【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の幾つかの態様が本明細書に開示される。これらの態様は、互いに重複していてもしていなくてもよいことが理解されよう。よって、1つの態様の一部は別の態様の範囲内に含まれていて差し支えなく、その逆の場合も同様である。
【0009】
各態様は、多くの実施の形態によって例証され、それらは、同様に、1つまたはそれ以上の特定の実施の形態を含みうる。実施の形態は互いに重複していても、していなくてもよいことが理解されよう。よって、1つの実施の形態の一部、またはそれらの特定の実施の形態は、別の実施の形態の範囲、またはそれらの特定の実施の形態の範囲内に入っていても入っていなくてもよく、その逆の場合も同じである。
【0010】
よって、本開示の第1の態様は、ガラスシートの第1の周縁部を除去する方法であり、本方法は、
(I)第1の主表面、前記第1の主表面とは反対側に位置する第2の主表面、中心厚さTh(C)を有する中心領域、上縁面、下縁面、第1の側縁面、および第2の側縁面を有するガラスシートであって、各縁面が前記第1の主表面および前記第2の主表面と接続し、前記第1の周縁部が前記第1の側縁面の近くにある、ガラスシートを提供し;
(II)前記上縁面の近くの前記第1および第2の主表面を支持装置(suspension device)に固定することによって、前記ガラスシートを所定の位置に設置し;
(III)ステップ(II)の後に、前記上縁面から前記下縁面まで延在する前記第1の側縁面の端からの距離D1において前記第1の側縁の近くの前記第1および第2の主表面を拘束し;
(IV)ステップ(III)の後に、前記第1の側縁面の端からの距離D2において(ここで、D2<D1である)、前記上縁面の近くから前記下縁面の近くまで延在する前記第1の主表面上にスコア線を形成し;
(V)第1の一対のクランプを使用して、前記第1の側縁面の端からの距離D3において、前記第1の側縁の近くの前記第1および第2の主表面をクランプし;
(VI)前記第2の主表面を前記スコア線と反対側のノージングストリップと接触させ;
(VII)ステップ(V)および(VI)の後、前記第1の一対のクランプによって前記第2の主表面を前記第1の主表面から離れる方向に動かし、それによって、前記第1の側縁の近くの前記ガラスシートの前記第1の周縁部が、前記ノージングストリップに対して曲がり、前記スコア線に沿って前記ガラスシートの中心領域から分離する、
各工程を有してなる。
【0011】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(II)〜(VII)のすべてにおいて、ガラスシートは実質的に垂直に保持される。
【0012】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(III)はステップ(V)に先行する。
【0013】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(III)および(V)は実質的に同時に行われる。
【0014】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(V)において、第1の一対のクランプは実質的に垂直、すなわち、重力加速度ベクトルに対して実質的に平行である。
【0015】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(I)において、提供された状態のままのガラスシートの第1の周縁部は、ガラスシートが室温において実質的に均一な温度を有し、外力にさらされない場合に、前記上縁面から前記下縁面の方向にたわむ。
【0016】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(VI)において、第1の周縁部の第1の主表面および第2の主表面への第1の一対のクランプの係合は、最長で1.5秒で完了し、ある特定の実施の形態では最長で1秒で完了し、ある特定の他の実施の形態では最長で0.5秒で完了し、ある特定の他の実施の形態では最長で0.4秒で完了し、ある特定の他の実施の形態では最長で0.3秒で完了する。
【0017】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(II)において、上縁面の近くの第1および第2の主表面は、クランプを使用して支持装置に固定される。
【0018】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(III)において、第1の側縁の近くの第1および第2の主表面は、第1の側縁面の端からの距離D1において第2の垂直な一対のクランプによって固定される。
【0019】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、第2の垂直な一対のクランプは上縁面から下縁面まで延在する。
【0020】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(VI)はステップ(IV)に先行し、ステップ(IV)において、第1の主表面に押し付け、スコア線を形成するのに機械式スコアホイールが用いられる。
