(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弾性変形が可能であり、かつ、保持孔を有するカバーと、前記保持孔内に設けられ、かつ、前記カバーを介して伝達される外力により弾性変形する支持部材と、前記支持部材により互いに離れた状態で支持され、かつ、前記支持部材が変形することにともない相互に接触する第1の電極と第2の電極とを含む複数の電極と、を備えたタッチセンサ装置であって、
前記カバーに固定されて前記カバーを補強する補強部材と、
前記補強部材に形成され、かつ、前記保持孔に露出されて前記支持部材に接触した接触部と、
を有し、
前記支持部材に外力が伝達される方向に沿った平面内に、前記第1の電極に形成された第1の平坦面と、前記第2の電極に形成され、かつ、前記第1の平坦面と平行な第2の平坦面と、が設けられ、
前記第1の平坦面の長さは前記第2の平坦面の長さよりも短く設定されており、
前記保持孔は、前記支持部材に外力が伝達される方向に沿った平面内で点を中心とする円弧形状面により形成されており、
前記支持部材に外力が伝達される方向に沿った平面内で、前記第1の平坦面から前記点までの距離と、前記第2の平坦面から前記点までの距離とが異なる、タッチセンサ装置。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の開閉体を電動モータの動力で自動的に開閉する開閉装置が知られている。この開閉装置は、開閉体に物体が接触したことを検知するタッチセンサ装置を備えており、開閉体を閉じる途中で物体が開閉体に接触したことが検知されると、開閉体を停止させるか、または開閉体を開く制御を行う。このような開閉装置に用いられるタッチセンサ装置の一例が、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたタッチセンサ装置は、カバー及び支持部材を備えている。支持部材は、弾性を有する絶縁材を円筒形状に一体成形したものであり、支持部材の内周には、複数、具体的には4本の電極が螺旋状に取り付けられている。また、カバーは支持部材よりも弾性が低く、支持部材は円筒形状の保持部と、保持部に連続する取付部とを備えている。保持部の孔に支持部材が挿入されており、取付部は、ドアパネルのブラケットに取り付けられている。また、保持部から取付部に亘り、金属材料により構成された補強部材が埋め込まれている。さらに、4本の電極はリード線を介して電気回路に接続されており、電気回路の電流値を検出する電流検出素子が設けられている。また、電流検出素子から出力される信号が入力されるコンピュータが設けられている。
【0004】
そして、ドアパネルは、電動モータの動力で動作し、車両に設けられた開口部を開閉する。ドアパネルを動作して開口部を閉じるときに、ドアパネルの動作方向の前方に物体が存在すると、カバーが物体に接触する。すると、カバーが弾性変形して電極同士が接触し、電気回路の電流値が変化する。電気回路の電流値の変化が電流検出素子により検出され、その電流検出素子から出力された信号がコンピュータに入力され、コンピュータは物体の存在を検知する。なお、タッチセンサ装置の一例は、特許文献2〜5にも記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたタッチセンサ装置は、カバーに物体が接触してカバーが弾性変形しても、保持部のうち支持部材と補強部材との間に位置している部分が弾性変形する可能性がある。このため、カバーに加わった外力が支持部材に伝達されず、外力の検知性能が低下する可能性があった。
【0007】
本発明の目的は、外力の検知性能を向上することの可能なタッチセンサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のタッチセンサ装置は、弾性変形が可能であり、かつ、保持孔を有するカバーと、前記保持孔内に設けられ、かつ、前記カバーを介して伝達される外力により弾性変形する支持部材と、前記支持部材により互いに離れた状態で支持され、かつ、前記支持部材が変形することにともない相互に接触する第1の電極と第2の電極とを含む複数の電極と、を備えたタッチセンサ装置であって、前記カバーに固定されて前記カバーを補強する補強部材と、前記補強部材に形成され、かつ、前記保持孔に露出されて前記支持部材に接触した接触部と、を有し、前記支持部材に外力が伝達される方向に沿った平面内に、前記第1の電極に形成された第1の平坦面と、前記第2の電極に形成され、かつ、前記第1の平坦面と平行な第2の平坦面と、が設けられ、前記第1の平坦面の長さは前記第2の平坦面の長さよりも短く設定されて
