【文献】
Robert F. H. Fischer,From Gram-Schmidt Orthogonalization via Sorting and Quantization to Lattice Reduction,Proc. of the 6th Joint Workshop on Coding and Communications (JWCC), 2010,2010年,13〜17,URL,http://www.lit.lnt.de/papers/jwcc_2010.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、線形フェージング伝送チャネルを介して受信されたシンボルを復号するための無線受信機を設定することに関する。
【0002】
通常、線形フェージング伝送チャネルを介して受信されたシンボルを受信機が処理する時には、プレフィルタリング演算により、線形フェージング伝送チャネルの幾何学的形状の不規則性を補償することが可能になる。そのような先進的な復号器の一例は、チャネル直交性と雑音に挿入される有用な信号の量とのトレードオフを形成するMMSE−GDFE(Minimum Mean Squared Error - Generalized Decision Feedback Equalizer、最小平均二乗誤差・汎用判定帰還等化器)復号器である。漸近的に、プレフィルタリングの目的は、恒等に近い等価チャネルを提供すること(すなわち伝送チャネルのフェージング効果に対抗する試み)である。
【0003】
対角フェージング伝送チャネル上でシンボルを伝送する前に無線送信機によってプリコーディング演算を実行する時には、または、非対角フェージング伝送チャネル上でシンボルを伝送する時には、チャネル等化により、受信シンボルの低複雑度準最適復号を可能にする代数的性質を有する等価伝送チャネルを取得することが可能になる。
【0004】
図1は、先行技術から既知である通信システムを概略的に表す。
【0005】
通信システムは、無線送信機110および無線受信機120を備え、無線送信機110は線形フェージング伝送チャネル130を介して無線受信機120にシンボルを伝送する。
【0006】
無線送信機110は、コンスタレーションシンボル(すなわち、可能なシンボルを表すコンスタレーションにマッチするシンボル)を生成するモジュール111を備え、これは適用される変調方式によって複素平面内の各点として選択可能である。
【0007】
無線送信機110は、さらに、生成されたコンスタレーションシンボルに対してプリコーディング演算(たとえば円分プリコーディング(cyclotomic pre-coding))を実行するモジュール112を備えてもよい。プリコーディング演算は、いくつかのコンスタレーションシンボルを入力として取り、前記シンボルの線形結合を出力として提供する。プリコーディング演算を実行するモジュール112の存在は、用いられる線形フェージング伝送チャネルの種類に依存する。実際に、フェージング伝送チャネルが対角である時には、プリコーディング演算は復号性能を改善するために実行される。そうでない場合には、フェージング伝送チャネルが非対角である時には、プリコーディング演算は省略してもよい。以下では、無線送信機110によって実行される潜在的なプリコーディング演算を表すために、プリコーディング行列Φを用いる。したがって、プリコーディング行列Φは、恒等であってもよく(実際にはプリコーディング演算が行われない時)、恒等とは異なるものであってもよい(実際にプリコーディング演算が行われる時)。
【0008】
無線受信機120は、プレフィルタリング演算を実行するモジュール121を備える。無線受信機120は、さらに、プレフィルタリング後にチャネル量子化を実行するモジュール122を備える。チャネル量子化は、単純化されたチャネルモデルに依存することによって復号の複雑度を低減することを目的とし、したがって、復号におけるいくらかの不正確さ(その影響は可能な限り低くあるべきである)を伴う。
【0009】
無線受信機120は、さらに、チャネル量子化の適用後に、受信シンボルを復号する(すなわち、無線送信機110のモジュール111によって生成されたコンスタレーションシンボルの推定値を取得する)モジュール123を備える。
【0010】
図1に示す通信システムでは、プレフィルタリング演算とチャネル量子化演算とは独立に設定される。実際に、プレフィルタリング演算の結果として得られるシンボルに対する直接的な判定が実行されるので、プレフィルタリング演算によって達成されるSNR(信号対雑音比)最適化は、目標恒等チャネルの想定のもとに実行される。チャネル量子化演算の結果として、通常は恒等でないチャネルが得られ、縮小された空間内の点に対して判定が行われ、その後基底変更(basis change)によって推定シンボルへと変換される。このように、双方の演算は互いに適応しておらず、結果として復号性能は最適未満となる。
【0011】
先行技術の、上述の欠点を克服することが望ましい。
【0012】
とくに、線形フェージング伝送チャネルを介した無線送信機によるシンボルの伝送の結果として得られ受信機によって受信されるシンボルに対する復号性能を、改善可能にする解決策を提供することが望ましい。
【0013】
この目的のために、本発明は、
通信システムにおける受信機を設定する方法であって、
前記受信機はサイズnのシンボルベクトルyを受信し、前記シンボルベクトルyは、送信機による線形フェージング伝送チャネルを介したサイズnのシンボルベクトルzの伝送の結果として得られ、
前記方法は、前記受信機を設定するように構成された設定装置によって実行され、
前記設定装置は、前記線形フェージング伝送チャネルの観測を表すチャネル行列Δを取得する、
方法に関する。
‐前記方法は、次の関係を満たす候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを取得することを備え、
Δ
qΦ=ΦT
ただしΦは、前記送信機が前記シンボルを前記線形フェージング伝送チャネルを介して伝送する前にプリコーディング演算を適用する時にはプリコーディング行列であり、そうでなければ恒等に等しく、
各行列Tはユニモジュラであり、
‐前記方法は、候補の量子化チャネル行列Δ
qのそれぞれについてプレフィルタリングパラメータを決定することを備え、
前記プレフィルタリングパラメータは、前記プレフィルタリングパラメータに従って、前記候補の量子化チャネル行列Δ
qおよび前記チャネル行列Δに鑑みて、効用関数gを最適化することによって決定され、
前記効用関数gは、選択された候補の量子化チャネル行列Δ
qおよび前記チャネル行列Δに鑑みて受信機性能を表し、
‐前記方法は、候補の量子化チャネル行列Δ
