特許第6239284号(P6239284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239284
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】緩衝用シート付き包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20171120BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20171120BHJP
   B65D 81/02 20060101ALI20171120BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B65D5/50 101A
   B65D5/66 311A
   B65D81/02
   B65D85/38 L
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-142679(P2013-142679)
(22)【出願日】2013年7月8日
(65)【公開番号】特開2015-13684(P2015-13684A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593012239
【氏名又は名称】カネパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 喜平
(74)【代理人】
【識別番号】100100608
【弁理士】
【氏名又は名称】森島 なるみ
(74)【代理人】
【識別番号】100109128
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 功
(74)【代理人】
【識別番号】100142099
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 真一
(72)【発明者】
【氏名】立野 明
(72)【発明者】
【氏名】兼平 裕二
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−280728(JP,A)
【文献】 特開2002−347848(JP,A)
【文献】 実開昭49−033025(JP,U)
【文献】 特開平10−291521(JP,A)
【文献】 特開2011−152940(JP,A)
【文献】 特開平07−125776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00− 5/76
B65D81/02
B65D81/03
B65D81/133
B65D85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に形成された一枚のシート又は中空板から組み立てられる箱と、
被包装物と接触する内側面に、前記被包装物を包んだ状態を保持するための包装用粘着剤が塗布された緩衝用シートと
を備え、
前記緩衝用シートは、前記箱を組み立てたときに主に外側となる前記シート又は中空板の外側面に、該緩衝用シートの前記内面側を接触させて予め取り付けられており、
前記箱が組み立てられるときに、折り返され、被包装物を包装する際、前記被包装物を包んだ状態で前記箱内に収納され
前記シート又は中空板は、順につながったほぼ矩形状の正面部、底面部、背面部、及び蓋としての上面部と、前記正面部に前記底面部の反対側で連結された折込み片とを有し、
前記緩衝用シートの前記正面部側の縁部が、前記折り込み片に取り付けられてい
ことを特徴とする緩衝用シート付き包装箱。
【請求項2】
前記緩衝用シートは、矩形状であり、該緩衝用シートの前記正面部側の縁部が、前記折り込み片に、前記包装用粘着剤よりも強力な粘着力を有する取付け用粘着剤によって、剥離可能に貼着された
ことを特徴とする請求項に記載の緩衝用シート付き包装箱。
【請求項3】
前記緩衝用シートは、矩形状であり、前記シート又は中空板の前記外側面に、前記正面部から前記上面部にわたって予め取り付けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝用シート付き包装箱。
【請求項4】
前記緩衝用シートは、前記内側面の縁部に、前記包装用粘着剤が塗布されていない非粘着部を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の緩衝用シート付き包装箱。
【請求項5】
前記緩衝用シートは、前記内側面のほぼ全面に前記包装用粘着剤が塗布されており、該緩衝用シートによって、前記被包装物が密閉された状態で包まれる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の緩衝用シート付き包装箱。
【請求項6】
