクト舌片(34)が、前記第1のカラー(30)と前記第2のカラー(32)との間の領域においてアーム(36)を有しており、該アーム(36)を介して前記コンタクト舌片(34)は追加的に、前記コンタクト装置(20)の1つのカラー(30,32)と支持作用を有するように結合されており、
前記コンタクト舌片(34)は、前記アーム(36)と共にY字形に形成されており、かつ、
前記アーム(36)を含んでいる前記コンタクト舌片(34)のそれぞれは、そのY字形の少なくとも2つの領域において湾曲部(38,40,42)を有しており、該湾曲部(38,40,42)のそれぞれは、前記コンタクトピン又は前記コンタクトスリーブ(12)と接触するように構成されていることを特徴とするブシュ(10)。
【請求項2】
前記コンタクト舌片(34)の前記アーム(36)は、隣接したコンタクト舌片(34)に支持されている、請求項1記載のブシュ(10)。
【請求項3】
前記コンタクト舌片(34)及び前記アーム(36)の空間的な配置及び前記湾曲部(38,40,42)の空間的な配置は、最大湾曲部が前記コンタクトスリーブ(12)の周方向において互いにずらされて配置されているように構成されている、請求項1又は2記載のブシュ(10)。
【請求項4】
前記コンタクト装置(20)は、前記コンタクト舌片(34)の前記湾曲部(38,40,42)が変位力を加えられたときに前記コンタクトスリーブ(12)の前記内壁(26)に向かって弾発的に縮み、これによって前記コンタクト装置(20)の全長が伸長するように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のブシュ(10)。
【請求項5】
前記コンタクト装置(20)は、前記カラーのうちの1つにおいて前記コンタクトスリーブ(12)に結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のブシュ(10)。
【請求項6】
前記コンタクトスリーブ(12)の一方の端面側に配置された前記カラー(30)は、突出部(22)を有していて、該突出部(22)は、前記コンタクトスリーブ(12)の端面側の縁部を越えて突出しており、これによって前記コンタクトスリーブ(12)内への前記コンタクト装置(20)の進入する動きが制限される、請求項5記載のブシュ(10)。
【請求項7】
前記コンタクト装置(20)は、その長手方向長さにわたって間隙(56)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のブシュ(10)。
【請求項8】
前記コンタクト装置(20)の前記カラー(30,32)の周囲が弾性的に拡開可能であり、かつ前記コンタクト装置(20)の前記カラー(30,32)が、拡開されていない状態において少なくとも部分的に前記コンタクトスリーブ(12)の内壁(26)から間隔をおいて位置するように、前記コンタクト装置(20)は構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のブシュ(10)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載のブシュ(10)を有する大電流用プラグインコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
今日、多くの技術分野において、大きな電流値が伝達される。ここ数年において、現代の車両においても、特に電気自動車又はハイブリッド車両の分野においても、益々より大きな電流が伝達される。
【0002】
特に接続エレメント及びコンタクトエレメントの使用時には、しばしば確実な接触に関する種々様々な要求が、低い電気抵抗や長い耐用寿命と同時に課せられる。追加的に、自動車における使用時には、例えば発生する振動又は使用条件に因る温度変化に基づいて、プラグインコネクタに対するさらなる特別な要求が課せられることがある。
【0003】
独国特許出願公開第102004029834号明細書には、複数の巻条を備えたコイルばねとして形成された電気的なコンタクトエレメントが記載されている。巻条は多角形の形をしており、これによって大電流を伝達することができる。このとき小さな差込み力及び高い誤差補償が与えられている。
【0004】
発明の開示
