特許第6239139号(P6239139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239139
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】新規化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20171120BHJP
   C07D 471/14 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20171120BHJP
   C07D 239/48 20060101ALN20171120BHJP
   C07D 487/04 20060101ALN20171120BHJP
   C07D 495/04 20060101ALN20171120BHJP
   A61K 31/519 20060101ALN20171120BHJP
   A61K 31/53 20060101ALN20171120BHJP
   A61K 31/505 20060101ALN20171120BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 37/02 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 37/06 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 19/02 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 35/02 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 11/06 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 37/08 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 5/00 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 1/04 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 11/02 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 11/00 20060101ALN20171120BHJP
   A61P 27/14 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
   C07D471/04 104Z
   C07D471/04CSP
   C07D471/14 102
   A61K31/437
   A61P43/00 111
   A61P25/00 101
   A61P29/00
   A61P17/06
   A61P17/04
   A61P17/00
   A61P43/00 171
   !C07D239/48
   !C07D487/04 144
   !C07D487/04 143
   !C07D487/04 140
   !C07D495/04 105Z
   !C07D495/04 105A
   !A61K31/519
   !A61K31/53
   !A61K31/505
   !A61K31/5025
   !A61P37/02
   !A61P37/06
   !A61P19/02
   !A61P3/10
   !A61P35/00
   !A61P35/02
   !A61P11/06
   !A61P37/08
   !A61P5/00
   !A61P1/04
   !A61P25/28
   !A61P11/02
   !A61P11/00
   !A61P27/14
【請求項の数】10
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-554336(P2016-554336)
(86)(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公表番号】特表2017-506656(P2017-506656A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】EP2015056430
(87)【国際公開番号】WO2015144773
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年8月26日
(31)【優先権主張番号】14162391.8
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515115459
【氏名又は名称】ノバルティス ティーアゲズントハイト アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】ノエル・ゴヴリー
(72)【発明者】
【氏名】シュエブ・タータウィ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・フュレ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・デュクレイ
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−517220(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/007765(WO,A1)
【文献】 特表2008−545660(JP,A)
【文献】 特表2008−525463(JP,A)
【文献】 特表2009−501130(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/024895(WO,A1)
【文献】 特表2013−514356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00−521/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】
の化合物
(式中Rは、C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルであり、かつAは、式2a
【化2】
からなる
(式中Yは、NH、N(C〜C−アルキル)またはOからなる群から選択され、かつRは、シアノ(CN)、ニトロ(NO)、C(O)NR’R’’、C(O)OR’またはNR’R’’からなる群から選択され、かつR’およびR’’は、独立にHまたはC〜C−アルキルからなる群から選択されるか、あるいは
YおよびRは、共に
【化3】
を形成する(式中Rは、H、C〜C−アルキル、ヒドロキシ−C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルまたはNHからなる群から選択される)))。
【請求項2】
式1
【化4】
の化合物
(式中Rは、C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルであり、かつAは、式2a
【化5】
からなる
(式中Yは、NH、N(C〜C−アルキル)またはOからなる群から選択され、かつRは、シアノ(CN)、ニトロ(NO)、C(O)NR’R’’、C(O)OR’またはNR’R’’からなる群から選択され、かつR’およびR’’は、独立にHまたはC〜C−アルキルからなる群から選択されるか、あるいは
YおよびRは、共に
【化6】
を形成する(式中Rは、H、C〜C−アルキル、ヒドロキシ−C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルまたはNHからなる群から選択される)))、またはその獣医学的に許容可能な塩。
【請求項3】
式1
【化7】
の化合物
(式中Rは、C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルであり、かつAは、式2a
【化8】
からなる
(式中Yは、NH、N(C〜C−アルキル)またはOからなる群から選択され、かつRは、シアノ(CN)、ニトロ(NO)、C(O)NR’R’’、C(O)OR’またはNR’R’’からなる群から選択され、かつR’およびR’’は、独立にHまたはC〜C−アルキルからなる群から選択される))。
【請求項4】
式1
【化9】
の化合物
(式中Rは、C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルであり、かつAは、式2a
【化10】
からなる
(式中Yは、NH、N(C〜C−アルキル)またはOからなる群から選択され、かつRは、シアノ(CN)、ニトロ(NO)、C(O)NR’R’’、C(O)OR’またはNR’R’’からなる群から選択され、かつR’およびR’’は、独立にHまたはC〜C−アルキルからなる群から選択される))、またはその獣医学的に許容可能な塩。
【請求項5】
式1
【化11】
の化合物
(式中Rは、C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルであり、かつAは、式2a’
【化12】
からなる
(式中Rは、H、C〜C−アルキル、ヒドロキシ−C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルまたはNHからなる群から選択される))。
【請求項6】
式1
【化13】
の化合物
