特許第6239307号(P6239307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239307
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】ハニカムフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/20 20060101AFI20171120BHJP
   B01D 46/00 20060101ALI20171120BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20171120BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20171120BHJP
   B28B 11/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B01D39/20 D
   B01D46/00 302
   F01N3/022 C
   C04B38/00 303Z
   B28B11/00
【請求項の数】28
【全頁数】59
(21)【出願番号】特願2013-159938(P2013-159938)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-29941(P2015-29941A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】三輪 勇樹
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−095827(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/024294(WO,A1)
【文献】 特開昭58−196820(JP,A)
【文献】 特開2010−131586(JP,A)
【文献】 特表2011−506093(JP,A)
【文献】 特開2004−000896(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/126335(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/186922(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/187444(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D39/00−39/20
B01D46/00−46/54
F01N3/02−3/05
C04B38/00−38/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁を備え、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セルと、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セルとを備えてなり、前記排ガス導入セルおよび前記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、目封止部分を除き前記排ガス入口側の端部から前記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおける全ての場所において同じであるハニカムフィルタであって、
前記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて前記排ガス導入セルが隣接してなり、前記排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類からなり、かつ、
前記排ガス排出セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積は、前記第2排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積と同じであるかそれよりも大きく形成されており、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セルおよび前記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、前記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、前記排ガス排出セルと対面している辺の長さが、前記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、前記排ガス排出セルと対面している辺の長さよりも長いか、もしくは、前記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうちいずれか一辺は、前記排ガス排出セルと対面し、かつ前記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺はいずれも前記排ガス排出セルと対面しておらず、
前記第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下であることを特徴とするハニカムフィルタ。
【請求項2】
前記第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.5mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のハニカムフィルタ。
【請求項3】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セルおよび前記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、前記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セルと対面している辺の長さは、前記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、前記排ガス排出セルと対面している辺の長さの0.8倍以下である請求項1または2に記載のハニカムフィルタ。
【請求項4】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セルは、八角形であり、前記第1排ガス導入セルは正方形であり、前記第2排ガス導入セルは、八角形である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項5】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記第2排ガス導入セルの断面積は、前記排ガス排出セルの断面積と同じであり、
前記第1排ガス導入セルの断面積は、前記第2排ガス導入セルの断面積の40〜70%である請求項1〜4のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項6】
前記ハニカムフィルタのセル同士を隔てるセル隔壁の厚さは、全ての場所において等しい請求項1〜5のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項7】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セルの断面形状は八角形であり、前記第1排ガス導入セルの断面形状は正方形であり、前記第2排ガス導入セルの断面形状は八角形であり、
前記第2排ガス導入セルと前記排ガス排出セルの断面形状は互いに合同であるとともに、
前記排ガス排出セルの周囲にはセル隔壁を隔てて前記第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとがそれぞれ4つずつ交互に配置されて排ガス排出セルを包囲してなり、
また、排ガス排出セルを包囲している4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各八角形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過する2本の線分の交点は、排ガス排出セルの断面形状である八角形の幾何学的な重心と一致してなり、
かつ、前記4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各八角形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過しない4本は、正方形を構成し、その各辺の中点は排ガス排出セルを包囲している4つの第1排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心と一致するように、
前記排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルがそれぞれ配置されてなるとともに、
前記排ガス排出セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺と、前記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、前記セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面する辺とは平行であり、
前記排ガス排出セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて前記第2排ガス導入セルと対面する辺と、前記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、前記セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面する辺とは平行であり、また、前記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて前記第2排ガス導入セルと対面する辺と、前記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、前記セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺とは平行であり、かつ前記平行な辺の間の距離は、いずれの組み合わせにおいても互いに等しい請求項4〜6のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項8】
前記外周壁は、角部を有し、該角部以外の外周壁の厚さが均一になるように、セルの長手方向に垂直な断面における前記外周壁に隣接する排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの前記外周壁に接する辺は、前記外周壁の外壁をなす辺と平行かつ直線的に形成されている請求項1〜7のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項9】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セル、前記第1排ガス導入セルおよび前記第2排ガス導入セルは、いずれも正方形である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項10】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記第2排ガス導入セルの断面積は、前記排ガス排出セルの断面積と同じであり、
前記第1排ガス導入セルの断面積は、前記第2排ガス導入セルの断面積の40〜70%である請求項9に記載のハニカムフィルタ。
【請求項11】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セルの断面形状は正方形であり、前記第1排ガス導入セルの断面形状は正方形であり、前記第2排ガス導入セルの断面形状は正方形であり、
前記第2排ガス導入セルと前記排ガス排出セルの断面形状は互いに合同であるとともに、
前記排ガス排出セルの周囲にはセル隔壁を隔てて前記第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとがそれぞれ4つずつ交互に配置されて排ガス排出セルを包囲してなり、
また、排ガス排出セルを包囲している4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過する2本の線分の交点は、排ガス排出セルの断面形状である正方形の幾何学的な重心と一致してなり、
かつ、前記4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過しない4本は、正方形を構成し、その各辺の中点は排ガス排出セルを包囲している4つの第1排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心と一致するように、
前記排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルがそれぞれ配置されてなるとともに、
前記排ガス排出セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺と、前記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、前記セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面する辺とは平行であり、
前記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて前記第2排ガス導入セルと対面する辺と、前記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、前記セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺とは平行であり、かつ前記平行な辺の間の距離は、いずれの組み合わせにおいても互いに等しい請求項9又は10に記載のハニカムフィルタ。
【請求項12】
前記外周壁は、角部を有し、該角部以外の外周壁の厚さが均一になるように、セルの長手方向に垂直な断面における前記外周壁に隣接する排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの前記外周壁に接する辺は、前記外周壁の外壁をなす辺と平行かつ直線的に形成されている請求項9〜11のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項13】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記多角形からなるセルの頂点部分は、曲線面取り形状となっている請求項1〜12のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項14】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セル、前記第1排ガス導入セルおよび前記第2排ガス導入セルは、点対称な多角形であって、その辺の数が八本以下の多角形である請求項1〜13のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項15】
排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁を備え、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セルと、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セルとを備えてなり、前記排ガス導入セルおよび前記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、目封止部分を除き前記排ガス入口側の端部から前記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおける全ての場所において同じであるハニカムフィルタであって、
前記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて前記排ガス導入セルが隣接してなり、前記排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類からなり、かつ、
前記排ガス排出セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積は、前記第2排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積と同じであるかそれよりも大きく形成されており、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セルと前記排ガス導入セルとは、曲線により構成された形状であり、
前記第1排ガス導入セルと前記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、前記第2排ガス導入セルと前記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さより薄く、
前記第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下であることを特徴とするハニカムフィルタ。
【請求項16】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セルと前記排ガス導入セルとは、曲線により構成された形状であり、前記第1排ガス導入セルと前記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、前記第2排ガス導入セルと前記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さの40〜75%である請求項15に記載のハニカムフィルタ。
【請求項17】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セル、前記第1排ガス導入セルおよび前記第2排ガス導入セルは、いずれも円形である請求項15または16に記載のハニカムフィルタ。
【請求項18】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記排ガス排出セルおよび前記第2排ガス導入セルの断面形状は、セルの外側に向けて湾曲する4つの曲線から構成された膨潤正方形であり、一方前記第1排ガス導入セルの断面形状は、セルの内側に向けて湾曲する4つの曲線から構成された収縮正方形である請求項15または16に記載のハニカムフィルタ。
【請求項19】
セルの長手方向に垂直な断面に関し、
前記第2排ガス導入セルの断面積は、排ガス排出セルの断面積と同じであり、
前記第1排ガス導入セルの断面積は、前記第2排ガス導入セルの断面積の40〜70%である請求項15〜18のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項20】
前記排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類のみからなる請求項1〜19のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項21】
前記ハニカムフィルタは、
前記排ガス排出セル、前記第1排ガス導入セルおよび前記第2排ガス導入セルを有し、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成されている請求項1〜20のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項22】
前記ハニカムフィルタは、ハニカム焼成体から構成されてなり、当該ハニカム焼成体は、炭化ケイ素、または、ケイ素含有炭化ケイ素からなる請求項1〜21のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項23】
前記セル隔壁の厚さは、0.10〜0.46mmである請求項1〜22のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項24】
前記セル隔壁の気孔率は、40〜65%である請求項1〜23のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項25】
前記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径は、8〜25μmである請求項1〜24のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項26】
外周には、外周コート層が形成されている請求項1〜25のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項27】
前記ハニカムフィルタを構成するセルの長手方向に垂直な断面形状に関し、
前記第1排ガス導入セル、前記第2排ガス導入セルおよび前記排ガス排出セルは、排ガス入口側の端部から排ガス出口側の端部にかけて目封止部分を除き、それぞれのセルにおける全ての場所において同じであり、前記第1排ガス導入セルおよび前記第2排ガス導入セルの断面形状は互いに異なり、かつ前記排ガス排出セルおよび前記第1排ガス導入セルの断面形状もまた互いに異なる請求項1〜26のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項28】
セルの長手方向に対して垂直な断面に関し、下記セル構造を1つのセルユニットとして、このセルユニットが、下記セル構造における排ガス排出セルの周囲に配置される第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルを互いに共有しながら、2次元的に繰り返されることにより、ハニカムフィルタを構成する請求項1〜27のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
セル構造:排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて排ガス導入セルが隣接してなり、前記排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類からなるとともに、前記排ガス排出セルのセル長手方向に対して垂直な断面の断面積は、前記第2排ガス導入セルのセル長手方向に対して垂直な断面の断面積と同じであるかそれよりも大きく形成されてなり、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、前記排ガス排出セルおよび前記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、前記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、前記排ガス排出セルと対面している辺の長さが、前記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、前記排ガス排出セルと対面している辺の長さよりも長いか、もしくは、前記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうちいずれか一辺は、前記排ガス排出セルと対面し、かつ前記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺はいずれも前記排ガス排出セルと対面しないセル構造
または、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、前記排ガス排出セルと前記排ガス導入セルとは、曲線により構成された形状であり、前記第1排ガス導入セルと前記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、前記第2排ガス導入セルと前記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さよりも薄いセル構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、すす等のパティキュレート(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境または人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HCまたはNOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境または人体に及ぼす影響についても懸念されている。
【0003】
そこで、内燃機関と連結されることにより排ガス中のPMを捕集したり、排ガスに含まれるCO、HCまたはNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、コージェライトや炭化ケイ素等の多孔質セラミックからなるハニカム構造のフィルタ(ハニカムフィルタ)が種々提案されている。
【0004】
また、内燃機関の燃費を改善し、圧力損失の上昇に起因する運転時のトラブル等をなくすために、セル構造の改良により、初期の圧力損失が低いハニカムフィルタや、所定量のPMが堆積した際に圧力損失の上昇割合が低いハニカムフィルタが種々提案されている。
【0005】
このようなフィルタを開示した発明として、特許文献1および特許文献2が挙げられる。
図17(a)は、特許文献1に記載のハニカムフィルタを模式的に示した斜視図であり、図17(b)は、上記ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図である。
【0006】
特許文献1には、図17(a)〜(b)に示すように、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セル102と、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セル101とを備え、排ガス排出セル101のセルの長手方向に垂直な断面の断面形状が正方形、排ガス導入セル102のセルの長手方向に垂直な断面の断面形状が八角形で、これら排ガス排出セル101と排ガス導入セル102とが交互に(チェックパターンに)配置されたハニカム焼成体100が複数個接着材層105により結束され、外周に外周コート層106が形成されたハニカムフィルタ90が開示されている。
【0007】
以下、本明細書においては、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止されたセルを、単に、排ガス排出セルと表記する。また、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止されたセルを、単に、排ガス導入セル、第1排ガス導入セル、第2排ガス導入セルと表記する。