qそれぞれと、それぞれ決定されたプレフィルタリングパラメータとについて決定された前記効用関数gの結果に従って、前記リストLの適切な量子化チャネル行列Δ
qを1つと、対応するプレフィルタリングパラメータとを選択することを備え、
‐前記方法は、前記受信機を設定することを備え、
前記受信機を設定することは、前記受信機が、受信シンボルベクトルyに対し、前記選択されたプレフィルタリングパラメータに基づくプレフィルタリングを適用するように行われ、
前記受信機を設定することは、前記受信機が、シンボルz’を、さらに前記シンボルzの推定値z^へと変換できるようにするために、シンボルz’=Tzに関する判定を行うように行われる。このように、量子化チャネル行列およびプレフィルタリングパラメータの共同決定(joint determination)により、増強された復号性能を持つ低複雑度の受信機が実施可能である。
【0014】
特定の特徴によれば、前記設定装置は、候補の量子化チャネル行列Δ
qの前記リストLを、
‐ユニモジュラ行列T’の集合を生成することと、
‐結果として得られる量子化チャネル行列Δ
q’を、Δ
q’=ΦT’Φ
†となるように決定することと、
‐前記通信システムに鑑みて、前記量子化チャネル行列Δ
qの期待される構造にマッチする前記結果として得られる量子化チャネル行列Δ
q’を、候補の量子化チャネル行列Δ
qとして保持するとともに、前記保持される候補の量子化チャネル行列Δ
qへと導いた前記行列T’を、行列Tとして保持することと
によって発見的に構築し、
前記構造は、対角複素行列であるか、複素行列であるか、空間・時間チャネル行列である。このように、適切な量子化チャネル行列Δ
qの決定は簡素である。
【0015】
特定の特徴によれば、前記行列Φは、円分回転に対応するプリコーディング行列であり、
前記候補の量子化チャネル行列Δ
qは、対角複素行列であり、
前記設定装置は、サイズnのベクトルとして表される円分体の基本単位u
iから、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを、以下のように代数的に構築し、
【0016】
【数1】
【0017】
ただし、B
iは対角行列であり、iは1からn’までのインデックスであり、n’は前記円分体の前記基本単位の量であり、kはサイズn’のベクトルを表し、k
iは前記ベクトルkのi番目の成分を表す。このように、適切な候補の量子化チャネル行列Δ
qが容易に決定可能である。
【0018】
特定の特徴によれば、G=log(|[diagB
1,…,diagB
n’]|)
であるようなn×n’生成行列Gを持つ格子を考慮し、
前記設定装置は、
ランダムに選択される格子点のリストによって、または、
前記格子の原点の周囲の半径R内の格子点を収集する以下の球面構成:
||Gk||
2≦R
2
を用いて、
候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築する。
【0019】
このように、比較的少ない量の候補の量子化チャネル行列Δ
qを用いて、良好な復号性能が達成可能である。
【0020】
特定の特徴によれば、前記行列Φは、円分回転に対応するプリコーディング行列であり、
前記候補の量子化チャネル行列Δ
qは、対角複素行列であり、
前記設定装置は、サイズnのベクトルとして表される円分体の基本単位u
iから、量子化チャネル行列Δ’’
qのリストL’’を、以下のように代数的に構築し、
【0021】
【数2】
【0022】
ただし、B
iは対角行列であり、iは1からn’までのインデックスであり、n’は前記円分体の前記基本単位の量であり、kはサイズn’のベクトルを表し、k
iは前記ベクトルkのi番目の成分を表し、
G=log(|[diagB
1,…,diagB
n’]|)であるようなn×n’生成行列Gを持つ格子を考慮し、
前記設定装置は、前記格子の原点の周囲の半径R内の格子点を収集する以下の球面構成:
||Gk||
2≦R
2
を用いて、量子化チャネル行列Δ’’
qの前記リストL’’を構築し、
前記設定装置は、前記チャネル行列Δを、
【0023】
【数3】
【0024】
であるような、前記格子内に存在する点δへと変換し、
前記設定装置は、Gk^が前記点δに近い前記格子の点となるようなベクトルk^を発見し、
前記設定装置は、前記格子の原点を中心としてその周りにあった量子化チャネル行列Δ’’
qの前記リストL’’に関連付けられたベクトルk’’を、前記ベクトルk^によって定義される前記格子点の周りにシフトし、
前記設定装置は、候補の量子化チャネル行列Δ
qの前記リストLを、次のように構築し、
【0025】
【数4】
【0026】
ただし、kはサイズn’のベクトルを表し、k
iは前記ベクトルkのi番目の成分を表し、k^
iは前記ベクトルk^のi番目の成分を表す。このように、リストL内の候補の量子化チャネル行列Δ
qの量はさらに低減され、これはさらに設定装置の複雑度を低減する。
【0027】
特徴の特徴によれば、前記行列Φは、円分回転に対応するプリコーディング行列であり、
前記候補の量子化チャネル行列Δ
qは、対角複素行列であり、
前記設定装置は、サイズnのベクトルとして表される円分体の基本単位u
iから、量子化チャネル行列Δ’’
qのリストL’’を、以下のように代数的に構築し、
【0028】
【数5】
【0029】
ただし、B
iは対角行列であり、iは1からn’までのインデックスであり、n’は前記円分体の前記基本単位の量であり、kはサイズn’のベクトルを表し、k
iは前記ベクトルkのi番目の成分を表し、
G=log(|[diagB
1,…,diagB
n’]|)であるようなn×n’生成行列Gを持つ格子を考慮し、
前記設定装置は、前記格子の原点の周囲の半径R内の格子点を収集する以下の球面構成:
||Gk||
2≦R
2
を用いて、量子化チャネル行列Δ’’
qの前記リストL’’を構築し、
前記設定装置は、前記チャネル行列Δを、
【0030】
【数6】
【0031】
であるような、前記格子内に存在する点δへと変換し、
前記設定装置は、Gk^が前記点δに近い前記格子の点となるようなベクトルk^を発見し、
前記設定装置は、前記格子の原点を中心としてその周りにあった量子化チャネル行列Δ’’
qの前記リストL’’に関連付けられたベクトルk’’を、前記ベクトルk^によって定義される前記格子点の周りにシフトし、
前記設定装置は、量子化チャネル行列Δ^
qのリストを次のように構築し、
【0032】
【数7】
【0033】
ただし、k^
iは前記ベクトルk^のi番目の成分を表し、
前記設定装置は、候補の量子化チャネル行列Δ
qの前記リストLを、次のように構築する:
Δ
q=Δ’’
qΔ^
q
【0034】
このように、量子化チャネル行列のシフトされたリストを取得するための複雑度が低減される。
【0035】
特定の特徴によれば、前記選択されたプレフィルタリングパラメータは行列Fによって表され、
