(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排ガス流路は、前記燃料電池モジュールより排出される排ガスが上方から下方へ流れる流路と、該排ガスが下方から上方へ流れて前記排気口とつながる流路を備える請求項5に記載の燃料電池装置。
【発明を実施するための形態】
【0006】
燃料電池装置は、まだまだサイズが大きく、特にマンション等の設置可能な場所が少ない建物では設置が難しい場合があり、より小型化の燃料電池装置が求められている。
【0007】
本実施形態の燃料電池装置においては、熱交換器が収納容器の側方に配置されていることで、高さ方向における小型化が可能となる。以下、本実施形態の燃料電池装置について、図を用いて詳細に説明する。
【0008】
図1は、本実施形態の燃料電池装置の一部を抜粋した一例を示す外観斜視図である。また、
図2は、
図1に示すセルスタック装置の一部を抜粋して示す側面図であり、(b)は(a)で示すセルスタック装置の一部を抜粋して示す平面図である。なお、以降の図において同一の部材については同一の番号を付するものとする。
【0009】
図1においては、本実施形態の燃料電池装置のうち、収納容器2および収納容器2に収納され燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池セル3を備えるセルスタック装置12を有する燃料電池モジュール(以下、モジュールという場合がある。)1と、モジュール1より排出される排ガスと媒体(水等)とで熱交換を行なうための熱交換器13と、を抜粋して示している。以下に、まずモジュール1について説明する。
【0010】
本実施形態のモジュール1は、収納容器2の内部に、マニホールド4に2つのセルスタック5が固定されているセルスタック装置12が収納されている。セルスタック5は、内部を燃料ガスが流通する燃料ガス流路(図示せず)を有する燃料電池セル3を立設させた状態で一列に配列している。隣接する燃料電池セル3は、間に集電部材(
図1においては図示せず)を配置して電気的に直列に接続されている。また、燃料電池セル3の下端が、ガラスシール材等の絶縁性接合材(図示せず)でマニホールド4に固定されている。また、セルスタック5の上方には、燃料電池セル3に供給する燃料ガスを生成するための改質器6が配置されている。なお、セルスタック5の両端部には、セルスタック5(燃料電池セル3)の発電により生じた電気を集電して外部に引き出すための、電気引き出し部を有する導電部材が配置されている(図示せず)。なお、
図1においては、セルスタック装置12が2つのセルスタック5を備えている場合を示しているが、適宜その個数は変更することができる。例えばセルスタック5を1つだけ備えていてもよい。また、セルスタック装置12を、改質器6を含むものとすることもできる。
【0011】
また、
図1においては、燃料電池セル3として、内部を燃料ガスが長手方向に流通する燃料ガス流路を複数有する中空平板型を示している。具体的には、燃料ガス流路を有する支持体の表面に、燃料極層、固体電解質層および酸素極層を順に積層してなる固体酸化物形の燃料電池セル3を例示している。なお、燃料電池セル3の間に酸素含有ガスが流通する。燃料電池セル3の構成については後述する。
【0012】
また、本実施形態の燃料電池装置においては、燃料電池セル3が固体酸化物形の燃料電池セルであればよく、例えば平板型や円筒型とすることもでき、あわせて収納容器2の形状も適宜変更することができる。
【0013】
また、
図1に示す改質器6においては、原燃料供給管10を介して供給される天然ガスまたは灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成する。なお、改質器6は、効率のよい改質反応である水蒸気改質を行うことができる構造とすることができる。改質器6は、水を気化させるための気化部7と、原燃料を燃料ガスに改質するための改質触媒(図示せず)が配置された改質部8と、を備えている。そして、改質器6で生成された燃料ガスは、燃料ガス流通管9を介してマニホールド4に供給され、マニホールド4より燃料電池セル3の内部に設けられた燃料ガス流路に供給される。
【0014】
また
図1においては、収納容器2の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されるセルスタック装置12を後方に取り出した状態を示している。ここで、
