(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0017】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る作業車両100の一例を後方から見た斜視図である。本実施形態おいて、作業車両100は、鉱山の採掘現場において積荷を積んで走行するダンプトラックである。以下の説明においては、作業車両100を適宜、ダンプトラック100、と称する。
【0018】
図1に示すように、ダンプトラック100は、車体フレーム110と、車体フレーム110に支持されるダンプボディ120と、車体フレーム110を支持して走行する走行装置130とを備える。
【0019】
走行装置130は、タイヤ140が装着されるホイール150を有する。ホイール150は、フロントホイール150Fと、リアホイール150Rとを含む。リアホイール150Rは、回転軸AXを中心に回転する。
【0020】
以下の説明においては、回転軸AXと平行な方向を適宜、車幅方向と称し、ダンプトラック100の進行方向を適宜、前後方向、と称し、車幅方向及び前後方向のそれぞれと直交する方向を適宜、上下方向、と称する。
【0021】
前後方向の一方が前方であり、前方の逆方向が後方である。車幅方向の一方が右方であり、右方の逆方向が左方である。上下方向の一方が上方であり、上方の逆方向が下方である。フロントホイール150Fは、リアホイール150Rよりも前方に配置される。フロントホイール150Fは、車幅方向両側に配置される。リアホイール150Rは、車幅方向両側に配置される。ダンプボディ120は、車体フレーム110よりも上方に配置される。
【0022】
車体フレーム110は、駆動源であるエンジンを有する。本実施形態において、エンジンは、ディーゼルエンジンのような内燃機関を含む。ダンプボディ120は、積荷が積まれる部材である。
【0023】
走行装置130は、エンジンで発生した駆動力をリアホイール150Rに伝達するアクスル装置1を有する。エンジンで発生した駆動力は、トランスミッション装置を介して駆動シャフトに伝達される。アクスル装置1は、駆動シャフトに連結される。アクスル装置1は、トランスミッション装置及び駆動シャフトを介して供給されたエンジンの駆動力を、リアホイール150Rに伝達する。リアホイール150Rは、供給された駆動力により回転軸AXを中心に回転する。これにより、走行装置130は走行する。
【0024】
図2は、本実施形態に係るアクスル装置1の一部を後方から見た図である。本実施形態において、アクスル装置1は、リアホイール150Rを駆動するリアアクスルである。アクスル装置1は、アクスルハウジング2を有する。アクスル装置1は、アクスルハウジング2の内部空間に機械部品が収容される機械装置である。アクスルハウジング2は、懸架装置160を介して車体フレーム110に支持される。アクスルハウジング2の後部において、車幅方向中央部に開口20が設けられる。アクスル装置1は、アクスルハウジング2の開口20に配置される透明なスペーサ部材51と、スペーサ部材51を介してアクスルハウジング2の内部空間2Hを撮影する撮影装置52とを備える。
【0025】
図3は、本発明の実施形態に係るアクスル装置1の一例を示す平面図である。
図4は、本実施形態に係るアクスル装置1の一例を示す断面図である。
【0026】
図3及び
図4に示すように、アクスル装置1は、アクスルハウジング2と、アクスルハウジング2の内部空間2Hに配置され、駆動シャフト3に連結されるデファレンシャル6と、アクスルハウジング2の内部空間2Hに配置される湿式多板ブレーキ装置7と、アクスルハウジング2の内部空間2Hに配置される遊星歯車式減速機8と、デファレンシャル6を介して駆動シャフト3の回転力が伝達される伝動シャフト4と、伝動シャフト4の回転力が伝達されるアクスルシャフト5とを有する。アクスルシャフト5が回転することにより、ダンプトラック100のリアホイール150Rが駆動される。
【0027】
アクスルハウジング2は、デファレンシャル6及び湿式多板ブレーキ装置7を収容するデフボディ2Bと、遊星歯車式減速機8をそれぞれ収容する右アクスルハウジング2R及び左アクスルハウジング2Lとを含む。
【0028】
デフボディ2Bは、前方に設けられる駆動シャフト開口部42と、右方に設けられるアクスルシャフト開口部43Rと、左方に設けられるアクスルシャフト開口部43Lとを有する。駆動シャフト開口部42にピニオンケージ19が配置される。
【0029】
ピニオンゲージ19は、駆動シャフト3を回転可能に支持する。駆動シャフト3は、エンジンで発生した駆動力によって回転する。駆動シャフト3は、前後方向に延在し、回転軸BXを中心に回転する。回転軸BXは、前後方向に延在する。
【0030】
駆動シャフト3の端部にカップリング48が固定される。駆動シャフト3は、カップリング48を介してプロペラシャフト(不図示)と連結される。エンジンで発生した駆動力は、トランスミッション装置を介してプロペラシャフトに伝達される。プロペラシャフトは、エンジンで発生した駆動力に基づいて、回転軸BXを中心に回転する。プロペラシャフトが回転軸BXを中心に回転することにより、プロペラシャフトにカップリング48を介して連結される駆動シャフト3が回転軸BXを中心に回転する。
