(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オンオフ制御部は、自セルをオフにする場合に、自身の下位階層に属する同期セル、自身の上位階層に属する同期セルおよび前記下位階層に属する同期セルから報告された近接セルに対して、自セルをオフにすることを通知することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線基地局。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、Rel.12以降で想定されるHetNetの概念図である。
図1Aに示すように、HetNetは、マクロセル(Macro cell)とスモールセル(Small cell)との少なくとも一部が地理的に重複して配置される無線通信システムである。HetNetは、マクロセルを形成する無線基地局(以下、マクロ基地局という)と、スモールセルを形成する無線基地局(以下、スモール基地局という)と、マクロ基地局とスモール基地局と通信するユーザ端末とを含んで構成される。
【0013】
一般にユーザ分布やトラフィックは均一でなく、時間的、あるいは、場所的に変動する。そのため、マクロセル内に多数のスモールセルを配置する場合、
図1Aに示すように、場所に応じて密度や環境の異なる形態(Sparse and Dense)で、スモールセルが配置されることが想定される。たとえば、ユーザ端末が多く集まる駅やショッピングモール等では、スモールセルの配置密度を高くし(Dense small cell)、ユーザ端末が集まらない場所では、スモールセルの配置密度を低くする(Sparse small cell)ことが考えられる。
【0014】
このようにトラフィックの大きい場所にスモールセルを密に、かつ局所的に配置する、すなわちクラスタ状に配置することにより、セル間でのオフロード効果を得ることが可能となる。また、全てのエリア(マクロセルのカバレッジエリア)をスモールセルでカバーする必要がないため、コスト等を考慮してスモールセルの配置場所や配置するスモールセル数を制御することが可能となる。
【0015】
図1に示すHetNetにおいて、マクロセルでは、たとえば、800MHzや2GHz(
図1Bにおいて2GHz)など、相対的に低い周波数帯のキャリア(以下、低周波数帯キャリアという)が用いられる。低周波数帯キャリアを利用することにより、マクロセルは広いカバレッジを取りやすく、既存(Rel.8から11)のユーザ端末も接続可能な周波数で運用することができる。これにより、マクロセルは、全てのユーザ端末が常時接続するセルとして広範囲のエリアをカバーすることができる。
【0016】
図1に示すHetNetにおいて、複数のスモールセルでは、たとえば、3.5GHzなど、相対的に高い周波数帯のキャリア(以下、高周波数帯キャリアという)が用いられる。高周波数帯キャリアを利用することによりスモールセルは広帯域を利用できるため、ベストエフォート型においてデータの高効率なオフロードが可能となる。そのため、スモールセルは、高トラフィック領域のユーザ端末をオフロードするセルとして局所的に配置される。
【0017】
図1に示すHetNetにおいて、マクロセル(マクロ基地局)とスモールセル(スモール基地局)間は、バックホールリンクを介して接続される。具体的には、マクロ基地局とスモール基地局間とをバックホールを通じて連携し、マクロ基地局がスモール基地局をアシストする運用(マクロ基地局がスモール基地局を従属させる運用)が想定されている。マクロ基地局がスモール基地局をアシストする運用とは、マクロ基地局がスモール基地局の検出情報や制御情報をユーザ端末に通知したり、マクロ基地局がマクロセルに接続している端末に対してスモール基地局のスモールセルを追加するCarrier aggregation(異周波の場合)やCoordinated multi-point通信(同周波の場合)を行ったりすること等が挙げられる。
【0018】
また、複数のスモール基地局間についても、バックホールリンクを介して接続することが想定されている。マクロ基地局とスモール基地局間、あるいはスモール基地局間の接続は、光ファイバ(Optical fiber)や非光ファイバ(X2インターフェース)等の有線接続で行うことが考えられる。
【0019】
図1Aに示すようにマクロセル内に多数のスモールセルを配置する構成においては、各スモールセル間が互いにタイミング同期(以下、単に「同期」とも記す)していることが望ましい。各スモールセル間が互いに同期することにより、スモールセル間の干渉制御や、ユーザ端末におけるスモールセルの発見を適切に行うことが可能となる。
【0020】
図2Aに示すように、複数のスモールセル(
図2Aにおいて、セルA、セルB)が不均一かつ高密度で配置される場合、互いのセル間の干渉が大きくなるおそれがある。この場合、セル間を同期させることにより、セル間干渉制御や協調通信等により干渉を低減することができる。特に、TDDを利用する場合には、隣接セル間でDLとULの入れ替えタイミングがずれると、無線基地局間やユーザ端末間で大きな干渉となるため、セル間の同期が重要となる。
【0021】
図2Bに示すように、スモールセルから送信される検出用信号(Discovery signal)に基づいて、ユーザ端末が接続するスモールセルを決定する場合を想定する。この場合、スモールセル間で同期していれば、複数のスモールセルは短い時間区間内で一斉に検出用信号を送信できるため、ユーザ端末は当該時間区間(時間窓)に限って選択的にスモールセルの検出動作を行えばよい。これにより、各ユーザ端末は、スモールセルの検出動作に係る消費電力を抑制するとともに、スモールセルを効率的に発見することが可能となる。
【0022】