単に、セルと記載した場合は、排ガス排出セルおよび排ガス導入セルの両方を示す。
【0008】
さらに、排ガス導入セル、排ガス排出セル等のセルの長手方向に対して垂直方向の断面を、単に、排ガス導入セル、排ガス排出セル等の断面と表記する。
【0009】
図18(a)は、特許文献2に記載のハニカムフィルタを模式的に示した斜視図であり、図18(b)は、上記ハニカムフィルタの端面を模式的に示した端面図である。
特許文献2には、図18(a)〜(b)に示すような、各セルの断面の断面形状が全て同じ正方形のハニカムフィルタであって、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セル111の周囲全体に排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セル112、114がセル隔壁113を隔てて隣接するハニカムフィルタ110が開示されている。なお、断面の形状に関し、排ガス導入セル112は、排ガス排出セル111とセル隔壁113を隔てた1辺が対面しているが、排ガス導入セル114は、排ガス排出セル111と角部同士が対向する関係にあり、排ガス導入セル114の断面形状を構成する辺は、いずれも排ガス排出セル111と対面していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2004/024294号
【特許文献2】米国特許第4417908号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般的にハニカムフィルタにPMが堆積すると圧力損失が増大し、出力の低下や燃費の悪化を招くため、一定時間ごとに堆積したPMを燃焼除去する、いわゆるハニカムフィルタの再生が行われる。PMの燃焼による発熱でハニカムフィルタに破損等が起こらないように、あらかじめハニカムフィルタの特性を考慮して、再生限界値が決められており、この再生のタイミングは、走行距離、走行時間、燃料噴射量、そしてハニカムフィルタの圧力損失を総合的に勘案して実行されている。
【0012】
特許文献1および特許文献2に開示されたハニカムフィルタは、PMがハニカムフィルタに堆積する前の初期圧損が高いが、PMが堆積する排ガス導入セルの表面積を大きくすることで、PMが堆積することによる圧力損失の上昇率を低く抑えることができる。
【0013】
しかしながら、稀にシステムエラーによる、上記ハニカムフィルタの再生のタイミングのズレや、直前のハニカムフィルタの再生処理時のPMの燃え残り状態などによって、想定以上の量のPMがハニカムフィルタに堆積してしまう、所謂、過捕集が発生することがある。そのような状況において、圧力損失の上昇率が低いハニカムフィルタでは、上述した多量のPMがハニカムフィルタに堆積する過捕集が発生してしまい、再生した際にPMの燃焼による発熱量が大きく、クラックや溶損が発生してしまうといった問題があった。
【0014】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、通常使用時には圧力損失が低く、ある程度以上PMが堆積すると圧力損失が急上昇するため、過捕集が発生しにくく、再生によってハニカムフィルタにクラックの発生や溶損が発生しないハニカムフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成するために、ハニカムフィルタの圧力損失による燃費悪化と再生処理時の燃料噴射による燃費悪化との関係およびこれらとハニカムフィルタの再生限界値との関係について種々検討した結果、再生のタイミングはハニカムフィルタにPMが6〜10g/L(ハニカムフィルタの見かけ体積1LあたりにPMが6〜10g)堆積した時が最も望ましいということを突き止めた。また、PMが堆積した後の排ガス導入セルの開口面積が0.4mm程度になると、排ガスが排ガス導入セルを通過するときの通過抵抗が急激に上昇することを突き止め、ハニカムフィルタに堆積したPMの密度にもよるが、ハニカムフィルタにPMが6〜10g/L堆積した時に、排ガス導入セルの一部の開口面積が、急激に減少する状態になるようにする方法をとることが好ましいとの結論に至った。そして、セル構造を圧力損失が上昇しにくいセル構造とするとともに、排ガス導入セルの一部について、その断面積を所定の値以下に設定することにより、ハニカムフィルタに6〜10g/L程度のPMが堆積するまでは圧力損失が低く、6〜10g/LPMが堆積すると、圧力損失が急上昇するハニカムフィルタを実現することができることを見出し本発明に到達したものである。
【0016】
すなわち、本発明のハニカムフィルタは、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁を備え、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セルと、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セルとを備えてなり、上記排ガス導入セルおよび上記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、目封止部分を除き上記排ガス入口側の端部から上記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおける全ての場所において同じであるハニカムフィルタであって、上記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて上記排ガス導入セルが隣接してなり、上記排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類からなり、かつ、上記排ガス排出セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積は、上記第2排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積と同じであるかそれよりも大きく形成されており、上記第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下であることを特徴とする。
【0017】
本発明のハニカムフィルタでは、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下であるため、ハニカムフィルタにPMが6〜10g/L堆積すると、第1排ガス導入セルの開口が狭くなり、これに起因して圧力損失が急上昇する。一方で、後で詳述するように、排ガス排出セルの断面積が大きいことに起因して、排ガスが排ガス排出セルを通過する通過抵抗およびハニカムフィルタから流出する際の流出抵抗が小さく、また、第2排ガス導入セルの断面積が、第1排ガス導入セルよりも断面積が大きいことに起因して、PMが第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルに広く薄く堆積する。このため、上記した圧力損失の急上昇が起こるPMの堆積量(PMの堆積量が6〜10g/Lとなる)となるまでの圧力損失を低く保つことができる。PMは、上述したように、断面積の異なる排ガス導入セル(第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セル)の内壁にも、ほぼ均一の厚さで堆積されていくので、このように一部の排ガス導入セルのみの断面積を小さくすることにより、PM堆積量が6〜10g/Lに達すると、上記一部の排ガス導入セルの排ガス入口側の開口がほぼ塞がれた状態にすることができ、これにより圧力損失を急上昇させることができ、確実に適切な時期に再生処理を行うことができる。従って、本発明のハニカムフィルタでは、過捕集が発生しにくく、再生により発熱量が大きくなりにくく、ハニカムフィルタにクラックや溶損が発生しにくい。
【0018】
以下に、ハニカムフィルタにPMが6〜10g/L堆積するまでの圧力損失を低く保つことができる理由を詳述する。
本発明者らは、圧力損失は、(a)排ガスがハニカムフィルタに流入する際の流入抵抗、(b)排ガス導入セルの通過抵抗、(c)セル隔壁の透過抵抗、(d)堆積したPM層を排ガスが透過する際に生じる透過抵抗、(e)排ガス排出セルの通過抵抗、(f)排ガスがハニカムフィルタから流出する際の流出抵抗、により発生すると考えている。また、本発明者らの研究により、PMが堆積する前の初期圧損は、(c)、(e)および(f)が支配因子であること、および、一定量PMが堆積した後に発生する過渡圧損は、(a)、(b)および(d)が支配因子であることを突き止めている。なお、初期圧損の支配因子の一つとして(b)排ガス導入セルの通過抵抗ではなく、(e)排ガス排出セルの通過抵抗が挙げられる理由は、排ガス導入セルによるハニカムフィルタの開口率より排ガス排出セルによるハニカムフィルタの開口率が小さいことに起因している。同様に、初期圧損の支配因子として(a)排ガスがハニカムフィルタに流入する際の流入抵抗ではなく、(f)排ガスがハニカムフィルタから流出する際の流出抵抗が挙げられる理由は、ガスを圧縮する抵抗よりもガスがセルから排出されて急速膨張する際にセル出口付近に渦流が発生し、この渦流が排ガスの流出を阻害することにより生じる抵抗の方が高いためであると推測している。
【0019】
初期圧損を低下させるためには、排ガスの通過抵抗ならびに流出抵抗を下げる必要があることから、急速膨張を抑制するために排ガス排出セルの断面積を排ガス導入セルのそれと同じかそれより相対的に大きくする必要があり、一方、過渡圧損を低下させるためには、PMを広く薄く堆積させる必要があることから、排ガス導入セルの断面積を排ガス排出セルのそれよりも相対的に大きくしなければならない。即ち、排ガス導入セルとして、断面積が大きなもの(第2排ガス導入セル)と断面積が小さなもの(第1排ガス導入セル)の2種類を採用するとともに、その断面積が第2排ガス導入セルと同じか相対的に大きな排ガス排出セルを採用する必要があるが、本発明のハニカムフィルタでは、排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類からなり、排ガス排出セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積は、前記第2排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積と同じであるかそれよりも大きく形成されている。
また、排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて排ガス導入セルを配置しているので、排ガス出口側の排ガス排出セルの近くの周囲には他の排ガスが流出する開口が存在せず、排ガスが流出する際に大きな渦流等が発生しにくい。そのため、(f)の流出抵抗を低くすることができる。また、セル隔壁全体をろ過面積として利用できるため、PMが排ガス導入セルのセル隔壁の内壁に薄く均等に堆積し易くなり、(d)のPM層の透過抵抗を低くすることができる。このため、初期において圧力損失が低く、PMが6〜10g/L堆積するまで圧力損失が上昇しにくいハニカムフィルタとすることができる。
【0020】
本発明のハニカムフィルタは、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.5mm以上であることが望ましい。
【0021】
第1排ガス導入セルの断面積が0.5mm未満であると、PMが6g/L堆積する前に第1排ガス導入セルの開口面積が小さくなりすぎ、過捕集を迎える前に圧力損失が高くなってしまうからである。
【0022】
本発明のハニカムフィルタでは、上記構成に加え、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルおよび上記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さが、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さよりも長いか、もしくは、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうちいずれか一辺は、上記排ガス排出セルと対面し、かつ上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺はいずれも上記排ガス排出セルと対面しないことが望ましい。
【0023】
上記構成のハニカムフィルタでは、上記排ガス排出セルおよび上記排ガス導入セルのセルの長手方向に垂直な断面がいずれも多角形であるが、上記排ガス排出セル及び上記排ガス導入セルが上記のように構成されていると、初期の圧力損失を従来のハニカムフィルタに比べてより低くすることができるとともに、かなりの量のPMがセル隔壁に堆積した段階においても、圧力損失の上昇割合が小さく、初期からPMの堆積量が6〜10g/Lとなるまでの間、圧力損失を低く維持することができる。
【0024】
なお、本発明でいうセルの断面形状とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの各セル内壁で構成される形状をいう。
また、本発明でいう断面積とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの各セル内壁で構成される断面形状の面積をいう。なお、セル内壁とはセルを構成するセル隔壁の表面のうち、セルの内部側の表面部分をいう。
【0025】
さらに、本発明でいう辺とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの各セル内壁で構成される断面形状が多角形である場合に、その多角形の頂点間の線分を辺という。
また、本発明でいうセルの容積とは、セルの目封止部分を除き、内壁で囲まれた部分の容積のことをいい、総容積とは、それらの総和のことをいう。上記セルの容積は、該当するセルの断面積と目封止部を除いたセルの長さとの積で計算するものとする。
【0026】
また、辺の長さとはその線分の長さをいい、頂点部分が曲線によって構成されるいわゆる面取り形状となっている場合には、その曲線部分を除外した直線部分の長さをいう。
頂点部分が曲線となっている場合には、その曲線部位においては、セル間を隔てるセル壁が厚くなっていることから透過抵抗が高くなり、排ガスは直線部分に優先的に流れ込むため、この直線部分の長さを調整する必要があることから、曲線部分を除外して考えた方が妥当だからである。
なお、曲線部分を除外した直線部分の辺の長さは、多角形の直線部分を仮想的に延長し、この仮想の直線同士が交差する交点を仮想的な頂点とするとき、この仮想的な頂点間を結んで構成される仮想的な辺の長さの80%以上とすることが望ましい。セルの断面形状が多角形状の場合には、辺の長さが仮想的な辺の長さの80%以上であれば、辺の長さを調整することで本発明の作用効果である主流路スイッチの効果を実現できるからである。
【0027】
本発明のハニカムフィルタにおいて、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セルと対面している辺とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルのセル内壁で構成される多角形の辺について、これらの辺を2等分する仮想的な垂線(以下、垂直二等分線という)を、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの外側へ向かって描いた場合に、垂直二等分線が、セル隔壁を隔ててそれら第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの辺と隣接する排ガス排出セルのセル内壁で構成される図形領域と交わる場合に、その辺は排ガス排出セルと対面しているという。
この場合、排ガス排出セルと対面する辺を有する第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルは、排ガス排出セルと対面しているという。
【0028】
また、本発明のハニカムフィルタにおいて、排ガス排出セルの断面形状を構成する辺のうち、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルと対面する辺とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セルのセル内壁で構成される多角形の辺について、これらの辺を2等分する仮想的な垂線(以下、垂直二等分線という)を排ガス排出セルの外側へ向かって描いた場合に、垂直二等分線が、セル隔壁を隔ててその排ガス排出セルの辺と隣接するセル第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルのセル内壁で構成される図形領域と交わる場合に、その辺は第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルと対面しているという。
この場合、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルと対面する辺を有する排ガス排出セルは、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルと対面しているという。
【0029】
さらに、本発明のハニカムフィルタにおいて、第1排ガス導入セルを構成する辺のうち、第2排ガス導入セルと対面する辺とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、第1排ガス導入セルのセル内壁で構成される多角形の辺について、これらの辺を2等分する仮想的な垂線(以下、垂直二等分線という)を第1排ガス導入セルの外側へ向かって描いた場合に、垂直二等分線が、セル隔壁を隔ててその第1排ガス導入セルの辺と隣接する第2排ガス導入セルのセル内壁で構成される図形領域と交わる場合に、その辺は第2排ガス導入セルと対面しているという。
この場合、第2排ガス導入セルと対面する辺を有する第1排ガス導入セルは、第2排ガス導入セルと対面しているという。
【0030】
また、本発明のハニカムフィルタにおいて、第2排ガス導入セルを構成する辺のうち、第1排ガス導入セルと対面する辺とは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、第2排ガス導入セルのセル内壁で構成される多角形の辺について、これらの辺を2等分する仮想的な垂線(以下、垂直二等分線という)を第2排ガス導入セルの外側へ向かって描いた場合に、垂直二等分線が、セル隔壁を隔ててその第2排ガス導入セルの辺と隣接する第1排ガス導入セルのセル内壁で構成される図形領域と交わる場合に、その辺は第1排ガス導入セルと対面しているという。
この場合、第1排ガス導入セルと対面する辺を有する第2排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルと対面しているという。
【0031】
また、本発明のハニカムフィルタにおいては、2つのセル間を隔てるセル隔壁の厚さは、次のように定義される。
すなわち、セルの長手方向に垂直な断面において、セル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心を2つのセルについてそれぞれ求め、その重心間を結ぶ直線を描き、直線がセル隔壁領域と重なる部分の線分の長さをセル隔壁の厚さとする。なお、セルはいうまでもなく空間であるが、ここでいう重心はセル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心を意味しており、セルのような空間の断面図形であっても重心の定義は可能である。
【0032】
本発明のハニカムフィルタにおいて使用する“隣接する”の意味は、日本語における“隣接”の意味そのままである。この”隣接“は、排ガス導入セルが多孔質のセル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面するように配置される場合のみならず、排ガス導入セルが排ガス排出セルと対面しない場合であっても、多孔質のセル隔壁を隔てて、排ガス排出セルの斜向かいに排ガス導入セルが配置される場合にも使われる。日本語においては、”隣接“の言葉の用例として”格子が斜めに隣接している“という表現が許されている。
【0033】
排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が多角形であり、多孔質のセル隔壁を隔てて、排ガス導入セルが排ガス排出セルと対面するように配置される場合とは、具体的には図2および図4に示すような場合であり、図2および図4では第2排ガス導入セル14が多孔質のセル隔壁13を隔てて排ガス排出セル11と対面している。また、排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が円や楕円であり、排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの断面形状である円弧によって一つの多孔質のセル隔壁が構成されるのであれば(3次元的に言えば、排ガス排出セルの内壁曲面と排ガス導入セルの内壁曲面が、1つの多孔質のセル隔壁の表面と裏面を構成している場合)、排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が多角形である場合に準じて、多孔質のセル隔壁を隔てて、排ガス導入セルが排ガス排出セルと対面するように配置されていると解する。具体的には図14に示すような場合であり、図14では第2排ガス導入セル54が多孔質のセル隔壁53を隔て排ガス排出セル51と対面しているとして扱う。
【0034】
また、排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が多角形であり、排ガス導入セルと排ガス排出セルが対面せず、多孔質のセル隔壁を隔てて、排ガス排出セルの斜向かいに排ガス導入セルが配置される場合とは、具体的には図12に示すような場合であり、図12では第2排ガス導入セル44と排ガス排出セル41は互いに対面することなく、多孔質のセル隔壁43を隔て第2排ガス導入セル44が排ガス排出セル41の斜向かいに配置されている。
【0035】
なお、排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が、円や楕円を除く、曲線で構成される図形である場合、曲線と曲線の交点を頂点、これら頂点間の曲線を辺として扱い、排ガス排出セルまたは排ガス導入セルの断面形状を構成する辺(曲線)について、これを2等分し、辺の両端の頂点を結ぶ直線に垂直な仮想的な垂線を排ガス排出セルまたは排ガス導入セルの外側へ向かって描いた場合に、当該垂線が、セル隔壁を隔てて最も近い排ガス導入セルまたは排ガス排出セルのセル内壁で構成される図形領域と交わる場合に、排ガス排出セルまたは排ガス導入セルの辺(曲線)は、排ガス導入セルまたは排ガス排出セルと対面するとして扱う。さらに、排ガス排出セルまたは排ガス導入セルは、排ガス導入セルまたは排ガス排出セルと対面するという。また、頂点に相当する部分がいわゆる面取り形状となっているような場合は、曲線を延長し、延長線同士が交わる仮想的な交点を便宜的に頂点とみなす。
【0036】
排ガス導入セルと排ガス排出セルの断面形状が、円や楕円を除く、曲線で構成される図形である場合、排ガス導入セルと排ガス排出セルが対面せず、多孔質のセル隔壁を隔てて、排ガス排出セルの斜向かいに排ガス導入セルが配置される場合とは、具体的には図15に示すような場合であり、図15では第2排ガス導入セル64と排ガス排出セル61は互いに対面することなく、多孔質のセル隔壁63を隔て第2排ガス導入セル64が排ガス排出セル61の斜向かいに配置されている。
【0037】
請求項1の“前記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて、前記排ガス導入セルが隣接してなり、”を英語に逐語訳すると“each exhaust gas emission cell is enclosed all around by the adjacent exhaust gas introduction cells across the porous cell walls”となる。
なお、“斜向かいに配置する”とは、排ガス排出セルと排ガス導入セルとが対面せず、排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面において、当該排ガス排出セル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心と当該断面図形の頂点(断面形状の頂点部分が面取形状となっている場合には、断面形状を構成する辺(直線または曲線)を仮想的に延長して、その延長線の交点を頂点とみなす)を結んだ仮想線の一つと、排ガス導入セルの長手方向に垂直な断面において、当該排ガス導入セル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心とセルの頂点(断面形状の頂点部分が面取形状となっている場合には、断面形状を構成する辺(直線または曲線)を仮想的に延長して、その延長線の交点を頂点とみなす)を結んだ仮想線の一つが互いに平行になるか、互いに重なるように排ガス導入セルと排ガス排出セルが配置されることをいう。なお、複数の仮想線のうち一対の仮想線が互いに平行になるか、互いに重なれば、他の仮想線同士が所定角度(例えば90°)で交わっていてもよい。
また、上記”隣接(adjacent)“の説明では、「排ガス導入セル」は、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルを総称している。
【0038】
次に、図面に基づき、セルと対面している辺、および、2つのセル間を隔てるセル隔壁の厚さに関する説明を行う。
図1は、本発明の一実施形態に係るハニカムフィルタの端面の一部を拡大して示した拡大端面図であり、排ガス排出セル11およびその周囲に存在する第1排ガス導入セル12および第2排ガス導入セル14が表示されている。
【0039】
第1排ガス導入セル12または第2排ガス導入セル14の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺とは、図1に示すセルの長手方向に垂直な断面に関し、第1排ガス導入セル12または第2排ガス導入セル14のセル内壁で構成される多角形の辺12a、14aについて、これらの辺を2等分する仮想的な垂線(以下、垂直二等分線という)を、第1排ガス導入セル12または第2排ガス導入セル14の外側へ向かって描いた場合に、垂直二等分線A、垂直二等分線Bが、図1に示すように、セル隔壁を隔ててそれら第1排ガス導入セル12または第2排ガス導入セル14の辺12a、14aと隣接する排ガス排出セル11のセル内壁で構成される図形領域(辺11a、11b)と交わる場合に、辺12a、14aは排ガス排出セル11と対面しているという。
【0040】
本発明において、垂直二等分線の交わりをもって対面しているとする理由は、辺の長さ方向について中央付近、つまり排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てるセル隔壁の中央部分を排ガスが透過する際に受ける透過抵抗が、隔壁全体を排ガスが透過することで発生する圧力損失を代表しているからである。
