特許第6239134号(P6239134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239134かみそりの刃及びこれを適用したかみそりカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239134
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】かみそりの刃及びこれを適用したかみそりカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/14 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   B26B21/14 A
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-546715(P2016-546715)
(86)(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公表番号】特表2016-531719(P2016-531719A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】KR2014007896
(87)【国際公開番号】WO2016032014
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0110829
(32)【優先日】2014年8月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505116747
【氏名又は名称】ドルコ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Dorco Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ホ チュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チュン ソ
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−518436(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/050606(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0232100(US,A1)
【文献】 特表2007−527775(JP,A)
【文献】 特表2009−533129(JP,A)
【文献】 特表2012−517274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/14 − 21/22
B26B 21/56
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基底部と、
前記基底部の一端から折れ曲がって延長された折曲部と、
前記折曲部の一端から延長され、一端にカッティングエッジが形成されるエッジ部を含み、
前記カッティングエッジは、かみそりの刃の幅方向を基準に、中間部分が両側より剃り方向に突出したアーチ型構造に形成され、
前記基底部の前面から縦方向に沿って延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第1離隔距離Xが0.3mmないし1.0mmで形成され、
前記基底部の他端から前後方向に沿って延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第2離隔距離Yに対する前記第1離隔距離Xの比率(X/Y)は0.15ないし0.4で形成されるかみそりの刃。
【請求項2】
前記第1離隔距離Xは0.3mmないし0.85mmで形成される請求項1に記載のかみそりの刃。
【請求項3】
前記第1離隔距離Xは前記折曲部の内部の曲率半径Rより大きく、前記内部の曲率半径Rの2倍より小さく形成される請求項1に記載のかみそりの刃。
【請求項4】
前記かみそりの刃の厚さtに対する前記第1離隔距離Xの比率(X/t)は4ないし10で形成される請求項1に記載のかみそりの刃。
【請求項5】
前記かみそりの刃の厚さは0.05mmないし0.1mmで形成され、
前記エッジ部と前記基底部が成す角度は90度ないし120度で形成され、
前記折曲部の内部の曲率半径Rは0.3mmないし1.2mmで形成される請求項1に記載のかみそりの刃。
【請求項6】
前記かみそりの刃の厚さは0.07mmないし0.08mmで形成され、
前記エッジ部と前記基底部が成す角度は105度ないし115度で形成され、
前記折曲部の内部の曲率半径Rは0.45mmないし0.9mmで形成される請求項5に記載のかみそりの刃。
【請求項7】
内部空間を形成するハウジングと、
前記ハウジングの内部空間に設置され、基底部と、前記基底部の一端から折れ曲がって延長された折曲部と、前記折曲部の一端から延長され、一端にカッティングエッジが形成されるエッジ部を含む複数のかみそりの刃を含み、
前記かみそりの刃は、
前記基底部の前面から縦方向に沿って延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第1離隔距離Xが0.3mmないし1.0mmで形成され、
前記カッティングエッジは、前記かみそりの刃の幅方向を基準に、中間部分が両側より剃り方向に突出したアーチ型構造に形成され、
前記基底部の他端から前後方向に沿って延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第2離隔距離Yに対する前記第1離隔距離Xの比率(X/Y)は0.15ないし0.4で形成されるかみそりカートリッジ。
【請求項8】
前記第1離隔距離Xは0.3mmないし0.85mmで形成される請求項7に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項9】
前記かみそりの刃の厚さtに対する前記第1離隔距離Xの比率(X/t)は4ないし10で形成される請求項7に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項10】
前記第1離隔距離Xは前記折曲部の内部の曲率半径Rの2倍より小さく形成される請求項7に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項11】