おり、前記保持孔は、前記支持部材に外力が伝達される方向に沿った平面内で点を中心とする円弧形状面により形成されており、前記支持部材に外力が伝達される方向に沿った平面内で、前記第1の平坦面から前記点までの距離と、前記第2の平坦面から前記点までの距離とが異なる。
【0009】
本発明のタッチセンサ装置は、前記支持部材の剛性は前記カバーの剛性よりも高い。
【0010】
本発明のタッチセンサ装置は
、前記支持部材に外力が伝達される方向に沿った平面内で、前記第1の電極と前記補強部材との間に前記第2の電極が配置されている。
【0012】
本発明のタッチセンサ装置は、前記カバーは車両の開口部を開閉する開閉体に取り付けられており、前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記開閉体の動作方向に間隔をおいて配置されている。
本発明のタッチセンサ装置は、前記カバーが、前記車両の幅方向に延ばされたベースと、前記ベースから前記車両の前方に向けてU字形状に湾曲し、かつ、物体に接触する保持部と、を有し、前記補強部材は、前記ベースに埋め込まれており、前記保持孔は、前記補強部材と前記ベースとの間に設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、補強部材と支持部材とが接触しているため、外力がカバーを経由して支持部材に伝達されると、支持部材の変形が抑制され、複数の電極同士が接触し易くなる。したがって、タッチセンサ装置による外力の検知性能が向上する。
【0014】
本発明によれば、支持部材が弾性変形したときに第2の電極が第1の電極から離れる方向に移動しにくくなり、第1の電極と第2の電極との接触が促進される。
【0015】
本発明によれば、外力が伝達される方向に沿って第1の電極と第2の電極とが配置されているため、第1の電極と第2の電極とが一層接触し易くなる。
【0016】
本発明によれば、支持部材が外力で変形すると、第1の電極と第2の電極との接触面積を拡大することができる。
【0017】
本発明のタッチセンサ装置は、車両の開閉体を動作させるときに物体がカバーに接触したことを検知できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示す車両10は、車体11にフロントドア12及びスライドドア13が取り付けられている。車体11には、フロア14とルーフ15とを接続するセンターピラー16が設けられている。センターピラー16はBピラーとも呼ばれる。センターピラー16は、車両10の高さ方向に沿って設けられた支柱である。センターピラー16は、フロントドア12及びスライドドア13よりも車両10の車内Aに近い位置に設けられている。
【0020】
スライドドア13は、車体11の側面に設けられたガイドレール17に沿って、車両10の前後方向に動作可能である。つまり、スライドドア13の動作方向は、車両10の前後方向である。フロントドア12を閉じると、車両10の前後方向で、フロントドア12の後端12aは、センターピラー16の配置範囲内に位置する。スライドドア13が閉じられていると、車両10の前後方向で、スライドドア13の前端13aは、センターピラー16の配置範囲内に位置する。スライドドア13とフロントドア12との間に開口部18が形成される。
【0021】
車体11またはスライドドア13に電動モータが設けられており、電動モータの動力が、ケーブルを介してスライドドア13に伝達されて、スライドドア13が動作する。車両10の車内Aまたはスライドドア13には、スライドドア13の動作を制御するスイッチが設けられている。スイッチにはコントローラが接続されており、コントローラから出力される信号により、電動モータの回転、停止、回転方向が制御される。
【0022】
また、コントローラには、電気回路を介してタッチセンサ装置19が接続されている。タッチセンサ装置19は、車両10の前後方向でスライドドア13の前端13aに取り付けられている。タッチセンサ装置19は、フロントドア12とスライドドア13との間、または、センターピラー16とスライドドア13との間に存在する物体を検知するためのものである。
図2のようにスライドドア13は、車両10の前後方向に沿って延ばされた外壁20と、外壁20の前端から車内A側に向けて延ばされた前壁21と、外壁20と平行に配置された内壁22とを有する。内壁22は、外壁20よりも車内Aに近い位置に配置されている。前壁21における内壁22側の端部に、U字形状に屈曲された屈曲部23が形成されており、屈曲部23が内壁22の前端を挟んでいる。
