(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239256
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】映像監視システム及びデコーダ
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20171120BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G08B23/00 510D
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-85611(P2013-85611)
(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公開番号】特開2014-207639(P2014-207639A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】淵上 寛文
【審査官】
佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−325990(JP,A)
【文献】
特開2012−244574(JP,A)
【文献】
特開2010−245638(JP,A)
【文献】
特開2009−118169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/222−5/257
H04N 17/00
H04N 19/00
G08B 23/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してカメラから出力される映像を含むデータを符号化して伝送する手段と、
前記伝送された前記データを格納するバッファ手段と、
前記バッファ手段に格納されたデータを復号化する復号化手段と、
前記復号化手段の復号化処理時にエラー発生を検出するエラー処理手段と、
前記エラー処理手段からの指示に応じて、前記バッファ手段に格納されたデータから前記エラー発生に伴う関連データを抽出して記録するデータ記録手段と
を具備する映像監視システム。
【請求項2】
前記バッファ手段は、
前記伝送されたデータを1次的に格納する第1のバッファ手段と、
前記第1のバッファ手段から抽出された前記関連データを格納し、前記データ記録手段に転送するための第2のバッファ手段と
を含む請求項1に記載の映像監視システム。
【請求項3】
前記第2のバッファ手段は、
前記第1のバッファ手段に格納されたデータから、前記エラー処理手段によるエラー処理の目的に応じた時間分のデータを上書き動作により格納する請求項2に記載の映像監視システム。
【請求項4】
前記エラー処理手段は、
前記データ記録手段に記録された関連データをエラー解析処理用として使用する請求項1から3のいずれか1項に記載の映像監視システム。
【請求項5】
前記復号化手段により復号化されたデータまたは前記関連データに基づいて生成される画像データを画面上に表示する表示手段を有する請求項4に記載の映像監視システム。
【請求項6】
カメラから出力される映像を含むデータを符号化し、ネットワークを介して伝送する映像監視システムに適用するデコーダであって、
前記伝送された前記データを格納するバッファ手段と、
前記バッファ手段に格納されたデータを復号化する復号化手段と、
前記復号化手段の復号化処理時にエラー発生を検出するエラー処理手段と、
前記エラー処理手段からの指示に応じて、前記バッファ手段に格納されたデータから前記エラー発生に伴う関連データを抽出して記録するデータ記録手段と
を具備するデコーダ。
【請求項7】
前記バッファ手段は、
前記ネットワークを介して伝送されたデータを1次的に格納する第1のバッファ手段と、
前記第1のバッファ手段から抽出された前記関連データを格納し、前記データ記録手段に転送するための第2のバッファ手段と
を含む請求項6に記載のデコーダ。
【請求項8】
前記第2のバッファ手段は、
前記第1のバッファ手段に格納されたデータから、前記エラー処理手段によるエラー処理の目的に応じた時間分のデータを上書き動作により格納する請求項7に記載のデコーダ。
【請求項9】
前記エラー処理手段は、
前記データ記録手段に記録された関連データを、前記復号化手段により復号化してエラー解析処理用として使用する請求項6から8のいずれか1項に記載のデコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、映像監視システム及びデコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば防災情報配信システムに適用し、指定の監視箇所に設置したカメラからの映像をデジタル化(符号化データに変換)して、IPネットワークを介してマルチキャスト伝送する映像監視システムが広く普及してきている。
【0003】