【0021】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(I)において、ガラスシートの中心厚さTh(C)は、最大で500μmであり、ある特定の実施の形態では最大で400μmであり、ある特定の実施の形態では最大で300μmであり、ある特定の他の実施の形態では最大で200μmであり、ある特定の他の実施の形態では最大で100μmである。
【0022】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(I)において、ガラスシートは、少なくとも1000cmの高さを有し、ある特定の実施の形態では少なくとも1200cm、ある特定の他の実施の形態では少なくとも1500cm、ある特定の他の実施の形態では少なくとも1800cm、ある特定の他の実施の形態では少なくとも2000cm、ある特定の他の実施の形態では少なくとも2500cm、ある特定の他の実施の形態では少なくとも3000cmの高さを有する。本明細書では、ガラスシートの高さは上縁面から下縁面までの最短距離として定義される。
【0023】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(I)において、ガラスシートは、少なくとも1000cmの幅を有し、ある特定の実施の形態では少なくとも1200cmの幅を有し、ある特定の他の実施の形態では少なくとも1500cmの幅を有し、ある特定の他の実施の形態では少なくとも1800cmの幅を有し、ある特定の他の実施の形態では少なくとも2000cmの幅を有し、ある特定の他の実施の形態では少なくとも2500cmの幅を有し、ある特定の他の実施の形態では少なくとも3000cmの幅を有する。本明細書では、ガラスシートの幅は、第1の側縁面の端から第2の側縁面の端までの最短距離として定義される。
【0024】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ガラスシートは、フュージョンダウンドロー、スロットダウンドロー、またはリドローダウンドロー法などのダウンドロー法によって製造される。
【0025】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(IV)において、スコア線はレーザービームの使用によって形成される。
【0026】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、5cm≦D1≦50cmであり、ある特定の実施の形態では5cm≦D1≦40cmであり、ある特定の実施の形態では5cm≦D1≦30cmであり、ある特定の実施の形態では5cm≦D1≦20cmであり、ある特定の実施の形態では5cm≦D1≦15cmであり、ある特定の他の実施の形態では5≦D1≦10cmである。
【0027】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、4cm≦D2≦40cmであり、ある特定の実施の形態では4cm≦D2≦40cmであり、ある特定の実施の形態では4cm≦D2≦30cmであり、ある特定の実施の形態では4cm≦D2≦20cmであり、ある特定の実施の形態では4cm≦D2≦15cmであり、ある特定の他の実施の形態では4cm≦D2≦10cmである。
【0028】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、0.5cm≦D3≦20cmであり、ある特定の実施の形態では0.5cm≦D3≦15cmであり、ある特定の実施の形態では0.5cm≦D3≦10cmであり、ある特定の実施の形態では0.5cm≦D3≦8cmであり、ある特定の実施の形態では0.5cm≦D3≦5cmであり、ある特定の他の実施の形態では0.5cm≦D3≦3cmである。
【0029】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(V)において、第1の一対のクランプは、上縁面から下縁面まで延在する。
【0030】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(V)において、第1の一対のクランプは、ガラスシートの第1および第2の主表面に200〜2000パスカルの圧力を与え、ある特定の実施の形態では300〜1500パスカルの圧力を与え、ある特定の他の実施の形態では400〜1000パスカルの圧力を与え、ある特定の他の実施の形態では500パスカル〜1000パスカルの圧力を与える。例えば、約1900mmの高さを有するガラスシートでは、第1の一対のクランプのクランプストリップが約2mmの幅を有する場合、クランプによって第1および第2の主表面に印加される所望の力は、2重量ポンド(4.45ニュートン)から約20重量ポンド(44.5ニュートン)まで変化しうる。
【0031】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(II)における支持装置はガラス搬送装置の一部である。
【0032】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(IV)はステップ(VI)に先行する。
【0033】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(VI)はステップ(IV)に先行する。
