【実施例】
【0027】
図1は、本実施例のガスタービンを表す概略構成図、
図2は、本実施例のガスタービン燃焼器を表す概略構成図、
図3は、ガスタービン燃焼器における要部断面図、
図4は、周波数に対する減衰性能を表すグラフ、
図5は、本実施例のガスタービン燃焼器の作用を表す概略図である。
【0028】
本実施例のガスタービンは、
図1に示すように、圧縮機11と燃焼器(ガスタービン燃焼器)12とタービン13により構成されている。このガスタービンには、図示しない発電機が連結されており、発電可能となっている。
【0029】
圧縮機11は、空気を取り込む空気取入口20を有し、圧縮機車室21内に入口案内翼(IGV:Inlet Guide Vane)22が配設されると共に、複数の静翼23と動翼24が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されてなり、その外側に抽気室25が設けられている。燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、点火することで燃焼可能となっている。タービン13は、タービン車室26内に複数の静翼27と動翼28が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されている。このタービン車室26の下流側には、排気車室29を介して排気室30が配設されており、排気室30は、タービン13に連続する排気ディフューザ31を有している。
【0030】
また、圧縮機11、燃焼器12、タービン13、排気室30の中心部を貫通するようにロータ(回転軸)32が位置している。ロータ32は、圧縮機11側の端部が軸受部33により回転自在に支持される一方、排気室30側の端部が軸受部34により回転自在に支持されている。そして、このロータ32は、圧縮機11にて、各動翼24が装着されたディスクが複数重ねられて固定され、タービン13にて、各動翼28が装着されたディスクが複数重ねられて固定されており、排気室30側の端部に図示しない発電機の駆動軸が連結されている。
【0031】
そして、このガスタービンは、圧縮機11の圧縮機車室21が脚部35に支持され、タービン13のタービン車室26が脚部36により支持され、排気室30が脚部37により支持されている。
【0032】
従って、圧縮機11の空気取入口20から取り込まれた空気が、入口案内翼22、複数の静翼23と動翼24を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。燃焼器12にて、この圧縮空気に対して所定の燃料が供給され、燃焼する。そして、この燃焼器12で生成された作動流体である高温・高圧の燃焼ガスが、タービン13を構成する複数の静翼27と動翼28を通過することでロータ32を駆動回転し、このロータ32に連結された発電機を駆動する。一方、排気ガス(燃焼ガス)のエネルギは、排気室30の排気ディフューザ31により圧力に変換され減速されてから大気に放出される。
【0033】
上述した燃焼器12において、
図2に示すように、燃焼器外筒41は、内側に所定間隔をあけて燃焼器内筒42が配置され、この燃焼器内筒42の先端部に燃焼器尾筒43が連結されて燃焼器ケーシングが構成されている。燃焼器内筒42は、内部の中心部に位置してパイロット燃焼バーナ44が配置されると共に、燃焼器内筒42の内周面に周方向に沿ってパイロット燃焼バーナ44を取り囲むように複数のメイン燃焼バーナ45が配置されている。また、燃焼器尾筒43はバイパス管46が連結されており、このバイパス管46にバイパス弁47が設けられている。
【0034】
詳細に説明すると、
図3に示すように、燃焼器外筒41は、外筒本体51の基端部に外筒蓋部52が密着し、複数の締結ボルト53により締結されている。また、燃焼器外筒41は、外筒蓋部52の内側にトップハット部54が嵌合し、複数の締結ボルト55により締結されている。燃焼器内筒42は、燃焼器外筒41の内側に所定の間隔をあけて配置されており、トップハット部54の内面と燃焼器内筒42の外面との間に円筒形状をなす空気通路56が形成されている。そして、空気通路56は、一端部が圧縮機で圧縮された圧縮空気の供給通路57に連通し、他端部が燃焼器内筒42のおける基端部側に連通している。この燃焼器内筒42は、基端部側に拡径部42aが形成されることで、空気通路56は、ベルマウス形状をなしている。
