(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239301
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】樹脂部品の取付構造
(51)【国際特許分類】
F16B 5/02 20060101AFI20171120BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20171120BHJP
F16B 39/24 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
F16B5/02 F
F16B5/02 U
F16B43/00 Z
F16B39/24 E
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-158873(P2013-158873)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-31300(P2015-31300A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】土井田 健太
【審査官】
保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−251583(JP,A)
【文献】
特開平11−101218(JP,A)
【文献】
特開2007−263300(JP,A)
【文献】
特表2012−512346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B5/00−5/12
23/00−43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト(5)の軸部(5a)が螺合する螺合穴(10a)を有する被取付体(10)と、
上記ボルト(5)の軸部(5a)が挿通する挿通孔(4a)を有する筒状補強用カラー(4)と、
該補強用カラー(4)を圧入する貫通孔(3a)が形成された取付部(3)を有する樹脂部品(1)とを備え、
上記貫通孔(3a)の反被取付体(10)側開口周縁には、環状突条部(3b)が突設され、
上記補強用カラー(4)の筒中心軸方向の長さ(L)は、上記取付部(3)の厚み(E)より長くなるよう設定され、
上記補強用カラー(4)が上記環状突条部(3b)の突出端よりも飛び出すよう上記貫通孔(3a)に反ボルト(5)挿入側の開口から圧入された状態で上記挿通孔(4a)が上記螺合穴(10a)に対応するよう上記取付部(3)の反環状突条部(3b)側を上記被取付体(10)に重ね、この状態で上記ボルト(5)の軸部(5a)を上記挿通孔(4a)に挿通させ、且つ、上記螺合穴(10a)に螺合させることにより、上記補強用カラー(4)を上記被取付体(10)の螺合穴(10a)周縁と上記ボルト(5)の頭部(5b)とで圧縮変形させるとともに、当該ボルト(5)の頭部(5b)で上記環状突条部(3b)を塑性変形させて上記被取付体(10)に上記樹脂部品(1)を取り付けるようにしたことを特徴とする樹脂部品の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂部品の取付構造において、
上記環状突条部(3b)の体積Vaは、上記ボルト(5)を上記螺合穴(10a)に螺合させる際に上記補強用カラー(4)が圧縮変形する体積をVbとすると、Va≦Vbを満たすよう設定されていることを特徴とする樹脂部品の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の樹脂部品の取付構造において、
上記環状突条部(3b)は、突出部分の高さをh、幅をwとすると、h/w≦1を満たすよう設定されていることを特徴とする樹脂部品の取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂部品の取付構造において、
上記補強用カラー(4)の筒中心軸方向の長さLは、上記取付部(3)の厚みをEとすると、L≧E+hを満たすよう設定されていることを特徴とする樹脂部品の取付構造。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の樹脂部品の取付構造において、