【0041】
本発明においては、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルまたは第2排ガス導入セルの各セル内壁で構成される断面形状が多角形である場合に、その多角形の頂点部分が曲線によって構成されるいわゆる面取り形状となっている場合には、各辺の垂直二等分線は、当該曲線を除外した線分の垂直二等分線とする。
また、頂点部分が曲線によって構成されるいわゆる面取り形状となっている場合には、この曲線は辺として扱わない。また、断面形状の頂点部分が面取形状となっている場合には、断面形状を構成する辺を仮想的に延長して、その延長線の交点を頂点とみなして多角形として扱う。
押し出し成形によりハニカムフィルタを製造する場合には、セルの長手方向に垂直な断面の形状が多角形である場合に、その頂点部分に応力が集中しないように、頂点部分を曲線で構成する場合があり、そのような頂点部分が曲線で構成される場合であっても多角形として取り扱う趣旨である。
【0042】
2つのセル間を隔てるセル隔壁の厚さは、次のように定義される。
すなわち、図1に示すセルの長手方向に垂直な断面において、セル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心を2つのセルについてそれぞれ求め(図1では、排ガス排出セル11の重心をO11、第2排ガス導入セル14の重心をO14とし)、その重心間を結ぶ直線Z14を描き、直線Z14がセル隔壁領域と重なる部分の線分の長さDをセル隔壁の厚さとする。なお、セルはいうまでもなく空間であるが、ここでいう重心はセル内壁により構成される断面図形の幾何学的な重心を意味しており、セルのような空間の断面図形であっても重心の定義は可能である。
【0043】
セル隔壁の厚さを上記のように定義した理由は、以下の通りである。ガスがセル隔壁を透過する際の抵抗が最も高くなるのは、セル隔壁を透過するガスの流速の最も高い部分であり、その部分の透過抵抗がセル隔壁の透過抵抗を代表できる。ハニカムフィルタの長手方向に対するガスの流速は、セル内壁により構成される断面形状の幾何学的な重心に相当する位置が最も高く、セルの断面において同心円状に低くなるため、排ガス導入セルと排ガス排出セルの重心間を結ぶ線とセル隔壁との交点が、セル隔壁を透過するガスの流速の最も高い部分にあたる。このように圧力損失の面で考えた時には、重心間を結ぶ直線を描き、直線がセル隔壁領域と重なる部分の線分の長さDをセル隔壁の厚さと定義することは、理にかなっているといえる。
【0044】
なお、本発明においては、セルの辺の長さおよびセル隔壁の厚さの測定、セル断面形状の特定は、電子顕微鏡写真を用いて行う。電子顕微鏡写真の撮影は、電子顕微鏡(FE-SEM:日立ハイテクノロジーズ社製 高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 S-4800)にて行う。
また、電子顕微鏡写真の拡大倍率は、セルを構成するセル隔壁の表面(内壁)の粒子や気孔の凹凸が、セルの断面形状の特定や、辺の長さ、隔壁厚さおよびセルの断面積の計測に支障にならない程度の倍率であり、かつセルの断面形状の特定や、辺の長さ、セル隔壁の厚さおよびセルの断面積の計測が可能となる倍率を採用することが必要であり、拡大倍率30倍の電子顕微鏡写真を用いて計測することが最適である。
すなわち、上述したセルの長さやセル隔壁の厚さの定義に基づき、電子顕微鏡写真のスケールを利用してセルの各辺の長さを測定して、その値を求め、断面積については、得られたセルの長さ等の値に基づき、算術的に求める。また、断面積について算術的に計測することが煩雑な場合は、電子顕微鏡写真のスケールから単位面積に相当する正方形(スケール長さを1辺とする正方形)を切り取り、この重量を測定、一方でセルの断面形状に沿ってセル断面を切り取り(多角形の場合に頂点部分が曲線となっている場合にはその曲線に沿って切り取り)、その切り取った部分の重量を測定する。重量比率からセルの断面の断面積を計算することができる。
【0045】
例えば、排ガス排出セルおよび第2排ガス導入セルの内壁で構成される断面形状が八角形でありそれらの断面積が同一であり、第1排ガス導入セルの内壁で構成される断面形状が正方形(頂点部分は曲線で構成されいわゆる面取り形状となっているが、本発明では断面形状を構成する4つの辺を延長した直線が4点で交わっており、4つの交点を頂点とする正方形として扱う)である場合、写真中の500μmに相当する長さを1辺とする正方形(単位面積に相当する)を写真から切り出し、その重量を測定する。次に、八角形と正方形を写真から切り取り(正方形の4つの頂点部分が曲線で構成されているのでその曲線に沿って切り取る)、その重量を測定する。500μmスケールの正方形と切り出した物との重量比率から断面積を算出する。セルの断面積の比率のみを計測する場合であれば、八角形と正方形の重量比からそのまま面積比率が算出できる。
また、本発明においては、セルの長さやセル隔壁の厚さ、断面積の計測について、上述した人手による計測から、電子顕微鏡写真を画像データとして取り込むか、電子顕微鏡から直接取り込んだ画像データを用い、写真のスケールを入力して、電子的な計測に置き換えることも可能である。もちろん、人手による計測方法も電子化した計測方法も電子顕微鏡画像のスケールに基づいた計測であって、同一原理に基づいており、両者の計測結果に齟齬が発生しないことは言うまでもない。
電子的な計測としては、画像解析式粒度分布ソフトウェア(株式会社マウンテック(Mountech)社製)MAC-View (Version3.5)なる計測ソフトウエアを用いることができる。このソフトウエアでは電子顕微鏡写真をスキャナーで取り込むか、電子顕微鏡から直接取り込んだ画像データを用い、当該写真のスケールを入力し、セルの内壁に沿って範囲を指定することで断面積を計測できる。また、画像中の任意の点間距離も電子顕微鏡写真のスケールを基に計測できる。
電子顕微鏡によりセル断面を撮影する際には、セルの長手方向に垂直にフィルタを切断し、その切断面が入るように、1cm×1cm×1cmのサンプルを準備し、切断面を超音波洗浄するか、もしくは樹脂で包埋されたフィルタをセルの長手方向に垂直に切断し、電子顕微鏡写真を撮影する。樹脂による包埋を行っても、セルの辺の長さおよびセル隔壁の厚さの計測には影響を与えない。
【0046】
本発明おいて使用される膨潤正方形とは、図形の外側に向けて湾曲する、同じ長さをもつ4つの曲線から構成された図形であり、あたかも正方形の辺がその幾何学的な重心から外側方向へ膨らんだ形状の図形をいう。また、収縮正方形とは、図形の内側へ向けて湾曲する、同じ長さをもつ4つの曲線から構成された図形であり、あたかも正方形の辺がその幾何学的な重心方向に向けて収縮した形状の図形をいう。
【0047】
本発明においては、ハニカムフィルタを構成するセルの長手方向に垂直な断面に関し、
第1排ガス導入セル、第2排ガス導入セルおよび排ガス排出セルは、排ガス入口端から排ガス出口端にかけて目封止部分を除き、それぞれのセルにおける全ての場所において、それらセルの内壁で構成される断面形状は同じである。つまり、第1排ガス導入セルだけについて、その長手方向に垂直な断面を見た場合、その内壁で構成される断面図形は目封止部分を除いて排ガス入口端から排ガス出口端のどの部分の断面を見ても同じ形状である。同じ形状というのは合同という意味であり、相似は含まない。すなわち、相似関係となる形状は、異なる形状となる。第1排ガス導入セルのみならず、第2排ガス導入セルおよび排ガス排出セルもまた、それぞれ第1排ガス導入セルの場合と同じ説明が成り立つ。目封止部分を除外した理由は、目封止部分には目封止材が存在するためセル隔壁の内壁により構成される断面図形が物理的に存在しないからである。
【0048】
上述したように上記構成のハニカムフィルタでは、従来のハニカムフィルタに比べて、初期からPMが限界に近い量堆積するまでの全体にわたって総合的に圧力損失を低くすることができる。
【0049】
上述した圧損を各抵抗に分解した考え方において、初期圧損を低下させるためには、通過抵抗ならびに流出抵抗を下げる必要があることから、急速膨張を抑制するために排ガス排出セルの断面積を排ガス導入セルのそれと同じかそれより相対的に大きくする必要があり、一方、過渡圧損を低下させるためには、PMを広く薄く堆積させる必要があることから、排ガス導入セルの断面積を排ガス排出セルのそれよりも相対的に大きくしなければならない。
【0050】
つまり、過渡圧損と初期圧損を同時に低減させることは不可能とされてきた。本発明者らは、さらに研究を進めて以下、本発明を完成させた。
即ち、排ガス導入セルとして、断面積が大きなもの(第2排ガス導入セル)と断面積が小さなもの(第1排ガス導入セル)の2種類を採用するとともに、その断面積が第2排ガス導入セルと同じか相対的に大きな排ガス排出セルを採用し、この排ガス排出セルの全周囲に2種類の排ガス導入セルを配置し、かつ第1排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てる隔壁内壁の長さを第2排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てる隔壁内壁の長さよりも相対的に長くするか、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てる隔壁の厚さを第2排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てる隔壁の厚さよりも相対的に薄くすることにより、排気ガスをまず第1排ガス導入セルに優先的に導入する。
【0051】
第1排ガス導入セルと排ガス排出セルの間の隔壁は、透過領域が大きい(多角形セルの断面形状で言えば辺の長さが長い)かまたはその厚さが薄くなっており、排ガスはこの都合のよい隔壁を透過することができ、(c)の透過抵抗を低減させることができる。また、排ガス排出セルの断面積が第1排ガス導入セルより相対的に大きいことから(e)の通過抵抗を低減せしめることができる。つまり、(c)の透過抵抗および(e)の通過抵抗をいずれも下げることができ、初期圧損を低くすることができるのである。次に、PMが一定量堆積した後は、第1排ガス導入セルの断面積を第2排ガス導入セルのそれよりも相対的に小さくしてあるため、第1排ガス導入セルに堆積したPM層の透過抵抗が早期に高くなり、排気ガスが自然に(つまり自発的に)第2排ガス導入セルにより多く入り込むように排ガスの主流路が“スイッチ”されることとなり、断面積の大きな第2排ガス導入セルにPMが広く薄く堆積されて、PM堆積後であっても、(b)の通過抵抗および(d)の透過抵抗を低減せしめることができ、過渡圧損を低くすることができる。
このように、本発明では主流路を自己スイッチさせることで従来不可能とされてきた過渡圧損と初期圧損を同時に低減させるという驚くべき効果を実現したのである。
【0052】
このような排ガスがより多く流れ込む主流路の“スイッチ”による初期圧損、過渡圧損の同時低減効果は、先に説明した全ての構成要件が一体的に作用した場合に発現するものであり、このような構成、効果は公知文献には存在しない。
【0053】
先に示した国際公開第2004/024294号(特許文献1)には、図17に示すように、排ガス導入セル102の断面形状が八角形、排ガス排出セル101の断面形状が四角形のハニカムフィルタが開示されており、排ガス導入セル102の断面積を大きくすることで、PMを広く薄く堆積させ過渡圧損を下げられることが開示されている。しかし、この特許文献1から本発明に至るためには、断面積が小さい排ガス排出セル101の一部を排ガス導入セル102に変更し、断面積の大きな排ガス導入セル102の一部を排ガス排出セル101にする必要があるが、このような変更は排ガス導入セル102の断面積を大きくしようとする特許文献1記載の発明思想を否定することとなり、特許文献1を最近接文献として、本発明が導出されることはない。
【0054】
また、図18に基づいて説明したように、米国特許第4417908号明細書(特許文献2)には、断面積が同一の排ガス導入セルの数を増やし、排ガス導入セルの総面積を大きくすることで、PMを広く薄く堆積させて過渡圧損を下げることができるハニカムフィルタが開示されている。
しかしながら、この特許文献2から本発明に至るためには、排ガス導入セルの一部を断面積が小さいセルに変更する必要があるが、排ガス導入セルの断面積を減らすこととなるため、結局特許文献2の発明思想の否定となり、特許文献2を最近接文献として、本発明が導出されることはない。
このように、公知技術は、本発明を否定しており、本発明は、公知文献から導かれるものではない。
【0055】
以下、上記発明の作用効果について、実施形態を例示として以下に詳しく説明する。
図2(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係るハニカムフィルタの端面の一部を拡大して示した拡大端面図である。
図2(a)に示すように、このハニカムフィルタ10では、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セル11の周囲全体に、多孔質のセル隔壁13を隔てて排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された第1排ガス導入セル12と第2排ガス導入セル14とが隣接して形成されている。
【0056】
セルの長手方向に垂直な断面の形状に関し、排ガス排出セル11は図17に示した排ガス導入セル102と同様の形状の八角形であり、第1排ガス導入セル12は正方形であり、第2排ガス導入セル14は、排ガス排出セル11と同じ形状の八角形である。 第2排ガス導入セル14のセルの断面積は、第1排ガス導入セル12のセルの断面積より大きく、排ガス排出セル11の断面積と同じである。従って、第2排ガス導入セル14の断面積は、排ガス排出セル11の断面積と同じであり、第1排ガス導入セル12の断面積よりは、排ガス排出セル11の断面積の方が大きい。そのため、排ガスが排ガス排出セル11を通過する際の抵抗、排ガスがフィルタの外部に流出する際の抵抗を低く抑えることができ、圧力損失を低くすることが可能となる。
【0057】
また、第1排ガス導入セル12の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺12aの長さが、第2排ガス導入セル14の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺14aの長さよりも長い。
【0058】
排ガスがハニカムフィルタ20の方向に向かって流れてくると、入口側の端部が開口している第1排ガス導入セル12と第2排ガス導入セル14に流れ込む。排ガスは、フィルタ内の流れ易い部分から順に、全体の流れが均等になるように流れる。本発明のハニカムフィルタは、排ガス排出セル11の辺12aの長さ(Ls)が、第2排ガス導入セル14の辺14aの長さ(Lo)よりも長いので、排ガス排出セル11と第1排ガス導入セル12とを隔てるセル隔壁13aの表面積は、排ガス排出セル11と第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13bの表面積よりも大きいこととなり、排ガスは、セル隔壁13aをより透過し易く、初期においては、セル隔壁13aの表面にPMが堆積する。
以上のように、排ガス排出セルの通過抵抗、排ガスがハニカムフィルタから流出する際の流出抵抗を同時に低くできるため、PMが堆積する前の初期の圧力損失を低減できる。
【0059】
セルを構成する辺の長さと表面積との関係を上記のように結論づけたのは、以下の理由による。
排ガス排出セル11と第1排ガス導入セル12とを隔てるセル隔壁13aの表面積は、第1排ガス導入セル12の内壁側の表面積であり、排ガス入口端面および出口端面間距離から入口側、出口側の封止部の長さを除いた実効的なフィルタの長さをLe(図4(b)参照)とすると、第1排ガス導入セル12の内壁側の表面積は、Ls×Leで表わされる。また、同様に、排ガス排出セル11と第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13bの表面積は、第2排ガス導入セル14の内壁側の表面積であり、排ガス入口端面および出口端面間距離から入口側、出口側の封止部の長さを除いた実効的なフィルタ長さをLeとすると、第2排ガス導入セル14の内壁側の表面積は、Lo×Leで表わされる。なお、フィルタの実効的長さとして、図4(b)では、封止部の先端を基準とした長さをとっている。
従って、辺12aの長さ(Ls)が、辺14aの長さ(Lo)よりも相対的に長くなれば、表面積もLs×Leの方がLo×Leに比べて相対的に大きくなる。つまり、辺の長さと表面積の大きさは同義である。従って、排ガス排出セル11の辺12aの長さ(Ls)が、第2排ガス導入セル14の辺14aの長さ(Lo)よりも長いと、排ガス排出セル11と第1排ガス導入セル12とを隔てるセル隔壁13aの表面積が排ガス排出セル11と第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13bの表面積よりも大きいこととなるのである。
【0060】
なお、図2(a)〜(c)では、図の一部分についてのみ、作用・効果に関する事項を書き入れている。図6においても同様である。
【0061】
次に、図2(b)に示すように、PMがセル隔壁13aの第1排ガス導入セル12の内壁表面にある程度の量堆積すると、第1排ガス導入セル12の断面積が小さいため、PMが厚く堆積し、その結果、PMの堆積に起因する抵抗が増加し、排ガスがセル隔壁13aを透過しにくくなってくる。このような状況になると、上記したように、排ガスは、排ガス排出セル11と第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13bを透過し(主流路のスイッチ)、セル隔壁13bの第2排ガス導入セル14の内壁表面にもPMが堆積する。
【0062】
次に、排ガスは、セル隔壁の中をかなり自由に透過することができるので、図2(c)に示すように、第1排ガス導入セル12と第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13cの内部も透過し排ガス排出セル11に流れるようになる。この場合、排ガスは、第2排ガス導入セル14側からもセル隔壁13cに侵入するとともに、第1排ガス導入セル12側からセル隔壁13cに侵入することとなる。
【0063】
このように、PMは、次第に第1排ガス導入セル12の周囲のセル隔壁13a、13cの第1排ガス導入セル12の内壁表面全体のみならず、むしろ第2排ガス導入セル14の周囲のセル隔壁13b、13cの第2排ガス導入セル14の内壁表面全体により多く、しかし広く薄く堆積するようになる。第1排ガス導入セル12の断面積は、第2排ガス導入セル14の断面積よりも小さいので、PMが厚く堆積し、PM層の透過抵抗が高くなり、排ガス導入後、早期に排ガスが第1排ガス導入セル12よりも第2排ガス導入セル14に流れやすくなり(先に説明した排ガスの主流路のスイッチ)、上述したようなPM堆積の推移が起こり、第1排ガス導入セル12の周囲のセル隔壁13a、13cの第1排ガス導入セル12の内壁表面よりむしろ、第2排ガス導入セル14の周囲のセル隔壁13b、13cの第2排ガス導入セル14の内壁表面全体にPMが堆積する。このため、第2排ガス導入セル14の周囲のセル隔壁13b、13cの第2排ガス導入セル14の内壁表面全体を早期にPM堆積のために活用することができる。また、第2排ガス導入セル14の周囲のセル隔壁13b、13cの第2排ガス導入セル14の内壁表面積は第1排ガス導入セル12の周囲のセル隔壁13a、13cの第1排ガス導入セル12の内壁表面積に比べて広く、PMが第2排ガス導入セル14の周囲のセル隔壁13b、13cの周囲全体に堆積しても堆積層の厚さを薄くできる。そのため、PMが堆積しても、排ガスの圧力損失の増加の割合が小さい。その結果、PMの堆積量が増加しても、PMの堆積量が6〜10g/Lとなるまでの間、圧力損失を低く保つことができるという極めて優れた効果を奏する。
その結果、本発明に係るハニカムフィルタを搭載した車両では、PMの堆積量が6〜10g/Lとなるまでの間、圧力損失の上昇に起因する運転に不都合な現象が発生しにくく、燃費も低く抑えることができる。
【0064】
本発明のハニカムフィルタにおいては、セル隔壁を隔てて隣接する排ガス排出セルと第1排ガス導入セルのセル長手方向に垂直な断面に関し、それらの断面形状が多角形である場合に、排ガス排出セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと隣接し、当該第1排ガス導入セルと対面する辺と、第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと隣接し、当該排ガス排出セルと対面する辺とは互いに平行であることが望ましい。
【0065】
このことは、排ガス排出セルと第1排ガス導入セルを隔てる隔壁の厚みはどこでも均一であることを意味しており、ハニカムフィルタの破壊強度が高い上、排ガスを透過させやすく、PMを均一に堆積させることができることから、圧力損失を低くできるからである。
なお、断面形状において多角形の頂点部分が曲線で構成されている場合には、その曲線部分は辺としては扱わない。そもそも平行にはならないからである。
セル長手方向に垂直な断面において、曲線部分を除外した断面形状の辺の長さは、辺とみなされる直線部分を仮想的に延長し、この仮想の直線同士が交差する交点を仮想的な頂点とするとき、この仮想的な頂点の間を結んで構成される多角形の仮想的な辺の長さの80%以上とすることが望ましい。逆に言えば、辺として扱われない部分は、仮想的な辺の長さの20%未満とすることが望ましい。
セルの断面形状が多角形状の場合には、辺の長さが仮想的な辺の長さの80%以上であれば、辺の長さを調整することで本発明の作用効果である主流路スイッチの効果を実現できるからである。
【0066】
また、本発明のハニカムフィルタにおいては、セル隔壁を隔てて隣接する排ガス排出セルと第2排ガス導入セルのセル長手方向に垂直な断面に関し、それらの断面形状が多角形である場合に、排ガス排出セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第2排ガス導入セルと隣接し、当該第2排ガス導入セルと対面する辺と、第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと隣接して当該排ガス排出セルと対面する辺とは互いに平行であることが望ましい。
【0067】
このことは、排ガス排出セルと第2排ガス導入セルを隔てる隔壁の厚みはどこでも均一であることを意味しており、ハニカムフィルタの破壊強度が高い上、排気ガスを透過させやすく、PMを均一に堆積させることができることから、圧力損失を低くできるからである。
なお、断面形状において多角形の頂点部分が曲線で構成されている場合には、その曲線部分は辺としては扱わない。そもそも平行にはならないからである。
セル長手方向に垂直な断面において、曲線部分を除外した断面形状の辺の長さは、辺とみなされる直線部分を仮想的に延長し、この仮想の直線同士が交差する交点を仮想的な頂点とするとき、この仮想的な頂点の間を結んで構成される多角形の仮想的な辺の長さの80%以上とすることが望ましい。逆に言えば、辺として扱われない部分は、仮想的な辺の長さの20%未満とすることが望ましい。
セルの断面形状が多角形状の場合には、辺の長さが仮想的な辺の長さの80%以上であれば、辺の長さを調整することで本発明の作用効果である主流路スイッチの効果を実現できるからである。
【0068】
本発明のハニカムフィルタにおいては、セル隔壁を隔てて隣接する第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルのセル長手方向に垂直な断面に関し、それらの断面形状が多角形である場合に、第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第2排ガス導入セルと隣接し、当該第2排ガス導入セルと対面する辺と、第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと隣接して当該第1排ガス導入セルと対面する辺とは互いに平行であることが望ましい。
【0069】
このことは、第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルを隔てる隔壁の厚みはどこでも均一であることを意味しており、ハニカムフィルタの破壊強度が高く、この隔壁を透過せしめて第2排ガス導入セルから排ガス排出セル側へ排気ガスを透過させやすく、第2排ガス導入セル内壁にPMを広く薄く均一に堆積させることができることから、PM堆積後に圧力損失を低くできるからである。
なお、断面形状において多角形の頂点部分が曲線で構成されている場合には、その曲線部分は辺としては扱わない。そもそも平行にはならないからである。
セル長手方向に垂直な断面において、曲線部分を除外した断面形状の辺の長さは、辺とみなされる直線部分を仮想的に延長し、この仮想の直線同士が交差する交点を仮想的な頂点とするとき、この仮想的な頂点の間を結んで構成される多角形の仮想的な辺の長さの80%以上とすることが望ましい。逆に言えば、辺として扱われない部分は、仮想的な辺の長さの20%未満とすることが望ましい。
セルの断面形状が多角形状の場合には、辺の長さが仮想的な辺の長さの80%以上であれば、辺の長さを調整することで本発明の作用効果である主流路スイッチの効果を実現できるからである。
【0070】
本発明のハニカムフィルタにおいては、セル隔壁を隔ててそれぞれ隣接する排ガス排出セル、1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルのセル長手方向に垂直な断面に関し、それらの断面形状が多角形である場合に、
(a)排ガス排出セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと隣接し、当該第1排ガス導入セルと対面する辺と、第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと隣接し、当該排ガス排出セルと対面する辺とは互いに平行であり、
かつ、
(b)排ガス排出セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第2排ガス導入セルと隣接し、当該第2排ガス導入セルと対面する辺と、第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと隣接して当該排ガス排出セルと対面する辺とは互いに平行であり、
かつ、
(c)第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第2排ガス導入セルと隣接し、当該第2排ガス導入セルと対面する辺と、第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと隣接して当該第1排ガス導入セルと対面する辺とは互いに平行であることが望ましい。
【0071】