前記かみそりの刃の平均厚さは0.05mmないし0.1mmで形成され、
前記エッジ部と前記基底部が成す角度は90度ないし120度で形成され、
前記折曲部の内部の曲率半径Rは0.3mmないし1.2mmで形成される請求項7に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項12】
前記かみそりの刃の平均厚さは0.07mmないし0.08mmで形成され、
前記エッジ部と前記基底部が成す角度は105度ないし115度で形成され、
前記折曲部の内部の曲率半径Rは0.45mmないし0.9mmで形成される請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はかみそりの刃及びこれを利用したかみそりカートリッジに関し、より詳細にはかみそりの刃の幾何学的な構造を形状化して薄いながらも剛度を向上させた一体型かみそりの刃及びこれを適用したかみそりカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
湿式かみそりは高い密着性を有し、すっきりとした剃り上がりを提供しながらも滑らかでかつ傷や切れが生じないようにすることが重要である。このような湿式かみそりのかみそり性能に影響を与える要素としては、かみそりの刃のカッティングエッジと皮膚の間の摩擦抵抗とカッティングエッジの鋭さの程度などがある。このような要素は大体かみそりの刃によって体毛に与えられるカッティング力(cutting force)と関連する。
【0003】
かみそりにおいてかみそりの刃の枚数を増加させると、大体かみそりのかみそり効率を向上させ、皮膚上の押圧力の分布をより良くするが、抗力(drag force)は増加する。また、かみそりの刃の枚数が増加すると、かみそりの刃によって占有される面積が増加したり、かみそりの刃のカッティングエッジの間の間隔が狭くなる。
【0004】
しかし、かみそりの刃によって占有される面積を増加させることは、抗力が増加するため、かみそり性能に良くない影響を及ぼし得る。また、かみそりの刃の間の間隔が減少すると、より滑らかなかみそりが可能であるが、かみそりのくずがかみそりの刃の間に挟まり、洗浄性(Rinsability)が低下する問題点がある。逆にかみそりの刃の間の間隔が広いと、洗浄性が向上するが、皮膚に傷や切れの恐れが高まる問題点がある。これにより、かみそりの刃の枚数及びかみそりの刃の間の間隔を適切に調節することが非常に重要である。
【0005】
従来のかみそりの刃は剛度が強い支持台の上にカッティングエッジが形成されたブレードが装着されたものであった。しかし、このような従来の技術では、支持台の剛度を高めるために支持台の厚さを厚くする必要があった。これにより、かみそりに装着できるかみそりの刃の数が限定され、かみそりの刃の間の間隔を狭くできないという問題点があった。仮に、かみそりの刃の間の間隔を狭くしたとしても洗浄性が非常に落ちるという問題点があった。
【0006】
また、従来のかみそりの刃はブレードと支持台を別途に製造した後、これらを結合するために溶接工程などを経なければならない。したがって、かみそりの刃の生産費用が増えるだけでなく、追加工程により生産効率が落ちる問題点があった。
【0007】
したがって、かみそりの刃の間の間隔を狭めつつも、かみそり性能を維持し、かつ、かみそりのくずの除去を容易にするためにはかみそりの刃の厚さを薄くする必要がある。しかし、かみそりの刃が薄すぎると、皮膚の体毛をうまく切断することができず、変形されやすくなり、耐久性が落ちるという問題点がある。したがって、最近では厚さが薄いながらも剛度が優れたかみそりの刃に対する研究が、行われる傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、かみそりの刃の幾何学的な構造を形状化して薄いながらも剛度を向上させたかみそりの刃及びこれを利用したかみそりカートリッジを提供することにある。
【0009】
本発明のまた他の課題は、一体で形成されたかみそりの刃を提供して生産効率を高めることにある。
【0010】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は次の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を達成するために、本発明の一実施形態によるかみそりの刃は、基底部と、前記基底部の一端から折れ曲がって延長された折曲部と、前記折曲部の一端から延長され、一端にカッティングエッジが形成されるエッジ部を含み、前記カッティングエッジは、かみそりの刃の幅方向を基準に、中間部分が両側より剃り方向に突出したアーチ型構造に形成され、前記基底部の前面から縦方向に沿って延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第1離隔距離Xが0.3mmないし1.0mmで形成され、前記基底部の他端から前後方向に沿って延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第2離隔距離Yに対する前記第1離隔距離Xの比率(X/Y)は0.15ないし0.4で形成される。
【0012】
前記課題を達成するために、本発明の一実施形態によるかみそりカートリッジは、内部空間を形成するハウジングと、前記ハウジングの内部空間に設置され、基底部と、前記基底部の一端から折れ曲がって延長された曲部と、前記折曲部の一端から延長され、一端にカッティングエッジが形成されるエッジ部を含む複数のかみそりの刃を含み、前記かみそりの刃は、前記基底部の前面から縦方向に沿って延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第1離隔距離Xが0.3mmないし1.0mmで形成され、前記カッティングエッジは、前記かみそりの刃の幅方向を基準に、中間部分が両側より剃り方向に突出したアーチ型構造に形成され、前記基底部の他端から前後方向に沿って延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第2離隔距離Yに対する前記第1離隔距離Xの比率(X/Y)は0.15ないし0.4で形成される。
【0013】
その他実施形態の具体的な内容は詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のかみそりの刃及びこれを利用したかみそりカートリッジによれば、次のような効果が一つあるいはそれ以上ある。
【0015】
