(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、複雑で大きな構造で構成された油圧ジャッキを2つも設ける必要があり、装置の大きさが非常に大きくなってしまい、アンカー近傍に障害物がある場合などにアンカーの定着荷重を測定することができないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、アンカーの外周面と荷重計の環状中央部に設けられた孔部の内周面との間に大きな隙間が生じた場合に、荷重計の孔部の中央部とアンカーの中心軸が大きくずれて、荷重計が設置面上に配置されることがあった。このとき、荷重計の孔部の周方向に取り付けられた複数の歪ゲージの各々とアンカーの外周面との距離にばらつきが生じてしまい、埋没アンカーの定着荷重を正確に計測できなかった。
【0009】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、障害物がアンカー近傍に設けられている場合であっても、荷重測定計をアンカーの周囲に安定して取り付けることができる荷重測定計取り付け装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく本発明では以下(1)〜(10)の手段を講じている。
(1)本発明の荷重測定計取り付け装置は、一部が設置面に埋没される埋没アンカーの定着荷重を計測する環状の荷重測定計を前記埋没アンカーの周囲に取り付けるための荷重測定計取り付け装置であって、孔部を有する孔空きプレートを有し、前記埋没アンカーのうちで前記設置面上に突出された部分である突出部の外周を囲うように前記設置面上に取り付けられる環状保持プレートと、 上枠と下枠がベアリング機構を介して互いに向かい合うように組み込まれた孔空き環状体からなり、前記突出部の外周を囲うように前記環状保持プレート上に取り付けられる前記荷重測定計の上に当接して配置された環状ベアリングと、 前記環状ベアリング上に取り付けられ、前記環状保持プレートと前記環状ベアリングの間に取り付けられた前記荷重計測計を挟み込んで締め付けるように、前記突出部に締結される締結部とを備え、前記荷重測定計が前記環状保持プレート上に取り付けられたときに、前記突出部の延在方向に対して略垂直方向において、前記環状保持プレートの最大外形寸法(但し、突出部を除く寸法)は、前記荷重測定計の最大外形寸法と同じであるかこれよりも小さい。
環状保持プレートの突出部を除く最大外形寸法が荷重測定計の最大外形寸法以下であると、環状保持プレートが荷重測定計よりも平面視外側へ突出することがなく、また環状保持プレートの突出部を除く最大外形寸法が荷重測定計の最大外形寸法よりも小さいものであると、荷重測定計の接地部を荷重測定計の最大外形よりも小さい範囲で構成することができる。このため、荷重測定計の近くに障害物がある場合や、荷重測定計周囲の設置面が平坦でない場合等、荷重測定計の取り付け区域が近傍で設置制限される場合でも、環状保持プレートを荷重測定計下部に確実に収めることができる。
【0011】
(2)前記荷重計測計は、円形環状部の上面に複数の歪ゲージが設けられた円筒体からなり、
前記環状保持プレートの前記孔空き保持プレートは、前記孔部が中央部に形成された円盤体で形成され、
前記環状保持プレートの前記円盤体の最大外径は、前記荷重計測計の前記円筒体の最大外径よりも小さいことが好ましい。
(3)上記いずれかに記載の荷重測定計取り付け装置において、環状保持プレートは、
前記孔部に沿って環状に突出した保持リブを有し、
前記保持リブは、前記荷重測定計が前記環状保持プレート上に取り付けられたときに、前記荷重計測計の中央部に形成された測定計孔部に嵌入されることが好ましい。
(4)上記いずれかに記載の荷重測定計取り付け装置において、環状保持プレートは、
前記荷重測定計が前記環状保持プレート上に取り付けられたときに、前記荷重測定計の配置位置を調整するために、前記孔空きプレートの外周面に突出するように形成された操作片を有する請求項3に記載の荷重測定計取り付け装置。
(5)上記いずれかに記載の荷重測定計取り付け装置において、荷重測定計は、環状の測定計本体の側部から突出して取り付けられたコネクタ部を有し、
前記操作片は、前記コネクタ部の外形よりも小さくなるように形成されることが好ましい。
(6)上記いずれかに記載の荷重測定計取り付け装置において、
前記荷重測定計は、環状の測定計本体の側部から突出して取り付けられたコネクタ部を有し、
前記荷重測定計が前記環状保持プレート上に取り付けられたときに、前記操作片と前記コネクタ部を前記突出部の延在方向に沿って前記設置面に投影した際に、前記操作片が前記コネクタ部の内側に配置されたことが好ましい。