前記受信機は、逐次干渉除去復号器を実装し、
前記設定装置は、コレスキー分解によって取得されΣ(F)
−1=W
†Wとなるように定義される上三角行列である行列Wによって表される雑音白色化フィルタを決定し、かつ、
前記設定装置は、前記受信機が前記シンボルz’に関する判定を行う前に前記雑音白色化フィルタを適用するように、前記受信機を設定する。このように、白色化雑音が受信機の復号性能を増強する。
【0036】
特定の特徴によれば、前記選択されたプレフィルタリングパラメータは行列Fによって表され、
前記効用関数gは、共分散行列Σ(F)に依存し、
g(Σ(F))= max|log(|diag(det(Δ)
2ΦΣ(F)Φ
†)|)|
であり、かつ、
前記効用関数gは最小化されなければならない。このように、効用関数gおよび対応する処理は簡素である。
【0037】
特定の特徴によれば、前記選択されたプレフィルタリングパラメータは行列Fによって表され、
前記受信機は、ゼロフォーシング復号器を実装し、
前記効用関数gは、共分散行列Σ(F)に依存し、等価雑音η’が複素超方格
【0038】
【数8】
【0039】
の外側にある確率として定義され、ただしjは虚数単位を表し、
【0040】
【数9】
【0041】
であり、ただしηは、前記受信シンボルベクトルyが前記線形フェージング伝送チャネルを介して遭遇するユニタリ分散成分を伴う加法的複素白色ガウス雑音ベクトルであり、かつ、
前記効用関数gは最小化されなければならない。このように、ゼロフォーシング復号の場合に、受信機の復号性能が最適化される。
【0042】
特定の特徴によれば、前記選択されたプレフィルタリングパラメータは行列Fによって表され、
前記受信機は、ゼロフォーシング復号器を実装し、
前記効用関数gは、共分散行列Σ(F)に依存し、
【0043】
【数10】
【0044】
であり、ただし、ρはE[zz
†]=ρIとなるスカラーであり、Iはサイズnの恒等行列であり、E[・]は数学的期待値を表し、かつ、
前記効用関数gは最小化されなければならない。このように、効用関数gの近似の恩恵により、ゼロフォーシング復号の場合に、復号性能の最適度と、実施の複雑度との間のトレードオフが達成される。
【0045】
特定の特徴によれば、前記選択されたプレフィルタリングパラメータは行列Fによって表され、
前記受信機は、逐次干渉除去復号器を実装し、
前記効用関数gは、逆共分散行列Σ(F)
−1のコレスキー分解に依存し、
【0046】
【数11】
【0047】
であり、ただしRは、Σ(F)
−1=R
†Rとなる上三角行列であり、
ρはE[zz
†]=ρIとなるスカラーであり、Iはサイズnの恒等行列であり、E[・]は数学的期待値を表し、
Qはマーカムの誤差関数を表し、
前記効用関数gは最小化されなければならない。逐次干渉除去復号の場合に、受信機の復号性能が最適化される。
【0048】
特定の特徴によれば、前記選択されたプレフィルタリングパラメータは行列Fによって表され、
前記受信機は、逐次干渉除去復号器を実装し、
前記効用関数gは、共分散行列Σ(F)のコレスキー分解に依存し、g(Σ(F))=max(M
i,i)であり、ただしMは、Σ(F)=M
†Mとなる行列である。
【0049】
このように、効用関数gの近似の恩恵により、逐次干渉除去復号の場合に、受信機の復号性能の最適度と、実施の複雑度との間のトレードオフが達成される。
【0050】
特定の特徴によれば、前記プレフィルタリングパラメータは、
前記線形フェージング伝送チャネルに対してゼロフォーシングΔ
−1を実行し、その後、
前記線形フェージング伝送チャネルを、対応する量子化チャネル行列Δ
qによって表されるよう、F=Δ
qΔ
−1として強制する
ように定義され、
前記共分散行列Σ(F)は、
Σ(F)=Φ
†Δ
qΔ
−1(Δ
−1)
†Δ
q†Φ
として定義される。
【0051】
このように、プレフィルタリングパラメータの決定は簡素である。
【0052】
特定の特徴によれば、前記プレフィルタリングパラメータは、
以下のように、最小平均二乗誤差プレフィルタリングと、前記対応する量子化チャネル行列Δ
qによるフィルタリングとを実行するよう定義され、
F=ρΔ
qΔ
†(ρΔΔ
†+I)
−1
前記共分散行列Σ(F)は、
Σ(F)=ρΦ
†Δ
q(ρΔΔ
†+I)
−1Δ
q†Φ
として定義され、ただし、ρはE[zz
†]=ρIとなるスカラーであり、Iはサイズnの恒等行列であり、E[・]は数学的期待値を表す。このように、プレフィルタリングパラメータの最適度と決定の簡素さとの間のトレードオフが達成される。
【0053】
特定の特徴によれば、前記選択されたプレフィルタリングパラメータは行列Fによって表され、
前記受信機は、ゼロフォーシング復号器を実装し、
前記効用関数gは、等価雑音η’が複素超方格
【0054】
【数12】
【0055】
の外側にある確率として定義され、ただしjは虚数単位を表し、
【0056】
【数13】
【0057】
であり、ただしηは、前記受信シンボルベクトルyが前記線形フェージング伝送チャネルを介して遭遇するユニタリ分散成分を伴う加法的複素白色ガウス雑音ベクトルであり、
mは前記等価雑音η’の平均を表し、m=Φ
†(FΔ−Δ
q)Φzと表され、
E
z[・]は、前記無線送信機によって線形フェージング伝送チャネルを介して伝送され得る可能性のあるシンボルベクトルzすべてにわたって実行される数学的期待値を表し、かつ、
前記プレフィルタリングパラメータは数値的に定義される。このように、プレフィルタリングパラメータの最適度が達成される。
【0058】
また、本発明は、通信システムにおける受信機を設定する設定装置であって、
前記受信機はサイズnのシンボルベクトルyを受信するよう構成され、前記シンボルベクトルyは、送信機による線形フェージング伝送チャネルを介したサイズnのシンボルベクトルzの伝送の結果として得られ、
前記設定装置は、前記線形フェージング伝送チャネルの観測を表すチャネル行列Δを取得する手段を備える、
設定装置にも関する。
‐前記設定装置は、次の関係を満たす候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを取得する手段を備え、
Δ
qΦ=ΦT
ただしΦは、前記送信機が前記シンボルを前記線形フェージング伝送チャネルを介して伝送する前にプリコーディング演算を適用するよう構成される時にはプリコーディング行列であり、そうでなければ恒等に等しく、
各行列Tはユニモジュラであり、
‐前記設定装置は、候補の量子化チャネル行列Δ
qのそれぞれについてプレフィルタリングパラメータを決定する手段を備え、
前記プレフィルタリングパラメータは、前記プレフィルタリングパラメータに従って、前記候補の量子化チャネル行列Δ
qおよび前記チャネル行列Δに鑑みて、効用関数gを最適化することによって決定され、