本発明は、以下に記載の思想及び考察に基づいている。大電流用プラグインコネクタでは、コンタクトピン又はピンとコンタクトスリーブとの間における接触及び電流伝達のために、しばしばばね弾性的なコンタクトエレメントが使用され、このようなコンタクトエレメントは、例えばコンタクトスリーブから内側に向かって突出する縦長のコンタクト舌片として形成されている。このようなコンタクト舌片は、例えばコンタクトスリーブに不動に結合されていてもよい。電気的な接続部は、コンタクトスリーブへのコンタクトピンの導入によって形成することができる。ばね弾性的なコンタクトエレメントによって、コンタクトピンを機械的にコンタクトスリーブ内において保持し、かつコンタクトピン・コンタクトスリーブ装置の場合によっては生じる誤差を補償することが望まれている。
【0005】
このようなばね弾性的な圧縮特性は、例えば比較的薄い横断面を有する多数のコンタクト舌片によって得ることができる。比較的多数のコンタクト舌片は、場合によっては比較的多数の接点を可能にすることができ、このことは、全電流値が所定されている場合、好適に、それぞれ1つの接点において伝達される電流値を減じることができ、コンタクト舌片とコンタクトピンとの間における全伝達抵抗を減じることができる。しかしながらコンタクト舌片の比較的厚い横断面は、コンタクト舌片の内部における比較的低い直列電気抵抗に関して、かつコンタクトピンへのコンタクト舌片の比較的大きな圧着力に関して好適なことがある。コンタクト舌片における部分的に逆のこのような要求の転換は、多くの場合、好適な態様に関する妥協案を必要とすることがある。
【0006】
発明のまとめ
本発明の構成を用いて、特に、プラグインコネクタ、特に大電流用プラグインコネクタの機械的及び電気的な特性を改善することができる。
【0007】
従って本発明の1つの観点によれば、大電流用プラグインコネクタを形成する、円筒形のコンタクトピンを収容するブシュが提案される。大電流プラグインコネクタは、中空円筒形に環状の内壁を備えたコンタクトスリーブと、中空円筒形のコンタクト装置であって、コンタクトスリーブと、該コンタクトスリーブの、内壁によって取り囲まれた内側領域に挿入されたコンタクトピンとの間の中間域において延在するように、構成されたコンタクト装置と、を有している。コンタクト装置は、複数の縦長のコンタクト舌片を有していて、該コンタクト舌片は、コンタクト装置の内側領域へのコンタクトピンの挿入時に、該コンタクトピンとコンタクトスリーブとの間において機械的及び電気的な接触部を形成するように、構成されている。コンタクト装置は、コンタクトスリーブの内側領域内に配置されていて、コンタクト装置はその周方向においてコンタクトスリーブの内壁に沿って延びていて、その外壁の少なくとも一部で内壁に支持されている。コンタクト装置は、その両端面側にそれぞれ、周方向において環状に延びる、第1のカラー及び第2のカラーを有している。コンタクト舌片は、第1のカラーと第2のカラーとの間において延びていて、それぞれの端部でカラーに結合されている。本発明に係るブシュは、1つのコンタクト舌片が、第1のカラーと第2のカラーとの間の領域においてアームを有しており、該アームを介してコンタクト舌片は追加的に、コンタクト装置の1つのカラーと支持作用を有するように結合されていることを特徴とする。
【0008】
本明細書の文脈において、より良好な可読性のために、「1つのコンタクト舌片」という概念は、「正確に1つのコンタクト舌片」に制限して理解されるべきではない。この概念はむしろ「少なくとも1つのコンタクト舌片」として、もしくは「コンタクト舌片のうちの少なくとも1つ」と理解することができ、つまりこの概念は、複数のコンタクト舌片又はすべてのコンタクト舌片をも意味することができる。従って同様に、「前記コンタクト舌片」という表現は、「前記少なくとも1つのコンタクト舌片」もしくは「前記コンタクト舌片のうちの少なくとも1つ」を意味している。
【0009】
コンタクト舌片に追加的に設けられたアームが、局部的に間隔をおいたポジションにおいてカラーに支持されていることによって、コンタクト舌片もしくはアームとコンタクトピンとの間における比較的大きな圧着力を得ることができ、これによってより僅かな電気抵抗、より高い機械的安定性及びより良好な耐摩耗性が得られる、ということに利点を見ることができる。さらに、アームによってさらに別の電流路が得られ、この電流路によって、電流のより良好な局部的な分配、及びこれによって、特により小さな横断面を有するコンタクト舌片の領域における局部的な電流強さを小さくすることができる。
【0010】
