特許第6239216号(P6239216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6239216
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】医療通信システム及び医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   A61B8/12
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-547015(P2017-547015)
(86)(22)【出願日】2016年10月26日
(86)【国際出願番号】JP2016081762
【審査請求日】2017年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2016-21325(P2016-21325)
(32)【優先日】2016年2月5日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 孝史
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−148660(JP,A)
【文献】 特開2004−344390(JP,A)
【文献】 特開2004−337503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体にかかわる第1の情報についてDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)形式のデータを生成するときに前記第1の情報に付加する第1の付加情報を記憶する第1の医療装置と、
DICOMプロトコルで定められるネットワークを介して、前記第1の医療装置との間で通信可能に形成されるDICOMサーバと、
前記被写体にかかわる第2の情報についてDICOM形式のデータを生成するときに前記第2の情報に付加する第2の付加情報を記憶する第2の医療装置と、
前記第1の医療装置と前記第2の医療装置との間で、前記第2の情報と、前記第2の医療装置に記憶されている前記第2の付加情報の一部または全てを、前記DICOMプロトコルとは異なる所定のプロトコルで定められるネットワークを介して通信する第1の通信部と、
前記第1の医療装置に備えられ、少なくとも前記第1の通信部を介して受信した情報に基づいて、前記第2の情報についてのDICOM形式のデータを生成するDICOM情報生成部と、
前記第1の医療装置に備えられ、前記DICOMサーバとの間で、前記DICOM情報生成部により生成された前記第2の情報についてのDICOM形式のデータを、前記DICOMプロトコルで定められるネットワークを介して通信する第2の通信部と、
を備えることを特徴とする医療通信システム。
【請求項2】
前記DICOM情報生成部は、前記第1の医療装置についての1回の検査内で、前記第1及び第2の情報の両方についてのDICOM形式のデータを生成し、
前記第2の通信部は、前記1回の検査内で前記DICOM情報生成部により生成されたそれぞれ前記第1及び第2の情報についてのDICOM形式のデータの両方を、前記DICOMサーバに送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項3】
前記第1の通信部は、前記医療通信システムにおける前記第2の情報の取得を識別する識別情報を用いて、前記第2の医療装置との間で通信し、前記第2の情報及び前記第2の付加情報のうちの少なくとも前記第1の付加情報との差分を取得することを特徴とする請求項2に記載の医療通信システム。
【請求項4】
前記第2の医療装置は、前記少なくとも差分を、前記識別情報と対応付けて、前記第1の医療装置に向けて送信することを特徴とする請求項3に記載の医療通信システム。
【請求項5】
前記DICOM情報生成部は、前記識別情報に基づき、前記第2の情報と、少なくとも前記第1の通信部を介して受信した情報とを用いて、DICOMプロトコルで定義されるメタデータを前記第2の情報に付加することにより、前記第2の情報についてのDICOM形式のデータを生成することを特徴とする請求項4に記載の医療通信システム。
【請求項6】
前記第1の医療装置は、内視鏡装置、前記第2の医療装置は、内視鏡用超音波観測装置であり、
前記第1及び第2の情報は、それぞれ前記内視鏡装置及び内視鏡用超音波観測装置により生成された内視鏡画像及び超音波内視鏡画像である
ことを特徴とする請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項7】
前記第1の医療装置は、内視鏡装置、前記第2の医療装置は、内視鏡用超音波観測装置であり、