スモールセルのタイミング同期法としては、(1)GPSによる時刻同期、(2)バックホールでのセル間通信による同期(たとえば、IEEE1588v2等)、(3)無線インターフェースによる同期(以下、「無線同期」とも記す)が考えられる。無線インターフェースによる同期は、スモールセルが他セルから送信されるDL信号を受信してタイミングを検出することにより同期する方法である。DL信号としては、たとえば、参照信号(セル固有参照信号(CRS)、端末固有参照信号(DM−RS)、チャネル情報測定用参照信号(CSI−RS)、同期信号(P−SS、S−SS)など)を利用することができる。
【0023】
本発明者等は、HetNetにおけるスモールセルの同期法として、外部システムに依存せず、オペレータ自身のリソースで同期が可能な無線インターフェースによる同期を適用することが望ましいことを見出した。外部インターフェースによるスモールセルの同期は、GPS受信機やIEEE1588v2の同期システムと比較して、受信機を安価に実現できるためである。また、無線インターフェースによる同期を、既存の同期法と補完的に用いることにより、より幅広い環境でのスモールセル間のタイミング同期を実現することが可能となるためである。
【0024】
図3Aに示すように、LTE Rel.9では、TDDのHeNB(Home eNodeB)向けに無線同期を実現するバックホールシグナリングが規定されている。具体的には、バックホールシグナリングを介して無線基地局間で、同期情報(Time Synchronization Info)のやり取りが可能となっている。同期情報には、各無線基地局の同期状態(同期(sync)または非同期(async)の何れか)、同期している場合の同期階層レベル(Stratum level)が含まれる。
【0025】
図3Bに示すように、同期階層レベル(以下、「Stratum LV」とも記す)は、GPSによる同期を行う無線基地局(たとえば、マクロセル)を基準とした階層レベルを示している。
図3Bに示す例では、GPSによる同期を行う無線基地局をStratum LV=0とした場合に、当該無線基地局からのDL信号を用いて同期したスモールセルは1レベル低いStratum LV=1となる。さらに、Stratum LV=1のスモールセルからのDL信号を用いて同期したスモールセルは1レベル低いStratum LV=2となる。
【0026】
このように、無線インターフェースによりスモールセルの同期を行う場合に、バックホールシグナリングを介して、同期先の候補となる他セルの同期状態や同期階層レベルを把握することができる。これにより、各スモール基地局は、新たに同期を行う場合に他セルからの同期情報に基づいて自己の同期階層レベルを把握することができる。
【0027】
図4は、従来のTDDのHeNBにおいて、無線同期を実現するバックホールシグナリングの動作例を示すシーケンス図である。
【0028】
図4に示すように、HeNB_1と(H)eNB_2の無線同期においては、まず、HeNB_1が、MME(Mobility Management Entity)を介して、(H)eNB_2に“Time sync info”のシグナリングを要求する(ST101,ST102)。
【0029】
(H)eNB_2は、リクエストに応じて“Time sync info”をフィードバックする(ST103)。この“Time sync info”には、同期状態(sync status)と、同期している場合の同期階層レベル(stratum level)とが含まれる。
【0030】
HeNB_1は、(H)eNB_2のStratum LVを取得して、自身のStratum LVを判断する(ST104)。
【0031】
図5に示すように、従来のTDDのHeNBにおける無線同期において、(H)eNBは、自身のStratum LVに応じて、MBSFN(Multicast/Broadcast Single Frequency Network)サブフレームを設定する。
図5に示す例では、Stratum LV=1の(H)eNBは、Stratum LV=0の(H)eNBが送信するCRSを受信して同期を行うため、#3と#4にMBSFNサブフレームを設定している。すなわち、Stratum LV=1の(H)eNBは、上位Stratum LVの(H)eNBのネットワークリスニングへの干渉を防ぐためにサイレント(Silencing)としている。
【0032】
Stratum LV=2の(H)eNBは、Stratum LV=1の(H)eNBが送信するCRSを受信して同期を行うため、#8と#9にMBSFNサブフレームを設定している。同時に、Stratum LV=2の(H)eNBは、Stratum LV=1の(H)eNBがその時間にStratum LV=0の(H)eNBをリスニングしているため、Stratum LV=1の(H)eNBへの干渉を防ぐために、#3と#4にMBSFNサブフレームを設定している。
【0033】
図6Aに示すように、Rel.12では、トラフィックの時間変動にあわせてスモールセルのオンオフを切り替えることが検討されている。スモールセルのオンオフを切り替えることにより、不要なDL送信を止めることができるため、干渉を低減し、さらにネットワークの電力消費低減に貢献することができる。なお、スモールセルのオフ状態には、完全にオフにする状態と、間欠的にオフにする状態とが含まれる。
【0034】
しかしながら、無線同期を用いる場合には、スモールセルのオンオフ切り替えは、その同期トポロジによって自由度が大きく制約される。
図6Bに示すように、少なくとも1つのセルをリスナとしてもち、自身がサウンダとなっているセルは容易にオフにすることができない。サウンダとなっているセルがオフの時間にリスナがネットワークリスニングを行うと、リスナが正しくタイミングを検出できずにノイズや干渉のピークをタイミングとみなすことにより、リスナが完全非同期なスモールセルとなるためである。
【0035】
図7に示すように、階層の深いStratum構造になるほど、オフにできないセル数は増える。
