(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
実装ヘッドに保持された電子部品のうち、前記基板上に実装することができない異常が検出された前記電子部品が置かれるポイントを有し、前記ポイントに置かれた前記電子部品を搬送量に応じて搬送して前記電子部品を前記ポイントから退避させ、前記異常が検出された次の電子部品が前記実装ヘッドにより前記ポイントに置かれることによって、複数の電子部品を滞留させ、かつ、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズに基づいて前記搬送量が可変に制御され、前記次の電子部品による異常が検出される前に、予め、前記ポイントに置かれた前記電子部品を搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させておき、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズと、前記ポイントに置かれる可能性がある前記電子部品のうち最大サイズの電子部品のサイズとに基づいて、前記搬送量が算出される
コンベア装置。
実装ヘッドに保持された電子部品のうち、前記基板上に実装することができない異常が検出された前記電子部品を、前記実装ヘッドによりコンベアのポイントに置き、前記ポイントに置かれた前記電子部品を前記コンベアにより搬送量に応じて搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させ、前記異常が検出された次の電子部品を前記実装ヘッドにより前記ポイントに置くことによって、複数の電子部品を前記コンベアに滞留させ、
前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズに基づいて前記搬送量を可変に制御し、
前記次の電子部品による異常が検出される前に、予め、前記ポイントに置かれた前記電子部品を搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させておき、
前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズと、前記ポイントに置かれる可能性がある前記電子部品のうち最大サイズの電子部品のサイズとに基づいて、前記搬送量を算出する
制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
廃棄コンベア上に滞留させることができる電子部品の数には限界がある。従って、廃棄コンベア上のスペースを効率的に使用することによってできるだけ多くの電子部品を廃棄コンベア上に滞留させることができる技術が望まれている。
【0009】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、できるだけ多くの電子部品をコンベア上に滞留させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術に係る実装装置は、実装ヘッドと、コンベアと、制御部とを具備する。
前記実装ヘッドは、電子部品を保持して基板上に実装する。
前記コンベアは、前記実装ヘッドに保持された前記電子部品のうち、前記基板上に実装することができない異常が検出された前記電子部品が置かれるポイントを有する。
前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品を前記コンベアにより搬送量に応じて搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させ、前記異常が検出された次の電子部品を前記実装ヘッドにより前記ポイントに置くことによって、複数の電子部品を前記コンベアに滞留させ、かつ、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズに基づいて前記搬送量を可変に制御する。
【0011】
この実装装置では、コンベア上のポイントに置かれた電子部品のサイズに基づいて、その電子部品の搬送量が可変に制御される。従って、例えば、電子部品のサイズが大きい場合には、搬送量が大きくされ、電子部品のサイズが小さい場合には、搬送量が小さくされる。これにより、コンベア上に置かれる各電子部品間の距離を適切に狭めることができる。従って、コンベア上のスペースを効率的に使用することができ、できるだけ多くの電子部品をコンベア上に滞留させることが可能となる。
【0012】
上記実装装置において、前記制御部は、前記次の電子部品による異常が検出される前に、予め、前記ポイントに置かれた前記電子部品を搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させておいてもよい。
【0013】
これにより、次の電子部品の異常が検出されたときには、既に、ポイントに置かれた電子部品がポイントから退避されているため、異常が検出された次の電子部品を素早くコンベア上のポイントに置くことができる。
【0014】
上記実装装置において、前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズと、前記ポイントに置かれる可能性がある前記電子部品のうち最大サイズの電子部品のサイズとに基づいて、前記搬送量を算出してもよい。
【0015】
これにより、異常が検出された次の電子部品のサイズがどのようなサイズであっても、電子部品間の干渉を発生させることなく、上記次の電子部品をコンベアのポイント上に置くことができる。
【0016】
上記実装装置において、前記制御部は、前記搬送量をSmax/2+C+Sp/2により算出してもよい。式中、前記Smaxは、前記最大サイズの電子部品のサイズであり、前記Cは、クリアランスであり、前記Spは、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズである。
【0017】
これにより、適切に電子部品間の距離を狭めることができる。
【0018】
上記実装装置において、前記制御部は、前記最大サイズの電子部品のサイズに基づいて、前記クリアランスの値を設定してもよい。
【0019】
これにより、電子部品間の距離を狭めつつ、適切に電子部品間の干渉を回避することができる。
【0020】
上記実装装置において、前記制御部は、前記ポイントに置かれた電子部品のサイズに基づいて、前記クリアランスの値を設定してもよい。
【0021】
これにより、電子部品間の距離を狭めつつ、適切に電子部品間の干渉を回避することができる。
【0022】
上記実装装置において、前記実装ヘッドは、前記電子部品を吸着するノズルを有していてもよい。
この場合、前記制御部は、前記最大サイズの電子部品に対する前記ノズルの吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて、前記クリアランスの値を設定してもよい。
【0023】
これにより、電子部品間の距離を狭めつつ、適切に電子部品間の干渉を回避することができる。
【0024】
上記実装装置において、前記実装ヘッドは、前記電子部品を吸着するノズルを有していてもよい。この場合、前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品に対する前記ノズルの吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて、前記クリアランスを設定してもよい。
