(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239263
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】振動子搭載用基板
(51)【国際特許分類】
H03H 9/02 20060101AFI20171120BHJP
H03H 9/10 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
H03H9/02 A
H03H9/10
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-101276(P2013-101276)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-222814(P2014-222814A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004592
【氏名又は名称】日本カーバイド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】河浦 茂裕
(72)【発明者】
【氏名】小路 寛
(72)【発明者】
【氏名】三田 悠史
【審査官】
橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−312124(JP,A)
【文献】
特開2003−008387(JP,A)
【文献】
特開2001−102890(JP,A)
【文献】
特開2009−186354(JP,A)
【文献】
特開2006−014038(JP,A)
【文献】
特開平11−214947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/02
H03H 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の底面を有する基体部と、
前記基体部の前記底面と対向する面における所定領域を囲むように前記基体部上に設けられると共に、前記基体部側と反対側が開口する枠体部と、
前記枠体部の内周面の一部であって、前記基体部側から前記開口側に進むにつれて外側に開くように傾斜し、振動子の一端部が固定される部位となる振動子固定領域と、
前記基体部の前記所定領域上に突出し、前記底面からの高さが前記振動子固定領域の前記底面からの高さよりも低くなるように設けられる突出部と、
を備え、
前記振動子が固定される場合に前記開口側から前記突出部を平面視する場合において、
前記突出部は、前記振動子の前記一端部と対向する他端部よりも前記振動子固定領域側に位置し、
前記突出部は、前記振動子の前記一端部側から前記他端部側に向かう方向と直交する方向に、前記所定領域を横断し、前記枠体部の内周面に接続している
ことを特徴とする振動子搭載用基板。
【請求項2】
前記枠体部の内周面のうち前記振動子固定領域を有する面は、前記枠体部の上部から前記基体部まで面一に傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載の振動子搭載用基板。
【請求項3】
前記基体部及び前記枠体部及び前記突出部は互いに一体成型されたセラミック焼結体から成る
ことを特徴とする請求項1または2に記載の振動子搭載用基板。
【請求項4】
前記突出部は、前記振動子の前記他端部側から前記一端部側に向かう方向に、前記枠体部の内周面まで延在している
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の振動子搭載用基板。
【請求項5】
前記突出部の前記横断する方向に垂直な断面は、台形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の振動子搭載用基板。
【請求項6】
平面状の底面を有する基体部と、
前記基体部の前記底面と対向する面における所定領域を囲むように前記基体部上に設けられると共に、前記基体部側と反対側が開口する枠体部と、
前記枠体部の内周面の一部であって、前記基体部側から前記開口側に進むにつれて外側に開くように傾斜し、振動子の一端部が固定される振動子固定領域と、
前記基体部の前記所定領域上に突出し、前記底面からの高さが前記振動子固定領域の前記底面からの高さよりも低くなるように設けられる突出部と、
前記振動子固定領域に前記一端部が固定され、前記一端部と対向する他端部が、前記一端部よりも前記底面に近くなるように配置される振動子と、
を備え、
前記開口側から前記突出部を平面視する場合において、
前記突出部は、前記振動子の前記他端部よりも前記振動子固定領域側に位置する
ことを特徴とする振動子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面の小面積化、低背化を可能としつつ強度を向上させることができる振動子搭載用基板、及び、それを用いた振動子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