(式中Rは、C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルであり、かつAは、式2a’
【化14】
からなる
(式中Rは、H、C〜C−アルキル、ヒドロキシ−C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルまたはNHからなる群から選択される))、またはその獣医学的に許容可能な塩。
【請求項7】
1−[trans−4−((2−アミノ)イミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジン−1(6H)−イル)シクロヘキシル]−N−メチルメタンスルホンアミドであり
【化15】
として構造的に表現され得る化合物。
【請求項8】
1−[trans−4−((2−アミノ)イミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジン−1(6H)−イル)シクロヘキシル]−N−メチルメタンスルホンアミドであり
【化16】
として構造的に表現され得る化合物、またはその獣医学的に許容可能な塩。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその獣医学的に許容可能な塩、および獣医学的に許容可能な担体を含む、イヌにおけるアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒および他の掻痒状態またはアレルギー性皮膚炎の治療のための医薬組成物
【請求項10】
イヌにおけるアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒および他の掻痒状態またはアレルギー性皮膚炎の治療のための薬物の製造における請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、JAK阻害剤の別名でも知られる、ヤヌスキナーゼ阻害剤である新規のヘテロシクリル置換されたシクロヘキシルメタンスルホンアミド、ならびにアレルギー性皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、掻痒および他の掻痒状態ならびに炎症性疾患も含めたアレルギー反応の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オクラシチニブ、ピロロピリミジンアミノシクロヘキシルメタンスルホンアミドは、イヌにおけるアレルギー性皮膚炎に関連した掻痒のコントロールおよびアトピー性皮膚炎のコントロール用に認可されたJAK阻害剤である。しかしながら、新規の、より効力のあるJAK阻害剤分子の研究が続いている。驚いたことに、皮膚疾患、具体的にはアトピー性皮膚炎および掻痒に関して改善された活性を提供する新規の特異的なJAK阻害剤が発見されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって本発明は、一態様において式
【化1】
の化合物に関する
(式中Rは、C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルであり、かつAは、
(i)式
【化2】
の基
(式中Yは、NH、N(C〜C−アルキル)またはOのいずれかであり、Rは、シアノ(CN)、ニトロ(NO)C(O)NR’R’’、C(O)OR’またはNR’R’’であり、かつR’およびR’’は、独立にそれぞれ他のHまたはC〜C−アルキルであるか、あるいは
YおよびRは、共に二価の基
【化3】
を形成する(式中Rは、H、C〜C−アルキル、ヒドロキシ−C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルまたはNHでありかつ好ましくはH、C〜C−アルキルまたはNHである))、
または(ii)式
【化4】
の基
(式中Xは、N、C(CN)、C(NO)、C[C(O)NR’R’’]、C[C(O)OR’]またはC(NR’R’’)であり、かつY、R’およびR’’は、上記で定義された通りである)、
または(iii)式
【化5】
の基
(式中XおよびXのうちの1つは、Nでありかつもう一方は、C(R)であり、Rは、H、C〜C−アルキル、フェニルまたはベンジルであり、かつYは、上記で定義された通りである)、
または(iv)式
【化6】
の基
(式中XがNでありかつXがCHまたはNであるか、あるいはXがC(CN)、C(NO)、C[C(O)NR’R’’]、C[C(O)OR’]またはC(NR’R’’)でありかつXがNであり、かつY、R’およびR’’は、上記で定義された通りである)、
または(v)式
【化7】
の基である
(式中RおよびRは、独立にそれぞれ他のH、ハロゲン、C〜C−アルキルまたはフェニルであり、かつYは、上記で定義された通りである))。
【0004】
可変のRは、好ましくはメチル、エチルまたはシクロブチル、特にメチルである。
【0005】
ヒドロキシル−C〜C−アルキルとしてのRは、好ましくはヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチル、特にヒドロキシメチルである。C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルとしてのRは、好ましくはメトキシメチルまたはエトキシメチル、特にメトキシメチルである。可変のRは、好ましくはH、メチルヒドロキシメチル、メトキシメチルまたはNH、より好ましくはH、メチルまたはNH、特にHである。R’およびR’’は、独立にそれぞれ他の好ましいH、メチルまたはエチルである。Rは、好ましくはシアノまたはニトロである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の一実施形態は、RおよびYが定義された通りの意味を有する、式(2a)の基Aに関する。好ましい基Aは、Rが、シアノまたはニトロかつYが、NH、N(CH)またはO、好ましくはNHまたはN(CH)、特にN(CH)である、式(2a)のものである。
【0007】
いっそうのさらなる好ましい基Aは、式
【化8】
の基である。
【0008】
好ましい式(2b)の基は、基
【化9】
である
(式中Yは、いずれの場合にもO、NHまたはN(CH)、特にN(CH)、またはO、特にN(CH)である)。
【0009】
本発明のさらなる実施形態は、XがCHかつXがNである、式(2c)の基Aに関する。いっそうのさらなる実施形態は、XがN、XがC(R)かつRがH、C〜C−アルキル、フェニルまたはベンジル、好ましくはH、メチル、フェニルまたはベンジルである式(2c)の基Aに関する。
【0010】
好ましい式(2d)の基は、
【化10】
である
(式中Yは、いずれの場合にもNHまたはN(CH)である)。
【0011】
さらなる実施形態は、RおよびRのうちの1つが、Hでありかつもう一方が、H、ハロゲン、またはフェニルであり、かつYが、NHまたはN(CH)である、式(2e)の基Aに関する。
【0012】
本発明の化合物は、1種または複数の立体異性体として存在しうる。種々の立体異性体には、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体および幾何異性体が含まれる。
【0013】
式(I)の化合物がキラル炭素原子を有する場合、それらは(R)または(S)配置のいずれかを有し得る。本発明は、特定のキラル炭素原子において(S)および(R)配置の両方を有する化合物式(I)を包含し、これは本発明が、当該の炭素原子がそれぞれ独立に(R)配置を有する、または(S)配置を有する一般式(I)の化合物を対象として含むことを意味する。
【0014】
複数のキラル中心が式(I)の化合物中に存在する場合はキラル中心の配置の任意の所望の組み合わせが可能であり、これは(1)1つのキラル中心が(R)配置を有していてよくかつもう一方のキラル中心が(S)配置、(2)1つのキラル中心が(R)配置を有していてよくかつもう一方のキラル中心が(R)配置、ならびに(3)1つのキラル中心が(S)配置を有していてよくかつもう一方のキラル中心が(S)配置であることを意味する。
【0015】
1つの立体異性体は、もう一方の立体異性体と比較して豊富な場合またはもう一方の立体異性体から切り離された場合により活性かつ/あるいは有益な効果を示し得ることは、当業者なら理解するであろう。加えて、当業者は、前記立体異性体を分離、濃縮、および/または選択的に調製する方法を知っている。本発明の化合物は、立体異性体の混合物、個々の立体異性体、または光学的に活性の形態として存在し得る。
【0016】
当業者なら、窒素はオキシドへの酸化のために利用可能な孤立電子対を必要とするので全ての窒素を含有する複素環がN−オキシドを形成し得るわけではないことを理解し、当業者はN−オキシドを形成し得るそれらの窒素を含有する複素環を認識するであろう。当業者は、第三級アミンがN−オキシドを形成し得ることも認識するであろう。過酢酸およびm−クロロ過安息香酸(MCPBA)などの過酸、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、ならびにジメチルジオキシランなどのジオキシランでの複素環および第三級アミンの酸化を含めた複素環および第三級アミンのN−オキシドの調製のための合成法は、当業者に非常に良く知られている。N−オキシドの調製のためのこれらの方法は、文献に広範に記述されかつ精査されている。適したS−オキシドの製造は、例えば、N−オキシドのための上述の通りの酸化剤と同じ種類を用いて、類似したやり方で実行され得る。
【0017】