【0025】
これにより、電子部品間の距離を狭めつつ、適切に電子部品間の干渉を回避することができる。
【0026】
上記実装装置において、前記制御部は、前記次の電子部品による異常が検出された後に、前記ポイントに置かれた前記電子部品を搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させてもよい。
【0027】
上記実装装置において、前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズと、前記次の電子部品のサイズとに基づいて、前記搬送量を算出してもよい。
【0028】
これにより、コンベア上のスペースをさらに効率的に使用することができ、さらに多くの電子部品をコンベア上に滞留させることが可能となる。
【0029】
上記実装装置において、前記制御部は、前記搬送量をSn/2+C’+Sp/2により算出してもよい。式中、前記Snは、前記次の電子部品のサイズであり、前記C’は、クリアランスであり、前記Spは、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズである。
【0030】
これにより、適切に電子部品間の距離を狭めることができる。
【0031】
上記実装装置において、前記制御部は、前記次の電子部品のサイズに基づいて、前記クリアランスを設定してもよい。
【0032】
これにより、電子部品間の距離を狭めつつ、適切に電子部品間の干渉を回避することができる。
【0033】
上記実装装置において、前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズに基づいて、前記クリアランスを設定してもよい。
【0034】
これにより、電子部品間の距離を狭めつつ、適切に電子部品間の干渉を回避することができる。
【0035】
上記実装装置において、前記実装ヘッドは、前記電子部品を吸着するノズルを有していてもよい。この場合、前記制御部は、前記次の電子部品に対する前記ノズルの吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて前記クリアランスを設定してもよい。
【0036】
これにより、電子部品間の距離を狭めつつ、適切に電子部品間の干渉を回避することができる。
【0037】
上記実装装置において、前記実装ヘッドは、前記電子部品を吸着するノズルを有していてもよい。この場合、前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品に対する前記ノズルの吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて前記クリアランスを設定してもよい。
【0038】
これにより、電子部品間の距離を狭めつつ、適切に電子部品間の干渉を回避することができる。
【0039】
本技術に係るコンベア装置は、実装ヘッドに保持された電子部品のうち、前記基板上に実装することができない異常が検出された前記電子部品が置かれるポイントを有し、前記ポイントに置かれた前記電子部品を搬送量に応じて搬送して前記電子部品を前記ポイントから退避させ、前記異常が検出された次の電子部品が前記実装ヘッドにより前記ポイントに置かれることによって、複数の電子部品を滞留させ、かつ、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズに基づいて前記搬送量が可変に制御される。
【0040】
本技術に係る制御方法は、実装ヘッドに保持された電子部品のうち、前記基板上に実装することができない異常が検出された前記電子部品を、前記実装ヘッドによりコンベアのポイントに置き、前記ポイントに置かれた前記電子部品を前記コンベアにより搬送量に応じて搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させ、前記異常が検出された次の電子部品を前記実装ヘッドにより前記ポイントに置くことによって、複数の電子部品を前記コンベアに滞留させることを含む。
前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズに基づいて前記搬送量が可変に制御される。
【0041】
本技術に係るプログラムは、実装装置に、
実装ヘッドに保持された電子部品のうち、前記基板上に実装することができない異常が検出された前記電子部品を、前記実装ヘッドによりコンベアのポイントに置き、前記ポイントに置かれた前記電子部品を前記コンベアにより搬送量に応じて搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させ、前記異常が検出された次の電子部品を前記実装ヘッドにより前記ポイントに置くことによって、複数の電子部品を前記コンベアに滞留させるステップと、
前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズに基づいて前記搬送量を可変に制御するステップと
を実行させる。
【発明の効果】
【0042】
以上のように、本技術によれば、できるだけ多くの電子部品をコンベア上に滞留させることができる技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0045】
<第1実施形態>
[実装装置100の全体構成及び各部の構成]
図1は、本技術の一実施形態に係る実装装置100を示す正面図である。
図2は、実装装置100の側面図であり、
図3は、実装装置100の上面図である。
図4は、実装装置100が備える廃棄コンベア50を示す上面図である。
図5は、実装装置100の構成を示すブロック図である。
【0046】
これらの図に示すように、実装装置100は、フレーム構造体10と、実装装置100の内部にX軸方向に沿って設けられ、基板1をX軸方向に向けて搬送する搬送部15とを備える。また、実装装置100は、搬送部15によって実装位置まで搬送された基板1を下方から支持するバックアップ部20と、電子部品2を実装ヘッド30に供給する供給部25とを備える。
【0047】
また、実装装置100は、供給部25から供給される電子部品2を保持し、保持した電子部品2を基板1上に実装する複数の吸着ノズル33を有する実装ヘッド30と、実装ヘッド30を水平方向(XY方向)に移動させるヘッド移動機構40とを備える。また、実装装置100は、実装ヘッド30に設けられた基板カメラ7と、吸着ノズル33により保持された電子部品2を撮像する部品カメラ8とを備える。
【0048】
また、実装装置100は、実装ヘッド30の吸着ノズル33に保持された電子部品2のうち、基板1上に実装することができない異常が検出された電子部品2が廃棄される廃棄コンベア50と、廃棄ボックス52とを備える(
図3参照)。また、実装装置100は、廃棄コンベア50上が電子部品2で満たされたことを検出するセンサ51を備える。
【0049】
図5を参照して、実装装置100は、さらに、制御部3、記憶部4、表示部5、入力部6、通信部9、エアコンプレッサ35、ノズル駆動部36などを備えている。
【0050】
フレーム構造体10(
