(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記視線方向検出手段が検出した視線方向と、点灯されている固視標が誘導する視線方向とが一致していないとき、前記スリット光照射光学系によるスリット光の照射を禁止または警告表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の角膜内皮細胞撮影装置。
【実施例】
【0012】
図1ないし
図3に示す角膜内皮細胞撮影装置100は、基台301の上に設けられたベース部302と、このベース部302の上に設けられた前後左右上下に移動可能な装置本体303と、基台301の前部に取り付けられた支持部304の上部に設けた顎受部305と、支持部304に設けた保持部材306によって保持された額当部307と、装置本体303に設けた表示部310とを有している。
【0013】
表示部310は、撮像した前眼部像や角膜内皮細胞像を表示したりするものであり、所望の位置へ手動またはモータ制御により自由に回転や移動させることができるようになっている。また、表示部310の画面にはタッチパネル312(
図10参照)が貼着されており、タッチパネル312をタッチすることにより、被検眼に対して装置本体303を前後方向や上下方向や左右方向に移動させることができる他に、各種のモード設定や操作が行えるようになっている。
【0014】
装置本体303内には、角膜内皮細胞を撮影する角膜内皮細胞撮影装置100の光学系が配置されている。
【0015】
装置本体303の前面には、
図4に示すように、6個の外部固視標(固視標)である外部固視標光源321〜326と、被検眼の前眼部を照明する4つの前眼部照明光源1と、スリット光を被検眼の角膜に向けて照射するためのスリット光照射窓341と、角膜で反射したスリット光の反射光が入射する入射窓342と、被検眼の前眼部を観察するための観察窓343とが設けられている。
【0016】
外部固視標光源321〜326や前眼部照明光源1は例えば発光ダイオードなどで構成されている。
【0017】
外部固視標光源321〜326は、角膜の中心部位から大きく離れた部位の角膜内皮細胞を撮影する場合に発光させるものである。
【0018】
角膜内皮細胞撮影装置100の光学系は、
図5に示すように、被検眼Eの前眼部を観察する前眼部観察光学系10と、被検眼Eの角膜内皮細胞S2(
図8参照)を照明する角膜内皮細胞照明光学系(スリット光照射光学系)20と、角膜内皮細胞S2を撮影する角膜内皮細胞撮影光学系30とを備えている。
【0019】
前眼部観察光学系10には、X,Yアライメントを検出するためのアライメント指標を投影するアライメント指標投影光学系40と、X,Yアライメントを検出するアライメント検出光学系50と、固視標である内部固視標を投影する内部固視標投影光学系70とが設けられている。
【0020】
角膜内皮細胞撮影光学系30には、合焦位置検出光学系(Zアライメント検出光学系)60が設けられている。そして、アライメント指標投影光学系40とアライメント検出光学系50と合焦位置検出光学系60とで被検眼Eに対する装置本体303のアライメントを検出するアライメント検出手段が構成される。
[前眼部観察光学系]
前眼部観察光学系10は、ハーフミラー11と、対物レンズ12と、ハーフミラー13と、絞り14と、結像レンズ15と、遮光板16と、CCD(受光素子)17などとを有している。O1はその光軸である。
[アライメント指標投影光学系]
アライメント指標投影光学系40は、
図5Aに示すように、発光ダイオードからなるアライメント指標光源(点光源)41と、集光レンズ42と、ハーフミラー43と、投影レンズ44と、ハーフミラー11とを有している。なお、343Gは、観察窓343に設けた透明な観察窓ガラスである。
【0021】
アライメント指標光源41から射出されたアライメント指標光は、集光レンズ42により集光されてハーフミラー43で反射されて投影レンズ44に達し、この投影レンズ44により平行光束とされ、この平行光束がハーフミラー11及び観察窓343(
図1参照)の観察窓ガラス343G(
図5A参照)を介して被検眼Eの角膜C(
図8参照)に導かれる。
[アライメント検出光学系]
アライメント検出光学系50は、位置検出手段としての2次元PSD(アライメント検出センサ:ポジションセンサ)51を有し、前眼部観察光学系10のハーフミラー13と対物レンズ12とハーフミラー11などを共用して構成される。
