【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、セル隔壁の気孔構造としては、気孔率が55%以上70%以下であり、気孔径が40μm以上の気孔による気孔容積が全気孔容積の10%以上を占め、気孔径が10μm以下の気孔が存在しないか、存在する場合は気孔径が10μm以下の気孔容積が全気孔容積の10%以下であり、セル構造としては、それぞれの前記排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面の断面積の平均を、それぞれの前記排ガス導入セルの長手方向に垂直な断面の断面積の平均よりも大きく、前記排ガス導入セルの総容積を前記排ガス排出セルの総容積よりも大きくすることにより、触媒をハニカムフィルタの見かけ体積あたり100g/L以上と多量にコーティングすることが可能となるとともに、圧力損失を低く保ちつつ、排ガス導入セルから流入した排ガスがセル隔壁を透過して排ガス排出セルに流れ込み易くなり、局所的な排ガスのセル隔壁の透過流速の速い部分をなくすことができ、その結果、PMの捕集効率を高くすることができることを見出し本発明に到達したものである。
【0024】
すなわち、本発明のハニカムフィルタは、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁と、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セルと、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セルとを備えるハニカムフィルタであって、前記セル隔壁の気孔率が55%以上70%以下であり、気孔径が40μm以上の気孔による気孔容積が全気孔容積の10%以上を占め、気孔径が10μm以下の気孔が存在しないか、存在する場合は気孔径が10μm以下の気孔容積が全気孔容積の10%以下であり、前記排ガス導入セルおよび前記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、目封止部分を除き排ガス入口側の端部から前記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおける全ての場所において同じであり、それぞれの前記排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面の断面積の平均が、それぞれの前記排ガス導入セルの長手方向に垂直な断面の断面積の平均よりも大きく、前記排ガス導入セルの総容積が前記排ガス排出セルの総容積よりも大きいことを特徴とする。
【0025】
本発明のハニカムフィルタでは、セル隔壁の気孔率が55%以上であり、かつ、40μm以上の気孔による気孔容積が全気孔容積の10%以上を占めるため、気孔の容積が大きく、SCR触媒としてのゼオライトを、NOx浄化に必要な量である100g/L(ハニカムフィルタの見かけ体積1Lあたりにゼオライトを100g)以上コーティングしても、気孔はゼオライトのコーティングにより塞がりにくく、排ガスが通過する空間を充分に確保することができるので、PM捕集時の圧損上昇を低く抑えることができる。ハニカムフィルタのサイズを大きくすることなく、NOx浄化性能を満たすためには、100g/L以上、好ましくは120g/L以上のゼオライトをコーティングする必要がある。圧損の観点からみたコーティングのキャパシティ(最大許容量)は、気孔率55%のハニカムフィルタで100g/L、気孔率63%のハニカムフィルタで140g/Lというのが、本発明者らの事前実験により把握されている。
また、気孔率が70%以下であるので、機械的強度を維持することができ、再生時のクラック等の発生を防止することができる。
本発明において、セル隔壁の気孔率は55〜65%が好ましく、57〜63%がより好ましい。セル隔壁の気孔径分布における、気孔径40μm以上の気孔割合は12%以上が好ましく、気孔径10μm以下の気孔割合は8%以下が好ましい。
【0026】
また、本発明のハニカムフィルタでは、排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面の断面積の平均が、それぞれの排ガス導入セルの長手方向に垂直な断面の断面積の平均よりも大きくとっているので、排ガス導入セルに流入した排ガスがセル隔壁を透過して排ガス排出セルに流れ込み易くなり、さらに、排ガス導入セルの総容積を排ガス排出セルの総容積よりも大きくとっているので、排ガスが透過できる排ガス導入セルの内壁の面積が広くなるとともに、気孔径が10μm以下の排ガスが透過しにくい気孔の割合が少ないため、排ガスがセル隔壁を透過する際の局所的に流速の速い部分がなくなり、PMの捕集効率の高いハニカムフィルタとすることができる。
なお、セル隔壁の気孔径は、水銀圧入法にて接触角を130°、表面張力を485mN/mと設定して求めた値である。気孔率も同様に水銀圧入法を用い、同様の条件により測定することができる。
【0027】
本発明者らは、圧力損失は、(a)排ガスがハニカムフィルタに流入する際の流入抵抗、(b)排ガス導入セルの通過抵抗、(c)セル隔壁の透過抵抗、(d)堆積したPM層を排ガスが透過する際に生じる透過抵抗、(e)排ガス排出セルの通過抵抗、(f)排ガスがハニカムフィルタから流出する際の流出抵抗、により発生すると考えている。また、本発明者らは、ハニカムフィルタにPMが一定量堆積するまでの期間は、排ガス導入セルに流入した排ガスは、ハニカムフィルタの後方まで排ガス導入セル内を長く流れて、ハニカムフィルタの比較的後方の局所的な部分から、排ガス排出セルに流れ込みやすくなっているということを突き止めた。特にセル隔壁の気孔率が高いと、(c)セル隔壁の透過抵抗が小さいため、この傾向が強くなる。また、気孔径の小さい部分が存在することで、(c)セル隔壁の透過抵抗が高い部分が存在してしまい、より、局所的な部分から、排ガス排出セルに流れ込みやすくなっている。本発明のハニカムフィルタでは、それぞれのセルにおける(b)排ガス導入セルの通過抵抗を(e)排ガス排出セルの通過抵抗よりも大きくし、さらに(f)排ガスがハニカムフィルタから流出する際の流出抵抗を小さくし、さらに気孔径10μm以下の気孔割合を減らすことで、排ガス導入セルに流入した排ガスが、排ガス排出セルに流れ込みやすくし、セル隔壁の長手方向全体を利用して流れ込むようにしている。そのため、排ガスがセル隔壁を透過する際の局所的に透過流速の速い部分をなくすことができ、捕集効率を高めることができるのである。
なお、本明細書において、気孔径が40μm以上の気孔による気孔容積が全気孔容積において占める割合を、気孔径40μm以上の気孔割合ともいい、気孔径が10μm以下の気孔による気孔容積が全気孔容積において占める割合を、気孔径10μm以下の気孔割合ともいう。
【0028】
本発明のハニカムフィルタでは、上記構成に加え、上記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて上記排ガス導入セルが隣接してなり、
上記排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に垂直な断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類からなり、かつ、
上記排ガス排出セルのセル長手方向に垂直な断面の断面積は、上記第2排ガス導入セルのセル長手方向に垂直な断面の断面積と同じであるかそれよりも大きく形成されており、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルおよび上記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さが、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さよりも長いか、もしくは、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうちいずれか一辺は、上記排ガス排出セルと対面し、かつ上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺はいずれも上記排ガス排出セルと対面しないことが望ましい。
【0029】
上記構成のハニカムフィルタでは、初期の圧力損失を従来のハニカムフィルタに比べてより低くすることができるとともに、かなりの量のPMがセル隔壁に堆積した段階においても、圧力損失の上昇割合が小さく、初期からPMが限界に近い量堆積するまでの全体にわたって圧力損失を大きく改善することができる。
【0030】
上記圧力損失の(a)〜(f)の抵抗の分解の考え方において、本発明者らの研究により、PMが堆積する前の初期圧損は、(c)、(e)および(f)が支配因子であること、および、一定量PMが堆積した後に発生する過渡圧損は、(a)、(b)および(d)が支配因子であることを突き止めている。なお、初期圧損の支配因子の一つとして(b)排ガス導入セルの通過抵抗ではなく、(e)排ガス排出セルの通過抵抗が挙げられる理由は、排ガス導入セルによるハニカムフィルタの開口率より排ガス排出セルによるハニカムフィルタの開口率が小さいことに起因している。同様に、初期圧損の支配因子として(a)排ガスがハニカムフィルタに流入する際の流入抵抗ではなく、(f)排ガスがハニカムフィルタから流出する際の流出抵抗が挙げられる理由は、ガスを圧縮する抵抗よりもガスがセルから排出されて急速膨張する際にセル出口付近に渦流が発生し、この渦流が排ガスの流出を阻害することにより生じる抵抗の方が高いためであると推測している。
本発明のハニカムフィルタでは、排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて排ガス導入セルを配置しているので、排ガス出口側の排ガス排出セルの近くの周囲には他の排ガスが流出する開口が存在せず、排ガスが流出する際に大きな渦流が発生しにくい。そのため、(f)の流出抵抗を低くすることができる。また、セル隔壁全体をろ過面積として利用できるため、PMが排ガス導入セルのセル隔壁の内壁に薄く均等に堆積し易くなり、(d)のPM層の透過抵抗を低くすることができ、初期において圧力損失が低く、PMが堆積しても圧力損失が上昇しにくいハニカムフィルタとすることができる。
【0031】
なお、本発明でいうセルの断面形状とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの各セル内壁で構成される形状をいう。
また、本発明でいう断面積とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの各セル内壁で構成される断面形状の面積をいう。なお、セル内壁とはセルを構成するセル隔壁の表面のうち、セルの内部側の表面部分をいう。