当業者は、環境および生理学的条件下で化学化合物の塩はそれらの対応する非塩形態と平衡状態にあるので、塩が非塩形態の生物学的有用性を共有することを認識する。したがって式(I)の化合物の多様な種類の塩が有用である(すなわち獣医学的に適する)。式(I)の化合物の塩には、臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸または吉草酸などの無機または有機酸との酸付加塩が含まれる。式(I)の化合物が、カルボン酸またはフェノールなどの酸性の部分を含有する場合、塩は、ピリジン、トリエチルアミンまたはアンモニアなどの有機または無機塩基、あるいはナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムのアミド、水素化物、水酸化物または炭酸塩と共に形成されたものも含まれる。したがって、本発明は、式(I)、N−オキシドおよび獣医学的に許容可能なその塩から選択される化合物を含む。本発明の化合物は、分子内塩も形成し得る。
【0018】
本発明は、in vivoで本発明の化合物に転換する本発明の化合物のプロドラッグも提供する。プロドラッグは、対象へのプロドラッグの投与後に本発明の化合物に、加水分解、代謝および同類のものなどの、in vivoでの生理学的作用を通して化学的に変性される活性または不活性の化合物である。例示的なプロドラッグは、例えば、アシルが本明細書において定義された通りの意味を有する、遊離カルボン酸のエステルならびにチオール、アルコールまたはフェノールのS−アシルおよびO−アシル誘導体である。好ましいものは、生理学的条件下の加溶媒分解によって親カルボン酸に転換可能な獣医学または薬学的に許容可能なエステル誘導体、例えば、低級アルキルエステル、シクロアルキルエステル、低級アルケニルエステル、ベンジルエステル、モノ−またはジ−置換された低級アルキルエステル、例えばω−(アミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル)−低級アルキルエステル、α−(低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニルまたはジ−低級アルキルアミノカルボニル)−低級アルキルエステル、例えばピバロイルオキシメチルエステルおよび当技術分野において慣例的に使用される同類のものである。加えて、アミンは、in vivoでエステラーゼによって開裂され遊離薬剤およびホルムアルデヒドを放出するアリールカルボニルオキシメチル置換誘導体としてマスクされている。さらに、イミダゾール、イミド、インドールおよび同類のものなどの、酸性のNH基を含有する薬剤は、N−アシルオキシメチル基でマスクされている。ヒドロキシ基は、エステルおよびエーテルとしてマスクされている。欧州特許第0039051号は、マンニッヒ塩基ヒドロキサム酸プロドラッグ、それらの調製および使用を開示している。化合物、それらの塩の形態の化合物およびプロドラッグの間の密接な関係を考慮して、本発明の化合物へのいかなる参照も、適切かつ好都合な場合、本発明の化合物の対応するプロドラッグも指すと理解される。
【0019】
式(I)の化合物は、例えば、式
A’−Hal (3)
の化合物を式
【化11】
の化合物と反応させることによって、調製され得る
(式中YおよびRは、上記で定義された通りであり、Halは、ハロゲン、例えば、塩素であり、かつA’は、式
【化12】
の基である
(式中R、R、R、X、X、XおよびXは、上記で定義された通りである))。求核置換反応は、例えば、有機化学の教科書に記載のように実行してよい。例えば、式(3)および(4)の化合物は、塩基の存在下で適した溶媒または溶媒の混合物中で反応させる。溶媒および塩基の選択は、式(3)および(4)の化合物の特有の性質に強く依存する。反応は、室温または、例えば、100℃を超える高温で起こり得る。NH基を有する基A’を含む式(3)の化合物の場合、式(4)の化合物との反応を実行する前に前記アミン基を保護することが得策で有り得る。アミン基の保護および後の脱保護は、それ自体が周知であるやり方で実行してよい。
【0020】
あるいは式(3)および(4)の化合物は、有機化学の教科書に記載のようにブッフバルト−ハートウィッグPd触媒によるアミノ化によって結合してよい。
【0021】
式(3)の化合物は、それ自体が周知であるかまたはそれ自体が周知である方法に従って調製され得る。
【0022】
式(4)の化合物は、同様に周知であるか、またはそれ自体が周知である方法に従って調製され得る。例えば、式
【化13】
の化合物のHY基は、
(式中Yは、上記で定義された通りである)

【化14】
の対応するアルコールを与えるためにカルボキシル基を還元する前にそれ自体が周知であるやり方で最初に保護される
(式中PGは、保護基でありかつYは、上記で定義された通りである)。式(6)のアルコールは、次いで式(7)
【化15】
の対応する化合物に転換され
(式中LGは、脱離基、例えば、塩素、臭素、メシラートまたはトシラートである)、これが今度は亜硫酸ナトリウムまたはチオ酢酸ナトリウムその後に過酸化水素酸化を用いて式(8)
【化16】
の対応するスルホン酸に転換される。
【0023】
式(8)の化合物は、例えば塩化チオニルとの反応によって、対応するメタンスルホン酸ハロゲン化物に転換された後、式
N−R (9)
のアミンと反応し
(式中Rは、上記で定義された通りである)、保護された形態の式(4)の化合物を与え、これは最終的に脱保護される。式(5)の化合物から式(4)の化合物への上記の略述したステップは、全て有機化学の教科書に開示されている通りに実行してよいよく知られている反応である。実施例は、反応をさらに例示する。
【0024】
別の方法では、式(1)の化合物は、国際公開第2010/020905号、14ページのスキームIIに類似して合成してよい。
【0025】
加えて、Aが式
【化17】
の基である、式(1)の化合物
(式中Rは、上記で定義された通りである)は、
アミンの脱保護後、式
【化18】
の化合物(式中RおよびRは、上記で開示された通りである)を与えるために、上記で述べた通りのプロセスによって、それ自体が周知であるやり方で、例えばH/ラネーニッケルで触媒的に、式(1a)の化合物のニトロ基を還元すること、および得られるジアミンを酸ハロゲン化物R−C(O)Halまたはトリアルキルオルト−エステル(AlkO)−C−R(式中Halは、BrまたはCl、Alkは、例えば、エチルかつRは、上記で開示された通りである)と反応させることによって、まず第一に式
【化19】
(式中PGは、保護基である)の化合物を調製することによって取得してよい。
【0026】
本発明の化合物は、例えば、ヤヌスキナーゼ−1(JAK−I)、ヤヌスキナーゼ−2(JAK−2)、ヤヌスキナーゼ−3(JAK−3)およびチロシンキナーゼ−2キナーゼ(TYK−2)、特にJAK−IまたはJAK−3に対する、有効性を有するヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK−i)である。したがって、それらは、臓器移植、狼瘡、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、乾癬、1型糖尿病および糖尿病からの合併症、がん、喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫性甲状腺障害、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、アルツハイマー病、白血病、変形性関節炎、掻痒のコントロール、慢性呼吸器疾患、角結膜炎ならびに免疫抑制/免疫調節が望ましいであろう他の徴候のための療法剤として有用である。
【0027】
具体的には本発明の化合物は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒および他の掻痒状態を含めた皮膚疾患、状態または障害、ウマにおける咬傷過敏症、夏癬および皮膚掻痒(sweet itch)などのウマアレルギー性疾患を含めた哺乳動物におけるアレルギー性皮膚炎を含めたアレルギー反応をコントロールするための安全かつ有効な薬剤であることが判明している。
【0028】
本発明の化合物は、JAK−IおよびJAK−3に対する有効性を有するJAK阻害剤であるので、それらは、蚤アレルギー性皮膚炎における蚤などの、アレルゲンまたは原因物質の除去後にアトピー性皮膚炎に根強く残るまたはゆっくり退縮するであろう慢性の掻痒および炎症の解決を提供する。
【0029】
本発明の化合物は、薬学的に許容可能な形態で単独であるいは哺乳類の免疫システムを調節する1種もしくは複数の追加の薬剤または抗炎症剤と組み合わせて投与してよい。例は、シクロスポリンA、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、および抗炎症ステロイド(例えばプレドニゾロンまたはデキサメタゾン)である。これらの薬剤は、同一または別個の剤形の一部として、同一または異なる投与の経路を介して、かつ当業者に周知の標準的な医薬品の慣習に従って同一または異なる投与計画で投与してよい。
【0030】
一実施形態において、本発明は、本明細書に述べる有効量の1種または複数の化合物を対象に投与することを含む、ヒトまたは非ヒト哺乳動物などの、対象におけるJAKに関連した疾患、状態または障害を治療または予防する方法を提供する。JAKに関連した疾患、状態または障害は、JAK−I、JAK−2、JAK−3、および/またはTYK−2に関係し得る。治療され得る適した対象には、家庭内または野生の動物、イヌ、ネコ、ウマおよび同類のものなどの、コンパニオン動物、ウシおよび他の反芻動物、ブタ、家禽、ウサギおよび同類のものを含めた、家畜、霊長類、例えばサル、ならびにラット、マウス、アレチネズミ、モルモットおよび同類のものなどの、齧歯類が含まれる。一実施形態において、化合物は、薬学的に許容可能な形態で、場合によっては薬学的に許容可能な担体において投与される。