前記中空板は、紙製の段ボールである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の緩衝用シート付き包装箱。
【請求項7】
前記緩衝用シートは、気泡シートである
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の緩衝用シート付き包装箱。
【請求項8】
前記被包装体が、矩形板状の電子機器である
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の緩衝用シート付き包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝用シート付き包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話などの電子機器や、コンピュータ用の基板などの包装方法として、まず、被包装物を緩衝用シートに包み、あるいは、緩衝用シートを用いて形成された収納袋に収納し、次に、緩衝用シートに包まれ、あるいは、収納袋に収納された被包装物を、上面部が蓋として開閉する紙製の段ボール箱(通常、N式箱とも呼ばれる。)に収める包装方法が知られている。
また、包装は、輸送中の衝撃などから、様々な構造の製品(被包装物)を保護することから、製品の出荷などにおいては、ほぼ必ず必要であり、また、包装資材の削減や包装作業における作業性などを向上させることなども要望されている。このため、様々な技術が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、直方体に形成され内部が中空の梱包箱と前記梱包箱内に収納する緩衝部材からなり、前記緩衝部材は段ボール紙製の側面部材及び底面部材をコ字状に形成し、ビニール製の横緩衝シートを前記底面部材の両端から上方に突出するように取り付け、縦緩衝シートを前記側面部材の挿通孔を挿通して側面部材の内部に向かって突出するように取り付けたことを特徴とする緩衝材付き包装用箱の技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、段ボール紙等の板紙を素材として組立形成される通常構造の箱体と、その箱体の側壁及び上下フラップの内側全面にわたり内張りされた剥離可能な熱収縮性のフィルムとからなり、そのフィルムの接着を上下フラップのみに限定するとともに、上フラップでは部分的に、下フラップに対しては全面的にそれぞれ接着して、フィルムを梱包時には上フラップから剥離して箱体内の物品の熱収縮包装に、廃棄時には下フラップからも剥離して箱体と分離可能に構成してなることを特徴とする梱包用紙箱の技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、開口部を有する紙製箱の本体部分と、前記本体部分の側壁及び/又は端壁の内面に固着された複数の可撓性内部フラップとを有し、該内部フラップは、前記固着された部分から上方に延び、該上方延長部分は、前記本体部分に詰込まれた内容物の上面を少なくとも部分的に覆うのに十分な長さを有することを特徴とする2重包装箱の技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、箱と、その内部にあって被包装物を箱の壁から離して支持する上下一対の支持手段とから構成され、支持手段が、開口を有する水平支持板とその四辺から垂直に立ち上がり、または立ち下がる垂直支持板とからなり、上記開口部に張り渡した弾性シートを有するものであって、2枚の水平支持板を対向させて2枚の弾性シートの間に被包装物を挟んで保持するタイプの包装箱において、弾性シートとして、プラスチックフィルムにエンボス加工を施して多数の突起を形成したもの、またはこの突起を有するプラスチックフィルムの一方または両方の面に平坦なプラスチックフィルムを貼り合わせたものを使用したことを特徴とする包装箱の技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、積層気泡シートにより形成される収納袋であって、前記積層気泡シートが、内部に収納物を収納可能な収納空間を有する袋状に形成され、袋の一側に、前記収納空間に対して前記収納物を出し入れ可能な開口が形成されるとともに、この開口の縁部が、折り曲げられて当該開口を覆って前記収納空間を外部から封止可能な蓋部となる袋本体と、前記袋本体が載置される載置面に接する当該袋本体の表面に備えられる、当該載置面に貼着可能な袋本体貼着部と、前記蓋部の前記開口を覆った状態で前記袋本体の表面と接する面に備えられる、当該袋本体の表面に貼着可能な蓋部貼着部と、を備えることを特徴とする収納袋の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−127038号公報
【特許文献2】特開平11−105858号公報
【特許文献3】実開平6−61759号公報