(7)上記いずれかに記載の荷重測定計取り付け装置において、荷重測定計は、環状の測定計本体の側部から突出して取り付けられたコネクタ部を有し、
前記孔空きプレートの外周方向における前記操作片の幅寸法は、前記荷重測定計の前記測定計本体の外周方向における前記コネクタ部の幅寸法よりも小さいことが好ましい。
(8)上記いずれかに記載の荷重測定計取り付け装置において、環状ベアリングの前記ベアリング機構は、前記孔空き環状体の中央部から放射状に略同一面上に配置された複数の円筒型転動体を有することが好ましい。
(9)上記いずれかに記載の荷重測定計取り付け装置において、載置台と複数の脚部を有し、前設置面と前記環状保持プレートに間に設けられたテーブルを備え、
前記環状保持プレートは、前記設置面上に代えて、前記テーブルの前記載置台上に取り付けられることが好ましい。
(10)上記いずれかに記載の荷重測定計取り付け装置において、突出部は、前記埋没アンカーのうちで前記設置面上に突出された部分と、これに連結される連結アンカーとから構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる荷重測定計取り付け装置によれば、障害物がアンカー近傍に設けられている場合であっても、荷重測定計をアンカーの周囲に安定して取り付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態における荷重測定計取り付け装置の構成を図に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態における荷重測定計取り付け装置の構成を示す分解斜視図である。
図2は、本発明の第1の実施の形態における荷重測定計取り付け装置の構成を示す断面図である。
図3は、本発明の第1の実施の形態における荷重測定計取り付け装置の構成を示す部分断面図であって、
図2のA−A切断面を示す図である。
【0016】
本発明の荷重測定計取り付け装置は、
図1に示されるように、一部が設置面に埋没される埋没アンカーBの定着荷重を計測する環状の荷重測定計Lを埋没アンカーBの周囲に取り付けるための装置である。
図1および
図2に示されるように、本発明の荷重測定計取り付け装置は、孔空きプレート1と、環状ベアリング2と、締結部3とを備えて構成される。
図1および
図2に示されるように、環状保持プレート1、荷重測定計L、環状ベアリング2および締結部3は、埋没アンカーBの延出方向に沿って、順次、重ね合わせて配置される。なお、荷重測定計取り付け装置を用いて、荷重計測計Lを埋没アンカーBに取り付ける方法については、後で詳しく説明する。
【0017】
ここで、本発明の荷重測定計取り付け装置の構成を説明する前に、まず、埋没アンカーBと、荷重測定計Lの構成を説明する。
【0018】
埋没アンカーBは、一部がコンクリートなど設置面に埋没されたアンカーをいう。アンカーの引張力を利用することにより、地盤などの設置面が崩壊することを防止することができる。アンカーは、プレストリストコンクリートで予め圧縮応力を付加するためや、傾斜地の土砂を堰き止めるためや、崖などの斜面を安定化するためや、構造物の転倒や浮き上がりを抑制するためや、仮設または本設の山留め土留めなどに、主として土木建築分野で用いられている。なお、埋没アンカーBは、グランドアンカーを含む概念である。
【0019】
埋没アンカーBの具体的な構成を説明する。埋没アンカーBは、設置面中に埋没されて当該設置面に定着された定着部と、設置面上に突出するように露出された突出部とを有する。また、埋没アンカーBの周方向には、締結部3が螺合するネジ山が形成されている。
【0020】
埋没アンカーBの設置は、次のように行われる。まず、アンカーの一端部側を設置面中に挿入した後、定着部にグラウトを充填して、アンカーの定着部を設置面中に定着させる。
【0021】
荷重測定計Lは、
図1に示されるように、測定計本体LAと、測定計孔部LHと、表示器(不図示)と、測定計本体LAと表示器を接続するケーブルLCと、ケーブルLCと測定計本体LHを接続するコネクタ部LKとから構成される。測定計本体LAは、円筒体からなり、上面の円形環状部の上面に、複数の感圧式歪センサたる歪ゲージ(不図示)が設けられている。ただし、測定計本体LAの形状は、円筒体に限定されない。測定計孔部LHは、測定計本体LHの中央部に形成される。コネクタ部LKは、測定計本体LA側で、ケーブルLCと測定計本体LHを接続する。このコネクタ部LKは、環状の測定計本体LAの側部から突出して取り付けられている。
以上、埋没アンカーBと、荷重測定計Lの構成について説明した。
【0022】
次に、本発明の荷重測定計取り付け装置の構成品として、環状保持プレート1、環状ベアリング2および締結部3について具体的な構成を説明する。