【0022】
アライメント検出センサ51は、 対物レンズ12に関して、
図6に示すように角膜頂点Pと角膜曲率中心Q3の略中間位置にアライメント指標光により形成された虚像Rと共役な位置に配置されている。アライメント指標光に基づく角膜反射光は、装置本体303の観察窓343に入射して対物レンズ12に導かれる。この反射光は対物レンズ12により集光された光束の一部は、ハーフミラー13によって反射され、アライメント検出センサ51上に結像される。このとき、アライメント検出センサ51上でのアライメント指標光の虚像Rの像R´(図示せず)による信号の検出位置によって、被検眼Eに対する装置本体303の左右(X方向)と上下(Y方向)のズレ量が検出される。
【0023】
ここで、アライメント指標光の像R´による信号が、アライメント検出センサ51上の所定範囲内にある状態のとき、XYアライメント完了状態とする。
【0024】
前眼部照明光源1からの照明光は角膜Cにより反射され、ハーフミラー11を透過して対物レンズ12に導かれる。この対物レンズ12を透過した光束の一部は、ハーフミラー13を透過した後に結像レンズ15によりCCD17に結像される。CCD17により検出された信号は表示部310(
図10参照)に送られる。被検眼Eと角膜内皮細胞撮影装置100とのアライメントが概ね合っているとき、アライメント指標光の虚像(輝点)Rによる像R″もCCD17上に同時に形成されるので、
図7に示すように表示部310の画面18に被検眼Eの前眼部像E´とアライメント指標光の虚像像R″(以下輝点像R″と表記する)とが同時に表示される。
【0025】
図7において、符号Aは左右方向(X方向)と上下方向(Y方向)に対してのXYアライメントの許容範囲を示す円環状又は矩形状パターン像であり、これは表示部310上に電子的に表示する。
【0026】
XYアライメントの検出は、CCDカメラ17上の位置から検出してもよい。この場合、ハーフミラー13とアライメント検出センサ51は不要となる。
【0027】
検者は、輝点像R″が円環状パターン像Aの範囲内に納まるように角膜内皮細胞撮影装置100の装置本体を動かしてXYアライメントを行う。
【0028】
遮光板16は、角膜内皮細胞の観察・撮影時に前眼部観察光学系10の光路に挿入され、前眼部の観察時にその光路から離脱される。遮光板16の光路の挿入離脱は図示しないソレノイドなどで行われる。
[内部固視標投影光学系]
内部固視標投影光学系70は、
図5及び
図5Aに示すように、中心固視用の発光ダイオード(内部固視標光源)71と、中心部のワイド用の発光ダイオード(内部固視標光源)72,73と、投影レンズ44と、内部周辺固視用の発光ダイオード(内部固視標光源)74a〜74hと、ハーフミラー11とを有している。発光ダイオード71〜73で発光した固視用光束は、ハーフミラー43を透過し、投影レンズ44によって平行光束にされてハーフミラー11及び観察窓ガラス343Gを介して被検眼Eに投影される。
【0029】
また、発光ダイオード74a〜74hから発光された固視用光束はハーフミラー11及び観察窓ガラス343Gを介して被検眼Eに投影される。
【0030】
発光ダイオード71は角膜Cの中心部位を撮影する場合に点灯させ、発光ダイオード72,73はその中心部位を挟む両側部分の部位を撮影する場合に点灯させ、発光ダイオード74a〜74hはそれら部位を囲む周辺部の部位(内側周辺部位)を撮影する場合に発光させる。
【0031】
発光ダイオード74a〜74hは、発光ダイオード71〜73と同一平面内に配置してもよい。この場合、図のように個別の光源を配置するほかに液晶などの2次元表示素子を配置して、必要な個所のみを点灯するようにしてもよい。
【0032】
外部固視標光源321〜326は、内側周辺部位の外側の周囲の部位(外側周辺部位)を撮影する場合に発光させる。
[角膜内皮細胞照明光学系]
角膜内皮細胞照明光学系20は、観察用照明光学系120と撮影用照明光学系220とから構成され、観察用照明光学系120は観察用光源(赤外LED:照明光源)21と、スリット22と、ダイクロイックミラー23と、対物レンズ24などとを有する。O2はその光軸である。
【0033】
観察用光源21から射出された観察用光束は、スリット22を透過してダイクロイックミラー23により反射されて対物レンズ24に導かれる。対物レンズ24により集光されたスリット照明光である観察用光束は角膜Cを照明する。
【0034】