【0032】
さらに、本発明でいう辺とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの各セル内壁で構成される断面形状が多角形である場合に、その多角形の頂点間の線分を辺という。
また、本発明でいうセルの容積とは、セルの目封止部分を除き、内壁で囲まれた部分の容積のことをいい、総容積とは、それらの総和のことをいう。上記セルの容積は、該当するセルの断面積と目封止部を除いたセルの長さとの積で計算するものとする。
【0033】
また、辺の長さとはその線分の長さをいい、頂点部分が曲線によって構成されるいわゆる面取り形状となっている場合には、その曲線部分を除外した直線部分の長さをいう。
頂点部分が曲線となっている場合には、その曲線部位においては、セル間を隔てるセル壁が厚くなっていることから透過抵抗が高くなり、排ガスは直線部分に優先的に流れ込むため、この直線部分の長さを調整する必要があることから、曲線部分を除外して考えた方が妥当だからである。
なお、曲線部分を除外した直線部分の辺の長さは、多角形の直線部分を仮想的に延長し、この仮想の直線同士が交差する交点を仮想的な頂点とするとき、この仮想的な頂点間を結んで構成される仮想的な辺の長さの80%以上とすることが望ましい。セルの断面形状が多角形状の場合には、辺の長さが仮想的な辺の長さの80%以上であれば、辺の長さを調整することで本発明の作用効果である主流路スイッチの効果を実現できるからである。
【0034】
本発明のハニカムフィルタにおいて、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セルと対面している辺とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルのセル内壁で構成される多角形の辺について、これらの辺を2等分する仮想的な垂線(以下、垂直二等分線という)を、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの外側へ向かって描いた場合に、垂直二等分線が、セル隔壁を隔ててそれら第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの辺と隣接する排ガス排出セルのセル内壁で構成される図形領域と交わる場合に、その辺は排ガス排出セルと対面しているという。
この場合、排ガス排出セルと対面する辺を有する第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルは、排ガス排出セルと対面しているという。
【0035】
また、本発明のハニカムフィルタにおいて、排ガス排出セルの断面形状を構成する辺のうち、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルと対面する辺とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セルのセル内壁で構成される多角形の辺について、これらの辺を2等分する仮想的な垂線(以下、垂直二等分線という)を排ガス排出セルの外側へ向かって描いた場合に、垂直二等分線が、セル隔壁を隔ててその排ガス排出セルの辺と隣接するセル第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルのセル内壁で構成される図形領域と交わる場合に、その辺は第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルと対面しているという。
この場合、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルと対面する辺を有する排ガス排出セルは、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルと対面しているという。
【0036】
さらに、本発明のハニカムフィルタにおいて、第1排ガス導入セルを構成する辺のうち、第2排ガス導入セルと対面する辺とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、第1排ガス導入セルのセル内壁で構成される多角形の辺について、これらの辺を2等分する仮想的な垂線(以下、垂直二等分線という)を第1排ガス導入セルの外側へ向かって描いた場合に、垂直二等分線が、セル隔壁を隔ててその第1排ガス導入セルの辺と隣接する第2排ガス導入セルのセル内壁で構成される図形領域と交わる場合に、その辺は第2排ガス導入セルと対面しているという。
この場合、第2排ガス導入セルと対面する辺を有する第1排ガス導入セルは、第2排ガス導入セルと対面しているという。
【0037】
また、本発明のハニカムフィルタにおいて、第2排ガス導入セルを構成する辺のうち、第1排ガス導入セルと対面する辺とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、第2排ガス導入セルのセル内壁で構成される多角形の辺について、これらの辺を2等分する仮想的な垂線(以下、垂直二等分線という)を第2排ガス導入セルの外側へ向かって描いた場合に、垂直二等分線が、セル隔壁を隔ててその第2排ガス導入セルの辺と隣接する第1排ガス導入セルのセル内壁で構成される図形領域と交わる場合に、その辺は第1排ガス導入セルと対面しているという。
この場合、第1排ガス導入セルと対面する辺を有する第2排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルと対面しているという。
【0038】
また、本発明のハニカムフィルタにおいては、2つのセル間を隔てるセル隔壁の厚さは、次のように定義される。
すなわち、セルの長手方向に垂直な断面において、セル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心を2つのセルについてそれぞれ求め、その重心間を結ぶ直線を描き、直線がセル隔壁領域と重なる部分の線分の長さをセル隔壁の厚さとする。なお、セルはいうまでもなく空間であるが、ここでいう重心はセル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心を意味しており、セルのような空間の断面図形であっても重心の定義は可能である。
【0039】
本発明のハニカムフィルタにおいて使用する“隣接する”の意味は、日本語における“隣接”の意味そのままである。この”隣接“は、排ガス導入セルが多孔質のセル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面するように配置される場合のみならず、排ガス導入セルが排ガス排出セルと対面しない場合であっても、多孔質のセル隔壁を隔てて、排ガス排出セルの斜向かいに排ガス導入セルが配置される場合にも使われる。日本語においては、”隣接“の言葉の用例として”格子が斜めに隣接している“という表現が許されている。
【0040】
排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が多角形であり、多孔質のセル隔壁を隔てて、排ガス導入セルが排ガス排出セルと対面するように配置される場合とは、具体的には
図2および
図3に示すような場合であり、
図2および
図3では第2排ガス導入セル14が多孔質のセル隔壁13を隔てて排ガス排出セル11と対面している。また、排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が円や楕円であり、排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの断面形状である円弧によって一つの多孔質のセル隔壁が構成されるのであれば(3次元的に言えば、排ガス排出セルの内壁曲面と排ガス導入セルの内壁曲面が、1つの多孔質のセル隔壁の表面と裏面を構成している場合)、排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が多角形である場合に準じて、多孔質のセル隔壁を隔てて、排ガス導入セルが排ガス排出セルと対面するように配置されていると解する。具体的には
図18に示すような場合であり、
図18では排ガス導入セル54が多孔質のセル隔壁53を隔て排ガス排出セル51と対面しているとして扱う。
【0041】
また、排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が多角形であり、排ガス導入セルと排ガス排出セルが対面せず、多孔質のセル隔壁を隔てて、排ガス排出セルの斜向かいに排ガス導入セルが配置される場合とは、具体的には
図16に示すような場合であり、
図16では第2排ガス導入セル44と排ガス排出セル41は互いに対面することなく、多孔質のセル隔壁43を隔て第2排ガス導入セル44が排ガス排出セル41の斜向かいに配置されている。
【0042】
なお、排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が、円や楕円を除く、曲線で構成される図形である場合、曲線と曲線の交点を頂点、これら頂点間の曲線を辺として扱い、排ガス排出セルまたは排ガス導入セルの断面形状を構成する辺(曲線)について、これを2等分し、辺の両端の頂点を結ぶ直線に垂直な仮想的な垂線を排ガス排出セルまたは排ガス導入セルの外側へ向かって描いた場合に、当該垂線が、セル隔壁を隔てて最も近い排ガス導入セルまたは排ガス排出セルのセル内壁で構成される図形領域と交わる場合に、排ガス排出セルまたは排ガス導入セルの辺(曲線)は、排ガス導入セルまたは排ガス排出セルと対面するとして扱う。さらに、排ガス排出セルまたは排ガス導入セルは、排ガス導入セルまたは排ガス排出セルと対面するという。また、頂点に相当する部分がいわゆる面取り形状となっているような場合は、曲線を延長し、延長線同士が交わる仮想的な交点を便宜的に頂点とみなす。
【0043】
排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が、円や楕円を除く、曲線で構成される図形である場合、排ガス導入セルと排ガス排出セルが対面せず、多孔質のセル隔壁を隔てて、排ガス排出セルの斜向かいに排ガス導入セルが配置される場合とは、具体的には
図19に示すような場合であり、
図19では第2排ガス導入セル64と排ガス排出セル61は互いに対面することなく、多孔質のセル隔壁63を隔て第2排ガス導入セル64が排ガス排出セル61の斜向かいに配置されている。
【0044】
請求項3の“前記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて、前記排ガス導入セルが隣接してなり、”を英語に逐語訳すると“each exhaust gas emission cell is enclosed all around by the