また、本発明のハニカムフィルタにあっては、第1排ガス導入セル、第2排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面に関し、それらの断面形状が多角形である場合、上述の(a)、(b)、(c)を同時に備えた構成に加えて、さらに、(a)において平行となっている辺同士の間の距離、(b)において平行となっている辺同士の間の距離および(c)において平行となっている辺同士の間の距離はそれぞれ等しいことが望ましい。なお、辺同士の間の距離は、一方の辺の任意の点Pから垂線を他方の辺に向かって仮想的に描き、この垂線が他方の辺と交わった点をQとするとPとQの間の距離が平行な辺同士の間の距離として定義される。
上述した構成によれば、ハニカムフィルタの破壊強度も最も高く再生時の耐熱衝撃性に優れ、PM堆積前と堆積後のいずれにおいても最も圧力損失を低減でき、かつPMを再生した場合に発生する熱衝撃によるフィルタの破損を抑制することができるからである。
なお、断面形状において多角形の頂点部分が曲線で構成されている場合には、その曲線部分は辺としては扱わない。そもそも平行にはならないからである。
セル長手方向に垂直な断面において、曲線部分を除外した断面形状の辺の長さは、辺とみなされる直線部分を仮想的に延長し、この仮想の直線同士が交差する交点を仮想的な頂点とするとき、この仮想的な頂点の間を結んで構成される多角形の仮想的な辺の長さの80%以上とすることが望ましい。逆に言えば、辺として扱われない部分は、仮想的な辺の長さの20%未満とすることが望ましい。
セルの断面形状が多角形状の場合には、辺の長さが仮想的な辺の長さの80%以上であれば、辺の長さを調整することで本発明の作用効果である主流路スイッチの効果を実現できるからである。
【0072】
本発明のハニカムフィルタは、自動車の内燃機関から排出される排ガス中のPMを浄化するために用いられることが望ましい。PM堆積前にフィルタに生じる初期圧損、PMの堆積量が6〜10g/Lとなるまでの間、PM堆積によりフィルタに生じる過渡圧損を低減できるため、エンジンの燃費を改善できるからである。
【0073】
本発明のハニカムフィルタは、自動車の内燃機関としてディーゼルエンジンを採用した場合に最適である。ディーゼルエンジンから排出されるPM(すす)の量はガソリンエンジンよりも多く、PM(すす)堆積によってフィルタに生じる過渡圧損を低減する要請がガソリンエンジンに比べて高いからである。
【0074】
本発明のハニカムフィルタを自動車の内燃機関から排出される排ガス中のPMを浄化するために用いる場合には、排気管内に保持材を介して本発明のハニカムフィルタを固定して使用する。
【0075】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルおよび上記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、
上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セルと対面している辺の長さは、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さの0.8倍以下であることが望ましい。
【0076】
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガスが、排ガス排出セルと第1排ガス導入セルとを隔てるセル隔壁をより透過し易くなり、初期の圧力損失を効果的に抑制することができ、PMが堆積した後も圧力損失の増加割合が大きくなるのを抑制することができる。
第1排ガス導入セルの辺の長さに対する第2排ガス導入セルの辺の長さの比が、0.8を超えると、両辺の長さに大きな差がなくなるため、初期の圧力損失を小さく抑えるのが難しくなる。
【0077】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルは、八角形であり、上記第1排ガス導入セルは正方形であり、上記第2排ガス導入セルは、八角形であることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタは、作用・効果について説明した図2に係るハニカムフィルタと同様の形状であり、初期の圧力損失を効果的に抑制することができるとともに、PMが堆積する表面積を大きくとることが可能となり、圧力損失を低く保つことができる。
【0078】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記第2排ガス導入セルの断面積は、上記排ガス排出セルの断面積と同じであり、
上記第1排ガス導入セルの断面積は、上記第2排ガス導入セルの断面積の40〜70%であることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する際の抵抗と第2排ガス導入セルを通過する際の抵抗に差をつけることができ、圧力損失を効果的に抑制することができる。
第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の40%未満であると、第1排ガス導入セルの断面積が小さくなりすぎ、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する通過抵抗が大きくなり、圧力損失が増加し易い。一方、第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の70%を超えると、両者の通過抵抗の差が小さくなり、圧力損失を小さくすることが難しくなる。
【0079】
本発明のハニカムフィルタでは、上記ハニカムフィルタのセル同士を隔てるセル隔壁の厚さは、全ての場所において等しいことが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタの全体で上述した効果を奏することができる。
【0080】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルの断面形状は八角形であり、上記第1排ガス導入セルの断面形状は正方形であり、上記第2排ガス導入セルの断面形状は八角形であり、
上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルの断面形状は互いに合同であるとともに、
上記排ガス排出セルの周囲にはセル隔壁を隔てて上記第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとがそれぞれ4つずつ交互に配置されて排ガス排出セルを包囲してなり、
また、排ガス排出セルを包囲している4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各八角形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過する2本の線分の交点は、排ガス排出セルの断面形状である八角形の幾何学的な重心と一致してなり、
かつ、上記4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各八角形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過しない4本は、正方形を構成し、その各辺の中点は排ガス排出セルを包囲している4つの第1排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心と一致するように、
上記排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルがそれぞれ配置されてなるとともに、
上記排ガス排出セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺と、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、上記セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面する辺とは平行であり、
上記排ガス排出セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて上記第2排ガス導入セルと対面する辺と、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、上記セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面する辺とは平行であり、また、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて上記第2排ガス導入セルと対面する辺と、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、上記セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺とは平行であり、かつ上記平行な辺の間の距離は、いずれの組み合わせにおいても互いに等しいことが望ましい。
【0081】
本発明のハニカムフィルタにおいて、ハニカム焼成体の外周壁と外周壁に隣接する排ガス導入セルの形状としては、以下の3パターンがある。
(1)図10(b)および図12(a)に示すような、外周壁の厚さが均一でなく、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの断面形状および排ガス排出セルの断面形状が、外周壁に隣接しない第1排ガス導入セルの断面形状および排ガス排出セルの断面形状とそれぞれ同じであるもの。
(2)図4(a)および図12(b)に示すような、外周壁の厚さが均一であり、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの断面形状が、外周壁に隣接しない第1排ガス導入セルの断面形状と同じであり、外周壁に隣接する排ガス排出セルの断面形状が、外周壁に隣接しない排ガス排出セルの断面形状に対して、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルにおける外周壁を構成する内壁を繋ぐ直線に合わせて一部欠損したもの。
(3)図11(d)および図12(c)に示すような、外周壁の厚さが外周壁に隣接する第1排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの断面形状に合わせて均一であり、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの断面形状および排ガス排出セルの断面形状が、外周壁に隣接しない第1排ガス導入セルの断面形状および排ガス排出セルの断面形状とそれぞれ同じであるもの。すなわち、外周壁が外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの断面形状および排ガス排出セルの断面形状に合わせて屈曲しているもの。
【0082】
本発明のハニカムフィルタでは、上記外周壁は、角部を有し、該角部以外の外周壁の厚さが均一になるように、セルの長手方向に垂直な断面における上記外周壁に隣接する排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの上記外周壁に接する辺は、上記外周壁の外壁をなす辺と平行かつ直線的に形成されていることが望ましい。
このような実施形態のハニカムフィルタは、上記3パターンがある旨の説明における(2)のパターンに該当する。
外周壁によりハニカム焼成体の強度が向上すると共に、ハニカム焼成体における排ガス排出セルと排ガス導入セルの容積比率の部分的なバラツキがより抑えられ、より排ガスの流れが均一になるため、圧力損失を低減させることができる。
【0083】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セル、上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルは、いずれも正方形であることが望ましい。
このような上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルが、いずれも正方形である場合であっても、排ガス排出セルと第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとの大きさの関係や位置関係等が異なり、例えば、第1排ガス導入セルの断面の面積は、排ガス排出セルの断面積と比較して小さいので、従来技術で説明したハニカムフィルタ110(図18参照)とは異なり、上述した本発明の効果を奏することができる。
【0084】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記第2排ガス導入セルの断面積は、上記排ガス排出セルの断面積と同じであり、
上記第1排ガス導入セルの断面積は、上記第2排ガス導入セルの断面積の40〜70%であることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する際の抵抗と第2排ガス導入セルを通過する際の抵抗に差をつけることができ、圧力損失を効果的に抑制することができる。
第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の40%未満であると、第1排ガス導入セルの断面積が小さくなりすぎ、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する通過抵抗が大きくなり、圧力損失が高くなり易い。一方、第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の70%を超えると、両者の通過抵抗の差が小さくなり、圧力損失を低くすることが難しくなる。
【0085】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルの断面形状は正方形であり、上記第1排ガス導入セルの断面形状は正方形であり、上記第2排ガス導入セルの断面形状は正方形であり、
上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルの断面形状は互いに合同であるとともに、
上記排ガス排出セルの周囲にはセル隔壁を隔てて上記第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとがそれぞれ4つずつ交互に配置されて排ガス排出セルを包囲してなり、
また、排ガス排出セルを包囲している4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過する2本の線分の交点は、排ガス排出セルの断面形状である正方形の幾何学的な重心と一致してなり、
かつ、上記4つの第2排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セルの断面形状からなる図形領域を通過しない4本は、正方形を構成し、その各辺の中点は排ガス排出セルを包囲している4つの第1排ガス導入セルの断面形状である各正方形の幾何学的な重心と一致するように、
上記排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルがそれぞれ配置されてなるとともに、
上記排ガス排出セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺と、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、上記セル隔壁を隔てて排ガス排出セルと対面する辺とは平行であり、
上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、セル隔壁を隔てて上記第2排ガス導入セルと対面する辺と、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺において、上記セル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと対面する辺とは平行であり、かつ上記平行な辺の間の距離は、いずれの組み合わせにおいても互いに等しいことが望ましい。
【0086】
本発明のハニカムフィルタでは、上述したセルの長手方向に垂直な断面に関し、上記多角形からなるセルの頂点部分が、曲線面取り形状となっていることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、セルの頂点部分が曲線面取り形状となっているので、セルの角部に熱等に起因する応力が集中しにくく、クラックが発生しにくい。
【0087】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セル、上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルは、点対称な多角形であって、その辺の数が八本以下の多角形であることが望ましい。
点対称な多角形であって、その辺の数が八本以下の多角形とすることで、排ガスがセルを通過する抵抗を小さくすることができ、圧力損失をより低くすることが可能となる。
【0088】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルと上記排ガス導入セルとは、曲線により構成された形状であり、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さより薄いことが望ましい。
【0089】
本発明のハニカムフィルタにおいて、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さが、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さより薄い場合、初期においては、排ガスは、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁を透過し易く、ある程度、PMが堆積した段階で、第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁を透過するようになる。また、第2排ガス導入セルの断面積は、第1排ガス導入セルの断面積より大きく、排ガス排出セルの断面積は、第2排ガス導入セルの断面積と同じか大きいので、上述した本発明の作用効果を奏する。
【0090】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルと上記排ガス導入セルとは、曲線により構成された形状であり、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さの40〜75%であることが望ましい。
【0091】
本発明のハニカムフィルタにおいて、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さが、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さの40〜75%である場合、初期においては、排ガスは、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁を透過し易く、ある程度、PMが堆積した段階で、第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁を透過するようになる。また、第2排ガス導入セルのセルの断面積は、第1排ガス導入セルのセルの断面積より大きく、排ガス排出セルの断面積は、第2排ガス導入セルの断面積と同じか大きいので、上述した本発明の作用効果を奏する。
【0092】
上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さが、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さの40%未満であると、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さを極めて薄くする必要があるので、ハニカムフィルタの機械的特性が低下する。一方、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さが、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さの75%を超えると、両者のセル隔壁の厚さに大きな差がなくなるため、上述した圧損低減の効果が得られないことがある。
【0093】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セル、上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルは、いずれも円形であることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルの断面形状がいずれも円形であっても、本発明の作用・効果を奏することができる。
【0094】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記排ガス排出セルおよび上記第2排ガス導入セルの断面形状は、セルの外側に向けて湾曲する4つの曲線から構成された膨潤正方形であり、一方上記第1排ガス導入セルの断面形状は、セルの内側に向けて湾曲する4つの曲線から構成された収縮正方形であることが望ましい。
【0095】
本発明おいて使用される膨潤正方形とは、図形の外側に向けて湾曲する、同じ長さをもつ4つの曲線から構成された図形であり、あたかも正方形の辺がその幾何学的な重心から外側方向へ膨らんだ形状の図形をいう。また、収縮正方形とは、図形の内側へ向けて湾曲する、同じ長さをもつ4つの曲線から構成された図形であり、あたかも正方形の辺がその幾何学的な重心方向に向けて収縮した形状の図形をいう。
【0096】
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルが上述の構成を有するので、排ガス排出セルが第1排ガス導入セルより断面積が大きくなり、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルの大きさの関係も、本発明の関係を有するハニカムフィルタとなる。従って、本発明の作用効果を奏することができる。
【0097】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、
上記第2排ガス導入セルの断面積は、上記排ガス排出セルの断面積と同じであり、
上記第1排ガス導入セルの断面積は、上記第2排ガス導入セルの断面積の40〜70%であることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する際の抵抗と第2排ガス導入セルを通過する際の抵抗に差をつけることができ、圧力損失を効果的に抑制することができる。
【0098】
第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の40%未満であると、第1排ガス導入セルの断面積が小さくなりすぎ、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する通過抵抗が大きくなり、圧力損失が高くなり易い。一方、第1排ガス導入セルの断面積が第2排ガス導入セルの断面積の70%を超えると、両者の通過抵抗の差が小さくなり、圧力損失を低くすることが難しくなる。
【0099】
本発明のハニカムフィルタでは、上記排ガス導入セルとしては、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類のみからなることが望ましい。
第2排ガス導入セルよりも断面積が小さい排ガス導入セルの数が少ない方が導入セルとしての実効的な面積を大きくすることができ、PMを薄く広く堆積させられるからである。
【0100】
本発明のハニカムフィルタは、上記排ガス排出セル、上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルを有し、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されていることにより形成されていることが望ましい。
このような複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成された構造体であっても、一のハニカム焼成体を構成するセルは、本発明の構成となっているので、その集合体も、本発明の効果を奏することができる。
また、各ハニカム焼成体の容積を小さくすることで、製造時および使用時にかかる熱応力を小さくすることができ、クラック等の破損を防ぐことができる。
【0101】
本発明のハニカムフィルタでは、上記ハニカムフィルタは、ハニカム焼成体から構成されてなり、当該ハニカム焼成体は、炭化ケイ素、または、ケイ素含有炭化ケイ素からなることが望ましい。
上記炭化ケイ素、上記ケイ素含有炭化ケイ素は、耐熱性に優れた材料である。このため、このハニカムフィルタは、耐熱性に優れたハニカムフィルタとなる。
【0102】
本発明のハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタのセル隔壁の厚さは、0.10〜0.46mmであることが望ましい。
上記厚さのセル隔壁は、該ガス中のPMを捕集するのに充分な厚さを有するとともに、圧力損失の増加を効果的に抑制することができる。そのため、本発明のハニカムフィルタでは、上述した本発明のハニカムフィルタとしての効果を充分に奏することができる。
上記セル隔壁の厚さが0.10mm未満では、セル隔壁の厚さが薄くなりすぎるため、ハニカムフィルタの機械的強度が低下する。一方、セル隔壁の厚さが0.46mmを超えると、セル隔壁が厚くなりすぎるため、排ガスがセル隔壁を透過する際の圧力損失が大きくなる。
【0103】
本発明のハニカムフィルタでは、上記セル隔壁の気孔率は、40〜65%であることが望ましい。
セル隔壁の気孔率が40〜65%である場合、SCR触媒を担持することに起因する圧損上昇を抑えることができる。また、セル隔壁は、排ガス中のPMを良好に捕集することができ、かつ、セル隔壁に起因する圧力損失の上昇を抑制することができる。従って、初期の圧力損失が低く、PMを堆積しても圧力損失が上昇しにくいハニカムフィルタとなる。
【0104】
セル隔壁の気孔率が40%未満では、セル隔壁の気孔の割合が小さすぎるため、SCR触媒を担持した時に圧力損失が大きくなりやすく、一方、セル隔壁の気孔率が65%を超えると、セル隔壁の機械的特性が低く、再生時等において、クラックが発生し易くなる。
【0105】
本発明のハニカムフィルタでは、上記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径は、8〜25μmであることが望ましい。気孔径および気孔率は、水銀圧入法にて接触角を130°、表面張力を485mN/mの条件で測定する。
セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が8μm未満であると、SCR触媒担持後の圧力損失が高くなる。一方、セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が25μmを超えると、気孔径が大きくなりすぎるので、PMの捕集効率向上の効果が小さくなる。
