特許第6239126号(P6239126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239126
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】開離装置を有するガス絶縁計器用変成器
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/42 20060101AFI20171120BHJP
   H01F 38/20 20060101ALI20171120BHJP
   H01F 29/02 20060101ALI20171120BHJP
   H01H 33/64 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
   H01F27/42 501
   H01F38/20
   H01F29/02 C
   !H01H33/64 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-540505(P2016-540505)
(86)(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公表番号】特表2017-501579(P2017-501579A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】EP2014077497
(87)【国際公開番号】WO2015091239
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年8月5日
(31)【優先権主張番号】13198957.6
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】クナブ、ヴォルフガング
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0258140(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02144261(EP,A1)
【文献】 実開昭61−135433(JP,U)
【文献】 特開2004−022557(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02346053(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/42
H01F 29/02
H01F 38/20
H01F 38/24
H01F 38/26
H02B 13/06
H02B 13/035
H01H 31/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧を測定電圧に変換するための複数の変成器装置を備えたガス絶縁計器用変成器(1)であって、それら変成器装置が、流体密に封止された1つのハウジング(2)内に配置されており、各変成器装置がそれぞれ、能動部(9)と、前記ハウジング(2)を貫通して延びる高電圧接点(6)と、前記能動部(9)に電気的に接続された固定接触子(10)と、前記固定接触子(10)に電気的に接続された可動接触子(11)と、前記可動接触子(11)と前記高電圧接点(6)との接続を形成又は開離するための、前記ハウジング(2)外部から操作可能な開離装置とを含み、その開離装置は、複数の前記可動接触子(11)を互いに結合する結合要素(15)と、前記結合要素(15)を操作方向(41)に移動するための移動手段とを含み、
前記固定接触子(10)が、前記可動接触子(11)のための操作方向(41)のガイドとして構成されており、
前記移動手段が、前記結合要素(15)に結合された押し棒(16)を有しており、その押し棒(16)は、前記ハウジング(2)の外側に配置された駆動装置(7)によって、操作方向(41)に移動可能となっており、
互いに平行に配置されて、前記駆動装置(7)により同時に移動可能な、少なくとも2つの押し棒(16)が、前記結合要素(15)に結合されており、
前記少なくとも2つの押し棒(16)のそれぞれが、1つの伝動機構(17)を介して、前記駆動装置に連結されている
ことを特徴とするガス絶縁計器用変成器。
【請求項2】
請求項1に記載のガス絶縁計器用変成器(1)において、
前記固定接触子(10)が、管状端部(12)を有しており、前記可動接触子(11)が、棒状端部(13)を有しており、前記棒状端部(13)が、前記管状端部(12)の中に挿入可能となっている
ことを特徴とするガス絶縁計器用変成器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガス絶縁計器用変成器(1)において、
前記駆動装置(7)が、伝動機構(17)を介して、前記押し棒(16)に連結されており、前記伝動機構(17)は、前記駆動装置(7)の回転運動を、前記押し棒(16)の直線的な操作移動に変換する
ことを特徴とするガス絶縁計器用変成器。