【0023】
図1および
図2に示されるように、環状保持プレート1は、孔空きプレート10と、孔部1Hと、保持リブ1Fと、操作片1Lとを有している。
【0024】
孔空きプレート10は、円盤体によって構成されている。ただし、孔空きプレート10の形状は、円盤体に限定されない。孔部1Hは、孔空きプレート10の中央部に貫通するように形成されている。環状保持プレート1は、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分である突出部の外周を囲うように設置面上に取り付けられる。したがって、孔部1Hの内径は、少なくとも、埋没アンカーBの外径よりも大きくなるように、設定されている。
【0025】
また、
図1および
図2に示されるように、保持リブ1Fは、孔部1Hに沿って環状に上方突出した突出条として形成されている。荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときに、この保持リブ1Fの突出条部分の外周部が、荷重測定計Lの中央部に形成された測定計孔部LHに嵌入される。このように、保持リブ1Fを荷重測定計Lの測定計孔部LHに嵌入することにより、環状保持プレート1の荷重測定計Lに対する保持位置の位置決めが可能となる。保持リブ1Fによって、荷重測定計Lを環状保持プレート1上に位置決め保持させた状態とすることにより、荷重測定計Lを、環状保持プレート1の移動とあわせて追従移動させることができる。例えば装置の組み付け中又は組み付け後に、環状保持プレート1を位置調節することで、保持リブ1Fに嵌入された荷重測定計Lの位置を正確に調節させることができる。
【0026】
図1および
図2に示されるように、操作片1Lは、環状保持プレート1の孔空きプレートの周方向の一部側方へ突出する細片板として形成されている。この操作片1Lは、荷重測定計Lを環状保持プレート1上に取り付けられるとき、或いは、荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときの位置調整を目的として用いられる。
すなわち、本発明の荷重測定計取り付け装置は、設置面上に配置した荷重測定計を環状ベアリング2及び締結具3で上方から挟み込むように固定して設置するという構造であり、この構造上、荷重測定計ないし環状ベアリング2、締結具3の固定の際に、円筒状の荷重測定計Lの円筒中心が埋没ボルトBの中心位置に対してずれやすいという問題点があった。円筒状の荷重測定計Lの円筒中心が埋没ボルトBの中心位置に対してずれていると、そのズレの程度に応じて荷重測定計には周方向のうち一部に偏った荷重がかかってしまい、正確な荷重測定ができないことがあった。
つまり埋設ボルトBの定着力を正確に測定するには、円筒状の荷重測定計Lの円筒中心はできるだけ埋没ボルトBの中心位置と一致することが好ましい。これに対して、環状ベアリング2ないし締結具3を固定する最中に操作片1Lを保持しておくか、または仮固定後に操作片1Lを押し引き操作することで、環状保持プレート1のプレート中心を埋没ボルトBの中心に合わせ、これによって荷重測定計の位置調整を行うことができる。
【0027】
ここで、
図1および
図2に示されるように、環状保持プレート1の孔空きプレート10の最大外径1Dは、荷重測定計Lの円筒体の最大外径LDよりも小さくなるように、設定されている。すなわち、荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときに、埋没アンカーBの突出部の延在方向に対して略垂直方向において、環状保持プレート1の最大外形寸法は、荷重測定計Lの最大外形寸法よりも小さい。
【0028】
図1および
図2に示されるように、環状ベアリング2は、上枠2Pと下枠2Pがベアリング機構2Bを介して互いに向かい合うように組み込まれた孔空き環状体によって構成されている。上枠2Pおよび下枠2Pの内面には、環状溝2Dが形成されている。環状ベアリング2は、埋没アンカーBの突出部の外周を囲うように環状保持プレート1上に取り付けられる荷重測定計Lの上に当接して配置される。
【0029】
締結部3は、筒状に形成されている。締結部3は、下方から順に、締結部本体31と、フランジ部32と、六角ナット部33とを有して一体構成される。締結部本体31は、筒状に形成されている。また、締結部本体31の筒部の内壁には、ネジ山が形成されている。このネジ山は、埋没アンカーBの突起部に形成されたネジ山に対応するように形成されている。フランジ部32は、締結部本体の外周に沿って、締結部本体31から張り出して円盤状に形成されている。このフランジ部32の下面は、
図2に示されるように、環状ベアリング部2の上枠2Pの上面に当接される。六角ナット部33は、締結部2を埋没アンカーBの突起部に螺合する際に、用いられる。