撮影用照明光学系220は、白色発光ダイオードからなる撮影用照明光源(撮影用光源)25と、集光鏡226と、集光レンズ26と、スリット27などとを有し、観察用照明光学系120のダイクロイックミラー23および対物レンズ24を共用して構成される。
【0035】
撮影用光源25は、単色光の発光ダイオードで例えば緑色や青色などを発光するものでもよい。
【0036】
撮影用光源25から射出された照明光は集光レンズ26により集光される。その照明光は撮影光として用いられ、スリット27を透過してスリット照明光(スリット光)となり、このスリット照明光のうち可視波長域のスリット照明光がダイクロイックミラー23を透過し、可視波長域のスリット照明光が対物レンズ24に導かれる。対物レンズ24を透過したスリット照明光により角膜Cが照明される。
[角膜内皮細胞撮影光学系]
角膜内皮細胞撮影光学系30は、対物レンズ31と、ハーフミラー32と、ミラー34と、リレーレンズ35と、マスク130と、リレーレンズ132と、遮光板131と、ミラー36と、CCD(撮像手段)17などとを有し、O3はこの光軸である。
【0037】
マスク130は、後述するラインセンサとCCD17と共役な位置に配置されている。
【0038】
遮光板131は、前眼部観察時に角膜内皮細胞撮影光学系30の光路に挿入され、角膜内皮細胞の観察・撮影時にその光路から離脱される。挿入離脱は図示しないソレノイドなどで行われる。
【0039】
この実施例では、前眼部観察用のCCDカメラと内皮細胞撮影用のカメラとを共通としているが、別のカメラを使用してもよい。この場合、遮光板16,131は不要となる。
【0040】
角膜Cにより反射されたスリット照明光は、対物レンズ31に導かれる。対物レンズ31に導かれた反射光束R1、R2、R3の一部はハーフミラー32を透過し、ミラー34およびリレーレンズ35を介してマスク130に入射する。
【0041】
このマスク130は、角膜表面からの反射光の部分を遮光し、角膜内皮細胞の反射光の部分を透過するように配置されている。
【0042】
合焦位置検出光学系60は、対物レンズ31と、ハーフミラー32と、ラインセンサ61とを有している。ラインセンサ61は、角膜Cとほぼ共役位置に、且つ、
図9に示すように光学的に角膜Cの厚み方向となる方向に沿って配置されている。
【0043】
ラインセンサ61上に達する角膜Cでのスリット光束の反射光束の強度分布は
図9に示すようなものとなる。強度分布のピークUは角膜Cの表面での反射光束によるピークであり、ピークVは角膜内皮細胞S2での反射光束のピークである。
[制御系]
図10は角膜内皮細胞撮影装置100の制御系の構成を示すブロック図である。
図10において、101はラインセンサ61の光量分布に基づいて角膜内皮細胞撮影光学系30が角膜内皮細胞S2に合焦しているかどうかを検出する合焦判断回路である。
【0044】
合焦判断回路101は、
図11に示す反射光束の強度分布のピークVとラインセンサ61の中心番地Qとの離間距離に応じた合焦信号を出力し、ピークVと中心番地Qとが一致したとき合焦完了信号を出力する。
【0045】
角膜内皮細胞撮影装置100の装置本体303を被検眼Eに対して離反接近させると、ピークVの番地が移動する。装置本体303は、ピークVの番地Lが中心番地Qに一致したとき角膜内皮細胞に合焦されるように設定されている。すなわち、Zアライメントが完了したとき、角膜内皮細胞撮影光学系30つまり角膜内皮細胞撮影装置100は角膜内皮細胞S2に合焦される。
【0046】
102はX,Y方向のアライメントを判定するアライメント判定回路であり、このアライメント判定回路102は、アライメント検出センサ51上でのアライメント指標光の虚像R´(図示せず)による信号の検出位置に基づいて、被検眼Eの光軸と装置本体303の光軸O1との左右(X方向)のズレ量と上下(Y方向)のズレ量とを判定する。
【0047】
104は合焦判断回路101が出力する合焦信号やアライメント判定回路102が判定するX,Y方向のズレ量に基づいてX,Y,Zモータ201〜203を駆動させるドライバD1〜D3を制御する制御装置である。この制御装置104は、CCD17上の画像に基づいて表示部310にその画像を表示させたり、図示しない操作部の操作に基づいて前眼部照明光源1,アライメント指標光源41,撮影用光源25,観察用光源21などの発光を制御する。また、制御装置104は、操作部の操作などに基づいて外部固視標光源321〜326や発光ダイオード71〜73や発光ダイオード74a〜74hの発光を制御する。
