【実施例】
【0049】
以下の実施例は例示的なものであり、本明細書に記載の発明を限定するものではない。
【0050】
改善されたダプトマイシン固形調製物は、(a)実施例2aおよび2bに記載のとおり、ダプトマイシンおよび一つもしくは複数の糖またはグリシンを含む溶液から固形の薬用調製物を作る工程、および(b)実施例3に記載のとおり、ダプトマイシン溶液を固形の薬用調製物に(例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥により)変換する工程から得られた。その後、固形の薬用調製物は、水性希釈剤を加え、固形の薬用調製物を約4分以内で溶解することにより再構成できる。好ましくは、固形の薬用ダプトマイシン調製物は水性希釈剤に25℃で約1分以内に溶解する(任意に静かに撹拌される)。
【0051】
CUBICIN(登録商標)(即ち、グリシンまたは糖を含まないダプトマイシン)という商標で販売されている注射用ダプトマイシンのための添付文書によると:
「CUBICIN 500mgバイアルの内容物は、下記のとおり無菌操作を用いて再構成されるべきである。
注意:泡立ちを最小にするため、再構成の最中またはその後にバイアルを激しく撹拌または振盪することは避ける。
1.ゴム栓の中心部分を露出するために、CUBICINバイアルからポリプロピレンフリップオフキャップを取り外す。
2.目移し針をバイアルの壁面に向けて、ゴム栓の中心からCUBICINバイアルへ10mLの0.9%塩化ナトリウム注射液をゆっくりと移す。
3.CUBICIN生成物全部が確実に接液するようにバイアルを静かに回転させる。
4.生成物を10分間静置する。
5.必要に応じてバイアルの内容物を数分間静かに回転または渦が巻くように回し、完全に再構成された溶液を得る。」
【0052】
対照的に、改善されたダプトマイシン固形調製物は、糖またはグリシンを含まないダプトマイシンよりも水性希釈剤中で速く再構成する。特に好ましい固形調製物は、水性希釈剤中25℃において2分未満で再構成でき、より好ましくは、25℃において約1分未満で再構成できる。表6(
図5)および表5(
図6)は、500mgの固形ダプトマイシン調製物を10mLの0.9%塩化ナトリウム水性希釈剤に約25℃において溶解するために要した時間を測定することにより得た様々な固形ダプトマイシン調製物の再構成時間を示す。
【0053】
加えて、実施例は、実施例5に記載の固体状態および実施例6に記載の再構成された液体状態においてダプトマイシンのより高い化学的安定性を提供する、改善されたダプトマイシン固形調製物を記述する。改善されたダプトマイシン調製物は、無水ダプトマイシン(
図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(
図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(
図4)からなる群より選択される物質と比較してより多くのダプトマイシンを含むことができ、これは実施例4のHPLC法により測定される。好ましくは、固形ダプトマイシン調製物は、以下の工程により得られる:液体ダプトマイシン溶液を固体状態に変換する工程;次に実施例4に従って固体状態のものを再構成する工程;および再構成された液体について、表3のHPLCパラメータに従って214nmにおける合計HPLCピーク面積を測定する工程であって、ピークの少なくとも92%が再構成された溶液中のダプトマイシンから得られるものである、工程。固形ダプトマイシン調製物はダプトマイシン、ならびにショ糖、トレハロース、およびマンニトールからなる群より選択される一つまたは複数の糖、薬学的に許容される塩(例えば、塩化ナトリウム)、二塩基性リン酸ナトリウムなどの一つまたは複数の緩衝剤、および実施例4に従って作られた再構成された液体中の、表3のHPLCパラメータに従った214nmにおける合計HPLCピーク面積の8%を提供する物質からなり得る。
【0054】
表8(
図7)は様々なダプトマイシン薬用組成物を記載する。表8において「存在する成分のそれぞれのモル比」という表現は、ダプトマイシン対 [B]、[C]、および(存在する場合)[D]として掲載されている他の成分のモル比をその順番で意味する。例えば、組成物がダプトマイシン[A]および一つの賦形剤[B]を含む場合、モル比は、[A]:[B]として表示される。組成物が2つの賦形剤[B]および[C]を含む場合、モル比はダプトマイシン[A]:賦形剤[B]:賦形剤[C]などとして表現される。組成物がダプトマイシン[A]、ならびに賦形剤[B]および緩衝剤[D]を含む場合、モル比は[A]:[B]:[D]として表現される。
【0055】
表6(
図5)は、2分未満で水性希釈剤中において再構成するダプトマイシン組成物の非限定的な例を提供する。表7(
図6)は、約2分以上かけて水性希釈剤中で再構成する他のダプトマイシン組成物の例を提供する。表6および表7中の糖またはグリシンを含まないダプトマイシン組成物は、方法A(実施例1a)または方法B(実施例1b)のいずれかの後に実施例3に従った凍結乾燥を行うことにより得られた。表6および表7中の糖またはグリシンを含むダプトマイシン組成物は、方法A(実施例2a)または方法B(実施例2b)のいずれかの後に実施例3に従った凍結乾燥を行うことにより得られた。表6および7に記載のモル比は、表1に記載の分子量に従って計算された。