【請求項4】
請求項に記載のガス絶縁計器用変成器(1)において、
前記伝動機構(17)が、偏心伝動機構である
ことを特徴とするガス絶縁計器用変成器。
【請求項5】
請求項1からの1つに記載のガス絶縁計器用変成器(1)において、
複数の前記能動部(9)が、共通な1つの巻線軸(40)を有するように、互いに一列に配置されている
ことを特徴とするガス絶縁計器用変成器。
【請求項6】
請求項3、4、または請求項3または4を引用する請求項5に記載のガス絶縁計器用変成器(1)において、
前記駆動装置(7)が、前記操作方向(41)に対して垂直に配置された駆動軸(22)を介して、前記伝動機構(17)に連結されている
ことを特徴とするガス絶縁計器用変成器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ガス絶縁高電圧開閉装置に使用するための計器用変成器は、流体密に封止されたハウジング内に配置された能動部を有し、その能動部は、一方では高電圧開閉装置に接続され、他方では評価ユニットに接続されている。高電圧開閉装置の検査時には、能動部と高電圧開閉装置との間の接続を開離しなければならない。なぜなら、そうしなければ能動部が損傷し得るからである。従来においては、1つのハウジング内に1つの能動部を有する単相の計器用変成器と、1つのハウジング内に回転対称に配置された複数の能動部を有する多相の、通常は3相の、計器用変成器とが知られている。これら計器用変成器のための種々の開離装置が知られている。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、能動部と開閉装置との接続を形成又は開離する揺動アームを有する単相の計器用変圧器を開示している。
【0003】
特許文献2には、多相の計器用変成器が開示されており、この計器用変成器では、横への移動によって、即ち能動部と開閉装置との間を結ぶ直線に対して直交する方向への移動によって、能動部と開閉装置との間の接続を形成又は開離することが可能となっている。他の実施形態では、可撓性ケーブルを介して能動部に接続された複数の接点が1つの支持体を介して互いに結合されており、それらの接点が、1つの押し棒により、能動部と開閉装置との間を結ぶ直線に対して平行な方向に移動され、それによって、能動部と開閉装置との接続が、形成又は開離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011007900号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1610352号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、改善された開離装置を備えた複数の能動部を有する計器用変成器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明によれば、高電圧を測定するために使用されるガス絶縁計器用変成器が提供される。本発明による計器用変成器は、高電圧を測定電圧に変換するための複数の変成器装置を有し、それらの変成器装置は、流体密に封止された1つのハウジング内に配置されている。各変成器装置は、能動部と、ハウジングを貫通してその内部へ導通された高電圧接点と、能動部に電気的に接続された固定接触子と、固定接触子に電気的に接続された可動接触子とを有する。本発明による計器用変成器は、さらに、ハウジング外部から操作可能な開離装置を含み、その開離装置によって、可動接触子と高電圧接点との接続を、形成もしくは開離することができる。そのために、開離装置は、複数の可動接触子を互いに結合する結合要素と、その結合要素を操作方向に移動するための移動手段とを有する。従って、その移動手段によって結合要素に伝達される運動が、複数の可動接触子の操作方向への同期移動をもたらす。固定接触子は、その際の操作方向への可動接触子のためのガイドとして構成されている。その移動は、直線移動であり、そのガイドは、リニアガイドとして構成されているとよい。そのガイドは、例えば溝および凸部の構造形式で、ダブテールガイドとして、レールガイドとして、ロールガイドとして、スライドベアリングガイドとして、又は、テレスコープガイドとして、構成するとよい。そのガイドによって、可動接触子の移動中に、その可動接触子と固定接触子との間の良好な電気的接触が形成される。さらに、上記のガイドは、操作方向への可動接触子の移動を可能にし、操作方向に対して垂直な方向への移動を制限するのに役立つ。固定接触子による可動接触子の案内によって、一方では機械的費用を低減することができ、他方では可動接触子と固定接触子との間の良好な電気的接触を保証することができる。
【0007】
固定接触子が管状端部を有し、可動接触子が棒状端部を有し、棒状端部が管状端部の中に挿入可能であると、有利である。これは、開離装置の格別に簡単な組立を可能にし、可動接触子の格別に良好な案内をもたらす。電気的接触は、例えば、ばね接点又は積層接点によって形成するとよい。
【0008】