前記効用関数gは、選択された候補の量子化チャネル行列Δ
qおよび前記チャネル行列Δに鑑みて受信機性能を表し、
‐前記設定装置は、候補の量子化チャネル行列Δ
qそれぞれと、それぞれ決定されたプレフィルタリングパラメータとについて決定された前記効用関数gの結果に従って、前記リストLの適切な量子化チャネル行列Δ
qを1つと、対応するプレフィルタリングパラメータとを選択する手段を備え、
‐前記設定装置は、前記受信機を設定する手段を備え、
前記受信機を設定する手段は、前記受信機が、受信シンボルベクトルyに対し、前記選択されたプレフィルタリングパラメータに基づくプレフィルタリングを適用するように設定し、
前記受信機を設定する手段は、前記受信機が、シンボルz’を、さらに前記シンボルzの推定値z^へと変換できるようにするために、シンボルz’=Tzに関する判定を行うように設定する。
【0059】
また、本発明は、通信ネットワークからダウンロード可能なコンピュータプログラム、および/または、コンピュータまたは処理装置によって読み出されることが可能な媒体に記録されるコンピュータプログラムにも関する。このコンピュータプログラムは、当該プログラムがプロセッサにより実行される時に、上述の方法の実施を行わせる命令を備える。
【0060】
また、本発明は、記憶された情報が情報記憶手段から読み出されてプロセッサにより実行される時に、上述の方法の実施を行わせる命令のセットを備えるコンピュータプログラムを記憶する、当該情報記憶手段にも関する。
【0061】
当該通信装置および当該コンピュータプログラムに関する特徴および利点は、対応する上述の方法に関連して上述したものと同一であるので、ここでは繰り返さない。
【0062】
本発明の特徴は、以下に示す実施形態の例の記載を読めばより明らかになるであろう。以下の記載は添付図面を参照して作成されている。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下の説明は、線形フェージング伝送チャネルを介して無線受信機にシンボルを伝送する無線送信機のコンテキストにおいて詳述される。しかしながら、本明細書に記載される原理は、シンボルが線形フェージング伝送チャネルを介して(たとえば送信機と受信機との間の有線リンクまたは光学的リンクに依存して)伝送される限り、より広範囲の通信コンテキストに適用可能である。
【0065】
図2は、本発明による無線受信機220のアーキテクチャを概略的に表す。
【0066】
無線受信機220は、無線送信機110によって線形フェージング伝送チャネル130を介して伝送されるシンボルを受信するように構成される。無線受信機220は、復号性能を改善するために
図1に示す通信システムにおける無線受信機120を置き換えることを目的とする。言い換えると、無線受信機220は、無線送信機110によって線形フェージング伝送チャネル130を介して伝送されるシンボルを受信し復号することを意図する。
【0067】
無線受信機220は、チャネル推定モジュール221と、プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222と、量子化チャネル提供モジュール225と、プレフィルタリングモジュール223と、復号モジュール224とを備える。
【0068】
チャネル推定モジュール221は、線形フェージング伝送チャネル130を観測し、観測されたチャネルを表すチャネル行列Δをプレフィルタリングパラメータ計算モジュール222に提供するように構成される。
【0069】
量子化チャネル提供モジュール225は、事前定義された量子化チャネル行列Δ
qの集合を、プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222に提供するように構成される。1つの適切な量子化チャネル行列Δ
qは、線形フェージング伝送チャネル130に関する等価行列として用いられることを意図する。プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222は、プレフィルタリングパラメータの効用関数(utility function)の結果に従って、この適切な量子化チャネル行列Δ
qを選択するように構成される。効用関数の結果は、事前定義された各量子化チャネル行列Δ
qに基づいて取得される。事前定義された各量子化チャネル行列Δ
qは、量子化チャネル提供モジュール225によって提供される。効用関数は、事前定義された量子化チャネル行列Δ
qのそれぞれに関連付けられ、観測されたチャネルを表す行列Δに従って動的に定義される。効用関数は、無線受信機220の復号性能(損失率(loss rate)および/または処理遅延および/または処理資源コストおよび/またはデータレート)を表す。したがって、プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222は、量子化チャネル提供モジュール225によって提供された事前定義された量子化チャネル行列Δ
qの集合のうちから取得可能な、すべての組(量子化チャネル行列Δ
qと関連付けられたプレフィルタリングパラメータとの組)のうちから、効用関数の最良の結果を提供する組(量子化チャネル行列Δ
qとプレフィルタリングパラメータの組)を選択するように構成される。プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222の振る舞いの詳細は、
図4に関して後述する。
【0070】
プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222は、無線受信機220がコンスタレーションシンボルz(無線送信機110によって線形フェージング伝送チャネル130を介して伝送されたもの)を復号できるようにするために、プレフィルタリングモジュール223および復号モジュール224を設定するように構成される(選択された適切な量子化チャネル行列Δ
qおよびこれに関連付けられたプレフィルタリングパラメータに従う)。プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222は、適用可能なチャネルモデルに従って、コンスタレーションシンボルzの推定値z^[訳注:zの上にハット記号^を付した記号を表す。以下ハット記号^について同じ]を取得できるようにするために、復号モジュール224を設定するように構成される。プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222がプレフィルタリングモジュール223および復号モジュール224をどのように設定するかの詳細は、
図4に関して後述する。無線送信機110によって線形フェージング伝送チャネル130を介して伝送されるコンスタレーションシンボルzの推定値z^を復号モジュール224がどのようにして決定するかの詳細は、