【特許文献4】特開平10−35737号公報
【特許文献5】特開2012−20764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年、携帯電話や携帯用情報端末などの電子機器が広く普及しており、使用されている携帯電話や携帯用情報端末の数量は、膨大である。
また、破損や故障などによって修理に出される携帯電話や携帯用情報端末の数量も、多量であり、通常、修理された携帯電話や携帯用情報端末は、例えば返却用の包装箱などに収められた状態で、ユーザや代理店などに送り届けられる。
【0010】
ここで、携帯電話や携帯用情報端末は、通常、ほぼ矩形板状であるが、機種や型式などによって、形状や大きさが微妙に異なっている。このため、上記の返却用の包装箱は、形状などが異なる携帯電話や携帯用情報端末を、安全に保護した状態で包装できることが必要である。
また、修理された携帯電話や携帯用情報端末は、通常、手作業によって包装されるので、包装箱は、使い勝手及び作業性などを向上させることが要求される。
さらに、包装箱や緩衝材などの包装用資材などにおいては、製造原価のコストダウンを図り、経済性などを向上させることや、資源の再利用の促進を図ることなども要望されている。
【0011】
しかしながら、上述した特許文献1〜5の技術は、本発明に関連する技術ではあるものの、例えば、携帯電話などを包装する場合、特許文献1〜4の技術は、携帯電話などの包装に適用しようとしとも、構造が適していなかったり、あるいは、構造が複雑であり、製造原価のコストダウンを図る必要があった。
また、特許文献5の技術は、収納袋を所定の載置面に容易かつ確実に固定でき、サイズの異なる複数の収納物の収納にも柔軟に対応が可能で、さらに、リサイクル性や易開封性にも優れているものの、例えば、携帯電話などを包装する場合においては、さらに、使い勝手、作業性及び経済性などを向上させることが要望されていた。
【0012】
本発明は、以上のような事情に鑑み提案されたものであり、使い勝手、作業性、被包装物に対する保護性能及び経済性などを向上させることができ、また、資源の再利用の促進を図ることのできる緩衝用シート付き包装箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の緩衝用シート付き包装箱は、所定の形状に形成された一枚のシート又は中空板から組み立てられる箱と、被包装物と接触する内側面に、前記被包装物を包んだ状態を保持するための包装用粘着剤が塗布された緩衝用シートとを備え、前記緩衝用シートは、前記箱を組み立てたときに主に外側となる前記シート又は中空板の外側面に、該緩衝用シートの前記内面側を接触させて予め取り付けられており、前記箱が組み立てられるときに、折り返され、被包装物を包装する際、前記被包装物を包んだ状態で前記箱内に収納され、前記シート又は中空板は、順につながったほぼ矩形状の正面部、底面部、背面部、及び蓋としての上面部と、前記正面部に前記底面部の反対側で連結された折込み片とを有し、前記緩衝用シートの前記正面部側の縁部が、前記折り込み片に取り付けられている構成としてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の緩衝用シート付き包装箱によれば、例えば、被包装物の形状や大きさが微妙に異なっている場合であっても、シート又は中空板に予め取り付けられた緩衝用シートが、被包装物を包んだ状態で箱内に収納されるので、使い勝手、作業性、被包装物に対する保護性能及び経済性などを向上させることができ、また、資源の再利用の促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱を説明するための、組立前の内側の概略展開図を示している。
図2図2は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱を説明するための、組立前の外側の概略展開図を示している。
図3図3は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱において、側面部及び正面部の組立動作を説明するための概略斜視図を示している。
図4図4は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱において、気泡シートを折り返す動作を説明するための概略斜視図を示している。
図5図5は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱において、被包装物を包み込む動作を説明するための概略斜視図を示している。
図6図6は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱において、背面部の組立動作を説明するための概略斜視図を示している。