映像監視システムは、IPネットワークに接続されたデコーダにより伝送された符号化データを復号化し、モニタの画面上に表示する。これにより、例えば防災担当者は、モニタの画面上に表示される映像から、例えば監視箇所の周辺の気象状況や災害状況などを確認することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−43390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の映像監視システムにより、モニタの画面上で監視箇所の気象状況や災害状況などを確認できる。しかし、映像監視システムでは、モニタの画面上の映像の一部がノイズで表示できない場合や、全画面の映像が表示できないなどのエラー(障害)が発生することがある。従来から、各種のエラー処理方法が提案されているが、効果的にエラー発生要因を推測することは困難である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、映像を画面上に正常表示できないエラー発生要因を効果的に推測できる機能を有する映像監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の映像監視システムは、ネットワークを介してカメラから出力される映像を含むデータを符号化して伝送する手段と、バッファ手段と、復号化手段と、エラー処理手段と、データ記録手段とを具備する。前記バッファ手段は前記伝送された前記データを格納する。前記復号化手段は前記バッファ手段に格納されたデータを復号化する。前記エラー処理手段は前記復号化手段の復号化処理時にエラー発生を検出する。前記データ記録手段は、前記エラー処理手段からの指示に応じて、前記バッファ手段に格納されたデータから前記エラー発生に伴う関連データを抽出して記録する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に関する映像監視システムの構成を説明するためのブロック図。
【
図2】実施形態に関するデコーダの構成を説明するためのブロック図。
【
図3】実施形態に関するデコーダの動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0010】
[システムの構成]
図1に示すように、本実施形態の映像監視システムは、ネットワーク1に接続する端末側と映像監視側からなる。ネットワーク1は、相互通信可能な無線回線または有線回線で構成されており、例えばLANやイントラネット等のIPネットワークであり、または他の通信ネットワークでもよい。
【0011】
端末側は複数のカメラ装置10からなる。カメラ装置10は、指定の監視箇所に設置されており、カメラ11と周辺機器12とから構成されている。周辺機器12は、カメラ11の動作を制御するカメラコントローラ13、エンコーダ14及び図示しない電源部を有し、ネットワーク1と無線または有線により接続している。エンコーダ14は、カメラ11から出力される映像信号(撮影映像)をデジタルの符号化データに変換する。周辺機器12は、エンコーダ14から出力される符号化データをネットワーク1にマルチキャスト伝送する。なお、符号化データは、映像データ、音声データ、及び映像フォーマットに含まれるカメラ名称や撮影日時などの文字データも含む。
【0012】
一方、映像監視側は、カメラサーバ20と、デコーダ30と、操作用パーソナルコンピュータ(PC)50とを有する。カメラサーバ20は、映像監視側のメインコントローラであり、操作用PC50からの選択信号に応じて、複数のカメラ装置10の各エンコーダ14の何れかをデコーダ30に接続する制御を実行する。また、カメラサーバ20は、カメラ装置10から伝送される符号化データをストレージに蓄積する構成でもよい。
【0013】
デコーダ30は、後述するように、処理した映像データ(音声データ及び文字データを含む)をモニタ40に出力する。モニタ40は、画面上にカメラ11に撮影された映像を表示する。具体的には、
図2に示すように、デコーダ30は、インターフェース部31と、バッファ装置32と、内部バス33と、映像復号化部34と、文字処理部35と、画像合成部36と、音声復号化部37と、エラー処理部38と、データ記録部39とを有する。
【0014】
インターフェース部31は、伝送回線100を介してネットワーク1に接続し、データの入出力を実行する。
【0015】
バッファ装置32は、例えばハードディスクドライブ(HDD)から構成されており、1次バッファ部32A及び2次バッファ部32Bを有する。1次バッファ部32Aは、映像復号化部34、文字処理部35及び音声復号化部37による復号化処理に必要なデータの格納容量を有する。具体例としては、1次バッファ部32Aは、例えばカメラ11による1週間分から2週間分の撮影時間に相当するデータ(映像と音声)を格納する格納容量を有する。本実施形態では、バッファ装置32は2次バッファ部32Bを含む。2次バッファ部32Bは、後述するように、エラー処理の目的に応じた時間分(例えば数分)のデータで、1次バッファ部32Aから読み出されたデータを常に上書きモード(書き換え動作)で格納する。ここで、エラー処理とは、映像をモニタ40の画面上に正常表示できないエラー発生(以下、イベントと表記する場合がある)に伴う処理である。
【0016】
エラー処理部38は、デコーダ30の内部で発生するエラー処理と共に、前述したイベントに伴うエラー処理を実行する。データ記録部39は、例えばフラッシュメモリやSSDであり、エラー処理部38の制御によりイベント用データ(エラー発生に伴う関連データ)を保存する。データ記録部39は、複数のイベント分のデータを格納する容量を有する。
【0017】
[デコーダの動作]
以下、
図3のフローチャートを参照して、本実施形態のデコーダの動作を説明する。なお、本実施形態では、便宜的にカメラ装置10は1台として取り扱う。
【0018】
まず、カメラ装置10は、カメラ11から出力される映像信号(音声信号を含む)を、エンコーダ14により符号化データ(以下単にデータ)に変換してネットワーク1にマルチキャスト伝送する。