図1〜
図3参照)は、底部に設けられたベース11と、ベース11に固定された4本の縦フレーム12とを有する。また、フレーム構造体10は、縦フレーム12上部にX軸方向に沿って架け渡された2本の横フレーム13と、2本の横フレーム13に対して、Y軸方向に沿って架け渡されたY軸フレーム14とを有する。
【0051】
搬送部15(
図2、
図3参照)は、X軸方向に沿って配設された2つのガイド16と、2つのガイド16の内面側にそれぞれ設けられたコンベアベルト17とを含む。搬送部15は、コンベアベルト17の駆動により、基板1を搬入して実装位置に位置決めしたり、電子部品2の実装が終了した基板1を搬出したりすることが可能とされる。
【0052】
各ガイド16は、上端部が内側に向けて折り曲げられるように形成されており、ガイド16の上端部は、バックアップ部20によって基板1が上方に移動されたときに、基板1を上側から支持することが可能とされている。
【0053】
2つのガイド16のうち一方のガイド16は、基板1の搬送方向に直交する方向(Y軸方向)に移動可能とされる。これにより、実装位置に位置された基板1を2つのガイド16により両側からクランプして固定することができる。このように、基板1が固定された状態で基板1上に電子部品2が実装される。
【0054】
バックアップ部20(
図2参照)は、バックアッププレート21と、このバックアッププレート21上に立設された複数の支持ピン22と、バックアッププレート21を昇降させるプレート昇降機構23とを含む。
【0055】
電子部品2の実装を予定している基板1が搬送部15によって実装位置に搬送されたとき、プレート昇降機構23によりバックアッププレート21が上方に移動される。これにより、基板1が支持ピン22とガイド16の上端部との間に挟まれて、基板1が上下方向で位置決めされる。
【0056】
供給部25(
図1〜
図3参照)は、搬送部15を挟んで実装装置100の前後方向の両側に設けられる。この供給部25は、X軸方向に沿って配列された複数のテープカセット26を含む。テープカセット26は、キャリアテープ27が巻きつけられるリールと、キャリアテープ27をステップ送りで送り出す送り出し機構とを有している。
【0057】
キャリアテープ27の内部には、例えば、抵抗、コンデンサ、インダクタ、コネクタ、ICチップ等の同一タイプの電子部品2が収納されている。テープカセット26の端部(実装装置100の中央側)の上面には供給窓28が形成されており、この供給窓28を介して、実装ヘッド30に電子部品2が供給される。
【0058】
ヘッド移動機構40(
図1、
図2参照)は、Y軸フレーム14の下側の位置にY軸フレーム14に対してY軸方向に移動可能に取り付けられたY軸移動体41を有する。また、ヘッド移動機構40は、X軸方向に長い形状を有し、Y軸移動体41の側面に取り付けられたX軸フレーム42と、このX軸フレーム42の側面の位置に、X軸フレーム42に対してX軸方向にスライド可能に取り付けられたX軸移動体43とを有する。
【0059】
実装ヘッド30(
図1、
図2参照)は、X軸移動体43の側面に取り付けられる。実装ヘッド30は、ヘッド筐体31と、ヘッド筐体31の下側に取り付けられたヘッド部32とを有する。ヘッド部32は、X軸方向に沿って所定の間隔で配置された複数の吸着ノズル33を有する。
【0060】
実装ヘッド30は、複数の吸着ノズル33により、供給部25上で複数の電子部品2を吸着する吸着工程と、吸着された複数の電子部品2を基板1上に実装する実装工程とを繰り返す。このような動作により、基板1の生産に必要な電子部品2が基板1上に実装される。
【0061】
吸着ノズル33は、上下方向に移動可能とされており、また、Z軸方向の軸を回転の中心軸として回転可能とされている。吸着ノズル33は、ノズル駆動部36の駆動により、所定のタイミングで上下方向に移動されたり、所定のタイミングでZ軸回りに回転されたりする。
【0062】
吸着ノズル33は、エアコンプレッサ35(
図5参照)に接続されている。吸着ノズル33は、このエアコンプレッサ35の負圧及び正圧の切り換えに応じて、電子部品2を吸着したり、脱離したりすることができる。
【0063】
実装ヘッド30の数は、本実施形態では、1つとされているが、実装ヘッド30の数は、複数であってもよい。また、吸着ノズル33の数は、本実施形態では、6つとされているが、吸着ノズル33の数は1つであってもよく、吸着ノズル33の数については特に制限はない。
【0064】
基板カメラ7(
図1、
図2参照)は、実装ヘッド30のヘッド筐体31に取り付けられており、実装ヘッド30の移動に応じて移動可能とされる。この基板カメラ7は、基板1上に設けられたアライメントマークを上方から撮像する。制御部3は、基板カメラ7によって取得されたアライメントマークの画像に基づいて、基板1の位置を認識することができる。
【0065】
部品カメラ8(
図2、
図3参照)は、搬送部15と、前方側の供給部25との間の位置に配置され、吸着ノズル33の先端部に吸着された電子部品2を下方から撮像する。部品カメラ8が配置される位置は、搬送部15と供給部25との間に限られず、適宜変更することができる。
【0066】
部品カメラ8により撮像された画像に基づいて電子部品2の認識処理が実行される。電子部品2の認識では、吸着ノズル33に対する電子部品2の吸着位置や吸着姿勢、電子部品2の欠陥などが判断される。例えば、吸着姿勢が適切ではなかったり(例えば、立ち吸着等)、電子部品2が欠陥(例えば、形状の異常、リードの欠落)を有していたり場合には、電子部品2の認識エラーが発生する。この場合、電子部品2を基板1上に実装することができない異常が検出されたと判断され、その電子部品2は、廃棄ボックス52又は廃棄コンベア50に廃棄される。
【0067】
廃棄ボックス52(
図2、
図3参照)は、搬送部15と、後方側の供給部25との間の位置に配置される。なお、廃棄ボックス52が配置される位置は、搬送部15と、後方側の供給部25との間に限られず、適宜変更可能である。
【0068】
この廃棄ボックス52には、基板1上に実装される各種の電子部品2のうち、特定の種類の電子部品2が廃棄される。典型的には、比較的衝撃に強かったり、比較的安価であったりする電子部品2がこの廃棄ボックス52に廃棄される。例えば、チップタイプの抵抗、コンデンサ、インダクタなどは、比較的衝撃に強く、また、比較的安価であるため、この廃棄ボックス52に廃棄される。
【0069】
廃棄コンベア50(
図1、
図3、
図4参照)は、例えば、前方側の供給部25の左端付近に設けられる。なお、廃棄コンベア50が設けられる位置は、前方側の供給部25の右端付近であってもよいし、後方側の供給部25の左端付近、或いは右端付近であってもよい。なお、廃棄コンベア50が設けられる位置は特に制限されない。また、図に示す例では、廃棄コンベア50の数が1つである場合が示されているが、廃棄コンベア50の数は2以上であてもよい。
【0070】
廃棄コンベア50には、比較的衝撃に弱かったり、比較的高価であったりする特定の種類の電子部品2が廃棄される。例えば、ICチップや、コネクタなどの電子部品2は、比較的衝撃に弱かったり、比較的高価であったりするため、この廃棄コンベア50に廃棄される。
【0071】