図7図7は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱において、上面部の組立動作及び包装が完了した状態を説明するための概略斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱を説明するための、組立前の内側の概略展開図を示している。
また、図2は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱を説明するための、組立前の外側の概略展開図を示している。
図1、2において、本実施形態の緩衝用シート付き包装箱1は、所定の形状に形成された一枚の段ボール紙20と、この段ボール紙20に予め取り付けられた気泡シート3とを備えた構成としてある。
この緩衝用シート付き包装箱1は、後述するように、箱2が、一枚の段ボール紙20から組み立てられ、かつ、被包装物11を包装する際、気泡シート3が、被包装物11を包んだ状態で箱2内に収納される。
【0017】
なお、上記の「この段ボール紙20に予め取り付けられた気泡シート3」における「予め」とは、箱2を組み立てる前の時点をいい、通常、緩衝用シート付き包装箱1の製造工程内の時点である。また、箱2が組み立てられる時点は、通常、緩衝用シート付き包装箱1の使用者が、使用する時点、あるいは、使用するために用意する時点である。
また、「内側の概略展開図」における「内側の」とは、箱2が組み立てられた際、主に内側(被包装物11を収納する側)についての、といった意味であり、「外側の概略展開図」における「外側の」とは、箱2が組み立てられた際、主に外側(外部に露出する側)についての、といった意味である。
【0018】
(箱)
箱2は、ほぼ直方体状であり(図7参照)、上述したように、所定の形状に形成された一枚の段ボール紙20から組み立てられる。
なお、本実施形態では、箱2の素材を段ボール紙20(紙製の段ボールとも呼ばれる。)としてあるが、これに限定されるものではなく、シート又は中空板であってもよい。
シートとして、例えば、紙、厚紙、樹脂製の板、又は、紙若しくは樹脂を含む複合材料からなる板などが挙げられる。また、中空板として、例えば、紙製の段ボール、樹脂製の段ボール、三層の気泡ボード、二層の気泡ボード、プラスチックハニカムボード、円錐台形状の中空ピンの先端どうしを溶着させた構造を有する四層のプラスチック構造板(四層の気泡ボードとも呼ばれる。)などが挙げられる。
【0019】
一枚の段ボール紙20は、ほぼ矩形状の正面部21、底面部22、背面部23及び上面部24が、正面側から背面側に向かって順につながっており、底面部22の右側には、ほぼ矩形状の右側面部25がつながっており、底面部22の左側には、ほぼ矩形状の左側面部26がつながっている(図1参照)。
【0020】
正面部21は、底面部22との境界の近傍に、溝型の切込み214が形成されており、正面部21が折り曲げられると、係入部242が係入される係入用開口部215が形成される(図5参照)。
また、正面部21は、右側端部が折込み片252を介して右側面部25とつながっており、左側端部が折込み片262を介して左側面部26とつながっている。
さらに、正面部21は、正面側に、ほぼ矩形状の折込み片211がつながっており、折込み片211は、正面側の端部中央に、係入部242が係入される切欠212が形成されており、正面側の端部の左右側に、係合用開口部221に挿入される係合部213が突き出るように形成されている。
【0021】
底面部22は、正面部21との境界の近傍の左右側に、上記係合部213が挿入される係合用開口部221が形成されている。
また、背面部23は、右側端部が折込み片253を介して右側面部25とつながっており、左側端部が折込み片263を介して左側面部26とつながっている。
さらに、上面部24(外フラップとも呼ばれる。)は、背面側に、ほぼ矩形状の折込み片241がつながっており、折込み片241は、背面側の端部中央に、係入部242(差込とも呼ばれる。)が形成されている。
また、右側面部25は、右側に、ほぼ矩形状の内フラップ251がつながっており、左側面部26は、左側に、ほぼ矩形状の内フラップ261がつながっている。
【0022】
ここで、箱2は、直方体状であり、蓋としての上面部24が、背面部23と回動可能に連結されている。これにより、緩衝用シート付き包装箱1は、携帯電話などの矩形板状の被包装物11を容易に収納することができる。
なお、図1、2において、破線は折り線を示しており、これにより、段ボール紙20を、容易に、かつ、きれいに折り曲げることができる。
また、折込み片252、262、及び、折込み片253、263は、適宜、切込みなどが形成されており、組み立てやすい構造としてある。
【0023】
(緩衝用シート)
本実施形態では、緩衝用シートとして、ほぼ矩形状の三層の気泡シート3を用いている(図2参照)。