【0030】
締結部3は、
図1および
図2に示されるように、環状ベアリング2上に取り付けられ、環状保持プレート1と環状ベアリング2の間に取り付けられた荷重計測計Lを挟み込んで締め付けるように、埋没アンカーBの突出部に締結される。より具体的には、締結部3は、環状ベアリング2上に取り付けた後、埋没アンカーBの突起部の先端側から埋没アンカーBに取り付けられる。そして、締結部3を埋没アンカーBの突起部に螺合して、環状保持プレート1と環状ベアリング2の間に取り付けられた荷重計測計Lを挟み込んで締め付ける。これにより、締結部3が、埋没アンカーBの突出部に締結される。
【0031】
次に、本発明の荷重測定計取り付け装置を用いて、荷重測定計Lを埋没アンカーBに取り付けて、埋没アンカーBの定着荷重を測定する方法について、図に基づいて説明する。
【0032】
まず、
図1および
図2に示されるように、環状保持プレート1を、設置面上に露出された埋没アンカーBの突出部に取り付ける。具体的には、埋没アンカーBの突起部が環状保持プレート1の孔部1Hに挿入されるように、環状保持プレート1を設置面上に載置する。
【0033】
次に、
図1および
図2に示されるように、荷重測定計Lを環状保持プレート1上に配置し、当該荷重測定計Lを埋没アンカーBの突出部に取り付ける。具体的には、埋没アンカーBの突起部が荷重測定計Lの測定計孔部LHに挿入されるように、荷重測定計Lを環状保持プレート1上に載置する。
【0034】
次に、
図1および
図2に示されるように、環状ベアリング2を荷重測定計L上に配置し、当該環状ベアリング2を埋没アンカーBの突起部に取り付ける。具体的には、埋没アンカーBの突起部が環状ベアリング2の中央部の孔部に挿入されるように、環状ベアリング2を荷重測定計L上に載置する。
【0035】
次に、
図1および
図2に示されるように、締結部3を環状ベアリング2上に配置し、当該締結部3を埋没アンカーBの突起部の先端部に取り付ける。具体的には、環状保持プレート1、荷重測定計Lおよび環状ベアリング2が設置面上で取り付けられた埋没アンカーBの突起部の先端部のネジ部に、締結部3を螺合する。これにより、環状保持プレート1、荷重測定計L、環状ベアリング2および締結部3が、埋没アンカーBの延出方向に沿って、順次、重ね合わせて配置される。
【0036】
このとき、埋没アンカーBの突起部の先端部のネジ部に締結部3を仮留めした状態で、操作片1Lを用いて、荷重測定計Lの配置位置を調整することができる。
図4および
図5を用いて、操作片1Lを用いて、荷重測定計Lの配置位置を調整する方法を説明する。
【0037】
図4は、荷重測定計Lが埋没アンカーBに対してずれて配置された状態を示す断面図である。
図5は、荷重測定計Lが埋没アンカーBに対してずれて配置された状態を示す断面図であって、
図4のB−B切断面における断面図である。
【0038】
すなわち、
図4および
図5に示されるように、埋没アンカーBが、荷重測定計Lの測定計孔部LHの中心部からずれた位置に配置されることがある。このとき、荷重測定計Lの測定計本体LAの円形環状部の上面に設けられた複数の歪ゲージの各々と埋没アンカーBの外周面との距離にばらつきが生じてしまい、埋没アンカーの定着荷重を正確に計測できないことがある。
【0039】
そこで、本発明の荷重測定計取り付け装置では、環状保持プレート1に操作片1Lを設けて、この操作片1lを用いて荷重測定計Lの位置を調整できるようにしている。すなわち、
図4および
図5に示される状態で、指で操作片1Lを摘まんで、埋没アンカーBが荷重測定計Lの測定計孔部LHの中心部に配置されるように、荷重測定計Lの位置を設置面上で移動させることができる。
【0040】
これにより、埋没アンカーBを、荷重測定計Lの測定計孔部LHの中心部に配置することができる。この結果、荷重測定計Lの複数の歪ゲージの各々と埋没アンカーBの外周面との距離のばらつきが少なくすることができるので、埋没アンカーの定着荷重を正確に計測できる。
【0041】
そして、
図1および
図2に戻って、埋没アンカーBの突起部に螺合された締結部3をさらに回して締め付けることにより、締結部3が埋没アンカーBの突起部に締結される。これにより、荷重測定計Lが環状保持プレート1と環状ベアリング2の間で挟み込んで締め付けられる。この結果、荷重測定計Lの複数の歪ゲージに負荷が加わり、設置面への埋没アンカーBの定着荷重を測定することができる。
【0042】
ここで、
図1および