前記第1及び第2の情報は、それぞれ前記内視鏡装置及び内視鏡用超音波観測装置により生成された内視鏡動画及び超音波内視鏡動画である
ことを特徴とする請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項8】
被写体にかかわる第1の情報と、前記第1の情報についてのDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)形式のデータを生成するために必要な第1の付加情報と、に基づいて第1のDICOM情報を生成する医療装置であって、
外部装置から、前記外部装置で生成された第2の情報と、前記第2の情報についてのDICOM形式のデータを生成するために必要な第2の付加情報とを、前記DICOMプロトコルとは異なる所定のプロトコルで定められるネットワークを介して受信する受信部と、
前記第1の情報と前記第1の付加情報に基づき前記第1のDICOM情報を生成し、更に、前記受信部を介して受信した前記第2の情報と前記第2の付加情報に基づき第2のDICOM情報を生成するDICOM情報生成部と、
前記第1のDICOM情報、または、前記第2のDICOM情報をDICOMプロトコルで定められるネットワークを介して、DICOMサーバに送信する送信部と、
を備えることを特徴とする医療装置。
【請求項9】
被写体にかかわる第1の情報についてDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)形式のデータを生成するときに前記第1の情報に付加する第1の付加情報を記憶する第1の医療装置と、
前記被写体にかかわる第2の情報についてDICOM形式のデータを生成するときに前記第2の情報に付加する第2の付加情報を記憶する第2の医療装置と、
前記第1の医療装置と前記第2の医療装置との間で、前記第2の情報と、前記第2の医療装置に記憶されている前記第2の付加情報の一部または全てを、前記DICOMプロトコルとは異なる所定のプロトコルで定められるネットワークを介して通信する通信部と、
前記第1の医療装置に備えられ、少なくとも前記通信部を介して受信した情報に基づいて、前記第2の情報についてのDICOM形式のデータを生成するDICOM情報生成部と、
前記第1の医療装置に備えられ、前記DICOM情報生成部により生成された前記第2の情報についてのDICOM形式のデータを、DICOMプロトコルで定められるネットワークを介してDICOMサーバに送信する送信部と、
を備えることを特徴とする医療通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査等にて医用画像を取得する複数の医療装置と医用画像を格納するサーバとを有し、医療装置とサーバとの間で医療画像を送受する医療通信システム、及び医療装置に関し、特に、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格対応の医療通信システム、及び医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療の場においては、内視鏡装置等の医療装置にて被検体を撮影して取得した医用画像については、DICOM規格対応のシステムにて管理する傾向にある。DICOM規格対応のシステムでは、医療装置にて取得した医用画像よりDICOM形式のデータを生成し、これをDICOM対応のサーバに保存しておく。
【0003】
ここで、従来より、1回の内視鏡検査において、通常の内視鏡だけでなく超音波内視鏡の画像等の複数の撮影装置を使用する(マルチモダリティ)ユースケースも存在している。このようなユースケースを想定したDICOM規格対応のシステムについても検討されており、公知の技術となっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−022626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現時点では、DICOMプロトコル規格のネットワーク上におけるDICOMサーバと通信して行われる検査は、1検査につき、1つのモダリティしか使用できない、という制限が存在する。このため、1検査で複数のモダリティを使用する場合であっても、DICOMサーバに格納できるデータは、指定したモダリティについての形式に限られてしまうこととなる。
【0006】
DICOM規格では、内視鏡画像及び超音波画像のそれぞれの画像データに付加される情報が規定されている。しかし、上記の1検査につき1つのモダリティしか使用できないという制約の下では、1回の内視鏡検査において取得した超音波画像に対しても、内視鏡画像に付加される情報と同様の情報しか付加することができない。