図5に関して後述する。復号モジュール224は、ZF(ゼロフォーシング)またはSIC(逐次干渉除去(Successive Interference Cancellation))復号に依存してもよい。
【0071】
図3は、無線受信機220の実装を可能にするハードウェアプラットフォームを概略的に表す。
【0072】
図示のハードウェアプラットフォームによれば、無線受信機220は、通信バス310によって相互接続された以下の構成要素を備える:
‐プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはCPU(中央処理装置)300;
‐RAM(ランダムアクセスメモリ)301;
‐ROM(読み出し専用メモリ)302;
‐SD(セキュアデジタル)カードリーダ303、または、他の任意の装置(HDD(ハードディスクドライブ)等の記憶手段に記憶された情報を読み出すよう構成されたもの);および
‐無線受信機220が線形フェージング伝送チャネル130を介してシンボルを受信できるようにする通信インタフェース304。
【0073】
CPU300は、ROM302からまたは外部メモリ(SDカード等)からRAM301へとロードされた命令を実行することができる。無線受信機220の電源が投入された後、CPU300は、RAM301から命令を読み出し、これらの命令を実行することができる。これらの命令は、CPU300に、後述のアルゴリズムのいくつかまたはすべてのステップを実行させる1つのプログラムを形成する。
【0074】
後述のアルゴリズムの任意のおよびすべてのステップと、
図2に示すアーキテクチャとは、プログラム可能な計算機械(PC(パーソナルコンピュータ)、DSP(デジタル信号プロセッサ)またはマイクロコントローラ等)によって命令のセットまたはプログラムの実行によってソフトウェアで実装されてもよく、そうでない場合には、機械または専用の構成要素(FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定アプリケーション用集積回路)によってハードウェアで実装されてもよい。
【0075】
図4は、無線受信機220を設定するためのアルゴリズム(すなわち、行列Δによって表される観測されたチャネルの変化を検出することに際して、量子化チャネル行列Δ
qとプレフィルタリングパラメータとの適切な組を選択するためのもの)を概略的に表す。
【0076】
図2に示すアーキテクチャの範囲内で、
図4のアルゴリズムは、プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222によって実行される。このように、
図4のアルゴリズムは、無線受信機220によって実行されてもよく、無線受信機220に組み込まれた(または直接的または間接的に無線受信機220に接続された)設定装置(無線受信機220が送信機110から線形フェージング伝送チャネル130を介して受信したシンボルを復号できるようにするために無線受信機220を設定するように構成されたもの)によって実行されてもよい。
【0077】
ステップS401において、行列Δによって表される観測されたチャネルの変化を検出することに際して、無線受信機220は、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを取得する。線形フェージング伝送チャネル130の観測は、当業者に既知のパイロット信号を用いて実行することができる。
【0078】
図2に示す無線受信機220のアーキテクチャを考慮すると、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLは、量子化チャネル提供モジュール225によって提供される。候補の量子化チャネル行列Δ
qは事前に定義される。
図4のアルゴリズムは、無線受信機220の復号動作をさらに設定するために、リストL内の候補のうちから適切な量子化チャネル行列Δ
qを選択することを目的とする。
【0079】
リストLの候補の量子化チャネル行列Δ
qのそれぞれは、次の関係を満たす:
∃T∈GL
n(Z[i]), Δ
qΦ=ΦT
[訳注:本翻訳文においてZ[i]は記号
【0081】
を表す。以下同じ]
ただし、次の等価チャネルモデルを伴う:
y=ΔΦz+η
ただし、GL
n(Z[i])は、Z[i]にわたる度数nの一般線形群(すなわちZ[i]内の係数を持つn×n可逆行列の集合)を表し、各行列Tはユニモジュラ(unimodular)であり、ηはユニタリ分散成分を伴う加法的複素白色ガウス雑音ベクトルであり、yは線形フェージング伝送チャネル130を介して無線受信機220によって受信されるシンボルのサイズnのベクトルであり、zはz∈Z[i]
nかつE[zz
†]=ρIとなる変調シンボルのサイズnのベクトルであり、Iはサイズnの恒等行列であり、ρはスカラーであり、z
†はベクトルzの転置であり、E[・]は数学的期待値を表す。
【0082】
観測されたチャネルを表す行列Δは、使用中の通信システムに従って異なる構造のものであってもよく、したがって、候補の量子化チャネル行列Δ
qは、以下のいずれかのケースにマッチする:
‐通信システムが直交資源使用に依存する時(たとえば、OFDM(直交周波数分割多重)におけるような周波数資源またはTDMA(時分割多元接続)におけるような時間資源)、または、空間資源に依存する時(線形フェージング伝送チャネル130が固有ビームフォーミングにより直交化される時等)には、以下のように表され得る対角複素行列:
∀Δ
q∈L, ∀i≠j, Δ
q(i,j)=0
‐以下のように表され得る複素行列(一般的なMIMOチャネルモデルに従うもの等):
【0084】
‐MIMOチャネルモデルのブロック対角反復である、以下のように表され得る空間・時間チャネル行列:
【0086】
ただし、N
rは無線受信機220が線形フェージング伝送チャネル130を介してシンボルyを受信するために用いる受信アンテナの量を表し、N
tは無線送信機110が線形フェージング伝送チャネル130を介してシンボルzを伝送するために用いる送信アンテナの量を表し、sは空間・時間符号時間次元を表すブロックの量を表す。
【0087】
候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築するための第1の実施形態によれば、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLは、以下のようなユニモジュラ行列T’の集合を生成すること:
T’Z[i]
n=Z[i]
n
と、
その後、結果として得られる以下のような量子化チャネル行列Δ
q’を決定すること:
Δ
q’=ΦT’Φ
†
と、
その後、当該結果として得られる量子化チャネル行列Δ