図2を用いて前述したように、環状保持プレート1の孔空きプレート10の最大外径1Dは、荷重測定計Lの円筒体の最大外径LDよりも小さくなるように、設定されている。すなわち、荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときに、埋没アンカーBの突出部の延在方向に対して略垂直方向において、環状保持プレート1の最大外形寸法は、荷重測定計Lの最大外形寸法よりも小さい。
【0043】
したがって、
図3に示されるように、荷重測定計取り付け装置を用いて、荷重測定計Lを埋没アンカーBに取り付けた際に、環状保持プレート1の孔空きプレート10が、荷重測定計Lの円筒体から外方に突出することを抑止できる。これにより、
図3に示されるように、壁部Fなどの障害物が埋没アンカーB近傍に設けられている場合であっても、荷重測定計Lを埋没アンカーBの周囲に安定して取り付けることができる。
【0044】
次に、操作片1Lとコネクタ部LKの大きさ関係について、
図3に基づいて説明する。
図3では、荷重測定計Lのコネクタ部LKおよびケーブルLCを2点鎖線で表示している。
【0045】
図3に示されるように、操作片1Lは、コネクタ部LKの外形よりも小さくなるように形成されている。すなわち、
図3に示されるように、荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときに、操作片1Lとコネクタ部LKを埋没アンカーBの突出部の延在方向に沿って設置面に投影した際に、操作片1Lがコネクタ部LKの内側に配置されている。このとき、孔空きプレート10の外周方向における操作片1Lの幅寸法は、荷重測定計Lの測定計本体LAの外周方向におけるコネクタ部LKの幅寸法よりも小さい。
【0046】
このように、操作片1Lとコネクタ部LKを埋没アンカーBの突出部の延在方向に沿って設置面に投影した際に、操作片1Lがコネクタ部LKと重なる最小限の範囲に収められる。このため、狭い設置領域内であっても、アンカー近傍の障害物に影響を低減して、荷重測定計をアンカーの周囲に安定して取り付けることができる。
【0047】
次に、環状ベアリング2の詳細な構成を説明する。
図6は、環状ベアリング2の構成を示す図である。
図6(a)は、環状ベアリング2の正面図である。
図6(b)は、
図6(a)のC−C切断面における断面図である。
【0048】
図6(a)および
図6(b)に示されるように、環状ベアリング2は、上枠2Pと下枠2Pがベアリング機構2Bを介して互いに向かい合うように組み込まれた孔空き環状体によって構成されている。上枠2Pおよび下枠2Pの内面には、環状溝2Dが形成されている。また、環状ベアリング2のベアリング機構2Bは、孔空き環状体の中央部から放射状に略同一面上に配置された複数の円筒型転動体を有する。このように、ベアリング機構2Bを複数の円筒型転動体で構成することで、ベアリング機構2Bを複数の球型転動体で構成する場合と比較して、上枠2Pおよび下枠2Pを低荷重でも円滑に相対回転させることができる。このため、ベアリング機構2Bを複数の円筒型転動体で構成することは、回転負荷が小さい時に適している。
【0049】
以上のように、本発明の第1の実施の形態における荷重測定計取り付け装置は、一部が設置面に埋没される埋没アンカーBの定着荷重を計測する環状の荷重測定計Lを埋没アンカーBの周囲に取り付けるための装置である。また、荷重測定計取り付け装置は、環状保持プレート1と、環状ベアリング2と、締結部3とを備えている。
【0050】
環状保持プレート1は、孔部1Hを有する孔空きプレート10を有し、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分である突出部の外周を囲うように設置面上に取り付けられる。環状ベアリング2は、上枠2Pと下枠2Pがベアリング機構2Bを介して互いに向かい合うように組み込まれた孔空き環状体からなり、突出部の外周を囲うように環状保持プレート1上に取り付けられる荷重測定計Lの上に当接して配置されている。締結部3は、環状ベアリング2上に取り付けられ、環状保持プレート1と環状ベアリング2の間に取り付けられた荷重計測計Lを挟み込んで締め付けるように、突出部に締結される。そして、荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときに、突出部の延在方向に対して略垂直方向において、環状保持プレート1の最大外形寸法は、荷重測定計Lの最大外形寸法よりも小さい。
【0051】
このように、本発明では、荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときに、埋没アンカーBの突出部の延在方向に対して略垂直方向において、環状保持プレート1の最大外形寸法は、荷重測定計Lの最大外形寸法よりも小さい。このため、荷重測定計取り付け装置を用いて、荷重測定計Lを埋没アンカーBに取り付けた際に、環状保持プレート1の孔空きプレート10が、荷重測定計Lの円筒体から外方に突出することを抑止できる。これにより、壁部Fなどの障害物が埋没アンカーB近傍に設けられている場合であっても、荷重測定計Lを埋没アンカーBの周囲に安定して取り付けることができる。