【0023】
タッチセンサ装置19は、弾性変形可能な材料、例えば、ゴム、軟質樹脂等により形成されたカバー24と、カバー24により支持された支持部材25とを備えている。カバー24は導電性を有しない材料により一体成形されている。
図3のようにカバー24は、車両10の幅方向に延ばされたベース26と、ベース26における車外Bに近い方の端部に連続された第1壁片27と、ベース26における車内Aに近い方の端部に連続された第2壁片28と、を備えている。
【0024】
車両10の幅方向とは、水平面内で車両10の前後方向に対して直角な方向である。車両10の幅方向は、
図2で左右方向で表されている。第1壁片27及び第2壁片28は、車両10の幅方向で屈曲部23の両側に配置されている。第1壁片27は、屈曲部23よりも車外Bに近い位置に配置され、第2壁片28は、屈曲部23よりも室外Aに近い位置に配置されている。車両10の前後方向で、屈曲部23の前側にベース26が配置されている。つまり、ベース26、第1壁片27、第2壁片28は、平面断面形状がコ字形となるように連続されている。
【0025】
さらに、ベース26及び第1壁片27及び第2壁片28に亘り、金属材料の芯金29が埋め込まれている。芯金29は、インサート成形によりカバー24に固定されている。芯金29の剛性はカバー24の剛性よりも高く、芯金29はカバー24の形状を保持する補強部材としての役割を持つ。芯金29は、ベース26に埋め込まれた第1平板部29aと、第1壁片27に埋め込まれた第2平板部29bと、第2壁片28に埋め込まれた第3平板部29cとを有する。第1平板部29aの両端に第2平板部29b及び第3平板部29cが連続されているため、第1平板部29a及び第2平板部29b及び第3平板部29cを備えた芯金29は、平面断面形状が全体としてコ字形となっている。
【0026】
第1壁片27における屈曲部23側には突出部27aが設けられている。突出部27aは水平方向に突出されており、突出部27aは屈曲部23に接触している。第2壁片28における屈曲部23側には接触片28aが設けられている。接触片28aは水平方向に突出されており、接触片28aの先端が屈曲部23に接触している。このように、突出部27a及び接触片28aが屈曲部23を挟んでおり、カバー24は、突出部27a及び接触片28aの挟み付け力で、スライドドア13に取り付けられている。カバー24の突出部27a及び接触片28aが突出部27aを挟み付ける力は、芯金29の剛性、カバー24の剛性、突出部27aの突出量、接触片28aの長さ等により定まる。
【0027】
また、第1壁片27における車両10の前後方向で後端には、張り出し部30が連続されている。張り出し部30は、第1壁片27から車外Bに向けて張り出している。張り出し部30における車外B側の端部に、折り返し片31が連続して設けられている。折り返し片31の自由端は、ベース26と第1壁片27との境界部分の前方に位置している。
【0028】
さらに、カバー24は保持部32を有する。保持部32は、水平方向の平面内で、ベース26から前方に向けてU字形に湾曲している。保持部32は、円弧形状部32aと、円弧形状部32aにおける周方向の両端にそれぞれ接続された直線部32bとを有する。保持部32とベース26との間に保持孔33が設けられている。つまり、カバー24は中空な構造である。円弧形状部32aの内周に、水平方向の平面内で点Cを中心とする半径の円弧形状面33aが形成されている。円弧形状面33aは、点Cよりも車両10の前方に配置されている。円弧形状面33aは、車両10の前方に向けて膨らむ向きで湾曲している。
【0029】
直線部32bの内面は直線面33bとなっている。円弧形状面33aの周長方向の両端に、それぞれ直線面33bが連続されている。2つの直線面33b同士は平行であり、2つの直線面33bは車両10の前後方向に沿って延ばされている。第1平板部29aの一部は保持孔33に露出している。水平方向の平面内で、カバー24の円弧形状部32a及び直線部32bは、厚さが一定である。
【0030】
そして、保持孔33内に支持部材25が設けられている。支持部材25は、弾性変形可能な材料、例えば、ゴム、軟質樹脂等により形成されている。さらに、支持部材25は導電性を備えていない。支持部材25の剛性はカバー24の剛性よりも高い。支持部材25の外表面には、円弧形状面33aに密着した円弧形状部25bが設けられている。円弧形状部25bの周長方向の両端には、それぞれ直線部25cが連続されている。直線部25cは直線面33bに密着している。