q’(すなわち、上に定義されるように、対角複素行列または複素行列または空間・時間チャネル行列)のうちから、量子化チャネル行列Δ
q(使用中の通信システムに鑑みて量子化チャネル行列Δ
qの期待される構造にマッチするもの)を保持することと、
により、発見的に(heuristically)構築される。したがって、保持される量子化チャネル行列Δ
qへと導いた行列T’は、後に用いられる行列Tを形成する。
【0088】
候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築するための第2の実施形態によれば、行列Φは、コンスタレーションシンボルzの線形回転を実行する円分回転(cyclotomic rotation)に対応するプリコーディング行列であり(すなわち、プリコーディング行列Φの係数は円分体(cyclotomic field)により決定され)、候補の量子化チャネル行列Δ
qは対角複素行列であり、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLは代数的に構築される。行列Φは円分回転であるということを考慮すると、候補の量子化チャネル行列Δ
qは、対応する円分体の円分単位(すなわち、当該円分体の単位の群を構成する要素)から構築される。当該円分単位は、サイズnのベクトルとして表される当該円分体の基本単位u
iから決定可能であり、したがって、候補の量子化チャネル行列Δ
qは、対角行列B
iを用いて決定可能である。ただしiは1からn’までのインデックスであり、n’はしたがって円分体の基本単位u
iの量であり、
【0090】
であり、ただしdiagAは行列Aについて行列Aの対角係数のベクトルを表す。その後、候補の量子化チャネル行列Δ
qは、以下のように決定可能である。
【0092】
ただしk
iはベクトルkのi番目の成分を表す。結果として、このようにして構築される量子化チャネル行列Δ
qは、すべて、「1」に等しい行列式を持つ。
【0093】
このように、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストは、ベクトルkによって構成されるランダムな集合(random set)から構築される。
【0094】
候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築するための第3の実施形態(候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築するための第2の実施形態の特定の実施形態である)によれば、
G=log(|[diagB
1,…,diagB
n’]|)
であるようなn×n’行列Gを考慮すると、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLは、ランダムに選択される格子点(この格子は、行列Gを生成行列として持つ)のリストによって取得可能であるか、または、格子の原点の周囲の半径R内の格子点を収集する以下の球面構成を用いて取得可能である:
【0096】
ただしk
iはベクトルkのi番目の成分を表し、半径Rは格子内の点を望ましい数だけ取得するために調整可能である。
【0097】
候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築するための第4の実施形態によれば、格子が線形である(すなわち、2つの格子点Gk
1およびGk
2についてG(k
1+k
2)もまた格子点である)という事実を考慮し、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLの構築において改善が達成される。無線受信機220は、最初に、格子の原点の周囲の格子点を収集する球面構成(候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築するための第3の実施形態に関して説明されたようなもの)によって量子化チャネル行列Δ’’
qのリストL’’を構築する。次に、無線受信機220は、行列Δによって表される観測したチャネルを、格子内に存在する点δへと変換する。ただし、
【0099】
であり、det(A)は行列Aに対して行列Aの行列式を表す。その後、無線受信機220は、点Gk^が点δに近くなるようなベクトルk^を発見する。ただしGは上で定義した行列である。格子点Gk^を発見するために、
【0101】
へと導くゼロフォーシング復号器を用いてもよい。ただしG
#は行列Gの擬似逆行列であり、
【0103】
は最も近い整数に丸める演算を表す。その後、無線受信機220は、量子化チャネル行列Δ’’
qのリストL’’を、格子の別の点(ただし格子の原点ではない点)の周りにシフトする。無線受信機220は、格子の原点を中心としてその周りにあった量子化チャネル行列Δ’’
qのリストL’’に関連付けられた各ベクトルk’’を、点k^の周りにシフトする。実際に、等価格子点k’’をベクトルk^に対応する格子点の周りにシフトし、その後行列Gによる変換を適用することは、ベクトルGk’’によって表される各格子点をベクトルGk^によって表される格子点の周りにシフトすることと等価である(G(k^+k’’)=Gk^+Gk’’であるから)。したがって、以下のようになる。
【0105】
候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築するための第5の実施形態によれば、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築することにおいて改善が達成される。無線受信機220は、最初に、格子の原点の周囲の格子点を収集する球面構成(候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築するための第4の実施形態に関して説明されたようなもの)によって量子化チャネル行列Δ’’
qのリストL’’を構築する。次に、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLを構築するための第4の実施形態に関して説明されたように、無線受信機220は、行列Δによって表される観測したチャネルを、格子内に存在する点δへと変換し、格子の点Gk^が点δに近くなるようなベクトルk^を発見する。その後、無線受信機220は、
【0107】
となるような行列Δ^
qのリストを計算し、したがって、
∀Δ
q∈L, ∃Δ’’
q∈L’’, Δ
q=Δ’’
qΔ^
q
である。
【0108】
特定の実施形態によれば、候補の量子化チャネル行列Δ
qはそれぞれのプレフィルタリングパラメータとともに用いられるので、候補の量子化チャネル行列Δ
qの係数それぞれの位相(phase)と、候補の量子化チャネル行列Δ
qそれぞれの行列式det(Δ