【0106】
本発明のハニカムフィルタでは、外周には、外周コート層が形成されていることが望ましい。
この外周コート層は、内部のセルの機械的に保護する役割を果たす。そのため、圧縮強度等の機械的特性に優れたハニカムフィルタとなる。
【0107】
本発明のハニカムフィルタでは、
ハニカムフィルタを構成するセルの長手方向に垂直な断面形状に関し、
上記第1排ガス導入セル、上記第2排ガス導入セルおよび上記排ガス排出セルは、排ガス入口側の端部から排ガス出口側の端部にかけて目封止部分を除き、それぞれのセルにおける全ての場所において同じであり、上記第1排ガス導入セルおよび上記第2排ガス導入セルの断面形状は互いに異なり、かつ上記排ガス排出セルおよび上記第1排ガス導入セルの断面形状もまた互いに異なっていることが望ましい。この異なるというのは、すなわち合同ではないということであり、しかし相似形は含む趣旨である。すなわち、断面形状が相似形である場合には、断面形状が互いに異なると解釈される。
第1排ガス導入セルそれ自体は、どの断面を見ても同じ形状であり、第2排ガス導入セルおよび排ガス排出セルもまた、それぞれ、どの断面を見ても同じ形状であるが、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルを比較した場合、それらの断面形状は互いに異なり、また、排ガス排出セルおよび第1排ガス導入セルの断面形状を比較した場合もまた互いに異なっている。
【0108】
本発明のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に対して垂直な断面に関して、下記セル構造を1つのセルユニットとして、このセルユニットが、下記セル構造における排ガス排出セルの周囲に配置される第1排ガス導入セルおよび第2排ガスセルを互いに共有しながら、2次元的に繰り返されることにより、ハニカムフィルタを構成していることが望ましい。
セル構造:排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて排ガス導入セルが隣接してなり、上記排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類からなるとともに、上記排ガス排出セルのセル長手方向に対して垂直な断面の断面積は、上記第2排ガス導入セルのセル長手方向に対して垂直な断面の断面積と同じであるかそれよりも大きく形成されてなり、セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルおよび上記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さが、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さよりも長いか、もしくは、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうちいずれか一辺は、上記排ガス排出セルと対面し、かつ上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺はいずれも上記排ガス排出セルと対面しないセル構造
または、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルと上記排ガス導入セルは、曲線により構成された形状であり、上記第1排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、上記第2排ガス導入セルと上記排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さよりも薄いセル構造
【0109】
上記セルユニットが2次元的に繰り返されて大きな容積のフィルタが構成されるからである。フィルタには外周壁が存在しており、当然セルユニットはこの外周壁から外へは広がらない。このため、セルユニットはこの外周壁の形状に合わせて適宜欠損を受ける。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るハニカムフィルタの端面の一部を拡大して示した拡大端面図である。
図2図2(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係るハニカムフィルタの端面の一部を拡大して示した拡大端面図である。
図3図3は、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図4図4(a)は、図3に示すハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。
図5図5は、セルの断面形状において、第2排ガス導入セルおよび排ガス排出セルが八角形であり、第1排ガス導入セルが正方形である場合に、セルユニット(セル構造)が2次元的に、すなわちX、Y方向にどのように繰り返し、第1排ガス導入セルおよび第2排ガスセルが各セルユニット(セル構造)間においてどのように共有されるかを示したハニカムフィルタのセル長手方向に垂直な断面の拡大図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係るハニカムフィルタの端面を示す端面図である。
図7図7は、圧力損失測定方法を模式的に示す説明図である。
図8図8は、実施例1および比較例1において測定したPM捕集量と圧力損失の関係を示すグラフである。
図9図9(a)は、本発明の第二実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図であり、図9(b)は、図9(a)に示すハニカム焼成体のB−B線断面図である。
図10図10(a)は、本発明の第三実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図であり、図10(b)は、上記ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体を示す斜視図である。
図11図11(c)は、本発明の第三実施形態に係るハニカムフィルタの変形例の一つを示す斜視図であり、図11(d)は、図11(c)に示すハニカムフィルタの端面図である。図11(e)は、本発明の第三実施形態に係るハニカムフィルタの別の変形例の一つを示す端面図である。
図12図12(a)は、本発明の第四実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の端面におけるセルの配置例の一例を模式的に示す端面図であり、図12(b)は、本発明の第四実施形態に係るハニカムフィルタの変形例の一つを示す端面図であり、図12(c)は、本発明の第四実施形態に係るハニカムフィルタのさらに別の変形例の一つを示す端面図である。
図13図13は、セルの断面形状において、第1排ガス導入セル、および第2排ガス導入セルおよび排ガス排出セルが正方形である場合に、セルユニット(セル構造)が2次元的に、すなわちX、Y方向にどのように繰り返し、第1排ガス導入セルおよび第2排ガスセルが各セルユニット(セル構造)間においてどのように共有されるかを示したハニカムフィルタのセル長手方向に垂直な断面の拡大図である。
図14図14は、本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の端面におけるセルの配置例の一例を模式的に示す端面図である。
図15図15は、本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の端面におけるセルの配置例の一例を模式的に示す端面図である。
図16図16(a)は、膨潤正方形のセル形状の一例を模式的に示す説明図であり、図16(b)は、収縮正方形のセル形状の一例を模式的に示す説明図であり、図16(c)は、収縮正方形の頂点部分に面取りが施された形状の一例を模式的に示す側面説明図であり、図16(d)は、膨潤正方形の頂点部分に面取りが施された形状の一例を模式的に示す説明図である。
図17図17(a)は、特許文献1に記載のハニカムフィルタを模式的に示す斜視図であり、図17(b)は、上記ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図である。
図18図18(a)は、特許文献2に記載のハニカムフィルタを模式的に示した斜視図であり、図18(b)は、上記ハニカムフィルタの端面を模式的に示した端面図である。
図19図19(a)は、比較例に係るハニカムフィルタを模式的に示す斜視図であり、図19(b)は、図19(a)に示すハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0111】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0112】
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカムフィルタの一実施形態である第一実施形態について説明する。
【0113】
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタは、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁を備え、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セルと、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セルとして、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルとを備え、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成されている。
【0114】
また、上記外周壁に隣接するセル以外のセルに関し、上記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとが隣接しており、
セルの長手方向に対して垂直方向の断面に関し、上記第2排ガス導入セルの断面積が第1排ガス導入セルの断面積より大きく、上記排ガス排出セルの断面積は、上記第2排ガス導入セルの断面積と同じであり、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルおよび上記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さが、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さよりも長い。
上記外周壁に隣接するセルは、上記第1排ガス導入セルと、該第1排ガス導入セルと交互に配置された前記排ガス排出セルとからなり、上記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面の断面積は、上記第1排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面の断面積よりも大きい。
すなわち、2つの第1排ガス導入セルと、1つの第2排ガス導入セルと、1つの排ガス排出セルが二次元的に繰り返されており、上記外周壁は、角部を有し、該角部以外の外周壁の厚さが均一になるように、セルの長手方向に垂直な断面における上記外周壁に隣接する第1排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの上記外周壁に接する辺は、上記外周壁の外壁をなす辺と平行かつ直線的に形成されており、上記排ガス排出セルは、一部が欠損している。また、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下である。
なお、セルの長手方向に垂直方向の断面形状に関し、上記排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの断面形状は、目封止部分を除き排ガス入口側の端部から上記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおける全ての場所において同じである。
【0115】
図3は、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図4(a)は、図3に示すハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。
【0116】
図3に示すハニカムフィルタ20では、複数個のハニカム焼成体10が接着材層15を介して結束されてセラミックブロック18を構成し、このセラミックブロック18の外周には、排ガスの漏れを防止するための外周コート層16が形成されている。なお、外周コート層16は、必要に応じて形成されていればよい。
【0117】
このような、複数個のハニカム焼成体が結束されてなるハニカムフィルタは、集合型ハニカムフィルタともいう。
なお、ハニカム焼成体10は、四角柱形状であるが、図4(a)に示すように、端面における角部が曲線形状となるように面取りが施されており、これにより角部に熱応力が集中し、クラック等の損傷が発生するのを防止している。上記角部は、直線形状となるように面取りされていてもよい。
【0118】
なお、第一実施形態に係るハニカムフィルタ20では、排ガス排出セルは、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止されており、排ガス導入セルは、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止されているが、封止部は、ハニカム焼成体と同じ材料が好ましい。
【0119】
図4(a)および図4(b)に示すハニカム焼成体10では、断面が八角形状の排ガス排出セル11の周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて断面が正方形の第1排ガス導入セル12と断面が八角形状の第2排ガス導入セル14とが隣接している。第1排ガス導入セル12と第2排ガス導入セル14とは、排ガス排出セル11の周囲に交互に配置されており、第2排ガス導入セル14の断面積が第1排ガス導入セル12の断面積より大きく、排ガス排出セル11の断面積は、第2排ガス導入セル14の断面積と同じである。また、このハニカム焼成体10の外周には、外周壁17が形成されており、外周壁17に隣接するセルは、排ガス排出セル11A、11Bと第1排ガス導入セル12Aから構成されている。
第2排ガス導入セル14と排ガス排出セル11の断面形状は、いずれも八角形であり、互いに合同である。
【0120】
本実施形態に係るハニカムフィルタ20では、ハニカム焼成体の角部以外の外周壁17の厚さが均一になるように、セルの長手方向に垂直な断面における外周壁17に隣接する排ガス排出セル11A、11Bと第1排ガス導入セル12Aの外周壁17に接する辺は、外周壁17の外壁をなす辺と平行かつ直線的に形成されている。
【0121】
従って、外周壁17に隣接する排ガス排出セル11Aの断面は、一部がカットされているため、八角形から六角形に変化している。第1排ガス導入セル12Aの形状断面は、一部カットされた形状でもよいが、第1排ガス導入セル12の断面形状と合同であることが好ましい。
【0122】
ハニカム焼成体10の角部に存在する排ガス排出セル11Bは、八角形から、曲線からなる面取り部110Bを有する略五角形に変化している。図4(a)に示す排ガス排出セル11Bの面取り部110Bは、面取り部分が曲線を有するように面取りされているが、面取り部分が直線となるように面取りされていてもよい。
このように構成することにより、外周壁によりハニカム焼成体の強度が向上すると共に、ハニカム焼成体における排ガス排出セルと排ガス導入セルの容積比率の部分的なバラツキがより抑えられ、より排ガスの流れが均一になり、外周壁近傍においても、第1排ガス導入セル12に排ガスがスムーズに流れ込み、セル隔壁および外周壁がフィルタとしての機能を果たすため、圧力損失を低減させることができる。
【0123】
ハニカム焼成体10では、外周壁17に沿うように排ガス排出セル11A、11Bと第1排ガス導入セル12Aとが交互に配置されており、その内側に排ガス排出セル11が第1排ガス導入セル12および第2排ガス導入セル14を介して秩序だって配置されており、排ガス排出セル11、第1排ガス導入セル12、および、第2排ガス導入セル14は、極めて整然とした配置をとっている。
【0124】
排ガス排出セル11と第2排ガス導入セル14とは、同じ八角形の形状を有しているが、この八角形は、重心に対して点対称であり、斜辺(図2において、14aで示す)の長さが全て等しく、縦横の辺(図2において、14bで示す)の長さが全て等しい形状の八角形であり、かつ、4つの第1の辺(斜辺)と4つの第2の辺(縦横の辺)とが交互に配置されており、第1の辺と第2の辺とのなす角度が135°である。
なお、「斜辺」とは一般的には直角三角形の直角と相対するもっと長い辺をいうが、この明細書中では、説明の便宜のために、下記に説明する4つの仮想的な線分に対して90°もしくは0°ではない所定の角度を持つ辺14aや辺11bを「斜辺」と表現する。また、これと区別する意味で、下記に説明する仮想的な4つの線分に対して平行または垂直な辺14bや辺11aを「縦横の辺」と表現する。
「斜辺」、「縦横の辺」の説明における仮想的な線分とは、排ガス排出セル11の周囲に配置された4つの第2排ガス導入セル14の断面図形の幾何学的な重心間を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セル11の断面図形と交わらない4つの線分(これら4つの線分は正方形を構成する)をいう。
【0125】
第1排ガス導入セル12は、正方形の断面形状を有している。
また、隣り合う3種類のセル、すなわち排ガス排出セル11と第2排ガス導入セル14と第1排ガス導入セル12との断面形状に関し、八角形状の排ガス排出セル11の辺において、セル隔壁13を隔てて第1排ガス導入セル12と対面する辺11aと、正方形の第1排ガス導入セル12の辺において、セル隔壁13を隔てて排ガス排出セル11と対面する辺12aとは平行である。
また、八角形の排ガス排出セル11の辺において、八角形の第2排ガス導入セル14とセル隔壁13を隔てて対面する辺11bと、八角形の第2排ガス導入セル14の辺において、セル隔壁13を隔てて排ガス排出セル11と対面する辺14aとは平行である。また、第1排ガス導入セル12の辺において、セル隔壁13を隔てて第2排ガス導入セル14と対面する辺12bと、第2排ガス導入セル14の辺において、セル隔壁13を隔てて第1排ガス導入セル12と対面する辺14bとは平行である。また、互いに平行な辺の間の距離は、いずれの組み合わせにおいても互いに等しい(図2(a)〜(c)参照)。すなわち、互いに平行な辺11aと辺12aの間の距離、互いに平行な辺11bと辺14aの間の距離および互いに平行な辺12bと辺14bとの間の距離は互いに等しい。
【0126】
さらに、排ガス排出セル11、第1排ガス導入セル12、第2排ガス導入セル14は、それぞれ以下の条件を満たすように配置されている。
すなわち、排ガス排出セル11を包囲している4つの第2排ガス導入セル14の八角形図形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セル11の八角形図形領域を通過する2本の線分の交点は、排ガス排出セル11の八角形図形の幾何学的な重心と一致する。
また、4つの第2排ガス導入セル14の八角形図形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セル11の八角形図形領域を通過しない4本は、正方形を構成し、その各辺の中点は排ガス排出セル11を包囲している4つの第1排ガス導入セル12の正方形図形の幾何学的な重心と一致する。
【0127】
このように、八角形である排ガス排出セル11の周囲にセル隔壁13を隔てて正方形の第1排ガス導入セル12と八角形の第2排ガス導入セル14がそれぞれ4つずつ交互に配置されて排ガス排出セル11を包囲した構造を1つのユニットとして、このユニットが、互いに第1排ガス導入セル12および第2排ガス導入セル14を共有しながら、2次元的に繰り返して配列してハニカムフィルタを構成するのである。各ユニットは、互いに第1排ガス導入セル12および第2排ガス導入セル14を共有しているのであるから、排ガス排出セル11とセル隔壁13を隔てて接する第1排ガス導入セル12および第2排ガス導入セル14は、隣接するユニットにおける排ガス排出セル11とセル隔壁13を隔てて接しているのである。
【0128】
図5は、セルの断面形状において、第2排ガス導入セル14および排ガス排出セル11が八角形であり、第1排ガス導入セル12が正方形であり、上記説明の条件を満たす配置である場合に、セルユニット(セル構造)が2次元的に、すなわち図5中に記載したX、Y方向にどのように繰り返し、第1排ガス導入セル12および第2排ガスセル14が各セルユニット(セル構造)間においてどのように共有されるかを示したハニカムフィルタのセル長手方向に垂直な断面の拡大図である。
セルユニット1、セルユニット2およびセルユニット3は、いずれも上記説明の条件を満たすように排ガス排出セル11の全周囲にセル隔壁13を介して第1排ガス導入セル12および第2排ガス導入セル14をそれぞれ4つずつ交互に配置した構造を有している。セルユニット2はセルユニット1と同じ構造を持っており、セルユニット1と1つの第1排ガス導入セル12および2つの第2排ガス導入セル14を共有してX方向に隣接している。セルユニット1およびセルユニット2によって共有されているセルは図5中に「共有部分2」と記載している。また、ユニットセル3は、セルユニット1と同じ構造を持っており、セルユニット1と1つの第1排ガス導入セル12および2つの第2排ガス導入セル14を共有してY方向に隣接している。セルユニット1およびセルユニット3によって共有されているセルは図5中に「共有部分1」と記載している。
なお、4つの第2排ガス導入セル14の八角形図形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セル11の八角形図形領域を通過しない4本の線分H、I、J、K、および、排ガス排出セル11の八角形図形領域を通過する仮想的な2本の線分L、Mを、図5中に示している。そして、「共有部分2」は、線分Mと同じ方向の線分からなるハッチングにより描かれており、「共有部分1」は、線分Lと同じ方向の線分からなるハッチングにより描かれている。
図5に示すように、2本の線分L、Mの交点は、排ガス排出セル11の幾何学的な重心と一致している。
【0129】
上記したセルの形状に関し、図2図3および図4に示すハニカムフィルタ20では、外周壁17に隣接している排ガス排出セル11A、11Bを除いて排ガス排出セル11および第2排ガス導入セル14の断面は八角形、第1排ガス導入セル12、12Aの断面は正方形であるが、本発明のハニカムフィルタを構成する排ガス排出セルおよび排ガス導入セルの断面の形状は、上記形状に限定されず、下記するように全て正方形であってもよく、他の多角形の組み合わせであってもよい。
【0130】
また、このような断面が多角形のセルの排ガス排出セル11、第1排ガス導入セル12、および第2排ガス導入セル14の頂点部分は、断面が曲線となる曲線面取り形状となってもよい。
上記曲線としては、円を4等分に分割した際に得られる曲線、楕円を長軸および長軸に垂直な直線で4等分に分割した際に得られる曲線等が挙げられる。特に断面が四角形状のセルの頂点部分に断面が曲線となる曲線面取りが施されていることが好ましい。角部に応力が集中することによりセル隔壁にクラックが入るのを防止することができるからである。
また、このハニカムフィルタ20では、必要に応じて、断面が円形等の曲線からなるセルが一部含まれていてもよい。
【0131】
以下の説明において、外周壁17に隣接する排ガス排出セル11A、11Bは、除外することとする。
第1排ガス導入セル12の断面積は、0.7mm以下であるが、第1排ガス導入セル12の断面積の第2排ガス導入セル14の断面積に対する割合は、40〜70%であることが好ましく、50〜65%であることがより好ましい。
【0132】
図2図3および図4に示したハニカムフィルタ20では、排ガス排出セル11の断面積は、第2排ガス導入セル14の断面積と同じであるが、排ガス排出セル11の断面積は、第2排ガス導入セル14の断面積より大きくてもよい。
排ガス排出セル11の断面積は、第2排ガス導入セル14の断面積の1.05〜1.5倍であることが好ましい。
【0133】
また、第1排ガス導入セル12の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺12aの長さが、第2排ガス導入セル14の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺14aの長さよりも長い。上述した本発明の定義によれば、辺12a、14aは、排ガス排出セル11と対面している辺である。
【0134】
第1排ガス導入セル12の辺12aの長さに対する第2排ガス導入セル14の辺14aの長さの比(辺14aの長さ/辺12aの長さ)は、特に限定されるものではないが、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。
【0135】
図4(b)に示すように、第1排ガス導入セル12または第2排ガス導入セル14に流入した排ガスG図4(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、必ず、排ガス排出セル11と第1排ガス導入セル12または第2排ガス導入セル14とを隔てるセル隔壁13を透過した後、排ガス排出セル11から流出するようになっている。排ガスGがセル隔壁13を透過する際に、排ガス中のPM等が捕集されるため、セル隔壁13は、フィルタとして機能する。
【0136】
このように、排ガス排出セル11、第1排ガス導入セル12および第2排ガス導入セル14は、排ガス等の気体を流通させることができる。図4(b)に示す方向に排ガスを流通させる場合、ハニカム焼成体10の第1の端面10a側の端部(排ガス排出セル11が目封止されている側の端部)を排ガス入口側の端部といい、ハニカム焼成体10の第2の端面10b側の端部(第1排ガス導入セル12および第2排ガス導入セル14が目封止されている側の端部)を排ガス出口側の端部という。
【0137】
このような構成のハニカムフィルタ20では、本発明に係るハニカムフィルタの作用・効果で説明したように、排ガス排出セルの断面積が大きいので、排ガスが排ガス排出セルを通過する通過抵抗およびハニカムフィルタから流出する際の流出抵抗が小さく、第2排ガス導入セルの断面積が、第1排ガス導入セルよりも断面積が大きいので、PMが第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルに広く薄く堆積し、PMの堆積量が6〜10g/Lとなるまでの間、圧力損失を低く保つことができる。一方、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下であるため、ハニカムフィルタにPMが6〜10g/L堆積すると、第1排ガス導入セルの開口が狭くなり、これに起因して圧力損失が急上昇するので、確実に適切な時期に再生処理を行うことができる。従って、本実施例に係るハニカムフィルタでは、過捕集が発生しにくく、再生により発熱量が大きくなりにくく、ハニカムフィルタにクラックや溶損が発生しにくい。