adjacent exhaust gas introduction cells across the porous cell walls”となる。
なお、“斜向かいに配置する”とは、排ガス排出セルと排ガス導入セルとが対面せず、排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面において、当該排ガス排出セル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心と当該断面図形の頂点(断面形状の頂点部分が面取形状となっている場合には、断面形状を構成する辺(直線または曲線)を仮想的に延長して、その延長線の交点を頂点とみなす)を結んだ仮想線の一つと、排ガス導入セルの長手方向に垂直な断面において、当該排ガス導入セル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心とセルの頂点(断面形状の頂点部分が面取形状となっている場合には、断面形状を構成する辺(直線または曲線)を仮想的に延長して、その延長線の交点を頂点とみなす)を結んだ仮想線の一つが互いに平行になるか、互いに重なるように排ガス導入セルと排ガス排出セルが配置されることをいう。なお、複数の仮想線のうち一対の仮想線が互いに平行になるか、互いに重なれば、他の仮想線同士が所定角度(例えば90°)で交わっていてもよい。
また、上記”隣接(adjacent)“の説明では、「排ガス導入セル」は、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルを総称している。
【0045】
次に、図面に基づき、セルと対面している辺、および、2つのセル間を隔てるセル隔壁の厚さに関する説明を行う。
図3は、本発明の一実施形態に係るハニカムフィルタの端面の一部を拡大して示した拡大端面図であり、排ガス排出セル11およびその周囲に存在する第1排ガス導入セル12および第2排ガス導入セル14が表示されている。
【0046】
第1排ガス導入セル12または第2排ガス導入セル14の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺とは、
図3に示すセルの長手方向に垂直な断面に関し、第1排ガス導入セル12または第2排ガス導入セル14のセル内壁で構成される多角形の辺12a、14aについて、これらの辺を2等分する仮想的な垂線(以下、垂直二等分線という)を、第1排ガス導入セル12または第2排ガス導入セル14の外側へ向かって描いた場合に、垂直二等分線A、垂直二等分線Bが、
図3に示すように、セル隔壁を隔ててそれら第1排ガス導入セル12または第2排ガス導入セル14の辺12a、14aと隣接する排ガス排出セル11のセル内壁で構成される図形領域(辺11a、11b)と交わる場合に、辺12a、14aは排ガス排出セル11と対面しているという。
【0047】
本発明において、垂直二等分線の交わりをもって対面しているとする理由は、辺の長さ方向について中央付近、つまり排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てるセル隔壁の中央部分を排ガスが透過する際に受ける透過抵抗が、隔壁全体を排ガスが透過することで発生する圧力損失を代表しているからである。
【0048】
本発明においては、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの各セル内壁で構成される断面形状が多角形である場合に、その多角形の頂点部分が曲線によって構成されるいわゆる面取り形状となっている場合には、各辺の垂直二等分線は、当該曲線を除外した線分の垂直二等分線とする。
また、頂点部分が曲線によって構成されるいわゆる面取り形状となっている場合には、この曲線は辺として扱わない。また、断面形状の頂点部分が面取形状となっている場合には、断面形状を構成する辺を仮想的に延長して、その延長線の交点を頂点とみなして多角形として扱う。
押し出し成形によりハニカムフィルタを製造する場合には、セルの長手方向に垂直な断面の形状が多角形である場合に、その頂点部分に応力が集中しないように、頂点部分を曲線で構成する場合があり、そのような頂点部分が曲線で構成される場合であっても多角形として取り扱う趣旨である。
【0049】
2つのセル間を隔てるセル隔壁の厚さは、次のように定義される。
すなわち、
図3に示すセルの長手方向に垂直な断面において、セル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心を2つのセルについてそれぞれ求め(
図3(b)では、排ガス排出セル11の重心をO
11、第2排ガス導入セル14の重心をO
14とし)、その重心間を結ぶ直線Z
14を描き、直線Z
14がセル隔壁領域と重なる部分の線分の長さDをセル隔壁の厚さとする。なお、セルはいうまでもなく空間であるが、ここでいう重心はセル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心を意味しており、セルのような空間の断面図形であっても重心の定義は可能である。
【0050】
セル隔壁の厚さを上記のように定義した理由は、以下の通りである。ガスがセル隔壁を透過する際の透過抵抗が最も高くなるのは、セル隔壁を透過するガスの流速の最も高い部分であり、その部分の透過抵抗がセル隔壁の透過抵抗を代表できる。ハニカムフィルタの長手方向に対するガスの流速は、セル内壁により構成される断面形状の幾何学的な重心に相当する位置が最も高く、セルの断面において同心円状に低くなるため、排ガス導入セルと排ガス排出セルの重心間を結ぶ線とセル隔壁との交点が、セル隔壁を透過するガスの流速の最も高い部分にあたる。このように圧力損失の面で考えた時には、重心間を結ぶ直線を描き、直線がセル隔壁領域と重なる部分の線分の長さDをセル隔壁の厚さと定義することは、理にかなっているといえる。
【0051】
なお、本発明においては、セルの辺の長さおよびセル隔壁の厚さの測定、セル断面形状の特定は、電子顕微鏡写真を用いて行う。電子顕微鏡写真の撮影は、電子顕微鏡(FE-SEM:日立ハイテクノロジーズ社製 高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 S-4800)にて行う。
また、電子顕微鏡写真の拡大倍率は、セルを構成するセル隔壁の表面(内壁)の粒子や気孔の凹凸が、セルの断面形状の特定や、辺の長さ、隔壁厚さおよびセルの断面積の計測に支障にならない程度の倍率であり、かつセルの断面形状の特定や、辺の長さ、セル隔壁の厚さおよびセルの断面積の計測が可能となる倍率を採用することが必要であり、拡大倍率30倍の電子顕微鏡写真を用いて計測することが最適である。
すなわち、上述したセルの長さやセル隔壁の厚さの定義に基づき、電子顕微鏡写真のスケールを利用してセルの各辺の長さを測定して、その値を求め、断面積については、得られたセルの長さ等の値に基づき、算術的に求める。また、断面積について算術的に計測することが煩雑な場合は、電子顕微鏡写真のスケールから単位面積に相当する正方形(スケール長さを1辺とする正方形)を切り取り、この重量を測定、一方でセルの断面形状に沿ってセル断面を切り取り(多角形の場合に頂点部分が曲線となっている場合にはその曲線に沿って切り取り)、その切り取った部分の重量を測定する。重量比率からセルの断面の断面積を計算することができる。
【0052】
例えば、添付の
図4(a)であれば、排ガス排出セルおよび第2排ガス導入セルの内壁で構成される断面形状が八角形でありそれらの断面積が同一であり、第1排ガス導入セルの内壁で構成される断面形状が正方形(頂点部分は曲線で構成されいわゆる面取り形状となっているが、本発明では断面形状を構成する4つの辺を延長した直線が4点で交わっており、4つの交点を頂点とする正方形として扱う)である。写真には500μmのスケールが表示されており、この写真中の500μmに相当する長さを1辺とする正方形(単位面積に相当する)をこの写真から切り出し、その重量を測定する。次に、八角形と正方形を写真から切り取り(正方形の4つの頂点部分が曲線で構成されているのでその曲線に沿って切り取る)、その重量を測定する。500μmスケールの正方形と切り出した物との重量比率から断面積を算出する。セルの断面積の比率のみを計測する場合であれば、八角形と正方形の重量比からそのまま面積比率が算出できる。
また、本発明においては、セルの長さやセル隔壁の厚さ、断面積の計測について、上述した人手による計測から、電子顕微鏡写真を画像データとして取り込むか、電子顕微鏡から直接取り込んだ画像データを用い、写真のスケールを入力して、電子的な計測に置き換えることも可能である。もちろん、人手による計測方法も電子化した計測方法も電子顕微鏡画像のスケールに基づいた計測であって、同一原理に基づいており、両者の計測結果に齟齬が発生しないことは言うまでもない。
電子的な計測としては、画像解析式粒度分布ソフトウェア(株式会社マウンテック(Mountech)製)MAC-View (Version3.5)なる計測ソフトウェアを用いることができる。このソフトウェアでは電子顕微鏡写真をスキャナーで取り込むか、電子顕微鏡から直接取り込んだ画像データを用い、当該写真のスケールを入力し、セルの内壁に沿って範囲を指定することで断面積を計測できる。また、画像中の任意の点間距離も電子顕微鏡写真のスケールを基に計測できる。
電子顕微鏡によりセル断面を撮影する際には、セルの長手方向に垂直にフィルタを切断し、その切断面が入るように、1cm×1cm×1cmのサンプルを準備し、切断面を超音波洗浄するか、もしくは樹脂で包埋されたフィルタをセルの長手方向に垂直に切断し、電子顕微鏡写真を撮影する。樹脂による包埋を行っても、セルの辺の長さおよびセル隔壁の厚さの計測には影響を与えない。
【0053】
図4(a)〜(b)は、走査型電子顕微鏡により撮影されたセル断面の形状の一例を示す写真である。
図4(a)では、排ガス排出セル11および第2排ガス導入セル14の断面形状が八角形であることがわかる。また、第1排ガス導入セル12の断面形状は正方形である。第1排ガス導入セルの頂点部分は、わずかに曲線で構成されているが、第1排ガス導入セル12の4本の直線で構成される辺を延長すると、4つの交点が存在することとなり、この交点を頂点とした正方形を構成できるので、本発明における定義に従い、このセルの断面形状は正方形として扱う。
また、MAC-View
(Version3.5)を用いることで、排ガス排出セル11および第2排ガス導入セル14の断面形状の面積(断面積)を2.14mm
2、第1排ガス導入セル12の断面形状の面積(断面積)を0.92mm
2と算出できる。
さらに、