図1に示したモジュール1においては、セルスタック装置12を、収納容器2内にスライドして収納することができる。
【0015】
なお、収納容器2の内部には、酸素含有ガス導入部材11が配置されている。酸素含有ガス導入部材11は、マニホールド4に並置されたセルスタック5の間に配置され、酸素含有ガスが燃料電池セル3の側方を下端部から上端部に向けて流れるように配置されている。
【0016】
以下、
図2を用いて本実施形態のセルスタック装置12について説明する。なお、
図2(b)において、(a)で示した点線枠で囲った部分に対応する部分を明確とするために矢印にて示している。
【0017】
図2に示すセルスタック装置12においては、燃料電池セル3の複数個を、それぞれの燃料電池セル3間に集電部材16を介して立設させた状態で配列して、電気的に直列に接続してセルスタック5としている。セルスタック5は、各燃料電池セル3の下端部が、燃料電池セル3に燃料ガスを供給するマニホールド4に固定されている。
【0018】
また、セルスタック装置12は、端部に配置された集電部材16を介して燃料電池セル3の配列方向の両端からセルスタック5を挟持するように、マニホールド4に下端が固定された導電部材17を具備している。
【0019】
図2(a)に示す導電部材17においては、燃料電池セル3の配列方向に沿って外側に向けて延びた形状で、セルスタック5(燃料電池セル3)の発電により生じる電流を引出すための電流引出し部18が設けられている。
【0020】
以下、
図2に示す燃料電池セル3を用いて、燃料電池セル3の構成を説明する。
【0021】
燃料電池セル3は、一対の対向する平坦面をもつ柱状の導電性支持体23(以下、支持体23と略す場合がある。)の一方側の平坦面上に燃料極層19と、固体電解質層20と、酸素極層21とが順に積層されている。なお、燃料極層19、固体電解質層20および酸素極層21がこの順に積層された部位が、燃料電池セル3に供給される燃料ガスと酸素含有ガスとで発電する発電部となる。
【0022】
さらに、燃料電池セル3の他方側の平坦面上にはインターコネクタ22が設けられており、支持体23の内部には、燃料ガスを流すための燃料ガス流路24が複数設けられている。
【0023】
また、インターコネクタ22の外面(上面)にはP型半導体層25を設けることもできる。
図2(b)においてはP型半導体層25を設けた例を示している。集電部材16を、P型半導体層25を介してインターコネクタ22に接続させることにより、両者の接触がオーム接触となり、電位降下を少なくし、集電性能の低下を有効に回避することが可能となる。
【0024】
また、支持体23を、燃料極層19を兼ねるものとし、その一方側表面上に固体電解質層20および酸素極層21を順次積層して燃料電池セル3を構成することもできる。
【0025】
以下に、
図2に示す燃料電池セル3を構成する各部材について説明する。
【0026】
燃料極層19は、一般的に公知のものを使用することができ、多孔質の導電性セラミックス、例えば希土類元素酸化物が固溶しているZrO
2(安定化ジルコニアと称し、部分安定化ジルコニアも含む。)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
【0027】
固体電解質層20は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能と、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを防止するためのガス遮断性と、を有する。固体電解質層20は、3〜15モル%の希土類元素酸化物が固溶したZrO
2から形成される。なお、上記特性を有する限りにおいては、他の材料等を用いて形成してもよい。
【0028】
酸素極層21は、一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、いわゆるABO
3型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成することができる。酸素極層21はガス透過性を有しており、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲とすることができる。
【0029】
インターコネクタ22は、導電性セラミックスから形成することができる。インターコネクタ22は、燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガス(空気等)と接触するため、耐還元性および耐酸化性を有しており、それゆえランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO
3系酸化物)を使用することができる。インターコネクタ22は支持体23に形成された燃料ガス流路24を流通する燃料ガス、および燃料電池セル3の外側を流通する酸素含有ガスのリークを防止するために緻密質であり、相対密度を93%以上、特に95%以上とすることができる。
【0030】
支持体23としては、燃料ガスを燃料極層19まで透過するためにガス透過性を有し、さらには、インターコネクタ22を介して集電するために導電性を有する。したがって、支持体23としては、かかる特性を有するものを材質として採用し、例えば導電性セラミックスやサーメット等を用いることができる。
【0031】
ちなみに、燃料電池セル3を作製するにあたり、燃料極層19または固体電解質層20との同時焼成により支持体23を作製する場合においては、Ni等の鉄属金属成分とY
2O
3等の特定の希土類酸化物とから支持体23を形成することができる。また、支持体23は、燃料ガス透過性を備えるために開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲である。またその導電率は50S/cm以上、好ましくは300S/cm以上、特には440S/cm以上である。
【0032】
さらに、P型半導体層25としては、遷移金属のペロブスカイト型酸化物からなる層を例示することができる。具体的には、インターコネクタ22を構成するランタンクロマイト系のペロブスカイト酸化物(LaCrO
3)よりも電子伝導性の高いもの、例えばAサイトにSr(ストロンチウム)とLa(ランタン)が共存するLaSrCoFeO
3系酸化物(例えばLaSrCoFeO
3)、LaMnO
3系酸化物(例えばLaSrMnO
3)、LaFeO
3系酸化物(例えばLaSrFeO
3)、LaCoO
3系酸化物(例えばLaSrCoO
3)の少なくとも1種から構成することができる。特に600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaSrCoFeO
3系酸化物から構成することができる。なお、BサイトにCoとともにFe、Mnが存在してもよい。このようなP型半導体層25の厚みは、一般に、30〜100μmの範囲とすることができる。
【0033】
そして、それぞれの燃料電池セル3は集電部材16を介して電気的に直列に接続される。なお、集電部材16は、弾性を有する金属または合金からなる部材あるいは金属繊維または合金繊維からなるフェルトに所要の表面処理を加えた部材から構成することができる。
【0034】
また、集電部材16は、燃料電池装置の発電中に、高温な酸化雰囲気に曝されることから、Crを含有する合金を用いて作製することができる。さらに、集電部材16の表面の一部、または全体を、希土類元素を含有するペロブスカイト型酸化物等を用いてコーティングすることができる。
【0035】
なお、集電部材16の長手方向の長さおよび幅方向の長さは
発電部の長手方向の長さおよび幅方向の長さと同等以上の長さとすることができる。それにより、発電により生じた電流を効率よく集電することができる。
【0036】
燃料電池装置においては、外装ケース内にモジュール1のほか、モジュール1より排出される排ガスと媒体とで熱交換を行なうための熱交換器13、さらにはモジュール1の運転を行なうための、各種ポンプおよび制御装置等の補機が収納されている。しかしながら、従来の燃料電池装置では特に高さ方向の長さが大きくなり、マンション等への設置が困難となる場合があった。
【0037】
そこで、
図1に示す本実施形態の燃料電池装置では、熱交換器13が収納容器2の側方に配置されている。それにより、従来モジュールの下方に配置されていた熱交換器を収納容器の側方に配置することで、燃料電池装置の高さ方向の長さを小さくでき、高さ方向における小型化が可能となる。
【0038】
なお、熱交換器13は、内部に排ガスと媒体とを流して熱交換させることで、熱交換後の排ガスの温度が低下することとなる。それゆえ、熱交換器13には後述する排ガスの流入口および流出口、ならびに媒体の流入口14と流出口15とを備えている。また、排ガスの流れと媒体との流れを対向流とすることで、効率よく熱交換を行なうことができる。なお、熱交換器13としては、例えばプレートフィン型熱交換器等を用いることができる。
【0039】