【0031】
別の実施形態は、JAK酵素を非治療量または治療的有効量いずれかの本化合物のうちの1種または複数と接触させることを含む、JAK−I、JAK−2、JAK−3および/またはTyk−2を含めた、JAK酵素を阻害する方法を提供する。こうした方法は、in vivoまたはin vitroで生じ得る。In vitroでの接触は、種々の量または濃度における選択された酵素に対する1種または複数の化合物の有効性を判定するためのスクリーニングアッセイを伴ってよい。In vivoでの治療的有効量の1種または複数の化合物との接触は、記述された疾患、障害または状態の治療あるいはその中で接触が生じる動物における臓器移植拒否反応の予防を伴ってよい。JAK酵素および/または宿主動物への1種または複数の化合物の効果も、判定または測定してよい。JAK活性を判定するための方法は、下記の実施例の部分に示される。
【0032】
哺乳動物(すなわちヒトおよび動物)における障害を治療するための治療用途において、本発明の化合物またはその医薬組成物は、経口的に、非経口的に、局所的に、直腸に、経粘膜的に、または腸内に投与してよい。非経口投与には、全身効果を発生する間接注入または罹患領域への直接注入が含まれる。局所投与には、局所適用によって容易に接触可能な皮膚または臓器、例えば、眼球または耳の治療が含まれる。局所投与には、全身効果を発生するための経皮的送達も含まれる。直腸投与には、坐剤の形態が含まれる。投与の好ましい経路は、経口および非経口である。
【0033】
本発明の医薬組成物は、当技術分野において良く知られているプロセスによって、例えば、従来型の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠形成、研和、乳化、カプセル化、封入、凍結乾燥プロセスまたは噴霧乾燥の手段によって製造してよい。本発明に従う使用のための医薬組成物は、薬学的に使用してよい、活性化合物を調剤品への加工を容易にする、賦形剤および助剤を含む1種または複数の薬学的に許容可能な担体を用いて従来型のやり方で調剤してよい。適切な製剤は、選択された投与の経路に依存する。薬学的に許容可能な賦形剤および担体は、一般に当業者に既知でありかつしたがって本発明に含まれる。
【0034】
本発明の製剤は、短時間作用型、速放性、長時間作用型、および持続性放出であるように設計してよい。したがって、医薬品製剤は、制御放出または徐放性のためも調剤してよい。
【0035】
本発明における使用に適した医薬組成物には、活性要素が意図される目的、すなわち、障害または疾患のコントロールまたは治療を達成するのに十分な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療的有効量は、疾患の症状/症候を予防する、緩和するまたは改善するあるいは治療されている対象の生存を延ばすために効果的な化合物の量を意味する。
【0036】
医薬組成物およびその単位剤形における、本発明の化合物である、活性成分の分量は、投与のやり方、特定の化合物の効力および所望の濃度に広く依存して変更または調整してよい。治療的有効量の決定は、当業者なら十分に行うことができる。一般には、活性成分の分量は、組成物の0.01重量%から99重量%の間の範囲であろう。
【0037】
一般には、活性成分の投薬量の治療的有効量は、約0.01から約100mg/体重のkg/日、好ましくは約0.1から約10mg/体重のkg/日、より好ましくは約0.3から3mg/体重のkg/日、さらにより好ましくは約0.3から1.5mg/体重のkg/日の範囲であろう。投薬量は、それぞれの対象の要求条件および治療されている障害または疾患の深刻度に依存して変化し得ることを理解すべきである。所望の用量は、単回用量でまたは適切な間隔で投与される分割用量として、例えば、1日当たり2回、3回、4回、もしくはそれ以上の副用量(sub−doses)として好都合に表わしてよい。副用量自体は、吸入器からの複数の吸入または眼球への複数の滴の適用によるなど、例えば、いくつかの不連続な疎に間隔をあけた投与に、さらに分割してよい。同様に、投与される初期投薬量は、所望の血漿濃度を急速に達成するために上記の上位レベルを超えて増加してよいことを理解すべきである。一方で、初期投薬量は、最適量より少なくてもよくかつ1日の投薬量は、特定の状況に依存して治療の過程の間に漸次増加してもよい。必要に応じて、1日の用量を、投与のための複数の用量、例えば、1日当たり2から4回に分割してもよい。
【0038】
実施例は、本発明をさらに例示する。
【実施例】
【0039】
実施例1
本実施例は、1−[trans−4−(イミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジン−1(6H)−イル)シクロヘキシル]−N−メチルメタンスルホンアミド(表1の化合物22)の調製を例示する。
【0040】
ステップA:trans−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチル(0.19g)、アセトニトリル(3ml)およびKCO(0.407g)を、磁気撹拌機および加熱浴を備えた丸底フラスコ内に置いた。臭化ベンジル(0.29ml)を加えて反応混合物を25から30℃で3時間勢いよく撹拌した。TLC(DCM/MeOH 8:1)は、出発原料の完全転換およびモノベンジル化アミンの存在を示した。無機沈殿物をろ過した。ろ液を蒸発させた。残留物を、シリカゲルのクロマトグラフィー(DCM/ヘキサン 1:1からDCM/MeOH 10:1)によって精製しtrans−4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチルを白色針晶として与えた(0.33g)。
【0041】
ステップB:trans−4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル(0.22g)を、無水THF(2.2ml)に溶解して0℃に冷却した。水素化リチウムアルミニウム(0.125g)を、約15分かけて少量ずつ加えた。発泡が止まったときにバッチ温度をゆっくり上昇させて反応を加速した(発熱)。30分後TLC(DCM)用に標本抽出し出発原料は検出されなかった。反応混合物を、水および10%のNaOHでクエンチした。相を分離した。水性を、メチルt−ブチルエーテルで抽出した。組み合わせた有機相を、塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ真空中で濃縮して[trans−4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル]メタノールを、静置すると凝固する無色油として与えた(0.20g)。得られた粗製生成物を、さらなる精製をせずに用いた。
【0042】
ステップC:[trans−4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル]メタノール(7.74g)およびトリフェニルホスフィン(9.84g)を、無水THF(60ml)に溶解した。テトラブロモメタン(12.44g)を、THF(17.5ml)に溶解して滴下で反応混合物に加えた。フラスコを、発熱のために水(約10℃)で冷却した。沈殿物が出現した。1時間後TLC(DCM100%)用に標本抽出しこれは反応の完了を示した。溶媒を蒸発させて残留物をシリカゲルのクロマトグラフィー(DCM100%)によって精製した。生成物を含有する画分を、組み合わせて蒸発させた。固体残留物を、ヘキサン(30ml)で取り2から4℃に冷却した。沈殿物を、ろ過し、冷ヘキサンですすぎ真空下で乾燥してN,N−ジベンジル−trans−4−(ブロモメチル)シクロヘキサンアミンを白色固体として与えた(9.2g)。
【0043】
ステップD:N,N−ジベンジル−trans−4−(ブロモメチル)シクロヘキサンアミン(5.0g)を、イソプロピルアルコール(10ml)中に懸濁させた。NaSO(2.2g)およびKI(触媒)を、水(20ml)に溶解して加圧反応器内のN,N−ジベンジル−4−(ブロモメチル)シクロヘキサンアミンの懸濁液に加えた。これを密封して十分な撹拌と共に130℃に加熱した。反応進行を、TLC(DCM100%)によってコントロールした。反応が完了したことが分かったとき、溶媒を蒸発させてトルエンとの共沸蒸留によって乾燥させ[trans−4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル]メタンスルホン酸を与えた。得られた粗製生成物を、さらなる精製をせずに用いた。
【0044】
ステップE:粗製の[trans−4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル]メタンスルホン酸(4.5g)を、クロロホルム(75ml)中に懸濁させて氷浴中で冷却した。塩化チオニル(19.4ml)を、滴下で加えた。反応混合物を、室温で20分間撹拌し次いで65℃に加熱して65℃で一晩撹拌した。溶媒および過剰の塩化チオニルを蒸発させて塩化[trans−4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル]メタンスルホニルを与えた。得られた粗製生成物を、さらなる精製をせずに用いた。
【0045】