【0031】
駆動シャフト3は、駆動ピニオンギア10を有する。デファレンシャル6は、駆動ピニオンギア10に噛み合うべベルギア11と、べベルギア11に連結されるデファレンシャルケース12とを有する。
【0032】
駆動シャフト3が回転軸BXを中心に回転すると、べベルギア11が回転軸AXを中心に回転する。回転軸AXは、車幅方向に延在する。回転軸AXと回転軸BXとは実質的に直交する。
【0033】
べベルギア11が回転軸AXを中心に回転すると、デファレンシャルケース12は、べベルギア11と一緒に回転軸AXを中心に回転する。デファレンシャルケース12には、スパイダ13を介してデファレンシャルケース12に回転可能に支持された一対のピニオンギア14と、ピニオンギア14と噛み合う一対のサイドギア15とが設けられる。
【0034】
サイドギア15は、伝動シャフト4に固定される。伝動シャフト4は、右方及び左方のそれぞれに設けられる。サイドギア15は、伝動シャフト4とスプライン結合される。サイドギア15及び伝動シャフト4は、回転軸AXを中心に回転する。伝動シャフト4とデフボディ2Bとの間に湿式多板ブレーキ装置7が設けられる。
【0035】
車幅方向において湿式多板ブレーキ装置7よりも外側に遊星歯車式減速機8が設けられる。遊星歯車式減速機8により伝動シャフト4の回転が減速される。伝動シャフト4の回転力はアクスルシャフト5に伝達される。アクスルシャフト5が回転軸AXを中心に回転することにより、アクスルシャフト5に接続されるリアホイール150Rが回転軸AXを中心に回転する。
【0036】
このように、べベルギア11の回転軸AXと、伝動シャフト4の回転軸AXと、アクスルシャフト5の回転軸AXとは、一致する。べベルギア11は、伝動シャフト4の回転軸AXを中心に回転する。
【0037】
図5は、本実施形態に係るアクスル装置1の一部を示す側断面図である。
図5に示すように、アクスル装置1は、アクスルハウジング2と、アクスルハウジング2の開口20に配置される透明なスペーサ部材51と、スペーサ部材51に支持される磁石53と、スペーサ部材51を介してアクスルハウジング2の内部空間2Hを撮影する撮影装置52とを備える。
【0038】
また、アクスル装置1は、アクスルハウジング2及びスペーサ部材51の外側で、撮影装置52を支持するカバー部材54を備える。
【0039】
また、アクスル装置1は、カバー部材54に支持される反射鏡55を備える。撮影装置52は、反射鏡55を介してアクスルハウジング2の内部空間2Hを撮影する。
【0040】
開口20は、アクスルハウジング2のデフボディ2Bに設けられる。デフボディ2Bの後部において、車幅方向中央部に開口20が設けられる。
【0041】
スペーサ部材51の少なくとも一部は、アクスルハウジング2の開口20に配置される。本実施形態において、スペーサ部材51は、開口20に配置される凸部51Aと、アクスルハウジング2の外側に配置されるフランジ部51Bとを有する。凸部51Aは、内部空間2Hに面する入射面51Cを有する。入射面51Cは、平坦面である。入射面51Cと、入射面51Cの周囲に配置されるアクスルハウジング2の内面とは、実質的に同一平面内に配置される(面一である)。フランジ部51Bは、入射面51Cの逆方向を向く射出面51Dを有する。射出面51Dは、平坦面である。入射面51Cと射出面51Dとは、実質的に平行である。
【0042】
スペーサ部材51は、実質的に円柱状の部材であり、入射面51C及び射出面51Dと直交する中心軸CXを有する。本実施形態において、スペーサ部材51の中心軸CXは、前後方向に延在する。
【0043】
スペーサ部材51は、可視光を透過可能な透明部材である。本実施形態において、スペーサ部材51は、ポリカーボネート樹脂を含む。ポリカーボネート樹脂は、透明であり高い耐熱性を有する。
【0044】
スペーサ部材51は、固定部材56を介してアクスルハウジング2に固定される。固定部材56は、円環状の部材であり、フランジ部51Bの周囲に配置される。固定部材56は、ボルト57が配置される孔56Hを有する。アクスルハウジング2に、ボルト57の雄ネジと結合される雌ネジを有する孔57Hが設けられる。ボルト57により、固定部材56がアクスルハウジング2に固定される。スペーサ部材51のフランジ部51Bは、固定部材56とアクスルハウジング2の外面との間に配置され、固定部材56によりアクスルハウジング2に固定される。
【0045】
撮影装置52は、レンズ系と、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサのような撮像素子とを有するデジタルカメラを含む。撮影装置52は、スペーサ部材51を介して、アクスルハウジング2の内部空間2Hの画像データを取得可能である。
【0046】
磁石53は、スペーサ部材51に支持される。磁石53は、ネオジウム磁石である。本実施形態において、磁石53は、スペーサ部材51の凸部51Aに埋設されている。中心軸CXと直交する面内において、磁石53は、凸部51Aの中央部に1つだけ配置される。なお、磁石53は、スペーサ部材51に複数設けられてもよい。
【0047】