かみそりの刃の幾何学的な構造を形状化して薄いながらも剛度を向上させることができ、一体で形成されたかみそりの刃を提供して生産効率を高める効果がある。
【0016】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は請求範囲の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態によるかみそりの刃が装着されたかみそりカートリッジの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるかみそりの刃が装着されたかみそりカートリッジの側断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるかみそりの刃の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態によるかみそりの刃の側断面図である。
図5】本発明の一実施形態によるかみそりの刃及び従来技術によるかみそりの刃の幾何学的な特性を比較して示す側断面図である。
図6】本発明の一実施形態によるかみそりカートリッジと従来技術のかみそりカートリッジを比較して示す側断面図である。
図7】本発明の一実施形態による2枚のかみそりの刃及び従来技術による2枚のかみそりの刃が形成するスパン及びトンネルの特性を比較して示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明はかみそりの刃の幾何学的な構造を形状化して薄いながらも剛度を増大させた一体型かみそりの刃及びこれを適用したかみそりカートリッジに関し、基底部と、前記基底部の一端から折れ曲がって延長された折曲部と、前記折曲部の一端から延長され、一端にカッティングエッジが形成されるエッジ部を含み、前記基底部の縦方向に沿って延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第1離隔距離Xが0.3mmないし1.0mmで形成されるかみそりの刃に関する。
【0019】
本発明の利点及び特徴、これらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態において明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によってのみ定義される。 明細書全体にかけて同一参照符号は同一構成要素を指称する。
【0020】
他に定義されなければ、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が共通に理解できる意味として使用され得る。また一般に使用される辞典に定義されている用語は明白に特別に定義されていない限り理想的にまたは過度に解釈しない。
【0021】
以下、本発明の実施形態によってかみそりの刃を説明するための図面を参照して本発明について説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態によるかみそりの刃が装着されたかみそりカートリッジの斜視図である。図2は本発明の一実施形態によるかみそりの刃が装着されたかみそりカートリッジの側断面図である。
【0023】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態によるかみそりカートリッジ10はコネクタ600によりかみそりのハンドル(図示せず)に着脱が可能であり、回転可能に装着されるが、これに限定されず、ハンドルから着脱は可能であるが、回転しない構造で装着されることもできる。したがって、かみそりカートリッジ10はユーザの必要に応じてハンドルから分離して新しいかみそりカートリッジに取り替えられ得る。かみそりカートリッジ10はハウジング100及びかみそりの刃200を含む。また、かみそりカートリッジ10はガード300、キャップ400、クリップ500及びコネクタ600をさらに含み得る。
【0024】
ハウジング100はかみそりカートリッジ10の外形を形成し、かみそりの刃200が設置される内部空間を形成する。また、ハウジング100にはかみそりの刃200の幅方向(図3のZ軸方向)の終端が挿入される設置溝が形成され得る。前記設置溝は前記かみそりの刃200がある程度の摩擦力を有しながら挿入されるため、装着されたかみそりの刃が動くことをある程度防止することができ、かみそりの刃200の数に対応するように形成される。例えば、ハウジング100に7枚のかみそりの刃200が装着されると、設置溝も7個が備えられる。
【0025】
ただし、所定の実施形態では設置溝を省略することができる。この場合、かみそりの刃200はワイヤラッフィング、冷間成形、ホットステーキング、インサートモールディング及び接着剤などを利用してハウジングに固定及び/または設置され得るが、これに限定されず、当業者に公知された他の組立方法を利用することもできる。
【0026】
ハウジング100は複数のかみそりの刃200のうち最前方に設置されたかみそりの刃200aの前方に配置されたガード100a及び最後方に設置されたかみそりの刃200gの後方に配置されたキャップ100bを含む。ここで前方とは、髭を剃る方向を意味し、後方とは、髭を剃る方向と逆方向を意味する。
【0027】
ガード100a及びキャップ100bはハウジングと一体で形成されるが、別途構成して結合することもできる。また、ガード100a及びキャップ100bはハウジング100と同じ材質で形成されるだけでなく他の材質でも形成され得る。ただし、ガード100a及びキャップ100bを連結する仮想の平面P1がかみそりの際に仮想のかみそり平面P1を定義するため、プラスチックのような一定以上の剛度を有する堅い材質で形成されることが好ましい。
【0028】
このような、ガード100aの前方に位置するラバーストリップ300は弾性力を有する柔軟な材質で形成され、かみそりの際皮膚を引っ張り、体毛を整列させる役割を果たす。すなわち、ラバーストリップ300はかみそりの際、接触する皮膚上の体毛をあらかじめ立たせることによってかみそり効率を上げる役割を果たす。これにより後に続くかみそりの刃は皮膚の体毛を簡単にカットすることができる。
【0029】
このような、ラバーストリップ300は多数のフィン(fin)で構成されているが、多数のフィンは柔軟な材質で形成されるため、かみそりの際、前記仮想のかみそり平面P1まで押さえられる。このような、ラバーストリップ300は弾性素材の材質で形成され得る。例えば、ラバーストリップ300はゴム材質、シリコン材質などからなる。このようにラバーストリップ300はハウジング100よりは柔軟な材質で前記ハウジング100の前方に結合され得る。