【0031】
また、支持部材25の外表面の一部、つまり、直線部25cの両端の間には、直線部25dが形成されている。直線部25dは、第1平板部29aのうち、保持孔33に露出している部位に密着している。すなわち、直線部25dと第1平板部29aとの間には、カバー24は介在されていない。支持部材25は、車両10の前後方向で第1平板部29aよりも前方に配置されている。直線部25dは、円弧形状部25bと同一半径の円に対する接線と同一位置にある。
【0032】
支持部材25には孔25aが設けられている。孔25aは水平方向の平面内で点Cを含む範囲に設けられている。また、孔25aの内部に複数、具体的には、2つの電極34,35が設けられている。電極34,35は、車両10の高さ方向に沿って直線状に形成されており、電極34,35は支持部材25の内周に固定されている。電極34は、弾性変形可能な導電性材料により成形されている。電極34には導電線34aが埋め込まれている。電極35は、弾性変形可能な導電性材料により成形されている。電極35には導電線35aが埋め込まれている。電極34,35を構成する材料は、ゴムにカーボンブラック、金属粉末を配合した材料が含まれる。
【0033】
電極34,35は、支持部材25に外力が加えられていない状態で互いに離れている。具体的には、電極34,35は車両10の前後方向に間隔Dをおいて配置されている。電極34は、車両10の前後方向で電極35よりも前方に配置されている。電極34において車両10の後方端に平坦面34bが形成されている。電極35において車両10の前方端に平坦面35bが形成されている。平坦面34b,35bは、水平面内で共に車両10の幅方向に沿って直線状に設けられている。平坦面34bと平坦面35bとは平行であり、平坦面34bと平坦面35bとの距離が間隔Dとなっている。電極34,35同士の間隔Dは、車両10の前後方向における間隔である。また、平坦面34bは点Cよりも前方に配置され、平坦面35bは点Cよりも後方に配置されている。導電線34aと導電線35aとの間の中心点は、車両10の前後方向で点Cよりも前方に位置している。
【0034】
車両10の前後方向で、平坦面34bから点Cまでの距離は、平坦面35bから点Cまでの距離よりも長い。車両10の幅方向における平坦面34bの長さEは、車両10の幅方向における平坦面35bの長さFよりも短い。孔25aのうち、電極34が取り付けられていない部分の最前端から、電極35が取り付けられていない部分の最後端までの長さGは、電極34,35同士の間隔Dよりも長い。支持部材25、孔25a、電極34,35は、点Cを通る直線を基準として、左右対称の形状を備えている。点Cを通る直線は、車両10の前後方向に沿った直線であり、この直線は図示していない。
【0035】
次に、タッチセンサ装置19の作用を説明する。タッチセンサ装置19を取り付けたスライドドア13が、車両10の前方に向けて移動すると、車両10の前後方向の所定距離の範囲では、車両10の前後方向に沿って直線状に動作する。その後、車両10の車内A側に向けて斜めに動作し、
図2のように折り返し片31がフロントドア12の後端に接触した状態で電動モータが停止し、スライドドア13が停止する。このようにして、開口部18はスライドドア13により閉じられる。
【0036】
これに対して、スライドドア13が開口部18を閉じている状態で、開口部18を開くときは、スライドドア13が車両10の後方へ向けて斜めに動作する。スライドドア13の動作により、折り返し片31がフロントドア12の後端から離れた後、スライドドア13は車両10の後方に向けて直線状に動作し、所定位置で停止する。
【0037】
開口部18を閉じる向きでスライドドア13が動作中に、タッチセンサ装置19の保持部32が物体に接触して弾性変形すると、その外力で支持部材25が弾性変形する。特に、支持部材25のうち、電極34,35同士の間の両側に位置する部分が変形し、荷重を吸収する。支持部材25が弾性変形すると、電極34,35が相互に接触し、電気回路の電流値が変化し、コントローラは、物体が接触したことを検知する。すると、コントローラは、電動モータを停止してスライドドア13を停止する制御、または電動モータを逆回転させてスライドドア13を開く向きで動作させる制御を行う。
【0038】
本実施形態のタッチセンサ装置19は、支持部材25の直線部25dが芯金29の第1平板部29aに接触している。すなわち、直線部25dと第1平板部29aとの間には、カバー24は介在されていない。このため、外力が支持部材25に伝達された場合に、電極35が第1平板部29aに近づく向きで移動することを抑制できる。したがって、電極34と電極35とが接触し易くなり、タッチセンサ装置19の検知性能を向上できる。ここで、タッチセンサ装置19の検知性能は、外力に対するタッチセンサ装置19の応答性を含む。