図3は、本実施形態のモジュール1と熱交換器13A、Bとの配置を示す側面図である。
【0040】
上述したように、本実施形態の燃料電池装置においては、高さ方向における小型化が可能となる。それゆえ
図3(a)に示す熱交換器13Aにおいては、側面視において、熱交換器13Aの高さが収納容器2の高さよりも内側に位置している例を示している。なお、
図3(a)においては、熱交換器13Aの幅が収納容器2の幅よりも大きくなっている。熱交換器13Aは、流入口14と流出口15とが、熱交換器13Aの幅方向に並ぶ幅方向配置とされている。それにより、熱交換器13Aにおける流路の長さを長くすることができ、より効率よく熱交換を行なうことが可能となる。なお、
図3(a)に示す熱交換器13Aにおいては、排ガスと熱交換する水等の媒体が、左右方向に流れる熱交換器13Aを示している。
【0041】
一方、
図3(b)に示す熱交換器13Bにおいては、側面視において、熱交換器13Bの外形が収納容器2の外形よりも内側に位置している。それにより、高さ方向だけではなく、幅方向においても小型化が可能となる。熱交換器13Bは、流入口14と流出口15とは、熱交換器13Bの高さ方向に並ぶ高さ方向配置とされている。高さ方向配置において、流出口15が流入口14よりも高い位置となるように、熱交換器13Bを配置することができる。
【0042】
さらに、熱交換器13は、流入口14と流出口とが、鉛直方向(水平方向)に対して傾斜した斜め方向に並ぶ斜め方向配置としてもよい。斜め方向配置において、流出口15が流入口14よりも高い位置となるように、熱交換器13を配置することができる。
【0043】
図4は、本実施形態の燃料電池装置のうち、モジュール1と熱交換器13を抜粋した一例を示す断面図である。まずはモジュール1の構造について説明する。
【0044】
図4に示すように、モジュール1を構成する収納容器2は、内壁26と外壁27とを有する二重構造で、外壁27により収納容器2の外枠が形成されるとともに、内壁26によりセルスタック装置12を収納する発電室28が設けられている。さらに収納容器2においては、底部に燃料電池セル3に導入する酸素含有ガスが流入するための酸素含有ガス流入管44が接続されている。酸素含有ガス流入管44より導入された酸素含有ガスは、内壁26と外壁27との間である酸素含有ガス流路34を流れることとなる。
【0045】
ここで、収納容器2内には、収納容器2の上部より、酸素含有ガス導入部材11が、内壁26を貫通して挿入されて固定されている。酸素含有ガス導入部材11は、上端側に酸素含有ガスが流入するための酸素含有ガス流入口(図示せず)とフランジ部38とを備え、下端部に燃料電池セル3の下端部に酸素含有ガスを導入するための酸素含有ガス流出口29が設けられている。なお、フランジ部38と内壁26との間には断熱部材30が配置されている。
【0046】
なお、
図4においては、酸素含有ガス導入部材11が、収納容器2の内部に並置された2つのセルスタック5間に位置するように配置されているが、セルスタック5の数により、適宜配置することができる。例えば、収納容器2内にセルスタック5を1つだけ収納する場合には、酸素含有ガス導入部材11を2つ設け、セルスタック5を両側面側から挟み込むように配置することができるほか、セルスタック5の片側だけに設けてもよい。
【0047】
また発電室28内には、モジュール1内の熱が極端に放散され、燃料電池セル3(セルスタック5)の温度が低下して発電量が低減しないよう、モジュール1内の温度を高温に維持するための断熱部材30が適宜設けられている。
【0048】
断熱部材30は、セルスタック5の近傍に配置することができる。断熱部材30は、燃料電池セル3の配列方向に沿ってセルスタック5の側面側に配置するとともに、セルスタック5の側面における燃料電池セル3の配列方向に沿った幅と同等またはそれ以上の幅を有するものを配置することができる。なお、セルスタック5の両側面側に断熱部材30を配置することもできる。それにより、セルスタック5の温度が低下することを効果的に抑制できる。さらには、酸素含有ガス導入部材11より導入される酸素含有ガスが、セルスタック5の側面側より排出されることを抑制でき、セルスタック5を構成する燃料電池セル3間の酸素含有ガスの流れを促進することができる。なお、セルスタック5の両側面側に配置された断熱部材30においては、燃料電池セル3に供給される酸素含有ガスの流れを調整し、セルスタック5の長手方向および燃料電池セル3の積層方向における温度分布を低減するための開口部31が設けられている。