好ましい実施形態では、上記の移動手段が結合要素に結合された押し棒を有し、その押し棒が、ハウジングの外側に配置された駆動装置によって操作方向に移動可能である。その押し棒は、駆動装置の運動を結合要素に伝達し、その結合要素はさらに、その運動を可動接触子へ伝達し、斯くして格別に簡単な方法による可動接触子の同期移動が達成されることとなる。
【0009】
さらに、駆動装置が、伝動機構を介して押し棒に連結されており、その伝動機構が、駆動装置の回転運動を押し棒の直線的な操作移動に変換する。そのために、伝動機構は、望ましくはハウジング内部に配置された、例えば偏心伝動機構、ウォーム伝動機構、又は、台形ねじ伝動機構とすることができる。従って、回転運動が駆動装置によってハウジング内部に伝達され、そこで回転運動が直線運動に変換されることとなる。これは、一方において、駆動装置に必要な占有スペースを低減し、他方において、回転運動を、より簡単に、ハウジングを通して気密を保ちつつ直線運動に導く。
【0010】
伝動機構が、特に偏心伝動機構として構成されていると有利である。というのは、これは格別に簡単な構造および組立を可能にするからである。
【0011】
さらに、本発明による有利な実施形態では、互いに平行に配置されて、上記の駆動装置で以て同時に移動可能な少なくとも2つの押し棒が、上記の結合要素に結合されるようにすることで、結合要素の傾斜防止を改善することが可能となる。これは、例えば、2つの押し棒の一方を上記の伝動機構に連結し、それら両押し棒を互いに結合することによって、達成することができるが、しかし、少なくとも2つの押し棒のそれぞれを、1つの伝動機構を介して上記の駆動装置に連結することが望ましい。
【0012】
さらに、複数の能動部が、1つの共通な巻線軸を有するべく、互いに一列に配置されているようにすることが好ましい。各能動部は、1つの鉄心の脚を貫通して延びる巻線軸の周りに円盤状に回転対称に構成される。それによって、全ての該当する鉄心の脚が1つの平面内にあり、この平面内で、巻線軸も延びている。この平面に対して垂直に巻線平面がある。これは、一方では格別にスペース節減を図った能動部配置を可能にし、他方では格別に簡単に構成された鉄心用の支持フレーム構造を可能にする。
【0013】
駆動装置が、上記の伝動機構に、操作方向に対して垂直に配置された駆動軸を介して連結されていることも好ましい。これは、格別にスペースを節減した駆動装置配置を可能にする。
【0014】
さらに、駆動装置が回転角度制限装置を有するとよい。そのようにすることにより、一方の終端位置において開離装置が閉路状態になり、他方の最大位置において開離装置が開路状態になるように、駆動軸の可能な回転角が、2つのストッパによって制限される。
【0015】
さらに、駆動装置が、開離装置の位置を表示する表示手段を有するとよい。
【0016】
以下において、本発明を、図面に基づいてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による計器用変圧器を正面側から見た斜視である
図2閉路状態にある図1計器用変圧器を背面側から見た部分斜視である
図3開路状態にある図1計器用変圧器を背面側から見た部分斜視である
図4開路状態にある図1計器用変圧器を背面側から見た部分斜視である
図5図1の計器用変圧器を正面側から見た部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
全ての図において互いに対応する部分に同一符号が付されている。
【0019】
これらの図は、例示のために、1つの具体的な実施形態を示している。本発明は、勿論、この実施形態に限定されない。
【0020】
図1は、ガス絶縁ハウジング2を有する、本発明による計器用変成器1を示し、そのハウジング2は、ここでは内部があたかも透けて見えるかのように示されている。ハウジング2は、長円形の断面を有し、その一端が蓋3で閉じられている。その蓋3に対向する他端には、ブッシング4で閉鎖された3つの開口が存在する。これらのブッシングは、絶縁体5と、気密を保ちつつ絶縁体を貫通する高電圧接点6とを有する。ハウジングは、弁31、過圧逃し装置32又は2次端子箱33のような、他の装置を有する。さらに、そのハウジング壁の外側に、駆動装置7が配置されている。以下において、駆動装置7を有する面の方から計器用変成器1を見た図を、正面図と呼び、その対向面の方から見た図を、背面図と呼ぶこととする。
【0021】