【0030】
ハウジングにおいてキャップ100bの後方には潤滑バンド400が結合され得る。潤滑バンド400はかみそりの際、皮膚に潤滑物質を提供して滑らかなかみそりを可能にする。また、潤滑バンド(lubricating band、400)はかみそり補助具、ユーザの皮膚に潤滑物質を伝達するかみそり補助具複合物(shaving aid composite)などを含み得る。潤滑バンド400は乾燥するときに比べて湿気が多いときに潤滑性が高まる傾向がある。
【0031】
一方、ラバーストリップ300及び潤滑バンド400はハウジング100に結合されたりこれと一体で形成され得る。例えば、ラバーストリップ300はハウジング100の一部として射出成形され得るが、これに限定されず、ハウジング100にインサートモールディングまたは同時−射出(co−injection)成形などで製造され得る。
【0032】
また、クリップ500はかみそりの刃200がハウジング100から離脱することを防止するための構成要素として、かみそりの刃200の幅方向(Z軸方向)の両端のうち少なくとも一つに結合され得る。クリップ500は多数のかみそりの刃200を前後方向に包む形態でハウジング100に固定するため、ハウジング100の両端の開口を通過してハウジング100の下面で折れ曲がる。
【0033】
かみそりの刃200はハウジング100の内部空間に設置され、ユーザの皮膚から延長する体毛をカッティングできるようにする構成要素である。かみそりの刃200は幅方向の両端が設置溝に挿入されてハウジング100に結合され得る。また、かみそりの刃200は幅方向の両端にクリップ500が結合され得る。これにより、かみそりの刃200はクリップ500によってハウジング100から離脱されることが防止され得、ハウジング100内に安着することができる。
【0034】
かみそりの刃200は複数備えられ、複数のかみそりの刃200はガード300及びキャップ400との間に位置する。例えば、7枚のかみそりの刃(200aないし200g)がハウジング100に設置され得る。かみそり技術の発展につれ、かみそりの刃200の数は増加する傾向であり、現在では4枚刃ないし6枚刃のかみそりカートリッジが主であるが、今後は図2のような7枚刃またはそれ以上の枚数の刃を有するかみそりカートリッジが通用されるであろう。ただし、かみそりカートリッジのサイズ、特に前後方向のサイズがある程度限定されているとすると、このようなかみそりの刃数の増加はかみそりの刃の間のスパンの減少による多様な問題が引き起こされるため、このような問題を考慮したかみそりの刃自体の設計とかみそりカートリッジの設計が要求される。
【0035】
図2において、かみそりの際に形成される仮想のかみそり平面P1はハウジング100の前後の上部表面に接する(tangential)平面を意味し、かみそりの際、かみそりの刃200には接触平面P1とほぼ垂直方向に力(F)が適用される。また、かみそりの刃200のカッティングエッジ211は接触平面P1と所定の角度を形成するようにかみそりカートリッジ10に備えられる。一般的には、かみそりの刃200のカッティングエッジ211がこのような接触平面P1を貫通するかどうかによってカッティングエッジ211の露出をプラス(positive)、マイナス(negative)または中立(neutral)と定義するが、このようなカッティングエッジ211の露出の程度はかみそりの際の快適性、安全性などに影響を及ぼす因子の一つとして作用し得る。
【0036】
また、互いに隣接するかみそりの刃のカッティングエッジの間の距離Snは通常スパン(span)と定義し、スパンは多様な方式でかみそりの過程に影響を及ぼすものとして理論化されている。詳細に説明すると、スパンは皮膚がかみそりの刃の間で盛り上がる(convex of skin)程度を制御することができる。例えば、狭いスパンはかみそりの際、皮膚の膨張を減らして皮膚の快適さを向上させるが、かみそりの洗浄効率を落とす。また、広いスパンはかみそりの洗浄効率を向上させるが、皮膚の膨張が大きくなって皮膚の快適さを減少させ得る。また、互いに隣接したかみそりの刃が形成するスパンsnは通常互いに同一に形成されるが、互いに異なるように形成され得る。
【0037】
通常かみそりの刃は、体毛をカッティングするためには十分な剛度が保障されなければならない。かみそりの刃の剛度が十分でない場合、かみそりの際に加えられる力によってかみそりの刃に変位が発生し、かみそりの性能が減少したり、かみそりの刃によって 皮膚が傷つけられる。これにより、本発明によるかみそりの刃及びかみそりカートリッジは、薄いかみそりの刃においても十分な剛性を保障すると共に、多数の薄いかみそりの刃を制限されたサイズのかみそりカートリッジに装着しながらも、かみそりの性能及び洗浄性を十分に確保するためのかみそりの刃の幾何学的形状及び配置の特性を提供しようとする。
【0038】
図3は本発明の一実施形態によるかみそりの刃の斜視図であり、図4は本発明の一実施形態によるかみそりの刃の側断面図である。図3及び図4を参照すると、先ず、かみそりの刃200は基底部230、基底部230の一端から折れ曲がって延長される折曲部220及び折曲部220の一端から延長するエッジ部210を含む。
【0039】
従来のかみそりの刃は支持台にブレードが装着したものを使用し、支持台はブレードを支持するために支持台の厚さを0.1mmより大きく形成した。一般的には従来のかみそりの刃の厚さは0.1mmよりは大きいが、0.2mmよりは小さく形成された。支持台の厚さtを厚く形成したため、狭いスパンを実現することが難しかった。しかし、本発明のかみそりの刃200はエッジ部210、折曲部220及び基底部230を一体で形成することによって、厚さtを0.1mm以下にして薄く製造することができた。これにより、狭いスパンSnを実現することができる。ただし、かみそりの刃200の厚さtが0.05mmより薄く形成される場合、かみそりの刃200は十分な剛度を確保できなくなってかみそりの刃200としての機能を正しく遂行できない。したがって、かみそりの刃の厚さtは0.05mmないし0.1mmで形成しなければならず、剛度はある程度確保しながらも狭いスパンを実現することができる。特に、かみそりの刃の厚さtを0.07mmないし0.08mm(0.07mm≦t≦0.08mm)で形成する場合、かみそりの刃の剛度を十分に確保しながらも狭いスパンSnを実現できることを実験を通して確認することができる。
【0040】