ステップF:粗製の塩化[trans−4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル]メタンスルホニル(約11.5mmol)を、無水THF(45ml)中に懸濁させて0℃に冷却した。トリエチルアミン(2.4ml)その後メチルアミン(THF中2M、11.5ml)を加えた。反応混合物を、0℃で1時間撹拌し、室温に温めて室温で1時間保持した。溶媒を蒸発させて残留物をEtOAc(100ml)で取りNaHCO(飽和)で洗った。水性相を、EtOAc(50ml)で逆洗した。組み合わせた有機相を、水および塩水(それぞれ50ml)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させて真空中で濃縮した。粗製材料を、シリカゲルのクロマトグラフィー(DCM/MeOH 8:1)で精製した。生成物を含有する画分を組み合わせ、真空中で濃縮してDCM/ヘキサン(1:1)で摩砕した。沈殿物をろ過し、冷DCM/ヘキサン(1:1)で洗い真空下で乾燥させて1−[trans−4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミドを白色固体として与えた(1.67g)。
【0046】
ステップG:1−[trans−4−(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミド(1.6g)を、MeOH(16ml)に(一部分)溶解した。ギ酸アンモニウム(1.04g)および湿性10%Pd/C(0.3g)を加えた。反応混合物を、十分な撹拌と共に加熱して還流した。非常にゆっくりとした転換が生じた(TLC−DCM/MeOH 8:1)。溶媒を、THF(10ml)でいっぱいに満たした。ギ酸アンモニウムの別の部(1.04g)その後10%Pd(OH)/C(0.3g)を加えた。反応混合物を、1時間後TLC(DCM/MeOH 8:1)用に再標本抽出し、完全な転換が確認された。パラジウム触媒を、セライトプラグを通してろ過した。ろ過ケークを、MeOH(2×20ml)で洗った。ろ液を、組み合わせて蒸発させた。固体残留物を、メタノールで取り蒸発させた(残留している芳香族の揮発性物およびギ酸アンモニウムを除去するため)。本ステップを、2回繰り返して1−(trans−4−アミノシクロヘキシル)−N−メチル−メタンスルホンアミドを灰白色固体として与えた(0.85g)。
【0047】
ステップH:DCM(70ml)中の4−クロロ−7−アザインドール(1.37g)、トリエチルアミン(1.9ml)およびDMAP(0.11g)の懸濁液に、室温で塩化ベンゼンスルホニル(1.3ml)を加えた。反応混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、DCMで希釈してHClの水溶液(1M、70ml)でクエンチした。有機相を、分離してNaHCO(70ml)の飽和溶液、水およびNaClの飽和水溶液で抽出し、NaSOで乾燥させ真空中で濃縮して1−(ベンゼンスルホニル)−4−クロロ−ピロロ[2,3−b]ピリジンを褐色固体として与えた(2.65g)。得られた粗製生成物を、さらなる精製をせずに用いた。
【0048】
ステップI:DCM(5ml)に溶解した硝酸テトラブチルアンモニウム(381mg)を、−10℃で窒素下でDCM(5ml)中の1−(ベンゼンスルホニル)−4−クロロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン(292mg)の溶液に滴下で加えた。トリフルオロ酢酸無水物(180μl)を、滴下で加え、同温度で30分次いで室温で4時間撹拌した。追加の硝酸テトラブチルアンモニウム(80mg)およびトリフルオロ酢酸無水物(40μl)を加えて反応混合物を室温で一晩撹拌した。追加の硝酸テトラブチルアンモニウム(380mg)およびトリフルオロ酢酸無水物(180μl)を加えて反応混合物を室温で3時間撹拌した。DCMで希釈後、反応混合物を、水でクエンチした。有機相を、分離して水で3回およびNaClの飽和水溶液で1回抽出し、NaSOで乾燥させて真空中で濃縮した。粗製生成物を、シリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン 1:5)によって精製して1−(ベンゼンスルホニル)−4−クロロ−5−ニトロ−ピロロ[2,3−b]ピリジンをベージュ色固体として与えた(111mg)。
【0049】
ステップJ:1−(ベンゼンスルホニル)−4−クロロ−5−ニトロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン(337mg)、1−(trans−4−アミノシクロヘキシル)−N−メチル−メタンスルホンアミド(実施例1、ステップG、206mg)および炭酸カリウム(304mg)を、ジオキサン/水9:1(10ml)中に懸濁させた。得られる懸濁液を、マイクロ波加熱炉内で120℃に加熱した。2時間後、反応混合物を、HPLC/MS用に標本抽出し、可視の出発原料は無く、生成物が形成された。反応混合物を、真空中で濃縮した。THF(15ml)、EtOAc(45ml)および水(30ml)を、残留物に加えた。反応混合物を、室温で30分間撹拌した。水性相を、分離してTHF/EtOAc 1:3の混合物で2回抽出した。組み合わせた有機相を、NaClの飽和水溶液で抽出し、NaSOで乾燥させて真空中で濃縮した。粗製生成物を、シリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン1:1からEtOAc100%)によって精製して1−[trans−4−[[1−(ベンゼンスルホニル)−5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ]シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミドを黄色泡沫として与えた(276mg)。
【0050】
ステップK:1−[trans−4−[[1−(ベンゼンスルホニル)−5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ]シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミド(254mg)を、THF(20ml)に溶解した。この溶液を、H−cube(登録商標)フロー反応器(フルHモード、温度=室温、流速=1ml/分)を用いてラネーニッケル触媒上で6時間水素添加した。THFを、真空中で除去した。残留物を、EtOAcに溶解し、硫酸マグネシウムで乾燥させ真空中で濃縮して1−[trans−4−[[5−アミノ−1−(ベンゼンスルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ]シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミドを黄色樹脂として与えた(222mg)。得られた粗製生成物を、さらなる精製をせずに用いた。
【0051】
ステップL:トルエン(6ml)中の1−[trans−4−[[5−アミノ−1−(ベンゼンスルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ]シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミド(95mg)、オルトギ酸トリエチル(80μl)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(4mg)の混合物を、一晩還流した。EtOAcで希釈後、反応混合物を、NaHCOの飽和水溶液でクエンチした。有機相を、分離してNaHCOの飽和水溶液およびNaClの飽和水溶液でもう一回抽出し、MgSOで乾燥させて真空中で濃縮した。粗製生成物を、セミ分取HPLC上で精製して1−[trans−4−(6−(フェニルスルホニル)−イミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジン−1(6H)−イル)シクロヘキシル]−N−メチルメタンスルホンアミドを無色樹脂として与えた(50mg)。
【0052】
ステップM:イソプロパノール/水1:1(1ml)中の1−[trans−4−(6−(フェニルスルホニル)−イミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジン−1(6H)−イル)シクロヘキシル]−N−メチルメタンスルホンアミド(68mg)および水酸化リチウム(14mg)の混合物を、40℃で一晩撹拌した。20時間後、反応混合物を、50℃に加熱して50℃で1日撹拌した。追加の水酸化リチウム(14mg)を加えた。反応混合物を、60℃に加熱して60℃で1日撹拌した。HClの水溶液37%(120μl)を、pH=5に達するまで加え次いでNaHCOの飽和水溶液(100μl)を、pH=8に達するまで加えた。イソプロパノールを蒸発させた。EtOAc/THF(2〜3ml)を、残留物に加えて得られる懸濁液を、室温で撹拌した。炭酸カリウムの水溶液(2M、2〜3ml)を、pH=12に達するまで加えた。懸濁液を、室温でさらに撹拌して沈殿物をろ過し、水ですすいで真空下で乾燥し1−[trans−4−(イミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジン−1(6H)−イル)シクロヘキシル]−N−メチルメタンスルホンアミドを与えた(13mg、表1の化合物22)。MS(HPLC/MS):348(MH)。保持時間:1.70分
【0053】
実施例2
本実施例は、N−メチル−1−[trans−4−[(5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)オキシ]シクロヘキシル]メタンスルホンアミドの調製を例示する(表1の化合物25)