【0049】
また、燃料電池セル3の配列方向に沿った内壁26の内側には、排ガス用内壁32が設けられており、内壁26と排ガス用内壁32の側面との間が、発電室28内の排ガスが上方から下方に向けて流れる第1の排ガス流路35(35A、35B)とされている。また、内壁26と排ガス用内壁32の底面との間が、第2の排ガス流路39とされている。収納容器2の側方側にそれぞれ設けられた第1の排ガス流路35内を上方から下方に向けて流れた排ガスは、モジュール1の下方側に配置された第2の排ガス流路39にて合流する。合流した排ガスは、続いて熱交換器13と対向する側面に設けられた排気口40に向けて流れることとなる。
【0050】
なお、酸素含有ガス導入部材11の内部には、セルスタック5近傍の温度を測定するための熱電対37が、その測温部36が燃料電池セル3の長手方向の中央部でかつ燃料電池セル3の配列方向における中央部に位置するように配置されている。
【0051】
また、上述の構成のモジュール1においては、燃料電池セル3における燃料ガス流路より排出される、発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスとを燃料電池セル3の上端と改質器6との間で燃焼させることにより、燃料電池セル3の温度を上昇・維持させることができる。あわせて、燃料電池セル3(セルスタック5)の上方に配置された改質器6を温めることができ、改質器6で効率よく改質反応を行なうことができる。なお、通常発電時においては、上記燃焼や燃料電池セル3の発電に伴い、モジュール1内の温度は500〜800℃程度となる。
【0052】
ここで、
図4に示したモジュール1においては、排ガスの排気口40が、収納容器2の熱交換器13と対向する側面に設けられている。排気口をモジュールの底面に設けた場合には、モジュールの底面と熱交換器とをつなぐ排ガス配管が、一度モジュールの下方に伸びるか、もしくはモジュールの下方に沿って伸びることとなる。それゆえ、排ガス配管が下方に伸びた分もしくは排ガス配管の分だけ高さ方向の低減効果が低くなる。
【0053】
これに対し、
図4に示したモジュール1のように、排ガスの排気口40を、収納容器2の熱交換器13と対向する側面に設けることで、排気口40と熱交換器13に設けられた排ガスの流入口42とをつなぐ排ガス配管41が、モジュール1の下方に位置することをなくすことができる。それにより、より高さ方向の低減効果が向上し、さらに高さ方向における小型化が可能となる。
【0054】
ちなみに、熱交換器13の流入口42より流入した排ガスは、媒体と熱交換した後、熱交換器13の下方に設けられた流出口43より排気されることとなる。なお、熱交換器13に引き続いて、もしくは熱交換器13の流出口43を利用して、排ガス中に含まれる水蒸気を凝縮水として回収するための回収部を設けてもよい。
【0055】
図5は、本実施形態の燃料電池装置のうち、モジュール45と熱交換器13を抜粋した他の一例を示す断面図であり、
図6は、本実施形態の燃料電池装置のうち、モジュール50と熱交換器13を抜粋したさらに他の一例を示す断面図である。なお、以降の説明において、
図4に示す構造と異なる点を中心に説明する。
【0056】
図5に示すモジュール45および
図6に示すモジュール50においては、熱交換器13側に位置する排ガス用内壁32と内壁26との間に隔壁60を配置し、この隔壁60によって第1の排ガス流路35Aと隣接するように第3の排ガス流路46が設けられている。すなわち、排ガス流路が、排ガスが上方から下方に流れる第1の排ガス流路35と、排ガスが下方から上方に流れる第3の排ガス流路46を備えている。それにより、排ガス流路の長さを長くすることができ、熱交換を行なうことが可能な領域を増やすことができる。
【0057】
さらに、
図5に示すモジュール45および
図6に示すモジュール50においては、第3の排ガス流路46は、第2の排ガス流路39とつながっており、第2の排ガス流路39を流れた排ガスは、第3の排ガス流路46を下方から上方に向けて流れることとなる。
【0058】
そして、第3の排ガス流路46の上端側に排気口47が設けられている。ここで、
図5においては、断面視において、排気口47と熱交換器13の排ガスの流入口48とが同じ高さとなるように設けられている例を示しており、
図6においては、断面視において、排気口47が熱交換器13の排ガスの流入口48よりも上方に設けられている例を示している。
【0059】