q)とは、複素加法的白色ガウス雑音の下では、無線受信機220の復号性能に鑑みて、リストLの品質に影響を及ぼさない。このように、無線受信機220が、2つの候補の量子化チャネル行列Δ
q1およびΔ
q2について、以下の関係:
Δ
q1=αUΔ
q2
(ただしαはスカラーであり、Uはユニタリ行列である)が満たされるということを検出した時には、無線受信機220は、候補の量子化チャネル行列Δ
qのリストLから、Δ
q1またはΔ
q2を撤回する。
【0109】
後続のステップS402において、無線受信機220は、リストLに属する候補の量子化チャネル行列Δ
qのうちから、1つの量子化チャネル行列Δ
qを選択する。
【0110】
後続のステップS403において、無線受信機220は、選択された量子化チャネル行列Δ
qに関連付けられたプレフィルタを定義するプレフィルタリングパラメータを取得する。
【0111】
プレフィルタリングパラメータは、ステップS402で選択された量子化チャネル行列Δ
qについて、効用関数(無線送信機110によって線形フェージング伝送チャネル130を介して伝送されたプリコーディングされたシンボルを受信したものを復号するための適切な量子化チャネル行列Δ
qをさらに選択するために無線受信機220によって用いられるもの)の結果を最適化するように取得される。効用関数は、考慮される量子化チャネル行列Δ
qに鑑みて、および、さらに、チャネル行列Δに鑑みて、無線受信機220の復号性能(損失率および/または処理遅延および/または処理資源コストおよび/またはデータレート)を表す。プレフィルタリングパラメータは、ステップS402で選択された量子化チャネル行列Δ
qと、観測されたチャネル(すなわちチャネル行列Δ)とに依存する。
【0112】
プレフィルタリングパラメータFは、ステップS402で選択された量子化チャネル行列Δ
qについて前記の効用関数の結果を最適化するように取得されるので、まず、効用関数gの様々な実施形態を考慮する必要がある。言い換えると、無線受信機220は、固定された量子化チャネル行列Δ
q(ステップS402で選択されたもの)およびチャネル行列Δを考慮して、プレフィルタリングパラメータFに従い、効用関数gを最適化する。
【0113】
効用関数gの第1の実施形態によれば、効用関数gは共分散行列Σ(F)に依存し、
g(Σ(F))= max|log(|diag(det(Δ)
2ΦΣ(F)Φ
†)|)|
であり、ただし効用関数gは最小化されなければならず、
Σ(F)=E[η’η’
†]=Φ
†[ρ(FΔ−Δ
q)(FΔ−Δ
q)
†+FF
† ]Φ
であり、η’は等価雑音であり、
η’=Φ
†(FΔ−Δ
q)Φz+Φ
†Fη
である。理解のために、ρは次のように定義されることに注意する:
E[zz
†]=ρI
また、
E[ηη
†]=I
【0114】
したがって、プレフィルタリングパラメータFは、効用関数gを、ステップS402で選択された量子化チャネル行列Δ
qに対して最小化するように決定される。
【0115】
効用関数gの第2の実施形態によれば、効用関数gは最小化されるべきであり、等価雑音η’が複素超方格(complex hypersquare)
【0117】
の外側にある確率として定義され、ただしjは虚数単位を表し、以下のようになる。
【0119】
ただしnは各ベクトルのシンボルの数を表す。
【0120】
そのような効用関数gは、無線受信機220がゼロフォーシング復号を用いる時に好適に用いられる。
【0121】
効用関数gの第3の実施形態によれば、効用関数gは共分散行列Σ(F)に依存し、効用関数gは最小化されるべきであり、格子性能に上界があることを考慮すると、以下のようになる。
【0123】
そのような効用関数gは、無線受信機220がゼロフォーシング復号を用いる時に好適に用いられる。
【0124】
効用関数gの第4の実施形態によれば、効用関数gは逆共分散行列Σ(F)
−1のコレスキー分解に依存し、以下のようになる。
【0126】
ただしRは、Σ(F)
−1=R
†Rとなる上三角行列であり、Qはマーカム(Marcum)の誤差関数を表す。
【0127】
そのような効用関数gは、無線受信機220がSIC復号に依存する時に好適に用いられる。
【0128】
効用関数gの第5の実施形態(効用関数gの第4の実施形態と等価である)によれば、効用関数gは共分散行列Σ(F)のコレスキー分解に依存し、以下のようになる。
g(Σ(F))=max(M
i,i)
ただしMは
Σ(F)=M
†M
となる行列である。
【0129】
そのような効用関数gは、無線受信機220がSIC復号を用いる時に好適に用いられる。
【0130】
上に提示される効用関数gの様々な実施形態によれば、プレフィルタリングパラメータFの定義を考慮することができる。
【0131】
プレフィルタリングパラメータFの第1の実施形態によれば、プレフィルタリングパラメータFは、線形フェージング伝送チャネル130に対してゼロフォーシングΔ
−1を実行し、その後、ステップS402によって選択された量子化チャネル行列Δ
qによって線形フェージング伝送チャネル130が表されるよう強制するよう定義され、これはF=Δ
qΔ
−1につながる。さらに、効用関数gの定義について
Σ(F)=Φ
†Δ
qΔ
−1(Δ
−1)
†Δ
q†Φ
である。
【0132】
プレフィルタリングパラメータFの第2の実施形態によれば、プレフィルタリングパラメータFは、MMSEプレフィルタリングと、ステップS402で選択された量子化チャネル行列Δ
qによるフィルタリングとを実行するよう定義され、これは、
F=ρΔ
qΔ
†(ρΔΔ
†+I)
−1
につながる。さらに、効用関数gの定義について
Σ(F)=ρΦ
†Δ
q(ρΔΔ
†+I)
−1Δ
q†Φ
である。
【0133】
一変形例では、プレフィルタリングパラメータFは、以下の、効用関数gのさらなる実施形態の一つに基づいて数値的に定義されてもよい。
【0134】
効用関数gの第6の実施形態によれば、効用関数gは最小化されるべきであり、等価雑音η’が複素超方格(complex hypersquare)
【0136】
の外側にある確率として定義され、ただしjは虚数単位を表し、以下のようになる。
【0138】
ただしmは等価雑音η’の平均を表し、次のように表される:
m=Φ
†(FΔ−Δ
q)Φz
ただしE
z[・]は、無線送信機110によって線形フェージング伝送チャネル130を介して伝送され得る可能性のあるシンボルzを表すベクトルすべてにわたって実行される数学的期待値を表す。そのような効用関数gは、無線受信機220がゼロフォーシング復号を用いる時に好適に用いられる。
【0139】
後続のステップS404において、無線受信機220は、ステップS402で選択された量子化チャネル行列Δ
qについて、かつ、ステップS402で選択された量子化チャネル行列Δ