図7に示す例において、最下位層以外のスモールセルをオフにすると他セルの同期に影響を及ぼすおそれがある。具体的には、上位層のスモールセルをオフにすると、下位層のスモールセルのネットワークリスニングおよび同期保持を阻害するおそれがある。一方、最下位層のスモールセルは、オフになっても他セルの同期に影響を及ぼさない。
【0036】
図7に示す例において、最下位層のスモールセルのみオンオフ切り替え可能とすることもできるが、この場合には、オフにできるスモールセルが限定されるため、干渉低減効果および電力消費低減効果も限定的となる。
【0037】
図1Aに示す例におけるスモールセル間の無線同期のユースケースとしては、マクロセルに所属するスモールセルが、親のマクロセルに同期するケース、あるいは、スモールセルが構成するクラスタの中で、クラスタヘッドに同期するケースが挙げられる。クラスタヘッドとは、スモールセルが構成するクラスタの中で唯一GPSをもつセル、またはクラスタ内のスモールセルが同期の基準とするセルを指す。
【0038】
このようなユースケースにおいて、マクロセルまたはクラスタヘッドのリスニングができずに、Stratum下位についてリスニングし同期をとるのは、ごく一部のスモールセルに限られる。すなわち、実際の運用では、Strarum上位となるスモールセルが多く、下位のスモールセルは少ないことが予想される。
【0039】
図8に示すように、Stratum下位(
図8においてStratum LV=2)のスモールセルは、Stratum上位(
図8においてStratum LV=1)のスモールセルが複数検出できる場合には、複数のタイミングを用いて同期をとることができる。
図8に示す例では、Stratum下位のスモールセルXは、上位のスモールセルB,Cを検出している。Stratum上位のスモールセルB,Cは同期済みであるため、リスナであるスモールセルXの実装次第で、スモールセルXの同期が実現可能である。
【0040】
一方、Stratum上位のスモールセルは、下位のスモールセルが複数の上位スモールセルからリスニングしていることを知ることができない。
図8に示す例では、Stratum上位のスモールセルBは、下位のスモールセルXがスモールセルB,Cからリスニングしていることを知ることができない。この場合、スモールセルBは、自身のみに同期を頼るリスナ(スモールセルX)が存在する可能性がある限り、自身をオフにすることは困難である。言い換えると、スモールセルBは、リスナ(スモールセルX)が自身のみに同期を頼らず他のスモールセルからも同期をとっていることがわかれば、自身をオフにすることができる。
【0041】
同様に、
図8に示す例では、Stratum下位のスモールセルYは、上位のスモールセルD,E,Fを検出している。しかし、Stratum上位のスモールセルDは、下位のスモールセルYがスモールセルD,E,Fからリスニングしていることを知ることができない。
【0042】
そこで、本発明者らは、Stratum上位のスモールセルに、無線同期している周辺セルの情報を報告することにより、スモールセルのオンオフ制御の自由度を高めることを着想した。
【0043】
(第1の態様)
第1の態様では、Stratum下位のスモールセルが、Stratum上位のスモールセルを含む他のスモールセルに対し、被同期対象となるスモールセルを報告する場合について説明する。
【0044】
図9に示すように、Stratum下位(
図9においてStratum LV=2)のスモールセルは、Stratum上位(
図9においてStratum LV=1)のスモールセルを含む他のスモールセルに対し、被同期対象となるスモールセルを報告する。Stratum下位のスモールセルが複数のスモールセルとの間で同期をとる場合には、複数のセルを報告する。
【0045】
図9に示す例では、Stratum下位のスモールセルXは、Stratum上位のスモールセルB,Cに対して同期を行っている。そこで、スモールセルXは、スモールセルB,Cを含む他のセルに対して、「スモールセルB,Cが被同期対象」と報告する。同様に、Stratum下位のスモールセルYは、Stratum上位のスモールセルD,E,Fに対して同期を行っている。そこで、スモールセルYは、スモールセルD,E,Fを含む他のセルに対して、「スモールセルD,E,Fが被同期対象」と報告する。
【0046】
具体的には、スモールセルXは、スモールセルBおよびCを含む他のセルに対して、自身が同期に用いる(リスニングする)参照信号(セル固有参照信号(CRS)、端末固有参照信号(DM−RS)、チャネル情報測定用参照信号(CSI−RS)、同期信号(P−SS、S−SS)など)の系列やリソースに対応付けられたセルIDや搬送波周波数、帯域幅などを含めて報告する。受信電力や希望信号対干渉雑音電力比(SINR)などを含めてもよい。スモールセルYは、スモールセルD、EおよびFを含む他のセルに対して当該情報を報告する。
【0047】
Stratum下位のスモールセルの報告により、上位のスモールセルは、自身の下位で無線同期するスモールセルの状況がわかり、下位のスモールセルの同期に影響を及ぼさないように自身をオフにすることができる。たとえば、Stratum LV=1のセル3つに対して同期が可能なスモールセルYにとっては、少なくとも1つのスモールセルONであれば、同期を保持することが可能である。
【0048】
また、Stratum上位のスモールセルは、下位のスモールセルからの報告により、自身からは見えない近接セルの情報を得ることができる。したがって、上位のスモールセルは、この近接セル情報に基づいて、適切にセル間干渉制御やロードバランスを行うことができる。
【0049】
図9に示す例において、同じStratum LVにあるスモールセルBとCが、互いに見えない状況であっても、下位のスモールセルXから「スモールセルB,Cが被同期対象」という報告があれば、スモールセルB,Cは互いに近接することがわかる。すなわち、本来互いに近接を認識できないスモールセルB,C間が、下位のスモールセルXからの報告により近接を知ることができるため、送信パターンを交互に切り替える