ここで、気泡シートには、通常、二層気泡シートと三層気泡シートとがあり、これらは、通常、樹脂製である。二層気泡シートは、中空状に膨出する多数のキャップが形成されたキャップフィルムと、このキャップフィルムのキャップ開口側に積層されるバックフィルムとを備えた二層からなる気泡シートであり、三層気泡シートは、二層気泡シートのキャップフィルムのキャップ膨出側に更にライナーフィルムを積層した三層からなる気泡シートで、いずれも、キャップフィルムとバックフィルムにより形成される中空状の多数の気泡による良好なクッション性(耐衝撃性)を有しており、包装材・緩衝材等として広く用いられている(上述した特許文献5参照)。
【0024】
また、気泡シート3は、ほぼ矩形状としてあり、大きさは、正面部21、底面部22、背面部23及び上面部24を合わせた大きさとほぼ同じ、あるいは、僅かに小さくしてある。これにより、後述するように、気泡シート3を二つ折りたたむことによって、被包装物11を容易に包むことができる。ただし、気泡シート3の形状などは、上記に限定されるものではなく、例えば、図示してないが、被包装物11を包むことができ、かつ、被包装物11への衝撃を抑制できる形状や大きさであればよい。
なお、本実施形態では、緩衝用シートとして、三層の気泡シート3を用いているが、これに限定されるものではない。すなわち、緩衝用シートは、被包装物11を包むための可撓性を有し、かつ、緩衝機能を有するシート状のものであればよく、例えば、二層気泡シートやスポンジ状のシートなどでもよい。
【0025】
ここで、好ましくは、緩衝用シート付き包装箱1は、中空板を、段ボール紙20とし、緩衝用シートを樹脂製の気泡シート3としてあるので、気泡シート3は、段ボール紙20に、取り外し可能に取り付けられるとよい。
このようにすると、緩衝用シート付き包装箱1を使用した後に廃棄する際、樹脂製の気泡シート3と紙製の段ボール紙20とを容易に分別して廃棄することができ、資源の再利用の促進を図ることができる。
【0026】
また、さらに好ましくは、ほぼ矩形状の気泡シート3は、正面側の縁部が、段ボール紙20の正面側に、剥離可能に貼着されるとよい。
このようにすると、気泡シート3を容易に取り付けることができるとともに、気泡シート3を取り外す際、気泡シート3に段ボール紙20の紙片が付着する、あるいは、段ボール紙20に気泡シート3の小片が付着するといった不具合を回避することができる。
また、ほぼ矩形状の気泡シート3は、正面側の縁部が、段ボール紙20の正面側に貼着されるので、気泡シート3の背面側の縁部が、段ボール紙20の背面側に位置することとなり、通常、気泡シート3は、ほぼ段ボール紙20上に折られることなく載置された状態となる。これにより、例えば、輸送や保管する際などに、組立前の複数の緩衝用シート付き包装箱1を安定した状態で重ねることができ、省スペース化を図ることができ、また、容易に取り置きすることができる。
【0027】
また、気泡シート3は、被包装物11と接触する内側面(図1、2参照)、すなわち、図2においては、段ボール紙20と接触している側の面に、被包装物11を包んだ状態を保持するための包装用粘着剤が塗布されているとよい。
このようにすると、気泡シート3は、後述するように、被包装物11を包んだ状態を確実に保持することができ、被包装物11にダメージを与えないように保護する性能を向上させることができる。
【0028】
ここで、好ましくは、気泡シート3は、段ボール紙20と接触している側の面のほぼ全面に、包装用粘着剤が塗布されているとよい。このようにすると、後述するように、気泡シート3は、被包装物11を密封した状態で包むことができ、ごみなどの付着を防止することができるので、商品としての付加価値を向上させることができる。
なお、包装用粘着剤は、上述したように全面に塗布されている構成に限定されるものではなく、例えば、部分的に包装用粘着剤が塗布されていてもよく、また、包装用粘着剤の塗布パターンが、格子状、市松状、又は、千鳥状などであってもよい。
【0029】
また、さらに好ましくは、気泡シート3は、被包装物11と接触する内側面の縁部に、包装用粘着剤が塗布されていない非粘着部を有するとよい。具体的には、本実施形態では、背面側の縁部の一方の角部を、包装用粘着剤が塗布された面どうしが接触するように折り返し、折返し部31を形成してある。
このようにすると、非粘着部として機能する折返し部31を指で容易に摘むことができるので、後述するように、被包装物11を包装する際、及び、包装された被包装物11を取り出す際に、気泡シート3を容易に剥がすことができる。
【0030】
さらに、本実施形態では、箱2が、正面部21と回動可能に連結されている折込み片211を有し、この折込み片211の内側面に、気泡シート3が取り付けられている。具体的には、折込み片211の内側面、すなわち、箱2が組み立てられた際、被包装物11側の面(図2において、見えている側の面)に、気泡シート3の正面側の縁部が、剥離可能に貼着されている。なお、この貼着には、粘着剤(取付け用粘着剤とも呼ばれる。)が用いられ、この取付け用粘着剤は、上記の包装用粘着剤より強力な粘着力を有している。