【0034】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(VI)において、ノージングストリップはガラスシート以上の硬さを有する。ある特定の実施の形態では、ノージングストリップは、少なくとも40のショアA硬さを有し、ある特定の実施の形態では少なくとも50、ある特定の他の実施の形態では少なくとも60のショアA硬さを有する。
【0035】
本開示の第1の態様のある特定の実施の形態では、ステップ(VI)において、ノージングストリップは、ステップ(IV)の間に、スコアホイールがガラスの第1の主表面をノージングストリップに押し付けるときにノージングストリップが実質的に線形の状態を保つように、十分に剛性な支持体に取り付けられる。
【0036】
本開示の第2の態様は、第1の主表面、前記第1の主表面とは反対側に位置する第2の主表面、中心厚さTh(C)を有する中心領域、上縁面、下縁面、第1の側縁面、および第2の側縁面を有するガラスシートの第1の周縁部を除去するための装置を対象とし、各縁面は、第1の主表面および第2の主表面に接続し、第1の周縁部は第1の側縁面の近くにあり、本装置は、
(A)上縁面の近くの第1および第2の主表面を固定することによって、ガラスシートを垂直位置に設置するのに適したガラス支持装置と、
(B)第1の縁部拘束クランプストリップを備えた、前記第1の主表面の側に配置された第1の縁部拘束タワー(edge restraining tower)、および第2の縁部拘束クランプストリップを備えた、前記第2の主表面の側に配置された第2の縁部拘束タワーであって、ここで、前記第1の縁部拘束クランプストリップと前記第2の縁部拘束クランプストリップとの間の距離は調節可能であり、前記上縁面から前記下縁面まで、前記第1の側縁面の端からの距離D1において、第1の側縁の近くの第1および第2の主表面を拘束するのに適した、第1および第2の縁部拘束タワーと、
(C)前記第1の側縁面の端からの距離D2において(ここで、D2<D1である)、前記上縁面の近くから前記下縁面まで延在する第1の主表面上にスコア線を形成するために、前記第1の主表面と接触した垂直の動きに適した、前記第1の縁部拘束タワーに取り付けられた機械式スコアホイールと、
(D)前記第1の側縁面の端からの距離D3において(ここでD3<D2である)、前記第1の周縁部の第1および第2の主表面を係合し、クランプするのに適した第1の一対の縁クランプと、
(E)前記第2の主表面と接触するのに適した、前記スコア線と反対側のノージングストリップと、
(F)前記第1の側縁の近くの前記ガラスシートの前記第1の周縁部が前記ノージングストリップに対して曲がり、前記ガラスシートの中心領域から前記スコア線に沿って分離するように、前記第1の一対のクランプによって、前記第2の主表面を前記第1の主表面から離れる方向に動かすのに適した加力装置(force applicator)と、
を備える。
【0037】
本開示の第2の態様のある特定の実施の形態では、ノージングストリップはガラスシート以上の硬さを有する。
【0038】
本開示の第2の態様のある特定の実施の形態では、ノージングストリップは、スコアホイールがガラスの第1の主表面をノージングストリップに押し付けるときに、ノージングストリップが実質的に線形の状態を保つように、十分に剛性な台座によって支持される。
【0039】
本開示の第2の態様のある特定の実施の形態では、ノージングストリップは、アルミニウム、鋼鉄、銅およびそれらの合金、およびポリイミドから選択される材料を含む。
【0040】
本開示の1つまたはそれ以上の実施の形態および/または態様は、次の利点を有する。第1に、スコア線が形成される前に、第1の側縁面の端からの距離D3において、第1の側縁の近くの第1および第2の主表面を拘束するために第1の一対のクランプを使用することにより、スコアリングの間のガラスシートの第1の周縁部の動きは著しく低下し、それによって、最大で500μmの厚さTh(C)を有する、特に最大で300μmの厚さTh(c)を有する、さらに有利には最大で200μmの厚さTh(C)を有する薄いガラスシートにおいて、スコア線の形成の信頼性およびその品質は実質的に増大する。したがって、周縁除去方法の全収率は大幅に改善される。第2に、第1の一対のクランプによってもたらされる追加の拘束に起因して、本方法および装置は、上縁面から下縁面までのシートのたわみに対する感受性が低く、よって、最大で500μmの厚さ、最大で400μm、最大で300μm、または最大で200μmの厚さなど、高い可撓性および比較的大きいシートのたわみを有するガラスシートの取り扱いを可能にする。
【0041】
本発明の追加の特徴および利点は、下記の詳細な説明に記載され、一部にはその説明から当業者にとって容易に明らかになるであろうし、あるいは、明細書および特許請求の範囲、ならびに添付の図面に記載される本発明を実施することによって認識されるであろう。
【0042】
前述の概要および後述する詳細な説明は、単に本発明の典型例であって、特許請求の範囲に示される本発明の性質および特徴を理解するための概観および枠組みを提供することが意図されていることが理解されよう。
【0043】
添付の図面は本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれてその一部を構成する。