振動子が振動子搭載用基板上に搭載されて、パッケージ化されている振動子デバイスが知られている。この振動子デバイスとして、振動子搭載用基板の振動子が固定される領域が基板底面に対して傾斜して形成された振動子デバイスが知られている。下記特許文献1には、このような振動子デバイスが記載されている。この振動子デバイスでは、矩形状の振動子の端部が、振動子搭載用基板に形成された傾斜面上に固定されている。下記特許文献1によれば、このような構成とすることにより、振動子デバイスを小型・低背化することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11− 55060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の振動子搭載用基板では、振動子が固定される部位が傾斜面であるため、振動子を振動子搭載用基板の底面に対して傾斜して配置することができる。このように振動子が傾斜して配置されることにより、振動子搭載用基板の底面の面積を小さくすることができ、回路基板上における振動子搭載用基板が占有する面積を小さくすることができる。しかし、低背化を維持しつつ振動子を傾斜して配置するには、振動子搭載用基板を薄く形成しなければならず、振動子搭載用基板の強度が低下する虞が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、底面の小面積化、低背化を可能としつつ強度を向上させることができる振動子搭載用基板、及び、それを用いた振動子デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の振動子搭載用基板は、平面状の底面を有する基体部と、前記基体部の前記底面と対向する面における所定領域を囲むように前記基体部上に設けられると共に、前記基体部側と反対側が開口する枠体部と、前記枠体部の内周面の一部であって、前記基体部側から前記開口側に進むにつれて外側に開くように傾斜し、振動子の一端部が固定される部位となる振動子固定領域と、前記基体部の前記所定領域上に突出し、前記底面からの高さが前記振動子固定領域の前記底面からの高さよりも低くなるように設けられる突出部と、を備え、前記振動子が固定される場合に前記開口側から前記突出部を平面視する場合において、前記突出部は、前記振動子の前記一端部と対向する他端部よりも前記振動子固定領域側に位置することを特徴とするものである。
【0007】
このような振動子搭載用基板によれば、傾斜している枠体部の内周面に沿って振動子を配置することができるため、基体部の底面と平行に振動子を配置する場合と比べて、振動子搭載用基板の底面の面積を小さくすることができる。また、低背化するために基体部を薄くする場合であっても、突出部が基体部の強度を補填するため、振動子搭載用基板の強度を向上させることができる。しかも、この突出部は振動子固定領域より低いので、振動子を傾斜して配置することを阻害しない。そして、振動子を傾斜して配置したことにより生じた空間である振動子の他端部よりも振動子固定領域側の空間に突出部が設けられるため、突出部を設ける領域を新たに設ける必要がない。そのため、振動子搭載用基板の底面の小面積化を阻害しない。このように本発明の振動子搭載用基板によれば、底面の小面積化、低背化を可能としつつ強度を向上させることができる。
【0008】
また、前記基体部及び前記枠体部及び前記突出部は互いに一体成型されたセラミック焼結体から成ることが好ましい。ここでいう一体成型とは、単層のセラミックグリーンシートがプレス成型等されることにより、基体部と枠体部と突出部とが一体成型されたのち焼成されても良く、基体部を形成するセラミックグリーンシートと枠体部を形成するセラミックグリーンシートと突出部を形成するセラミックグリーンシートとを積層したのち焼成することで一体成型しても良い。このような振動子搭載用基板によれば、より強度を向上させることができる。
【0009】
また、前記突出部は、前記振動子の前記一端部側から前記他端部側に向かう方向と直交する方向に、前記所定領域を横断し、前記枠体の内周面に接続していることが好ましい。突出部が所定領域を横断して枠体部に接続することで、基体部に加わる応力が枠体部に分散される。よって、振動子搭載用基板の強度をより向上させることができる。
【0010】
また、前記突出部は、前記振動子の前記他端部側から前記一端部側に向かう方向に、前記枠体部の内周面まで延在していることが好ましい。このような構成とすることで、開口側から突出部を平面視する場合の突出部の面積を大きくすることができる。つまり、基体部と突出部とが接続されている部分の面積をより大きく確保することができる。よって、振動子搭載用基板の強度をより向上させることができる。
【0011】