コンタクトスリーブはこのとき導電性であってよく、その外側面に機械的な保護及び絶縁のために追加的に例えばプラスチック層又は、絶縁性をもって被着された電気的なシールドを有することができる。さらにコンタクトスリーブは、相応の接続装置を介して電気的及び機械的に接続導体に接続されていてもよい。
【0011】
コンタクト装置は、その中空円筒形状において、例えば、側面において舌片の間に縦長の切欠きを有する舌片ケージとして理解することができる。コンタクト装置のこの構造は、例えば金属薄板の打抜き加工と、次いで行われる、中空円筒形状への曲げ加工によって製造することができる。特に、コンタクト装置は一体に形成されていてもよい。
【0012】
コンタクト舌片及びアームは、種々様々な形状を有することができ、例えば等しい幅の条片又は異なった部分幅の条片であってよい。コンタクト舌片の長さは、例えば15〜20mmであり、幅は例えば2〜5mmであってよい。アームは、コンタクト舌片と一体に構成されていてもよいが、しかしながらまた、コンタクト舌片又はカラーに導電接触していてもよい。このとき1つの例では、アームは一体にカラーから突出していて、支持作用をもってコンタクトエレメントに接触していてもよい。
【0013】
本発明の1つの態様では、コンタクト舌片は、アームと共にY字形に形成されている。Y字形は、これによって生じる、アームを備えたコンタクト舌片の全部で3つの脚が、コンタクト舌片の、周方向において静的な観点で安定したポジションを可能にすることができる、という利点を有することができる。言い換えればコンタクト舌片は、一方のカラーにおいて少なくとも2つのポイントで固定され、かつ他方のカラーにおいて1つのポイントで固定されている。1つの例では、アームを備えたコンタクト舌片は、一方のカラーにおいて、他方のカラーに比べて少なくとも1つ多い別のポイントで支持されている。さらに1つもしくは複数のアームによって、コンタクトピンもしくはコンタクト舌片との間もしくはコンタクトスリーブとコンタクト舌片との間における追加的なコンタクトポイントの可能性が生ぜしめられる。
【0014】
別の態様においては、コンタクト舌片のアームは、隣接したコンタクト舌片に支持されている。間に配置されたアームを備えた、隣接した2つのコンタクト舌片は、H字形を形成することができる。この構成は、コンタクト装置の全体的な安定性を高めることができ、かつアームと隣接したコンタクト舌片とを介してさらに追加的な電流路を形成することができる、という利点を有することができる。アームはこのとき例えば、第1及び第2のコンタクト舌片と一体に成形されていてもよい。別の例では、アームはコンタクト舌片と一体に形成されていて、支持作用をもって隣接したコンタクト舌片に接触している。
【0015】
別の態様では、コンタクト舌片及び/又はアームは、コンタクト装置の半径方向における複数の湾曲部を有しており、該湾曲部は、それぞれコンタクトピン又はコンタクトスリーブと接触するように構成されている。湾曲部の利点としては、特にコンタクト舌片を介して電流路の長さを制限することができる確定された多数の接点を挙げることができる。1つの例では、湾曲部を備えたコンタクト舌片は、ばね鋼から製造されていて、これによって半径方向におけるばね弾性的な収縮を可能にすることができる。湾曲部はその縦断面において、コンタクトスリーブの長手方向軸線に対して平行に、波形の形状を有することができ、しかしながらまた別の適宜な形状を有することもできる。
【0016】
別の態様において、コンタクト舌片及びアームの空間的な配置及び湾曲部の空間的な配置は、隣接したコンタクト舌片の最大湾曲部がコンタクトスリーブの周方向において互いにずらされて配置されているように構成されている、もしくは隣接したコンタクト舌片の最大湾曲部が、長手方向軸線に対して垂直な平面への軸方向における投影図において、コンタクトスリーブのこの投影図の周囲に沿って、互いにずらされてもしくは互いに隣接して配置されているように構成されている。この構成は、コンタクトピンにおけるコンタクト箇所がより均一に全周にわたって分配されている、という利点を有することができる。言い換えれば、この構成によって、コンタクトピンの差込み時に複数の接点が同時に、コンタクトスリーブの軸方向に延びる1つの同じ母線に沿って滑るということを、回避することができる。これによって例えばコンタクトピンの表面における摩耗を減じることができる。
【0017】
別の態様において、コンタクト装置は、コンタクト舌片の湾曲部が変位力を加えられたときにコンタクトスリーブの内壁に向かって弾発的に縮み、これによってコンタクト装置の全長が伸長するように構成されている。この態様は、弾発的な収縮がコンタクトスリーブにおけるコンタクトピンの係止を可能にすることができ、さらに、生ぜしめられた圧着力によって良好な電気的な接触を達成することができる、という利点を得ることができる。