なお、電子部品2の廃棄場所が廃棄ボックス52及び廃棄コンベア50にのうちどちらになるかについては入力部6を介して変更可能であってもよい。
【0072】
廃棄コンベア50は、実装ヘッド30の吸着ノズル33に保持された電子部品2のうち、基板1上に実装することができない異常が検出された電子部品2が置かれるポイントを有している(
図4×印参照)。このポイントは、廃棄コンベア50の一端部の近傍に設定されている。このポイントに吸着ノズル33の位置が合わされて電子部品2が廃棄コンベア50上に置かれる。
【0073】
廃棄コンベア50は、実装ヘッド30の吸着ノズル33によりポイントに電子部品2が置かれる動作と、ポイントに置かれた電子部品2を搬送量に応じて搬送して電子部品2をポイントから退避させる動作とを繰り返す。これにより、廃棄コンベア50は、複数の電子部品2を廃棄コンベア50上に滞留させる。
【0074】
ここで、ポイントに置かれた電子部品2を搬送して電子部品2をポイントから退避させるタイミングについて2つの形態がある。1つ目は、ポイントに電子部品2が置かれた直後に(つまり、次の電子部品2による異常が検出される前に)電子部品2を搬送して電子部品2をポイントから退避させる形態である。2つ目は、次の電子部品2の異常が検出された後に、電子部品2を搬送して電子部品2をポイントから退避させる形態である。
【0075】
なお、第1実施形態に係る実装装置100は、ポイントに電子部品2が置かれた直後に電子部品2をポイントから退避させる形態とされている。ポイントに電子部品2が置かれた直後に電子部品2をポイントから退避させる形態の場合、予めポイントにスペースを空けておくことができるため、次の電子部品2の異常が検出されたときに、その電子部品2を素早くポイントに置くことができるという利点がある。
【0076】
廃棄コンベア50の幅Wは、例えば、50mm程度とされる。また、廃棄コンベア50の長さは、テープカセット26よりも少し長い程度の長さとされ、例えば、500mm程度とされる。なお、ここで説明された廃棄コンベア50の幅W、長さLの値は、単なる例示に過ぎず、適宜変更することができる。
【0077】
廃棄コンベア50の他端部側(ポイントが設定された端部とは反対側)には、電子部品2の他端部側への到達を検出するセンサ51が設けられている。このセンサ51は、電子部品2の他端部側への到達を検出することによって、廃棄コンベア50上が電子部品2で満たされたことを検出する。センサ51は、例えば、反射型の光センサ51によって構成される。
【0078】
制御部3(
図5参照)は、例えば、CPU(Central processing Unit)により構成される。制御部3は、記憶部4に記憶された各種のプログラムに基づき種々の演算を実行し、実装装置100の各部を統括的に制御する。制御部3の処理については、後に詳述する。
【0079】
記憶部4(
図5参照)は、制御部3の制御に必要な各種のプログラムが記憶された不揮発性のメモリと、制御部3の作業領域として用いられる揮発性のメモリとを有する。上記各種のプログラムは、光ディスク、半導体メモリ等の可搬性の記録媒体から読み取られてもよい。
【0080】
なお、不揮発性のメモリには、電子部品2の種類と、その電子部品2の廃棄場所(廃棄ボックス52又は廃棄コンベア50)とが関連付けられたテーブルが記憶される。また、不揮発性のメモリには、電子部品2の種類と、その電子部品2のサイズとが関連付けられたテーブルが記憶される。また、不揮発性のメモリには、電子部品2の種類と、その電子部品2を吸着ノズル33に吸着したときの吸着位置のずれ量についての想定され得る値とが関連付けられたテーブルも記憶される。
【0081】
表示部5(
図5参照)は、液晶ディスプレイや、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成され、各種のデータを画面上に表示する。入力部6(
図5参照)は、例えば、キーボード、マウス等により構成され、オペレータからの各種の指示を入力する。
【0082】
通信部9(
図5参照)は、実装システム内の他の装置(例えば、他の実装装置100、検査装置等)に対して情報を送信したり、他の装置から情報を受信したりする。
【0083】
[動作説明]
次に、実装装置100(制御部3)の動作について説明する。
【0084】
図6は、本実施形態に係る実装装置100の動作を示すフローチャートである。
【0085】
まず、制御部3は、搬送部15により基板1を搬入し、基板1を実装位置に位置させる(ステップ101)。次に、制御部3は、バックアップ部20を上方へ移動させ、基板1を上下方向で位置決めした後、一方のガイド16をY軸方向に移動させることで一対のガイド16によって基板1を両側からクランプする(ステップ102)。
【0086】
次に、制御部3は、基板1上に設けられたアライメントマークを基板カメラ7により撮像して撮像された画像に基づいて基板1の位置を認識する。その後、制御部3は、実装ヘッド30を供給部25上に移動させ、実装ヘッド30の各吸着ノズル33によって電子部品2を吸着する(ステップ103)。次に、制御部3は、実装ヘッド30を部品カメラ8上に移動させ、実装ヘッド30の各吸着ノズル33に吸着された電子部品2を部品カメラ8により撮像する。そして、制御部3は、撮像された画像に基づいて、各電子部品2の認識処理を実行する(ステップ104)。
【0087】
電子部品2の認識では、吸着ノズル33に対する電子部品2の吸着位置や吸着姿勢、電子部品2の欠陥などが判断される。例えば、吸着姿勢が適切ではなかったり(例えば、立ち吸着等)、電子部品2が欠陥(例えば、形状の異常、リード欠落)を有していたりした場合には、電子部品2の認識エラーが発生する。この場合、電子部品2を基板1上に実装することができない異常が検出されたと判断される。
【0088】
一方、認識エラーが発生しなかった場合には、電子部品2を基板1上に実装することができない異常が検出されなかったと判断される。
【0089】
電子部品2の認識処理の後、制御部3は、各電子部品2の認識処理において認識エラーが発生したかどうかを判断する(ステップ105)。各吸着ノズル33によって吸着された全ての電子部品2について認識エラーが発生しなった場合(ステップ105のNO)、制御部3は、実装ヘッド30を基板1上に移動させて各吸着ノズル33に吸着された電子部品2を基板1上に実装する(ステップ106)。そして、制御部3は、次のステップ113へ進む。
【0090】
一方、各吸着ノズル33により吸着された電子部品2のうち少なくとも1つの電子部品2の認識処理において認識エラーが発生した場合(ステップ105のYES)、制御部3は、認識エラーが発生した電子部品2以外の電子部品2を基板1上に実装する(ステップ107)。
【0091】
認識エラーが発生した電子部品2以外の電子部品2を基板1上に実装すると、次に、制御部3は、電子部品2の種類と、その電子部品2の廃棄場所とが関連付けられたテーブルを記憶部4から読み出す。そして、制御部3は、認識エラーが発生した電子部品2の廃棄場所が廃棄コンベア50であるかどうかを判定する(ステップ108)。
【0092】
認識エラーが発生した電子部品2の廃棄場所が廃棄コンベア50である場合(ステップ108のYES)、制御部3は、廃棄コンベア50への電子部品2の廃棄処理を実行する(ステップ110)。廃棄コンベア50への電子部品2の廃棄処理については、