カッティングエッジ211を除いたエッジ部210、折曲部220及び基底部230の厚さはすべて同一であるか、少なくとも一つが異なるように形成され得る。かみそりの刃200は刃が鋭い平面を折り曲げて製造し、このような折曲過程を経るとき、折曲部220の前面には収縮現象が発生し、折曲部の後面には膨張現象が発生する。この際、折曲部の後面で前面より大きい変形が生じ、折曲部の体積を一定に維持するために折曲部の厚さが薄くなる。したがって、基底部230の厚さは折曲部220の厚さより大きく形成される。
【0041】
基底部230は一端に折曲部220が連結され、折曲部220及びエッジ部210を支持する役割を果たす。また、基底部230はかみそりの刃の縦方向(Y軸方向)と平行するように配置される。基底部230は厚さが0.075mmで形成され得、前述したように折曲部220より厚さが多少大きく形成され得る。
【0042】
基底部230は縦方向の距離h1は1.7mmないし2.1mm(1.7mm≦h1≦2.1mm)で形成され得、従来のかみそりの刃の支持台などと比べて高さ(約1.5mm)が高く形成される。仮に、かみそりの刃の長さが一定であれば、基底部230の縦方向の距離h1が大きいほど後述する第1離隔距離Xが大体において短く形成される。
【0043】
折曲部220は基底部230の一端から折れ曲がって延長される。折曲部220は内部の曲率半径Rが0.3mmないし1.2mm(0.3mm≦R≦1.2mm)で形成される。ここで、内部の曲率半径Rとは、折曲部の前面の曲率半径を意味し、内部の曲率半径が大きいほど折曲程度が緩慢になる。
【0044】
一つの例として、折曲部220は内部の曲率半径Rが0.3mmないし0.45mm(0.3mm≦R≦0.45mm)で形成され得る。ただし、折曲部220の内部の曲率半径が0.3mmないし0.45mmで形成される場合、曲げ作業の際にクラック(crark)が発生する可能性が高くなる。これにより、折曲部220はクラック発生を防止するために熱処理をすることが好ましい。
【0045】
また他の一つの例として、折曲部220の内部の曲率半径Rは0.45mm<R<0.9mmを満足するように形成され得る。この場合、折曲部220は曲げ作業の際の熱処理をしなくてもクラック発生しない。
【0046】
折曲部220は基底部230の一端から90度ないし120度の角度Aで延長されて折れ曲がる。これにより、エッジ部210と基底部230は90度ないし120度の角度Aで形成される。前記角度Aはかみそりの際に体毛(図示せず)とエッジ部210が接する角度と関連があるため、かみそりの性能に密接な関連がある。
【0047】
一つの例として、折曲部220は基底部230から105度ないし115度の角度で延長されて折れ曲がる。これにより、エッジ部210及び体毛が接する鋭角は15度ないし25度の角度で形成されるため、体毛が効果的にカッティングされ得る。
【0048】
エッジ部210は一端にカッティングエッジ211が形成され、他端が折曲部220と連結される。ここで、カッティングエッジ211は体毛をカッティングする役割を果たす。
【0049】
エッジ部210は基底部230と90度ないし120度の角度で形成される。これにより、エッジ部210及び体毛が接する鋭角が0度ないし30度の角度で形成される。特に、エッジ部210及び体毛が接する鋭角が15度ないし25度の角度で形成される場合、かみそりの性能が優れるため、エッジ部210と基底部230が成す角度Aは105度ないし115度(105度≦A≦115度)で形成されることが好ましい。ただし、かみそりの刃のかみそりの性能に対する実験結果によれば、エッジ部210と基底部230が成す角度Aが106度ないし108度(106度≦A≦108度)で形成される場合、かみそりの刃によるかみそりの性能が最も優れた。したがって、エッジ部210と基底部230が成す角度Aが106度ないし108度(106度≦A≦108度)で形成されることが最も好ましい。
【0050】
かみそりの刃200はエッジ部210、折曲部220及び基底部230が一体で形成される。かみそりの刃200が一体で形成されると、かみそりの刃200の作業工程を減らし、かつ薄く製造することができる。ただし、このように一体型かみそりの刃を薄く製造する場合はかみそりの刃の剛性を十分に保障することが要求される。
【0051】
したがって、かみそりの刃の十分な剛性を保障するため、かみそりの刃200は基底部230の前面から縦方向(Y軸方向)に延長された直線とカッティングエッジ211の端点との第1離隔距離Xを従来のかみそりの刃に比べて短く形成する。このような第1離隔距離Xは、基底部230を鉛直方向に立たせたとき、この基底部230からカッティングエッジ211の終わりの部分までの距離で定義されるという点は注目する必要がある。かみそりの刃200が実際にかみそりカートリッジに装着されることにおいては、基底部230が必ず鉛直方向に向かうわけではない。仮に、かみそりの刃200の基底部230がハウジング100に斜めに装着されると、このときエッジ部210及び折曲部220が有する水平方向の距離は本発明の第1離隔距離Xと異なる。すなわち、本発明による第1離隔距離Xはカートリッジに装着された状態を考慮せず、かみそりの刃200自体の幾何学的形状によって唯一に決定される。このように、基底部230が鉛直方向に向かうという仮定の下で第1離隔距離Xを定義することは、片持ち梁(cantilever)としての動きを有するかみそりの刃200の残り部分に基底部230が影響を与えないようにするためである。すなわち、この場合、基底部230は鉛直方向、すなわち接触平面P1に垂直な方向に向かうため、かみそりカートリッジに接触した皮膚から圧縮力を受けるだけであり、少なくとも基底部230による片持ち梁効果は現れない。
【0052】
このように、第1離隔距離Xを短く形成する場合、かみそりの際にかみそりの刃に作用する力(F)に対するカッティングエッジの抵抗力、すなわちカッティングエッジの剛度が向上する。これはかみそりの刃中でエッジ部210と折曲部220まで続く部分を片持ち梁(cantilever)とする場合、その断面のサイズまたは厚さが一定であるとしても長さだけが減れば外力に対する片持ち梁の変形が減ることによるものである。
【0053】
したがって、かみそりの刃200は基底部230の前面から縦方向(Y軸方向)に延長された直線とカッティングエッジ211の端点との第1離隔距離Xが0.3mmないし1.0mmで形成される。仮に、前記第1離隔距離Xが仮に、0.3mm未満であれば折れ曲がる際に形成される基本的な折曲部220のサイズによって最小限のエッジ部210の確保が難しく、前記第1離隔距離Xが1.0mmを超過すると、薄いかみそりの刃において十分な剛性を確保しにくいこともある。