図2Aのような干渉制御や、接続ユーザ端末数を互いに融通してユーザ数を平均化するロードバランスなどを適用できる。したがって、いわゆる隠れ端末問題を解決することも可能となる。
【0050】
図10に示すように、Stratum上位のスモールセルは、自身をオフにする場合に、周辺セルに対してその旨を報告する。報告対象とする周辺セルには、自身の下位の同期セル、自身の上位の同期セル、下位の同期セルから報告された近接セルが含まれる。
【0051】
図10に示す例では、スモールセルBは、自身の下位の同期セルであるスモールセルXと、スモールセルXから報告された近接セルであるスモールセルCを含む周辺セルに、スモールセルBをオフにすることを報告する。スモールセルEは、自身の下位の同期セルであるスモールセルYと、スモールセルYから報告された近接セルであるスモールセルD,Fを含む周辺セルに、スモールセルEをオフにすることを報告する。この報告は、バックホールを介して報告しても、無線を介して報告してもよい。
【0052】
具体的には、スモールセルBは、スモールセルCおよびXを含む他のセルに対して、自身がオフにする参照信号(セル固有参照信号(CRS)、端末固有参照信号(DM−RS)、チャネル情報測定用参照信号(CSI−RS)、同期信号(P−SS、S−SS)など)の系列やリソースに対応付けるセルID、搬送波周波数、帯域幅などを報告する。オンとオフを周期的に切り替える、Discontinuous-transmission(DTX)のような運用であれば、オフ(またはオン)にする時間区間を含めて報告してもよい。DTXであれば、オフの時間区間を明確にすることで、オフにしたスモールセルが長周期で送信する信号に基づき、同期を継続することも可能である。また、スモールセルEは、スモールセルD、FおよびYを含む他のセルに対して当該情報を報告する。
【0053】
この報告により、各スモールセルは、オフに切り替わることにより変化する同期Stratumを知ることができる。
図10に示す例では、スモールセルBが自身をオフにすることを周辺セルに報告した場合、近接セルであるスモールセルCは自身をオフにすることができないことがわかる。スモールセルB,Cに同期しているStratum下位のスモールセルXが同期を見失うことを防ぐためである。
【0054】
第1の態様における動作例について説明する。
配置されたスモールセルは、オンオフ制御の際に、無線同期を試みる。この場合、スモールセルは、ユーザ端末UEと同様に、同期信号(SS:Synchronization Signal)や共通参照信号(CRS:Common Reference Signal)を用いてセルサーチを行い、自身が同期可能なセルを検出する。また、スモールセルは、既に同期済みのスモールセルに対して同期を行い、自身のStratum LVを決定する。スモールセルは、リスニングできたスモールセルのうち、できるだけStratum LVの高いセルに同期する。
【0055】
さらに、スモールセルは、リスニングするスモールセルの情報を取得して保持する。取得する情報としては、たとえば、リスニングするスモールセルのStratum LVに加え、セルIDや運用周波数、RSRP(Reference Signal Received Power)などが挙げられる。この場合には、ユーザ端末UEのセルサーチおよびメジャメントの動作を取り入れることが可能である。
【0056】
スモールセルは、他セルから“Time sync info request”を受信した場合には、Stratum LVに加え、同期しているStratum上位のスモールセルのセルIDや運用周波数、RSRPなどを“Time sync info”として送信する。また、Stratum上位のスモールセルを含む周囲のセルは、オンオフ制御の際に、あらかじめ当該セルを含む周囲のセルに対し“Time sync info”をリクエストする。
【0057】
Stratum上位のスモールセルは、自身が無線同期のサウンダになっていないこと、あるいは自身のみに同期を頼るリスナがいないことが確認できた場合には、自セルをオフにすることができる。
【0058】
スモールセルは、位置決定参照信号(PRS:Positioning Reference Signal)を用いて同期を行ってもよい。PRSは、長周期かつ高密度であるため、オーバーヘッドを抑えつつ、高精度な無線同期を実現できる。また、PRSを用いた場合、PRSはCRSなどと同様に周波数または符号を変えて同期送信ができ、同一タイミングでの多重ができるため、リスナは複数セルのPRSを同時に検出することができる。
【0059】
スモールセルは、復調参照信号(DMRS:Demodulation Reference Signal)を用いて同期を行ってもよい。この場合、サウンダは、リスナに対してあらかじめ定められたリソースでDMRSを送信する。DMRSリソースは、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)またはEPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)で指示してもよいし、バックホールで指示してもよい。DMRSを用いる場合には、ユーザ端末UEにデータを割り当てないリソースでダイナミックに送信できるので、低オーバーヘッドが実現される。
【0060】
スモールセルは、CSI−RS(Channel State Information−Reference Signal)を用いて同期を行ってもよい。CSI−RSを用いる場合には、他のRSに比べて大きな直交数をとることができるので、スモールセルが密集する環境であっても、他のセルの干渉の影響を大きく受けることなく同期をとることが可能となる。
【0061】
スモールセルは、ユーザ端末UEがスモールセルを発見するために用いるDiscovery RSを用いて同期を行ってもよい。Discovery RSは、CSI−RSと同様に直交数が大きく、PRSと同様に長周期かつ高密度で送信できる参照信号である。Discovery RSを用いることにより、オーバーヘッドを抑えつつ、高精度な無線同期を実現することが可能となる。