【0007】
本発明は、現在のDICOM規格の下、マルチモダリティのユースケースにおいても各モダリティ(医療装置)に応じたDICOM形式のデータを生成してDICOMサーバに登録することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、被写体にかかわる第1の情報についてDICOM形式のデータを生成するときに前記第1の情報に付加する第1の付加情報を記憶する第1の医療装置と、DICOMプロトコルで定められるネットワークを介して、前記第1の医療装置との間で通信可能に形成されるDICOMサーバと、前記被写体にかかわる第2の情報についてDICOM形式のデータを生成するときに前記第2の情報に付加する第2の付加情報を記憶する第2の医療装置と、前記第1の医療装置と前記第2の医療装置との間で、前記第2の情報と、前記第2の医療装置に記憶されている前記第2の付加情報の一部または全てを、前記DICOMプロトコルとは異なる所定のプロトコルで定められるネットワークを介して通信する第1の通信部と、前記第1の医療装置に備えられ、少なくとも前記第1の通信部を介して受信した情報に基づいて、前記第2の情報についてのDICOM形式のデータを生成するDICOM情報生成部と、前記第1の医療装置に備えられ、前記DICOMサーバとの間で、前記DICOM情報生成部により生成された前記第2の情報についてのDICOM形式のデータを、前記DICOMプロトコルで定められるネットワークを介して通信する第2の通信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現在のDICOM規格の下、マルチモダリティのユースケースにおいても各モダリティに応じたDICOM形式のデータを生成してDICOMサーバに登録することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る医療システムの構成図である。
図2】第1の実施形態に係る医療システムによる画像の記録及びDICOMサーバへの転送処理を示したフローチャートである。
図3A】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その1)である。
図3B】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その2)である。
図3C】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その3)である。
図3D】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その4)である。
図3E】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その5)である。
図3F】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その6)である。
図3G】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その7)である。
図3H】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その8)である。
図3I】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その9)である。
図3J】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その10)である。
図3K】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その11)である。
図3L】DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図(その12)である。
図4】第2の実施形態に係る医療システムの構成図である。
図5】第2の実施形態に係る医療システムによる動画像の記録及びDICOMサーバへの転送処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る医療システムの構成図である。図1の医療システム100は、ビデオプロセッサ1、内視鏡用超音波観測装置(以下においては超音波観測装置と略記)2、超音波内視鏡4及びDICOMサーバ3を有する。医療システム100は、超音波内視鏡4にて被検体より得られる画像信号に対して必要な処理を施すと、DICOM形式のデータ構造を有するデータを生成し、これをDICOMサーバ3に登録する。
【0012】