図7を参照して後に詳述する。廃棄コンベア50への廃棄処理を実行すると、次に、制御部3は、リカバリ処理を実行する(ステップ111)。
【0093】
認識エラーが発生した電子部品2の廃棄場所が廃棄ボックス52である場合(ステップ108のNO)、制御部3は、実装ヘッド30を廃棄ボックス52上に移動させた後、認識エラーが発生した電子部品2を廃棄ボックス52に廃棄する(ステップ109)。そして、制御部3はリカバリ処理を実行する(ステップ111)。
【0094】
リカバリ処理においては、制御部3は、実装ヘッド30を供給部25上に移動させた後、認識エラーが発生した電子部品2と同一種類の電子部品2を吸着ノズル33によって吸着し、その電子部品2を基板1上に実装する処理を実行する。
【0095】
リカバリ処理を実行すると、次に、制御部3は、リカバリ処理に成功したどうかを判定する(ステップ112)。リカバリ処理に失敗した場合(ステップ112のNO)、制御部3は、再びステップ111へ戻ってリカバリ処理を実行する。なお、リカバリ処理が失敗した原因が電子部品2の認識エラーであり、かつ、その電子部品2の廃棄場所が廃棄コンベア50である場合には、廃棄コンベア50への電子部品2の廃棄処理が実行される。
【0096】
リカバリ処理に成功した場合(ステップ112のYES)、制御部3は、次のステップ113へ進む。ステップ113では、制御部3は、現在の基板1について電子部品2の実装が完了したかを判定する。現在の基板1について電子部品2の実装が完了していない場合(ステップ113のNO)、制御部3は、ステップ103へ戻り、電子部品2を実装ヘッド30の吸着ノズル33に吸着する処理を実行する。そして、再びステップ104以降の処理を実行する。
【0097】
現在の基板1について電子部品2の実装が完了した場合(ステップ113のYES)、制御部3は、一方のガイド16をY軸方向に移動させることで基板1のクランプ状態を解除し、バックアップ部20を下方へ移動させる(ステップ114)。そして、制御部3は、搬送部15により基板1を搬出する(ステップ115)。
【0098】
[電子部品2を廃棄コンベア50に廃棄するときの動作]
【0099】
次に、電子部品2を廃棄コンベア50へ廃棄するときの動作について説明する。
図7は、廃棄コンベア50へ電子部品2を廃棄するときの動作を示すフローチャートである。
図8は、
図7に示す処理が実行されたときの廃棄コンベア50上の電子部品2の動きを示す図である。
【0100】
廃棄場所が廃棄コンベア50である電子部品2について認識エラーが発生した場合、まず、制御部3は、認識エラーが発生した電子部品2を吸着している吸着ノズル33の位置を廃棄コンベア50上の特定のポイント(
図4×印参照)に合わせる(ステップ201)。次に、制御部3は、その吸着ノズル33を下降して電子部品2を特定のポイントに置く(ステップ202)。
【0101】
次に、制御部3は、下記の式(1)により廃棄コンベア50の搬送量を算出する(ステップ203)。
Smax/2+C+Sp/2[mm]・・・(1)
【0102】
式中、Smaxは、廃棄コンベア50に廃棄される各種の電子部品2のうち、サイズが最大である種類の電子部品2のサイズである。すなわち、Smaxは、特定のポイントに置かれる可能性がある電子部品2のうち最大サイズの電子部品2のサイズである。また、式中、Cは、クリアランスであり、Spは、廃棄コンベア50上の特定のポイントに置かれた電子部品2のサイズである。
【0103】
上記式により搬送量を算出すると、次に、制御部3は、算出された搬送量に応じてポイントに置かれた電子部品2(及び既に廃棄コンベア50上にある電子部品2)を搬送する(ステップ204)。すなわち、制御部3は、ポイントに電子部品2が置かれた直後に(つまり、次の電子部品2による異常が検出される前に)電子部品2を搬送して電子部品2をポイントから退避させる。
【0104】
次に、制御部3は、センサ51によって電子部品2が検出されたかを判定する(ステップ205)。廃棄コンベア50上が電子部品2で満たされ、最初に廃棄コンベア50上に置かれた電子部品2が廃棄コンベア50の他端部側へ到達すると、センサ51によってその電子部品2が検出される(ステップ205のYES)。
【0105】
この場合、制御部3は、表示部5にアラーム画面を表示することによって、アラームを発生する(ステップ206)。なお、制御部3は、警告用の音や光を発生させることによってアラームを発生してもよい。実装装置100からアラームが発生されると、作業者は、手やピンセットなどにより廃棄コンベア50上の電子部品2を回収する。回収された電子部品2は再利用されたり、廃棄されたりする。
【0106】
図8を参照して、最も左側の図には、最大サイズの電子部品2が廃棄コンベア50上のポイントに置かれたときの様子が示されている。
図8の左から2番目の図には、最大サイズの電子部品2が式(1)によって算出された搬送量に応じて搬送され、その電子部品2がポイントから退避されたときの様子が示されている。
【0107】
図8の左から3番目の図には、サイズがS
1である電子部品2が廃棄コンベア50上のポイントに置かれたときの様子が示されておいる。また、
図8の左から4番目の図には、サイズがS
1である電子部品2が式(1)によって算出された搬送量に応じて搬送され、電子部品2がポイントから退避されたときの様子が示されている。
【0108】
図8の最も左側の図を参照して、この図には、最大サイズの電子部品2のサイズSmaxが表されている。この図に示すように、Smaxとしては、典型的には、最大サイズの電子部品2の全体の長さが用いられる。なお、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpについても、典型的には、その電子部品2の全体の長さが用いられる。
【0109】
図8の左から2番目の図を参照して、最大サイズの電子部品2は、Smax/2+C+Sp/2[mm](なお、Sp=Smax)搬送されることによって、廃棄コンベア50上のポイントから退避される。
【0110】
図8の左から4番目の図を参照して、全体の長さがS
1である電子部品2は、Smax/2+C+Sp/2[mm](なお、Sp=S
1)搬送されることによって、廃棄コンベア50上のポイントから退避される。
【0111】
ここで、式(1)において、Sp/2の部分は、各種類の電子部品2において変数とされている。例えば、全長のサイズがSmaxである電子部品2がポイント上に置かれたとき、その電子部品2は、Smax/2+C[mm]に対してSmax/2[mm]を加えた距離分、搬送される。同様に、全長のサイズがS
1である電子部品2がポイント上に置かれたとき、その電子部品2は、Smax/2+C[mm]に対してS
1/2[mm]を加えた距離分、搬送される。
【0112】
この説明から理解されるように、制御部3は、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpに応じて搬送量を可変に制御する処理を実行している。
【0113】