【0062】
図9に示すリスナの同期情報報告は、バックホールを用いずに無線で行ってもよい。この場合には、スモールセルがユーザ端末UEモードとして動作して、たとえばPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)によって同期情報を送信する。スモールセルは、あらかじめバックホールで設定された時間周期でユーザ端末UEモードとして動作する。あるいは、スモールセルは、“Time sync info request”などのバックホールシグナリング受信を契機として、ユーザ端末UEモードとして動作する。
【0063】
無線インターフェースによる同期情報報告は、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)で行ってもよい。PUCCHはオーバーヘッドが小さいため、ユーザの無線リソースをひっ迫させることなく同期情報を報告することができる。
【0064】
無線インターフェースによる同期情報報告は、RACH(Random-Access Channel)動作の一部を流用して行ってもよい。LTEでは、ユーザ端末は、接続セルに対して下り信号で同期を行った後、上り信号のタイミングを同期させるためにRACH動作を行う。まず、ユーザ端末は、下り受信のタイミングに合わせて上り回線の所定のリソースでPRACH(Physical Random Access Channel)を送信する。基地局は、PRACH受信のタイミングと所望の上り回線の受信タイミングとのずれを計算し、タイミング補正情報を含むRAR(Random-Access Response)をユーザ端末に送信する。ユーザ端末は、RARを受信した場合、通知されたタイミングずれを補正してPUSCHにより自端末の情報を送信する。
【0065】
上記ユーザ端末と同様に、たとえばスモールセルXがスモールセルBやCに対応してあらかじめ設定された固有のリソースまたは系列でPRACHを送信することで、スモールセルBやCはスモールセルXが同期していることを知ることができる。または、スモールセルXがPRACHを送信し、RARにより上り回線での同期タイミング補正を行った後に、PUSCHで同期情報報告を行ってもよい。
【0066】
リスナの同期情報報告をバックホールを用いずに無線で行うことにより、バックホールシグナリングのオーバーヘッドを低減できるという効果が得られる。多数のスモールセルを束ねるバックホールに比べて、スモールセルは各セルのユーザ端末UE数が少ないため、無線リンクのオーバーヘッドの課題が小さいためである。また、リスナの同期情報報告を無線で行うことにより、バックホールを用いる場合に比べて、低遅延で報告できるという効果が得られる。
【0067】
(第2の態様)
第2の態様では、スモールセルに接続しているユーザ端末UEが、無線同期している周辺セルの情報を、自身の接続セルに対して報告する場合について説明する。
【0068】
図11に示すように、ユーザ端末UEは、無線同期している周辺セルの情報を、自身の接続セルに対して報告する。
図11に示す例では、ユーザ端末UE1は、接続セルであるスモールセルBに対して、「スモールセルXとCが同期している」ことを報告する。ユーザ端末UE2は、接続セルであるスモールセルXに対して、「スモールセルBとCが同期している」ことを報告する。ユーザ端末UE3は、接続セルであるスモールセルCに対して、「スモールセルBとXが同期している」ことを報告する。ユーザ端末UE4は、接続セルであるスモールセルD,E,Fに対して、「スモールセルDとEとFとYが同期している」ことを報告する。
【0069】
スモールセルは、ユーザ端末UEから報告された同期セルの情報および“Time sync info”から、周囲に自身を同期ソースとするスモールセルが存在するかどうか認識する。スモールセルは、自身を同期ソースとするスモールセルを認識しない場合には、自セルをオフにすることができる。
【0070】
無線同期している周辺セルの情報をユーザ端末UEが報告することにより、バックホールの負荷を増やさずに、セル間で互いの同期情報をやり取りすることができる。また、スモールセルは、ユーザ端末UEから見て同期しているスモールセルがなければ同期を行う必要はない。したがって、スモールセルは、同期の必要性について正確な情報に基づいて、自身をオフにする可否を決定できる。
【0071】
スモールセルは、ユーザ端末UEからの報告に基づいて、自身の周辺の同期Stratumの変化を推定することができる。これにより、スモールセルは、周辺セルのオンオフを認識することができる。
【0072】
第2の態様における第1の動作例として、ユーザ端末UEベースのアプローチが挙げられる。
【0073】
ユーザ端末UEは、接続セルおよび周辺セルのメジャメント(Measurement)を行う。ユーザ端末UEは、同期信号、参照信号等で周辺セルのタイミングを測定し、セルIDを検出する。また、ユーザ端末UEは、報知チャネルを復号して、検出したセルのメジャメント帯域幅を認識する。また、ユーザ端末UEは、参照信号に基づいて、RSRP(Reference Signal Received Power)を測定する。これらは、Rel.8からRel.11における従来のUEメジャメントと同様の動作である。
【0074】
ユーザ端末UEは、メジャメントレポート内に周辺セルの同期情報を含めて、接続セルに結果を報告する。メジャメントレポートの報告契機は、イベント、基地局の指示、またはタイマなどとする。ユーザ端末UEは、検出した周辺セルのうち、たとえば接続セルとのRS受信タイミング差がX[μs](たとえば、X=4)以内のセルのセルIDを、同期セル情報として報告する。
【0075】
