特許第6239122号(P6239122)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239122自動車における媒体の温度を測定するセンサ装置
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  • 特許6239122-自動車における媒体の温度を測定するセンサ装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239122
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】自動車における媒体の温度を測定するセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20060101AFI20171120BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20171120BHJP
   G01K 13/10 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G01K1/14 L
   G01K7/22 L
   G01K13/10
【請求項の数】7
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-537348(P2016-537348)
(86)(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公表番号】特表2016-529512(P2016-529512A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014069514
(87)【国際公開番号】WO2015039968
(87)【国際公開日】20150326
【審査請求日】2016年2月29日
(31)【優先権主張番号】102013219091.3
(32)【優先日】2013年9月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス コイテン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス フェーゲアル
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ヘニガー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヴィーチョレク
(72)【発明者】
【氏名】リーザ−マリア ヴィットマン
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−093253(JP,A)
【文献】 特開昭54−099483(JP,A)
【文献】 特開2002−156290(JP,A)
【文献】 特開平07−140013(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第04108789(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサが1つのセンサボディ(3)と2つの接続ワイヤ(1,2)とを有している、自動車における媒体(4)の温度を測定するセンサ装置であって、
第1の接続ワイヤ(1)及び前記センサボディ(3)の最大部分が、前記媒体(4)と直に接触しており、第2の接続ワイヤ(2)が前記媒体(4)から完全に絶縁されていることを特徴とする、自動車における媒体(4)の温度を測定するセンサ装置。
【請求項2】
前記接続ワイヤ(1,2)のそれぞれは、別体の接続接点(5,6)を介してコンタクトソケット(7)に導電接続されており、該コンタクトソケット(7)においてセンサ信号がピックアップ可能である、請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記接続接点(5,6)は、打抜き格子として、フレキシブルな導体シートとして又はその他の導電体として形成されている、請求項2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記第1の接続ワイヤ(1)の前記接続接点(5)の一部が、前記媒体(4)と接触している、請求項2又は3記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記センサは、負の温度係数を有する抵抗である、請求項1から4までのいずれか1項記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記センサは、正の温度係数を有する抵抗である、請求項1から4までのいずれか1項記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記センサボディ(3)は、前記コンタクトソケット(7)における凹部(9)において部分的に、電気絶縁性の材料(8)によって、前記媒体(4)に対するシール作用をもって取り囲まれている、請求項1から6までのいずれか1項記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載されたセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車におけるオイル又は冷却液のような媒体の温度を測定する温度センサは特に、存在する温度に関連してその電気的な特性を変化させるのが通常である。例えば、カーボン又は半導体材料製のセンサ部材の加熱時には、このセンサ部材の電気抵抗が低下する。従って、大きな勾配の領域における抵抗を測定することによって、温度をかなり正確に検出することができる。このような材料は、電流を低温時よりも高温時においてより良好に導くので、サーミスタ又はNTC(負の温度係数を有する)抵抗とも呼ばれる。例えばプラチナのような金属は、逆の効果を示すので、PTC(正の温度係数を有する)抵抗と呼ばれる。