上記補強用カラー(4)は、上記取付部(3)より圧縮強度の高い材質からなることを特徴とする樹脂部品の取付構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の樹脂部品の取付構造において、
上記貫通孔(3a)の内周面及び上記補強用カラー(4)の外周面は、当該補強用カラー(4)の筒中心軸に沿って真っ直ぐに延びていることを特徴とする樹脂部品の取付構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の樹脂部品の取付構造において、
上記補強用カラー(4)の外周面は、上記被取付体(10)に上記樹脂部品(1)を取り付けた際、上記貫通孔(3a)の内周面全域に亘って接触していることを特徴とする樹脂部品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部品を被取付体にボルトで取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車には、軽量化と低コスト化とを両立するために多くの樹脂部品が適用され、該各樹脂部品は、ボルトを用いて自動車各部の被取付体に取り付けられることがある。上記各樹脂部品の被取付体への取付部分は、エンジンの回転や走行時に発生する振動によって繰り返し荷重がかかり、クリープ現象によって取付部分の樹脂が変形してボルトが緩むおそれがあるため、円筒状の補強用カラーを介して樹脂部品を被取付体にボルトで取り付けるのが一般的である。
【0003】
ところで、補強用カラーを介して樹脂部品を被取付体にボルトで取り付ける際、補強用カラーを介すことによってボルトの頭部と樹脂部品との間に隙間が生じると、樹脂部品がガタついてしまうので、樹脂部品を被取付体に取り付けた際に、ボルトの頭部と樹脂部品との間に隙間が無くなるようにする必要がある。
【0004】
これに対応するために、例えば、特許文献1に開示されている樹脂部品の取付構造では、被取付体にボルトの軸部が螺合する螺合穴が形成される一方、樹脂部品に補強用カラーが圧入される貫通孔が形成され、補強用カラーは、ボルトの軸部が挿通する捜通孔を有している。上記貫通孔の反被取付体側開口周縁には、放射状に延びる突条部が開口周縁に沿って等間隔に複数突設され、上記挿通孔が上記螺合穴に対応するよう上記樹脂部品を上記被取付体に重ねた状態で、ボルトの軸部を挿通孔に挿通させ、且つ、螺合孔に螺合させることにより、ボルトの頭部で各突条部を塑性変形させるとともに、被取付体の螺合孔周縁とボルトの頭部とで補強用カラーを挟み込んで被取付体に樹脂部品を取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−59337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、各突条部が放射状に延びているので、樹脂部品を被取付体にボルトで取り付ける際に各突条部が塑性変形すると、ボルトの頭部の各突条部に対応する箇所に偏って負荷がかかることになる。すると、クリープ現象が起きると、樹脂部品の変形が偏って発生してしまい、ボルトの緩む進行を早めてしまうおそれがある。
【0007】
また、各突条部は、貫通孔の開口周縁から外側方に延び、その突出部分の高さは、補強用カラーの端部より突出しているので、ボルトを螺合穴に螺合する際、ボルトの頭部が補強用カラーの端部よりも先に各突条部に接触するようになる。すると、塑性変形する各突条部の樹脂がボルトの頭部と補強用カラーとの間に入り込んでしまい、クリープ現象が起こると、上記ボルトの頭部と補強用カラーとの間に入り込んだ樹脂が変形して、ボルトの緩みを促進させてしまうおそれもある。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クリープ現象が起こってもボルトが緩みにくい樹脂部品の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、樹脂部品においてボルトの頭部が接触する部分の形状に工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0010】