【0048】
また、制御装置104は、後述する視線方向算出回路405が算出した被検眼Eの視線方向が発光されている発光ダイオード71〜73, 74a〜74hや外部固視標光源321〜326の方向に向いていないと判断したとき、撮影用光源25の発光を禁止したり、表示部310に視線が所定方向に向いていないことを警告表示したりする。
【0049】
X,Y,Zモータ201〜203は、角膜内皮細胞撮影装置100の装置本体303をX,Y,Z方向へ移動させるモータである。
【0050】
401はCCD17上の前眼部像から瞳孔像Ea(
図7参照)を抽出する瞳孔像抽出回路(抽出回路)、402は抽出した瞳孔像Eaの中心位置である重心位置を検出する瞳孔像位置検出回路(位置検出回路)、403は輝点像R″を抽出する輝点像抽出回路(抽出回路)、404は抽出した輝点像R″の位置である重心位置(位置)を検出する輝点像位置検出回路(位置検出回路)、405は瞳孔像位置検出回路402が検出した瞳孔像Eaの中心位置と輝点像位置検出回路404が検出した輝点像R″の位置とに基づいて被検眼Eの視線方向を算出する視線方向算出回路である。
【0051】
そして、瞳孔像抽出回路401と瞳孔像位置検出回路402と、輝点像抽出回路403と輝点像位置検出回路404と視線方向算出回路405とで視線方向検出手段が構成される。
[瞳孔像位置検出回路]
瞳孔像位置検出回路402は、瞳孔像Eaの輪郭線LaをCCD17の画素の輝度値から求め、この輪郭線Laで囲まれる部分の重心位置を求め、この重心位置を瞳孔像Eaの中心位置とするものである。
[輝点像位置検出回路]
輝点像位置検出回路404は、輝点像R″の輪郭線(図示せず)をCCD17の画素の輝度値から求め、この輪郭線で囲まれる部分の重心位置を求め、この重心位置を輝点像R″の位置とするものである。
[視線方向算出回路]
視線方向算出回路405は、瞳孔像Eaの中心位置Ea1と輝点像R″の位置Raに基づいて被検眼Eの視線方向を算出する。
【0052】
これは、発光ダイオード71を点灯させて被検眼Eを固視させると、
図7に示すように、瞳孔像Eaの中心位置Ea1と輝点像R″の位置Raとがほぼ一致し、このような場合、被検眼Eの視線方向は正面に向けられ、視線方向と前眼部観察光学系10の光軸O1とが一致していると判断することができる。
【0053】
図7Aに示すように、輝点像R″の位置Raに対して瞳孔像Eaの中心位置Ea1が左側にあるとき、被検眼Eの視線は右方向に向けられている場合であり、その光軸O1に対する視線の右方向の角度は、その位置Raと中心位置Ea1との間の距離から求めることができる。同様に、
図7Bに示すように、輝点像R″の位置Raに対して瞳孔像Eaの中心位置Ea1が右側にあるとき、被検眼Eの視線は左方向に向けられている場合であり、その光軸O1に対する視線の左方向の角度は、その位置Ra,Ea1間の距離から求めることができる。
【0054】
図7Cに示すように、輝点像R″の位置Raに対して瞳孔像Eaの中心位置Ea1が上側にあるとき、被検眼Eの視線は上方向に向けられている場合であり、その光軸O1に対する視線の上方向の角度は、その位置Ra,Ea1間の距離から求めることができる。
同様に、
図7Dに示すように、輝点像R″の位置Raに対して瞳孔像Eaの中心位置Ea1が下側にあるとき、被検眼Eの視線は下方向に向けられている場合であり、その光軸O1に対する視線の下方向の角度は、その位置Ra,Ea1間の距離から求めることができる。
【0055】
また、発光ダイオード71を点灯させて被検眼Eを固視させた場合に、
図7Eに示すように、輝点像R″の位置Raと瞳孔像Eaの中心位置Ea1とがズレている場合、その位置Ra,Ea1をメモリ(図示せず)に記憶させ、このメモリに記憶させた位置Ra,Ea1を基準にして、新たに形成される位置Ra,Ea1に基づいて被検眼Eの視線方向を算出する。
[動 作]
次に、上記のように構成される角膜内皮細胞撮影装置100の動作について説明する。
【0056】
先ず、
図5に示す前眼部照明光源1を発光させる。このとき、遮光板16は光路から退避され、遮光板131は光路に挿入される。
【0057】
前眼部照明光源1からの照明光は角膜Cにより反射され、この反射光は、観察窓343に入射し、ハーフミラー11,対物レンズ12,ハーフミラー13,絞り14および結像レンズ15を介してCCD17に達し、CCD17上に前眼部像が結像される。そして、
図3に示すように表示部310の画面18に前眼部像E′が表示される。