図4(b)に示すように、第1排ガス導入セル12の断面形状を構成する辺のうち排ガス排出セル11と対面する辺Lsの長さは、第1排ガス導入セルの4つの頂点部分が曲線で構成されているため、この曲線部分を除いた長さとなる。また、第2排ガス導入セル14の断面形状を構成する辺のうち排ガス排出セル11と対面する辺の長さLoは、八角形の頂点間距離となる。
このように、辺の長さLs、Lo、断面積とも電子顕微鏡写真から測定できる。
【0054】
図5(a)〜(b)は、
図4に示したセルとは別のセルのセル断面の形状の一例を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である。
さらに、
図5(a)によれば、排ガス排出セル41、第2排ガス導入セル44、第1排ガス導入セル42の断面形状はいずれも4つの等しい長さの辺を仮想的に延長した直線が互いに垂直に交わり、その交点(頂点)部分が曲線で構成された形状であることがわかる。これらのセルの断面形状は、いずれも頂点部分が曲線で構成されているが、各セルを構成する4本の直線を延長すると、4つの交点が存在することとなり、この交点を仮想的な頂点とすると、頂点間距離は4つとも等しく正方形を構成するので、本発明における定義に従い、これらのセルの断面形状は正方形として扱う。
また、
図5(b)から理解できるように、第1排ガス導入セル42を構成する辺はその垂直二等分線が排ガス排出セル41と交わるため、第1排ガス導入セル42を構成する辺は排ガス排出セル41と対面すると言える。その一方で、第2排ガス導入セル44を構成する辺は、その垂直二等分線が排ガス排出セル41と交わらないため、第2排ガス排出セル44を構成する辺は、排ガス排出セル41と対面しない。このように第2排ガス導入セル44および第1排ガス導入セル42を構成する辺が排ガス排出セル41と対面するか否かを電子顕微鏡写真から特定することができる。
【0055】
本発明おいて使用される膨潤正方形とは、図形の外側に向けて湾曲する、同じ長さをもつ4つの曲線から構成された図形であり、あたかも正方形の辺がその幾何学的な重心から外側方向へ膨らんだ形状の図形をいう。また、収縮正方形とは、図形の内側へ向けて湾曲する、同じ長さをもつ4つの曲線から構成された図形であり、あたかも正方形の辺がその幾何学的な重心方向に向けて収縮した形状の図形をいう。
【0056】
本発明においては、ハニカムフィルタを構成するセルの長手方向に垂直な断面に関し、
第1排ガス導入セル、第2排ガス導入セルおよび排ガス排出セルは、排ガス入口端から排ガス出口端にかけて目封止部分を除き、それぞれのセルにおける全ての場所において、それらセルの内壁で構成される断面形状は同じである。つまり、第1排ガス導入セルだけについて、その長手方向に垂直な断面を見た場合、その内壁で構成される断面図形は目封止部分を除いて排ガス入口端から排ガス出口端のどの部分の断面を見ても同じ形状である。同じ形状というのは合同という意味であり、相似は含まない。すなわち、相似関係となる形状は、異なる形状となる。第1排ガス導入セルのみならず、第2排ガス導入セルおよび排ガス排出セルもまた、それぞれ第1排ガス導入セルの場合と同じ説明が成り立つ。目封止部分を除外した理由は、目封止部分には目封止材が存在するためセル隔壁の内壁により構成される断面図形が物理的に存在しないからである。
【0057】
本発明のハニカムフィルタでは、従来のハニカムフィルタに比べて、初期からPMが限界に近い量堆積するまでの全体にわたって総合的に圧力損失を低くすることができる。
【0058】
上述した圧損を各抵抗に分解した考え方において、初期圧損を低下させるためには、通過抵抗ならびに流出抵抗を下げる必要があることから、急速膨張を抑制するために排ガス排出セルの断面積を排ガス導入セルのそれと同じかそれより相対的に大きくする必要があり、一方、過渡圧損を低下させるためには、PMを広く薄く堆積させる必要があることから、排ガス導入セルの断面積を排ガス排出セルのそれよりも相対的に大きくしなければならない。
【0059】
つまり、過渡圧損と初期圧損を同時に低減させることは不可能とされてきた。本発明者らは、さらに研究を進めて以下、本発明を完成させた。
即ち、排ガス導入セルとして、断面積が大きなもの(第2排ガス導入セル)と断面積が小さなもの(第1排ガス導入セル)の2種類を採用するとともに、その断面積が第2排ガス導入セルと同じか相対的に大きな排ガス排出セルを採用し、この排ガス排出セルの全周囲に2種類の排ガス導入セルを配置し、かつ第1排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てる隔壁内壁の長さを第2排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てる隔壁内壁の長さよりも相対的に長くするか、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てる隔壁の厚さを第2排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てる隔壁の厚さよりも相対的に薄くすることにより、排気ガスをまず第1排ガス導入セルに優先的に導入する。
【0060】
第1排ガス導入セルと排ガス排出セルの間の隔壁は、透過領域が大きい(多角形セルの断面形状で言えば辺の長さが長い)かまたはその厚さが薄くなっており、排ガスはこの都合のよい隔壁を透過することができ、(c)の透過抵抗を低減させることができる。また、排ガス排出セルの断面積が第1排ガス導入セルより相対的に大きいことから(e)の通過抵抗を低減せしめることができる。つまり、(c)の透過抵抗および(e)の通過抵抗をいずれも下げることができ、初期圧損を低くすることができるのである。次に、PMが一定量堆積した後は、第1排ガス導入セルの断面積を第2排ガス導入セルのそれよりも相対的に小さくしてあるため、第1排ガス導入セルに堆積したPM層の透過抵抗が早期に高くなり、排気ガスが自然に(つまり自発的に)第2排ガス導入セルにより多く入り込むように排ガスの主流路が“スイッチ”されることとなり、断面積の大きな第2排ガス導入セルにPMが広く薄く堆積されて、PM堆積後であっても、(b)の通過抵抗および(d)の透過抵抗を低減せしめることができ、過渡圧損を低くすることができる。
このように、本発明では主流路を自己スイッチさせることで従来不可能とされてきた過渡圧損と初期圧損を同時に低減させるという驚くべき効果を実現したのである。
【0061】
このような排ガスがより多く流れ込む主流路の“スイッチ”による初期圧損、過渡圧損の同時低減効果は、先に説明した全ての構成要件が一体的に作用した場合に発現するものであり、このような構成、効果は公知文献には存在しない。
【0062】
先に示した国際公開第2004/024294号(特許文献4)には、
図21に示すように、排ガス導入セル102の断面形状が八角形、排ガス排出セル101の断面形状が四角形のハニカムフィルタが開示されており、排ガス導入セル102の断面積を大きくすることで、PMを広く薄く堆積させ過渡圧損を下げられることが開示されている。しかし、この特許文献4から本発明に至るためには、断面積が小さい排ガス排出セル101の一部を排ガス導入セル102に変更し、断面積の大きな排ガス導入セル102の一部を排ガス排出セル101にする必要があるが、このような変更は排ガス導入セル102の断面積を大きくしようとする特許文献4記載の発明思想を否定することとなる。
【0063】
また、
図22に基づいて説明したように、米国特許第4417908号明細書(特許文献5)には、断面積が同一の排ガス導入セルの数を増やし、排ガス導入セルの総面積を大きくすることで、PMを広く薄く堆積させて過渡圧損を下げることができるハニカムフィルタが開示されている。
しかしながら、この特許文献5から本発明に至るためには、排ガス導入セルの一部を断面積が小さいセルに変更する必要があるが、排ガス導入セルの断面積を減らすこととなるため、結局特許文献5の発明思想の否定となる。
【0064】
以下、上記発明の作用効果について、実施形態を例示として以下に詳しく説明する。
図6(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係るハニカムフィルタの端面の一部を拡大して示した拡大端面図である。
図6(a)に示すように、このハニカムフィルタ20では、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セル11の周囲全体に、多孔質のセル隔壁13を隔てて排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された第1排ガス導入セル12と第2排ガス導入セル14とが隣接して形成されている。
【0065】
セルの長手方向に垂直な断面の形状に関し、排ガス排出セル11は
図21に示した排ガス導入セル102と同様の形状の八角形であり、第1排ガス導入セル12は正方形であり、第2排ガス導入セル14は、排ガス排出セル11と同じ形状の八角形である。
第2排ガス導入セル14のセルの断面積は、第1排ガス導入セル12のセルの断面積より大きく、排ガス排出セル11の断面積と同じである。従って、第2排ガス導入セル14の断面積は、排ガス排出セル11の断面積と同じであり、第1排ガス導入セル12の断面積よりは、排ガス排出セル11の断面積の方が大きい。そのため、排ガスが排ガス排出セル11を通過する際の抵抗、排ガスがフィルタの外部に流出する際の抵抗を低く抑えることができ、圧力損失を低くすることが可能となる。
【0066】
また、第1排ガス導入セル12の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺12aの長さが、第2排ガス導入セル14の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺14aの長さよりも長い。
【0067】
排ガスがハニカムフィルタ20の方向に向かって流れてくると、入口側の端部が開口している第1排ガス導入セル12と第2排ガス導入セル14に流れ込む。排ガスは、フィルタ内の流れ易い部分から順に、全体の流れが均等になるように流れる。本発明のハニカムフィルタは、第1排ガス排出セル12の辺12aの長さ(Ls)が、第2排ガス導入セル14の辺14aの長さ(Lo)よりも長いので、排ガス排出セル11と第1排ガス導入セル12とを隔てるセル隔壁13aの表面積は、排ガス排出セル11と第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13bの表面積よりも大きいこととなり、排ガスは、セル隔壁13aをより透過し易く、初期においては、セル隔壁13aの表面にPMが堆積する。
以上のように、排ガス排出セルの通過抵抗、排ガスがハニカムフィルタから流出する際の流出抵抗を同時に低くできるため、PMが堆積する前の初期の圧力損失を低減できる。