【0054】
特に、前記第1離隔距離Xの範囲で0.05mm単位ごとにかみそりの洗浄効率を実験した結果、前記第1離隔距離Xが0.3mmないし0.85mmである場合、制限されたサイズのカートリッジの内部に多数のかみそりの刃を設置する場合も最小限のスパン(Span)を確保することができ、かみそりの洗浄効率及びかみそり性能が適切な水準以上に維持されていることを確認できた。ただし、前記第1離隔距離Xが0.3mmないし0.75mmである場合、他の数値範囲より優れた洗浄効率及びかみそり性能を確認することができ、そのうち第1離隔距離Xが約0.7mmであるとき、かみそりの洗浄効率及びかみそりの性能が最適であることが実験を通して確認できた。
【0055】
このように、図5及びの次の表1を参照して従来技術のかみそりの刃と本発明のかみそりの刃の第1離隔距離を比較する。ここで、図5の(a)は従来技術のかみそりの刃であり、図5の(b)は本発明の一実施形態によるかみそりの刃であり、表1は従来のかみそりの刃と本発明のかみそりの刃の幾何学的な特性の一部を示す表である。
【0056】
図5及びの下の表1を参照すると、第1離隔距離Xが長く形成される従来のかみそりの刃は第1離隔距離Xが1.0mmを超過して形成され、第1離隔距離Xが短く形成される本発明のかみそりの刃は、第1離隔距離Xが0.37mmないし0.86mm、概ね0.3mmないし1.0mmで形成されることが分かる。これに比べて従来のかみそりの刃の第1離隔距離Xは1.15ないし1.54mmの範囲で分布し、すべて1.0mmを上回っていることが分かる。
【0057】
【表1】
【0058】
かみそりの刃200の第1離隔距離Xが短く形成される場合、かみそりの刃の剛度が向上することを調べるため、図5の(a)の従来技術のかみそりの刃と図5の(b)の本発明のかみそりの刃に所定の外力を加えるテストを行った。ここで、図5の(a)と図5の(b)のかみそりの刃の厚さt、曲率R、角度A及び第2離隔距離(高さ、Y)は同一に維持し、第1離隔距離Xのみを異なるようにした。ここで、図5の(a)の第1離隔距離Xは1.2mmであり、図5(b)の第1離隔距離Xは0.7mmである。
【0059】
その結果、従来技術のかみそりの刃は縦方向(Y軸方向)に約−0.0081mm、前後方向(X軸方向)に約+0.0065mmの変形が発生したが、本発明のかみそりの刃は縦方向(Y軸方向)に約−0.0041mm、前後方向(X軸方向)に約+0.0039mmの変形が発生することが確認された。前記テスト結果のように、第1離隔距離が短く形成される場合、かみそりの刃の剛度が向上するという点は明らかである。
【0060】
また、前記第1離隔距離Xが短く形成されると、ハウジング100に設置されるかみそりの刃200は相対的に狭いスパンSnを維持することができるため、かみそりの刃200の数を増加させることができる。
【0061】
一般的にはかみそりの刃200はハウジング100に多く設置されるほどかみそりの性能が向上する。しかし、かみそりの刃200が設置されるハウジング100の内部空間のサイズは限定されているため、かみそりの刃200が多く設置されるほど隣接したかみそりの刃200のスパンが非常に狭く形成されるため、かみそりの際の皮膚の快適さは向上するが、かみそりの洗浄効率は落ちる。これにより、従来には通常3〜5枚のかみそりの刃をハウジングに設置した。
【0062】
しかし、前記第1離隔距離Xを短く形成する場合、隣接したかみそりの刃200が適切に狭いスパンを形成しながらハウジング100に従来より多くのかみそりの刃200を設置することができる。図6を参照すると、従来のかみそりカートリッジ(図6の(a))に設置された従来のかみそりの刃(20a〜d)のスパンSnより本発明の一実施形態によるかみそりカートリッジ(図6の(b))に設置されたかみそりの刃(200a〜g)のスパンSnがさらに狭く形成される。これにより、従来のかみそりカートリッジには4枚のかみそりの刃(20a〜d)が備えられたが、本発明のかみそりの刃200を設置したかみそりカートリッジ10には7枚までかみそりの刃(200a〜g)が備えられる。
【0063】
さらに、互いに隣接したかみそりの刃はトンネルuを形成する。ここで、トンネル(tunnel)とは互いに隣接したかみそりの刃のうち前方かみそりの刃の後面から後方かみそりの刃のカッティングエッジまでの最短距離uを意味する。トンネルはかみそりの洗浄時にかみそりの刃の間に水が流入する入口のサイズを意味する。これにより、トンネルが大きくなると、かみそりの洗浄効率が向上する。
【0064】
図7を参照してトンネルuと第1離隔距離Xとの関係について説明する。図7の(a)は従来のかみそりの刃であり、図7の(b)は本発明の一実施形態によるかみそりの刃である。図7の(a)及び(b)のかみそりの刃は第1離隔距離Xを除いて残りの幾何学的な特性(スパン、第2離隔距離、内部の曲率半径など)が同じである。したがって、従来のかみそりの刃のように第1離隔距離Xが長いと、トンネルu′は前方かみそりの刃200のエッジ部210の後面から後方かみそりの刃200のカッティングエッジ211までの最短距離となる。しかし、本発明の一実施形態によるかみそりの刃のように第1離隔距離Xが短いと、トンネルuは前方かみそりの刃200の折曲部220の後面から後方かみそりの刃200のカッティングエッジ211までの最短距離となり、これは従来のかみそりの刃が形成するトンネルより大きく形成される。すなわち、第1離隔距離Xが短いかみそりの刃のトンネルuが第1離隔距離Xが長いかみそりの刃のトンネルu′より大きい(u>u′)。これにより、第1離隔距離Xが短いと、大部分のトンネルuは大きく形成され得、かみそりの洗浄効率が向上する。
【0065】
また、本発明の一実施形態によるかみそりの刃のように第1離隔距離Xが短いと、前方かみそりの刃200のエッジ部210が後方かみそりの刃200のエッジ部210または折曲部220を覆う領域すなわち、オーバーラップ(overlap)領域(図7の斜線領域)が減るため、かみそりの洗浄効率が向上する。すなわち、図7(a)に示すように従来のかみそりの刃は短いトンネルu′値を有しながらも同時にオーバーラップ領域(斜線領域)が広いため、かみそりのひげくずが前方及び後方のかみそりの刃200の基底部230の間に簡単に排出されないことが分かる。図7(b)に示すように本発明によるかみそりの刃は相対的に長いトンネルu値を有し、同時にオーバーラップ領域(斜線領域)が非常に狭いため、かみそりのひげくずが前方及び後方のかみそりの刃200の基底部230の間で簡単に輩出されることが分かる。