ビデオプロセッサ1は、スコープ接続部11、制御部12、画像処理部14、画像記録部16、記憶部17、メモリ13、通信インタフェース部(図1及び以下においては通信I/F部と略記)15、外部映像入力部18及びネットワークインタフェース部(図1及び以下においてはネットワークI/F部と略記)19を有する。ビデオプロセッサ1は、図1の医療システム100において、DICOM形式の内視鏡画像データ及び超音波画像データを生成する。
【0013】
ビデオプロセッサ1のうち、スコープ接続部11は、超音波内視鏡4との接続インタフェース部であり、超音波内視鏡4から入力される画像信号を受け付ける。なお、図1においては超音波内視鏡4を記載しているが、これには限定されず、この代わりに、通常の内視鏡と超音波プローブとから構成されてもよい。
【0014】
制御部12は、ビデオプロセッサ1を構成する各部の制御や、超音波内視鏡4等の接続されている各機器の内視鏡検査に関わる制御を行う。制御部12は、スコープ制御部11を介して超音波内視鏡4からのレリーズ信号を受け付けると、超音波内視鏡4の観察モードに応じて各部を制御してDICOM形式の画像データを生成させ、生成したデータをDICOMサーバ3に送信する処理を実施する。かかる処理の詳細については、後に具体的に説明することとする。
【0015】
画像処理部14は、上記観察モードが通常モード(内視鏡で観察を行うことを表すモード)であるときは、入力された画像信号に必要な処理を施し、DICOM形式の内視鏡画像データを得る。DICOM形式の内視鏡画像データを生成するために必要な情報は、メモリ13に格納されている。画像記録部16は、得られた画像データを一時的に記録する。ビデオプロセッサ1は、DICOMプロトコルを用いてDICOMサーバ3と通信を行い、画像記録部16に記録された画像データは、ネットワークI/F部19を介して、DICOMサーバ3に送信される。
【0016】
外部映像入力部18は、上記観察モードが超音波モード(超音波観測装置で観察を行うことを表すモード)であるときは、超音波観測装置2を介して必要な処理の施された画像信号の入力を受け付ける。超音波モードにおいては、これとともに、本実施形態においては、通信I/F部15を介して超音波観測装置2とDICOMプロトコルと異なる所定のプロトコル(汎用プロトコル)を用いて通信を行い、超音波観測装置2から、超音波画像についてDICOM形式の画像データを得るために必要な情報を取得する。
【0017】
記憶部17には、ビデオプロセッサ1のオペレーティングシステム(OS)やアプリ等が記憶されている。制御部12は、記憶部17からOSやアプリを読み出してこれを展開して実行することにより、ビデオプロセッサ1の各部やシステムの制御、本実施形態に係るDICOM形式の画像データの生成及びDICOMサーバ3への送信処理等を実施する。
【0018】
超音波観測装置2は、超音波スコープ・プローブ接続部21、制御部22、画像処理部24、記憶部26、メモリ23、通信インタフェース部(図1及び以下においては通信I/F部と略記)25及び映像出力部27を有する。超音波観測装置2は、内視鏡検査における観察モードが超音波モードに設定されているとき、超音波内視鏡4から入力される画像信号に必要な処理を施してビデオプロセッサ1に信号を出力する。これとともに、本実施形態においては、超音波観測装置2は、DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報をビデオプロセッサ1に送信する。
【0019】
超音波スコープ・プローブ接続部21は、超音波内視鏡4との接続インタフェース部であり、超音波内視鏡4から入力される画像信号を受け付ける。
制御部22は、超音波観測装置2を構成する各部の制御を行い、超音波スコープ・プローブ接続部21を介して超音波内視鏡4から画像信号が入力されると、画像処理部24等の各部を制御して超音波画像データを生成させる。
【0020】
画像処理部24は、上記のとおり、超音波スコープ・プローブ接続部21を介して入力された画像信号に対して必要な処理を施し、超音波画像データを生成する。ビデオプロセッサ1にてDICOM形式の画像データを生成するため、生成した画像データ及びこれに対応する所定の情報については、それぞれ映像出力部27及び通信I/F部25を介してビデオプロセッサ1に送信される。その詳細については、後に詳しく説明する。
【0021】
記憶部26には、超音波観測装置2のオペレーティングシステム(OS)やアプリ等が記憶されている。制御部22は、記憶部26からOSやアプリを読み出してこれを展開して実行することにより、超音波観測装置2の各部の制御を行い、本実施形態に関しては、例えば、DICOM形式の超音波画像データをビデオプロセッサ1にて生成するために必要な情報や画像データのビデオプロセッサ1への送信処理等を実施する。メモリ23には、DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報が格納されている。