このようにすると、包装用粘着剤の塗布された気泡シート3は、保管時などにおいて、包装用粘着剤が段ボール紙20と接触し外気に触れないので、包装用粘着剤の劣化を抑制することができる。また、包装用粘着剤によって気泡シート3が段ボール紙20に粘着されているので、組立前の緩衝用シート付き包装箱1を取り置きする際、気泡シート3の背面側の部分が段ボール紙20から離れてばたつくことがなく、組立前の緩衝用シート付き包装箱1を容易に取り扱うことができる。
【0031】
(被包装体)
本実施形態の被包装物11は、矩形板状の電子機器であり、このような電子機器として、例えば、携帯電話や携帯用情報端末などが挙げられる。
なお、本実施形態では、被包装物11を矩形板状の電子機器としてあるが、これに限定されるものではない。
【0032】
次に、上記構成の緩衝用シート付き包装箱1における包装手順などについて説明する。なお、包装手順には、箱2の組立手順、及び、気泡シート3で被包装物11を包む手順などが含まれるものとする。
一般的に、緩衝用シート付き包装箱1の使用者は、緩衝用シート付き包装箱1を組み立てる前に、使用する緩衝用シート付き包装箱1を保管場所から組立場所まで搬送する。
ここで、組立前の緩衝用シート付き包装箱1を保管及び搬送する際などに、緩衝用シート付き包装箱1は、気泡シート3が段ボール紙20に予め取り付けられているので、例えば、片方を紛失する、あるいは、片方を搬送し忘れるといった不具合などを回避でき、使い勝手を向上させることができる。
また、組立前の緩衝用シート付き包装箱1の厚さは、ほぼ段ボール紙20の厚さ+気泡シート3の厚さとなるので、保管スペースなどの省スペース化を図ることができる。
【0033】
図3は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱において、側面部及び正面部の組立動作を説明するための概略斜視図を示している。
図3に示すように、まず、緩衝用シート付き包装箱1は、気泡シート3の包装用粘着剤によって貼り着けられている部分が段ボール紙20から剥がされ、続いて、右側面部25、折込み片252及び折込み片253、並びに、左側面部26、折込み片262及び折込み片263が、約90°折り曲げられる。この際、使用者は、気泡シート3の折返し部31を摘むことができるので、気泡シート3の包装用粘着剤によって貼り着けられている部分を容易に剥がすことができる。
【0034】
次に、折込み片211が約180°折り曲げられ、続いて、折込み片252及び折込み片262が折り込まれつつ、正面部21が約90°折り曲げられ、係合部213が係合用開口部221に挿入される。これにより、係合部213が係合用開口部221に係合されるので、正面部21、右側面部25及び左側面部26は、折り曲げられた状態を保持し、また、切込み214によって、係入用開口部215が形成される。
【0035】
続いて、図4に示すように、気泡シート3が、底面部22、背面部23及び上面部24上に載置されるように、折り返される。この際、気泡シート3は、正面側の縁部が、取付け用粘着剤によって、折込み片211の内側面に取り付けられており、かつ、折り返しによって、包装用粘着剤の塗布された内側面が、露出する状態となる。
【0036】
図5は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱において、被包装物を包み込む動作を説明するための概略斜視図を示している。
次に、図5に示すように、被包装物11が、底面部22のほぼ中央に位置するように、気泡シート3上に載置され、続いて、気泡シート3の背面側の部分が折りたたまれるように曲げられることによって、被包装物11は、気泡シート3によって上下から挟まれるようにして包まれる。
この際、被包装物11は、包装用粘着剤によって、気泡シート3に貼り着いており、気泡シート3によって包まれた状態が維持されるので、被包装物11が気泡シート3の内部を移動することによって、被包装物11がダメージを受けるといった不具合を効果的に抑制することができる。
また、被包装物11の形状や大きさが微妙に異なる場合であっても、緩衝用シート付き包装箱1の背面側の部分を折り曲げることによって、被包装物11を包むことができるので、作業性を向上させることができる。
【0037】
さらに、気泡シート3は、予め段ボール紙20に取り付けられているので、例えば、被包装物11を包んだ気泡シート3を箱2に貼着するなどの作業を行わなくても済み、包装作業を容易に、かつ、短時間で行うことができる。
また、気泡シート3は、段ボール紙20に予め取り付けられているので、包装された状態において、箱2内の移動が抑制され、被包装物11にダメージを与えるといった不具合を効果的に抑制することができる。
【0038】