【0138】
図6は、図3及び図4に示したハニカムフィルタ20の端面を示す端面図である。
図6に示す構成のハニカムフィルタ20では、ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体10の外周壁17の全体にわたって外周壁の厚さが均一であるので、外周壁17によりハニカム焼成体の強度が向上すると共に、ハニカム焼成体における排ガス排出セルと排ガス導入セルの容積比率の部分的なバラツキがより抑えられ、より排ガスの流れが均一になるため、圧力損失を低減させることができる。
また、外周壁17に隣接するセルに関し、排ガス排出セル11A、11Bと第1排ガス導入セル12Aとが隣接しているため、図6に示すように外周壁17の内部を排ガスが透過することができ、その結果、外周壁17の一部をフィルタとして利用することができ、より圧力損失を低減させることができる。
また、外周壁17が面取り形状であるので、ハニカム焼成体10の角部に対する応力集中が抑制され、ハニカム焼成体10の角部にクラックが発生しにくくなる。さらに、角部に位置する排ガス排出セル11Bの断面形状が、曲線からなる面取り部110Bを有さず、直線を組み合わせた5角形であると、排ガス排出セル11Bは、ハニカム焼成体10の角部に近い部分であるので、応力が集中し易く、クラックが発生し易いが、このハニカムフィルタ20では、排ガス排出セル11Bに面取り部110Bが形成されているので、排ガス排出セル11Bにクラックが発生しにくい。
【0139】
第一実施形態に係るハニカムフィルタ20は、複数のハニカム焼成体10により構成されているが、ハニカム焼成体10の構成材料としては、例えば、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック、ケイ素含有炭化ケイ素等が挙げられる。これらのなかでは、炭化ケイ素、または、ケイ素含有炭化ケイ素が好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。
なお、ケイ素含有炭化ケイ素は、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたものであり、炭化ケイ素を60wt%以上含むケイ素含有炭化ケイ素が好ましい。
【0140】
第一実施形態に係るハニカムフィルタ20を構成するハニカム焼成体10のセル同士を隔てるセル隔壁の厚さは、全ての場所において等しいことが望ましい。また、セル隔壁の厚さは、0.10〜0.46mmであることが好ましく、0.12〜0.35mmがより好ましい。外周壁17の厚さは、0.10〜0.50mmが好ましい。なお、セル隔壁の厚さは、上記した定義に基づき、図1(b)に示した厚さDとして測定された値である。
また、封止部の厚みは1.0〜5.0mmであることが好ましい。
【0141】
本発明のハニカムフィルタでは、上記セル隔壁の気孔率は、40〜65%であることが望ましい。
セル隔壁の気孔率が40〜65%である場合、セル隔壁は、排ガス中のPMを良好に捕集することができ、かつ、セル隔壁に起因する圧力損失の上昇を抑制することができる。従って、初期の圧力損失が低く、PMを堆積しても圧力損失が上昇しにくいハニカムフィルタとなる。
【0142】
セル隔壁の気孔率が40%未満では、セル隔壁の気孔の割合が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を透過しにくくなり、排ガスがセル隔壁を透過する際の圧力損失が大きくなる。一方、セル隔壁の気孔率が65%を超えると、セル隔壁の機械的特性が低く、再生時等において、クラックが発生し易くなる。
【0143】
第一実施形態に係るハニカムフィルタ20を構成するハニカム焼成体10のセル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径は、8〜25μmであることが好ましい。気孔径および気孔率は、水銀圧入法にて接触角を130°、表面張力を485mN/mの条件で測定する。
上記構成のハニカムフィルタでは、圧力損失の増加を抑制しながら、高い捕集効率でPMを捕集することができる。セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が8μm未満であると、気孔が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を透過する際の圧力損失が大きくなる。一方、セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が25μmを超えると、気孔径が大きくなりすぎるので、PMの捕集効率が低下してしまう。
【0144】
ハニカム焼成体10の断面におけるセルの単位面積あたりの数は、31〜62個/cm(200〜400個/inch)であることが望ましい。
【0145】
本発明の実施形態に係るハニカムフィルタ20では、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成されている。ハニカム焼成体を接着する接着材層は、無機バインダと無機粒子とを含む接着材ペーストを塗布、乾燥させたものである。上記接着材層は、さらに無機繊維および/またはウィスカを含んでいてもよい。
接着材層の厚さは、0.5〜2.0mmが好ましい。
【0146】
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタの外周に外周コート層を備えていてもよいが、外周コート層の材料は、接着材の材料と同じであることが望ましい。
外周コート層の厚さは、0.1〜3.0mmが好ましい。
【0147】
次に、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの製造方法について説明する。
なお、以下においては、セラミック粉末として、炭化ケイ素を用いる場合について説明する。
【0148】
(1)セラミック粉末とバインダとを含む湿潤混合物を押出成形することによってハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
具体的には、まず、セラミック粉末として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと、造孔材と、液状の可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
造孔材としては、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト、でん粉等が挙げられる。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
【0149】
造孔材の平均粒子径は、30〜50μmであることが好ましく、35〜45μmであることがより好ましく、ハニカムフィルタの狙いの平均気孔径に対して、1.5〜2.5倍であることが、さらに好ましい。また、造孔材は、粒子径が20μm以下のもの、および60μm以上のものが、全造孔材粒子に対して、それぞれ10%以下であることが好ましく、それぞれ5%以下であることより好ましい。さらに、造孔材の混合割合は、セラミック粉末としての炭化ケイ素粉末に対して10〜25wt%であることが好ましく、15〜20wt%であることがより好ましい。
【0150】
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。
この際、図4(a)に示すセル構造(セルの形状およびセルの配置)を有する断面形状が作製されるような金型を用いてハニカム成形体を作製する。この際、第1排ガス導入セル12の断面積が0.7mm以下になるように、第1排ガス導入セル12の大きさを設定する。
【0151】
(2)ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封止する目封止工程を行う。
ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。
【0152】
(3)ハニカム成形体を脱脂炉中、300〜650℃に加熱し、ハニカム成形体中の有機物を除去する脱脂工程を行った後、脱脂されたハニカム成形体を焼成炉に搬送し、2000〜2200℃に加熱する焼成工程を行うことにより、図4(a)に示したような形状のハニカム焼成体を作製する。
なお、セルの端部に充填された封止材ペーストは、加熱により焼成され、目封止材となる。
また、切断工程、乾燥工程、目封止工程、脱脂工程および焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0153】
(4)支持台上で複数個のハニカム焼成体を接着材ペーストを介して順次積み上げて結束する結束工程を行い、ハニカム焼成体が複数個積み上げられてなるハニカム集合体を作製する。
接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維および/またはウィスカを含んでいてもよい。
【0154】
上記接着材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
【0155】
上記接着材ペーストに含まれる無機繊維および/またはウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維および/またはウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。また、無機繊維は、生体溶解性ファイバであってもよい。
【0156】
さらに、上記接着材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。
【0157】
(5)次に、ハニカム集合体を加熱することにより接着材ペーストを加熱固化して接着材層とし、四角柱状のセラミックブロックを作製する。
接着材ペーストの加熱固化の条件は、従来からハニカムフィルタを作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0158】
(6)セラミックブロックに切削加工を施す切削加工工程を行う。
具体的には、ダイヤモンドカッターを用いてセラミックブロックの外周を切削することにより、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。
【0159】
(7)略円柱状のセラミックブロックの外周面に、外周コート材ペーストを塗布し、乾燥固化して外周コート層を形成する外周コート層形成工程を行う。
ここで、外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。なお、外周コート材ペーストとして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、外周コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
外周コート層を設けることによって、セラミックブロックの外周の形状を整えて、円柱状のハニカムフィルタとすることができる。
以上の工程によって、ハニカム焼成体を含むハニカムフィルタを作製することができる。
【0160】
上記工程では、切削工程を行うことにより所定形状のハニカムフィルタを作製していたが、ハニカム焼成体を作製する工程において、外周全体に外周壁を有する複数形状のハニカム焼成体を作製し、それら複数形状のハニカム焼成体を接着材層を介して組み合わせることにより円柱等の所定形状となるようにしてもよい。この場合には、切削工程を省略することができる。
【0161】
以下、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のハニカムフィルタでは、排ガス導入セルは、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルの2種類からなり、かつ、前記排ガス排出セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積は、第2排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積と同じであるかそれよりも大きく形成されており、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下であるので、ハニカムフィルタにPMが6〜10g/L堆積すると、第1排ガス導入セルの開口が狭くなり、これに起因して圧力損失が急上昇する。一方で、排ガス排出セルの断面積が大きいことに起因して、排ガスが排ガス排出セルを通過する通過抵抗およびハニカムフィルタから流出する際の流出抵抗が小さく、また、第2排ガス導入セルの断面積が、第1排ガス導入セルよりも断面積が大きいことに起因して、PMが第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルに広く薄く堆積する。このため、上記した圧力損失の急上昇が起こるPMの堆積量(PMの堆積量が6〜10g/Lに達する)までの圧力損失を低く保つことができる。
【0162】
(2)本実施形態のハニカムフィルタでは、第1排ガス導入セルの断面積は、第2排ガス導入セルの断面積の40〜70%とすることができる。
第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルの断面比率を上記のようにすることにより、排ガスが第1排ガス導入セルを通過する際の抵抗と第2排ガス導入セルを通過する際の抵抗に差をつけることができ、圧力損失を効果的に抑制することができる。
【0163】
(3)本実施形態のハニカムフィルタでは、排ガス排出セルと対面する第1排ガス導入セルの辺の長さに対する排ガス排出セルと対面する第2排ガス導入セルの辺の長さの比を0.8以下とすることができる。
第1排ガス導入セルの辺の長さに対する第2排ガス導入セルの辺の長さの比をこのようにすることにより、排ガスが、排ガス排出セルと第1排ガス導入セルとを隔てるセル隔壁をより透過し易くなり、初期の圧力損失を効果的に抑制することができ、PMが堆積した後も、PMの堆積量が6〜10g/Lに達するまで圧力損失の増加割合の上昇を抑制することができる。
【0164】
(4)本実施形態のハニカムフィルタでは、ハニカム焼成体の構成材料として、炭化ケイ素またはケイ素含有炭化ケイ素とすることができ、耐熱性に優れたハニカムフィルタとすることができる。
【0165】
(5)本実施形態のハニカムフィルタでは、セル同士を隔てるセル隔壁の厚さは、全ての場所において等しくすることができる。
セル隔壁の全体の厚さをこのように設定することにより、ハニカムフィルタの全体で同じ効果を奏するようにすることができる。
【0166】
(6)本実施形態のハニカムフィルタでは、セル隔壁の厚さを、0.10〜0.46mmとすることができる。
セル隔壁をこのような厚さに設定することにより、排ガス中のPMを捕集するのに充分な厚さを有するとともに、圧力損失の増加を効果的に抑制することができる。
【0167】
(7)本実施形態のハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体のセル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径を8〜25μmとすることができる。
上記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径をこのように設定することにより、圧力損失の増加を抑制しながら、高い捕集効率でPMを捕集することができる。
【0168】
(8)本実施形態のハニカムフィルタでは、セルの長手方向に垂直方向の断面形状に関し、上記排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの断面形状は、目封止部分を除き排ガス入口側の端部から上記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおける全ての場所において同じである。
従って、ハニカムフィルタの全体で同様の効果を奏することができ、ハニカムフィルタの場所による形状の不均一に起因する不都合の発生を防止することができる。
【0169】
(9)本実施形態のハニカムフィルタは、ハニカムフィルタに堆積したPMを燃焼除去する再生時に発生する熱衝撃によるクラックが発生しにくい。
本実施形態のハニカムフィルタにおいては、排ガス出口側の端部に設けられる封止部、すなわち第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルに充填される封止部が、セル隔壁を介して、第1排ガス導入セルの1つの辺の長さ以上の幅をもって、縦横に列になり存在する。一般にハニカムフィルタを再生させる場合、ハニカムフィルタの排ガス入口側に堆積したPMから順に燃焼し、排ガスの流れにのって、ハニカムフィルタの出口側に熱を伝播しながら出口側まで全てのPMが燃焼する。そのため、ハニカムフィルタの出口側ほど高温に曝され、ハニカムフィルタの径方向の温度差がつきやすく、熱応力によってクラックが発生してしまう。このようなクラックは、セルの断面積に大小関係があり、PMが堆積する排ガス導入セルの断面形状として正方形を含む場合に応力集中が生じやすく顕著である。しかし本実施形態のハニカムフィルタでは、排ガス出口側の端部に縦横に列になっている封口部が熱伝導層および外部への放熱層となり、ハニカムフィルタの排ガス出口側の端部での径方向の温度差を小さくすることができ、発生する熱応力を小さくし、クラックが発生しにくくなる。さらに、本実施形態のハニカムフィルタでは、第1排ガス導入セルより多くPMが堆積する第2排ガス導入セルに充填される封止材の量が、その断面積に応じて多くなり、それに伴い封止部の熱容量も大きくなっている。そのため、この封止部によって、各セル単位で考えても、PMの燃焼熱のより大きい第2排ガス導入セルの温度上昇を抑制し、ハニカムフィルタの径方向の温度差を小さくすることができ、発生する熱応力を小さくできると考えられる。
このため、本実施形態のハニカムフィルタは、その排ガス導入セルの断面形状として正方形を含んでいても再生時のクラックを抑制できると考えられる。
【0170】
(10)本実施形態のハニカムフィルタでは、外周壁によりハニカム焼成体の強度が向上すると共に、ハニカム焼成体における排ガス排出セルと排ガス導入セルの容積比率の部分的なバラツキがより抑えられ、より排ガスの流れが均一になるため、圧力損失を低減させることができる。
【0171】
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
【0172】
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末40.6重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末17.4重量%、造孔材としての平均粒子径40μmのアクリル樹脂10.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)6.4重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)3.0重量%、グリセリン1.4重量%、および、水20.6重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する成形工程を行う。
本工程では、図4(a)に示したハニカム焼成体10と同様の形状であって、セルの目封止をしていない生のハニカム成形体を作製する。この際、第1排ガス導入セル12の断面積が0.7mm以下になるように、各セルの大きさを設定した。
【0173】
次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製する。その後、ハニカム成形体の乾燥体の所定のセルに封止材ペーストを充填してセルの目封止を行う。
具体的には、排ガス入口側の端部および排ガス出口側の端部が図4(a)に示す位置で目封止されるようにセルの目封止を行う。
なお、上記湿潤混合物を封止材ペーストとして使用する。セルの目封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させる。
【0174】
続いて、セルの目封止を行ったハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行う。
これにより、四角柱のハニカム焼成体を作製する。
【0175】
以下、辺の長さおよび断面積を先に説明した電子顕微鏡写真および画像解析式粒度分布ソフトウェア(株式会社マウンテック(Mountech)社製)MAC-View (Version3.5)なる計測ソフトウエアを用いて計測することができる。
ハニカム焼成体は、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、大きさが34.3mm×34.3mm×152mm、セルの数(セル密度)が290個/inch、セル隔壁の厚さが0.25mm、封止部の厚みが3mmの炭化ケイ素焼結体からなる図4(a)、(b)に示すハニカム焼成体10である。
【0176】
ハニカム焼成体10のセルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル11の周囲全体には第1排ガス導入セル12、12Aおよび第2排ガス導入セル14が隣接している。
第1排ガス導入セル12、12Aは、正方形からなり、第1排ガス導入セル12、12Aの断面形状を構成する辺の長さは0.81mmであり、その断面積は、0.66mmである。
第2排ガス導入セル14は、八角形であり、排ガス排出セル11と対面している辺である斜辺の長さは50mmであり、排ガス排出セル11と対面していない縦横辺の長さは、0.96mmである。
すなわち、第2排ガス導入セル14の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺の長さは、第1排ガス導入セル12の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺の長さの0.53倍である。
【0177】
なお、四隅に位置する排ガス排出セル11Bに関し、外周壁17と隣接する辺の長さは、
1.24mmであり、縦横の辺の長さは、0.88mmであり、斜辺の長さは、0.50mmであり、断面積は、1.67mmである。
一方、排ガス排出セル11Aに関し、外周壁17と隣接する辺の長さは、1.67mmであり、外周壁17と隣接する辺と平行な縦の辺の長さは、0.96mmであり、外周壁17と隣接する辺と直角に結合している横の辺の長さは、0.88mmであり、斜辺の長さは、0.50mmであり、断面積は、1.95mmである。
【0178】
排ガス排出セル11は、八角形であり、その形状は、第2排ガス導入セル14と同様であり、第2排ガス導入セル14と対面している斜辺の長さは0.50mmであり、第1排ガス導入セル12と対面している縦横辺の長さは0.96mmである。
また、外周壁17の厚さは、0.40mmである。
【0179】
第1排ガス導入セル12の断面積は、0.66mmであり、第2排ガス導入セル14および排ガス排出セル11の断面積はともに2.54mmであった。すなわち、第1排ガス導入セル12の断面積は、第2排ガス導入セル14の断面積の26.0%である。
また、排ガス排出セル11の断面積は、第2排ガス導入セル14の断面積と同じであり、かつ、第1排ガス導入セル12の断面積よりも大きくなっている。
【0180】
なお、ハニカム焼成体は、端面における角部が曲線形状となるように面取りが施された四角柱形状であった。
【0181】
続いて、平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、および、水28.4重量%を含む耐熱性の接着材ペーストを用いてハニカム焼成体を多数結束させ、さらに、接着材ペーストを120℃で乾燥固化させて接着材層を形成して角柱状のセラミックブロックを作製する。
【0182】
続いて、角柱状のセラミックブロックの外周をダイヤモンドカッターを用いて切断することにより略円柱状のセラミックブロックを作製する。
【0183】
続いて、接着材ペーストと同様の組成からなるシール材ペーストをセラミックブロックの外周面に塗布し、シール材ペーストを120℃で乾燥固化させて外周コート層を形成することにより、円柱状のハニカムフィルタの製造を完了した。
ハニカムフィルタの直径は143.8mm、長手方向の長さは152mmである。
【0184】
(比較例1)
実施例1と同様に成形工程を行い、生のハニカム成形体を得て、次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製した。その後、ハニカム成形体の乾燥体の所定のセルに封止材ペーストを充填してセルの目封止を行う。
ここで、セルの目封止を行う位置を実施例1から変更し、排ガス出口側の端部となる端面では八角形のセルの全てを目封止し、排ガス入口側の端部となる端面では正方形のセルの全てを目封止して、両方の端面においてセルが交互に目封止されるようにする。
その結果、排ガス入口側の端部および排ガス出口側の端部が図19(b)に示す位置で目封止されたハニカム成形体となる。
以後、実施例1と同様の工程を行い、図19(a)、(b)に示すハニカム焼成体130を作製し、ハニカムフィルタ120を作製した。
【0185】
ハニカム焼成体130のセルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス導入セル132は、外周壁137に隣接する排ガス導入セル132A、132Bを除き、全て八角形である。
排ガス排出セル131と対面している辺は縦横辺であり、その長さは0.96mmである。
他の排ガス導入セル132、132A、132Bと対面している辺は斜辺であり、その長さは0.50mmである。
排ガス排出セル131、131Aは、全て正方形であり、排ガス排出セル131、131Aの断面形状を構成する辺の長さは0.81mmである。
なお、四隅に位置する排ガス導入セル132Bに関し、外周壁137と隣接する辺の長さは、1.24mmであり、縦横の辺の長さは、0.88mmであり、斜辺の長さは、0.50mmであり、断面積は、1.67mmである。
一方、排ガス導入セル132Aに関し、外周壁137と隣接する辺の長さは、1.67mmであり、外周壁17と隣接する辺と平行な縦の辺の長さは、0.96mmであり、外周壁17と隣接する辺と直角に結合している横の辺の長さは、0.88mmであり、斜辺の長さは、0.50mmであり、断面積は、1.95mmである。
また、セル隔壁133の厚さは、0.25mmであり、外周壁の厚さは、0.40mmである。
【0186】
排ガス導入セル132の断面積は、2.54mmであり、排ガス排出セル131の断面積は0.66mmである。すなわち、排ガス導入セル132の断面積は、排ガス排出セル131の断面積よりも大きくなっている。