すなわち、第1の発明では、ボルトの軸部が螺合する螺合穴を有する被取付体と、上記ボルトの軸部が挿通する挿通孔を有する筒状補強用カラーと、該補強用カラーを圧入する貫通孔が形成された取付部を有する樹脂部品とを備え、上記貫通孔の反被取付体側開口周縁には、環状突条部が突設され、上記補強用カラーの筒中心方向の長さは、上記取付部の厚みより長くなるよう設定され、上記補強用カラーが上記環状突条部の突出端よりも飛び出すよう上記貫通孔に圧入された状態で上記挿通孔が上記螺合穴に対応するよう上記取付部の反環状突条部側を上記被取付体に重ね、この状態で上記ボルトの軸部を上記挿通孔に挿通させ、且つ、上記螺合穴に螺合させることにより、上記補強用カラーを上記被取付体の螺合穴周縁と上記ボルトの頭部とで圧縮変形させるとともに、当該ボルトの頭部で上記環状突条部を塑性変形させて上記被取付体に上記樹脂部品を取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、上記環状突条部の体積V
aは、上記ボルトを上記螺合穴に螺合させる際に上記補強用カラーが圧縮変形する体積をV
bとすると、V
a≦V
bを満たすよう設定されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、上記環状突条部は、突出高さをh、突出部分の幅をwとすると、h/w≦1を満たすよう設定されていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明では
、第3
の発明において、上記補強用カラーの筒中心方向の長さLは、上記取付部の厚みをEとすると、L≧E+hを満たすよう設定されていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明では
、第4
の発明において、上記補強用カラーは、上記取付部より圧縮強度の高い材質からなることを特徴とする。
【0015】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、上記貫通孔の内周面及び上記補強用カラーの外周面は、当該補強用カラーの筒中心軸に沿って真っ直ぐに延びていることを特徴とする。
【0016】
第7の発明では、第1から第6のいずれか1つの発明において、上記補強用カラーの外周面は、上記被取付体に上記樹脂部品を取り付けた際、上記貫通孔の内周面全域に亘って接触していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明では、ボルトを締め付ける際に当該ボルトの頭部で塑性変形する環状突条部が貫通孔の開口周縁に沿って連続しているので、ボルトを締め付けた状態でボルトの頭部に加わる力が貫通孔周縁において均一になる。したがって、クリープ現象が起きても貫通孔周縁における樹脂の変形に偏りがなくなり、貫通孔周縁における樹脂の変形が偏ることでボルトの緩む進行が早まるといったことを防ぐことができる。また、ボルトを締め付ける際、ボルトの頭部が環状突条部よりも先に補強用カラーに接触するので、塑性変形する環状突条部の樹脂がボルトの頭部と補強用カラーとの間に入り込むことがなく、ボルトの頭部と補強用カラーとの間に入り込んだ樹脂がクリープ現象によって変形してボルトが緩んでしまうということを防ぐことができる。
【0018】
第2の発明では、塑性変形した環状突条部の締付トルクに寄与する割合が圧縮変形した補強用カラーの締付トルクに寄与する割合より小さくなるとともに、締付トルク全体の約半分以下になるので、クリープ現象によって環状突条部の樹脂が変形して締付トルクが低下しても、締付トルクの低下を約半分以下に抑えることができる。
【0019】
第3の発明では、環状突条部の突出部分の幅wが高さhに対して小さ過ぎてボルトを締め付ける際にボルトの頭部に接触する環状突条部が折れて壊れてしまうということがなく、使用時に故障の無い取付構造にできる。
【0020】
第4の発明では、ボルトを締め付ける際、ボルトの頭部が補強用カラーの一端開口周縁に接触した後、環状突条部に接触する前に、補強用カラーの他端開口周縁が被取付体に接触するようになる。したがって、ボルトの頭部が環状突条部を塑性変形させる際に、補強用カラーの他端開口周縁が被取付体に接触しているので、貫通孔の被取付体側開口周りの樹脂が補強用カラーと被取付体との間に入り込むことがなく、補強用カラーと被取付体との間に入り込んだ樹脂がクリープ現象によって変形してボルトが緩むということを防ぐことができる。