【0054】
ステップA:trans−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸エチル(10g)、ジイソプロピルアミン(21ml)、臭化ベンジル(10ml)およびヨウ化ナトリウム(0.9g)を、一緒に混合して封管内で120℃で一晩加熱した。EtOAcで希釈後、反応混合物を、水でクエンチした。水性相を、分離してEtOAcで2回抽出した。組み合わせた有機相を、無水MgSOで乾燥させて真空中で濃縮した。粗製生成物を、シリカゲルのクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 9:1)によって精製しtrans−4−(ベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸エチルを黄色油として与えた(16.0g)。
【0055】
ステップB:trans−4−(ベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸エチル(16.0g)を、氷浴中で冷却しながら乾燥THF中に懸濁させた。水素化リチウムアルミニウム(5.2g)を、少量ずつ加えた。追加後に反応混合物を60℃で4時間加熱した。その後反応混合物を、0℃に冷却してEtOAc(30ml)その後水(30ml)を加えた。得られる無機塩を、セライトのパッドを通してろ過した。相を分離した。水性を、EtOAcで抽出した。組み合わせた有機相を、無水MgSOで乾燥させ真空中で濃縮してtrans−4−ベンジルオキシシクロヘキシル)メタノールを淡黄色固体として与えた(14.2g)。得られた粗製生成物を、さらなる精製をせずに用いた。
【0056】
ステップC:(trans−4−ベンジルオキシシクロヘキシル)メタノール(14.2g)を、氷浴中で冷却しながら乾燥THF中に懸濁させた。トリフェニルホスフィン(22.32g)を加えた。得られる溶液を、0℃で10分間撹拌し、次いでテトラブロモメタン(28.22g)を少量ずつ加えてスラリーを室温に達しさせた。撹拌の24時間後に白色沈殿物をろ過してTHFその後EtOAcで洗った。ろ液を、減圧下で蒸発させシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 9:1)によって精製してベンジルtrans−4−(ブロモメチル)シクロヘキシルエーテルを黄色固体として与えた(17.0g)。
【0057】
ステップD:ベンジルtrans−4−(ブロモメチル)シクロヘキシルエーテル(8.0g)を、イソプロパノール(100ml)に溶解して水(100ml)中の亜硫酸ナトリウム(7.12g)を加えた。反応混合物を、次いで100℃で一晩加熱しながら勢いよく撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物を濃縮して白色固体を与えた。メタノールを加えて混合物を室温で3時間撹拌し、次いで沈殿物をろ過し、メタノールですすぎ、ろ液を蒸発させて(trans−4−ベンジルオキシシクロヘキシル)メタンスルホン酸を白色固体として与えた(9.5g)。
【0058】
ステップE:(trans−4−ベンジルオキシシクロヘキシル)メタンスルホン酸(1.0g)を、新たに蒸留したクロロホルム(50ml)中に氷浴中で冷却しながら懸濁させた。乾燥DMF(3〜5滴)を加えた。得られる溶液を、0℃で10分間撹拌し、次いで塩化チオニル(0.52ml)を、滴下で加えた。混合物を、この温度で15分間、室温で30分間および45℃で一晩撹拌した。冷却後、溶媒を蒸発させ、乾燥DCMを加え蒸発させて残りの塩化チオニルを除去した。この手順を2回繰り返して塩化(trans−4−ベンジルオキシシクロヘキシル)メタンスルホニルを黄色油として与えた(1.0g)。
【0059】
ステップF:塩化(trans−4−ベンジルオキシシクロヘキシル)メタンスルホニル(1.0g)を、乾燥DCM(50ml)中に氷浴中で冷却しながら懸濁させ、メチルアミン(THF中2M、5.0ml)を滴下で加えた。続いて、反応混合物を、室温に達しさせてこの温度で一晩撹拌した。その後、溶媒を蒸発させシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 9:1)によって精製して1−(trans−4−ベンジルオキシシクロヘキシル)−N−メチル−メタンスルホンアミドを淡黄色固体として与えた(0.56g)。
【0060】
ステップG:1−(trans−4−ベンジルオキシシクロヘキシル)−N−メチル−メタンスルホンアミド(3.7g)を、メタノール中に懸濁させて、Pd(OH)(1.75g)を加えた。続いて、反応をパール装置(Parr apparatus)内で12時間継続した。次いで、触媒を、セライトのパッドを通してろ過した。ろ液を蒸発させ、EtOで洗い真空下で乾燥させて1−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−N−メチル−メタンスルホンアミドを白色固体として与えた(2.44g)。
【0061】
ステップH:水素化ナトリウム(鉱油中60%、0.09g)を、窒素下でDMF(19ml)中の1−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−N−メチル−メタンスルホンアミド(0.40g)の溶液に加えた。室温で30分後、塩化2−(トリメチルシリル)エトキシメチルを、15分間かけて反応混合物に加えた。室温で18時間後、反応混合物を、EtOAcで希釈しリン酸ナトリウムの水溶液(1M)でクエンチした。水性相を、分離してEtOAcで2回抽出した。組み合わせた有機相を、水で洗って塩水で2回洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ真空中で濃縮して1−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−N−メチル−N−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)メタンスルホンアミドを黄色油として与えた(0.66g)。得られた粗製生成物を、さらなる精製をせずに用いた。
【0062】
ステップI:水素化ナトリウム(鉱油中60%、0.07g)を、窒素下でDMF(10ml)中の1−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−N−メチル−N−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)メタンスルホンアミド(0.49g)の溶液に加えた。室温で30分後、DMF(5ml)中の1−(ベンゼンスルホニル)−4−クロロ−5−ニトロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン(実施例1、ステップI、0.49g)を、15分間かけて反応混合物に加えた。室温で3日後、EtOAcを加えて反応混合物を水に注いだ。水性相を、分離してEtOAcで抽出した。組み合わせた有機相を、水で2回、水酸化ナトリウム水溶液(2N)で2回および塩水で2回洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて真空中で濃縮した。粗製生成物を、セミ分取HPLC上で精製してN−メチル−1−[trans−4−[(5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)オキシ]シクロヘキシル]−N−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)メタンスルホンアミドを黄色固体として与えた(0.12g)。
【0063】
ステップJ:AcOH(10ml)および水(5ml)中のN−メチル−1−[trans−4−[(5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)オキシ]シクロヘキシル]−N−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)メタンスルホンアミド(120mg)の溶液を、窒素下で70℃で1時間撹拌した。反応混合物を、室温に冷却して水に注いだ。NaOHの水溶液(4N)を、pH=7〜8に達するまで加えた。水性相を、EtOAcで2回抽出した。組み合わせた有機相を、水、水酸化ナトリウム水溶液(2N)で2回および塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて真空中で濃縮した。残留物をDCM/EtOAc(9:1)から再結晶させてN−メチル−1−[trans−4−[(5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)オキシ]シクロヘキシル]メタンスルホンアミドを与えた(50mg、表1の化合物25)。MS(HPLC/MS):369(MH)。保持時間:(1.12分)
【0064】
実施例3
本実施例は、1−[trans−4−[(5−シアノ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−メチル−アミノ]シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミドの調製を例示する(表1の化合物26)。
【0065】