以上のような動作により、従来からのメジャメントの仕組みを流用して、ユーザ端末UEが同期セル情報を報告することが可能となる。また、ユーザ端末UEから報告を受ける接続セルは、RSRPなどを含むより正確な同期情報を得ることが可能となる。
【0076】
第2の態様における第2の動作例として、ネットワークベースのアプローチが挙げられる。
【0077】
ネットワークは、あらかじめユーザ端末UEに対して同期できる可能性があるセルのリストを通知する。たとえば、マクロセルが、自身のカバレッジ内のスモールセルのリストを通知してもよい。あるいは、現スペックですでに規定されている“Neighboring cell list”を流用してもよい。
【0078】
ユーザ端末UEは、イベント、基地局の指示、タイマなどにより、接続セルと同じタイミング、すなわちサイクリックプリフィックス(CP:Cyclic Prefix)内のタイミング)で通知されたリストによる周辺セルが検出できるか試みる。ユーザ端末UEは、候補となるSSやRSのパターンで相関検出を行い、ピークが得られたセルのセルIDリストを自身の接続セルに報告する。この場合には、ユーザ端末UEは、メジャメントのように報知チャネルや帯域幅の認識まで行う必要がない。
【0079】
RSの帯域幅は、(1)接続セルと同じ帯域幅として相関検出を行ってもよいし、(2)取り得る最小の帯域幅として相関検出を行ってもよいし、(3)ネットワークから指示された帯域幅で相関検出を行ってもよい。
【0080】
上記(1)の場合、セル間は主に同じ帯域幅で運用されるため、ほとんどのケースで有効である。同じ帯域幅の場合には、上記(2)の場合よりも精度良く相関検出を行うことができる。
【0081】
上記(2)の場合、セル間で帯域幅が違っていても、正しく相関検出を行うことができる。上記(3)の場合、セルごとに正しい帯域幅で検出動作が可能となる。
【0082】
ユーザ端末UEが検出を試みるタイミングは接続セルと同じタイミングではなく、定められたオフセットを加えたリソースで行ってもよい。この場合のオフセット量は、基地局から指示された値でもよい。
【0083】
以上のような動作は、メジャメントよりもユーザ端末UEの負担が少ないため、ユーザ端末UEの消費電力を少なくすることができる。
【0084】
ユーザ端末UEからの同期情報報告は、RACH動作の中で報告されるものとしてもよい。たとえば、ユーザ端末UEが、下り受信のタイミングに合わせて上り回線の所定のリソースでPRACHを送信し、基地局が送信するRARを受信した後に、RARで通知されたタイミングずれを補正してPUSCHにより送信する自端末の情報に、周辺スモールセルの同期情報を加えて送信する。
【0085】
このようにすることで、RACH動作を完了した後でないと送信できないメジャメント報告よりも、迅速かつ低負荷の端末処理動作で同期情報を取得できる。
【0086】
(無線通信システムの構成)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムの構成について説明する。この無線通信システムでは、上記第1の態様および第2の態様に係る無線通信方法が適用される。
【0087】
図12は、本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。
図12に示すように、無線通信システム1は、マクロセルC1を形成するマクロ基地局11と、マクロセルC1内に配置され、マクロセルC1よりも狭いスモールセルC2を形成するスモール基地局12aおよび12bと、を備えている。ユーザ端末20は、マクロ基地局11、スモール基地局12aおよび12b(以下、総称してスモール基地局12という)の少なくとも1つと無線通信可能に構成されている。なお、マクロ基地局11、スモール基地局12の数は、
図12に示す数に限られない。
【0088】
マクロセルC1およびスモールセルC2では、同一の周波数帯が用いられてもよいし、異なる周波数帯が用いられてもよい。また、マクロ基地局11および各スモール基地局12は、基地局間インターフェース(たとえば、光ファイバ、X2インターフェース)を介して互いに接続される。マクロ基地局11および各スモール基地局12は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置30には、たとえば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0089】
なお、マクロ基地局11は、相対的に広いカバレッジを有する無線基地局であり、eNodeB(eNB)、無線基地局、送信ポイント(transmission point)などと呼ばれてもよい。スモール基地局12は、局所的なカバレッジを有する無線基地局であり、RRH(Remote Radio Head)、ピコ基地局、フェムト基地局、HeNB(Home eNodeB)、送信ポイント、eNodeB(eNB)などと呼ばれてもよい。ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでよい。
【0090】
無線通信システム1では、マクロセルごとに形成されるネットワーク間が非同期となる場合(非同期運用)を想定している。また、無線通信システム1では、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。
【0091】
無線通信システム1では、下りリンクの通信チャネルとして、各ユーザ端末20で共有される下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)と、下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)、EPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)、報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)などが用いられる。PDSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報が伝送される。PDCCH、EPDCCHにより、下り制御情報(DCI:Downlink Control Information)が伝送される。