【0056】
(表1)ダプトマイシンおよび賦形剤の分子量
【0057】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照すれば更に理解されよう。これらの実施例はあくまで例示を目的として提供したものであり、どのような形ででも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0058】
実施例1A:比較調製法A(糖またはグリシンを含まずpH4.7にてダプトマイシンを凍結乾燥)
糖またはグリシンを含まない比較用ダプトマイシン製剤の配合は、冷却条件下(2〜10℃)で実施された。ダプトマイシン有効薬用成分(API)は、濃度範囲が125〜130 mg/mL、pHが3.0の凍結した液体として供給された。配合を行うには先ず液体ダプトマイシンAPIを得(例えば、pH約3.0で提供された凍結ダプトマイシンAPIの解凍)、次に3N NaOHを用いてpHを標的pHである約4.7に調製した。バルク溶液を更に標的濃度である105 mg/mLまでsWFIで希釈し、これを混ぜることにより溶液の均一性を確保した(これも2〜10℃で行った)。バルク溶液には、0.2μm濾過を行い、これを10mLバイアルに充填し、次に実施例3に概要が示されているとおり現在の凍結乾燥サイクルに従って凍結乾燥を行った。薬用製剤には窒素下で栓をつけ、密封した。
【0059】
実施例1B:比較調製法B(糖またはグリシンを含まずpH7.0にてダプトマイシンを凍結乾燥)
バルク製剤の配合は冷却条件下(2〜10℃)で実施された。ダプトマイシンAPIは、濃度範囲が125〜130mg/mL、pHが3.0の凍結した液体として供給された。バルク製剤の配合にはAPIを解凍する工程、次に3N NaOHを用いて冷却条件下(2〜10℃)でpHを標的pHである約7.0に調製する工程、その後標的濃度である105mg/mLまでsWFIで希釈し、これを混ぜることにより溶液の均一性を確保する工程が用いられた。製剤化された医薬品には、0.2μm濾過を行い、これを10mLバイアルに充填し、次に実施例3に概要が示されているとおり改変された凍結乾燥サイクルに従って凍結乾燥を行った。薬用製剤には窒素下で栓をつけ、密封した。
【0060】
実施例2A:調整方法A(pH4.7における凍結乾燥)
改善されたダプトマイシン製剤の配合は、冷却条件下(2〜10℃)で実施された。ダプトマイシン有効薬用成分(API)は、濃度範囲が125〜130mg/mL、pHが3.0の凍結した液体として供給された。配合を行うには先ず液体ダプトマイシンAPIを得(例えば、pH約3.0で提供された凍結ダプトマイシンAPIの解凍)、次に3N NaOHを用いてpHを標的pHである約4.7に調製し、その後糖(例えば、ショ糖)を加えた。バルク溶液を更に標的濃度である105mg/mLまでsWFIで希釈し、これを混ぜることにより溶液の均一性を確保した(これも2〜10℃で行った)。バルク生成物溶液には、0.2μm濾過を行い、これを10mLバイアルに充填し、次に実施例3に概要が示されているとおり現在の凍結乾燥サイクルに従って凍結乾燥を行った。薬用製剤には窒素下で栓をつけ、密封した。糖は粉末または適当な溶液、例えばsWFI、として加えられた。
【0061】
実施例2B:調整方法B(pH7.0における凍結乾燥)
改善されたダプトマイシン製剤の配合は、冷却条件下(2〜10℃)で実施された。ダプトマイシンAPIは、濃度範囲が125〜130 mg/mL、pHが3.0の凍結した液体として供給された。バルク製剤の配合にはAPIを解凍する工程、次に冷却条件下(2〜10℃)で3N NaOHを用いてpHを標的pHである約4.7に調製する工程、次に緩衝剤(例えば、リン酸およびクエン酸)を添加し、その後のグリシンまたは糖(ショ糖、トレハロース、マンニトール)を添加する工程が用いられた。賦形剤(糖、緩衝剤)が完全に溶解したら、溶液のpHは3N NaOHを用いて4.7から7.0に調節され、標的濃度である105mg/mLまでsWFIで希釈し、これを混ぜることにより溶液の均一性を確保した。製剤化された医薬品には、0.2μm濾過を行い、これを10mLバイアルに充填し、次に実施例3に概要が示されているとおり改変された凍結乾燥サイクルに従って凍結乾燥を行った。薬用製剤には窒素下で栓をつけ、密封した。
【0062】
実施例3:方法AおよびBにより調製された組成物の凍結乾燥
生成物の入ったバイアルは5±4℃で凍結乾燥機に入れられ、各棚に無作為に分散して置いた。組成物は乾燥するまで凍結乾燥し、窒素で埋め戻し、真空下で栓をつけた。栓の取り付けが完了したら、凍結乾燥ユニットに濾過した窒素を用いてブリードさせ大気圧に戻し、生成物の入ったバイアルはアルミニウムシールで蓋をするためにユニットから取り出された。様々な製剤のためのサイクルパラメータは、表2にまとめられている。
【0063】
(表2)様々な組成物用の凍結乾燥サイクルパラメータのまとめ
1NLT=以上