【0052】
また、本発明の第1の実施の形態における荷重測定計取り付け装置において、荷重計測計Lは、円形環状部の上面に複数の歪ゲージが設けられた円筒体からなる。また、環状保持プレート1の孔空き保持プレート10は、孔部1Hが中央部に形成された円盤体で形成されている。また、環状保持プレート1の円盤体の最大外径は、荷重計測計Lの円筒体の最大外径よりも小さい。
【0053】
このように、環状保持プレート1の孔空きプレート10の最大外径1Dは、荷重測定計Lの円筒体の最大外径LDよりも小さくなるように、設定されている。このため、荷重測定計取り付け装置を用いて、荷重測定計Lを埋没アンカーBに取り付けた際に、環状保持プレート1の孔空きプレート10が、荷重測定計Lの円筒体から外方に突出することを抑止できる。これにより、壁部Fなどの障害物が埋没アンカーB近傍に設けられている場合であっても、荷重測定計Lを埋没アンカーBの周囲に安定して取り付けることができる。
【0054】
本発明の第1の実施の形態における荷重測定計取り付け装置は、前記環状保持プレート1は、孔部1Hに沿って環状に突出した保持リブ1Fを有する。保持リブ1Fは、荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときに、荷重計測計Lの中央部に形成された測定計孔部LHに嵌入される。
【0055】
このように、保持リブ1Fを荷重測定計Lの測定計孔部LHに嵌入することにより、環状保持プレート1の荷重測定計Lに対する位置決めが容易となる。また、環状保持プレート1を移動させることにより、荷重測定計Lを移動させることができる。
【0056】
本発明の第1の実施の形態における荷重測定計取り付け装置において、環状保持プレート1は、操作片1Lを有する。この操作片1Lは、荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときに、荷重測定計Lの配置位置を調整するために、孔空きプレート10の外周面に突出するように形成されている。
【0057】
これにより、荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときに、荷重測定計Lの配置位置を容易に調整することができる。
【0058】
本発明の第1の実施の形態における荷重測定計取り付け装置において、荷重測定計Lは、環状の測定計本体LAの側部から突出して取り付けられたコネクタ部LKを有する。操作片1Lは、コネクタ部LKの外形よりも小さくなるように形成されている。すなわち、荷重測定計Lが環状保持プレート1上に取り付けられたときに、操作片1Lとコネクタ部LKを突出部の延在方向に沿って設置面に投影した際に、操作片1Lがコネクタ部LKの内側に配置されている。このとき、孔空きプレート10の外周方向における操作片1Lの幅寸法は、荷重測定計Lの測定計本体LAの外周方向におけるコネクタ部LKの幅寸法よりも小さい。
【0059】
これにより、操作片1Lとコネクタ部LKを埋没アンカーBの突出部の延在方向に沿って設置面に投影した際に、操作片1Lがコネクタ部LKと重なる最小限の範囲に収められる。このため、狭い設置領域内であっても、アンカー近傍の障害物に影響を低減して、荷重測定計をアンカーの周囲に安定して取り付けることができる。
【0060】
本発明の第1の実施の形態における荷重測定計取り付け装置において、環状ベアリング2のベアリング機構2Bは、孔空き環状体の中央部から放射状に略同一面上に配置された複数の円筒型転動体を有する。
【0061】
このように、ベアリング機構2Bを複数の円筒型転動体で構成することで、ベアリング機構2Bを複数の球型転動体で構成する場合と比較して、上枠2Pおよび下枠2Pを低荷重でも円滑に相対回転させることができる。このため、ベアリング機構2Bを複数の円筒型転動体で構成することは、回転負荷が小さい時に適している。
【0062】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態における荷重測定計取り付け装置の構成を図に基づいて説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態における荷重測定計取り付け装置の構成を示す断面図である。
【0063】
図7に示されるように、本発明の第2の実施の形態における荷重測定計取り付け装置は、孔空きプレート1と、環状ベアリング2と、締結部3と、連結アンカー4と、テーブル5とを備えて構成される。