【0068】
セルを構成する辺の長さと表面積との関係を上記のように結論づけたのは、以下の理由による。
排ガス排出セル11と第1排ガス導入セル12とを隔てるセル隔壁13aの表面積は、第1排ガス導入セル12の内壁側の表面積であり、排ガス入口端面および出口端面間距離から入口側、出口側の封止部の長さを除いた実効的なフィルタの長さをLe(
図2(b)参照)とすると、第1排ガスセル導入セル12の内壁側の表面積は、Ls×Leで表わされる。また、同様に、排ガス排出セル11と第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13bの表面積は、第2排ガスセル導入セル14の内壁側の表面積であり、排ガス入口端面および出口端面間距離から入口側、出口側の封止部の長さを除いた実効的なフィルタ長さをLeとすると、第2排ガスセル導入セル14の内壁側の表面積は、Lo×Leで表わされる。なお、フィルタの実効的長さとして、
図2(b)では、封止材の先端を基準とした長さをとっている。
従って、辺12aの長さ(Ls)が、辺14aの長さ(Lo)よりも相対的に長くなれば、表面積もLs×Leの方がLo×Leに比べて相対的に大きくなる。つまり、辺の長さと表面積の大きさは同義である。従って、第1排ガス排出セル12の辺12aの長さ(Ls)が、第2排ガス導入セル14の辺14aの長さ(Lo)よりも長いと、排ガス排出セル11と第1排ガス導入セル12とを隔てるセル隔壁13aの表面積が排ガス排出セル11と第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13bの表面積よりも大きいこととなるのである。
【0069】
なお、
図6(a)〜(c)では、図の一部分についてのみ、作用・効果に関する事項を書き入れている。
図3においても同様である。
【0070】
次に、
図6(b)に示すように、PMがセル隔壁13aの第1排ガス導入セル12の内壁表面にある程度の量堆積すると、第1排ガス導入セル12の断面積が小さいため、PMが厚く堆積し、その結果、PMの堆積に起因する抵抗が増加し、排ガスがセル隔壁13aを透過しにくくなってくる。このような状況になると、上記したように、排ガスは、排ガス排出セル11と第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13bを透過し(主流路のスイッチ)、セル隔壁13bの第2排ガス導入セル14の内壁表面にもPMが堆積する。
【0071】
次に、排ガスは、セル隔壁の中をかなり自由に透過することができるので、
図6(c)に示すように、第1排ガス導入セル12と第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13cの内部も透過し排ガス排出セル11に流れるようになる。この場合、排ガスは、第2排ガス導入セル14側からもセル隔壁13cに侵入するとともに、第1排ガス導入セル12側からセル隔壁13cに侵入することとなる。
【0072】
このように、PMは、次第に第1排ガス導入セル12の周囲のセル隔壁13a、13cの第1排ガス導入セル12の内壁表面全体のみならず、むしろ第2排ガス導入セル14の周囲のセル隔壁13b、13cの第2排ガス導入セル14の内壁表面全体により多く、しかし広く薄く堆積するようになる。第1排ガス導入セル12の断面積は、第2排ガス導入セル14の断面積よりも小さいので、PMが厚く堆積し、PM層の透過抵抗が高くなり、排ガス導入後、早期に排ガスが第1排ガス導入セル12よりも第2排ガス導入セル14に流れやすくなり(先に説明した排ガスの主流路のスイッチ)、上述したようなPM堆積の推移が起こり、第1排ガス導入セル12の周囲のセル隔壁13a、13cの第1排ガス導入セル12の内壁表面よりむしろ、第2排ガス導入セル14の周囲のセル隔壁13b、13cの第2排ガス導入セル14の内壁表面全体にPMが堆積する。このため、第2排ガス導入セル14の周囲のセル隔壁13b、13cの第2排ガス導入セル14の内壁表面全体を早期にPM堆積のために活用することができる。また、第2排ガス導入セル14の周囲のセル隔壁13b、13cの第2排ガス導入セル14の内壁表面積は第1排ガス導入セル12の周囲のセル隔壁13a、13cの第1排ガス導入セル12の内壁表面積に比べて広く、PMが第2排ガス導入セル14の周囲のセル隔壁13b、13cの周囲全体に堆積しても堆積層の厚さを薄くできる。そのため、PMが堆積しても、排ガスの圧力損失の増加の割合が小さい。その結果、PMの堆積量が増加しても、圧力損失を低く保つことができるという極めて優れた効果を奏する。
その結果、本発明に係るハニカムフィルタを搭載した車両では、使用領域全体にわたって、圧力損失の上昇に起因する運転に不都合な現象が発生しにくく、燃費も低く抑えることができる。
【0073】
本発明のハニカムフィルタにおいては、セル隔壁を隔てて隣接する排ガス排出セルと第1排ガス導入セルのセル長手方向に垂直な断面に関し、それらの断面形状が多角形である場合に、排ガス排出セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと隣接し、当該第1排ガス導入セルと対面する辺と、第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと隣接し、当該排ガス排出セルと対面する辺とは互いに平行であることが望ましい。
【0074】
このことは、排ガス排出セルと第1排ガス導入セルを隔てる隔壁の厚みはどこでも均一であることを意味しており、フィルタの破壊強度が高い上、排ガスを透過させやすく、PMを均一に堆積させることができることから、圧力損失を低くできるからである。
なお、断面形状において多角形の頂点部分が曲線で構成されている場合には、その曲線部分は辺としては扱わない。そもそも平行にはならないからである。
セル長手方向に垂直な断面において、曲線部分を除外した断面形状の辺の長さは、辺とみなされる直線部分を仮想的に延長し、この仮想の直線同士が交差する交点を仮想的な頂点とするとき、この仮想的な頂点の間を結んで構成される多角形の仮想的な辺の長さの80%以上とすることが望ましい。逆に言えば、辺として扱われない部分は、仮想的な辺の長さの20%未満とすることが望ましい。
セルの断面形状が多角形状の場合には、辺の長さが仮想的な辺の長さの80%以上であれば、辺の長さを調整することで本発明の作用効果である主流路スイッチの効果を実現できるからである。
【0075】
また、本発明のハニカムフィルタにおいては、セル隔壁を隔てて隣接する排ガス排出セルと第2排ガス導入セルのセル長手方向に垂直な断面に関し、それらの断面形状が多角形である場合に、排ガス排出セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第2排ガス導入セルと隣接し、当該第2排ガス導入セルと対面する辺と、第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと隣接して当該排ガス排出セルと対面する辺とは互いに平行であることが望ましい。
【0076】
このことは、排ガス排出セルと第2排ガス導入セルを隔てる隔壁の厚みはどこでも均一であることを意味しており、フィルタの破壊強度が高い上、排気ガスを透過させやすく、PMを均一に堆積させることができることから、圧力損失を低くできるからである。
なお、断面形状において多角形の頂点部分が曲線で構成されている場合には、その曲線部分は辺としては扱わない。そもそも平行にはならないからである。
セル長手方向に垂直な断面において、曲線部分を除外した断面形状の辺の長さは、辺とみなされる直線部分を仮想的に延長し、この仮想の直線同士が交差する交点を仮想的な頂点とするとき、この仮想的な頂点の間を結んで構成される多角形の仮想的な辺の長さの80%以上とすることが望ましい。逆に言えば、辺として扱われない部分は、仮想的な辺の長さの20%未満とすることが望ましい。
セルの断面形状が多角形状の場合には、辺の長さが仮想的な辺の長さの80%以上であれば、辺の長さを調整することで本発明の作用効果である主流路スイッチの効果を実現できるからである。
【0077】
本発明のハニカムフィルタにおいては、セル隔壁を隔てて隣接する第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルのセル長手方向に垂直な断面に関し、それらの断面形状が多角形である場合に、第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第2排ガス導入セルと隣接し、当該第2排ガス導入セルと対面する辺と、第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと隣接して当該第1排ガス導入セルと対面する辺とは互いに平行であることが望ましい。
【0078】
このことは、第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルを隔てる隔壁の厚みはどこでも均一であることを意味しており、ハニカムフィルタの破壊強度が高く、この隔壁を透過せしめて第2排ガス導入セルから排ガス排出セル側へ排気ガスを透過させやすく、第2排ガス導入セル内壁にPMを広く薄く均一に堆積させることができることから、PM堆積後に圧力損失を低くできるからである。
なお、断面形状において多角形の頂点部分が曲線で構成されている場合には、その曲線部分は辺としては扱わない。そもそも平行にはならないからである。
セル長手方向に垂直な断面において、曲線部分を除外した断面形状の辺の長さは、辺とみなされる直線部分を仮想的に延長し、この仮想の直線同士が交差する交点を仮想的な頂点とするとき、この仮想的な頂点の間を結んで構成される多角形の仮想的な辺の長さの80%以上とすることが望ましい。逆に言えば、辺として扱われない部分は、仮想的な辺の長さの20%未満とすることが望ましい。
セルの断面形状が多角形状の場合には、辺の長さが仮想的な辺の長さの80%以上であれば、辺の長さを調整することで本発明の作用効果である主流路スイッチの効果を実現できるからである。
【0079】
本発明のハニカムフィルタにおいては、セル隔壁を隔ててそれぞれ隣接する排ガス排出セル、1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルのセル長手方向に垂直な断面に関し、それらの断面形状が多角形である場合に、
(a)排ガス排出セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと隣接し、当該第1排ガス導入セルと対面する辺と、第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと隣接し、当該排ガス排出セルと対面する辺とは互いに平行であり、