撮影装置52が撮影可能な撮影領域の大きさは、磁石53の外形よりも大きい。磁石53は、撮影装置52のレンズ系の視野領域に配置される。撮影装置52の撮影領域は、撮影装置52のレンズ系の視野領域を含む。本実施形態においては、入射面51Cの全部が撮影領域に配置されるように、撮影装置52の撮影領域が定められる。また、撮影装置52は、撮影装置52の撮影領域を照明する照明装置52Sを有する。本実施形態において、照明装置52Sは、LED(Light Emitting Diode)光源を含む。照明装置52Sから射出される照明光で内部空間2Hが照明されることにより、撮影装置52は、内部空間2Hの画像データを円滑に取得することができる。
【0048】
反射鏡55は、反射鏡55の反射面とスペーサ部材51の射出面51Dとが対向するように配置される。アクスルハウジング2の内部空間2Hの光学像は、スペーサ部材51を介して、反射鏡55に投影される。本実施形態において、撮影装置52は、反射鏡55に投影されたアクスルハウジング2の内部空間2Hの光学像を撮影する。
【0049】
カバー部材54は、アクスルハウジング2及びスペーサ部材51の外側で、撮影装置52及び反射鏡55を支持する。カバー部材54は、撮影装置52が配置される孔54Aと、反射鏡55が配置される凹部54Bとを有する。反射鏡55は、凹部54Bに配置された状態で、スペーサ部材51の射出面51Dと間隙を介して対向する。撮影装置52のレンズ系の入射面は、孔54Aに配置された状態で、反射鏡55の反射面と間隙を介して対向する。
【0050】
本実施形態において、カバー部材54は、撮影装置52のレンズ系の光軸DXが上下方向に延在するように撮影装置52を支持する。本実施形態において、中心軸CXと光軸DXとは、実質的に直交する。
【0051】
カバー部材54は、固定部材56に固定される。カバー部材54は、ボルト58が配置される孔54Hを有する。固定部材56には、ボルト58の雄ネジと結合される雌ネジを有する孔56Kが設けられる。ボルト58により、カバー部材54が固定部材56に固定される。アクスルハウジング2に固定さている固定部材56にカバー部材54が固定されることにより、カバー部材54は、固定部材56を介してアクスルハウジング2に固定される。
【0052】
図6は、本実施形態に係るアクスル装置1の一部を後方から見た模式図である。
図6は、スペーサ部材51とべベルギア11とオイルの液面との位置関係を説明するための図であり、他の構成要素についての図示は簡略又は省略する。
【0053】
上述のように、アクスルハウジング2の内部空間2Hには、駆動ピニオンギア10、べベルギア11、ピニオンギア14、及びサイドギア15のような複数のギア(機械部品)が配置される。それらギアを潤滑又は冷却するためのオイルが内部空間2Hに収容される。これらギアは、油浸されている。
【0054】
駆動シャフト3が回転せず、内部空間2Hに配置されている複数のギアが作動していない状態において、アクスルハウジング2の内部空間2Hに貯留されているオイルの液面は、規定の高さに維持される。本実施形態においては、ギアが作動していない状態で、スペーサ部材51が配置される開口20は、オイルの液面よりも上方に設けられる。
【0055】
また、本実施形態において、スペーサ部材51は、べベルギア11の歯面と対向する。べベルギア11の歯面は、駆動ピニオンギア10と擦れ合うべベルギア11の歯の表面を含む。
【0056】
駆動シャフト3が回転し、べベルギア11が作動(回転)すると、内部空間2Hに貯留されているオイルは、べベルギア11によって掻き上げられる。べベルギア11によって掻き上げられたオイルは、スペーサ部材51の入射面51Cと接触する。駆動シャフト3の回転が停止し、べベルギア11の作動(回転)が停止すると、オイルは、オイルの液面が開口20(入射面51C)よりも下方に位置するように、内部空間2Hに貯留される。
【0057】
べベルギア11は、アクスルハウジング2の内部空間2Hに配置されている複数のギア(駆動ピニオンギア10、べベルギア11、ピニオンギア14、及びサイドギア15)のうち、最も大きい直径を有する。したがって、回転するべベルギア11は、オイルを十分に掻き上げることができ、オイルと入射面51Cとを十分に接触させることができる。
【0058】
図7は、本実施形態に係るアクスル装置1を含む機械部品の劣化状態推定システム200の一例を示す機能ブロック図である。本実施形態において、アクスル装置1は、コンピュータシステム60と、出力装置70とを有する。コンピュータシステム60及び出力装置70は、ダンプトラック100に搭載される。
【0059】
コンピュータシステム60は、撮影装置52で撮影された画像データを取得する画像データ取得部61と、画像データを画像処理する画像処理部62と、画像処理された画像データを出力する出力部63とを有する。画像データ取得部61で取得され画像処理部62で画像処理された画像データは、出力部63を介して出力装置70に供給される。出力装置70は、画像データ取得部61で取得された画像データを出力する。
【0060】