【0064】
実施例4:ダプトマイシンおよびダプトマイシンと構造的に類似している物質の量の測定
記述の無い限り、ダプトマイシンおよびダプトマイシンと構造的に類似している三種の化合物(
図2〜4)の量は、紫外(UV)検出装置を備えた高速液体クロマトグラフィー機器であるAgilent 1100または1200を用いて、ダプトマイシンを含む再構成された水溶液におけるHPLC解析を用いて測定された。ピーク面積は、Waters Empower2 FR5 SPF Build 2154ソフトウェアを用いて測定した。記述の無い限り、固形ダプトマイシン調製物のパーセント純度は、500mgの固形ダプトマイシン調製物を10mLの水性希釈剤中で再構成することにより再構成されたダプトマイシン溶液を作り、次に再構成された試料の214nmにおける吸光度を表3のHPLCパラメータを使用したHPLCで測定することにより決定された。固形ダプトマイシン調製物中のダプトマイシンのパーセント純度は、表3および下記の式のとおり、再構成されたダプトマイシン溶液のHPLCから214nmで測定された全曲線下面積で割られたダプトマイシンの214nmで測定された吸光度(曲線下面積)の割合からから計算された。純度92%ダプトマイシンサンプルにおいては、面積%が0.05以上の全てのピークから得られた合計ピーク面積の92%がダプトマイシンによるものであった。
【0065】
更に、ダプトマイシンと構造的に類似している3種の物質の量は、表3に従って、214nmでHPLCを用いて検出することができる:無水ダプトマイシン(
図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(
図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(
図4)。記述の無い限り、固形ダプトマイシン調製物中のこれらの物質の量は、表3に従ってHPLCにより測定されるものであり、500mgの固形ダプトマイシン調製物を10mLの水性希釈剤中で再構成することにより再構成されたダプトマイシン溶液を作り、再構成されたダプトマイシンの214nmにおける吸光度を表3に記載のパラメータを使用したHPLCで測定した。
【0066】
(表3)
【0067】
ダプトマイシンの純度は、HPLCデータに基づいて計算され、計算は下記のように行われた:
・下記の式を用いてダプトマイシンと構造的に類似している各物質の面積%を計算した:
214nmでの吸光度を用いて決定された、ダプトマイシンと構造的に類似している全ての物質およびダプトマイシンの面積%
ダプトマイシンおよび0.05面積%以上の他のピークの全てについてその面積を計算する
%面積=(A
i/A
tot)
x 100%
ここで、
%面積=個々のピークの面積%
A
i=個々のピークのピーク;および
A
tot=ダプトマイシンを含む合計試料ピーク面積。
・下記の式を用いてダプトマイシンと構造的に類似している物質全部の面積%を計算した:
ダプトマイシンと構造的に類似している物質全部の面積%は、報告された個々の物質から得られた面積%値の全ての合計に等しい(全ての不純物の合計=/>0.05%)。
・*以下の式を用いて面積%に換算したダプトマイシンの%純度を計算する:
%ダプトマイシン=100%−ダプトマイシンと構造的に類似している全部の物質の%。
【0068】
実施例5:固形の薬用組成物中のダプトマイシンの化学的安定性の測定
これは、糖またはグリシンを含まないダプトマイシン組成物および特定の還元糖を含むダプトマイシン組成物と比較して、ショ糖、マンニトール、トレハロース、およびグリシンを含む特定の好ましい組成物中の固形の薬用ダプトマイシン組成物のダプトマイシンの増大した化学的安定性を示す実施例である。
【0069】
様々な固形の薬用ダプトマイシン組成物の化学的安定性は、様々な温度(2〜8℃、25℃、および40℃)でバイアル内に組成物を入れることにより評価した。固形の薬用ダプトマイシン組成物は、実施例2a(pH4.7における方法A)または実施例2b(pH7.0における方法B)に従って調製された液体組成物を凍結乾燥または噴霧乾燥することにより得られた。凍結乾燥は、実施例3に従って実施された。約500mgの固形ダプトマイシン調製物を10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に溶解することにより作られた再構成された溶液において、ダプトマイシンおよびダプトマイシンに関連した三種の不純物は、実施例4のHPLC法を用いて測定された。実施例4に従って計算された合計ダプトマイシン純度は、40℃で維持された様々な固形の薬用ダプトマイシン組成物の入ったバイアルの0、1、2、3、および6ヶ月目の測定に関してプロットを行った。毎月の合計ダプトマイシン純度のプロットに最も適合した直線回帰の傾斜は、各固形の薬用ダプトマイシン製剤について計算された(傾斜は%合計ダプトマイシン純度/月)。
【0070】