【0092】
また、無線通信システム1では、上りリンクの通信チャネルとして、各ユーザ端末20で共有される各ユーザ端末20で共有される上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)と、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)などが用いられる。PUSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)や、送達確認情報(ACK/NACK)等が伝送される。
【0093】
以下、マクロ基地局11とスモール基地局12とを区別しない場合には、無線基地局10と総称する。
【0094】
図13は、本実施の形態に係る無線基地局10の全体構成図である。無線基地局10は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、インターフェース部106とを備えている。
【0095】
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30からインターフェース部106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
【0096】
ベースバンド信号処理部104では、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、たとえば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われて各送受信部103に転送される。また、下り制御信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
【0097】
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナごとにプリコーディングして出力された下り信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101により送信する。
【0098】
一方、上り信号については、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅され、各送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
【0099】
ベースバンド信号処理部104では、入力された上り信号に含まれるユーザデータに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、インターフェース部106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放などの呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0100】
インターフェース部106は、基地局間インターフェース(たとえば、光ファイバ、X2インターフェース)を介して隣接無線基地局と信号を送受信(バックホールシグナリング)する。あるいは、インターフェース部106は、所定のインターフェースを介して、上位局装置30と信号を送受信する。
【0101】
図14は、本実施の形態に係る無線基地局12(スモール基地局)の機能構成図である。なお、以下の機能構成は、無線基地局12が有するベースバンド信号処理部104などによって構成される。
【0102】
図14に示すように、無線基地局12は、同期情報制御部301、オンオフ制御部302、無線同期制御部303、スケジューラ304、DL信号生成部305を具備する。
【0103】
同期情報制御部301は、インターフェース部106を介して他セルの無線基地局と信号の送受信(バックホールシグナリング)を行う。具体的に、同期情報制御部301は、無線同期可能と判断した無線基地局に対して、バックホールを介して同期情報リクエスト(Time sync info request)を送信する。また、同期情報制御部301は、同期情報リクエストを受信したマクロ基地局、スモール基地局からフィードバックされる同期情報を受信する。同期情報には、同期状態、同期階層レベル(Stratum LV)に加え、同期しているStratum上位のセルのセルID、運用周波数、RSRPなどが含まれる。なお、同期情報制御部301は、周辺セルのサーチおよびメジャメントにより無線同期可能となる無線基地局を判断することができる。
【0104】
オンオフ制御部302は、他セルの無線基地局から受信した当該他セルの同期情報に基づいて、自セルの下位階層に属するセルとの同期状態を判断し、自セルのオンオフ制御を行う。たとえば、自身が無線同期のサウンダとなっており、自セルのみに同期する下位階層に属するセル(リスナ)が存在する場合は、自セルをオフにするとリスナに影響が及ぶため、自セルをオフにすることはできない。一方、自身が無線同期のサウンダとなっていても、自セルのみに同期する下位階層に属するセル(リスナ)が存在しない場合には、自セルをオフにすることができる。
【0105】
オンオフ制御部302によって自セルをオフにすることが決定した場合、オンオフ制御部302は、インターフェース部106を介して自身の下位階層に属する同期セル、自身の上位階層に属する同期セルおよび下位階層に属する同期セルから報告された近接セルに対して、自セルをオフにすることを通知する。
【0106】
無線同期制御部303は、同期先の無線基地局から送信されるDL信号を用いて、タイミング同期を行う。
【0107】