【0021】
第5の発明では、クリープ現象が起こった際、樹脂部品の貫通孔周りよりも補強用カラーの方が変形し難くなるので、被取付体への樹脂部品の固定を確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態1に係るオイルストレーナに補強用カラーを取り付ける前の分解斜視図である。
【
図2】(a)は、
図1のA−A線における断面図であり、(b)は、(a)のB−B線における断面図である。
【
図3】
図2(a)相当図であり、ボルトの締付作業を開始した直後の状態を示す。
【
図4】
図2(a)相当図であり、ボルトの締付作業の途中の状態を示す。
【
図5】
図2(a)相当図であり、ボルトの締付作業が終了した直後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る取付構造が適用された樹脂製オイルストレーナ1(樹脂部品)を示す。該オイルストレーナ1は、自動車用エンジンのオイルパン内(図示せず)に配置され、エンジンの潤滑経路の一部に使われるものである。
【0024】
上記オイルストレーナ1は、水平に長く延びる略直方体形状をなしており、該オイルストレーナ1の一側上端には、エンジンの本体部(被取付体)10(
図2乃至
図5に示す)のポンプに接続される流出口2aを有する接続部1aが設けられ、上記オイルストレーナ1の他側下端には、オイルを吸い込む吸込口2bを有する略円筒状のオイル吸込部1bが設けられている。
【0025】
そして、上記オイルストレーナ1の内部は、図示しないが中空でフィルタが備えられており、オイルパン内に貯留するオイルを吸込口2bから吸い込んでフィルタで濾過した後、流出口2aから本体部10の潤滑経路へ供給するようになっている。
【0026】
上記接続部1aは、上記オイルストレーナ1の長手方向一側のL字状に曲がった部分であり、上記接続部1aの流出口2a周りには、エンジンの本体部10にオイルストレーナ1を取り付けるためのフランジ部(取付部)3が上記流出口2aを挟んで180°反対側に一対形成されている。
【0027】
上記フランジ部3は、上記オイルストレーナ1の幅方向に突出する厚みEの板状をなし、上記流出口2aの中心軸方向に見て略菱形状をなしている。
【0028】
上記フランジ部3の略中央には、上記流出口2aの中心軸と平行となる貫通孔3aが形成され、該貫通孔3aの一方の開口周縁(本体部10の反対側の開口周縁)には、
図2(a),(b)に示すように、環状突条部3bが突設されている。
【0029】
該環状突条部3bは、突出部分の高さがh、突出部分の幅がwであり、h=wを満たすよう設定されている(
図4参照)。尚、本実施形態1では、環状突条部3bをh=wとなるように設定しているが、環状突条部3bは小さな構造であるため製造誤差によりh≒wとなるものもh=wに含まれるものとする。
【0030】
上記環状突条部3b体積V
aは、貫通孔3aの中心線方向と直交する方向の断面積をS
aとすると、V
a=S
a×hで導かれ、上記環状突条部3bの内周面は、上記貫通孔3aの内周面と面一になっている。
【0031】
上記貫通孔3aには、挿通孔4aを有する短い円筒状のアルミニウム合金製補強用カラー4が圧入可能となっている。
【0032】
つまり、補強用カラー4の外周面は、筒中心線に沿って真っ直ぐに延びている。
【0033】
上記補強用カラー4の筒中心
軸方向の長さLは、上記フランジ部3の厚みEより長くなるように設定され、上記補強用カラー4は、筒中心
軸方向に圧縮変形可能となっている。
【0034】
上記オイルストレーナ1は、上記エンジンの本体部10にボルト5で固定されるようになっている。
【0035】
該ボルト5は、上記補強用カラー4の挿通孔に挿通可能な軸部5a及び該軸部5aに連続する頭部5bからなっていて、該頭部5bの軸部5a側には、フランジ板5cが設けられている。尚、本実施形態のフランジ板5cは、ボルト5に一体のものであるが、ボルト5と別体であるフランジ板(ワッシャー)のようなものも頭部5bの一部と定義する。
【0036】
また、上記本体部10の上記オイルストレーナ1を取り付ける位置には、上記ボルト5の軸部5aが螺合する螺合穴10aが凹陥形成されている。
【0037】