表4のデータは、ショ糖を含まない注射用の再構成された固形ダプトマイシンより得られた傾斜に標準化された、各固形ダプトマイシン調製物の傾斜の比率を示すものである。表4によると、カラムAにおける比率は、実施例2a中の方法Aに従って調製された固形調製物より得られ(即ち、pH4.7でダプトマイシンを含む溶液より得られ)、一方カラムBにおける比率は、実施例2b中の方法Bに従って調製された固形調製物より得られた(即ち、ダプトマイシンをpH7.0で含み、更に50mMのリン酸ナトリウム緩衝剤を含む溶液より得られた)。「*」の印が付いている比率は、元々噴霧乾燥により固体に変換された固形ダプトマイシン調製物から得られたものであり;他のサンプルは全て元々凍結乾燥により固体に変換された固形ダプトマイシン調製物より得られたものである(実施例3)。表4において「NT」と記された値は未試験のものである。表4中の全ての比率は、40℃で0(即ち、固形材料が作られた後)、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、および6ヶ月保存された際に測定した、
図2〜4に示したダプトマイシンと構造的に類似している物質に対するダプトマイシン(
図1)の合計純度の測定値の直線回帰から得られ、ここでダプトマイシンおよびダプトマイシンと構造的に類似している物質の量は実施例4に従って検出され計算された。表4中の比率は、注射用ダプトマイシンに対するダプトマイシンの合計純度の割合の変化を示す(方法Aおよび方法Bの調製物については1.00に標準化した)。1.00以下の比率は、ダプトマイシン合計純度が減少する速度の低下、または注射剤用ダプトマイシンのショ糖非存在下におけるダプトマイシンの化学的安定性と比較して、製剤中のダプトマイシンの増大した化学的安定性を示す。従って、表4中の比率が低いほど、
図2〜4のダプトマイシンに構造的に類似している物質と比較して、相当する製剤中のダプトマイシンは更に安定である。
【0071】
(表4)注射用ダプトマイシンに対する1ヶ月あたりのダプトマイシン合計純度の%変化の比率(6ヶ月)
NT=未試験
*=凍結乾燥ではなく、噴霧乾燥による調製
【0072】
表4中のデータは、15%ショ糖を含む固形の薬用ダプトマイシン組成物中のダプトマイシンが、方法A(実施例2a)に従って調製された製剤中の注射用ダプトマイシンと比較してその化学的安定性が約84%増加し、方法B(実施例2b)に従って調製された製剤中の注射用ダプトマイシンと比較してその化学的安定性が96%増加することを示す。同様に、20.0%ショ糖を含む固形の薬用ダプトマイシンは、ショ糖を含まないダプトマイシン(即ち、注射用ダプトマイシン)と比較してダプトマイシンの化学的安定性が約78%(方法A)および87%(方法B)増大した。従って、15〜20%のショ糖を凍結乾燥されたダプトマイシン組成物に組み合わせる工程は、ダプトマイシンの化学的安定性を少なくとも78%、最大96%まで増大した。対照的に表4は、ダプトマイシンが、ダプトマイシンならびにラクトース、マルトース、果糖、および/またはデキストロースを含む製剤においては、約2〜9倍不安定であることを示す。従って、表4は、実施例2aおよび2bの方法(それぞれ方法AおよびB)により調製されたダプトマイシンは、非還元糖またはグリシンを組み合わせた場合には(糖またはグリシンを含まないダプトマイシンと比較して)安定化される一方、還元糖を含む製剤においてはダプトマイシンの安定性が低下することを示す。
【0073】
図8は実施例4に従って様々なダプトマイシン製剤について測定および計算した合計ダプトマイシン純度のパーセント変化を示す表9を示す図である。表9に挙げられている「PO4」とは、二塩基性リン酸ナトリウム緩衝剤を含む製剤を意味する。表9に挙げられている「pH」の値は、製剤が配合された時のpHを意味する(即ち、表9のデータを得るために試験された固形ダプトマイシン製剤を作るために凍結乾燥したダプトマイシン製剤溶液のpH)。NT=未試験。
【0074】
表9のデータを得るために、実施例4の方法に従って固形ダプトマイシン製剤を再構成し、ダプトマイシンの純度を測定する前に各固形ダプトマイシン製剤を40℃で様々な期間(1、2、3、または6ヶ月)維持した。
【0075】
表9は、以下の工程により計算されたダプトマイシン安定比を示す:
1.実施例1bに従って配合された対照サンプル(糖またはグリシンを含まない、商用製品である注射用ダプトマイシン)を調製し、製剤化後、実施例4に従って対照サンプルの合計パーセントダプトマイシン純度を測定する工程;
2.特定の期間40℃で対照サンプルを保存した後、実施例4に従って対照サンプルの合計パーセントダプトマイシン純度を測定し、製剤化後の合計ダプトマイシン純度からその期間保存した後の合計パーセントダプトマイシン純度を差し引き、合計対照パーセント純度損失を提供する工程;
3.ある期間(例えば、1ヶ月、2ヶ月、など)40℃で製剤を保存した後、実施例4に従って各製剤の合計パーセントダプトマイシン純度を測定し、製剤化後の対照サンプルの合計ダプトマイシン純度からその期間保存した後の合計パーセント純度を差し引き、合計製剤ダプトマイシンパーセント純度損失を提供する工程;および
4.ある貯蔵期間後の合計対照パーセント純度損失(工程2より得られる)で同じ貯蔵期間後各製剤より得られた合計製剤ダプトマイシンパーセント純度損失(工程3より得られる)を割算することにより40℃におけるダプトマイシン安定比を計算する工程:
【0076】
各ダプトマイシン安定比を計算するために工程2〜4は繰返される。ダプトマイシン安定比は製剤と同じ期間保存された別の対照サンプルを用いて計算される。例えば、40℃で1ヶ月貯蔵した製剤について計算されたダプトマイシン安定比の値は、製剤について工程3で得られた値を、40℃で1ヶ月所蔵した(即ち、工程3で分析された製剤の場合と同じ貯蔵期間および貯蔵条件)対照について工程2から得られた値で割算することにより得られた。同様に、2ヶ月の時点におけるダプトマイシン安定比の値は、工程3で使用された製剤と同様の条件下で2ヶ月貯蔵された対照サンプルを用いて計算される。
【0077】
表9において1.000未満のダプトマイシン安定比は、40℃における相当する貯蔵期間後、糖またはグリシンを含まないダプトマイシンの対照サンプル(工程1に従って配合)よりもサンプル製剤において、高い合計ダプトマイシンパーセント純度として測定される(実施例4により測定)、より高いダプトマイシンの化学的安定性を相当する製剤が有することを示す。好ましい組成物は、ダプトマイシン安定比が0.800未満であり、より好ましくは0.500未満、最も好ましくは0.300未満のダプトマイシン安定比を有する。
【0078】
表9のデータは、糖を含まないダプトマイシンよりも、非還元糖を含み緩衝剤とpH7.0で配合されたダプトマイシン組成物の方が、ダプトマイシンが一般的に、更に化学的に安定であることを示す(水性希釈剤において再構成後、実施例4に従ってダプトマイシンの改善した純度より測定)。特に、方法A(実施例2a)または方法B(実施例2b)に従って配合された15%ショ糖を含む製剤は、試験されたサンプルの中でも非常に高レベルのダプトマイシン化学的安定性を提供し、糖またはグリシンを含まない比較製剤0のダプトマイシンに見られるレベルよりも著しく高いレベルのダプトマイシンの化学的安定性を12ヶ月間に渡って提供した。ショ糖‐マンニトール製剤も、糖またはグリシンを含まないダプトマイシン比較製剤0に対するダプトマイシンの化学的安定性の改善を提供した。例えば、全て方法A(実施例2a)に従って配合された10%ショ糖/3%マンニトール、10%ショ糖/6%マンニトール、および15%ショ糖/6%マンニトールは、方法A(実施例2a)に従って配合された15%ショ糖/6%マンニトール製剤と比較して、著しく改善されたダプトマイシンの安定性を提供した。方法B(実施例2b)に従って調製された5%グリシン製剤も顕著なダプトマイシンの安定性を提供し、一方で方法A(実施例2a)より得られた相当する5%グリシン製剤は糖またはグリシンを伴わないダプトマイシン(製剤0)よりも安定性が低かった。表9のショ糖を含む全てのダプトマイシン製剤は比較製剤0における糖またはグリシンを伴わないダプトマイシンと比較すると、増加したダプトマイシンの化学的安定性を示した(実施例4による測定)。
【0079】
実施例6:液状再構成薬用組成物におけるダプトマイシンの化学的安定性の測定
本実施例は、ショ糖を含まない同等の組成物と比較してショ糖を含む相当する組成物において、再構成された薬用ダプトマイシン組成物中のダプトマイシンが増加した化学的安定性を有することを示す。
【0080】
様々な液状薬用ダプトマイシン組成物の化学的安定性は、バイアルに入れた組成物を様々な温度に置くことにより評価した(5℃および40℃)。液状再構成薬用ダプトマイシン組成物は、約500mgの固形ダプトマイシン調製物を10mLのsWFI中で再構成することにより得られた。各固形ダプトマイシン調製物は、実施例1(pH4.7において方法A)または実施例2(pH7.0において方法B)に従って調製された液体組成物を凍結乾燥または噴霧乾燥することにより得られた。凍結乾燥は、実施例3に従って実施された。ダプトマイシンの量およびダプトマイシンに関連した不純物の量は、溶解することにより作られた再構成溶液において、実施例4のHPLC法を用いて測定された。5℃または40℃で保持された様々な固形の薬用ダプトマイシン組成物を含むバイアルについて0、3、7および14日目の測定に関して、実施例4に従って%ダプトマイシンを測定および計算した。
【0081】
表5のデータは、ショ糖を含まない再構成された注射用固形ダプトマイシンから得られた%ダプトマイシンに標準化された各測定における%ダプトマイシンの量を示す。表5によると、各サンプルは、「方法」の欄に記載のように、実施例1の方法A(即ち、pH4.7でダプトマイシンを含む溶液より得られる方法)または実施例2の方法B(pH7.0でダプトマイシンを含む溶液であって、更に50mMのリン酸ナトリウム緩衝剤を含む溶液より得られる方法)により調製された固形の薬用ダプトマイシン組成物より各サンプルが再構成された。再構成された液体の温度は、「温度(℃)」の欄に摂氏で示されている。表5の1.000未満の数値は、特定の温度において、0日目の注射用ダプトマイシンよりも低い%ダプトマイシン純度を示す。全ての記入値は、相当する温度における注射用ダプトマイシン測定値に対して標準化されている(例えば、5℃で得られた全ての測定値は、5℃で注射用ダプトマイシンについて測定された%ダプトマイシンに対して標準化された)。従って、