【0022】
このように、ビデオプロセッサ1は、内視鏡検査において観察モードが通常モードまたは超音波モードのいずれに設定されているかに応じて、それぞれ得られた画像からDICOM形式のデータを生成し、これをDICOMサーバ3に送信する。DICOMサーバ3は、ネットワークインタフェース部(図1においてはネットワークI/F部)31を介して受信したデータを格納する。
【0023】
ここで、観察モードが超音波モードに設定されているときは、ビデオプロセッサ1は、超音波観測装置2から必要な情報と画像処理を施した画像データとを受信して、これに基づき、DICOM形式の超音波画像データを生成する。これについて、フローチャート等を参照して、具体的に説明する。
【0024】
図2は、本実施形態に係る医療システム100による画像の記録及びDICOMサーバ3への転送処理を示したフローチャートである。
ビデオプロセッサ1は、1件の内視鏡検査を開始するに際して、検査を識別するID(Identification)等の識別情報を生成し、また、検査において使用するモダリティ(医療装置)を識別する情報を設定し、これらの情報をメモリ13に保持する。図1の構成においては、「内視鏡」が、使用するモダリティに設定される。
【0025】
検査を識別する情報及び使用するモダリティが設定されると、検査が開始する。以後は、医師等のユーザは、通常モードと超音波モードとの間で観察モードを適宜切り替えつつ、超音波内視鏡4を用いて被検体の体腔内を観察する。ユーザは、病変の疑いのある箇所等を発見した場合には、手元の操作ボタン等を操作する。当該操作により、レリーズ信号が超音波内視鏡4から発せられ、ビデオプロセッサ1に入力される。ステップS1では、ビデオプロセッサ1の制御部12が、当該信号により、レリーズ操作を認識する。
【0026】
ステップS2では、ビデオプロセッサ1の制御部12は、レリーズを識別するレリーズIDを発行する。その後、ステップS3で、制御部12は、超音波内視鏡4から入力されるフリーズ信号によってユーザによりフリーズ操作がなされたことを認識すると、ステップS4の判定へと処理を移行させる。
【0027】
ステップS4では、制御部12は、超音波観測装置2が医療システム100に接続されており、且つ観察モードが超音波モードに設定されているか否かを判定する。超音波観測装置2が医療システム100に接続され、且つ観察モードが超音波モードであるときは、ステップS8へと処理を移行させ、それ以外の場合は、ステップS5へと処理を移行させる。
【0028】
ステップS5以降では、DICOM形式の内視鏡画像が記録され、DICOMサーバ3に転送される。具体的には、まず、ステップS5で、ビデオプロセッサ1の制御部12は、画像処理部14にて必要な処理を施して得られる通常可視光の内視鏡画像のデータとメモリ13に保持する情報からDICOM形式の内視鏡画像データを生成し、画像記録部16に記録する。ステップS6で、制御部12は、フリーズが解除されたことを認識すると、ステップS7で、画像記録部16からDICOM形式の内視鏡画像のデータを読み出して、DICOMサーバ3に向けて送信する。送信処理を終えると、図2の一連の処理を終了する。内視鏡画像の記録及び転送処理については、使用するモダリティを内視鏡とする場合の従来におけるそれと同様である。
【0029】
一方、ステップS8以降では、DICOM形式の超音波画像の記録及びDICOMサーバ3への転送が行われる。具体的には、まず、ステップS8で、ビデオプロセッサ1の制御部12は、通信I/F部15を介して超音波観測装置2に向けてステップS2で発行したレリーズIDを送信する。ステップS9で、超音波観測装置2の制御部22は、通信I/F部25を介してレリーズIDを受信すると、DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報をメモリ23から読み出す。制御部22は、読み出した情報を受信したレリーズIDに紐付けて、通信I/F部25を介してビデオプロセッサ1に向けて送信する。
【0030】
図3A図3Lは、DICOM形式の超音波画像データを生成するために必要な情報を例示する図である。
DICOM規定では、画像データに付す情報のデータ構造が定義されており、ビデオプロセッサ1は、この定義にしたがって、内視鏡画像及び超音波画像にそれぞれに定義されている情報(メタデータ)を付加して、DICOM形式の画像データを生成する。
【0031】
なお、DICOM形式の画像データのうち、内視鏡画像データ及び超音波画像データの差分を、図3A図3Lにおいては網掛けで示す。網掛けのされていない他の項目については、内視鏡画像のデータに付される情報と同様であり、ビデオプロセッサ1は、自装置のメモリ13に保持している情報を利用する。