【0058】
また、内部固視標投影光学系70は、中心固視用の発光ダイオード71を発光させて被検眼Eを固視させておく。
【0059】
次いで、アライメント指標投影光学系40のアライメント指標光源41は発光してアライメント指標光を射出する。このアライメント指標光は、集光レンズ42により集光されてハーフミラー43を介して投影レンズ44に達し、この投影レンズ44により平行光束とされ、ハーフミラー11を介して被検眼Eの角膜Cに投影される。
【0060】
アライメント指標光に基づく角膜反射光は、観察窓343に入射し、対物レンズ12を通った後ハーフミラー13によって反射され、アライメント検出センサ51上にアライメント指標光による虚像(輝点)Rの像R´(図示せず)が結像される。
【0061】
また、ハーフミラー13を透過する角膜反射光は、結像レンズ15に達し、この結像レンズ15によってアライメント指標光の虚像R(
図6参照)による像R′がCCD17上に同時に形成される。このため、
図7に示すように表示部310の画面18に被検眼Eの前眼部像E´とアライメント指標光の輝点像R″とが表示される。検者は、輝点像R″が電子的に画面上に描いた円環状パターン像Aの範囲内に納まるように、表示部310のタッチパネル312の所定部分をタッチすることにより、装置本体303を上下左右に動かして、XYアライメントを行う。
【0062】
オートアライメントモードの場合には、アライメント検出センサ51上に結像された像R′の位置から被検眼Eに対する装置本体303に対するX,Y方向のズレ量をアライメント判定回路102が求め、このズレ量に応じて制御装置104はドライバD1,D2を制御して装置本体303をX,Y方向へ移動させてXYアライメントを行う。
【0063】
XYアライメントが完了したとき、被検眼Eに斜視などがなければ
図7に示すように、表示部310に表示される瞳孔像Eaの中心位置Ea1と輝点像R″の位置Raとがほぼ一致する。しかし、被検眼Eに斜視などがあると、
図7Eに示すように、輝点像R″の位置Raと瞳孔像Eaの中心位置Ea1とがズレる。この場合、メモリに位置Ra,Ea1を記憶させる。この記憶は、アライメント判定回路102がアライメント完了したことを判断したとき行う。
【0064】
また、XYアライメントの完了により、アライメント指標光源41及び発光ダイオード71の発光は停止され、観察用光源21から赤外光が発光されるとともに、遮光板16が光路に挿入され、遮光板131が光路から離脱される。
【0065】
観察用光源21から射出された観察用光束は、スリット22,ダイクロイックミラー23および対物レンズ24を介して
図8に示すように角膜Cを赤外光のスリット照明光で照明する。
【0066】
角膜Cからのスリット照明光による反射光束は、
図8に示すように角膜C表面の反射光束R1と角膜内皮細胞S2の反射光束R2と角膜実質S3の反射光束R3とを含む。
【0067】
角膜Cにより反射されたスリット照明光は対物レンズ31に導かれ、反射光束R1、R2、R3の一部はハーフミラー32で反射されてラインセンサ61に達する。
【0068】
合焦判断回路101は、ラインセンサ61の各受光素子の受光量に基づいて、
図11に示す強度分布のピークVとラインセンサ61の中心番地Qとの離間距離に応じた合焦信号を出力する。
【0069】
制御装置104は、合焦信号に基づいて表示部310に、
図7に示すように、マーク15S,15P,15Maを表示する。マーク15Pとマーク15Maとの間の離間距離は、
図11に示す強度分布のピークVとラインセンサ61の中心番地Qとの離間距離に対応したものとなる。手動の場合、検者は表示部310を見ながら、マーク15Pをマーク15Maに一致させるように装置本体を移動させる。
【0070】
オートアライメントモードの場合、制御装置104は、その合焦信号に基づいてドライバD3を制御してZモータ203を駆動させ、ピークVとラインセンサ61の中心番地Qとが一致するように装置本体303を前後に移動させる。
【0071】
ピークVとラインセンサ61の中心番地Qとが一致したら、すなわち、合焦(Z方向アライメント)が完了したら制御装置104はZモータ203を停止させる。
【0072】
一方、ハーフミラー32を透過した反射光束R1、R2、R3は、ミラー34およびリレーレンズ35を介してマスク130に導かれる。マスク130は、反射光束R2のみが透過するように配置されている。
【0073】