劣化状態推定システム200は、サーバ80を有する。本実施形態において、出力装置70は、画像データをサーバ80に送信する送信装置を含む。サーバ80に出力装置70から画像データが出力される。出力装置70は、出力部63から供給された画像データをサーバ80に送信する。本実施形態において、出力装置70とサーバ80とは、通信ネットワーク90を介して接続される。通信ネットワーク90は、インターネット(Internet)を含む。なお、通信ネットワーク90が携帯電話通信網を含んでもよい。出力装置70は、通信ネットワーク90を介して、画像データをサーバ80に送信する。
【0061】
サーバ80には、全国に存在する複数のアクスル装置1のそれぞれから画像データが供給される。サーバ80は、供給された複数の画像データの解析を実施する。
【0062】
また、サーバ80は、出力装置70から出力された画像データを表示装置81に表示させる表示制御部82を有する。撮影装置52で撮影された画像データは、表示装置81に表示される。
【0063】
次に、本実施形態に係るアクスル装置1を含む劣化状態推定システム200を用いてアクスル装置1の機械部品の劣化状態を推定する方法の一例について説明する。
図8は、本実施形態に係る機械部品の劣化状態推定方法の一例を示すフローチャートである。
【0064】
上述のように、アクスル装置1は、アクスルハウジング2と、アクスルハウジング2の内部空間2Hに配置される複数のギアとを有する。また、アクスルハウジング2の内部空間2Hには、複数のベアリングも配置される。ギア又はベアリングの摺動部の潤滑又は冷却のために、アクスルハウジング2の内部空間2Hにオイルが貯留される。ギア及びベアリングを含むアクスル装置1の機械部品は、内部空間2Hにおいてオイルに浸されている。
【0065】
例えば、駆動ピニオンギア10とべベルギア11とが擦れ合うと、駆動ピニオンギア10及びべベルギア11の少なくとも一方から摩耗粉又は破損片のような異物が発生する可能性がある。また、ピニオンギア14とサイドギア15とが擦れ合うと、ピニオンギア14及びサイドギア15の少なくとも一方から摩耗粉又は破損片のような異物が発生する可能性がある。このように、アクスル装置1の摺動部においては、擦れ合う2つの部品の少なくとも一方から摩耗粉又は破損片のような異物が発生する可能性がある。
【0066】
発生した異物は、オイルに混入する。オイルに混入した異物が、擦れ合う2つの部品の間に侵入すると、その部品が偏摩耗したり破損したりする可能性がある。
【0067】
本実施形態においては、磁石53がスペーサ部材51に支持されている。異物は、アクスル装置1の部品から発生した磁性体である。発生した異物は、磁石53の磁力により、スペーサ部材51の入射面51Cに吸着される。すなわち、本実施形態においては、アクスル装置1の部品から発生した異物は、磁石53の磁力によって捕集される。このように、本実施形態において、磁石53を支持するスペーサ部材51は、異物を捕集するフィルタ機能を有する。磁石53の磁力によってオイルに混入している異物が捕集されることにより、部品から発生した異物が、擦れ合う2つの部品の間に侵入することが抑制される。これにより、アクスル装置1の部品の偏摩耗及び破損が抑制され、アクスル装置1の部品の劣化が抑制される。
【0068】
本実施形態においては、べベルギア11が回転すると、べベルギア11によってオイルが掻き上げられる。べベルギア11によって掻き上げられたオイルは、スペーサ部材51の入斜面51Cに接触する。したがって、オイルに異物が混入している場合、異物はスペーサ部材51の入射面51Cに吸着される。
【0069】
撮影装置52は、アクスルハウジング2の内部空間2Hを撮影する。内部空間2Hの少なくとも一部は、スペーサ部材51の入射面51Cによって規定される。撮影装置52は、入射面51Cに吸着された異物を撮影することができる。
【0070】
図9は、本実施形態に係る撮影装置52で撮影された画像データの一例を示す模式図である。
図9に示すように、オイルに混入していた異物は、磁石53の磁力により入射面51Cの少なくとも一部に吸着される。磁石53は、撮影装置52のレンズ系の視野領域に配置されている。撮影装置52の撮影領域は、入射面51Cの全部を含む。撮影装置52は、ハウジング2の開口20に配置されている透明なスペーサ部材51を介して、油浸されている機械部品が収容されているハウジング2の内部空間2Hを撮影し、ハウジング2の内部空間2Hの画像データを取得する(ステップSP1)。入射面51Cに異物が吸着されている場合、撮影装置52は、透明なスペーサ部材51を介して、入射面51Cに吸着されている異物を撮影することができる。
【0071】
撮影装置52で取得された画像データは、コンピュータシステム60の画像データ取得部61に供給される。画像処理部62は、画像データ取得部61で取得された画像データを画像処理し、入射面51Cに捕集された異物を解析する(ステップSP2)。画像処理部62は、画像データ取得部61で取得された画像データを画像処理し、入射面51Cに捕集された異物の量を算出する。また、画像処理部62は、画像データ取得部61で取得された画像データを画像処理し、入射面51Cに捕集された異物の大きさを算出する。
【0072】
画像処理部62は、撮影装置52で撮影された画像データに基づいて異物を解析し、その解析した結果に基づいて、ハウジング2の内部空間2Hに収容されている機械部品の劣化状態を推定する(ステップSP3)。