【0019】
デコーダ30では、インターフェース部31は、伝送回線100を介してネットワーク1を経由して伝送されるデータを受信し、内部処理用に適したデータフォーマットに変換する(ステップS1)。バッファ装置32は、インターフェース部31で受信されたデータを1次バッファ部32Aに格納する(ステップS2)。
【0020】
映像復号化部34及び音声復号化部37はそれぞれ、1次バッファ部32Aに格納されたデータから、カメラ11により取得された映像及び音声を復号化して出力する(ステップS3)。一方、文字処理部35は、1次バッファ部32Aに格納されたデータから、映像フォーマットに含まれるカメラ11のカメラ名称や撮影日時などの文字データを抽出する。
【0021】
後述するように、エラー発生が無ければ、画像合成部36は、映像復号化部34から出力される映像と、文字処理部35から出力される文字データとを合成してモニタ40に出力する(ステップS4のNO,S8)。これにより、モニタ40の画面上には、カメラ11により撮影された映像及び撮影日時などの文字列が表示される。また、音声復号化部37は、復号化した音声を図示しないスピーカ(モニタ40の近傍に配置)に出力する。これにより、モニタ40の画面上に表示された映像と音声とを視聴することができる。
【0022】
ここで、エラー処理部38は、映像復号化部34、文字処理部35及び音声復号化部37の状態を監視し、復号化エラーの発生(イベント)を検知する(ステップS4)。具体的には、エラー処理部38は、例えば映像復号化部34での復号化エラーの発生(イベント)を検知すると、1次バッファ部32Aに格納されたデータから、イベント前後に格納されたデータを抽出して2次バッファ部32Bに書き込む(ステップS4のYES)。
【0023】
さらに、エラー処理部38は、イベントの検知をデータ記録部39に通知する。データ記録部39は、2次バッファ部32Bからデータを記録し、同時にエラー処理部38からのイベント内容を示すイベント情報を関連付けて記録する(ステップS5)。ここで、データ記録部39に記録されるデータは、エラー発生に伴う関連データとしてイベント用データと総称する。なお、イベント情報は、例えばイベント発生日時や映像復号化部34での復号化エラーを示す情報である。また、データ記録部39は、複数のイベント分のイベント用データを保存可能である。
【0024】
次に、映像監視側では、操作用PC50はエラー処理部38からのイベント通知により、映像をモニタ40の画面上に正常表示できないエラーが発生したことを認識する。デコーダ30は、操作用PC50からの指示に応じて、データ記録部39に保存されたイベント用データは、映像復号化部34及び音声復号化部37により復号化する(ステップS6)。また、データ記録部39に保存されたイベント用データは、インターフェース部31を経由して、操作用PC50に伝送される。
【0025】
画像合成部36は、映像復号化部34から出力される映像と、文字処理部35から出力される文字データとを合成してモニタ40に出力する。これにより、モニタ40の画面上には、検知されたイベント前後の映像及びその撮影日時などの文字列が表示される。また、音声復号化部37は、復号化した音声をスピーカに出力する。これにより、モニタ40の画面上に表示された映像と、それに関連する音声とを視聴することができる。従って、これらのイベント用データを再生することにより、例えば映像復号化部34での復号化エラー発生の要因を推測するエラー解析処理を実行できる(ステップS7)。
【0026】
以上のようにして、本実施形態のデコーダであれば、映像をモニタ40の画面上に正常表示できないエラーが発生した場合に、エラー発生に伴う関連データであるイベント用データを保存できる。従って、この保存したイベント用データを復号化してモニタ40やスピーカに再生することにより、イベントの要因と推測できる映像及び音声を確認できる。
【0027】
具体的には、本実施形態を例えば防災情報配信システムに適用している場合に、前述したようなイベントを検知した場合に、イベント前後の映像及び音声の再生からカメラ装置10の設置場所で、例えば地震発生の様子を確認できる。この場合には、イベントの要因は、地震によりカメラ装置10で例えばカメラ11の損傷によるものと推測できる。また、イベント前後の映像及び音声から、特に気象状況などによりカメラ装置10が損傷するような状況でなければ、例えばネットワークの故障であると推測できる。この場合、例えば、イベント用データに含まれる故障発生直前の映像と、カメラサーバ20により保存されている映像とを比較することで、ネットワークの故障を推定できる。
【0028】
以上要するに、エラー発生時の映像や音声を含むイベント用データを保存することにより、当該イベント用データを再生することで、映像を画面上に正常表示できないエラー発生要因を推測することが可能となる。従って、信頼性の高い映像監視システムを構築することが可能となり、例えば高信頼性を要求される防災情報配信システムに適用する場合に有効である。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1…ネットワーク、10…カメラ装置、11…カメラ、12…周辺機器、
13…カメラコントローラ、14…エンコーダ、20…カメラサーバ、
30…デコーダ、31…インターフェース部、32…バッファ装置、
33…内部バス、34…映像復号化部、35…文字処理部、36…画像合成部、
37…音声復号化部、38…エラー処理部、39…データ記録部。