図2〜4のダプトマイシンと構造的に類似している物質に関して、相当する製剤における再構成された液体状態の場合、表5における数値が1.000に近いほど、ダプトマイシンはより安定である。
【0082】
(表5)再構成された溶液中で測定された%ダプトマイシン
NT=未試験
【0083】
表5中のデータは、15%ショ糖を含む液状再構成薬用ダプトマイシン組成物中の%ダプトマイシンの合計が、25℃において14日経過した注射用ダプトマイシン(ショ糖を含まない)よりも顕著に安定であることを示す(ショ糖含有製剤が0.9184であるのに対して、ショ糖を含まない注射製剤用ダプトマイシンは0.7410である)。これは、主にダプトマイシン、約15%ショ糖、および50mMリン酸ナトリウムからなる再構成された組成物の存在下、再構成された溶液においてダプトマイシンの化学的安定性が約23%増加したことを示す。従って、ダプトマイシンの15%ショ糖含有製剤は、再構成された後の室温におけるダプトマイシンの化学的安定性が驚くほど増大され、貯蔵期間が改善されていることが示された。
【0084】
追加の例示的態様
実施例に支持される本発明の幾つかの具体的な態様は以下を含む:
【0085】
1.ダプトマイシン、ならびにグリシンもしくは非還元糖を含む固形の薬用組成物であって、該組成物が増加した再構成速度を有し、増加した再構成速度が、500mgの組成物が10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液中、25℃で穏やかに渦が巻くように回転される条件下5分以内、具体的には2分未満または1分未満の間に溶解することに特徴付けられる、組成物。
【0086】
2.組成物が凍結乾燥されたダプトマイシンと比較して増大した再構成における化学的安定性を有し、再構成が0.9%塩化ナトリウム水溶液中25℃で起こり、増大した再構成における化学的安定性が、無水ダプトマイシン(
図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(
図3)、および/またはダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(
図4)に対するダプトマイシンの量が凍結乾燥されたダプトマイシンにおける相当する量よりも多いことに特徴付けられる、具体的態様1に記載の薬用組成物。
【0087】
3.組成物が凍結乾燥されたダプトマイシンと比較して増大した貯蔵における化学的安定性を有し、両方の試料を窒素雰囲気下40℃で少なくとも3ヶ月間組成物を貯蔵した後0.9%塩化ナトリウム水溶液中で再構成した場合に、増大した貯蔵における化学的安定性が、無水ダプトマイシン(
図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(
図3)、および/またはダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(
図4)に対するダプトマイシンの量が凍結乾燥されたダプトマイシンにおける相当する量よりも多いことに特徴付けられる、具体的態様1〜2のいずれか一つに記載の薬用組成物。
【0088】
4.組成物が、以下の工程を含むプロセスより作られる、具体的態様1〜4のいずれか一つに記載の薬用組成物:
a.ダプトマイシン、緩衝剤、ならびに非還元糖もしくはその組み合わせ、またはグリシンからなるダプトマイシン水溶液を作り、pHを約5〜8、具体的には6.5〜7.5または約7に調製する工程;および
b.ダプトマイシン水溶液を固形組成物に変換、特に凍結乾燥により変換する工程。
【0089】
5.組成物が非還元糖またはその混合物を、該非還元糖を含まない実質的に同一の組成物と比較してダプトマイシンの分解速度を減少させるのに有効な量含む組成物であって、分解速度が窒素雰囲気下40℃で少なくとも3ヶ月間組成物を貯蔵した後の各々におけるダプトマイシンの減少と定義される、具体的態様1〜5のいずれか一つに記載の薬用組成物。
【0090】
6.糖が非還元性二糖類、凍結乾燥後は実質的に無定形である糖類、ショ糖、デキストラン、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、またはその組み合わせより選択される、具体的態様1〜6のいずれか一つに記載の薬用組成物。
【0091】
7.糖またはグリシンが、組成物全体の重量に基づいて約1〜40重量%、具体的には約5〜20重量%または約15重量%の量で使用される、具体的態様1〜7のいずれか一つに記載の薬用組成物。
【0092】
8.ダプトマイシンならびにショ糖、トレハロース、マンニトール、もしくはその混合物より選択される糖を、凍結乾燥したダプトマイシンを0.9%塩化ナトリウム水溶液中で再構成することにより得られる溶液と比較してダプトマイシンの分解速度を減少させるのに有効な量含む液体薬用組成物であって、分解速度が25℃で少なくとも7日間液体組成物を貯蔵した後の各々におけるダプトマイシンの減少と定義される、組成物。
【0093】
9.具体的態様1〜8のいずれか一つに記載の組成物を調製する方法であって、下記の工程を含む方法:
a.ダプトマイシン調製物を提供する工程;
b.ソルビトール、マンニトール、ショ糖、グリシン、トレハロース、ラクトース、マルトース、果糖、およびデキストロースより任意で選択される、少なくとも一つの賦形剤を加える工程;
c.所望のpHを得るためにpH調整剤を任意で加える工程;
d.工程cの溶液をsWFIで任意で希釈する工程;
e.工程dの溶液を任意で濾過する工程;および
f.組成物を粉末状のものに変換する工程。
【0094】
10.ダプトマイシンおよびグリシンまたは非還元糖を含む固形の薬用組成物であって、組成物が増加した再構成速度を有し、増加した再構成速度が、500mgの組成物が10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液中、25℃で穏やかに渦が巻くように回転される条件下5分以内、具体的には2分未満または1分未満の間に溶解することに特徴付けられ;固形の薬用組成物の更なる特徴として、0.9%塩化ナトリウム水性希釈剤中のダプトマイシンおよびダプトマイシン関連化合物を凍結乾燥することにより得られる固形の薬用ダプトマイシン調製物と比較して、窒素雰囲気下40℃で1ヶ月貯蔵された後、ダプトマイシン調製物は、より低い量の、無水ダプトマイシン(
図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(
図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(
図4)からなる群より選択される一つまたは複数の物質を含有し、ここで物質の量は、実施例4の方法に従って214nmでHPLCにより検出される、組成物。
【0095】
具体的な態様1〜10のいずれか一つは、ダプトマイシン安定比が1.000未満、0.900未満、0.800未満、0.700未満、0.600未満、0.500未満、0.400未満、0.300未満、0.200未満、または0.100未満である固形ダプトマイシン調製物に関係し得、ダプトマイシン安定比は、実施例5に従って40℃で計算される。
【0096】
他の組成物には、粉末やダプトマイシン、ならびにソルビトール、マンニトール、ショ糖、グリシン、トレハロース、ラクトース、マルトース、果糖、およびデキストロースより選択される少なくとも一つの賦形剤を含む薬用組成物が含まれる。
【0097】
a.500mgのダプトマイシン;
b.714.3 mgのショ糖;および
c.35.5 mgの二塩基性リン酸ナトリウム
を含み、組成物がpH約7で配合される、請求項1記載の組成物。
【0098】
a.500mgのダプトマイシン;
b.476.2 mgのショ糖;
c.142.9 mgのマンニトール;および
d.35.5 mgの二塩基性リン酸ナトリウム
を含み、組成物がpH約7で配合される、請求項1記載の組成物。
【0099】
a.500mgのダプトマイシン;
b.476.2 mgのショ糖;
c.285.8 mgのマンニトール;および
d.35.5 mgの二塩基性リン酸ナトリウム
を含み、組成物がpH約7で配合される、請求項1記載の組成物。
【0100】
一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシンおよびショ糖からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH7.0未満において約1分未満で溶解することを特徴とする。一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシン、ショ糖、およびリン酸ナトリウム緩衝剤からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解することを特徴とする。一つの固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシン、ショ糖、および緩衝剤からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解し、ダプトマイシン調製物が、15〜20%w/vのショ糖を含むダプトマイシン溶液をダプトマイシン調製物に変換することにより(例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥を用いて)得られることを特徴とする。一つの固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシン、ショ糖、および二塩基性リン酸ナトリウムからなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解し、ダプトマイシン調製物が、15〜20%w/vのショ糖および50mM二塩基性リン酸ナトリウムを含むダプトマイシン溶液をダプトマイシン調製物に変換することにより(例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥を用いて)得られることを特徴とする。
【0101】