【0073】
図10は、本実施形態に係る画像処理部62による画像処理結果の一例を示す図である。
図10に示すように、画像処理部62は、新品状態のギアの使用が開始された開始時点t0からの経過時間Tと、入射面51Cに捕集された異物の量との関係を算出する。撮影装置52は、新品状態のギアの使用が開始された開始時点t0から、内部空間2Hの画像データの取得を開始する。
【0074】
入射面51Cに捕集された異物の量から、アクスル装置1の機械部品の摩耗(偏摩耗を含む)の進展具合又は機械部品の劣化状態が推定される。入射面51Cに捕集された異物の量が多い場合、機械部品から多量の異物が発生し機械部品の劣化が進行していると推定される。入射面51Cに捕集された異物の量が少ない場合、機械部品から発生した異物は少量であり、機械部品の劣化は未だ進行していないと推定される。
【0075】
上述のように、本実施形態においては、入射面51Cに捕集された異物の大きさが算出される。画像処理部62は、開始時点t0からの経過時間Tと、異物の大きさと、その大きさの異物が入射面51Cに捕集された量を示す捕集量との関係を算出する。
図10に示す例では、開始時点t0からの経過時間Tと第1の大きさD1の異物の捕集量との関係、開始時点t0からの経過時間Tと第2の大きさD2の異物の捕集量との関係、及び開始時点t0からの経過時間と第3の大きさD3の異物の捕集量との関係が算出される。第1の大きさD1は、第2の大きさD2及び第3の大きさD3よりも小さい。第2の大きさD2は、第3の大きさD3よりも小さい。開始時点t0においては、入射面51Cに捕集された異物の量は零である。
【0076】
本発明者の知見によれば、新品状態の機械部品の使用が開始時点t0から開始されてからある時点taを経過するまでは、入射面51Cに捕集される第1の大きさD1の異物の量は徐々に比例的に増大する。ある時点taを経過したとき、入射面51Cに捕集される第1の大きさD1の異物の量が急激に増大し、機械部品は寿命末期を迎える。また、第2の大きさD2又は第3の大きさD3の異物が出現し入射面51Cに捕集された場合においても、機械部品は寿命末期を迎える。第2の大きさD2又は第3の大きさD3の異物の出現により、例えば、機械部品の偏摩耗の発生が推定される。
【0077】
このように、画像処理部62は、入射面51Cに捕集された異物の量及び大きさに基づいて、アクスル装置1の機械部品が寿命末期を迎えたか否かを判定することができる。
【0078】
本実施形態においては、アクスル装置1の機械部品が寿命末期を迎えたと判定された場合、アクスル装置1の機械部品の寿命が尽きる前に、アクスル装置1のオーバーホールが実施される。アクスル装置1の管理者は、撮影装置52の画像データから把握される異物の捕集状態に基づいて、アクスル装置1の機械部品の寿命末期を把握し、機械部品の寿命が尽きる直前の適切なタイミングでオーバーホールを実施することができる。
【0079】
撮影装置52で取得され、画像処理部62で画像処理された画像データは、通信ネットワーク90を介してサーバ80に送信される。サーバ80には、全国に存在する複数のアクスル装置1のそれぞれから画像データが供給される。サーバ80は、供給された複数の画像データの解析を実施する。サーバ80は、収集された複数の画像データに基づいて、複数のアクスル装置1のそれぞれの機械部品の劣化状態を把握し、アクスル装置1の機械部品が寿命末期を迎えたか否かを判定することができる。サーバ80は、通信ネットワーク90を介して、アクスル装置1の劣化状態を報知したり、アクスル装置1の機械部品が寿命末期を迎えたか否かの判定結果を報知したりすることができる。また、サーバ80は、ハウジング2の内部空間2Hの画像データ、機械部品の劣化状態、及び機械部品が寿命末期を迎えたか否かの判定結果を表示装置81に表示させることができる。アクスル装置1が存在する現場事務所においては、サーバ80からの報知データに基づいて、適切なタイミングでアクスル装置1のオーバーホールを実施することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、磁石53が設けられることにより、アクスルハウジング2の内部空間2Hに設けられているギアから摩耗粉又は破損片のような磁性体である異物が発生しても、磁石53の磁力によって、異物を捕集することができる。異物が捕集されることにより、アクスルハウジング2の内部空間2Hに設けられているベアリングに異物が噛み込むことが抑制される。これにより、ベアリングの寿命を延ばすことができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、撮影装置52が設けられることにより、磁石53によって捕集された異物は、透明なスペーサ部材51を介して撮影装置52に撮影される。磁石53は撮影装置52のレンズ系の視野領域に配置され、撮影装置52は、磁石53の磁力によりスペーサ部材51に捕集された異物の捕集状態を検出することができる。異物の捕集状態は、スペーサ部材51の入射面51Cに捕集された異物の量及び異物の大きさの一方又は両方を含む。異物の捕集状態から、ギアの摩耗の進展具合又はギアの劣化状態が推定される。例えば、スペーサ部材51の入射面51Cに多量の異物が捕集されている場合、ギアから多量の異物が発生しギアの劣化が進行していると推定される。一方、スペーサ部材51の入射面51Cに捕集された異物が少量である場合、ギアから発生した異物は少量であり、ギアの劣化は未だ進行していないと推定される。異物の捕集量が多量である場合には、オーバーホールが必要であると判断され、異物の捕集量が少量である場合には、オーバーホールは未だ不要であると判断される。このように、撮影装置52により異物の捕集状態がモニタリングされることによって、ギアの寿命末期が正確に把握され、ギアの寿命が尽きる直前の適切なタイミングでアクスル装置1のオーバーホールを実施することができる。