ステップA:ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム水素化物溶液(Red−Al(登録商標)、トルエン中65%、183ml)を、0℃でトルエン(250ml)中のtrans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸(24.3g)の溶液に60分かけて加えた。反応混合物を、次いで130℃に加熱してこの温度で1時間撹拌した。0℃まで冷却後、硫酸ナトリウムの飽和水溶液(195ml)を滴下で加えた。反応混合物を、次いでHyfloろ過器を通してろ過した。ろ過ケークを、DCM(150ml)および水(24ml)ですすいだ。水性相を、分離してDCM(2×150ml)で2回抽出した。組み合わせた有機相を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ真空中で濃縮して[trans−4−(メチルアミノ)シクロヘキシル]メタノールをと白色結晶として与えた(12.5g)。得られた粗製生成物を、さらなる精製をせずに用いた。
【0066】
ステップB:塩化ベンゾイル(8.8ml)を、水(50ml)中の炭酸水素ナトリウム(12.6g)のエマルションおよびDCM(50ml)中の[trans−4−(メチルアミノ)シクロヘキシル]メタノール(10.9g)に0℃で滴下で加えた。続いて、反応混合物を、室温に達しさせてこの温度で3時間撹拌した。反応混合物を、水(150ml)およびDCM(200ml)で希釈した。有機相を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ真空中で濃縮してN−[trans−4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]−N−メチルベンズアミドをベージュ色結晶として与えた(17.2g)。得られた粗製生成物を、さらなる精製をせずに用いた。
【0067】
ステップC:トリエチルアミン(11ml)、DMAP(0.43g)および塩化p−トルエンスルホニル(13.2g)を、DCM(250ml)中のN−[trans−4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]−N−メチルベンズアミド(17.0g)の溶液に加えた。室温で3時間後、反応混合物を水(150ml)でクエンチした。有機相を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて真空中で濃縮した。粗製生成物を、シリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン1:1)によって精製し4−メチルベンゼンスルホン酸[trans−4−[ベンゾイル(メチル)アミノ]シクロヘキシル]メチルを白色結晶として与えた(19.5g)。
【0068】
ステップD:チオ酢酸カリウム(6.3g)を、室温でDMSO(66ml)中の4−メチルベンゼンスルホン酸[trans−4−[ベンゾイル(メチル)アミノ]シクロヘキシル]メチルの懸濁液(19.5g)に加えた。反応混合物を、55℃に加熱して55℃で3時間撹拌した。室温で冷却後、反応混合物を、EtOAc(200ml)で希釈してNaHCO(0.1M、300ml)の水溶液でクエンチした。水性相を、分離してEtOAc(2×200ml)で2回抽出した。組み合わせた有機相を、水および塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて真空中で濃縮した。残留物(17g、淡黄色結晶)を、ギ酸(73ml)に溶解して反応混合物を、25〜35℃に加熱した。過酸化水素溶液(水中30%、25ml)を、この温度で60分かけて加えた。続いて、反応混合物を、室温で冷却して室温で15分間撹拌した。0℃で冷却後、反応混合物を、メタ重亜硫酸ナトリウムの水溶液(33%、27ml)でクエンチした。NaOHの水溶液(33%、121ml)を、次いで0℃でpH=5に達するまで加えて反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を、真空中で濃縮した。得られた残留物を、水(160ml)および2−プロパノール(40ml)へ取り込んで45℃で撹拌した。続いて、2−プロパノールを蒸発させてHClの水溶液(2M、10ml)を加えた。懸濁液を、0℃で撹拌してろ過した。沈殿物を、真空下でSicapent(登録商標)で乾燥させて[trans−4−[ベンゾイル(メチル)アミノ]シクロヘキシル]メタンスルホン酸をさらなる精製をせずに次のステップにおいて用いられる白色固体として与えた(31.0g)。
【0069】
ステップE:[trans−4−[ベンゾイル(メチル)アミノ]シクロヘキシル]メタンスルホン酸(10.1g)を、数滴のDMFの追加と共にDCM(40ml)中に懸濁させた。反応混合物を、0℃で冷却して塩化チオニル(4.7ml)を滴下で10分かけて加えた。反応混合物を、次いで6時間還流させた。0℃で冷却後、追加の塩化チオニル(4.7ml)を、滴下で10分かけて加えた。反応混合物を、次いで一晩還流させた。その後、混合物を、室温に冷却して真空中でほとんど乾燥するまで濃縮した。いかなる未反応の塩化チオニルも確実に除去するために乾燥トルエンを残留物に加えて減圧下で除去した。残留物を、THF(40ml)に取り込んでメチルアミン(THF中2M、47ml)を加えた。反応混合物を、室温で一晩撹拌した。得られる懸濁液を、ろ過してTHFですすいだ。ろ液を蒸発させて淡褐色樹脂を与えた(2.6g)。沈殿物を、数滴のDMFの追加と共にDCM(20ml)中に懸濁させた。塩化チオニル(2.4ml)を、10分かけて滴下で加えた。反応混合物を、次いで一晩還流させた。還流下で16時間後、追加の塩化チオニル(2.4ml)を、滴下で10分かけて加えた。反応混合物を、次いで一晩還流させた。その後、混合物を、室温に冷却して真空中でほとんど乾燥するまで濃縮した。いかなる未反応の塩化チオニルも確実に除去するために乾燥トルエンを残留物に加えて減圧下で除去した。残留物を、THF(20ml)に取り込んでメチルアミン(THF中2M、24ml)を加えた。反応混合物を、室温で4時間撹拌し、次いでろ過してTHFですすいだ。ろ液を蒸発させて淡褐色樹脂を与えた(2.0g)。組み合わせた淡褐色樹脂(4.6g)を、シリカゲルのクロマトグラフィー(MeOH/DCM 1:49から1:19)によって精製しN−メチル−N−[trans−4−(メチルスルファモイルメチル)シクロヘキシル]ベンズアミドをベージュ色結晶として与えた(2.18g)。
【0070】
ステップF:N−メチル−N−[trans−4−(メチルスルファモイルメチル)シクロヘキシル]ベンズアミド(875mg)を、HClの水溶液(6M、10ml)に取り込んで反応混合物を、2日間還流させた。室温で冷却後、得られる懸濁液をろ過した。ろ液を、真空中で濃縮してN−メチル−1−[trans−4−(メチルアミノ)シクロヘキシル]メタンスルホンアミド塩酸塩をベージュ色結晶として与えた(710mg)。得られた粗製生成物を、さらなる精製をせずに用いた。
【0071】
ステップG:N−メチル−1−[trans−4−(メチルアミノ)シクロヘキシル]メタンスルホンアミド塩酸塩(129mg)、4−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−カルボニトリル(89mg)および炭酸カリウム(225mg)を、水/ジオキサン1:9(4.5ml)中に懸濁させた。得られる懸濁液を、マイクロ波加熱炉内で160℃に8時間加熱した。反応混合物を、真空中で濃縮した。残留物を、THF(10ml)に取り込んで、水/NaClの飽和水溶液1:1の混合物(20ml)を加えた。混合物を、室温で撹拌した。水性相を、分離してTHF(2×10ml)で2回抽出した。組み合わせた有機相を、塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて真空中で濃縮した。残留物を、アセトニトリル中に懸濁させ、室温で撹拌し、ろ過してアセトニトリルですすいだ。ろ液を、真空中で濃縮しセミ分取HPLCで精製して1−[trans−4−[(5−シアノ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−メチル−アミノ]シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミドを与えた(22mg、表1の化合物26)。MS(HPLC/MS):362(MH)。保持時間:(2.19分)
【0072】
実施例4
本実施例は、N−メチル−1−[trans−4−[メチル(9H−プリン−6−イル)アミノ]シクロヘキシル]メタンスルホンアミドの調製を例示する(表1の化合物2)。
【0073】
ステップA:N−メチル−1−[trans−4−(メチルアミノ)シクロヘキシル]メタンスルホンアミド塩酸塩(実施例3、ステップF、140mg)、6−クロロプリン(59mg)およびトリエチルアミン(0.26ml)を、n−ブタノール(4ml)に溶解した。反応混合物を、140℃に加熱し、140℃で一晩撹拌してマイクロ波加熱炉内で150℃に1時間加熱した。反応混合物を、真空中で濃縮した。残留物を、THF(3ml)に取り込んで水/NaClの飽和水溶液1:1の混合物(4ml)を加えた。混合物を、室温で撹拌した。水性相を、分離してTHF(2×3ml)で2回抽出した。組み合わせた有機相を、塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて真空中で濃縮した。残留物を、最初にIsolute(登録商標)NH(DCM100%、MeOH/DCM 1:49から1:19)のクロマトグラフィー、次いでセミ分取HPLCおよび最後にIsolute(登録商標)NH(MeOH/DCM 1:24)のクロマトグラフィーによって精製してN−メチル−1−[trans−4−[メチル(9H−プリン−6−イル)アミノ]シクロヘキシル]メタンスルホンアミドを与えた(22mg、表1の化合物2)。MS(HPLC/MS):339(MH)。保持時間:(1.87分)