次に、式(1)が最大サイズの電子部品2のサイズSmaxの関数とされている理由について説明する。第1実施形態に係る実装装置100は、次の電子部品2による異常が検出される前に、予め、電子部品2をポイントから退避させる形態とされている。この場合、電子部品2をポイントから退避させる時点では、異常が検出されてポイントに置かれる次の電子部品2の種類を特定することはできない。このため、次にポイントに置かれる電子部品2が最大サイズの電子部品2であったとしても、その最大サイズの電子部品2をポイントに置くことができるようにしておく必要がある。従って、式(1)は、Smaxの関数とされている。
【0114】
次に、制御部3によるクリアランスCの設定方法について説明する。クリアランスCは、電子部品2がポイント上に置かれるときに、この電子部品2と、廃棄コンベア50上に既に置かれている電子部品2との干渉を防止するための領域である。クリアランスCの設定方法としては、以下の(A)〜(D)の4つの方法が挙げられる。なお、(A)〜(D)は、適宜組み合わせることができる。
【0115】
(A)制御部3は、最大サイズの電子部品2のサイズSmaxに基づいて、クリアランスCの値を設定する。この場合、制御部3は、廃棄コンベア50に廃棄される電子部品2のうちサイズが最大である電子部品2が特定されたときに、その電子部品2のサイズに基づいてクリアランスCを設定する。なお、最大サイズの電子部品のサイズSmaxは、基板1の種類毎に異なる場合がある。
【0116】
制御部3は、例えば、最大サイズの電子部品2のサイズSmaxの5%〜20%程度の値をクリアランスとして設定する。例えば、最大サイズの電子部品2のサイズSmaxが30mmである場合、制御部3は、1.5mm〜6mm程度の値をクリアランスとして設定する。同様に、最大サイズの電子部品2のサイズSmaxが20mmである場合、制御部3は、1.0mm〜4mm程度の値をクリアランスとして設定する。
【0117】
(B)制御部3は、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpに基づいて、クリアランスCの値を設定する。この場合、制御部3は、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpの5%〜20%程度の値をクリアランスCとして設定する。或いは、制御部3は、最大サイズの電子部品2のサイズSmaxと、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpとの両方に基づいて、クリアランスを設定してもよい。例えば、制御部3は、最大サイズの電子部品2のサイズSmaxと、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpとの合計値の5%〜10%程度の値をクリアランスとして設定する。
【0118】
(C)制御部3は、最大サイズの電子部品2に対する吸着ノズル33の吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて、クリアランスCの値を設定する。この場合、制御部3は、廃棄コンベア50に廃棄される電子部品2のうちサイズが最大である電子部品2が特定されたときに、対応する電子部品2についての上記値を記憶部4から読み出す。なお、吸着位置のずれ量として想定され得る値は、電子部品2の種類毎に異なっており、電子部品2の種類と、上記値とが関連づけられて記憶部4に記憶されている。例えば、吸着位置ずれが大きな電子部品2については、上記値が2mmに設定されており、吸着位置ずれが小さい電子部品2についは上記値が0.5mmに設定されている。
【0119】
例えば、最大サイズの電子部品2についての上記値が2mmであったとする。この場合、制御部3は、(A)又は(B)によるクリアランスの値に、更に、この2mmを足すことによってクリアランスCの値を設定する。
【0120】
ここで、最大サイズの電子部品2に対する吸着ノズル33の吸着位置のずれ量として想定され得る値が考慮される理由について説明する。最大サイズの電子部品2の中心位置から2mmの位置を吸着ノズル33が吸着した場合、その電子部品2を廃棄コンベア50上のポイントに置くときに、既に廃棄コンベア50上に置かれた電子部品2側に2mm近い位置に電子部品2が置かれる可能性がある。
【0121】
これにより、廃棄コンベア50上のポイントに置かれる電子部品2と、既に廃棄コンベア50上に置かれた電子部品2との干渉が生じてしまう恐れがある。このため、上記値がクリアランスの設定において考慮される。
【0122】
(D)制御部3は、ポイントに置かれた電子部品2に対する吸着ノズル33の吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて、クリアランスCの値を設定する。このような値が用いられるのは、既に廃棄コンベア50上に置かれた電子部品2が、吸着ノズル33の吸着位置のずれ量に応じて、これからポイントに置かれる電子部品2側に近づいてしまっている可能性があるためである。
【0123】
例えば、廃棄コンベア50上のポイントに置かれてポイントから退避された(直近の)電子部品2についての上記値が2mm(この値は、上述のように記憶部4に記憶されている)であったとする。この場合、制御部3は、(A)、(B)又は(C)によるクリアランスの値に、更に、この2mmを足すことによってクリアランス値を設定する。
【0124】
なお、クリアランスCの値は、入力部6を介して変更可能であってもよい。また、クリアランスCの値は、電子部品がZ軸回りに回転して置かれてしまったときのことを考慮して、最大サイズの電子部品の対角線の長さや、ポイントに置かれた電子部品の対角線の長さなどに基づいて設定されてもよい。
【0125】
[作用等]
次に、比較例に係る実装装置100の廃棄コンベア54を参照しつつ、本技術に係る実装装置100の作用について説明する。
図9は、本実施形態に係る廃棄コンベア50上での電子部品2の動きと、比較例に係る廃棄コンベア54上での電子部品2の動きとを比較する図である。
図9の左側には、本実施形態に係る廃棄コンベア50上での電子部品2の動きが示されており、
図9の右側には、比較例に係る廃棄コンベア54上での電子部品2の動きが示されている。
【0126】
図9の右側を参照して、比較例では、電子部品2の種類に拘らず、搬送量が一定とされている(Smax+C)。このため、廃棄コンベア54上のスペースが有効に活用されておらず、廃棄コンベア54上の滞留させておくことができる電子部品2の数が少なくなってしまっている。
【0127】
一方、本実施形態では、搬送量が可変に制御されるため、
図9の左側に示すように、廃棄コンベア50上に置かれる各電子部品2間の距離を適切に狭めることができる。従って、廃棄コンベア50上のスペースを効率的に使用することができ、できるだけ多くの電子部品2をコンベア上に滞留させることが可能となる。さらに、作業者による電子部品2の回収の頻度も下げることができる。
【0128】
さらに、本実施形態では、次の電子部品2による異常が検出される前に、予め、ポイントに置かれた電子部品2が搬送されて電子部品2がポイントから退避される。これにより、次の電子部品2の異常が検出されたときには、既に、ポイントに置かれた電子部品2がポイントから退避されているため、異常が検出された次の電子部品2を素早くコンベア上のポイントに置くことができる。
【0129】
さらに、本実施形態では、上記式(1)において、最大サイズの電子部品2のサイズSmaxが考慮されている。これにより、異常が検出された次の電子部品2のサイズがどのようなサイズであっても、電子部品2間の干渉を発生させることなく、次の電子部品2をコンベアのポイント上に置くことができる。