図4に示したモジュール1においては、排気口40が収納容器2の下方側に設けられていることから、排気口40と熱交換器13の上方に設けられた排ガスの流入口42とをつなぐ排ガス配管41の長さが長くなっていた。これに対し、排気口47を熱交換器13の排ガス流入口48とおなじかまたはその上方に設けることで、排ガス配管49、51の長さを短くすることができる。それにより、よりシンプルな構造の燃料電池装置とすることができ、さらには、排ガス配管41とモジュール1の間の余計なスペースがなくなるので燃料電池装置を小型化することもできる。
【0060】
ここで、第3の排ガス流路46が、排ガスが下方から上方に向けて流れて排気口47とつながっている。
図5、
図6に示すモジュール45、50においては、第3の排ガス流路46は、第1の排ガス流路35Aおよび酸素含有ガス流路34と隣り合うように配置している例を示している。すなわち、第3の排ガス流路46を流れる排ガスは、第1の排ガス流路35Aを流れる排ガスや、酸素含有ガス流路34を流れる酸素含有ガスと熱交換することとなる。
【0061】
具体的には、第3の排ガス流路46を流れる排ガスは、第3の排ガス流路46を流れる間に、酸素含有ガス流路34を流れる酸素含有ガスとの熱交換によって温度が低下する。すなわち、第3の排ガス流路46で見た場合において、下方側が高温となり、上方側が低温となる。
【0062】
また、発電室28において、燃料電池セル3の上方で発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させている場合は、発電室28内において、下方側が低温となり、上方側が高温となる。それゆえ、第1の排ガス流路35A、Bを流れる排ガスも、下方側が低温となり、上方側が高温となる。
【0063】
そこで、第1の排ガス流路35Aと第3の排ガス流路46とを隣り合うように配置することで、第1の排ガス流路35Aと第3の排ガス流路46とを流れる排ガス同士が熱交換することとなる。それにより、上下方向の温度分布が改善され、ひいては発電室28内の上下方向の温度分布も改善されることで、発電効率を向上させることができる。
【0064】
また、第3の排ガス流路46を流れる排ガスが、酸素含有ガス流路34を流れる酸素含有ガスと熱交換するにあたり、酸素含有ガス流入管44より導入される低温の酸素含有ガスを効率よく温めることができる。
【0065】
なお、モジュール45および50において、第3の排ガス流路46を設けることで、側方側に位置するそれぞれの第1の排ガス流路35A、Bにおいて、第3の排ガス流路46側の第1の排ガス流路35Aに多く排ガスが流れる場合がある。この場合、第1の排ガス流路35Aおよび第1の排ガス流路35Bを流れるそれぞれの排ガスと、酸素含有ガス流路34を流れる酸素含有ガスとの熱交換に差が生じるおそれがある。それゆえ、それぞれの第1の排ガス流路35A、Bを流れる排ガスの量を同程度とすべく、例えば第3の排ガス流路46側の第1の排ガス流路35Aの流路幅を狭くするほか、流入する排ガスの量を調整するための調整部材を設けてもよい。
【0066】
なお、上述の例においては、収納容器2が直方体状の収納容器を例示したが、熱交換器が収納容器2の側方に配置されてさえいれば、その形状は直方体状に限られるものではない。例えば、円筒状でもあってもよく、さらには立方体状や6角柱状等の角柱状であってもよい。特に角柱状の収納容器においては、熱交換器13は、収納容器の側面のうち最も面積の大きい側面に対向して容易に配置することができる。それにより、熱交換器13自体の大きさを大きくすることができ、熱交換効率を向上することができる。なお、熱交換器13の性能や大きさ等に応じて、収納容器の側面と対向さえすれば、最も面積の大きい側面以外の面と対向するように配置してもよい。
【0067】
図7は、本実施形態の燃料電池装置のうち、モジュール61と熱交換器13を抜粋したさらに他の一例を示す断面図であり、
図8は、モジュール61と熱交換器13を示す側面図である。なお、以降の説明において、
図5に示す構造と異なる点を中心に説明する。
【0068】
図5などに示す構造では、熱交換器13は、収納容器2の側面と間隔を空けて側面に対向して配置されているが、本実施形態では、
図7に示すように、収納容器2の側面と熱交換器13とが接触するように配置されている。
図7に示したモジュール61においては、排気口47を熱交換器13の排ガス流入口48と同じ高さに設ける。排ガス配管49の長さを短くして、熱交換器13を収納容器2の側面に接触するように配置することができる。