スケジューラ304は、ユーザ端末20に送信するDL信号用の無線リソースの割当て(スケジューリング)を行う。たとえば、ユーザ端末20に検出用信号(Discovery信号)を送信する場合、所定期間に検出用信号を送信するように制御する。また、当該スモール基地局12が、他のスモール基地局と同期している場合には、所定期間内に複数のスモール基地局から検出用信号が一斉に送信されるように制御される。
【0108】
DL信号生成部305は、スケジューラ304からの指示に基づいてDL信号を生成する。たとえば、DL信号生成部305は、制御信号、データ信号、参照信号などを生成する。また、ユーザ端末20が当該スモール基地局を発見するための検出用信号(Discovery信号)を生成する。DL信号生成部305で生成された信号は、送受信部103を介してユーザ端末20や他セルの無線基地局に送信される。
【0109】
図15は、本実施の形態に係る無線基地局11(マクロ基地局)の機能構成図である。なお、以下の機能構成は、無線基地局11が有するベースバンド信号処理部104などによって構成される。
【0110】
図15に示すように、無線基地局11は、同期情報制御部311、無線同期セル指示部312、セルリスト生成部313、スケジューラ304、DL信号生成部305を具備する。
【0111】
同期情報制御部311は、インターフェース部106を介してスモール基地局12と信号の送受信(バックホールシグナリング)を行う。具体的に、同期情報制御部311は、無線同期可能と判断した無線基地局に対して、バックホールを介して同期情報リクエスト(Time sync info request)を送信し、配下のスモール基地局からフィードバックされる同期情報を受信する。同期情報には、同期状態、同期階層レベル(Stratum LV)に加え、同期しているStratum上位のセルのセルID、運用周波数、RSRPなどが含まれる。同期情報制御部311は、取得した同期情報に基づいて配下のスモール基地局の同期先(当該マクロ基地局に対する同期または非同期)を判断する。このように、マクロ基地局が配下のスモール基地局の同期先を把握することにより、スケジューラ304において、同期スモール基地局と非同期スモール基地局とで、運用方法を適宜変更して制御することができる。
【0112】
また、無線同期セル指示部312は、配下のスモール基地局12に対して同期先を指示する。
【0113】
セルリスト生成部313は、当該マクロ基地局11が形成するマクロセルのカバレッジ内のスモールセルのリストを生成する。セルリスト生成部313で生成されたリストは、上位レイヤシグナリング(たとえば、RRCシグナリング、報知信号等)や下り制御情報を用いてユーザ端末20に送信される。
【0114】
図16は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成図である。ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(受信部)203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205と、を備えている。
【0115】
下りリンクのデータについては、複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部204でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などがなされる。この下りリンクのデータのうち、下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータのうち、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
【0116】
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御(H−ARQ:Hybrid ARQ)の送信処理や、チャネル符号化、プリコーディング、DFT処理、IFFT処理などが行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201により送信する。
【0117】
図17は、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204の主な機能構成図である。
図17に示すように、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204は、DL信号復号部401、スモールセル検出部402、制御部403、UL信号生成部404を少なくとも有している。
【0118】
DL信号復号部401は、無線基地局11、12から送信されたDL信号を復号する。たとえば、マクロ基地局11からスモール基地局に関する情報(リスト)が送信された場合には、当該リストの情報をスモールセル検出部402に出力する。
【0119】
スモールセル検出部402は、スモール基地局12から送信される検出用信号(Discovery信号)に基づいて、接続するスモール基地局を検出する。複数のスモール基地局を検出した場合には、受信品質等に基づいて所定のスモール基地局を選択する。また、マクロ基地局11から送信されたスモール基地局に関する情報(リスト)を受信した場合には、当該リストに基づいて、スモール基地局の検出を行う。
【0120】
制御部403は、無線基地局から送信された下り制御信号(UL grant)に基づいて、無線リソースに対する上り制御信号(フィードバック信号)と上りデータ信号の割当てを制御する。UL信号生成部404は、制御部403からの指示に基づいて上り制御信号(送達確認信号やチャネル状態情報(CSI)等のフィードバック信号)を生成する。また、UL信号生成部404は、制御部403からの指示に基づいて上りデータ信号を生成する。
【0121】
以上、上述の実施の形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。また、各実施の態様は適宜組み合わせて適用することが可能である。