【0018】
半径方向の運動によって、コンタクト舌片の部分領域は、コンタクトスリーブの内壁に沿ってもしくはコンタクトピンの表面に沿って、軸方向に移動させられる。これによってコンタクト装置の全長が増大する。
【0019】
本発明の別の態様では、コンタクト装置は、カラーのうちの1つにおいてコンタクトスリーブに結合されている。これによって、コンタクトスリーブの内部におけるコンタクト装置の確定されたポジションを得ることができ、かつ、コンタクト装置とカラーとの間及び/又はコンタクト装置とコンタクトスリーブとの間における追加的な電気的な接触部をも得ることができる。このような結合形態もしくは接続形態は、コンタクトピンが差し込まれていない場合にコンタクトスリーブの内部領域からのコンタクト装置の滑り出しを回避するために役立つことができる。例えばカラーは、溶接ポイントによってコンタクトスリーブに結合されていてもよい。
【0020】
本発明の別の態様では、コンタクトスリーブの一方の端面側に配置されたカラーは、突出部を有していて、該突出部は、コンタクトスリーブの端面側の縁部を越えて突出しており、例えば半径方向において縁部を越えて突出しかつ該縁部を例えば取り囲んでいる又は該縁部に被さっており、これによってコンタクトスリーブ内へのコンタクト装置の進入する動きが制限される。この態様は、コンタクトスリーブの横断面へのコンタクトピンの差込み時に、これによって生じるコンタクト装置との摩擦によって、コンタクト装置が不都合に大きくコンタクトスリーブの内部に押し込まれない、という利点を有することができる。このような突出によって、コンタクトスリーブの端面は抑え面として使用されることができる。1つの例では、突出部は例えば溶接ポイントを用いて持続的にコンタクトスリーブの端面に固定されている。
【0021】
別の態様において、コンタクト装置は、その長手方向長さ全体にわたって間隙を有している。これによってこの間隙は、両方のカラーをも貫いて延びている。本発明の別の態様において、コンタクト装置は、該コンタクト装置のカラーの周囲が弾性的に拡開可能であり、かつコンタクト装置のカラーが拡開されていない状態において少なくとも部分的にコンタクトスリーブの内壁から間隔をおいて位置するように、構成されている。
【0022】
この態様は、コンタクト装置を簡単に例えば比較的小さな周囲を通してコンタクトスリーブの内部領域に導入することができ、しかも差し込まれたコンタクトピンでは、コンタクト装置の可能な限り大きな領域が、コンタクトスリーブの内壁に接触することができる、という利点を有することできる。言い換えれば、間隙もしくは弾性的な拡開可能性は、コンタクトピンがコンタクト装置の横断面に導入される場合に、コンタクトスリーブの内部におけるコンタクト装置の周囲の制限された増大を可能にする。
【0023】
本発明の別の観点では、上に記載したようなブシュを有する大電流用プラグインコネクタが提案される。例えば、大電流プラグインコネクタは、ブシュと相応に寸法設定されたコンタクトピンとから成っており、このコンタクトピンは、電気的及び機械的な接続部もしくは結合部を形成するためにブシュ内に差し込まれるように構成されている。大電流プラグインコネクタは、特に、例えば50〜300Aの範囲における大電流が発生する使用分野における使用によって特徴付けることができる。
【0024】
さらに付言すると、本発明に係るブシュの可能な特徴及び利点は、種々様々な態様に関連して記載されている。個々の特徴を適宜に互いに組み合わせて又は交換して、さらに別の態様及び可能なシナジー効果を得ることが可能であることは、当業者にとって自明である。
【0025】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお本発明は、以下に記載の説明及び図面に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1Aは、コンタクト装置を備えた本発明に係るブシュを示す斜視図であり、
図1Bは、コンタクト装置を備えた本発明に係るブシュを示す縦断面図である。
【
図2】本発明に係るブシュのコンタクト装置の1つの例を示す縦断面図である。
【
図3】
図3A〜
図3Cは、本発明に係るブシュのコンタクト装置の1つの例を、それぞれ異なった方向から見た斜視図である。