【0035】
燃焼器内筒42は、中心部に位置してパイロット燃焼バーナ44が配置され、その周囲に複数のメイン燃焼バーナ45が配置されている。パイロット燃焼バーナ44は、燃焼器内筒42に支持されたパイロットコーン58と、パイロットコーン58の内部に配置されたパイロットノズル59と、パイロットノズル59の外周部に設けられる旋回翼(スワラーベーン)60とから構成されている。また、メイン燃焼バーナ45は、バーナ筒61と、バーナ筒61の内部に配置されたメインノズル62と、メインノズル62の外周部に設けられる旋回翼(スワラーベーン)63とから構成されている。
【0036】
そして、トップハット部54は、燃料ポート64,65が設けられている。そして、図示しないパイロット燃料ラインがパイロットノズル59の燃料ポート64に連結され、図示しないメイン燃焼ラインが各メインノズル62の燃料ポート65に連結されている。
【0037】
また、燃焼器12は、空気通路56に多孔板71が配置されている。この多孔板71は、リング形状をなす円板72に所定間隔(均等間隔)で多数の円孔73が形成されて構成されている。多孔板71は、空気通路56における空気入口部56aに配置されている。
【0038】
多孔板71は、空気が多数の円孔73を通過するとき、円孔73の出口側の端部で渦流が発生することで流動抵抗を付与可能となっており、各円孔73を通過する空気の速度変動を減衰可能である。この多孔板71は、空気通路56における空気入口部56aを閉塞するように固定されている。空気通路56は、ベルマウス形状をなすことから、この空気入口部56aでの空気の流速の変動分布が大きく、圧力が低い領域であり、ここに多孔板71を設けることで、音響抵抗が発生し、圧力変動を抑制することで燃焼振動が抑制される。
【0039】
この場合、多孔板71の厚さ、円孔73の内径や個数、開口率などにより、燃焼器12で発生する燃焼振動のうち、特に抑制したい燃焼振動の周波数をコントロールすることができる。
【0040】
本実施例にて、
図5に示すように、多孔板71は、リング形状をなし、空気通路56における空気の流動方向Fに対してほぼ直交する方向に配置されている。そして、多孔板71は、開口率を5%〜10%に設定することが好ましい。この場合、多孔板71は、空気通路56の空気入口部56aに配置されていることから、流動抵抗が発生して供給通路57から空気通路56に流れ込む圧縮空気量が低下するおそれがある。そのため、空気通路56における空気入口部56aの開口面積を十分に確保した上で、開口率を5%〜10%に設定する必要がある。
【0041】
このように構成された燃焼器12にて、
図2及び
図3に示すように、高温・高圧の圧縮空気は、供給通路57から多孔板71を通って空気通路56に流れ込み、この空気通路56から燃焼器内筒42内に流れ込む。そして、この燃焼器内筒42内にて、圧縮空気がメイン燃焼バーナ45から噴射された燃料と混合し、予混合気の旋回流となって燃焼器尾筒43内に流れ込む。また、燃焼器内筒42内にて、圧縮空気がパイロット燃焼バーナ44から噴射された燃料と混合し、図示しない種火により着火されて燃焼し、燃焼ガスとなって燃焼器尾筒43内に噴出する。このとき、燃焼ガスの一部が燃焼器尾筒43内に火炎を伴って周囲に拡散するように噴出することで、各メイン燃焼バーナ45から燃焼器尾筒43内に流れ込んだ予混合気に着火されて燃焼する。即ち、パイロット燃焼バーナ44から噴射されたパイロット燃料による拡散火炎により、メイン燃焼バーナ45からの希薄予混合燃料の安定燃焼を行うための保炎を行うことができる。
【0042】
この圧縮空気が供給通路57から多孔板71を通って空気通路56に流れ込むとき、
図5に示すように、多孔板71の開口率が5%〜10%であることから、流動抵抗が付与される。即ち、圧縮空気が多孔板71の各円孔73の出口側の端部で渦流が発生し、速度変動が減衰される。このように圧縮空気に流動抵抗が付与されて速度変動が減衰されることから、音響抵抗が付与されることとなり、発生した圧力変動を周波数に拘わらず適正に抑制することで燃焼振動が抑制される。
【0043】
即ち、
図4に示すように、燃焼器内筒に音響ダンパを装着した従来の燃焼器は、