図2および図3は、図1の計器用変成器1の背面図を示しており、そこでは、ハウジング2に関しては蓋3だけが示されている。このハウジングの内部には、積層鉄板からなる3つの鉄心8がある。これらの鉄心8は、それぞれ蓋3に取り付けられたフレーム28によって保持されている。各鉄心8は、それぞれ、長方形に配置された2つの水平脚と2つの垂直脚とから成る。各鉄心8のそれぞれ一方の水平脚(図では下側の水平脚)に、1つの能動部9が配置されている。これらの能動部9は、ここでは、それぞれ巻線軸40の周りに巻装された1つの1次巻線と、1つ又は複数の2次巻線とを有する、誘導式計器用変圧器である。巻線平面は、巻線軸40に対して垂直方向に延びている。1次巻線は、高電圧ブッシング4を貫通してハウジング2内に導入された導体に接続されており、その導体は、他方では高電圧線に接続されている。2次巻線は、蓋3に配置されているが、ここでは視認できないブッシングを貫通して、2次端子箱33に接続されている。各能動部9の周りに配置されたリング状の高電圧電極34が、接地電位にある鉄心8およびフレーム28を高電圧電位から保護する。3つの能動部9が互いに一列に配置されているので、それらの巻線平面は互いに平行に配置されている。巻線が巻装されている脚は、巻線軸40に沿って縦一列に並べられて配置されている。3つの能動部9は、高電圧線の3つの相の電圧を単に1つの測定すべき測定電圧に変換するように構成されている。高電圧は、数十キロボルトから数百キロボルトまでの電圧である。能動部9は、そのような高電圧を定格電圧印加時に明確に千ボルト以下の値、大抵は約百ボルト以下の値に高い精度で変圧するように、構成されている。そのために、各能動部9の1次巻線は、それぞれ高電圧線の1つの相に接続されている。この接続は、試験目的のために、開離可能でなければならない。その接続を、図2では閉路状態で示し、図3では開路状態で示している。
【0022】
上記の高電圧は、高電圧接点6を介してハウジング2内に導入される。高電圧接点6は、導体からなるパーツであって、ブッシング4の絶縁体5を気密に貫通して延びている。
【0023】
各能動部9の1次巻線は、それぞれ1つの固定接触子10に電気的に接続されている。その接続は、例えば固定接触子10に接続されたばね接点を介して形成するとよい。固定接触子10が管状端部12を有し、その端部12には可動接触子11の棒状端部13が差し込まれている。その棒状端部13は、望遠鏡のように、操作方向41に管状端部12の中へ導入移動することができ、かつ管状端部から導出移動することができる。別の実施形態も可能である。例えば、固定接触子が棒状端部13を有し、可動接触子が管状端部12を有してもよく、あるいは、接触子の一方が溝を有し、他方がその溝の中に案内される対応キーを有してもよい。
【0024】
鉄心8を有する各能動部9は、それぞれ1つの高電圧接点6と、1つの固定接触子10と、1つの可動接触子11とを組み合わせて、本発明で云うところの1つの変成器装置が構成されている。
【0025】
閉路状態では、可動接触子11の、ほぼ球形の接点14が、高電圧接点6と接触し、その高電圧接点6から可動接触子11および固定接触子10を介しての、能動部9の1次巻線への電気的接続が、形成される。高電圧接点6は、接点14との接触面を拡大するために、接点14を受け入れるための球体セグメント形の凹部を有するとよい。ここでは、可動接触子11の棒状端部13が、固定接触子10の管状端部12から引き出されており、図2に破線で示しているように、棒状端部13の小部分だけが、管状端部12内に留まっている。
【0026】
開路状態では、図3に破線で示しているように、棒状端部13が殆ど完全に管状端部12の中に挿入されている。接点14は、従って、高電圧接点6から所定の間隔を有し、それにより、能動部9の1次巻線への高電圧接点6の電気的接続が、開離される。その間隔の大きさは、印加される高電圧、使用される絶縁ガスの種類および圧力のような、装置特有のパラメータに依存する。
【0027】
接点14の上部で、巻線軸40に対して平行な結合要素15としての1つの可動バーによって、3つの可動接触子11が結合されている。その結合要素15に対して垂直に、1つ又は複数の押し棒16が、その結合要素15に結合されている。押し棒16は、後述する開離装置に連結されており、この開離装置により、押し棒16は、巻線軸40に対して垂直に移動可能である。その押し棒16の移動は、結合要素15に伝達されて、その結合要素15によって可動接触子11に伝達される。
【0028】
鉄心8の垂直脚又はフレーム28には、水平な結合ブリッジ部材27を保持する保持板26の対が取り付けられている。結合ブリッジ部材27は、巻線軸40に対して平行に延びている。固定接触子10は、これらの結合ブリッジ部材27を貫通して、これらの結合ブリッジ部材27に固定されている。押し棒16は、それぞれ2つの固定接触子10の間において、2つの結合ブリッジ部材27の間の間隙範囲内で、両結合ブリッジ部材の間を通り抜けて延びているか、又は、結合ブリッジ部材27内の開口を通してその結合ブリッジ部材27を貫通している。保持板26又は結合ブリッジ部材27には、押し棒16のためのガイドスリーブ30を配置するとよい。
【0029】