【
図4】
図4Aは、本発明に係るブシュのコンタクト装置の1つの例を示す側面図であり、
図4Bは、同じ例を別の方向から見た斜視図である。
【0027】
図面は、単に略示されたものであり、その縮尺は実物に忠実ではない。同じ符号は、図面において同じ特徴又は同じ作用を有する特徴を示している。
【0028】
図面の詳細な説明
図1Aには、コンタクトスリーブ12を備えたブシュ10の簡単化された構造が示されている。コンタクトスリーブ12は、ここに示した例では、コンタクトピン(図示せず)を差込みために使用される側の縁部に、ロックのために周方向において少なくとも1つの凹部14と少なくとも1つのロックピン16とを有し、図示の実施の形態では、各3つの凹部14とロックピン16とを有している。凹部14及びロックピン16は、ブシュ10の追加的な特徴として理解することができ、これらの特徴は、機械的な安定化のために作用することができる。コンタクトスリーブ12の内部領域18には、コンタクト装置20が配置されている。このコンタクト装置20は、コンタクトスリーブ12の端面に向けられた側に、半径方向における複数の突出部22を有しており、これらの突出部22は、コンタクトスリーブ12の端面に接触していて、コンタクトピン(図示せず)の差込み時にコンタクトスリーブ12の内部領域18にコンタクト装置20が内方に向かってさらに大きく不都合に移動することが阻止されるようになっている。突出部22の軸方向における支持も可能である。追加的にコンタクトスリーブ12はケーブル側端部24に、接続ケーブル(図示せず)のための接続可能性を有していてもよい。
【0029】
図1Bには、
図1Aに示したブシュ10が縦断面図で示されている。コンタクト装置20は、その外壁でコンタクトスリーブ12の中空円筒形の内壁26に接触している。コンタクト装置20は、その周囲が、内側領域18内に挿入されるコンタクトピン(図示せず)とコンタクトスリーブ12の内壁26との間における中間域内において延在している。コンタクト装置20はその周方向において、コンタクトスリーブ12の内壁26に沿って延びていて、少なくともその外壁の一部で、内壁26に支持されている。例えばコンタクト装置20は、カラー側の接点28において内壁26に接触している。内側領域18に向かってのコンタクト装置20の軸方向移動は、半径方向に形成された複数の突出部22によって制限されている。
【0030】
図2には、コンタクト装置20の1つの例が、縦断面図で示されている。コンタクト装置20は、第1のカラー30と第2のカラー32とを有している。第1のカラー30と第2のカラー32との間には、アーム36で追加的に第1のカラー30もしくは第2のカラー32に支持されているコンタクト舌片34がそれぞれ延びている。択一的に、コンタクト舌片34は、カラー30,32からアーム36を介して、反対側に位置するカラー32,30に延びていてよく、このとき支持は、コンタクト舌片34の平行に延びる領域を介して行われる。言い換えれば、コンタクト舌片34は、アーム36と共にY字形の形状を有している。
【0031】
コンタクト装置20の全周にわたって、それぞれアーム36を備えて形成されたY字形のコンタクト舌片34は、第1のカラー30と第2のカラー32との間において、択一的に、直立したY字形としてか又は逆様のY字形として形成されている。言い換えれば、第1のコンタクト舌片34では、例えばこの第1のコンタクト舌片34のアーム36が、第2のカラー32と支持作用をもって結合されており、これに対して、この第1のコンタクト舌片34に隣接したコンタクト舌片34では、そのアーム36が第1のカラー30と支持作用をもって結合されている。第1のコンタクト舌片34に対する次の次の隣接部材は、新たに、第1のコンタクト舌片34と同じ方向付けを有しており、つまりそのアーム36は、再び第2のカラー32と支持作用をもって結合されている。この交互のパターンによって、コンタクト装置20の周囲の面積は、好適に極めて密に、コンタクト舌片34もしくはそのアーム36の材料によって覆われる。
【0032】