【0187】
実施例1および比較例1で製造したハニカムフィルタについて、図7に示したような圧力損失測定装置を用いて、PM捕集量と圧力損失の関係を測定した。
【0188】
図7は、実際にディーゼルエンジンを運転させて圧力損失を測定する圧力損失測定方法を模式的に示す説明図である。
この圧力損失測定装置310では、排気量1.6リットルのディーゼルエンジン311の排ガス管312に、ハニカムフィルタ20を金属ケーシング313内に固定して配置し、ハニカムフィルタ20の前後の圧力を検出可能になるように圧力計314が取り付けられている。ハニカムフィルタ20は、その排ガス入口側の端部がディーゼルエンジン311の排ガス管312に近い側に配置される。すなわち、排ガス入口側の端部が開口されたセルに排ガスが流入するように配置される。
ディーゼルエンジン311を回転数3100rpm、トルク50Nmで運転して、ディーゼルエンジン311からの排ガスをハニカムフィルタ20に流通させてPMをハニカムフィルタに捕集させる。
そして、ハニカムフィルタの見かけ体積1リットルあたりのPMの捕集量(g/L)と圧力損失(kPa)の関係を測定する。
【0189】
図8は、実施例1および比較例1のハニカムフィルタのPM捕集量と圧力損失の関係を示すグラフである。
図8に示すグラフから明らかなように、実施例1では、比較例1に比べて、通常使用域であるPM捕集量が6g/Lまでは圧力損失が低く、PM捕集量が6g/Lを超えたあたりから、圧力損失の値がより急激に上昇しており、再生処理を行う必要があることを早めに気付くことができ、過捕集が発生しにくいようになっている。
【0190】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態に係るハニカムフィルタについて説明する。
第二実施形態に係るハニカムフィルタは、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セルと、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セルとして、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルとを備え、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下である。
【0191】
また、上記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとが隣接しており、
セルの長手方向に対して垂直方向の断面に関し、上記第2排ガス導入セルの断面積が第1排ガス導入セルの断面積より大きく、上記排ガス排出セルの断面積は、上記第2排ガス導入セルの断面積と同じであり、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルおよび上記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さが、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さよりも長い。
なお、セルの長手方向に垂直方向の断面形状に関し、上記排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの断面形状は、目封止部分を除き排ガス入口側の端部から上記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおける全ての場所において同じである。
【0192】
すなわち、第二実施形態に係るハニカムフィルタは、外周に外周壁を有する一のハニカム焼成体により構成されている以外は、第一実施形態に係るハニカムフィルタと同様に構成されている。このような一のハニカム焼成体により構成されたハニカムフィルタは、一体型ハニカムフィルタともいう。
【0193】
図9(a)は、本発明の第二実施形態に係る一体型ハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図であり、図9(b)は、上記一体型ハニカムフィルタのB−B線断面を示す断面図である。
【0194】
図9(a)、(b)に示すハニカムフィルタ30では、断面が八角形状の排ガス排出セル31の周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて断面が正方形の第1排ガス導入セル32と断面が八角形状の第2排ガス導入セル34とが隣接している。第1排ガス導入セル32と第2排ガス導入セル34とは、排ガス排出セル31の周囲に交互に配置されており、第2排ガス導入セル34の断面積が第1排ガス導入セル32の断面積より大きく、排ガス排出セル31の断面積は、第2排ガス導入セル34の断面積と同じである。また、第1排ガス導入セル32の断面積が0.7mm以下である。
【0195】
また、第1排ガス導入セル32の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル31と対面している辺32aの長さが、第2排ガス導入セル34の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺34aの長さよりも長い。
【0196】
本実施形態に係るハニカムフィルタ30は、一のハニカム焼成体により構成されており、外周には、外周壁37が形成されている。本実施形態に係るハニカムフィルタ30を構成する材料としては、コージェライト、チタン酸アルミニウムが好ましい。これらの材料は、熱膨張率が低いため、大型のハニカムフィルタであっても、再生時等において発生する熱応力に起因するクラック等が発生しにくい。
上述した内容以外の実施形態の内容は、第一実施形態に記載した内容と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0197】
本実施形態のハニカムフィルタ30は、第一実施形態で製造するハニカム焼成体をそのまま用いるか、外周に外周コート層を形成する他は、本発明の第一実施形態で説明した方法と同様の方法を用いて製造することができる。従って、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの製造方法における(4)、(5)および(6)の工程を必要とせず、外周コート層を形成しない場合には、(7)の工程も必要としない。
【0198】
本実施形態に係るハニカムフィルタ30は、基本的なセルの配置、形状、目封止の態様等が第一実施形態に係るハニカムフィルタ20と同様であるので、第一実施形態に記載した(1)〜(9)の作用・効果と同様の作用・効果を奏することができる。
【0199】
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態に係るハニカムフィルタについて説明する。
第三実施形態に係るハニカムフィルタは、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セルと、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セルとして、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルとを備え、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成され、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下である。
【0200】
また、上記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとが隣接しており、
セルの長手方向に対して垂直方向の断面に関し、上記第2排ガス導入セルの断面積が第1排ガス導入セルの断面積より大きく、上記排ガス排出セルの断面積は、上記第2排ガス導入セルの断面積と同じであり、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セルおよび上記排ガス導入セルは、いずれも多角形からなり、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さが、上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうち、上記排ガス排出セルと対面している辺の長さよりも長い。
上記外周壁に隣接するセルに関し、排ガス排出セルと第1排ガス導入セルとが交互に配置されている。
なお、セルの長手方向に垂直方向の断面形状に関し、上記排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの断面形状は、目封止部分を除き排ガス入口側の端部から上記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおける全ての場所において同じである。
【0201】
すなわち、第三実施形態に係るハニカムフィルタは、第一実施形態に係るハニカムフィルタと同様のハニカムフィルタであり、基本的なセルの形状および配置は、第一実施形態に係るハニカムフィルタと同様であるが、外周壁に隣接するセルの断面形状が、外周壁に隣接するセル以外のセルの断面形状と同じである点が第一実施形態に係るハニカムフィルタと異なる。
【0202】
図10(a)は、本発明の第三実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図であり、図10(b)は、上記ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体を示す斜視図である。
【0203】
図10(a)〜(b)に示すハニカムフィルタ30を構成するハニカム焼成体10aのセル隔壁の断面形状および配置は、図4に示すハニカムフィルタ20を構成するハニカム焼成体10のセル隔壁および配置と基本的に同じであり、断面が八角形状の排ガス排出セル11の周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて断面が正方形の第1排ガス導入セル12と断面が八角形状の第2排ガス導入セル14とが隣接している。第1排ガス導入セル12と第2排ガス導入セル14とは、排ガス排出セル11の周囲に交互に配置されており、第2排ガス導入セル14の断面積が第1排ガス導入セル12の断面積より大きく、排ガス排出セル11の断面積は、第2排ガス導入セル14の断面積と同じである。また、このハニカム焼成体10の外周には、外周壁17aが形成されており、外周壁17aに隣接するセルは、第1排ガス導入セル12と排ガス排出セル11とから構成されている。第1排ガス導入セルの断面積が、0.7mm以下である。
【0204】
また、第1排ガス導入セル12の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺12aの長さが、第2排ガス導入セル14の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺14aの長さよりも長い。
【0205】
図4に示すハニカムフィルタ20を構成するハニカム焼成体10の場合と異なるのは、図10(b)に示すように、外周壁に隣接する排ガス排出セル11および第1排ガス導入セル12の断面形状が、外周壁に隣接するセル以外の排ガス排出セル11、第1排ガス導入セル12の断面形状と同じである点である。
【0206】
次に、本発明の第三実施形態に係るハニカムフィルタの変形例について説明する。
図11(c)は、本発明の第三実施形態に係るハニカムフィルタの変形例の一例を示す斜視図であり、図11(d)は、図11(c)に示すハニカムフィルタの端面図である。
図11(c)、(d)に示すハニカムフィルタ10bでは、全ての第1排ガス導入セル12の形状および第2排ガス導入セル14の形状は同じであり、外周壁17bの外壁をなす辺170bが、外周壁17bに隣接する第1排ガス導入セル12および排ガス排出セル11の形状に合わせて変化し、外周壁17bの厚さは、均一になっている。
すなわち、外周壁17bの厚さを均一にするため、外周壁17bの外壁をなす辺170bは、外周壁17bに隣接する第1排ガス導入セル12および排ガス排出セル11の形状に沿うように凹凸形状となっている。
図11(e)は、本発明の第三実施形態に係るハニカムフィルタの別の変形例の一例を示す端面図である。
図11(e)に示すハニカムフィルタ10cでは、外周壁17cに隣接するセルが全て排ガス導入セルであり、第2排ガス導入セル14aの形状が、外周壁17cに隣接しない排ガス導入セル14の形状に対して、外周壁17cに隣接する第1排ガス導入セル12aにおける外周壁17cを構成する内壁を繋ぐ直線に合わせて一部欠損しており、六角形となっている。また、角部に存在する排ガス排出セル14bは、同様に一部欠損しており、五角形となっている。
このように、排ガス導入セルの開口率を高くするために、外周壁に隣接するセルを全て排ガス導入セルとしてもよい。
【0207】
上述した内容以外の実施形態の内容は、第一実施形態に記載した内容と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0208】
本実施形態のハニカムフィルタは、押出成形工程において用いる金型の形状を変更する他は、本発明の第一実施形態で説明した方法と同様の方法を用いて製造することができる。
【0209】
本実施形態に係るハニカムフィルタは、基本的なセルの配置、形状、目封止の態様等が第一実施形態に係るハニカムフィルタ20と同様であるので、第一実施形態に記載した(1)〜(10)の作用・効果と同様の作用・効果を奏することができる。
【0210】
(第四実施形態)
以下、本発明の第四実施形態に係るハニカムフィルタについて説明するが、以下に説明する事項以外の事項は、第一実施形態に係るハニカムフィルタと同様に構成されている。
【0211】
本発明の第四実施形態に係るハニカムフィルタは、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セルと、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セルとして、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルとを備え、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成され、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下である。
【0212】
また、上記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて第1排ガス導入セルと第2排ガス導入セルとが隣接しており、
セルの長手方向に対して垂直方向の断面に関し、上記第2排ガス導入セルの断面積が第1排ガス導入セルの断面積より大きく、上記排ガス排出セルの断面積は、上記第2排ガス導入セルの断面積と同じであり、
セルの長手方向に垂直な断面に関し、上記排ガス排出セル、上記第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルは、いずれも正方形の断面形状からなり、上記第1排ガス導入セルの断面形状を構成する辺のうちいずれか一辺は、上記排ガス排出セルと対面し、かつ上記第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺は、いずれも上記排ガス排出セルを構成する辺と対面しない。
上記外周壁に隣接するセルは、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルとから構成されている。
セルの長手方向に垂直方向の断面形状に関し、上記排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの断面形状は、目封止部分を除き排ガス入口側の端部から上記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおける全ての場所において同じである。
【0213】
すなわち、第四実施形態に係るハニカムフィルタは、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルのいずれも正方形からなること、および、以下に説明する事項以外は、第一実施形態に係るハニカムフィルタと同様に構成されている。
【0214】
図12(a)は、本発明の第四実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の端面におけるセルの配置例の一例を模式的に示す端面図である。
【0215】
図12(a)に示すハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体40では、断面が正方形の排ガス排出セル41の周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて断面が正方形の第1排ガス導入セル42と断面が正方形の第2排ガス導入セル44とが隣接している。第1排ガス導入セル42と第2排ガス導入セル44とは、排ガス排出セル41の周囲に交互に配置されており、第2排ガス導入セル44の断面積が第1排ガス導入セル42の断面積より大きく、排ガス排出セル41の断面積は、第2排ガス導入セル44の断面積と同じである。また、第1排ガス導入セル42の断面積が、0.7mm以下である。
また、隣り合う3種類のセル、すなわち排ガス排出セル41と第2排ガス導入セル44と第1排ガス導入セル42の断面形状に関し、正方形の排ガス排出セル41の辺において、セル隔壁43を隔てて第1排ガス導入セル42と対面する辺41aと、正方形の第1排ガス導入セル42の辺において、セル隔壁43を隔てて排ガス排出セル41と対面する辺42aとは平行である。
また、第1排ガス導入セル42の辺において、セル隔壁43を隔てて第2排ガス導入セル44と対面する辺42bと、第2排ガス導入セル44の辺において、セル隔壁43を隔てて第1排ガス導入セル42と対面する辺44bとは平行である。また、互いに平行な辺の間の距離は、いずれの組み合わせにおいてもそれぞれ等しい。すなわち、互いに平行な辺41aと辺42aの間の距離、および互いに平行な辺42bと辺44bとの間の距離はそれぞれ等しい。
また、正方形である排ガス排出セル41の周囲にはセル隔壁43を隔てて正方形の第1排ガス導入セル42と正方形の第2排ガス導入セル44がそれぞれ4つずつ交互に配置されて排ガス排出セル41を包囲している。第2排ガス導入セル44の断面積の方が第1排ガス導入セル42よりの断面積よりも大きい。
さらに、排ガス排出セル41、第1排ガス導入セル42、第2排ガス導入セル44は、それぞれ以下の条件を満たすように配置されている。
すなわち、排ガス排出セル41を包囲している4つの第2排ガス導入セル44の正方形図形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セル41の正方形図形領域を通過する2本の線分の交点は、排ガス排出セル41の正方形図形の幾何学的な重心と一致する。
また、4つの第2排ガス導入セル44の正方形図形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セル41の正方形図形領域を通過しない4本は、正方形を構成し、その各辺の中点は排ガス排出セル41を包囲している4つの第1排ガス導入セル42の正方形図形の幾何学的な重心と一致する。
このように、正方形である排ガス排出セル41の周囲にセル隔壁43を隔てて正方形の第1排ガス導入セル42と正方形の第2排ガス導入セル44がそれぞれ4つずつ交互に配置されて排ガス排出セル41を包囲した構造を1つのユニットとして、このユニットが、互いに第1排ガス導入セル42および第2排ガス導入セル44を共有しながら、2次元的に繰り返し配列してハニカムフィルタを構成するのである。各ユニットは、互いに第1排ガス導入セル42および第2排ガス導入セル44を共有しているのであるから、排ガス排出セル41とセル隔壁43を隔てて接する第1排ガス導入セル42および第2排ガス導入セル44は、隣接するユニットにおける排ガス排出セル41とセル隔壁43を隔てて接しているのである。
【0216】
図13は、セルの断面形状において、第1排ガス導入セル42、第2排ガス導入セル44および排ガス排出セル41が正方形であり、上記説明の条件を満たす配置である場合に、セルユニット(セル構造)が2次元的に、すなわち図13中に記載したX、Y方向にどのように繰り返し、第1排ガス導入セル42および第2排ガスセル44が各セルユニット(セル構造)間においてどのように共有されるかを示したハニカムフィルタのセル長手方向に垂直な断面の拡大図である。セルユニット1、セルユニット2およびセルユニット3は、いずれも上記説明の条件を満たすように排ガス排出セル41の全周囲にセル隔壁43を介して第1排ガス導入セル42および第2排ガス導入セル44をそれぞれ4つずつ交互に配置した構造を有している。
セルユニット2はセルユニット1と同じ構造を持っており、セルユニット1と1つの第1排ガス導入セル42および2つの第2排ガス導入セル44を共有してX方向に隣接している。セルユニット1およびセルユニット2によって共有されているセルは図13中に「共有部分2」と記載している。また、ユニットセル3は、セルユニット1と同じ構造を持っており、セルユニット1と1つの第1排ガス導入セル42および2つの第2排ガス導入セル44を共有してY方向に隣接している。セルユニット1およびセルユニット3によって共有されているセルは図13中に「共有部分1」と記載している。
なお、4つの第2排ガス導入セル44の八角形図形の幾何学的な重心を結ぶ仮想的な線分のうち、排ガス排出セル41の八角形図形領域を通過しない4本の線分h、i、j、k、および、排ガス排出セル41の八角形図形領域を通過する仮想的な2本の線分l、mを、図13中に示している。そして、「共有部分2」は、線分mと同じ方向の線分からなるハッチングにより描かれており、「共有部分1」は、線分lと同じ方向の線分からなるハッチングにより描かれている。
図13に示すように、2本の線分l、mの交点は、排ガス排出セル41の幾何学的な重心と一致している。
【0217】
また、セルの断面に関し、第1排ガス導入セル42の断面形状を構成する辺のうちいずれか一辺は、排ガス排出セル41と対面し、かつ第2排ガス導入セル44と排ガス排出セル41とは、角部が対向するように配置されているので、第2排ガス導入セル44の断面形状を構成する辺は、いずれも排ガス排出セル41と対面しない。また、外周壁47に隣接するセルは、第1排ガス導入セル42および排ガス排出セル41から構成されている。
この実施形態では、第2排ガス導入セルの断面形状を構成する辺はいずれも排ガス排出セルが対面しないため、第一実施形態と比較して、初期に、より第1排ガス導入セルに排ガスが流れ易い。そのため、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てるセル隔壁の、第1排ガス導入セルの内壁に早期にPMが溜まることとなり、上述した主流路のスイッチが、より早期に起こる。そのため、PMが第1排ガス導入セルの内壁と第2排ガス導入セルの内壁に均一に薄く堆積しやすく、PMの堆積量が6〜10g/Lとなるまでの間、圧力損失をより低くすることが可能となる。一方、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下であるため、ハニカムフィルタにPMが6〜10g/L堆積すると、第1排ガス導入セルの開口が狭くなり、これに起因して圧力損失が急上昇するので、確実に適切な時期に再生処理を行うことができる。従って、本実施形態に係るハニカムフィルタでは、過捕集が発生しにくく、再生により発熱量が大きくなりにくく、ハニカムフィルタにクラックや溶損が発生しにくい。
【0218】
本実施形態のハニカムフィルタにおいては、排ガス出口側の端部に設けられる封止部、すなわち第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルに充填される封止部が、セル隔壁を介して、第1排ガス導入セルの1つの辺の長さ以上の幅をもって、縦横に列になり存在する。一般にハニカムフィルタを再生させる場合、ハニカムフィルタの排ガス入口側に堆積したPMから順に燃焼し、排ガスの流れにのって、ハニカムフィルタの出口側に熱を伝播しながら出口側まで全てのPMが燃焼する。そのため、ハニカムフィルタの出口側ほど高温に曝され、ハニカムフィルタの径方向の温度差がつきやすく、熱応力によってクラックが発生してしまう。このようなクラックは、セルの断面積に大小関係があり、PMが堆積する排ガス導入セルの断面形状として正方形を含む場合に応力集中が生じやすく顕著である。しかし本実施形態のハニカムフィルタでは、排ガス出口側の端部に縦横に列になっている封口部が熱伝導層および外部への放熱層となり、ハニカムフィルタの排ガス出口側の端部での径方向の温度差を小さくすることができ、発生する熱応力を小さく、しクラックが発生しにくくなる。さらに、本実施形態のハニカムフィルタでは、第1排ガス導入セルより多くPMが堆積する第2排ガス導入セルに充填される封止材の量が、その断面積に応じて多くなり、それに伴い封止部の熱容量も大きくなっている。そのため、この封止部によって、各セル単位で考えても、PMの燃焼熱のより大きい第2排ガス導入セルの温度上昇を抑制し、ハニカムフィルタの径方向の温度差を小さくすることができ、発生する熱応力を小さくできると考えられる。
このため、本実施形態のハニカムフィルタは、その排ガス導入セルの断面形状として正方形を含んでいても再生時のクラックを抑制できると考えられる。
【0219】
第1排ガス導入セル42の断面積は、0.7mm以下であり、第1排ガス導入セル42の断面積は、第2排ガス導入セル44の断面積の40〜70%であることが好ましく、50〜65%であることがより好ましい。
【0220】
図12(a)に示したハニカムフィルタでは、排ガス排出セル41の断面積は、第2排ガス導入セル44の断面積と同じであるが、排ガス排出セル41の断面積は、第2排ガス導入セル44の断面積より大きくてもよい。
排ガス排出セル41の断面積は、第2排ガス導入セル44の断面積の1.05〜1.5倍であることが好ましい。
【0221】
セル隔壁の厚さに関し、上述したセル隔壁の厚さの定義に従い、第四実施形態に係るハニカムフィルタ40の断面では、排ガス排出セル41の重心O41と第1排ガス導入セル42の重心O42とを結ぶ直線Z42を描いた際に、セル隔壁43と重なる部分の隔壁の厚さ(辺42aと辺41aとの間の厚さ)をXとする。第2排ガス導入セル44と排ガス排出セル41とを隔てる隔壁43の厚さは、第2排ガス導入セル44の重心O44と排ガス排出セル41の重心O41とを結ぶ直線Z44を描いた際に、直線がセル隔壁43と重なる部分(第2排ガス導入セル44の角部44cと排ガス排出セル41の角部41cとの間の距離)を、セル隔壁の厚さYとする。
ハニカムフィルタ40のセル隔壁の厚さは、図12(a)に示すように部分によって異なるが、厚さX、Yを含むその厚さを0.10〜0.46mmの範囲内の厚さとすることができる。
【0222】
次に、本発明の第四実施形態に係るハニカムフィルタの変形例について説明する。