図7において、
図1〜
図6に示した構成と同等の構成要素には、
図1〜
図6に示した符号と同一の符号を付している。
【0064】
ここで、
図2と
図7を対比する。
図7に示された荷重測定計取り付け装置では、連結アンカー4と、テーブル5とを有する点で、
図2に示した荷重測定計取り付け装置と相違する。
【0065】
図7に示されるように、連結アンカー4は、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分に連結されている。連結アンカー4は、延長アンカー40と、連結部41とを備えている。延長アンカー40の外径は、埋没アンカーBの外径と略同一である。連結部42は、
図7に示されるように、円筒形状に形成されている。また、連結部41の円筒の内壁には、ネジ山が形成されている。連結部41は、例えば、2つの半円筒部材に分割することができるように構成されている。そして、埋没アンカーBの端部と延長アンカーの端部と合わせた部分で、これら2つの半円筒部材を組みあわせることで、埋没アンカーBの端部と延長アンカー40の端部が連結される。そして、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分と、これに連結される連結アンカー4とから、突出部を構成する。
【0066】
図7に示されるように、テーブル5は、載置台51と、少なくとも3本以上の複数の脚部52を有する。載置台51の表面は、平面で構成されており、載置台51の中央部には、載置台孔部5Hが形成されている。複数の脚部52は、載置台51に取り付けることができる。当該脚部52の長さは、載置台51の表面と設置面の間の距離に合わせて、調節することができる。
【0067】
また、
図7に示されるように、載置台孔部5Hには、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分とこれに連結される連結アンカー4とから構成される突起部が挿入される。
【0068】
また、
図7に示されるように、環状保持プレート1、荷重測定計L、環状ベアリング2および締結部3が、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分とこれに連結される連結アンカー4とから構成される突起部の延出方向に沿って、順次、重ね合わせて、テーブル5の載置台51の表面上に配置される。
【0069】
次に、本発明の荷重測定計取り付け装置を用いて、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分とこれに連結される連結アンカー4とから構成される突起部に、荷重測定計Lを取り付けて、埋没アンカーBの定着荷重を測定する方法について、図に基づいて説明する。
【0070】
まず、
図7に示されるように、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分に、連結アンカー4を連結する。このように、連結アンカー4を埋没アンカーBに連結することができるので、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分が短い場合であっても、荷重測定計取り付け装置を用いて荷重測定計Lを、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分とこれに連結される連結アンカー4とから構成される突起部に、取り付けることができる。
【0071】
次に、テーブル5を設置面上に配置する。このとき、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分とこれに連結される連結アンカー4とから構成される突起部が、載置台孔部5Hに挿入されるように、テーブル5を設置面上に配置する。
【0072】
次に、
図7に示されるように、環状保持プレート1、荷重測定計L、環状ベアリング2および締結部3が、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分とこれに連結される連結アンカー4とから構成される突起部の延出方向に沿って、順次、重ね合わせて、テーブル5の載置台51の表面上に配置する。
【0073】
環状保持プレート1、荷重測定計L、環状ベアリング2および締結部3を、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分とこれに連結される連結アンカー4とから構成される突起部に取り付ける方法については、第1の実施の形態の取り付け方法に準じるので、詳細な説明を省略する。
【0074】