図4は、図2の部分詳細図を、図2と同様に背面図で示したものであり、図5は、同一の計器用変成器1の類似の部分詳細図を、図4とは異なり、正面図で示したものである。開離装置は、ここでは偏心伝動機構である伝動機構17と、その伝動機構17に連結された少なくとも1つの駆動軸22とから構成されている。他の種類の、例えば台形ねじ伝動機構などのような伝動機構も同様に適用可能である。駆動軸22は、ハウジング壁を気密に貫通して外部に導出されており、ハウジング2の外部で駆動装置7に結合されている。ハウジング壁には、複数の軸受ブッシュが配置されており、それらの軸受ブッシュは、駆動軸22の周りに配置された軸受25、例えば玉軸受を収容する。それらの軸受25の間のOリングは、気密性を形成する。駆動軸22は、注型樹脂のような非導電性材料から作られていることが好ましい。駆動装置7は、例えば手動駆動装置又は電動駆動装置であるとよい。駆動装置7が伝動機構を含むようにしてもよい。駆動装置7によって、駆動軸22を回転運動させることができる。駆動軸がその回転運動を偏心伝動機構17に伝達し、その偏心伝動機構によって回転運動が直線運動に変換される。その偏心伝動機構17は、偏心円板18および偏心アーム19を有する。駆動軸22の一端は、偏心円板18の中心軸に結合されている。駆動軸22の他端は、駆動装置7に接続されている。中心軸24に対して偏心して偏心軸21が偏心円板18上に配置されている。偏心アーム19の一端は、この偏心軸21上において回転可能に支持されている。偏心アーム19の他端は、連結ピン20を介して押し棒16に回転可能に連結されている。押し棒16は、その運動が、ガイドスリーブ30によって垂直方向に制限される。このようにして、駆動装置7により駆動軸22に伝達された回転が、偏心円板18に伝達される。中心軸24からの偏心軸21の距離が、押し棒16の可能なストロークを決定し、従って、高電圧接点6からの可動接触子11の最大距離を決定する。図4に示されている位置から出発して、偏心円板18の回転によって、偏心アーム19が、図4に示されている下方位置から上方位置へ移動される。偏心円板18は、その際に中心軸の周りに180°だけ回転する。偏心軸は、その際に同様に中心軸の周りに180°だけ回動し、一緒に偏心アーム19も連動せしめる。その偏心アーム19の他端は、垂直運動に制限されている押し棒16に連結されているので、その回動中に連結ピン20は常に偏心軸21の下方に留まる。従って、押し棒16は、偏心円板18の方向に上に向かって移動される。押し棒16は、この垂直移動を、可動バーを介して可動接触子11に伝達し、それによって、可動接触子11が、高電圧接点6から離れる方向に移動されることとなる。斯くして、高電圧接点6と可動接触子11との間の電気的接続が開離され、従って1次巻線も高電圧から切り離される。駆動軸22の更なる回転は、それの方向に関係なく、押し棒16の反対方向の移動をもたらし、180°だけ回転した際に、上記の接続が再び形成される。
【0030】
駆動軸22は、保持板26を貫通して案内され、偏心円板18に誤差角度補償カップリング23を通して結合されている。図2および図4では、開離機構を見易くするために、保持板26が示されていない。偏心伝動機構17は、互いに隣接する2つの垂直脚の下方で隣接する鉄心8の領域内に配置されている。1つの能動部9とそれに付属した鉄心8の垂直脚との間の遮蔽板29は、その能動部9に印加される高電圧から、該当する脚を保護する。遮蔽板29は、垂直脚を越えてさらに続いており、それにより偏心伝動機構17および保持板26も高電圧から保護する。可動接触子11の棒状端部13は、傾斜防止のために、固定接触子10の管状端部12の中に案内されている。摩擦の少ない案内と同時に、固定接触子10と可動接触子11との間の電気的接続の形成のために、例えば積層接点が管状端部12内に配置されているとよい。従って、固定接触子10は、可動接触子11のための直線ガイドの働きをする。
【0031】
図5には、計器用変成器1が2つの偏心伝動機構17を有し、両偏心伝動機構17がそれぞれ1つの駆動軸22によって駆動されることが示されている。これらの駆動軸22は1つの駆動装置7によって同期運動させられる。これは、同じ回転方向で行うことができ、又は反対の回転方向でも行うことができる。その同期は、1つの駆動装置7において、伝導ベルト、チェーン又は伝動機構によって行うことができる。
【0032】
押し棒16、伝動機構17および駆動軸22は、結合要素15を操作方向に移動する移動手段を構成する。
【0033】
偏心伝動機構17および保持板26は、鋼材のような高強度材料によって製造されるのが好ましい。押し棒16、結合要素15、結合ブリッジ部材27およびガイドスリーブ30は、プラスチック、例えばポリオキシメチレンのような非導電性材料から製造するとよい。ポリオキシメチレンは、高い剛性、低い摩擦係数、優れた寸法安定性および熱的安定性を有する。
【符号の説明】
【0034】
1 計器用変成器
2 ガス絶縁ハウジング
3 蓋
4 ブッシング
5 絶縁体
6 高電圧接点
7 駆動装置
8 鉄心
9 能動部
10 固定接触子
11 可動接触子
12 管状端部
13 棒状端部
14 接点
15 結合要素
16 押し棒
17 偏心伝動機構
18 偏心円板
19 偏心アーム
20 連結ピン
21 偏心軸
22 駆動軸
23 誤差角度補償カップリング
24 中心軸
25 軸受
26 保持板
27 結合ブリッジ部材
28 フレーム
29 遮蔽板
30 ガイドスリーブ
31 弁
32 過圧逃し装置
33 2次端子箱
40 巻線軸
41 操作方向
図1
図2
図3
図4
図5