そして、上記補強用カラー4を上記貫通孔3aに上方の開口(反ボルト5挿入側の開口)から圧入して上記環状突条部3bの突出端よりも飛び出した状態にし、その状態で上記挿通孔4aが螺合穴10aに対応するようオイルストレーナ1のフランジ部3の反環状突条部3b側を本体部10に重ねるようになっている。
【0038】
また、オイルストレーナ1のフランジ部3をエンジンの本体部10に重ねた状態でボルト5の軸部5aを挿通孔4aに挿通させ、且つ、螺合穴10aに螺合させることにより、補強用カラー4を本体部10の螺合穴10a周縁とボルト5の頭部5bとで圧縮変形させるとともに、ボルト5の頭部5bで環状突条部3bを塑性変形させて本体部10にオイルストレーナ1を取り付けるようになってい
て、補強用カラー4の外周面は、貫通孔3aの内周面全域に亘って接触している。
【0039】
さらに、上記補強用カラー4の筒中心
軸方向の長さLは、上記ボルト5を設定された締付トルクで締め付けた際に上記補強用カラー4が圧縮変形する変形長さをK
tとすると、L−K
t≦E+hを満たすよう設定されている。このように設定することで、ボルト5を締め付けた状態で本体部10にフランジ部3の反環状突条部3b側が接触するとともにボルト5の頭部5bが環状突条部3bに接触するので、オイルストレーナ1のガタつきを確実に無くすことができる。
【0040】
そして、上記環状突条部3bの体積V
aは、ボルト5を上記螺合穴10aに螺合させる際に上記補強用カラー4が圧縮変形する体積をV
bとすると、V
a≦V
bを満たすよう設定されている。
【0041】
尚、
図2乃至
図4では、分かり易くするために、環状突条部3bの突出部分の高さh及び幅wと補強用カラー4の筒中心
軸方向の長さLとをそれぞれ誇張して記載しており、上記突出部分の高さh及び幅wは、例えば、h=0.3〜1.7mm、w=0.3〜1.7mm程度であり、補強用カラー4の筒中心
軸方向の圧縮変形長さK
tは、0.2〜0.3mm程度である。また、上記V
bは、補強用カラー4における筒中心
軸方向と直交する方向の断面積S
bとすると、V
b=S
b×K
tで導かれる。
【0042】
さらに、環状突条部3bの突出部分の高さh及び幅wは、h=wであることが好ましいが、h/w≦1であればよい。すなわち、h/w>1の如き突出部分の高さhが幅wに対して大きすぎるようになると、ボルト5を締め付ける際にボルト5の頭部5bが環状突条部3bに接触して環状突条部3bが折れて壊れてしまうからである。
【0043】
次に、エンジンの本体部10へのオイルストレーナ1の取り付けについて説明する。
【0044】
まず、オイルストレーナ1を用意し、当該オイルストレーナ1におけるフランジ部3の貫通孔3aに、上方の開口(反ボルト5挿入側の開口)から補強用カラー4を圧入し、
図2に示すように、環状突条部3bの突出端より補強用カラー4を飛び出させる。
【0045】
次いで、
図3に示すように、挿通孔4aが螺合穴10aに対応するよう上記オイルストレーナ1のフランジ部3の反環状突条部3b側を上記本体部10の下面に重ね、下方からボルト5の軸部5aを挿通孔4aに挿通し、且つ、螺合穴10aに螺合して、補強用カラー4の下方の開口周縁にボルト5のフランジ板5cを接触させる。
【0046】
さらに、ボルト5を締め付けると、
図4に示すように、ボルト5の頭部5bが補強用カラー4を貫通孔3a内に押し込むとともに上記環状突条部3bの突出端に接触し、且つ、上記補強用カラー4の上方の開口周縁が上記本体部10の螺合穴10a周縁に接触する。
【0047】
そして、ボルト5をさらに締め付けると、
図5に示すように、補強用カラー4が本体部10の螺合穴10a周縁とボルト5の頭部5bとで圧縮変形するとともに、環状突条部3bがボルト5の頭部5bで塑性変形してエンジンの本体部10にオイルストレーナ1が取り付けられる。
【0048】
以上より、本発明の実施形態1によると、ボルト5を螺合穴10aに螺合する際に上記ボルト5の頭部5bで塑性変形する環状突条部3bが貫通孔3aの開口周縁に沿って連続しているので、ボルト5を締め付けた状態でボルト5の頭部5bに加わる力が貫通孔3a周縁において均一になる。したがって、クリープ現象が起きても貫通孔3a周縁における樹脂の変形に偏りがなくなり、貫通孔3a周縁における樹脂の変形が偏ることでボルト5の緩む進行が早まるといったことを防ぐことができる。
【0049】