【0082】
また、本実施形態においては、異物を検出する検出装置として、異物の画像データを取得する撮影装置52が採用される。そのため、撮影装置52で撮影された画像データに基づいて、異物の量のみならず、異物の一つ一つの大きさも把握することができる。そのため、オーバーホールの時期のみならず、ギアの状態(偏摩耗状態、破損状態)をきめ細かく推定することができる。
【0083】
また、撮影装置52は、透明なスペーサ部材51を介してアクスルハウジング2の内部空間2Hを撮影する。そのため、スペーサ部材51に捕集された異物のみならず、内部空間2Hに配置されているギアを直接的に撮影することができる。これにより、撮影装置52で撮影された画像データに基づいて、ギアの外観状態を直接的に把握することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、アクスルハウジング2及びスペーサ部材51の外側で、撮影装置52を支持するカバー部材54が設けられる。これにより、撮影装置52は、アクスルハウジング2の内部空間2Hに収容されているオイルと接触することなく、内部空間2Hを撮影することができる。また、カバー部材54によって撮影装置52の位置が固定されるので、撮影装置52とスペーサ部材51との相対位置の変動が抑制される。
【0085】
また、本実施形態によれば、カバー部材54に支持される反射鏡55が設けられ、撮影装置52は、反射鏡55を介して内部空間2Hを撮影する。カバー部材54が撮影装置52及び反射鏡55の両方を支持するため、撮影装置52と反射鏡55との相対位置の変動が抑制される。また、撮影装置52は反射鏡55を介して内部空間2Hを撮影する。そのため、カバー部材54は、任意の姿勢で撮影装置52を支持することができる。これにより、アクスル装置1の小型化が図られる。例えば、前後方向におけるアクスルハウジング2からの撮影装置52の突出量が抑制される。
【0086】
また、本実施形態によれば、内部空間2Hに複数のギアが配置され、ギアを潤滑又は冷却するためのオイルが内部空間2Hに収容される。ギアが回転していない状態で、スペーサ部材51が配置されるアクスルハウジング2の開口20は、オイルの液面よりも上方に設けられる。これにより、磁石53のクリーニング又は交換のためにアクスルハウジング2の開口20からスペーサ部材51を外すとき、アクスルハウジング2からオイルを抜く作業を省略することができる。また、ギアが回転したときには、オイルがギアで掻き上げられ、オイルとスペーサ部材51の入射面51Cとが接触する。これにより、オイルに含まれている異物は、磁石53の磁力によってスペーサ部材51に十分に捕集される。
【0087】
また、本実施形態によれば、アクスル装置1は、アクスルハウジング2の内部空間2Hに配置され、エンジンで発生した駆動力によって回転する駆動シャフト3に連結されるデファレンシャル6と、デファレンシャル6を介して駆動シャフト3の回転力が伝達される伝動シャフト4と、伝動シャフト4の回転力が伝達されるアクスルシャフト5とを備える。デファレンシャル6は、伝動シャフト4の回転軸AXを中心に回転するべベルギア11を含み、スペーサ部材51は、べベルギア11の歯面と対向するように配置される。これにより、べベルギア11によって掻き上げられたオイルは、スペーサ部材51の入射面51Cと十分に接触する。そのため、オイルに含まれている異物は、磁石53の磁力によってスペーサ部材51に捕集される。また、撮影装置52は、スペーサ部材51を介して、べベルギア11の外観状態を直接的に撮影することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、デファレンシャル6のべベルギア11は、アクスルハウジング2の内部空間2Hに配置される複数のギアのうち最も大きい直径を有する。アクスルハウジング2の内部空間2Hに配置される複数のギアのうち、べベルギア11がオイルを掻き上げる力は最も大きい。そのべベルギア11の近傍に、スペーサ部材51に支持された磁石53が配置されることにより、オイルに含まれている異物は効率良くスペーサ部材51に捕集される。
【0089】
また、本実施形態によれば、撮影装置52の撮影領域を照明する照明装置52Sが設けられる。撮影装置52が照明装置52Sを備えることにより、アクスルハウジング2の内部空間2Hが暗くても、撮影装置52は、アクスルハウジング2の内部空間2Hを良好に撮影することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、スペーサ部材51は、ポリカーボネート樹脂を含む。ポリカーボネート樹脂は、透明で耐熱性がある樹脂材料である。そのため、アクスルハウジング2の内部空間2Hの高温度なオイルがスペーサ部材51に接触しても、スペーサ部材51の熱変形が抑制される。