【0130】
また、本実施形態では、クリアランスが、上記(A)〜(D)又はこれらの組み合わせにより設定されるため、電子部品2間の距離を狭めつつ、適切に電子部品2間の干渉を回避することができる。
【0131】
<第2実施形態>
次に、本技術の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明では、上述の第1実施形態と同様の構成及び機能を有する部材については説明を省略又は簡略化する。
【0132】
上述の第1実施形態では、次の電子部品2による異常が検出される前に、予め、ポイントに置かれた電子部品2が搬送されて電子部品2がポイントから退避される場合について説明した。一方、第2実施形態では、次の電子部品2の異常が検出された後に、電子部品2を搬送して電子部品2をポイントから退避させる形態とされている。第2実施形態は、この点が第1実施形態と異なるため、この点を中心に説明する。
【0133】
第2実施形態に係る実装装置100の処理については、
図6に示す動作と同じであるが、
図6における廃棄コンベア50における廃棄処理(ステップ110)の内容が第1実施形態と異なっている。
【0134】
図10は、廃棄コンベア50へ電子部品2を廃棄するときの動作を示すフローチャートである。
図11は、
図10に示す処理が実行されたときの廃棄コンベア50上の電子部品2の動きを示す図である。
【0135】
廃棄場所が廃棄コンベア50である電子部品2について認識エラーが発生した場合、まず、制御部3は、その電子部品2が廃棄コンベア50上に廃棄される1個目の電子部品2であるかを判定する(ステップ301)。その電子部品2が1個目の電子部品2である場合(ステップ301のYES)、制御部3は、認識エラーが発生した電子部品2を吸着している吸着ノズル33の位置を廃棄コンベア50上の特定のポイント(
図4×印参照)に合わせる(ステップ302)。次に、制御部3は、その吸着ノズル33を下降して電子部品2を特定のポイントに置く(ステップ303)。ポイントに置かれた電子部品2は、搬送されずにポイント上で待機する。
【0136】
その電子部品2が1個目の電子部品2ではない場合(ステップ301のNO)、制御部3は、下記の式(2)により廃棄コンベア50の搬送量を算出する(ステップ304)。
Sn/2+C+Sp/2[mm]・・・(2)
【0137】
式中、Snは、廃棄コンベア50上のポイントに置かれようとしている次の電子部品2のサイズである。また、式中、C’は、クリアランスであり、Spは、廃棄コンベア50上の特定のポイントに置かれた電子部品2のサイズである。
【0138】
上記式により搬送量を算出すると、次に、制御部3は、算出された搬送量に応じてポイントに置かれた電子部品2(及び既に廃棄コンベア50上にある電子部品2)を搬送する(ステップ305)。すなわち、制御部3は、次の電子部品2による異常が検出された後に、電子部品2を搬送して電子部品2をポイントから退避させる。
【0139】
次に、制御部3は、センサ51によって電子部品2が検出されたかを判定する(ステップ306)。センサ51によって電子部品2が検出された場合(ステップ306のYES)、制御部3は、表示部5にアラーム画面を表示することによって、アラームを発生する(ステップ307)。
【0140】
電子部品2がポイントから退避された後、制御部3は、認識エラーが発生した電子部品2を吸着している吸着ノズル33の位置を廃棄コンベア50上の特定のポイントに合わせ(ステップ302)。次に、制御部3は、その吸着ノズル33を下降して電子部品2を特定のポイントに置く(ステップ303)。ポイントに置かれた電子部品2は、搬送されずにポイント上で待機する。
【0141】
図11を参照して、最も左側の図には、サイズがS
1である電子部品2が廃棄コンベア50上のポイントに置かれたときの様子が示されている。
図8の左から2番目の図には、サイズがS
1である電子部品2が式(2)によって算出された搬送量に応じて搬送され、その電子部品2がポイントから退避されたときの様子が示されている。
図11の左から3番目の図には、サイズがS
2である電子部品2が廃棄コンベア50上のポイントに置かれたときの様子が示されている。
【0142】
図11に示すように、Snとしては、典型的には、廃棄コンベア50上のポイントに置かれようとしている次の電子部品2の全体の長さが用いられる。また、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpについても、典型的には、その電子部品2の全体の長さが用いられる。
【0143】
図11の左から2番目の図を参照して、ポイントに置かれた電子部品2は、Sn/2+C’+Sp/2[mm](なお、Sn=S
2、Sp=S
1)搬送されることによって、廃棄コンベア50上のポイントから退避される。
【0144】
第2実施形態では、次の電子部品2の異常が検出された後に、電子部品2を搬送して電子部品2をポイントから退避させる形態とされているため、電子部品2が搬送される時点において、次の電子部品2のサイズを知ることができる。これにより、ポイントに既に置かれた電子部品2のサイズと、ポイントに置かれようとしている次の電子部品2のサイズとに基づいて、搬送量を算出することができる。従って、
図11に示すように、廃棄コンベア50上のスペースをさらに効率的に使用することができ、さらに多くの電子部品2を廃棄コンベア50上に滞留させることが可能となる。
【0145】
次に、制御部3によるクリアランスC’の設定方法について説明する。クリアランスC’
の設定方法としては、以下の(A)’〜(D)’の4つの方法が挙げられる。なお、(A)’〜(D)’は、適宜組み合わせることができる。
【0146】
(A)’制御部3は、ポイントに置かれようとしている次の電子部品2のサイズSnに基づいて、クリアランスC’の値を設定する。制御部3は、例えば、ポイントに置かれようとしている次の電子部品2のサイズSnの5%〜20%程度の値をクリアランスとして設定する。
【0147】
(B)’制御部3は、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpに基づいて、クリアランスC’の値を設定する。この場合、制御部3は、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpの5%〜20%程度の値をクリアランスとして設定する。或いは、制御部3は、ポイントに置かれようとしている次の電子部品2のサイズSnと、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpとの両方に基づいて、クリアランスC’を設定してもよい。例えば、制御部3は、ポイントに置かれようとしている次の電子部品2のサイズSnと、ポイントに置かれた電子部品2のサイズSpとの合計値の5%〜10%程度の値をクリアランスC’として設定する。
【0148】
(C)’制御部3は、次の電子部品2に対する吸着ノズル33の吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて、クリアランスC’の値を設定する。例えば、次の電子部品2についての上記値が2mmであったとする。この場合、制御部3は、(A)’又は(B)’によるクリアランスの値に、更に、この2mmを足すことによってクリアランスC’の値を設定する。