かつ、
(b)排ガス排出セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第2排ガス導入セルと隣接し、当該第2排ガス導入セルと対面する辺と、第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと隣接して当該排ガス排出セルと対面する辺とは互いに平行であり、
かつ、
(c)第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第2排ガス導入セルと隣接し、当該第2排ガス導入セルと対面する辺と、第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと隣接して当該第1排ガス導入セルと対面する辺とは互いに平行であることが望ましい。
【0080】
また、本発明のハニカムフィルタにあっては、第1排ガス導入セル、第2排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面に関し、それらの断面形状が多角形である場合、上述の(a)、(b)、(c)を同時に備えた構成に加えて、さらに、(a)において平行となっている辺同士の間の距離、(b)において平行となっている辺同士の間の距離および(c)において平行となっている辺同士の間の距離はそれぞれ等しいことが望ましい。なお、辺同士の間の距離は、一方の辺の任意の点Pから垂線を他方の辺に向かって仮想的に描き、この垂線が他方の辺と交わった点をQとするとPとQの間の距離が平行な辺同士の間の距離として定義される。
上述した構成によれば、ハニカムフィルタの破壊強度も最も高く再生時の耐熱衝撃性に優れ、PM堆積前と堆積後のいずれにおいても最も圧力損失を低減でき、かつPMを再生した場合に発生する熱衝撃によるフィルタの破損を抑制することができるからである。
なお、断面形状において多角形の頂点部分が曲線で構成されている場合には、その曲線部分は辺としては扱わない。そもそも平行にはならないからである。
セル長手方向に垂直な断面において、曲線部分を除外した断面形状の辺の長さは、辺とみなされる直線部分を仮想的に延長し、この仮想の直線同士が交差する交点を仮想的な頂点とするとき、この仮想的な頂点の間を結んで構成される多角形の仮想的な辺の長さの80%以上とすることが望ましい。逆に言えば、辺として扱われない部分は、仮想的な辺の長さの20%未満とすることが望ましい。
セルの断面形状が多角形状の場合には、辺の長さが仮想的な辺の長さの80%以上であれば、辺の長さを調整することで本発明の作用効果である主流路スイッチの効果を実現できるからである。
【0081】
本発明のハニカムフィルタは、自動車の内燃機関から排出される排ガス中のPMを浄化するために用いられることが望ましい。PM堆積前にフィルタに生じる初期圧損、PM堆積によりフィルタに生じる過渡圧損の両方を同時に低減できるため、エンジンの燃費を改善できるからである。
【0082】
本発明のハニカムフィルタは、自動車の内燃機関としてディーゼルエンジンを採用した場合に最適である。ディーゼルエンジンから排出されるPMの量はガソリンエンジンよりも多く、PM堆積によってフィルタに生じる過渡圧損を低減する要請がガソリンエンジンに比べて高いからである。
【0083】
本発明のハニカムフィルタを自動車の内燃機関から排出される排ガス中のPMを浄化するために用いる場合には、排気管内に保持材を介して本発明のハニカムフィルタを固定して使用する。
【0084】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルおよび上記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、
上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セルと対面している辺の長さは、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さの0.8倍以下であることが望ましい。
【0085】
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガスが、排ガス排出セルと第1排ガス導入セルとを隔てるセル隔壁をより透過し易くなり、初期の圧力損失を効果的に抑制することができ、PMが堆積した後も圧力損失の増加割合が大きくなるのを抑制することができる。
第1排ガス導入セルの辺の長さに対する第2排ガス導入セルの辺の長さの比が、0.8を超えると、両辺の長さに大きな差がなくなるため、初期の圧力損失を小さく抑えるのが難しくなる。
【0086】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルは、八角形であり、上記第1排ガス導入セルは正方形であり、上記第2排ガス導入セルは、八角形であることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタは、作用・効果について説明した
図6に係るハニカムフィルタと同様の形状であり、初期の圧力損失を効果的に抑制することができるとともに、PMが堆積する表面積を大きくとることが可能となり、圧力損失を低く保つことができる。
【0087】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記第2排ガス導入セルの断面積は、上記排ガス排出セルの断面積と同じであり、
上記第1排ガス導入セルの断面積は、上記第2排ガス導入セルの断面積の20〜50%であることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する際の抵抗と第2排ガス導入セルを通過する際の抵抗に差をつけることができ、圧力損失を効果的に抑制することができる。
第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の20%未満であると、第1排ガス導入セルの断面積が小さくなりすぎ、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する通過抵抗が大きくなり、圧力損失が増加し易い。一方、第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の50%を超えると、両者の通過抵抗の差が小さくなり、圧力損失を小さくすることが難しくなる。
【0088】
本発明のハニカムフィルタでは、上記
ハニカムフィルタのセル同士を隔てるセル隔壁の厚さは、全ての場所において等しいことが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタの全体で上述した効果を奏することができる。
【0089】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルの断面形状は八角形であり、上記第1排ガス導入セルの断面形状は正方形であり、上記第2排ガス導入セルの断面形状は八角形であり、
上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルの断面形状は互いに合同であるとともに、
上記排ガス排出セルの周囲にはセル隔壁を隔てて上記第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとがそれぞれ4つずつ交互に配置されて排ガス排出セルを包囲してなり、
また、排ガス排出セルを包囲している4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各八角形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過する2本の線分の交点は、排ガス排出セルの断面形状である八角形の幾何学的な重心と一致してなり、
かつ、上記4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各八角形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過しない4本は、正方形を構成し、その各辺の中点は排ガス排出セルを包囲している4つの第1排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心と一致するように、
上記排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルがそれぞれ配置されてなるとともに、
上記排ガス排出セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺と、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、上記セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面する辺とは平行であり、
上記排ガス排出セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて上記第2排ガス導入セルと対面する辺と、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、上記セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面する辺とは平行であり、また、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて上記第2排ガス導入セルと対面する辺と、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、上記セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺とは平行であり、かつ上記平行な辺の間の距離は、いずれの組み合わせにおいても互いに等しいことが望ましい。
【0090】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セル、上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルは、いずれも正方形であることが望ましい。
このような上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルが、いずれも正方形である場合であっても、排ガス排出セルと第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとの大きさの関係や位置関係等が異なり、例えば、第1排ガス導入セルの断面の面積は、排ガス排出セルの断面積と比較して小さいので、従来技術で説明したハニカムフィルタ110(