【0091】
また、本実施形態によれば、撮影装置52で撮影された画像データを取得する画像データ取得部61と、画像データ取得部61で取得された画像データを出力する出力装置70とが設けられる。全国に存在する複数のアクスル装置1(ダンプトラック100)から、異物の捕集状態を示す画像データがサーバ80に送信される。サーバ80は、収集された複数の画像データに基づいて、複数のアクスル装置1のそれぞれの劣化状態を把握することができる。サーバ80は、アクスル装置1が稼動する現場事務所に、アクスル装置1の劣化状態を報知したり、アクスル装置1の部品が寿命末期を迎えたか否かの判断結果を報知したりすることができる。現場事務所においては、サーバ80からの報知データに基づいて、適切なタイミングでアクスル装置1のオーバーホールを実施することができる。
【0092】
なお、上述の実施形態においては、磁石53はスペーサ部材51の中心軸CXに配置されることとした。
図11に示すように、磁石53はスペーサ部材51の中心軸CXから離れた位置に配置されてもよい。これにより、撮影装置52は、内部空間2Hに配置されているべベルギア11の画像データをより円滑に取得することができる。
【0093】
なお、上述の実施形態においては、画像処理部62は、アクスル装置1(ダンプトラック100)に搭載されたコンピュータシステム60に設けられることとした。画像処理部62の機能は、必ずしもアクスル装置1(ダンプトラック100)に搭載されてなくてもよい。例えば、サーバ80が、画像処理部62の機能を有してもよい。その場合、画像データ取得部61で取得された画像データが、出力部63、送信装置70、及び通信ネットワーク90を介してサーバ80に送信され、サーバ80において画像処理部62による画像処理が実施される。
【0094】
なお、上述の実施形態において、劣化状態推定システム200の構成要素の一部又は全部がダンプトラック100に搭載されてもよい。
【0095】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0096】
図12は、本実施形態に係るアクスル装置1の一部を示す側断面図である。上述の実施形態と同様、アクスル装置1は、アクスルハウジング2と、アクスルハウジング2の開口20に配置される透明なスペーサ部材51と、スペーサ部材51に支持される磁石53と、スペーサ部材51を介してアクスルハウジング2の内部空間2Hを撮影する撮影装置52と、アクスルハウジング2及びスペーサ部材51の外側で、撮影装置52を支持するカバー部材54とを備える。
【0097】
本実施形態において、反射鏡(55)は存在しない。本実施形態において、カバー部材54は、撮影装置52のレンズ系の光軸DXが前後方向に延在するように撮影装置52を支持する。本実施形態において、中心軸CXと光軸DXとは、実質的に一致する。
【0098】
また、本実施形態において、撮影装置52のレンズ系52L及び撮像素子(CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ)52Mは、カバー部材54の内部に配置されている。本実施形態において、レンズ系52L及び撮像素子52Mを含む撮影装置52を支持するカバー部材54は、例えばカメラ付携帯電話である。
【0099】
本実施形態においても、撮影装置52は、磁石53によって捕集された異物を、透明なスペーサ部材51を介して撮影することができる。
【0100】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0101】
図13は、本実施形態に係るアクスル装置1の一部を示す側断面図である。上述の実施形態と同様、アクスル装置1は、アクスルハウジング2と、アクスルハウジング2の開口20に配置される透明なスペーサ部材51と、スペーサ部材51に支持される磁石53と、スペーサ部材51を介してアクスルハウジング2の内部空間2Hを撮影する撮影装置52と、アクスルハウジング2及びスペーサ部材51の外側で、撮影装置52を支持するカバー部材54とを備える。
【0102】
本実施形態において、反射鏡(55)は存在しない。カバー部材54は、撮影装置52が配置される孔54Aを有する。撮影装置52は、孔54Aの内面に支持される。撮影装置52の一部は、カバー部材54の孔54Aに配置され、撮影装置52の一部は、カバー部材54の外側に配置される。撮影装置52の一部は、カバー部材54の後面よりも後方に突出する。
【0103】
カバー部材54は、撮影装置52のレンズ系の光軸DXが前後方向に延在するように撮影装置52を支持する。中心軸CXと光軸DXとは、実質的に一致する。
【0104】
本実施形態においても、撮影装置52は、磁石53によって捕集された異物を、透明なスペーサ部材51を介して撮影することができる。
【0105】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0106】