【0066】
また、本発明によるかみそりの刃200を利用する場合、第1離隔距離Xが短いため、特定スパン値でかみそりの刃200を配置する場合、オーバーラップ領域が全くない場合もあり得、この場合に洗浄性はさらに極大化され得る。また、かみそりの刃は所定の間隔Spでかみそりカートリッジ10に設置される。前記所定の間隔Spは、隣接するかみそりの刃200の基底部230の前後方向の間隔を意味する。前記間隔SpはスパンSnの値に影響を及ぼし、前記間隔が長くなると、スパンの値も大きくなり、前記間隔が短くなると、スパンの値も減る。すなわち、前記間隔とスパンは比例関係にある。また、かみそりカートリッジ10の設計によってカートリッジに設置されるかみそりの刃の間隔は同一または異なるように形成され得る。
【0067】
また、かみそりの刃の第1離隔距離Xはエッジ部210と基底部230と間の角度Aの影響を受け得る。仮に、エッジ部210及び折曲部220の長さが同じであれば、前記離隔距離Xはエッジ部210と基底部230との間の角度Aが大きいほど短くなり、前記角度Aが小さいほど長くなる。かみそりの刃サンプルの幾何学的な特性を示した次の表2を参照して詳細に説明する。
【0068】
一つの例として、エッジ部210及び折曲部220の長さが同じである場合、角度Aが107.3度であれば第1離隔距離Xは0.65mmであり、角度Aが106.4度であれば、第1離隔距離Xは0.68mmで形成される。これにより、前記角度Aが大きくなるほど第1離隔距離Xは短くなることが分かる。
【0069】
【表2】
【0070】
また、かみそりの刃200の前記第1離隔距離Xは概ね折曲部220の内部の曲率半径Rの2倍より小さく形成され得る。すなわち、第1離隔距離Xは「X<2R」の式を満足する。第1離隔距離Xが前記式を満足する場合、第1離隔距離Xは大体において短く形成される。これにより、かみそりの際に加えられる力に対するカッティングエッジ211の剛度が向上し、かみそり性能の向上及び狭いスパンを実現することができる。
【0071】
技術的な観点から見ると、前記離隔距離Xが仮に、折曲部の内部の曲率半径R未満であると、折曲部220の基本的なサイズのため最小限のエッジ部210を確保しにくく、前記離隔距離Xが前記内部の曲率半径Rの2倍より大きいと薄いかみそりの刃において十分な剛性を確保しにくいこともある。
【0072】
以下では従来のかみそりの刃及び本発明のかみそりの刃の第1離隔距離と内部の曲率半径の関係を比較して説明する。表3は従来のかみそりの刃と本発明のかみそりの刃の幾何学的な特性の一部を示す表である。
【0073】
次の表3を参照すると、第1離隔距離Xが長く形成される従来のかみそりの刃は、第1離隔距離Xが内部の曲率半径Rの2倍より大きく形成され、第1離隔距離Xが短く形成される本発明のかみそりの刃は、第1離隔距離Xが内部の曲率半径Rの2倍より小さく形成されることが分かる。これにより、第1離隔距離Xが内部の曲率半径の2倍より小さく形成される場合、第1離隔距離Xは大体において短く形成されることが分かる。
【0074】
【表3】
【0075】
一方、前述した前記第1離隔距離Xと別途に、本発明では基底部230の他端で前後方向に沿って延長された直線とカッティングエッジ211の端点との離隔距離(高さ)を第2離隔距離Yと定義する。前記第2離隔距離Yは概ね2.3mmないし2.7mm(2.3mm≦Y≦2.7mm)で形成され得る。
【0076】
前述した通り、前記第1離隔距離Xのサイズだけでも薄いかみそりの刃の剛性を十分に維持する条件を記述することも可能であるが、一体で形成されたエッジ部210、折曲部220及び基底部230全体の剛性を共に考慮するためには追加的な考慮が必要である。これにより、本発明では前記第1離隔距離Xとは別途に第2離隔距離Yを考慮し、両者比率(X/Y)に基づいたパラメータを導入しようとする。すなわち、第1離隔距離Xと第2離隔距離が比例的に大きくなるかり小さくなる場合、すなわち、幾何学的比例を満足する場合は同一の離隔距離比率(X/Y)を有する。ここで、離隔距離比率(X/Y)は、基底部230の他端から前後方向に沿って延長された直線とカッティングエッジ211の端点との第2離隔距離Yに対する第1離隔距離Xの比率を意味する。すなわち、離隔距離比率(X/Y)は第1離隔距離Xを第2離隔距離Yで割る値を意味する。
【0077】
かみそりの刃200は離隔距離比率(X/Y)が0.15≦X/Y≦0.4となる。特に、離隔距離比率(X/Y)は約0.3になることが好ましい。このような離隔距離比率(X/Y)が下限0.15より小さい場合、第2離隔距離Yに比べて第1離隔距離Xが過度に小さいため、エッジ部210のカッティングエッジ211の基本的な機能を果たしにくくなる。また、離隔距離比率が上限0.4より大きい場合、薄いかみそりの刃としての十分な剛性が得られにくくなる。
【0078】
かみそりの刃200の第2離隔距離Yで第1離隔距離Xを割った値が前記範囲内で形成される場合、エッジ部210と基底部230との間の角度Aが90度ないし120度の範囲内であるとき、かみそりの刃は比例的幾何の観点からも第1離隔距離Xが十分に短く形成され得る。
【0079】
従来のかみそりの刃及び本発明のかみそりの刃の第1離隔距離Xと第2離隔距離Yとの比率を比較して説明する。表4は従来のかみそりの刃と本発明のかみそりの刃の幾何学的な特性の一部を示す表である。
【0080】
次の表4を参照すると、第1離隔距離Xが長く形成される従来のかみそりの刃は第2離隔距離Yに対する第1離隔距離Xの比率(X/Y)が0.4より大きく形成され、第1離隔距離Xが短く形成される本発明のかみそりの刃は第2離隔距離Yに対する第1離隔距離Xの比率(X/Y)が0.15ないし0.4の間に形成される。これにより、第2離隔距離Yに対する第1離隔距離Xの比率(X/Y)が0.15ないし0.4の間に形成される場合、第1離隔距離Xは大体において短く形成されることが分かる。
【0081】
【表4】
【0082】
カッティングエッジ211及び基底部230の他端を連結する直線と基底部230が形成する角度をa(図示せず)とする場合、かみそりの刃の第2離隔距離Xに対する第1離隔距離Xの比率(離隔距離比率)はtan(a)に置換され得る。これにより、aが小さくなるほどかみそりの刃200の剛度は大きくなり、aが大きくなるほどかみそりの刃200の剛度は小さくなる。これにより、aをかみそりの刃の剛度を測定する媒介変数として利用することができる。