図22参照)とは異なり、上述した本発明の効果を奏することができる。
【0091】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記第2排ガス導入セルの断面積は、上記排ガス排出セルの断面積と同じであり、
上記第1排ガス導入セルの断面積は、上記第2排ガス導入セルの断面積の20〜50%であることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する際の抵抗と第2排ガス導入セルを通過する際の抵抗に差をつけることができ、圧力損失を効果的に抑制することができる。
第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の20%未満であると、第1排ガス導入セルの断面積が小さくなりすぎ、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する通過抵抗が大きくなり、圧力損失が高くなり易い。一方、第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の50%を超えると、両者の通過抵抗の差が小さくなり、圧力損失を低くすることが難しくなる。
【0092】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルの断面形状は正方形であり、上記第1排ガス導入セルの断面形状は正方形であり、上記第2排ガス導入セルの断面形状は正方形であり、
上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルの断面形状は互いに合同であるとともに、
上記排ガス排出セルの周囲にはセル隔壁を隔てて上記第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとがそれぞれ4つずつ交互に配置されて排ガス排出セルを包囲してなり、
また、排ガス排出セルを包囲している4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過する2本の線分の交点は、排ガス排出セルの断面形状である正方形の幾何学的な重心と一致してなり、
かつ、上記4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過しない4本は、正方形を構成し、その各辺の中点は排ガス排出セルを包囲している4つの第1排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心と一致するように、
上記排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルがそれぞれ配置されてなるとともに、
上記排ガス排出セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺と、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、上記セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面する辺とは平行であり、
上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて上記第2排ガス導入セルと対面する辺と、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、上記セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺とは平行であり、かつ上記平行な辺の間の距離は、いずれの組み合わせにおいても互いに等しいことが望ましい。
【0093】
本発明のハニカムフィルタでは、上述したセルの長手方向に垂直な断面に関し、上記多角形からなるセルの頂点部分が、曲線面取り形状となっていることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、セルの頂点部分が曲線面取り形状となっているので、セルの角部に熱等に起因する応力が集中しにくく、クラックが発生しにくい。
【0094】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セル、上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルは、点対称な多角形であって、その辺の数が八本以下の多角形であることが望ましい。
点対称な多角形であって、その辺の数が八本以下の多角形とすることで、排ガスがセルを通過する抵抗を小さくすることができ、圧力損失をより低くすることが可能となる。
【0095】
本発明のハニカムフィルタでは、上記排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類からなり、かつ、
上記排ガス排出セルのセル長手方向に対して垂直方向の断面の断面積は、上記第2排ガス導入セルのセル長手方向に対して垂直方向の断面の断面積と同じであるかそれよりも大きく形成されており、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルと上記排ガス導入セルとは、曲線により構成された形状であり、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さより薄いことが望ましい。
【0096】
本発明のハニカムフィルタにおいて、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さが、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さより薄い場合、初期においては、排ガスは、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁を透過し易く、ある程度、PMが堆積した段階で、第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁を透過するようになる。また、第2排ガス導入セルの断面積は、第1排ガス導入セルの断面積より大きく、排ガス排出セルの断面積は、第2排ガス導入セルの断面積と同じか大きいので、上述した本発明の作用効果を奏する。
【0097】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルと上記排ガス導入セルとは、曲線により構成された形状であり、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さの40〜75%であることが望ましい。
【0098】
本発明のハニカムフィルタにおいて、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さが、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さの40〜75%である場合、初期においては、排ガスは、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁を透過し易く、ある程度、PMが堆積した段階で、第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁を透過するようになる。また、第2排ガス導入セルのセルの断面積は、第1排ガス導入セルのセルの断面積より大きく、排ガス排出セルの断面積は、第2排ガス導入セルの断面積と同じか大きいので、上述した本発明の作用効果を奏する。
【0099】
上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さが、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さの40%未満であると、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さを極めて薄くする必要があるので、ハニカムフィルタの機械的特性が低下する。一方、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さが、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さの75%を超えると、両者のセル隔壁の厚さに大きな差がなくなるため、上述した圧損低減の効果が得られないことがある。
【0100】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セル、上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルは、いずれも円形であることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルの断面形状がいずれも円形であっても、本発明の作用・効果を奏することができる。
【0101】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルおよび上記第2排ガス導入セルの断面形状は、セルの外側に向けて湾曲する4つの曲線から構成された膨潤正方形であり、一方上記第1排ガス導入セルの断面形状は、セルの内側に向けて湾曲する4つの曲線から構成された収縮正方形であることが望ましい。
【0102】
本発明おいて使用される膨潤正方形とは、図形の外側に向けて湾曲する、同じ長さをもつ4つの曲線から構成された図形であり、あたかも正方形の辺がその幾何学的な重心から外側方向へ膨らんだ形状の図形をいう。また、収縮正方形とは、図形の内側へ向けて湾曲する、同じ長さをもつ4つの曲線から構成された図形であり、あたかも正方形の辺がその幾何学的な重心方向に向けて収縮した形状の図形をいう。
【0103】
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルが上述の構成を有するので、排ガス排出セルが第1排ガス導入セルより断面積が大きくなり、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルの大きさの関係も、本発明の関係を有するハニカムフィルタとなる。従って、本発明の作用効果を奏することができる。
【0104】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記第2排ガス導入セルの断面積は、上記排ガス排出セルの断面積と同じであり、
上記第1排ガス導入セルの断面積は、上記第2排ガス導入セルの断面積の20〜50%であることが望ましい。
【0105】