【0032】
図2の説明に戻ると、ステップS9で、超音波観測装置2の通信I/F部25が図3A図3Lの網掛けで示す情報を送信すると、ビデオプロセッサ1は、通信I/F部15を介して当該情報を受信する。これとともに、超音波観測装置2は、映像出力部27から画像処理部24で必要な処理を施して得られた超音波画像データを、ビデオプロセッサ1に向けて送信する。ビデオプロセッサ1は、外部映像入力部18を介して当該画像データを受信する。
【0033】
なお、ステップS9では、通信量の削減の観点より、超音波観測装置2が通信I/F部25を介してビデオプロセッサ1に向けて送信する情報については、上記のとおり、DICOM形式の内視鏡画像との差分箇所(図3A図3Lの網掛けの項目)のみとしている。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、図3A図3Lの全項目を送信することとしてもよい。
【0034】
ステップS10で、ビデオプロセッサ1の制御部12は、外部映像入力部18を介して受信したPinP(Picture in Picture)入力中の超音波画像と、少なくとも通信I/F部15を介して受信した情報とを用いて、DICOM形式の超音波画像データを生成する。上記のとおり、DICOM形式の超音波画像データは、画像データ(画素データ)に図3A図3Lに示すメタデータを付すことにより生成され、実施例では、ビデオプロセッサ1においては保持しない情報については超音波観測装置2から取得することとしている。生成したDICOM形式の超音波画像データは、ステップS2で発行したレリーズIDと対応付けて、画像記録部16に記録される。
【0035】
ステップS11及びステップS12については、それぞれステップS6及びステップS7と同様の処理を実施する。すなわち、ステップS11で、制御部12は、フリーズが解除されたことを認識すると、ステップS12で、画像記録部16からDICOM形式の画像のデータを読み出して、DICOMサーバ3に向けて送信し、送信処理を終えると、図2の一連の処理を終了する。
【0036】
先述のとおり、図2に示す一連の処理は、検査を識別する情報及び使用するモダリティが設定されて1回の内視鏡検査が開始すると、その後のユーザのレリーズ操作ごとに実施される。すなわち、本実施形態に係る医療システム100によれば、1回の検査において、レリーズ操作がなされたときの観察モードに応じ、内視鏡画像及び超音波画像の両方についてそれぞれDICOM形式の画像データを生成し、DICOMサーバ3に登録することが可能である。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る医療システム100によれば、マルチモダリティのユースケースにおいては、観察モードに応じて取得される内視鏡画像または超音波画像についてDICOM形式の画像データを生成し、DICOMサーバ3に登録することができる。DICOM規定により、1回の検査では、使用するモダリティとしては一のモダリティ(上記の設例では内視鏡)が設定されるが、他方のモダリティ(設例では超音波装置)についても、その他方のモダリティ側から必要な情報を取得する。取得した情報を用いることにより、使用するモダリティとして設定されていないモダリティで取得した画像についても、DICOM形式のデータを生成することが可能となる。
【0038】
DICOMサーバ3に登録された内視鏡検査に関するデータは、検査後のレポート作成等において用いられる。このとき、超音波画像についても内視鏡画像と同様にDICOM形式でDICOMサーバ3に登録されていることにより、ユーザにとっては、レポート作成の際に、超音波画像に付加されている図3A図3Lにおいては網掛けで示す情報についても利用することが可能となる。
【0039】
例えば、図3E及び図3Fに示すモジュール「US Region Calibration Module」には、長方形で表される超音波画像の各頂点の位置座標を表すx0、y0、x1、y1が、それぞれ属性名(Attribute Nameの「Region Location Min x0」等)として含まれる(図3Eの(*1))。また、x方向及びy方向の物理単位(同「Physical Units X(Y) Direction」)、及びその増分(同「Physical Delta X(Y)」)、基準となる位置座標x0、y0(同「Reference Pixel x0(y0)」)も含まれている(図3Fの(*2))。これらの情報により、ユーザは、例えば画像中の病変の疑いのある箇所等を特定してレポートを作成すること等が可能となる。
【0040】