マスク130を透過した反射光束R2は、リレーレンズ132を通りミラー36で反射してCCD17に達し、CCD17上に反射光束R2による光像が形成される。すなわち、角膜内皮像が形成され、
図12に示すように、表示部310の画面18に角膜内皮細胞像Jが表示され、撮影用光源25が発光されて撮影が実行されることになる。すなわち、角膜Cの中心部位の角膜内皮細胞が撮影される。
【0074】
内側周辺部位を撮影する場合には、所定部位に対応した例えば発光ダイオード74aが発光され、遮光板16は光路から退避され、前眼部照明光源1が発光されるとともに遮光板131が光路に挿入され、アライメント指標光源41が発光される。
【0075】
被検眼E(斜視がない場合)の視線方向が発光ダイオード74aに向けられると、
図7Cに示すように、表示部310には、輝点像R″の位置Raに対して瞳孔像Eaの中心位置Ea1が上側に位置することになる。そして、上記と同様に、前眼部像とアライメント指標光による輝点像R″がCCD17上に形成されることになる。
【0076】
そして、輝点像R″が円環状パターン像Aの範囲内に納まるように、装置本体303を上下左右に移動されてXYアライメントが行われる。
【0077】
XYアライメントが完了すると、瞳孔像抽出回路401は、CCD17上の前眼部像から瞳孔像Ea(
図7参照)を抽出し、瞳孔像位置検出回路402が抽出された瞳孔像Eaの重心位置を検出する。また、輝点像抽出回路403が輝点像R″を抽出し、輝点像位置検出回路404が抽出された輝点像R″の位置を検出する。
【0078】
視線方向算出回路405は、瞳孔像Eaの中心位置と輝点像R″の位置とに基づいて光軸O1に対する被検眼Eの視線方向を算出する。
【0079】
制御装置104は、視線方向算出回路405が算出した被検眼Eの視線方向が発光されている発光ダイオード74aの方向と一致すれば、撮影用光源25の発光を許可することになる。一致していなければ、撮影用光源25の発光を禁止するとともに、表示部310に被検眼Eの視線が発光ダイオード74aに向いていないことを警告表示する。
【0080】
他方、XYアライメントの完了により、アライメント指標光源41及び発光ダイオード71の発光は停止され、観察用光源21から赤外光が発光されるとともに、遮光板16が光路に挿入され、遮光板131が光路から離脱される。
【0081】
そして、上記と同様にしてZ方向のアライメントが行われ、Z方向のアライメントが完了すると、、撮影用光源25が発光されて撮影が実行されることになる。
【0082】
撮影用光源25の発光が許可されていない場合、撮影用光源25は発光されず、撮影は実行されないことになる。このため、無駄な撮影は防止され、被検者に発光による不要な負荷を与えてしまうことが防止される。
【0083】
このように、被検眼Eの視線が発光されている発光ダイオード74aに向いていない場合、表示部310に警告表示され、また、Z方向のアライメントが行われても撮影用光源25が発光されないことにより、被検者の視線が発光(点灯)されている発光ダイオード(固視標)に向いているか否かが分かることになる。
【0084】
発光ダイオード71〜73, 74a〜74hや外部固視標光源321〜326の発光を切り換えて被検眼Eの視線方向を変える毎に上記動作は繰り返し行われることになる。
【0085】
上記実施例では、被検眼Eの視線方向と発光している固視標の方向とが一致していない場合でも、Z方向のアライメントが行われるが、一致していない場合には、Z方向のアライメントが行われないようにして、撮影が実行されないようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施例では、固視標光源に発光ダイオード74a〜74hを用いているが、この発光ダイオード74a〜74hの替わりに、発光ダイオード71〜73と同一平面内に液晶などの2次元表示素子を配置して、必要な個所のみを点灯するようにすれば、角膜Cの任意の部位の角膜内皮細胞を撮影することができる。この場合、被検眼Eの視線方向の角度を求めているので、2次元表示素子の点灯している箇所に視線が向いているか否かを判断することは可能である。
【0087】
上記実施例では、被検眼Eの視線方向を瞳孔像Eaの中心位置と輝点像R″の位置とから求めているが、これに限らず例えば画像の中心位置に対する瞳孔像Eaの中心位置から求めるようにしてもよい。
【0088】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。