また、本発明の振動子デバイスは、平面状の底面を有する基体部と、前記基体部の前記底面と対向する面における所定領域を囲むように前記基体部上に設けられると共に、前記基体部側と反対側が開口する枠体部と、前記枠体部の内周面の一部であって、前記基体部側から前記開口側に進むにつれて外側に開くように傾斜し、前記振動子の一端部が固定される振動子固定領域と、前記基体部の前記所定領域上に突出し、前記底面からの高さが前記振動子固定領域の前記底面からの高さよりも低くなるように設けられる突出部と、前記振動子固定領域に前記一端部が固定され、前記一端部と対向する他端部が、前記一端部よりも前記底面に近くなるように配置される振動子と、を備え、前記開口側から前記突出部を平面視する場合において、前記突出部は、前記振動子の前記他端部よりも前記振動子固定領域側に位置することを特徴とするものである。
【0012】
このような振動子デバイスは、上記のように底面の小面積化と低背化を可能としつつ強度を向上させることができる振動子搭載用基板を用いるため、小型化させつつ破損し難くすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、底面の小面積化と低背化を可能としつつ強度を向上させることができる振動子搭載用基板、及び、それを用いた振動子デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる振動子デバイスを示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態にかかる振動子デバイスを
図2と同様にして示す断面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態にかかる振動子デバイスを
図2と同様にして示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる振動子搭載用基板、及び、振動子デバイスの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、理解の容易のため、それぞれの図のスケールと、以下の説明に記載のスケールとが異なる場合がある。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる振動子デバイスを示す図であり、
図2は、
図1で示す振動子デバイスの断面図である。なお、
図1は、理解の容易のため分解斜視図で振動子デバイスを示している。
図1、
図2に示すように、本実施形態の振動子デバイス1は、振動子搭載用基板5と、振動子搭載用基板5に搭載される振動子6と、振動子6を振動子搭載用基板5に封止するための蓋体7とを主な構成として備える。
【0017】
振動子搭載用基板5は、基体部10と、基体部10上に設けられる枠体部20と、基体部10上に設けられる突出部30とから成る。本実施形態では、振動子搭載用基板5基体部10及び枠体部20及び突出部30は、単層のセラミックグリーンシートがプレス成型等された後に焼成され、互いに一体成型されたセラミック焼結体から成る。
【0018】
基体部10は、仮に振動子搭載用基板5を基体部10と枠体部20と突出部30とに分解する場合、
図2に示すように平板状の形状をした部位であり、セラミック焼結体から成る。この基体部10の底面11は平面状の形状をしており、底面11と対向する面である上面の所定領域12は、後述する開口51側から当該上面を平面視する場合に振動子6が配置される領域とされる。この所定領域12は本実施形態では平面状とされるが、振動子6を配置することができる領域である限りにおいて特に制限はない。
【0019】
なお、基体部10の大きさは、振動子6の大きさ等により変わるため特に限定されないが、例えば、2.5mm(縦幅)×3.2mm(横幅)×0.3mm(厚さ)とされる。
【0020】
枠体部20は、基体部10の所定領域12を取り囲んで基体部10上に設けられるセラミック焼結体から成る環状の部位である。上記のように本実施形態では枠体部20は基体部10と一体成型されているため、基体部10と枠体部20との間に物理的な境界はないが、便宜上
図1、
図2において基体部10と枠体部20との境界が破線にて示されている。枠体部20の基体部10側と反対側の面である上面は平坦状とされており、枠体部20の外周側の側面の形状は基体部10の側面の形状と同様とされている。また、枠体部20は、上述のように環状に形成された部位であるため、枠体部20が基体部10上に設けられた状態で、振動子搭載用基板5としてみると、基体部10側と反対側に開口51が形成されている。本実施形態において開口51は四角形の形状とされている。
【0021】
また、枠体部20の内周面21のうち、一部は基体部10側から開口51側に進むにつれて外側に開くように傾斜しており、ここに一対の電極41、42が形成されている。この一対の電極41,42を含む傾斜面の一部は、後述のように振動子6が固定される振動子固定領域22とされる。
【0022】
それぞれの電極41,42は、振動子固定領域22から、枠体部20の上面と枠体部20及び基体部10の側面とを介して、基体部10の底面11まで延在されており、電極41,42の底面11上の部位が回路基板上に配置される際の振動子デバイス1の電極とされる。