ここで、好ましくは、気泡シート3の背面側の部分を折り曲げて被包装物11を包む際、被包装物11の右側、左側及び正面側において、被包装物11の外周からはみ出る上側の気泡シート3の部分を、被包装物11の外周からはみ出ている下側の気泡シート3の部分に貼り着けるとよい。このようにすると、被包装物11は、気泡シート3によって密封された状態で包まれるので、ほこりなどの異物の侵入を防止でき、また、右側、左側及び正面側方向への衝撃に対して、被包装物11がダメージを受けるといった不具合をより効果的に抑制することができる。
【0039】
図6は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱において、背面部の組立動作を説明するための概略斜視図を示している。
次に、図6に示すように、折込み片253及び折込み片263が折り込まれつつ、背面部23が約90°折り曲げられ、続いて、内フラップ251及び折込み片261が約90°折り曲げられる。
【0040】
図7は、本発明の実施形態にかかる緩衝用シート付き包装箱において、上面部の組立動作及び包装が完了した状態を説明するための概略斜視図を示している。
次に、図7に示すように、上面部24が約90°折り曲げられ 続いて、係入部242が90°折り曲げられつつ、折込み片241が約90°折り曲げられ、係入部242が係入用開口部215に係入される。
これにより、係入部242が係入用開口部215に係止されるので、折込み片241及び上面部24は、折り曲げられた状態を保持し、被包装物11を包んだ気泡シート3が箱2に収納された状態で箱2が組み立てられる。
なお、上述した包装手順は、一例であり、例えば、途中まで箱2を組み立てて、複数の緩衝用シート付き包装箱1を用意しておく場合には、被包装物11を気泡シート3で包むことなく、背面部23などをも折り曲げてもよく、使用状況などによって、適宜、変更される。
【0041】
次に、緩衝用シート付き包装箱1は、上面部24と左側面部26に、送付状41が貼り付けられ、上面部24と右側面部25に、封印シール42が貼り付けられ、折込み片241と底面部22に封印シール42が貼り付けられ、その後、送付される。
【0042】
そして、図示してないが、緩衝用シート付き包装箱1の受取人は、送付状41及び封印シール42を切断し、次に、上面部24を開けて、折返し部31を摘んで気泡シート3の背面側の部分を、包装用粘着剤の粘着力に抗して開くことによって、被包装物11を容易に取り出すことができる。
また、被包装物11の取り出された緩衝用シート付き包装箱1は、気泡シート3が、取付け用粘着剤の粘着力に抗して段ボール紙20から剥がされ、紙とプラスチックとに分別された状態で廃棄される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の緩衝用シート付き包装箱1によれば、被包装物11の形状や大きさが微妙に異なっている場合であっても、段ボール紙20に予め取り付けられた気泡シート3が、被包装物11を包んだ状態で箱2内に収納されるので、使い勝手、作業性、被包装物11に対する保護性能及び経済性などを向上させることができ、また、資源の再利用の促進を図ることができる。
【0044】
以上、本発明の緩衝用シート付き包装箱について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る緩衝用シート付き包装箱は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態の箱2は、いわゆるN式箱とほぼ同様な構造としてあるが、一枚のシート又は中空板から組み立てられる構造であれば、特に限定されるものではなく、例えば、図示してないが、A式箱、B式箱、C式箱、又は、たとう式箱などであってもよい。
【0045】
また、緩衝用シート付き包装箱1は、一枚の気泡シート3を有する構成としてあるが、これに限定されるものではない。例えば、図示してないが、複数の気泡シート3を有し、複数の被包装物11を包装する構成としてもよく、このようにすると、緩衝用シート付き包装箱としての付加価値を向上させることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 緩衝用シート付き包装箱
2 箱
3 気泡シート
11 被包装物
20 段ボール紙
21 正面部
22 底面部
23 背面部
24 上面部
25 右側面部
26 左側面部
31 折返し部
41 送付状
42 封印シール
211 折込み片
212 切欠
213 係合部
214 切込み
215 係入用開口部
221 係合用開口部
241 折込み片
242 係入部
251 内フラップ
252 折込み片
253 折込み片
261 内フラップ
262 折込み片
263 折込み片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7