また、ボルト5を締め付ける際、ボルト5の頭部5bが環状突条部3bよりも先に補強用カラー4に接触するので、塑性変形する環状突条部3bの樹脂がボルト5の頭部5bと補強用カラー4との間に入り込むことがなく、ボルト5の頭部5bと補強用カラー4との間に入り込んだ樹脂がクリープ現象によって変形してボルト5が緩んでしまうということを防ぐことができる。
【0050】
さらに、塑性変形した環状突条部3bの締付トルクに寄与する割合が圧縮変形した補強用カラー4の締付トルクに寄与する割合より小さくなるとともに、締付トルク全体の約半分以下になるので、クリープ現象によって環状突条部3bの樹脂が変形して締付トルクが低下しても、その締付トルクの低下を約半分以下に抑えることができる。
【0051】
それに加えて、環状突条部3bの突出部分の幅wが高さhに対して小さすぎてボルト5を締め付ける際にボルト5の頭部5bに接触する環状突条部3bが折れて壊れてしまうということがなく、使用時に故障の無い取付構造にできる。
【0052】
そして、フランジ部3より補強用カラー4の方が圧縮強度が高いので、クリープ現象が起こった際、オイルストレーナ1のフランジ部3よりも補強用カラー4の方が変形し難く、本体部10へのオイルストレーナ1の固定を確実に維持することができる。
《発明の実施形態2》
図6は、本発明の実施形態2に係る取付構造を示す。この実施形態2では、補強用カラー4の構造が実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0053】
すなわち、実施形態2の補強用カラー4の筒中心
軸方向の長さLは、L≧E+hを満たすよう設定されているので、ボルト5を締め付ける際、ボルト5の頭部5bが補強用カラー4の下方の開口周縁(一端開口周縁)に接触した後、環状突条部3bに接触する前に、補強用カラー4の上方の開口周縁(他端開口周縁)が本体部10に接触するようになる。したがって、ボルト5の頭部5bが環状突条部3bを塑性変形させる際に、補強用カラー4の上方の開口周縁(他端開口周縁)が本体部10に接触しているので、貫通孔3aの本体部10側開口周りの樹脂が補強用カラー4と本体部10との間に入り込むことがなく、補強用カラー4と本体部10との間に入り込んだ樹脂がクリープ現象によって変形してボルト5が緩むということを防ぐことができる。
【0054】
尚、本発明の実施形態1,2では、補強用カラー4を貫通孔3aに上方の開口(反ボルト5挿入側の開口)から圧入しているので、貫通孔3aの内周面の樹脂は、ボルト5を締め付ける前の状態において下側(ボルト5挿入側)に引っ張られている。したがって、ボルト5を締め付ける際、ボルト5の頭部5bで貫通孔3aに補強用カラー4を押し込むと、貫通孔3a内周面の樹脂が下側(ボルト5挿入側)に引っ張られなくなる状態に戻るのであって、貫通孔3aへの補強用カラー4の押込み動作で貫通孔3aの内周面の樹脂が上側(反ボルト5挿入側)に移動して補強用カラー4と本体部10との間に入り込むといったことが起き難いようにしている。
【0055】
また、本発明の実施形態1,2では、補強用カラー4を貫通孔3aに上方の開口(反ボルト5挿入側の開口)から圧入しているが、貫通孔3aの下方の開口(ボルト5挿入側の開口)から圧入してもよい。
【0056】
また、本発明の実施形態1,2では、補強用カラー4をアルミニウム合金で形成しているが、これに限らず、補強用カラー4を鋼材で形成してもよく、補強用カラー4がオイルストレーナ1のフランジ部3(貫通孔3a周り)より圧縮強度の高い材質であればよい。
【0057】
また、本発明の実施形態1,2では、環状突条部3bの突出端が平坦に形成されているが、環状突条部3bの突出端に切欠部が数カ所形成されていたり、環状突条部3bの突出端が周方向に多少湾曲していても、本発明の効果に影響を及ぼさない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、樹脂部品を被取付体にボルトで取り付ける取付構造に適している。
【符号の説明】
【0059】
1 オイルストレーナ(樹脂部品)
3 フランジ部(取付部)
3a 貫通孔
3b 環状突条部
4 補強用カラー
4a 挿通孔
5 ボルト
5a 軸部
5b 頭部
10 本体部(被取付体)
10a 螺合穴
L 補強用カラーの筒中心
軸方向の長さ
E オイルストレーナのフランジ部の厚み
h 環状突条部の突出部分の高さ
w 環状突条部の突出部分の幅