【0039】
特に、支持部材25の剛性はカバー24の剛性よりも高く、支持部材25の直線部25が芯金29の第1平板部29aに接触している。このため、外力が支持部材25に伝達されると、カバー24の一部が支持部材25と芯金29の第1平板部29aとの間に介在している場合に比べて、支持部材25における電極35と第1平板部29aとの間の部分が、第1平板部29aに向けて変形する量を少なくすることができる。したがって、電極34と電極35とが一層接触し易くなり、外力の検知性能が向上する。
【0040】
また、支持部材25と保持部32との間に隙間がなく、支持部材25の外周面と、保持部32の保持孔33の内周面とが密着している。したがって、保持部32が弾性変形したときに荷重を確実に支持部材25に伝達することができ、タッチセンサ装置19の検知性能が低下することを抑制できる。また、電極34に平坦面34bが設けられ、電極35に平坦面35bが設けられている。このため、物体とカバー24とが接触して、カバー24に対して車両10の前後方向に沿った向きの荷重が加わると、平坦面34bと平坦面35bとが面接触し、接触面積を拡大することができる。したがって、タッチセンサ装置19による検知性能が向上する。
【0041】
また、平坦面34bは平坦面35bと平行であり、かつ、平坦面34bの長さEは、平坦面35bの長さFよりも短い。このため、車両10の前後方向に対して傾斜する向きの荷重が、支持部材25に加わると、電極34が電極35に対して平行移動して、電極34の平坦面34bと電極35の平坦面35bとが接触する。したがって、タッチセンサ装置19の検知性能が向上する。
【0042】
また、支持部材25及びカバー24のうち、電極34,35同士の間に対応する部分の厚さを厚くすることが可能である。したがって、荷重を繰り返し加えるタッチセンサ装置19の耐久試験において、カバー24及び支持部材25の弾性変形量をなるべく少なくすることができる。すなわち、支持部材25の圧縮荷重による永久歪をなるべく小さくすることができる。カバー24は、水平方向の平面断面内で、支持部材25を取り囲むように設けられた外皮としての役割を果たす。また、支持部材25は、電極34,35を覆う被覆部としての役割を果たす。
【0043】
次に、タッチセンサ装置19の他の構造例を、
図4を参照して説明する。導電線34aと導電線35aとの間の中心点は、車両10の前後方向で点Cよりも後方に位置している。また、車両10の前後方向で、平坦面34bから点Cまでの距離は、平坦面35bから点Cまでの距離よりも短い。
図4に示す支持部材25の他の構造は、
図3に示す支持部材25の構造と同じである。
図4のタッチセンサ装置19は、
図3のタッチセンサ装置19と同様の効果を得ることができる。
【0044】
さらに、タッチセンサ装置19の製造方法を説明する。まず、第1工程では、支持部材25と電極34,35とが一体化される。第2工程では、芯金29がプレス加工される。第1工程と第2工程とは、同時に行われてもよいし、いずれか一方の工程を先に行った後、他方の工程を行ってもよい。第3工程、つまり、押し出し工程では、電極34,35が取り付けられた支持部材25と、芯金29とが、流動するゴム材料により一体化され、ゴム材料が固化してカバー24となる。この押し出し工程では、支持部材25の直線部25dを芯金29の第1平板部29aに接触させるため、芯金29と支持部材25との位置決めを容易に行うことができる。
【0045】
なお、前述した芯金29が、本発明の補強部材に相当し、電極34が本発明の第1の電極に相当し、電極35が、本発明の第2の電極に相当し、第1平板部29aが、本発明の接触部に相当し、平坦面34bが、本発明の第1の平坦面に相当し、平坦面35bが、本発明の第2の平坦面に相当し、スライドドア13が、本発明の開閉体に相当する。
【0046】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、2つの電極は、接触が想定される箇所に、平坦面を備えた構造の他、円弧面を備えた構造、湾曲面を備えた構造を含む。また、本発明のタッチセンサ装置が設けられる開閉体は、車両のルーフに形成された開口部を開閉する開閉体を含む。車両のルーフに設けられた開口部を開閉する開閉体の動作方向は、車両の前後方向または車両の左右方向を含む。