図4に点線で表すように、所定の周波数における燃焼振動を抑制するような性能を有している。一方、空気通路56に多孔板71を装着した本実施例の燃焼器12は、
図4に実線で表すように、幅広い周波数における燃焼振動を抑制するような性能を有している。そのため、本実施例の燃焼器12は、従来の燃焼器に比べて、幅広い周波数領域で効果的に燃焼振動を抑制することができる。
【0044】
なお、本実施例の燃焼器12は、上述した構成に限定されるものではない。
図6から
図8は、本実施例のガスタービン燃焼器の変形例を表す概略図である。
【0045】
図6に示すように、燃焼器12において、燃焼器外筒41は、端部にトップハット部54が締結されている。燃焼器内筒42は、燃焼器外筒41の内側に所定の間隔をあけて配置されており、トップハット部54と燃焼器内筒42との間に空気通路56が形成されている。そして、空気通路56は、一端部が圧縮機11で圧縮された圧縮空気の供給通路57に連通し、他端部が燃焼器内筒42のおける基端部側に連通している。この燃焼器内筒42は、基端部側に拡径部42aが形成されることで、空気通路56は、ベルマウス形状をなしている。
【0046】
また、燃焼器12は、空気通路56における空気入口部56aに多孔板81が配置されている。この多孔板81は、円錐台のリング形状をなし、多数の円孔が形成されて構成されている。そして、多孔板81は、空気通路56における空気の流動方向Fに対して傾斜する方向に配置されている。即ち、円錐台形状をなす多孔板81は、小径側の端部が空気入口部56aにおける上流側の燃焼器内筒42に固定され、大径側の端部が空気入口部56aにおける下流側の燃焼器外筒41に固定されている。
【0047】
そして、多孔板81は、開口率を5%〜10%に設定することが好ましい。この場合、多孔板81は、空気通路56の空気入口部56aに傾斜して配置されていることから、流動抵抗が発生するものの、十分な開口面積を確保することができる。
【0048】
従って、圧縮空気が供給通路57から多孔板81を通って空気通路56に流れ込むとき、流動抵抗及び音響抵抗が付与されることとなり、発生した圧力変動を周波数に拘わらず適正に抑制することで燃焼振動が抑制される。
【0049】
図7に示すように、燃焼器12は、空気通路56における空気入口部56aに多孔板91が配置されている。この多孔板91は、リング形状をなし、多数の円孔が形成されて構成されている。そして、多孔板91は、空気通路56における空気の流動方向Fに対して傾斜する方向に配置されている。即ち、多孔板91は、内側の第1傾斜部92と外側の第2傾斜部93を有し、圧縮空気の流動方向Fにおける下流側に突出して配置されている。即ち、多孔板91は、第1傾斜部92の内周部が空気入口部56aにおける上流側の燃焼器内筒42に固定され、第2傾斜部93の外周部が空気入口部56aにおける上流側の燃焼器外筒41に固定され、第1傾斜部92と第2傾斜部93の連結部が空気入口部56aにおける下流側に突出して配置されている。
【0050】
そして、多孔板91は、開口率を5%〜10%に設定することが好ましい。この場合、多孔板91は、空気通路56の空気入口部56aに傾斜して配置されていることから、流動抵抗が発生するものの、十分な開口面積を確保することができる。
【0051】
従って、圧縮空気が供給通路57から多孔板91を通って空気通路56に流れ込むとき、流動抵抗及び音響抵抗が付与されることとなり、発生した圧力変動を周波数に拘わらず適正に抑制することで燃焼振動が抑制される。
【0052】
図8に示すように、燃焼器12は、空気通路56における空気入口部56aに多孔板101が配置されている。この多孔板101は、リング形状をなし、多数の円孔が形成されて構成されている。そして、多孔板101は、空気通路56における空気の流動方向Fに対して傾斜する方向に配置されている。即ち、多孔板101は、内側の第1傾斜部102と外側の第2傾斜部103を有し、圧縮空気の流動方向Fにおける上流側に突出して配置されている。即ち、多孔板101は、第1傾斜部102の内周部が空気入口部56aにおける燃焼器内筒42に固定され、第2傾斜部103の外周部が空気入口部56aにおける燃焼器外筒41に固定され、第1傾斜部102と第2傾斜部103の連結部が空気入口部56aから上流側に突出して配置されている。
【0053】