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する際の抵抗と第2排ガス導入セルを通過する際の抵抗に差をつけることができ、圧力損失を効果的に抑制することができる。
【0106】
第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の20%未満であると、第1排ガス導入セルの断面積が小さくなりすぎ、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する通過抵抗が大きくなり、圧力損失が高くなり易い。一方、第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の50%を超えると、両者の通過抵抗の差が小さくなり、圧力損失を低くすることが難しくなる。
【0107】
本発明のハニカムフィルタでは、上記排ガス導入セルとしては、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類のみからなることが望ましい。
第2排ガス導入セルよりも断面積が小さい排ガス導入セルの数が少ない方が導入セルとしての実効的な面積を大きくすることができ、PMを薄く広く堆積させられるからである。
【0108】
本発明のハニカムフィルタは、上記排ガス排出セル、上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルを有し、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成されていることが望ましい。
このような複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成された構造体であっても、一のハニカム焼成体を構成するセルは、本発明の構成となっているので、その集合体も、本発明の効果を奏することができる。
また、各ハニカム焼成体の容積を小さくすることで、製造時および使用時にかかる熱応力を小さくすることができ、クラック等の破損を防ぐことができる。
【0109】
本発明のハニカムフィルタにおいて、ハニカム焼成体の外周壁と外周壁に隣接する排ガス導入セルの形状としては、以下の3パターンがある。
(1)
図14(b)および
図16(a)に示すような、外周壁の厚さが均一でなく、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの断面形状および排ガス排出セルの断面形状が、外周壁に隣接しない第1排ガス導入セルの断面形状および排ガス排出セルの断面形状とそれぞれ同じであるもの。
(2)
図2(a)および
図16(b)に示すような、外周壁の厚さが均一であり、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの断面形状が、外周壁に隣接しない第1排ガス導入セルの断面形状と同じであり、外周壁に隣接する排ガス排出セルの断面形状が、外周壁に隣接しない排ガス排出セルの断面形状に対して、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルにおける外周壁を構成する内壁を繋ぐ直線に合わせて一部欠損したもの。
(3)
図15(d)および
図16(c)に示すような、外周壁の厚さが外周壁に隣接する第1排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの断面形状に合わせて均一であり、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの断面形状および排ガス排出セルの断面形状が、外周壁に隣接しない第1排ガス導入セルの断面形状および排ガス排出セルの断面形状とそれぞれ同じであるもの。すなわち、外周壁が外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの断面形状および排ガス排出セルの断面形状に合わせて屈曲しているもの。
【0110】
本発明のハニカムフィルタでは、上記外周壁は、角部を有し、該角部以外の外周壁の厚さが均一になるように、セルの長手方向に垂直な断面における上記外周壁に隣接する排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの上記外周壁に接する辺は、上記外周壁の外壁をなす辺と平行かつ直線的に形成されていることが望ましい。
このような実施形態のハニカムフィルタは、上記3パターンがある旨の説明における(2)のパターンに該当する。
外周壁によりハニカム焼成体の強度が向上すると共に、ハニカム焼成体における排ガス排出セルと排ガス導入セルの容積比率の部分的なバラツキがより抑えられ、より排ガスの流れが均一になるため、圧力損失を低減させることができる。
【0111】
本発明のハニカムフィルタでは、上記ハニカムフィルタは、ハニカム焼成体から構成されてなり、当該ハニカム焼成体は、炭化ケイ素、または、ケイ素含有炭化ケイ素からなることが望ましい。
上記炭化ケイ素、上記ケイ素含有炭化ケイ素は、耐熱性に優れた材料である。このため、このハニカムフィルタは、耐熱性に優れたハニカムフィルタとなる。
【0112】
本発明のハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタのセル隔壁の厚さは、0.10〜0.46mmであることが望ましい。
上記厚さのセル隔壁は、該ガス中のPMを捕集するのに充分な厚さを有するとともに、圧力損失の増加を効果的に抑制することができる。そのため、本発明のハニカムフィルタでは、上述した本発明のハニカムフィルタとしての効果を充分に奏することができる。
上記セル隔壁の厚さが0.10mm未満では、セル隔壁の厚さが薄くなりすぎるため、ハニカムフィルタの機械的強度が低下する。一方、セル隔壁の厚さが0.46mmを超えると、セル隔壁が厚くなりすぎるため、排ガスがセル隔壁を透過する際の圧力損失が大きくなる。
【0113】
本発明のハニカムフィルタでは、上記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径は、15〜25μmであることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、気孔径40μm以上の気孔を確保できると共に、気孔径10μm以下の気孔を減らすことができるため、圧力損失の増加を抑制しながら、高い捕集効率でPMを捕集することができる。セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が15μm未満であると、気孔径10μm以下の気孔の割合が大きくなり、上記した捕集効率を低減する効果が得られにくくなる。一方、セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が25μmを超えると、気孔径が大きくなりすぎるので、PMの捕集効率向上の効果が小さくなる。
【0114】
本発明のハニカムフィルタでは、外周には、外周コート層が形成されていることが望ましい。
この外周コート層は、内部のセルの機械的に保護する役割を果たす。そのため、圧縮強度等の機械的特性に優れたハニカムフィルタとなる。
【0115】
本発明のハニカムフィルタでは、
ハニカムフィルタを構成するセルの長手方向に垂直な断面形状に関し、
上記第1排ガス導入セル、上記第2排ガス導入セルおよび上記排ガス排出セルは、排ガス入口側の端部から排ガス出口側の端部にかけて目封止部分を除き、それぞれのセルにおける全ての場所において同じであり、上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルの断面形状は互いに異なり、かつ上記排ガス排出セルおよび上記第1排ガス導入セルの断面形状もまた互いに異なっていることが望ましい。この異なるというのは、すなわち合同ではないということであり、しかし相似形は含む趣旨である。すなわち、断面形状が相似形である場合には、断面形状が互いに異なると解釈される。
第1排ガス導入セルそれ自体は、どの断面を見ても同じ形状であり、第2排ガス導入セルおよび排ガス排出セルもまた、それぞれ、どの断面を見ても同じ形状であるが、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルを比較した場合、それらの断面形状は互いに異なり、また、排ガス排出セルおよび第1排ガス導入セルの断面形状を比較した場合もまた互いに異なっている。
【0116】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に対して垂直な断面に関して、下記セル構造を1つのセルユニットとして、このセルユニットが、下記セル構造における排ガス排出セルの周囲に配置される第1排ガス導入セルおよび第2排ガスセルを互いに共有しながら、2次元的に繰り返されることにより、ハニカムフィルタを構成していることが望ましい。
セル構造:排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて排ガス導入セルが隣接してなり、上記排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類からなるとともに、上記排ガス排出セルのセル長手方向に対して垂直な断面の断面積は、上記第2排ガス導入セルのセル長手方向に対して垂直な断面の断面積と同じであるかそれよりも大きく形成されてなり、セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルおよび上記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さが、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さよりも長いか、もしくは、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうちいずれか一辺は、上記排ガス排出セルと対面し、かつ上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺はいずれも上記排ガス排出セルと対面しないセル構造
または、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルと上記排ガス導入セルとは、曲線により構成された形状であり、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さよりも薄いセル構造
【0117】
上記セルユニットが2次元的に繰り返されて大きな容積のフィルタが構成されるからである。フィルタには外周壁が存在しており、当然セルユニットはこの外周壁から外へは広がらない。このため、セルユニットはこの外周壁の形状に合わせて適宜欠損を受ける。