図12(b)は、本発明の第四実施形態に係るハニカムフィルタの別の変形例の一例を示す端面図である。
図12(b)に示すハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体40aでは、外周壁47aに隣接する排ガス排出セル41Aの形状が、外周壁47aに隣接しない排ガス排出セル41の形状に対して、外周壁47aに隣接する第1排ガス導入セル42Aにおける外周壁47aを構成する内壁を繋ぐ直線に合わせて一部欠損しており、長方形となっている。また、角部に存在する排ガス排出セル41Bは、外周壁47aに隣接しない排ガス排出セル41に比べて断面積の小さな正方形となっている。
上記形状とすることにより、外周壁47aに隣接する排ガス排出セル41A、41Bおよび第1排ガス導入セル42Aと外周壁47aとの境界部分は直線的に形成されており、外周壁47aの厚さは、均一になっている。
【0223】
さらに、本発明の第四実施形態に係るハニカムフィルタの別の変形例について説明する。
図12(c)は、本発明の第四実施形態に係るハニカムフィルタの別の変形例の一例を示す端面図である。
図12(c)に示すハニカム焼成体40bでは、全ての第1排ガス導入セル42の形状、および、排ガス排出セル41の形状は同じであり、外周壁47bの外壁をなす辺470bが、外周壁47bに隣接する第1排ガス導入セル42および排ガス排出セル41の形状に合わせて変化し、外周壁47bの厚さは、均一になっている。
すなわち、外周壁47bの厚さを均一にするため、外周壁47bの外壁をなす辺470bは、外周壁47bに隣接する第1排ガス導入セル42および排ガス排出セル41の形状に沿うように凹凸形状となっている。
【0224】
上述した内容以外の実施形態の内容は、第一実施形態に記載した内容と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0225】
本実施形態のハニカムフィルタは、押出成形工程において用いる金型の形状を変更する他は、本発明の第一実施形態で説明した方法と同様の方法を用いて製造することができる。
【0226】
本実施形態に係るハニカム焼成体40では、排ガス排出セル41および第2排ガス導入セル44の断面形状が正方形と第一実施形態の場合と異なり、第2排ガス導入セル44の断面形状を構成する辺はいずれも排ガス排出セル41と対面しない。一方、第1排ガス導入セル42の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル41と対面する辺42aが存在する。このため、第一実施形態に係るハニカムフィルタと同様、初期においては、第1排ガス導入セル42に排ガスが導入され易く、PMが所定量堆積した後は、第2排ガス導入セル44に排ガスが導入され易くなると考えられる。
本実施形態に係るハニカムフィルタ40では、基本的なセルの配置、目封止の態様、各セルの断面積の大小関係等が第一実施形態に係るハニカムフィルタ20と同様であるので、第一実施形態に記載した(1)〜(2)、(4)および(6)〜(10)の作用・効果と同様の作用・効果を奏することができる。
【0227】
(第五実施形態)
以下、本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタについて説明するが、以下に説明する事項以外の事項は、第一実施形態に係るハニカムフィルタと同様に構成されている。
【0228】
本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタは、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セルと、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セルとして、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルとを備え、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成され、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下である。
【0229】
本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタでは、上記排ガス排出セルのセル長手方向に対して垂直方向の断面の断面積は、上記第2排ガス導入セルのセル長手方向に対して垂直方向の断面の断面積と同じであり、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セルと排ガス導入セルは曲線により構成された形状であり、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルの断面形状は、いずれも円形であり、
上記外周壁に隣接するセルは、第1排ガス導入セルおよび排ガス排出セルより構成されている。
【0230】
本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル、第2排ガス導入セルおよび第1排ガス導入セルの断面形状が異なる他は、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタとほぼ同様の構成を有している。
【0231】
図14は、本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の端面におけるセルの配置例の一例を模式的に示す拡大端面図である。
【0232】
本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタでは、ハニカム焼成体50は、排ガス排出セル51、第1排ガス導入セル52、セル隔壁53および第2排ガス導入セル54を備えている。
また、排ガス排出セル51の周囲全体に多孔質のセル隔壁53を隔てて第1排ガス導入セル52および第2排ガス導入セル54が隣接しており、外周壁57に隣接するセルは、排ガス排出セル51および第1排ガス導入セル52から構成されている。
【0233】
図14に示すハニカムフィルタにおいては、セルの長手方向に垂直な断面に対し、第2排ガス導入セル54の断面積は、排ガス排出セル51の断面積と同じであり、第1排ガス導入セル52の断面積は第2排ガス導入セル54の断面積より小さく、0.7mm以下である。第1排ガス導入セル52の断面積は第2排ガス導入セル54の断面積の40〜70%であることが望ましい。
【0234】
排ガス排出セル51、第1排ガス導入セル52および第2排ガス導入セル54の断面形状は、いずれも円形である。
【0235】
セル隔壁の厚さに関し、上述したセル隔壁の厚さの定義に従い、図14に示す第五実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体50の断面では、排ガス排出セル51の重心O51と第1排ガス導入セル52の重心O52とを結ぶ直線を描いた際に、セル隔壁53と重なる部分の隔壁の厚さXとする。第2排ガス導入セル54と排ガス排出セル51とを隔てる隔壁の厚さは、第2排ガス導入セル54の重心O54と排ガス排出セル51の重心O51とを結ぶ直線Z54を描いた際に、直線Z54がセル隔壁53と重なる部分を、セル隔壁の厚さYとする。
【0236】
本実施形態のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体50では、第1排ガス導入セル52と排ガス排出セル51とを隔てるセル隔壁53の厚さXは、第2排ガス導入セル54と排ガス排出セル51とを隔てるセル隔壁53の厚さYよりも薄くなっている。
この実施形態では、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てるセル隔壁の厚さと、第2排ガス導入セルと排ガス排出セルを隔てるセル隔壁の厚さの差を、第一実施形態よりも広く取ることが可能な形状である。そのため、第一実施形態と比較し、排ガスは初期には、より第1排ガス導入セルに流れ易くなり、第1排ガス導入セルと排ガス導入セルを隔てるセル隔壁の、第1排ガス導入セルの内壁に早期にPMが溜まることとなり、上述した主流路のスイッチが、より早期に起こる。そのため、PMが第1排ガス導入セルの内壁と第2排ガス導入セルの内壁に均一に薄く堆積しやすく、PMの堆積量が6〜10g/Lとなるまでの間、圧力損失を低く保つことができる。一方、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下であるため、ハニカムフィルタにPMが6〜10g/L堆積すると、第1排ガス導入セルの開口が狭くなり、これに起因して圧力損失が急上昇するので、確実に適切な時期に再生処理を行うことができる。従って、本実施例に係るハニカムフィルタでは、過捕集が発生しにくく、再生により発熱量が大きくなりにくく、ハニカムフィルタにクラックや溶損が発生しにくい。
【0237】
第1排ガス導入セル52と排ガス排出セル51とを隔てるセル隔壁53の厚さXは、第2排ガス導入セル54と排ガス排出セル51とを隔てるセル隔壁53の厚さYの40〜75%であることが好ましい。
【0238】
また、本実施形態のハニカム焼成体50においては、第1排ガス導入セル52と第2排ガス導入セル54とを隔てるセル隔壁53の厚さは、第1排ガス導入セル52と排ガス排出セル54とを隔てるセル隔壁53の厚さと同様に定めることができる。
図14に示すハニカムフィルタ50においては、第1排ガス導入セル52と第2排ガス導入セル54とを隔てるセル隔壁53の厚さは、第1排ガス導入セル52と排ガス排出セル51とを隔てるセル隔壁53の厚さより薄い。
【0239】
本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタは、図14に示すように、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの形状が、外周壁に隣接しない第1排ガス導入セルの形状と同じであり、外周壁に隣接する排ガス排出セルの形状が、外周壁に隣接しない排ガス排出セルの形状と同じであってもよく、角部以外の外周壁の厚さがほぼ均一になるように、排ガス排出セルの外周壁に隣接する辺が、外周壁に隣接する複数の第1排ガス導入セルの内壁の最も外側の点同士を繋ぐ直線と同じになるように、一部欠損したハニカムフィルタであってもよい。
また、本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタは、外周壁の厚さが外周壁に隣接する第1排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの形状に合わせて均一で、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの形状および排ガス排出セルの形状が、外周壁に隣接しない第1排ガス導入セルの形状および排ガス排出セルの形状とそれぞれ同じであるハニカムフィルタであってもよい。すなわち、この場合には、外周壁が第1排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの形状に合わせて均一な厚さになるように屈曲している。
【0240】
上述した内容以外の実施形態の内容は、第一実施形態に記載した内容と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0241】
本実施形態のハニカムフィルタは、押出成形工程において用いる金型の形状を変更する他は、本発明の第一実施形態で説明した方法と同様の方法を用いて製造することができる。
【0242】
以下に、本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタの作用効果について列挙する。
本発明の第一実施形態で説明したハニカムフィルタでは、第1排ガス導入セル12の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺12aの長さが、第2排ガス導入セル14の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺14aの長さよりも長いことを特徴の一つとし、排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルの断面形状がいずれも円で、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、第2排ガス導入セルと排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さよりも薄くなっていることを特徴の一つとする第五実施形態に係るハニカムフィルタとは、上記の点で異なる。しかし、その他の構成はほぼ同様である。
【0243】
排ガス排出セル、第1排ガス導入セルおよび第2排ガス導入セルの断面形状がいずれも円であっても、セル隔壁の厚さが薄いと排ガスはセル隔壁を透過し易く、圧力損失の小さくなると考えられることから、セルの断面形状を構成する辺の長さは、セルを隔てるセル隔壁の厚さとほぼ対応関係を有すると考えることができる。従って、本発明の第五実施形態に係るハニカムフィルタは、第一実施形態に記載した(1)〜(2)、(4)、(6)〜(8)および(10)の作用効果を奏することができる。
【0244】
(第六実施形態)
以下、本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタについて説明するが、以下に説明する事項以外の事項は、第一実施形態に係るハニカムフィルタと同様に構成されている。
【0245】
本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタは、排ガス出口側の端部が開口され且つ排ガス入口側の端部が目封止された排ガス排出セルと、排ガス入口側の端部が開口され且つ排ガス出口側の端部が目封止された排ガス導入セルとして、第1排ガス導入セルとセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が該第1排ガス導入セルより大きい第2排ガス導入セルとを備え、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成され、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下である。
【0246】
本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタでは、上記排ガス排出セルのセル長手方向に対して垂直方向の断面の断面積は、上記第2排ガス導入セルのセル長手方向に対して垂直方向の断面の断面積と同じであり、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セルと排ガス導入セルは曲線により構成された形状であり、排ガス排出セルおよび第2排ガス導入セルの断面形状は、セルの外側に向けて湾曲する4つの曲線から構成された膨潤正方形であり、一方第1排ガス導入セルの断面形状は、セルの内側に向けて湾曲する4つの曲線から構成された収縮正方形である。
上記外周壁に隣接するセルは、排ガス排出セルおよび第1排ガス導入セルより構成されている。
【0247】
本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタは、セルの長手方向に垂直な断面に関し、排ガス排出セル、第2排ガス導入セルおよび第1排ガス導入セルの断面形状が異なる他は、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタと同様の構成を有している。
【0248】
図15は、本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の端面におけるセルの配置例の一例を模式的に示す端面図である。
【0249】
本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタでは、ハニカム焼成体60は、排ガス排出セル61、第1排ガス導入セル62、セル隔壁63および第2排ガス導入セル64を備えてなり、排ガス排出セル61の周囲全体に多孔質のセル隔壁63を隔てて第1排ガス導入セル62および第2排ガス導入セル64が隣接している。
【0250】
図15に示すハニカムフィルタにおいては、セルの長手方向に垂直な断面に対し、第2排ガス導入セル64の断面積は、排ガス排出セル61の断面積と同じであり、第1排ガス導入セル62の断面積は第2排ガス導入セル64の断面積より小さく、第1排ガス導入セルの断面積は、0.7mm以下である。第1排ガス導入セル62の断面積は第2排ガス導入セル64の断面積の40〜70%であることが望ましい。
【0251】
排ガス排出セル61および第2排ガス導入セル64の断面形状は、セルの外側に向けて湾曲する4つの曲線から構成された膨潤正方形である。
図16(a)は、膨潤正方形のセル形状の一例を模式的に示す説明図であり、図16(b)は、収縮正方形のセル形状の一例を模式的に示す説明図であり、図16(c)は、収縮正方形の頂点部分に面取りが施された形状の一例を模式的に示す説明図であり、図16(d)は、膨潤正方形の頂点部分に面取りが施された形状の一例を模式的に示す説明図である。
【0252】
図16(a)には断面形状が膨潤正方形である第2排ガス導入セル64と、第2排ガス導入セル64の4つの頂点64eを結んでなる正方形65を示している。
本発明の説明における膨潤正方形とは、4つの曲線を4辺とする略正方形の図形であり、その略正方形の図形の4つの頂点を結んでなる正方形よりも、4辺が外側に向けて湾曲している図形である。
図16(a)には、第2排ガス導入セル64の断面形状を構成する辺64aが、その幾何学的な重心から正方形65よりも外側に向けて湾曲して(膨らんで)いることを示している。
【0253】
図16(a)には膨潤正方形のセル形状の例として第2排ガス導入セル64の断面形状を示したが、排ガス排出セル61の断面形状も第2排ガス導入セル64の断面形状と同様である。
【0254】
第1排ガス導入セル62の断面形状は、セルの内側に向けて湾曲する4つの曲線から構成された収縮正方形である。
図16(b)には断面形状が収縮正方形である第1排ガス導入セル62と、第1排ガス導入セル62の4つの頂点62eを結んでなる正方形66を示している。
本発明の説明における収縮正方形とは、4つの曲線を4辺とする略正方形の図形であり、その略正方形の図形の4つの頂点を結んでなる正方形よりも、4辺がその幾何学的な重心に向けて湾曲(収縮)している図形である。
図16(b)には、第1排ガス導入セル62の断面形状を構成する辺62aが、正方形66よりもその幾何学的な重心に向けて湾曲(収縮)していることを示している。
【0255】
本実施形態では、長手方向の垂直な断面に関し、第1排ガス導入セルには、ガスの流れを阻害し抵抗となる鋭角な部分が存在し、一方で第2排ガス導入セルには、ガスが流れ易い鈍角で形成されている。そのため、第一実施形態と比較して、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルの隔てるセル壁の内壁に、僅かにPMが堆積した段階で、第2排ガス導入セルにも排ガスが流れ易くなる。そのため、PMが第1排ガス導入セルの内壁と第2排ガス導入セルの内壁に均一に薄く堆積しやすく、PMの堆積量が6〜10g/Lとなるまでの間、圧力損失を低く保つことができる。一方、第1排ガス導入セルのセルの長手方向に対して垂直方向の断面の断面積が、0.7mm以下であるため、ハニカムフィルタにPMが6〜10g/L堆積すると、第1排ガス導入セルの開口が狭くなり、これに起因して圧力損失が急上昇するので、確実に適切な時期に再生処理を行うことができる。従って、本実施例に係るハニカムフィルタでは、過捕集が発生しにくく、再生により発熱量が大きくなりにくく、ハニカムフィルタにクラックや溶損が発生しにくい。
【0256】
本発明の説明における膨潤正方形および収縮正方形には、その頂点部分に面取りが施された形状も含まれる。
図16(c)に示す形状では、収縮正方形をそれぞれ構成する曲線である辺62a1と辺62a2が直接結合されておらず、直線面取りである面取り部62bを介して辺62a1と辺62a2が結合されている。
収縮正方形をそれぞれ構成する曲線である辺が面取り部を介して結合されている場合、図16(c)に点線で示すように、辺62a1と辺62a2を延長した仮想曲線を引き、仮想曲線の交点62cを求めてこの交点62cを頂点と定めることができる。
【0257】
図16(d)に示す形状では、膨潤正方形をそれぞれ構成する曲線である辺64a1と辺64a2が結合されておらず、直線面取りである面取り部64bを介して辺64a1と辺64a2が結合されている。
膨潤正方形をそれぞれ構成する曲線である辺が面取り部を介して結合されている場合、図16(d)に点線で示すように、辺64a1と辺64a2を延長した仮想曲線を引き、仮想曲線の交点64cを求めてこの交点64cを頂点と定めることができる。
そして、この頂点(交点62cまたは交点64c)を結んで正方形を描くことで、セルの断面形状を構成する曲線が膨潤正方形を構成しているか、収縮正方形を構成しているかを決定することができる。
なお、面取り部は直線面取りに限定されるものではなく、曲線面取りであってもよい。
【0258】
本実施形態のハニカムフィルタでは、第1排ガス導入セル62と排ガス排出セル61とを隔てるセル隔壁63の厚さは、第2排ガス導入セル64と排ガス排出セル61とを隔てるセル隔壁63の厚さよりも薄くなっている。
【0259】
セル隔壁の厚さに関し、上述したセル隔壁の厚さの定義に従い、図15に示す第六実施形態に係るハニカムフィルタ60の断面では、排ガス排出セル61の重心O61と第1排ガス導入セル62の重心O62とを結ぶ直線を描いた際に、セル隔壁63と重なる部分の隔壁の厚さ(辺62aと辺61aとの間の厚さ)をXとする。第2排ガス導入セル64と排ガス排出セル61とを隔てる隔壁63の厚さは、第2排ガス導入セル64の重心O64と排ガス排出セル61の重心O61とを結ぶ直線Z64を描いた際に、直線Z64がセル隔壁63と重なる部分(第2排ガス導入セル64の頂点64eと排ガス排出セル61の頂点61eとの間の距離)を、セル隔壁の厚さYとする。
【0260】
本実施形態のハニカムフィルタ60では、第1排ガス導入セル62と排ガス排出セル61とを隔てるセル隔壁63の厚さXは、第2排ガス導入セル64と排ガス排出セル61とを隔てるセル隔壁63の厚さYよりも薄くなっている。
【0261】
また、本実施形態のハニカムフィルタ60においては、第1排ガス導入セル62と第2排ガス導入セル61とを隔てるセル隔壁の厚さは、第1排ガス導入セル62と排ガス排出セル61とを隔てるセル隔壁の厚さと同様に定めることができる。
図15に示すハニカムフィルタ60においては、第1排ガス導入セル62と第2排ガス導入セル64とを隔てるセル隔壁63の厚さは一定であり、第1排ガス導入セル62と排ガス排出セル61とを隔てるセル隔壁63の厚さと同じである。
【0262】
本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタは、図15に示すように、外周壁の厚さが均一で、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの形状が、外周壁に隣接しない第1排ガス導入セルの形状と同じであり、外周壁に隣接する排ガス排出セルの形状が、外周壁に隣接しない排ガス排出セルの形状と同じであってよく、角部以外の外周壁の厚さがほぼ均一になるように、排ガス排出セルの外周壁に隣接する辺が、外周壁に隣接する複数の第1排ガス導入セルの内壁の最も外側の点同士を繋ぐ直線と同じになるように、一部欠損したハニカムフィルタであってもよい。
また、本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタは、外周壁の厚さが外周壁に隣接する排ガス導入セルの形状に合わせて均一であり、外周壁に隣接する第1排ガス導入セルの形状および排ガス排出セルの形状が、外周壁に隣接しない第1排ガス導入セルの形状および排ガス排出セルの形状とそれぞれ同じであるハニカムフィルタであってもよい。すなわち、この場合には、外周壁が第1排ガス導入セルおよび排ガス排出セルの形状に合わせて均一な厚さになるように屈曲している。
【0263】
本実施形態のハニカムフィルタは、押出成形工程において用いる金型の形状を変更する他は、本発明の第一実施形態で説明した方法と同様の方法を用いて製造することができる。
【0264】
以下に、本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタの作用効果について列挙する。
本発明の第一実施形態で説明したハニカムフィルタでは、第1排ガス導入セル12の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺12aの長さが、第2排ガス導入セル14の断面形状を構成する辺のうち、排ガス排出セル11と対面している辺14aの長さよりも長いことを特徴の一つとし、第1排ガス導入セルと排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さは、第2排ガス導入セルと排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁の厚さよりも薄くなっていることを特徴の一つとする第六実施形態に係るハニカムフィルタとは、上記の点で異なる。しかし、その他の構成はほぼ同様である。
【0265】
セル隔壁の厚さが薄いと排ガスはセル隔壁を透過し易く、圧力損失は小さくなると考えられることから、セルの断面形状を構成する辺の長さは、セルを隔てるセル隔壁の厚さとほぼ対応関係を有すると考えることができる。従って、本発明の第六実施形態に係るハニカムフィルタは、第一実施形態に記載した(1)〜(2)、(4)および(6)〜(10)の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0266】
10、10a、10b、10c、40、40a、40b、50、60 ハニカム焼成体
20、30 ハニカムフィルタ
11、11A、11B、31、41、51、61 排ガス排出セル
11a、11b、41a 辺(排ガス排出セルの辺)
12、12A、42、52、62 第1排ガス導入セル
12a、32a、42a、62a 辺(第1排ガス導入セルの辺)
13、13a、13b、33、43、53、63 セル隔壁
14、34、44、54、64 第2排ガス導入セル
14a、34a 辺(第2排ガス導入セルの辺)
15 接着材層
16 外周コート層
17、17a、17b、47、57、67 外周壁
18 セラミックブロック
41c 角部(排ガス排出セルの角部)
44c 角部(第2排ガス導入セルの角部)
61a 辺(排ガス排出セルの辺)
62b 面取り部
61e 頂点(排ガス排出セルの頂点)
62e 頂点(第1排ガス導入セルの頂点)
65、66 正方形
64a 辺(第2排ガス導入セルの辺)
64b 面取り部
64e 頂点(第2排ガス導入セルの頂点)
図1
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