そして、多孔板101は、開口率を5%〜10%に設定することが好ましい。この場合、多孔板101は、空気通路56の空気入口部56aに傾斜して配置されていることから、流動抵抗が発生するものの、十分な開口面積を確保することができる。
【0054】
従って、圧縮空気が供給通路57から多孔板101を通って空気通路56に流れ込むとき、流動抵抗及び音響抵抗が付与されることとなり、発生した圧力変動を周波数に拘わらず適正に抑制することで燃焼振動が抑制される。
【0055】
このように本実施例のガスタービン燃焼器にあっては、トップハット部54を有する燃焼器外筒41と、燃焼器外筒41の内側に設けられてこの燃焼器外筒41との間に空気通路56が形成される燃焼器内筒42と、燃焼器内筒42の中心部に配置されるパイロット燃焼バーナ44と、燃焼器内筒42の内周面に周方向に沿ってパイロット燃焼バーナ44を取り囲むように複数配置されるメイン燃焼バーナ45と、リング形状をなして空気通路56に配置されて開口率が5%〜10%に設定される多孔板71とを設けている。
【0056】
従って、圧縮空気が多孔板71を通って空気通路56に流れ込むとき、この多孔板71の開口率が5%〜10%に設定されることで、流動抵抗及び音響抵抗が付与される。そのため、燃焼器内筒42の内部で発生した圧力変動を周波数に拘わらず適正に抑制することができ、その結果、燃焼振動を効果的に減衰することができる。また、空気通路56に多孔板71を設けるだけでよく、構造の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【0057】
また、本実施例のガスタービン燃焼器にあっては、トップハット部54を有する燃焼器外筒41と、燃焼器外筒41の内側に設けられてこの燃焼器外筒41との間に空気通路56が形成される燃焼器内筒42と、燃焼器内筒42の中心部に配置されるパイロット燃焼バーナ44と、燃焼器内筒42の内周面に周方向に沿ってパイロット燃焼バーナ44を取り囲むように複数配置されるメイン燃焼バーナ45と、リング形状をなして空気通路56に空気の流動方向に対して傾斜する方向に配置される多孔板81,91,101とを設けている。
【0058】
従って、圧縮空気が多孔板81,91,101を通って空気通路56に流れ込むとき、この多孔板81,91,101が傾斜することで、十分な空気量が確保される一方で、所定の開口率に規制されて流動抵抗及び音響抵抗が付与される。そのため、燃焼器内筒42の内部で発生した圧力変動を周波数に拘わらず適正に抑制することができ、その結果、燃焼振動を効果的に減衰することができる。また、空気通路56に多孔板81,91,101を設けるだけでよく、構造の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【0059】
本実施例のガスタービン燃焼器では、多孔板71,81,91,101を空気通路56における空気入口部56aに配置している。従って、トップハット部54や燃焼器内筒42などの形状を変更したり、別部品を設けたりする必要はなく、構造の複雑化や高コスト化を抑制することができる。
【0060】
本実施例のガスタービン燃焼器では、多孔板81を円錐台形状としている。従って、多孔板81を小型化することが可能となり、空気入口部56aの開口面積の拡大を抑制することができる。
【0061】
本実施例のガスタービン燃焼器では、多孔板91,101として、内側の第1傾斜部92,102と、外側の第2傾斜部93,103とを設けている。従って、多孔板91,101に2つの傾斜部92,93,102,103を設けることで、多孔板91,101の構造を簡素化することができる。
【0062】
本実施例のガスタービン燃焼器では、多孔板91を圧縮空気の流動方向における下流側に突出して配置している。従って、多孔板91を空気入口部56a内に配置することで、外側への突出部をなくして外観品質を向上することができる。
【0063】
本実施例のガスタービン燃焼器では、多孔板101を圧縮空気の流動方向における上流側に突出して配置している。従って、多孔板101を空気入口部56a外に配置することで、多孔板101の取付を容易に行うことができる。
【0064】
なお、上述した実施例にて、多孔板71,81,91,101の形状は、上述したものに限定されるものではない。例えば、圧縮空気の流動方向における前方または後方に複数の突出部を設けたり、全体を湾曲した形状としたりしてもよい。