図14は、本実施形態に係るアクスル装置1の一例を示す断面図である。上述の実施形態で説明したアクスル装置1は、伝動シャフト4の回転力が伝達されるアクスルシャフト5を有することとした。本実施形態においては、アクスルシャフト(5)を有しないアクスル装置1について説明する。
【0107】
図14に示すように、アクスル装置1は、アクスルハウジング2と、アクスルハウジング2の内部空間2Hに配置され、駆動シャフト3に連結されるデファレンシャル6と、リアホイール150Rの内部空間に配置される湿式多板ブレーキ装置7と、リアホイール150Rの内部空間に配置される遊星歯車式減速機8と、デファレンシャル6を介して駆動シャフト3の回転力が伝達される伝動シャフト4とを有する。伝動シャフト4が回転することにより、ダンプトラック100のリアホイール150Rが駆動される。
【0108】
駆動シャフト3は、ピニオンゲージ19に回転可能に支持され、エンジンで発生した駆動力によって回転する。駆動シャフト3は、前後方向に延在し、回転軸BXを中心に回転する。回転軸BXは、前後方向に延在する。
【0109】
駆動シャフト3の端部にカップリング48が固定される。駆動シャフト3は、カップリング48を介してプロペラシャフト(不図示)と連結される。エンジンで発生した駆動力は、トランスミッション装置を介してプロペラシャフトに伝達される。プロペラシャフトは、エンジンで発生した駆動力に基づいて、回転軸BXを中心に回転する。プロペラシャフトが回転軸BXを中心に回転することにより、プロペラシャフトにカップリング48を介して連結される駆動シャフト3が回転軸BXを中心に回転する。
【0110】
駆動シャフト3は、駆動ピニオンギア10を有する。デファレンシャル6は、駆動ピニオンギア10に噛み合うべベルギア11と、べベルギア11に連結されるデファレンシャルケース12とを有する。
【0111】
駆動シャフト3が回転軸BXを中心に回転すると、べベルギア11が回転軸AXを中心に回転する。回転軸AXは、車幅方向に延在する。回転軸AXと回転軸BXとは実質的に直交する。
【0112】
べベルギア11が回転軸AXを中心に回転すると、デファレンシャルケース12は、べベルギア11と一緒に回転軸AXを中心に回転する。デファレンシャルケース12には、スパイダ13を介してデファレンシャルケース12に回転可能に支持された一対のピニオンギア14と、ピニオンギア14と噛み合う一対のサイドギア15とが設けられる。
【0113】
サイドギア15は、伝動シャフト4に固定される。伝動シャフト4は、右方及び左方のそれぞれに設けられる。サイドギア15は、伝動シャフト4とスプライン結合される。サイドギア15及び伝動シャフト4は、回転軸AXを中心に回転する。
【0114】
車幅方向において湿式多板ブレーキ装置7よりも外側に遊星歯車式減速機8が設けられる。遊星歯車式減速機8により伝動シャフト4の回転が減速される。伝動シャフト4が回転軸AXを中心に回転することにより、リアホイール150Rが回転軸AXを中心に回転する。
【0115】
本実施形態においても、スペーサ部材51は、べベルギア11の歯面と対向する。これにより、べベルギア11によって掻き上げられたオイルは、スペーサ部材51の入射面51Cと十分に接触する。そのため、オイルに含まれている異物は、磁石53の磁力によってスペーサ部材51に捕集される。また、撮影装置52は、スペーサ部材51を介して、べベルギア11の外観状態を直接的に撮影することができる。
【0116】
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0117】
上述の実施形態においては、磁石53がスペーサ部材51に埋設され、磁石53と内部空間2Hの油とは接触しないこととした。
図15に示すように、スペーサ部材51の入射面51Cに凹部が設けられ、その凹部に磁石53が配置されてよい。この場合、磁石53の表面は、内部空間2Hに面し、内部空間2Hの油と接触する。
【0118】
<第6実施形態>
第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0119】
上述の第6実施形態においては、磁石53がスペーサ部材51の入射面51Cの凹部に配置され、磁石53と内部空間2Hの油とが接触することとした。
図16に示すように、入射面51Cに透明なプレート部材300が設けられてもよい。プレート部材300は、磁石53の表面を覆うように配置され、磁石53と内部空間2Hの油との接触を抑制する。
【0120】
なお、上述の実施形態においては、ハウジングの内部空間に油浸される機械部品を備える機械装置としてアクスル装置1を例にして説明した。機械装置は、トランスミッション装置でもよい。トランスミッション装置も、ハウジングの内部空間に油浸される機械部品を備える機械装置である。上述の実施形態に従って、トランスミッション装置の機械部品の劣化状態も推定することができる。
機械装置は、油浸される機械部品が収容される内部空間を有するハウジングと、ハウジングの開口に配置される透明なスペーサ部材と、スペーサ部材に支持される磁石と、スペーサ部材を介してハウジングの内部空間を撮影する撮影装置と、を備える。