なお、図1においては、ビデオプロセッサ1において、1検査で得られる画像は観察モードに応じたDICOM形式の画像を生成する構成を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、超音波観測装置2にてかかる処理を実施する構成とすることもできる。この場合は、超音波観測装置2がユーザによるレリーズやフリーズの操作を受け付けて、レリーズIDの発行及びビデオプロセッサ1への送信を実施する。レリーズIDを受信したビデオプロセッサ1は、DICOM形式の内視鏡画像の生成に必要な情報を、自装置のメモリ13から読み出して、レリーズIDに紐付けて送信する。超音波観測装置2は、レリーズIDに基づき、ビデオプロセッサ1から受信する画像データとDICOM形式の画像の生成に必要な情報とを対応付けて、DICOM形式の内視鏡画像のデータを生成し、DICOMサーバ3に送信する。このように構成しても、図2の構成と同様の効果を得る。
【0041】
更には、3台以上の医療装置のそれぞれが画像を取得し、それぞれDICOM形式の画像を生成することができるよう医療システムを構成することもできる。この場合は、DICOMサーバ3に接続され、DICOM形式の画像の生成及び転送を行う医療装置に対し、複数の種類の医療装置がレリーズID及び画像データを通信可能に構成される。例えばビデオプロセッサ1がDICOMサーバ3に接続されてDICOM形式の画像の生成及び転送を行う構成の場合、ビデオプロセッサ1は、レリーズの操作にしたがって、レリーズIDを発行し、観察モードに応じた医療装置に向けてレリーズIDを送信する。レリーズIDを受信した医療装置における動作、及びレリーズIDと紐付けて必要な情報を受信した後のビデオプロセッサ1における動作については、上記の2台構成の場合と同様である。このように、3台以上の構成であっても、図2に例示する2台構成の場合と同様の効果を得る。
【0042】
<第2の実施形態>
上記の第1の実施形態では、静止画像についてDICOM形式の画像を生成している。これに対し、本実施形態では、動画像についてDICOM形式の動画像を生成する点で異なる。
【0043】
以下に、本実施形態に係る医療システムについて、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図4は、本実施形態に係る医療システム100の構成図である。図1に示す第1の実施形態についての構成図と比較すると、図1のビデオプロセッサ1においては画像記録部16に生成したDICOM形式の画像を記録していたのに対し、図4のそれでは、動画記録部161にDICOM形式の動画像を記録する点で異なる。
【0044】
本実施形態に係る医療システム100では、観察モードが通常モードに設定されているときは、内視鏡動画が、超音波モードに設定されているときは、超音波動画が取り込まれる。設定されている観察モードに応じて、対応するモダリティについてのDICOM形式の動画データを生成し、DICOMサーバ3に生成したDICOM形式の動画データを登録する。この方法について、フローチャートを参照して、具体的に説明する。
【0045】
図5は、本実施形態に係る医療システム100による動画像の記録及びDICOMサーバ3への転送処理を示したフローチャートである。
ビデオプロセッサ1は、図2の静止画像の記録及び転送を行う場合と同様に、1件の内視鏡検査を開始するに際し、検査を識別する識別情報を生成し、また、検査で使用するモダリティを識別する情報を設定して、これらの情報をメモリ13に保持する。図4の構成においては、「内視鏡」が、使用するモダリティに設定される。
【0046】
検査を識別する情報及び使用するモダリティが設定されると、検査が開始する。以後は、ユーザは、通常モードと超音波モードとの間で観察モードを適宜切り替えつつ、超音波内視鏡4を用いて被検体の体腔内を観察する。ユーザは、病変の疑いのある箇所等を発見した場合に、動画像の記録を開始することを、手元の操作ボタン等の操作により指示する。当該操作により、動画像の記録を開始する旨を指示する信号が超音波内視鏡4から発せられ、ビデオプロセッサ1に入力される。ステップS21では、ビデオプロセッサ1の制御部12が、当該信号により、動画像の記録を開始する旨の指示を認識する。
【0047】
ステップS22では、ビデオプロセッサ1の制御部12は、動画を管理するための管理IDを発行する。そして、ステップS23の判定へと処理を移行させる。
ステップS23の判定は、図2のステップS4と同様の判定を行う。超音波観測装置2が医療システム100に接続され、且つ観察モードが超音波モードであるときは、ステップS27へと処理を移行させ、それ以外の場合は、ステップS24へと処理を移行させる。
【0048】