【0069】
なお、熱交換器13の外表面は、熱交換器13での媒体と排ガスとの熱交換効率を低下させないために、断熱材で覆うことができる。例えば、
図4〜6で示した熱交換器13においては、排ガス配管41,49,51との接続部分ならびに流入口14および流出口15の部分を除いた外表面全体を断熱材で覆うこととなる。一方、本実施形態では、収納容器2の側面と熱交換器13とを接触させることによって、熱交換器13の収納容器2との接触部分をさらに除いた外表面残体を断熱材63で覆っている。熱交換器13の収納容器2との接触部分を断熱材63で覆わなくてもよいので、用いる断熱材の量を低減させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、収納容器2の側面に接触した熱交換器13の上部を覆うカバー部材62が設けられている。カバー部材62は、下方側および収納容器2側を除く四方向から熱交換器13の上部を覆っており、例えばねじ止め等の固定方法によって収納容器2の側面に固定されている。
【0071】
カバー部材62と熱交換器13の外表面との間には、一定幅の間隙があり、熱交換器13を覆う断熱材63は、カバー部材62と熱交換器13との間隙に、その一部が差し込まれ、カバー部材62の内面と熱交換器13上部の外表面とによって挟持される。断熱材63は、上部が挟持されることによって、吊り下げられたような状態となり、挟持された部分以外の部分も、熱交換器13の外表面に接触させて固定することができる。なお、断熱材63の挟持された部分以外の部分を、別途固定部材を用いて熱交換器13の外表面に固定してもよい。
【0072】
図9は、外装ケース内に
図1で示したモジュール1と、熱交換器13と、モジュール1を動作させるための補機(図示せず)とを収納してなる本実施形態の燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。なお、
図9においては一部構成を省略して示している。
図9では、モジュール1を例として示しており、モジュール45、50、61など上記の各モジュールについても同様である。
【0073】
図9に示す燃料電池装置52は、支柱53と外装板54から構成される外装ケース内を仕切板55により上下に区画し、その上方側を、上述したモジュール1および熱交換器13を収納するモジュール収納室56とし、下方側を、モジュール1を動作させるための補機を収納する補機収納室57として構成されている。なお、補機収納室57に収納する補機を省略して示している。
【0074】
また、仕切板55には、補機収納室57の空気をモジュール収納室56側に流すための空気流通口58が設けられており、モジュール収納室56を構成する外装板54の一部に、モジュール収納室56内の空気を排気するための排気口59が設けられている。
【0075】
このような燃料電池装置52においては、上述したように、モジュール収納室56内にモジュール1および熱交換器13を収納することで、補機収納室57の高さ方向を小さくでき、それにより燃料電池装置52を小型化することができる。
【0076】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
【0077】
例えば、上述の例において、発電室28内にセルスタック5を2つ収納する例を示したが、発電室28内にセルスタック5を1つ収納する場合において、酸素含有ガス流路34や第1の排ガス流路35をセルスタック5に対して一方側にのみ設けることもできる。
【0078】
また第3の排ガス流路46を酸素含有ガス流路34の内側に位置するように設けたが、例えば第3の排ガス流路46を酸素含有ガス流路34の外側に位置するように設けてもよい。
【0079】
また、上述の例ではいわゆる縦縞型と呼ばれる燃料電池セル3を用いて説明したが、一般に横縞型と呼ばれる複数の発電素子部を支持体上に設けてなる横縞型の燃料電池セルを用いることもできる。
【0080】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
燃料電池装置は、収納容器(2)と、該収納容器(2)に収納され燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池セル(4)とを備えてなる燃料電池モジュール(1)と、該燃料電池モジュール(1)より排出される排ガスを用いて媒体と熱交換を行なう熱交換器(13)と、を備え、該熱交換器(13)が、収納容器(2)の側方に配置されている。