【0023】
なお、枠体部20のサイズは、特に限定されないが、例えば2.5mm(縦幅)×3.2mm(横幅)×0.2mm(厚さ)とされ、開口のサイズは、例えば1.8mm(縦幅)×2.5mm(横幅)とされる。また、本実施形態では、傾斜面である振動子固定領域22の傾斜角度は、枠体部20の上面に対して、例えば10°とされる。
【0024】
突出部30は、基体部10の所定領域12上に設けられ、セラミック焼結体から成る基体部10から突出した部位である。上記のように、本実施形態では突出部30は基体部10と一体成型されているため、基体部10と突出部30との間に物理的な境界はないが、便宜上
図2において基体部10と突出部30との境界が破線にて示されている。また、突出部30は、開口51側から突出部30を平面視する場合に、振動子固定領域22が傾斜する方向における枠体部20の対向する内周面21から離間して設けられる共に、前記傾斜する方向と垂直な方向における枠体部20の対向するそれぞれの内周面21と接続されるように所定領域12を横断して設けられる。また、突出部30の前記横断する方向に垂直な断面は、台形状に形成されている。つまり、突出部30は畦状に形成されている。また、突出部30の基体部底面11からの高さは、振動子固定領域22の底面11からの高さよりも低くされている。つまり、突出部30の上面31は、振動子固定領域22よりも基体部10側に位置している。
【0025】
振動子6は、平板状の形状をしており、振動子6を平面視する場合に略矩形状の外形とされる。また、振動子6には一端部61に沿って図示しない一対の電極が並んで形成されており、これらの電極の位置は、振動子固定領域22に設けられている電極41,42と対応している。そして、振動子6は、一端部61が振動子固定領域22上に位置されると共に、一端部61と対向する他端部62が突出部30よりも振動子固定領域22側と反対側に位置して、基体部10側の主面が突出部30に接するように配置される。そして、振動子6のそれぞれの電極が振動子固定領域22の電極41,42に導電ペースト65により固定される。なお、振動子6のそれぞれの電極が振動子固定領域22に固定された状態において、振動子6は、突出部30に接していても突出部30から僅かに浮いていても良い。
【0026】
上記のように突出部30の上面31は振動子固定領域22よりも基体部10側であるため、一端部61よりも他端部62の方が、基体部10の底面11に近くなるように配置される。つまり、振動子6は、傾斜した状態で振動子搭載用基板5に固定されている。
【0027】
なお、振動子6が振動子固定領域22に固定された状態において、開口51側から突出部30を平面視すると、突出部30は、振動子固定領域22に固定される振動子6の他端部62よりも振動子固定領域22側に設けられることになる。さらに、突出部30が所定領域12を横断する方向は、振動子固定領域22に固定される一端部61側から一端部61と対向する他端部62側に向かう方向と直交する方向となる。
【0028】
なお、本実施形態では、突出部30の振動子6と最も近い位置となる部位は、振動子6の中心Cよりも、他端部62側に位置している。
【0029】
蓋体7は矩形状の平板から成り、振動子6が上記のように固定された状態で、枠体部20の上面上に接着剤71で固定されている。こうして振動子6が枠体部20で囲まれるように封止されている。
【0030】
このような振動子デバイス1は、一対の電極41,42に、例えば交番電圧が印加されることにより、振動子6の図示しない電極にこの電圧が印加され、振動子6が振動する。
【0031】
以上のように振動子搭載用基板5によれば、振動子固定領域22が傾斜しているため、振動子6を基体部10の底面11に対して傾斜して配置することができる。従って、基体部10の底面11と平行に振動子6を配置する場合と比べて、当該底面11の面積を小さくすることができる。また、低背化するために基体部10を薄くする場合であっても、突出部30が基体部10の強度を補填するため振動子搭載用基板5の強度を向上させることができる。しかも、この突出部30は振動子固定領域22より低いので、振動子6を傾斜して配置することを阻害していない。そして、振動子6を傾斜して配置したことにより生じた空間である、振動子の他端部62よりも振動子固定領域22側の空間に、突出部が設けられているため、突出部を設ける領域を新たに設ける必要がない。そのため、振動子搭載用基板5の底面11の面積を小さくすることを阻害していない。さらに、突出部30が所定領域12を横断して枠体部20と結合していることで、基体部10に加わる応力は枠体部20に分散されるので、振動子搭載用基板5の強度がより向上する。このように本発明の振動子搭載用基板5によれば、底面11を小面積化、低背化しつつ強度を向上させることができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図3を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0033】