ステップS24以降では、DICOM形式の内視鏡動画が記録され、DICOMサーバ3に転送される。具体的には、まず、ステップS24で、ビデオプロセッサ1の制御部12は、画像処理部14にて必要な処理を施して得られる通常可視光の内視鏡動画のデータと、メモリ13に保持する情報とからDICOM形式の内視鏡動画データを生成し、動画記録部161に記録する。ステップS25で、制御部12は、動画の記録を終了する旨を指示する信号を超音波内視鏡4から受信したか否かを判定し、当該信号を受信するまで、ステップS24のDICOM形式の内視鏡動画を記録する処理を継続する。当該信号を受信すると、ステップS26へと進み、制御部12は、動画記録部16からDICOM形式の内視鏡動画のデータを読み出して、DICOMサーバ3に向けて送信する。送信処理を終えると、図5の一連の処理を終了する。図2と同様に、内視鏡動画の記録及び転送処理については、使用するモダリティを内視鏡とする場合の従来におけるそれと同様である。
【0049】
一方、ステップS27以降では、DICOM形式の超音波動画の記録及びDICOMサーバ3への転送が行われる。具体的には、まず、ステップS27で、ビデオプロセッサ1の制御部12は、通信I/F部15を介して超音波観測装置2に向けてステップS22で発行した管理IDを送信する。超音波観測装置2の制御部22は、通信I/F部25を介して管理IDを受信すると、これをメモリ23に保持する。また、これとともに、超音波観測装置2の制御部22は、映像出力部27から画像処理部24で必要な処理を施して得られた超音波動画データを、ビデオプロセッサ1に向けて送信させ、ビデオプロセッサ1は、外部映像入力部18を介して当該動画データを受信する。
【0050】
ステップS28で、ビデオプロセッサ1の制御部12は、外部映像入力部18を介して受信したPinP入力中の超音波動画を動画記録部161に記録する。そして、ステップS29で、制御部12は、動画の記録を終了する旨を指示する信号を超音波内視鏡4から受信したか否かを判定し、当該信号を受信するまで、ステップS28の超音波動画を動画記録部161に記録する処理を継続する。当該信号を受信すると、ステップS30へと処理を移行させる。
【0051】
ステップS30では、超音波観測装置2の制御部22は、ビデオプロセッサ1にてDICOM形式の超音波動画データを生成するために必要な情報をメモリ23から読み出す。制御部22は、読み出した情報を受信した管理IDに紐付けて、通信I/F部25を介してビデオプロセッサ1に向けて送信する。ビデオプロセッサ1は、通信I/F部15を介して当該情報を受信する。
【0052】
ステップS31で、ビデオプロセッサ1の制御部12は、ステップS28にて動画記録部161に記録した動画のデータとステップS30にて受信した情報とを紐付け、DICOM形式の超音波動画のデータを生成し、これを改めて動画記録部161に記録させる。ステップS32で、制御部12は、動画記録部161からDICOM形式の超音波動画のデータを読み出して、DICOMサーバ3に向けて送信する。送信処理を終えると、図5の一連の処理を終了する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る医療システム100のように、動画データを取り扱う場合であっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、超音波観測装置2が、ビデオプロセッサ1から必要な情報を取得してDICOM形式の内視鏡動画を生成すること、及び、3台以上の医療装置からなる医療システムに適用することが可能であることについても、第1の実施形態と同様である。
【0054】
本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0055】
1 ビデオプロセッサ
2 内視鏡用超音波観測装置
3 DICOMサーバ
4 超音波内視鏡
【要約】
ビデオプロセッサ1及び超音波観測装置2は、それぞれの画像についてDICOM形式のデータを生成するときに付加される第1及び第2の付加情報を記憶する。通信I/F部15は、ビデオプロセッサ1と超音波観測装置2との間で超音波画像と第2の付加情報の一部または全てを汎用プロトコルで定められるネットワークを介して通信する。制御部12は、少なくとも通信I/F部15を介して受信した情報に基づき超音波画像についてのDICOM形式のデータを生成する。ネットワークI/F部19は、DICOMサーバ3との間で、生成された超音波画像についてのDICOM形式のデータをDICOMプロトコルで定められるネットワークを介して通信する。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図4
図5