【0074】
実施例5
本実施例は、1−[4−[(2−アミノ−5−メチル−ピリミジン−4−イル)−メチル−アミノ]シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミドの調製を例示する(表1の化合物29)。
【0075】
ステップA:N−メチル−1−[trans−4−(メチルアミノ)シクロヘキシル]メタンスルホンアミド塩酸塩(実施例3、ステップF、129mg)、4−クロロ−5−メチル−ピリミジン−2−アミン(72mg)、CsCO(390mg)、Pd(OAc)(11mg)およびRuPhos(47mg)を、シュレンク管中のtert−ブタノール(1ml)に溶解した。反応混合物を、85℃に加熱し、85℃で一晩撹拌した。反応混合物を、THF(10ml)に取り込んでセライト上でろ過した。ろ液を、真空中で濃縮した。残留物を、セミ分取HPLC上で精製し1−[4−[(2−アミノ−5−メチル−ピリミジン−4−イル)−メチル−アミノ]シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミドを与えた(表1の化合物29)。MS(HPLC/MS):328(MH)。保持時間:(1.82分)
【0076】
実施例6
本実施例は、1−[trans−4−((2−メトキシメチル)イミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジン−1(6H)−イル)シクロヘキシル]−N−メチルメタンスルホンアミドの調製を例示する(表1の化合物35)。
【0077】
ステップA:
塩化メチレン(5ml)中の1−[trans−4−[[5−アミノ−1−(ベンゼンスルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ]シクロヘキシル]−N−メチル−メタンスルホンアミド(実施例1、ステップK)(212mg)、塩化メトキシアセチル(40μl)およびトリエチルアミン(70μl)の混合物を、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、真空中で濃縮する。粗製物を、酢酸(2ml)に取り込んでマイクロ波加熱炉内で100℃で3時間加熱する。EtOAcで希釈後、反応混合物を、NaHCOの飽和水溶液でクエンチした。有機相を、分離してNaHCOの飽和水溶液およびNaClの飽和水溶液でもう一回抽出し、MgSOで乾燥させて真空中で濃縮した。粗製生成物を、セミ分取HPLC上で精製して1−[trans−4−((2−メトキシメチル)−6−(フェニルスルホニル)−イミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジン−1(6H)−イル)シクロヘキシル]−N−メチルメタンスルホンアミドを無色樹脂として与えた。
【0078】
ステップB:
1−[trans−4−((2−メトキシメチル)−6−(フェニルスルホニル)−イミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジン−1(6H)−イル)シクロヘキシル]−N−メチルメタンスルホンアミドを、実施例1、ステップIに記載のように同様の手順を用いて脱保護し、1−[trans−4−((2−メトキシメチル)イミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジン−1(6H)−イル)シクロヘキシル]−N−メチルメタンスルホンアミドを与える(26mg、表1の化合物35)。MS(HPLC/MS):392(MH)。保持時間:(1.89分)
【0079】
精製した試料の分析は、いずれの場合にも独国、レオンバーグ、Bischoffの逆相カラム(Daisogel SP−120−ODS−AP 5μm、150×3mm)を備えたWaters Autopurification(HPLC/MS)システムを用いて行う。試料は、m/zおよび保持時間によって特性を決定する。上記で示した保持時間は、いずれの場合にも2種の異なる溶媒、溶媒A:HO+0.01% HCOOH、および溶媒B:CHCN+0.01% HCOOH)を含む溶媒系の使用に関連する。前記2種の溶媒AおよびBは、表に示した通りの時間依存性勾配で2.00ml/分の流速で用いる。
【0080】
方法A:独国、レオンバーグ、BischoffのDaisogel SP−120−ODS−AP 5μm、150×3mm)カラム、表1に示した通りの時間依存性勾配で2.00ml/分の流速:
【表1】
【0081】
方法B:Waters XTerra MS C18 5μm、50×4.6mm(Waters)カラム、表2に示した通りの時間依存性勾配で3.00ml/分の流速:
【表2】
【0082】
下記の表3において指定した物質を、上記の方法に類似して調製する。下記の物理データは、上記のHPLC/MS特性評価プロセスに従って得られる。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0083】
JAK酵素への効果の測定
JAK/TYK−キナーゼファミリーの4種のキナーゼ全てを、活性キナーゼドメインを含有する、精製した組み換えGST−融合タンパク質として用いた。GST−JAK1(866−1154)、GST−JAK3(811−1124)、およびGST−TYK2(888−1187)を、発現させてEPK生物学単位でアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。
【0084】
キナーゼアッセイは、LabChip 3000システムを用いるCaliper移動度シフトアッセイに基づいた。この技術は、キャピラリー電気泳動法に類似しており微小流体チップ内の基質および生成物の電荷駆動分離を使用する。
【0085】
全てのキナーゼ反応を、18μIの総反応体積で384ウェルマイクロタイタープレート内で実行した。アッセイプレートを、「化合物希釈物の調製」の節で述べた通りに、適切な試験濃度で1ウェル当り0.1μIの試験化合物で調製した。反応を、9μIの基質混合物(ペプチドおよびATPからなる)を9μIのキナーゼ希釈物と組み合わせることによって開始した。反応を、30℃で60分間インキュベートして70μIの停止緩衝液(100mM Hepes、5% DMSO、0.1%コーティング試薬、10mM EDTA、0.015% Brij 35)を加えることによって停止した。
【0086】
蛍光標識した合成ペプチドを、全ての反応において基質として用いた。IRS−1(IRS−1ペプチド、FITC−Ahx−KKSRGDYMTMQIG−NH2)の配列由来のペプチドは、JAK1およびTYK2用にかつJAK3tideと名前の付いたペプチド(FITC−GGEEEEYFELVKKKK−NH2)を、JAK3用に使用した。特有のアッセイ条件を表4に記載する。
【表4】
【0087】
終了した反応を、Caliper LabChip 3000読取り装置に移してそれぞれの反応のターンオーバーを、基質/生成物比率を決定することによって測定した。
【0088】
化合物希釈物の調製
試験化合物を、DMSO(10mM)に溶解し個別の化合物ハブによって独自の2Dマトリクスチップを保持する1.4mLの平底またはV字型のマトリクス管内に移した。これらのチップの数は、他と区別して個々の化合物識別番号に関連した。原液は、直ちに使用しない場合は−20℃で保管した。試験手順のためにバイアルを解凍してスキャナーによって特定しそれによって後続の作業ステップを案内する作業シートを生成した。化合物希釈物を、96ウェルプレートにおいて作成した。この形式は、4種の参照化合物を含めた8濃度(単一点)での最大40種の個別試験化合物のアッセイを可能にした。希釈プロトコルには、前希釈プレート、マスタープレートおよびアッセイプレートの生成が含まれた。
【0089】
前希釈プレート:96ポリプロピレンウェルプレートを、前希釈プレートとして用いた。プレート位置A1〜A10上にそれぞれ10種の試験化合物、A11に1種の標準化合物およびA12に1種のDMSO対照を含めた合計4つの前希釈プレートを調製した。全ての希釈ステップを、HamiltonSTARロボット上で行った。
【0090】
マスタープレート:4つの「前希釈プレート」の標準化合物および対照を含めた100μIの個別化合物希釈物を、それぞれDMSOの90%中の次の濃度、1’820、564、182、54.6、18.2、5.46、1.82および0.546μMを含む384「マスタープレート」に移した。
【0091】
アッセイプレート:全く同じアッセイプレートを、次いでマスタープレートの100nLの化合物希釈物を384−ウェル「アッセイプレート」にピペット操作することにより調製した。以下では化合物を、9μIのアッセイ成分に加えてそれぞれ10、3.0、1.0、0.3、0.1、0.03、0.01および0.003μMの最終濃度を可能にする1:181希釈ステップに対応する9μIの酵素と混合した。マスタープレートの調製は、PlateMate Plusロボットによっておよびアッセイプレートの複製は、HummingBirdロボットによって処理した。
【0092】
本調査に基づいて、本発明の化合物は、特にタンパク質キナーゼに依存する障害、特にJAK/TYKキナーゼ活性が介在する増殖性疾患に対する治療有効性を示す。
【表5】