【0083】
また、前述した通り、第1離隔距離Xのサイズだけでもカッティングエッジ211の剛性を十分に維持する条件を記述することが可能であるが、かみそりの刃の厚さtもかみそりの刃の剛度に大きい影響を及ぼす。すなわち、かみそりの刃のエッジ部210と折曲部220まで続く部分を片持ち梁とすると、その長さが一定であっても厚さが厚くなると、外力に対する片持ち梁の変形が減り、厚さが薄くなると、外力による片持ち梁の変形が大きくなる。これにより、本発明では第1離隔距離Xとは別途にかみそりの刃の厚さtを考慮し、両者の比率(X/t)に基づいたパラメータを導入する。すなわち、第1離隔距離Xとかみそりの刃の厚さtが比例的に大きくなるか小さくなる場合、すなわち、幾何学的比例を満足する場合は同じ比率(X/t)を有する。
【0084】
本発明による一実施形態でかみそりの刃の厚さtは0.05mmないし0.1mmで形成される。ここで、かみそりの刃の厚さtとは、カッティングエッジ211を除いたエッジ部210の厚さ、折曲部220の厚さ及び基底部230の厚さの平均を意味する。特に、かみそりの刃の厚さtは0.07mmないし0.08mmで形成されることが好ましい。
【0085】
これにより、かみそりの刃200はかみそりの刃の厚さtに対する第1離隔距離Xの比率は4ないし10(4≦X/t≦10)で形成される。すなわち、第1離隔距離Xをかみそりの刃の厚さtで割った値が4ないし10になる。特に、かみそりの刃200はかみそりの刃の厚さtに対する第1離隔距離Xの比率が9ないし9.5(9≦X/t≦9.5)になることが好ましい。
【0086】
このような、前記比率(X/t)も下限4より小さい場合は、第1離隔距離Xに比べてかみそりの刃の平均厚さtが過度に大きいため、エッジ部210のカッティングエッジの基本的な機能を果たしにくく、上限10より大きい場合は、第1離隔距離Xが過度に大きいか、かみそりの刃の平均厚さtが過度に薄いため、かみそりの刃としての十分な剛性が得られにくくなる。
【0087】
従来のかみそりの刃及び本発明のかみそりの刃のかみそりの刃の厚さに対する第1離隔距離の比率を比較して説明する。表5は従来のかみそりの刃と本発明のかみそりの刃の幾何学的な特性の一部を示す表である。
【0088】
次の表5を参照すると、第1離隔距離Xが長く形成される従来のかみそりの刃は、かみそりの刃の厚さtに対する第1離隔距離Xの比率(X/t)が10より大きく形成され、第1離隔距離Xが短く形成される本発明のかみそりの刃は、かみそりの刃の厚さtに対する第1離隔距離Xの比率(X/t)が4ないし10の間に形成される。これにより、かみそりの刃の厚さtに対する第1離隔距離Xの比率(X/t)が4ないし10の間に形成される場合、第1離隔距離Xは大体において短く形成されることが分かる。
【0089】
【表5】
【0090】
また、かみそりの刃の前後方向のサイズDは、基底部の後面から縦方向に沿って延長された直線とカッティングエッジ211の端点との離隔距離を意味する。すなわち、かみそりの刃の前後方向のサイズDは第1離隔距離Xとかみそりの刃の厚さtの合計を意味し、好ましくはかみそりの刃200の厚さtではない基底部230の厚さとなる。
【0091】
かみそりの刃の前後方向のサイズDは0.35mmないし1.2mm(0.35mm≦D≦1.2mm)で形成される。特に、かみそりの刃のX軸方向のサイズDは0.75mmないし0.8mm(0.75mm≦D≦0.8mm)で形成されることが好ましい。前述したように、前記比率(X/t)が一定のa値を有する場合、かみそりの刃の前後方向のサイズDは、D=X+t=X+(X/a)=(1+a)*X/aの式で示し、かみそりの刃の前後方向のサイズDは第1離隔距離Xに比例する。
【0092】
また、本発明の一実施形態によるかみそりの刃200は、かみそりの刃200の幅方向(Z軸方向)を基準に中間の部分が両側より突出するように形成される。すなわち、かみそりの刃200はかみそり方向に凸形のアーチ型構造で成される。これにより、カッティングエッジ211もかみそりの刃200の幅方向を基準に中間の部分が両側よりかみそり方向に突出して形成される。
【0093】
また、かみそりの刃200がかみそり方向に凸形のアーチ型構造を成すことによって、折曲部220の厚さもかみそりの刃200の幅方向(Z軸方向)を基準に中間の部分が両側の端より薄く形成され得、折曲部220の内部の曲率半径Rはかみそりの刃200の幅方向(Z軸方向)を基準に中間の部分が両側の端より大きく形成され得る。また、エッジ部210と基底部230との間の角度はかみそりの刃の幅方向(Z軸方向)を基準に中間の部分が両側の端より大きく形成され得る。
【0094】
表6はかみそりの刃200がかみそり方向に凸形のアーチ型構造を形成される場合、折曲部220の内部の曲率半径Rがかみそりの刃の幅方向(Z軸方向)を基準に変わることを示す表である。したがって、かみそりの刃がかみそり方向に凸形のアーチ型構造で形成される場合、折曲部220の内部の曲率半径Rはかみそりの刃の幅方向を基準に中間の部分が両側の端より大きく形成されることが分かる。
【0095】
【表6】
【0096】
かみそりの刃200がかみそり方向に凸形のアーチ型構造を成すことによって、かみそりの際にかみそりの刃200のカッティングエッジ211に加えられる力(F)がかみそりの刃の幅方向に分散され得る。これにより、かみそりの刃200の厚さが小さくなっても、かみそりの刃200の剛度を維持できるため、かみそりの刃200が簡単に変形されることを防止することができる。また、かみそりの刃200の突出程度を適切に調節する場合、ユーザの使いやすさ及び/またはかみそりの刃のカッティングの性能を向上することができる。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明したが、本発明は前述した特定の実施形態に限定されない。例えば、ハウジング100に設置されるかみそりの刃200の枚数は特に実施形態により限定されず、3枚ないし10枚の範囲内で多様な数でハウジング100に配置することができる。また、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から外れることなく、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であることは勿論、このような変形実施は本発明の技術的な思想や展望から個別的に理解されてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7