【0149】
(D)’制御部3は、ポイントに置かれた電子部品2に対する吸着ノズル33の吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて、クリアランスC’の値を設定する。例えば、廃棄コンベア50上のポイントに置かれてポイントから退避された(直近の)電子部品2についての上記値が2mmであったとする。この場合、制御部3は、(A)’、(B)’又は(C)’によるクリアランスの値に、更に、この2mmを足すことによってクリアランスC’を設定する。
【0150】
このようにクリアランスC’を、上記(A)’〜(D)’又はこれらの組み合わせにより設定することによって、電子部品2間の距離を狭めつつ、適切に電子部品2間の干渉を回避することができる。
【0151】
なお、クリアランスC’の値は、入力部6を介して変更可能であってもよい。また、クリアランスC’の値は、電子部品がZ軸回りに回転して置かれてしまったときのことを考慮して、次の電子部品の対角線の長さや、ポイントに置かれた電子部品の対角線の長さなどに基づいて設定されてもよい。
【0152】
<各種変形例>
上述の説明では、認識エラーが発生したときに電子部品2が廃棄コンベア50上に廃棄される場合について説明した。一方、実装装置100が緊急停止された場合に、制御部3は、電子部品2を基板1上に実装することができない異常が発生したと判断し、停止から復帰後に、そのとき実装ヘッド30によって保持されている電子部品2を廃棄コンベア50に廃棄してもよい。
【0153】
本技術は、以下の構成を採用することもできる。
(1)電子部品を保持して基板上に実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドに保持された前記電子部品のうち、前記基板上に実装することができない異常が検出された前記電子部品が置かれるポイントを有するコンベアと、
前記ポイントに置かれた前記電子部品を前記コンベアにより搬送量に応じて搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させ、前記異常が検出された次の電子部品を前記実装ヘッドにより前記ポイントに置くことによって、複数の電子部品を前記コンベアに滞留させ、かつ、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズに基づいて前記搬送量を可変に制御する制御部と
を具備する実装装置。
(2) 上記(1)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記次の電子部品による異常が検出される前に、予め、前記ポイントに置かれた前記電子部品を搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させておく
実装装置。
(3) 上記(2)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズと、前記ポイントに置かれる可能性がある前記電子部品のうち最大サイズの電子部品のサイズとに基づいて、前記搬送量を算出する
実装装置。
(4) 上記(3)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記搬送量をSmax/2+C+Sp/2により算出し、式中、前記Smaxは、前記最大サイズの電子部品のサイズであり、前記Cは、クリアランスであり、前記Spは、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズである
実装装置。
(5) 上記(4)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記最大サイズの電子部品のサイズに基づいて、前記クリアランスの値を設定する
実装装置。
(6) 上記(4)又は(5)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記ポイントに置かれた電子部品のサイズに基づいて、前記クリアランスの値を設定する
実装装置。
(7) 上記(4)〜(6)のうち何れか1つに記載の実装装置であって、
前記実装ヘッドは、前記電子部品を吸着するノズルを有し、
前記制御部は、前記最大サイズの電子部品に対する前記ノズルの吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて、前記クリアランスの値を設定する
実装装置。
(8) 上記(4)〜(7)のうち何れか1つに記載の実装装置であって、
前記実装ヘッドは、前記電子部品を吸着するノズルを有し、
前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品に対する前記ノズルの吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて、前記クリアランスを設定する
実装装置。
(9) 上記(1)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記次の電子部品による異常が検出された後に、前記ポイントに置かれた前記電子部品を搬送させて前記電子部品を前記ポイントから退避させる
実装装置。
(10) 上記(9)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズと、前記次の電子部品のサイズとに基づいて、前記搬送量を算出する
実装装置。
(11) 上記(10)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記搬送量をSn/2+C’+Sp/2により算出し、式中、前記Snは、前記次の電子部品のサイズであり、前記C’は、クリアランスであり、前記Spは、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズである
実装装置。
(12) 上記(11)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記次の電子部品のサイズに基づいて、前記クリアランスを設定する
実装装置。
(13) 上記(11)又は(12)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品のサイズに基づいて、前記クリアランスを設定する
実装装置。
(14) 上記(11)〜(13)のうち何れか1つに記載の実装装置であって、
前記実装ヘッドは、前記電子部品を吸着するノズルを有し、
前記制御部は、前記次の電子部品に対する前記ノズルの吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて前記クリアランスを設定する
実装装置。
(15) 上記(11)〜(14)のうち何れか1つに記載の実装装置であって、
前記実装ヘッドは、前記電子部品を吸着するノズルを有し、
前記制御部は、前記ポイントに置かれた前記電子部品に対する前記ノズルの吸着位置のずれ量として想定され得る値に基づいて前記クリアランスを設定する
実装装置。