以上のように、本発明の第2の実施の形態における荷重測定計取り付け装置は、テーブル5を有する。テーブル5は、載置台51と複数の脚部52を有する。また、テーブル5は、環状保持プレート1と設置面の間に設けられる。また、環状保持プレート1は、設置面上に代えて、テーブル5の載置台51上に取り付けられる。このように、環状保持プレート1と設置面の間にテーブル5を設けることにより、荷重測定計Lを設置面よりも高い位置に配置することができる。この結果、環状保持プレート1、荷重測定計L、環状ベアリング2および締結部3の取り付けに際して、操作性を向上させることができる。
【0075】
また、本発明の第2の実施の形態における荷重測定計取り付け装置において、突出部は、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分と、これに連結される連結アンカー4とから構成される。
【0076】
このように、連結アンカー4を埋没アンカーBに連結することができるので、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分が短い場合であっても、荷重測定計取り付け装置を用いて荷重測定計Lを、埋没アンカーBのうちで設置面上に突出された部分とこれに連結される連結アンカー4とから構成される突起部に、取り付けることができる。
【0077】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態における荷重測定計取り付け装置の構成を図に基づいて説明する。
図8は、本発明の第3の実施の形態における荷重測定計取り付け装置の構成を示す断面図である。
【0078】
図8に示されるように、本発明の第3の実施の形態における荷重測定計取り付け装置は、孔空きプレート1と、二重ワッシャ210・220と、締結部30とを備えて構成される。
図8において、
図1〜
図6に示した構成と同等の構成要素には、
図1〜
図6に示した符号と同一の符号を付している。
【0079】
ここで、
図1と
図8を対比する。
図8に示された荷重測定計取り付け装置では、環状ベアリング2の代わりに下ワッシャ210と上ワッシャ220とを重ねた二重ワッシャを備える点、及び、締結部3の代わりに中柱部320と挿入部本体310とを有した締結挿入部30を備える点で、
図1に示した荷重測定計取り付け装置と相違する。
【0080】
締結挿入部30は、下方から順に、締結挿入部310と、締結挿入部よりも拡径の円柱からなる柱部320と、六角ナット部30とを有して一体構成される。荷重測定計L上に重ねて配置した二重ワッシャ210,220を介して、測定計孔部LH内に挿入して配置される。
【0081】
挿入部本体310は、荷重測定計Lの測定計孔部LHよりも小径の筒体からなり、二重ワッシャ210,220を介して測定計孔部LHの上部に挿入される。また、挿入部本体310の筒孔内壁には、ネジ山が形成されている。このネジ山は、埋没アンカーBの突起部に形成されたネジ山に対応するように形成されている。中柱部320は、挿入部本体310の外周に沿って、挿入部本体310よりも大径に膨出形成されており、挿入部本体310を測定計孔部LHに挿入したとき、中柱部320が二重ワッシャの上ワッシャ220の上面に当接配置される。ここで、中柱部320の下面には、上ワッシャ220の窪みに合わせた下方突条の係合片が突出形成されており、中柱部320が二重ワッシャの上ワッシャ220の上面に当接配置されるとき、この係合片が上ワッシャ220の窪み内に係合して上ワッシャ220の周り止め機能を果たす。六角ナット部33は、六角柱状の外周部であり、挿入部本体310の筒孔と同じネジ山の筒孔が下部から続けて形成される。この六角ナット部33は、締結部2を埋没アンカーBの突起部に螺合する際に用いられる。
【0082】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。例えば各実施例の荷重測定計保持装置と荷重測定計とからなる荷重測定システムを構成してもよく、また各実施例の荷重測定計保持装置のうち、環状保持プレート1のみを荷重測定計Lの載置プレートとして使用してもよく、或いは環状保持プレート1と荷重測定計Lと環状ベアリング2とを下方から順に重ねて構成した圧縮荷重測定機を構成してもよい。また他の構成例として、各実施例の締結部30や挿入締結部30の代わりに、埋設ボルト又は延長ボルトに螺合するナットないし内螺子パイプを使用してもよい。また、環状保持プレート1の操作片1Lは、プレート面から上方へ折れ曲がって斜め上方へ伸長する斜め板、或いは厚さ方向に2箇所で屈曲した鉤状板からなるものとしてもよい。操作片1Lの省略も含め、これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。