図3は、本発明の第2実施形態にかかる振動子デバイスを
図2と同様にして示す断面図である。
図3に示すように、本実施形態の振動子デバイス1aは、基体部10上に設けられる突出部が第1実施形態の突出部30と異なる形状である点において、第1実施形態の振動子デバイス1と異なる。具体的には、本実施形態の振動子搭載用基板5aにおける突出部30aは、第1実施形態の突出部30が、振動子6の他端部62側から一端部61側に向かう方向に、振動子固定領域22側の枠体部20の内周面21まで延在している形状であり、他の点について突出部30と同様である。なお、本実施形態では、枠体部20の一部と突出部30aとの間に物理的な境界はないが、便宜上
図3において枠体部20と突出部30aとの境界が破線にて示されている。
【0034】
本実施形態の振動子搭載用基板5aによれば、突出部30aの上面31は振動子6よりも基体部10側に位置するため、振動子6が傾斜して配置されることを阻害せずに、開口51側から突出部30aを平面視する場合の突出部30aの面積を大きくすることができる。別言すれば、基体部10と突出部30aとを合わせた厚みが大きい部分をより大きく確保することができる。従って、振動子搭載用基板5aは、第1実施形態の振動子搭載用基板5よりも強度を向上させることができる。
【0035】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図4を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0036】
図4は、本発明の第3実施形態にかかる振動子デバイスを
図2と同様にして示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態の振動子デバイス1bは、枠体部が第1実施形態の枠体部20と一部異なる形状とされる点において、第1実施形態の振動子デバイス1と異なる。
【0037】
具体的には、本実施形態の振動子搭載用基板5bにおいて、枠体部20bの内周面21のうち振動子固定領域22を有する面21bは、枠体部20bの上部から基体部10まで面一に傾斜されている点において、第1実施形態の枠体部20と異なり、他の点について枠体部20と同様の構成とされる。
【0038】
本実施形態の振動子搭載用基板5bによれば、枠体部20bの内周面21の一部21bが振動子固定領域22と面一に形成されることで、振動子6が傾斜して配置されることを阻害せずに、振動子搭載用基板5bの強度を向上させることができる。つまり、振動子6が傾斜して配置されることを阻害しない限りにおいて、枠体が形成される範囲を大きくして、枠体によっても振動子搭載用基板5bの強度を向上させるのである。
【0039】
以上、本発明について、第1〜第3実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
例えば、上記実施形態では、振動子搭載用基板5,5a,5bの基体部10と枠体部20,20bと突出部30,30aとが単層のセラミックグリーンシートがプレス成型等された後に焼成され、互いに一体成型されたセラミック焼結体から成るものとされた。しかし、基体部10を形成するセラミックグリーンシートと枠体部20,20bを形成するセラミックグリーンシートと突出部30,30aを形成するセラミックグリーンシートとを積層したのち焼成することで一体成型しても良い。ただし、上記のように単層のセラミックグリーンシートがプレス成型等された後に焼成されることで、振動子搭載用基板5,5a,5bの基体部10と枠体部20,20bと突出部30,30aが一体とされる場合、物理的な継ぎ目がなく一体であるため、継ぎ目がある場合に比べて、振動子搭載用基板5,5a,5bの強度をより向上させることができる。或いは、基体部10と枠体部20,20bと突出部30,30aとをそれぞれ別体に形成して、基体部10上に枠体部20,20bと突出部30,30aとを設置しても良い。
【0041】
また、上記実施形態の突出部30、30aの上面31は平坦で無くても良い。
【0042】
また、第2実施形態のように形成された突出部30aと、第3実施形態のように形成された枠体部20bとがそれぞれ基体部10上に設けられても良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、底面の小面積化、低背化を可能としつつ強度を向上させることができる振動子搭載用基板、及び、それを用いた振動子デバイスが提供され、電子回路に利用することが期待される。
【符号の説明】
【0044】
1,1a,1b・・・振動子デバイス
5,5a,5b・・・振動子搭載用基板
6・・・振動子
7・・・蓋体
10・・・基体部
11・・・底面
12・・・所定領域
20,20b・・・枠体部
21・・・内周面
21b・・・内周面の一部
22・・・振動子固定領域
30,30a・・・突出部
31・・・突出部の上面
41,42・・・電極
51・・・開口
61・・・振動子の一端部
62・・・振動子の他端部
65・・・導電ペースト
71・・・接着剤