一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、214nmで検出されたHPLCピーク面積の少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、または少なくとも98%(実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシンにより提供されたものであり、組成物はダプトマイシン、実施例3に従ったHPLCにより214nmで検出されたその他の材料、グリシン、または一つもしくは複数の糖、およびリン酸ナトリウム緩衝剤からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解することを特徴とする。
【0102】
一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシンおよびトレハロースからなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH7.0未満において約1分未満で溶解することを特徴とする。一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシン、トレハロース、およびリン酸ナトリウム緩衝剤からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解することを特徴とする。
【0103】
一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシンおよびグリシンからなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH7.0未満において約1分未満で溶解することを特徴とする。
【0104】
一部の固形ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%は、ダプトマイシン、マンニトール、およびショ糖からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH7.0未満において約1分未満で溶解することを特徴とする。一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%は、ダプトマイシン、マンニトール、ショ糖、およびリン酸ナトリウム緩衝剤からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解することを特徴とする。
【0105】
非経口投与用のダプトマイシン薬用組成物を作る方法も提供される。該方法は、非経口投与用の組成物を作るために、非還元糖またはグリシンを含む固形ダプトマイシン組成物を薬学的に許容される希釈剤中で再構成する工程を含み得る。
【0106】
本発明の組成物は、様々な方法により作ることができる。一つの局面において、組成物は下記の工程により作られる:
a.ダプトマイシン調製物を供給する工程;
b.ソルビトール、マンニトール、ショ糖、グリシン、トレハロース、ラクトース、マルトース、果糖、およびデキストロースより選択される、少なくとも一つの賦形剤を加える工程;
c.所望のpHを得るためにpH調整剤を加える工程;
d.工程cの溶液をsWFIで希釈する工程;
e.工程dの溶液を濾過する工程;および
f.組成物を粉末状のものに変換する工程。
【0107】
本発明の別の局面においては、例えばpH7において緩衝剤と組み合わせた請求項1記載の組成物を調製する方法が提供される。このプロセスは下記の工程を含む:
a.ダプトマイシン調製物を供給する工程;
b.pH約4.7〜6.0の溶液を得るためにpH調整剤を加える工程;
c.緩衝剤を加える工程;
d.ソルビトール、マンニトール、ショ糖、グリシン、トレハロース、ラクトース、マルトース、果糖、およびデキストロースより選択される、少なくとも一つの賦形剤を加える工程;
e.pH約7.0を得るためにpH調整剤を加える工程;
f.バルク溶液をsWFIで希釈する工程;
g.工程fの溶液を濾過する工程;および
h.固形ダプトマイシン組成物を得るために、組成物を粉末の状態に変換する工程。
【0108】
本発明の別の局面においては、例えばpH7において緩衝剤と組み合わせた請求項1記載の組成物を調製する方法が提供される。このプロセスは下記の工程を含む:
a.ダプトマイシン調製物を供給する工程;
b.pH約4.7〜6.0の溶液を得るためにpH調整剤を加える工程;
c.緩衝剤を加える工程;
d.ソルビトール、マンニトール、ショ糖、グリシン、トレハロース、ラクトース、マルトース、果糖、およびデキストロースより選択される、少なくとも一つの賦形剤を加える工程;
e.pH約7.0を得るためにpH調整剤を加える工程;
f.バルク溶液をsWFIで希釈する工程;
g.工程fの溶液を濾過する工程;および
h.請求項1記載の組成物を得るために、組成物を粉末の状態に変換する工程。
【0109】
本発明の複数のその他の態様が説明されている。しかしながら、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができるものと理解される。従って、他の態様は下記の請求項の範囲内である。