コンタクト装置20は軸方向に沿って見て、そのコンタクト舌片34に、半径方向内側に向けられた第1の湾曲部38、半径方向内側に向けられた第2の湾曲部40及び、両湾曲部38,40の間に配置されていて半径方向外側に向けられた湾曲部42を、それぞれ1つずつ有している。言い換えれば、軸方向における縦断面図で見て、コンタクト舌片34の波形の形状が生ぜしめられている。内側に向けられた第1の湾曲部38及び内側に向けられた第2の湾曲部40は、両湾曲部38,40がそれぞれその最大湾曲部において、差し込まれたコンタクトピン(図示せず)との接点を形成するように構成されている。このとき差し込まれたコンタクトピンは、外側に向けられた接触力44を、内側に向けられた第1の湾曲部38及び内側に向けられた第2の湾曲部40を介して、コンタクト装置20のコンタクト舌片34もしくはアーム36に加える。外側に向けられた湾曲部42は、その最大湾曲部において、コンタクトスリーブ12の内壁(
図1A及び
図1B参照)との接点を形成するように構成されている。このとき内壁26は、内側に向けられた接触力46を、第1のカラー30、第2のカラー32及び外側に向けられた湾曲部42に対して加える。接触力44,46は、コンタクト装置20を介して、コンタクトピンとコンタクトスリーブ12との間における機械的及び電気的な接触を可能にする。コンタクト装置20はさらに、コンタクトスリーブ12の内部におけるコンタクト装置20の軸方向における位置決めのために、突出部22(ここでは例えば半径方向に形成されている)を有している。
【0033】
図3Aには、
図2に示したコンタクト装置20の、コンタクトピン側の接触箇所48が示されており、これらの接触箇所48はそれぞれ、第1の湾曲部38及び第2の湾曲部40(
図2参照)の最大湾曲部に位置している。
【0034】
図3Bには、
図2に示したコンタクト装置20の、コンタクトスリーブ側の接触箇所50が示されており、これらの接触箇所50は、コンタクト舌片34の外側に向けられた湾曲部42のカラー30,32及び最大湾曲部に位置している。
【0035】
図3Cには、コンタクト装置20の、矢印で示した電流路52が示されている。例えば電流はコンタクトピン(図示せず)から、内側に向けられた第1及び第2の湾曲部と、コンタクト舌片34及びアーム36の電流路52とを介して、つまりコンタクトピン側の接触箇所48からスリーブ側の接触箇所50に、さらに導かれ、そしてコンタクトスリーブ12の内壁26に伝達される。各コンタクトピン側の接触箇所48とスリーブ側の接触箇所50との隣接した配置によって、コンタクトピンとコンタクトスリーブ12との間における接点の数が高められると共に、短い電流路が設けられ、このことは、特に導体横断面が小さな場合に好適であり、かつ高い接触力44,46が生ぜしめられて好適である。言い換えれば、Y字形のコンタクト舌片34,36、つまりコンタクト舌片34及びそのアーム36は、それぞれの脚で、コンタクトピンに接触し(これによってつまりコンタクト舌片34毎にコンタクトピンとの接点が生ぜしめられる)、このときカラー30,32の環状の金属ストリップと外側に向けられた湾曲部42とが、コンタクトスリーブ12に接触する。このことは、全体として頑丈なデザインによる確実な接触及び改善された耐摩耗性を可能にすることができる。
【0036】
図4Aには、コンタクト装置20が簡単化された縦断面図で示されている。差込み方向54におけるコンタクト装置20の横断面へのコンタクトピン(図示せず)の差込み時に、コンタクト舌片34の湾曲部38,40,42はそれぞれのアーム36と一緒に変位及び変形する。これによってコンタクト装置20の外面はコンタクトスリーブ12(
図1A,
図1B参照)の内壁26に沿って、コンタクトスリーブ12の長手方向に滑動し、これによって長手方向58におけるコンタクト装置20の長さを伸張させる。さらにコンタクト装置20はその長手方向長さにわたって間隙56を有している。
【0037】
図4Bに示すように、間隙56によって形成された片側及び長辺側における、このコンタクト装置20の開口によって、コンタクト装置20の周囲長60は増大させられる。これによって一方ではばね弾性的な作用を得ることができ、かつ他方ではコンタクトスリーブ12(
図1A,
図1B参照)内におけるコンタクトピンの好適なクランプを達成することができる。さらに、コンタクトスリーブ12の内壁26におけるコンタクト装置20の好適な大面積の接触を達成することができ、ひいてはより良好な接触を達成することができる。
【0038】
さらに補足的に述べると、「有する」という表現は、他のエレメント又はステップを排除するものではなく、また「1つの」という表現は、複数を排除するものではない。さらに付言すると、上に述べた実施の形態を参照して記載した特徴又はステップは、上において記載した他の実施の形態の他の特徴又はステップと組み合わせて使用することも可能である。請求項における符号は、制限もしくは限定と見なすべきではない。