【0003】
通常、媒体によって直に取り囲まれているセンサ抵抗は、ピン又は小さな脚として形成されていてよい2つの接続部で、供給電圧に接続されている。センサ抵抗に対して並列に接続された測定抵抗において低下する電圧は、制御装置において検出されかつ評価される。
【0004】
媒体からセンサへの温度入力は、両接続脚を介してかつ同時に側面を介して行われることがある。このとき温度を伝達する面積は大きいので、測定過程の応答時間は短い。しかしながら、特に、モータ又は伝動装置において、互いに回転する部分の間における摩耗によって生じるチップによって、接続領域の間に短絡が発生するおそれが大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた、自動車における媒体の温度を測定するセンサ装置を改良して、短絡防止特性が高められていて、かつ可能な限り短い応答時間が保証されている、センサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴部に記載されたセンサ装置によって解決される。
【0007】
第1の接続ワイヤ及びセンサボディの最大部分が媒体と直に接触している、本発明に係るセンサ装置は、短い応答時間を保証し、これによって素早い温度変化をも検出することができる。同時に、第2の接続ワイヤが媒体から完全に絶縁されていることによって、特に、モータ又は伝動装置において互いに回転する部分の間における摩耗によって生じるチップにより、接続ワイヤの間において短絡が発生するおそれが、大幅に減じられる。センサ信号は、このように絶縁されて保持された接続接点においてピックアップされ、評価のために、評価装置に、特に制御装置に供給されることができる。
【0008】
好適な態様では、それぞれの接続ワイヤは、別体の接続接点を介してコンタクトソケットに導電接続されており、該コンタクトソケットにおいてセンサ信号がピックアップ可能である。接続接点は、要求に応じてもしくはコンタクトソケットの構成に応じて、打抜き格子として、フレキシブルな導体シートとして又はその他の導電体として、例えばワイヤとして形成されていてよい。
【0009】
測定方法の応答時間をさらに短くするために、媒体と接触する当該センサ装置の表面を増大させることができる。この場合、追加的に、第1の接続ワイヤの接続接点の一部がコンタクトソケットから外に突出していて、追加的な温度入力部を提供する。
【0010】
使用分野に応じて、センサは、NTC(負の温度係数を有する)抵抗として、例えばカーボン又は半導体材料から負の温度係数を備えるように構成することが可能であり、又はPTC(正の温度係数を有する)抵抗として、特に金属から正の温度係数を備えるように構成することが可能である。
【0011】
接続ワイヤの間の短絡のおそれをさらに減じるために、センサボディは、コンタクトソケットにおいて、特にセンサボディの少なくとも一部を収容するために適した凹部において、部分的に、例えばエポキシ樹脂又はポリウレタンのような電気絶縁性の材料によって、媒体に対するシール作用をもって取り囲まれていてよい。
【0012】
本発明のさらなる特徴、利点及び詳細については、ただ1つの図面をもとに好適な実施の形態が詳細に説明される、以下の説明で明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】自動車における媒体の温度を測定するセンサ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には、自動車における媒体4の温度を測定するセンサ装置が示されている。このセンサは、1つのセンサボディ3と2つの接続ワイヤ1,2とを有している。第1の接続ワイヤ1及びセンサボディ3の最大部分は、温度を検出することが望まれている媒体4と直に接触している。
【0015】
各接続ワイヤ1,2は、別体の接続接点5,6を介してコンタクトソケット7に導電接続されており、このとき第2の接続ワイヤ2及び所属の接続接点6は、コンタクトソケット7によって完全に取り囲まれており、これによって媒体4から断熱されかつ電気絶縁されている。コンタクトソケット7においてセンサ信号をピックアップすることができる。
【0016】
この配置形態によって、接続ワイヤ1,2の間もしくは接続接点5,6の間における短絡のおそれ、特にモータ又は伝動装置において互いに回転する部分の間における摩耗によって生じることがある、チップによる短絡のおそれが、極めて僅かに保たれる。
【0017】
同時に、この配置形態の温度を伝達する面積は大きい。それというのは、第1の接続ワイヤ1、センサボディ3の最大部分、及び第1の接続ワイヤ1に所属の接続接点5の少なくとも一部が、媒体に直に接触するからである。これによって、測定動作の応答時間が短くなり、かつ媒体の迅速な温度変化をも検出することが可能になる。
【0018】
この配置形態、特に第1の接続ワイヤ1の配置形態によって、第1の接続ワイヤ1を相応に成形することにより、媒体4の温度を、通常センサボディ3にとって接近しにくい領域においても検出することができる。
【0019】
図1において、センサボディ3は、コンタクトソケット7の凹部9に配置されていて、部分的に、エポキシ樹脂又はポリウレタンのような電気絶縁性の材料8によって、媒体4に対するシール作用をもって取り囲まれている。これによって、一方では短絡強度が高くなり、他方ではセンサボディ3は振動緩衝作用をもって凹部9内において固定される。
図1