qに対してステップS403で取得されたプレフィルタリングパラメータについて、かつ、観測されたチャネル(すなわち行列Δ)について、効用関数(すなわち、上に提示された様々な実施形態における関数g)の結果を決定する。
【0140】
後続のステップS405において、無線受信機220は、考慮すべき候補の量子化チャネル行列Δ
qが他に少なくとも1つ存在するか否かをチェックする。考慮すべき候補の量子化チャネル行列Δ
qが他に少なくとも1つ存在する時には、当該少なくとも1つの他の考慮すべき候補の量子化チャネル行列Δ
qのうちから1つを選択することによってステップS402が繰り返され、そうでなければ、ステップS406が実行される。
【0141】
ステップS406において、無線受信機220は、ステップS404の様々な実行の間に決定された効用関数の各結果に基づき、線形フェージング伝送チャネル130を介して無線受信機220によってさらに受信されるシンボルを復号するために適用されるべき適切な候補の量子化チャネル行列Δ
qを選択する。この適切な候補の量子化チャネル行列Δ
qは、その関連付けられたプレフィルタリングパラメータとともに効用関数を最適化する、候補の量子化チャネル行列Δ
qである。
【0142】
後続のステップS407において、その後、無線受信機220は、選択された適切な量子化チャネル行列Δ
qおよび関連付けられたプレフィルタリングパラメータを適用するように設定され、したがって、復号性能が改善するような態様で設定される。
図2に示すアーキテクチャによれば、プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222は、選択された適切な量子化チャネル行列Δ
qおよび関連付けられたプレフィルタリングパラメータに従って無線送信機110によって線形フェージング伝送チャネル130を介して伝送されたコンスタレーションシンボルシンボルzの推定値z^を無線受信機220が取得できるようにするために、プレフィルタリングモジュール223および復号モジュール224を設定する。
【0143】
上述の事項に鑑みて、プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222は、次のチャネルモデル:
Φ
†Fy=Tz+η’
にマッチするために、プレフィルタリングモジュール223に行列F(選択された適切な量子化チャネル行列Δ
qに対応する)を提供し、復号モジュール224にユニモジュラ行列T(選択された適切な量子化チャネル行列Δ
qに対応する)を提供する。ただし、行列Φはプレフィルタリングモジュール223によってアプリオリに既知である。行列Φは、プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222によってアプリオリに既知であるので、プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222もまた、プレフィルタリングモジュール223に、行列Φまたは行列Φ
†を提供してもよい。
【0144】
特定の実施形態では、無線受信機220は、雑音白色化フィルタ(noise whitening filter)(コレスキー分解によって取得される上三角行列である行列Wによって表され、次のように定義される)を適用する:
Σ(F)
−1=W
†W
【0145】
言い換えると、雑音白色化フィルタWは、上述の行列Rと等価である。
【0146】
上述の事項に鑑みて、プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222は、プレフィルタリングモジュール223に、行列F(選択された適切な量子化チャネル行列Δ
qに対応する)および行列Wを提供する。プレフィルタリングパラメータ計算モジュール222は、次のチャネルモデル:
WΦ
†Fy=WTz+η’’
にマッチするために、復号モジュール224に、ユニモジュラ行列T(選択された適切な量子化チャネル行列Δ
qに対応する)および行列Wを提供する。ただし、η’’は恒等共分散行列を伴う雑音ベクトルである。
【0147】
図5は、線形フェージング伝送チャネル130を介して無線受信機220によって受信されるシンボルyを処理するためのアルゴリズムを概略的に表す。
図5のアルゴリズムの範囲内において、無線受信機220は、前もって、
図4のアルゴリズムの範囲内において説明されたように、適切な候補の量子化チャネル行列Δ
qおよび関連付けられたプレフィルタリングパラメータを用いるよう設定されていると考えられる。
【0148】
ステップS501において、無線受信機220は線形フェージング伝送チャネル130を介してシンボルyを受信する。線形フェージング伝送チャネル130を介した伝送の前に、無線送信機110は、無線受信機220によってアプリアリに既知の行列Φによって表されるプリコーディング演算を実行していてもよい(プリコーディング演算が実行されない時には、行列Φは恒等に等しい)。
【0149】
後続のステップS502において、無線受信機220は、受信シンボルyに、適切な量子化チャネル行列Δ
qに関連付けられたプレフィルタリングパラメータ(上述の行列Fによって表される)を適用する。無線受信機220は、さらに、無線送信機110によって実行されたプリコーディング演算を補償するために、プレフィルタリングパラメータを適用した後に、受信シンボルyに、さらに行列Φ
†を適用する。しかしながら、無線送信機110によってプリコーディング演算が実行されない時には、その場合には行列Φは恒等であるので、行列Φ
†を適用する必要はない。
【0150】
任意選択の、後続のステップS503において、無線受信機220は、上述の行列Wによって表される雑音白色化フィルタを適用する。
【0151】
後続のステップS504において、無線受信機220は、プレフィルタリングおよび任意選択の雑音白色化フィルタリングの結果として得られるシンボルを復号する。
【0152】
雑音白色化フィルタが適用されない時には、チャネルモデルは次のように表され得ることに注意する。
Φ
†Fy=Tz+η’
【0153】
したがって、無線受信機220は、ZF復号を用いてシンボルz’=Tzに関する判定を行い、その後、z=T
−1zを用いて、シンボルz’を、シンボルzの推定値z^に変換する。
【0154】
雑音白色化フィルタが適用される時には、チャネルモデルは次のように表され得ることに注意する。
WΦ
†Fy=WTz+η’’
【0155】
したがって、無線受信機220は、行列Wが等価チャネルを表すことを考慮し、SIC復号を用いてシンボルz’=Tzに関する判定を行い(行列Wは、SIC復号を実行するのに必要な三角特性(triangular character)を提供するので)、その後、z=T
−1zを用いて、シンボルz’を、シンボルzの推定値z^に変換する。