特許第6239332号(P6239332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239332
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】挿入/摘出機構を備えた大腿義足
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/32 20060101AFI20171120BHJP
   A61B 17/92 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A61F2/32
   A61B17/92
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-201449(P2013-201449)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-69079(P2014-69079A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2016年7月13日
(31)【優先権主張番号】13/630,333
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・エヌ・ハフ
(72)【発明者】
【氏名】イアン・ジー・デラニー
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・エム・マッタ
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02963733(FR,A1)
【文献】 特表2002−537897(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0288096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/32
A61B 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿義足システムであって、
(a)大腿義足であって、
近位ステム部の軸を画定する近位端部を有する大腿ステム部と、
前記近位端部の近位側に位置するネック部と、
前記ネック部の近位表面から遠位側に延びる挿入/摘出穴であって、前記近位ステム部の軸を含む前頭面に投影される場合には、前記近位ステム部の軸と平行をなさない挿入/摘出穴の軸を画定する挿入/摘出穴と、を有する大腿義足と、
(b)前記挿入/摘出穴と結合するように構成された遠位端部を有する挿入/摘出器具であって、前記挿入/摘出器具はシャフトを含み、該シャフトは、その両端を通って前記シャフトに沿って延びる軸を画定し、前記挿入/摘出器具が前記大腿義足と結合される場合に、前記シャフトの前記軸が前記挿入/摘出穴の軸に平行であり前記挿入/摘出穴の軸と整列するように構成されている、挿入/摘出器具と、を備え
前記挿入/摘出穴が設けられている前記ネック部の前記近位表面は前記近位ステム部の軸に垂直である横断面に平行に延び、前記挿入/摘出器具は衝撃面を有し、該衝撃面を通して衝撃力が前記器具に加えられることができ、前記衝撃力は前記シャフトを通して前記器具の前記遠位端部に伝達される、大腿義足システム。
【請求項2】
前記挿入/摘出穴の軸が前記前頭面に投影される場合には、前記挿入/摘出穴の軸は前記近位ステム部の軸から近位側にかつ内側に延びる、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記挿入/摘出穴の軸が前記前頭面に投影される場合には、前記挿入/摘出穴の軸は、約1度〜約45度の範囲の角度をなして前記近位ステム部の軸から近位側にかつ内側に延びる、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記挿入/摘出穴の軸が前記前頭面に投影される場合には、前記挿入/摘出穴の軸は、約12度の角度をなして前記近位ステム部の軸から近位側にかつ内側に延びる、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記大腿ステム部は実質的に直線状である、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記挿入/摘出穴は第1のキー付き部を有し、
前記挿入/摘出器具は第2のキー付き部を有し、
前記第1及び第2のキー付き部は、キー付き関係で互いに嵌合するように構成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のキー付き部は、前記挿入/摘出穴の軸に対して実質的に直角に配置された第1のキー付き部表面を有する、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記挿入/摘出穴は更に、前記挿入/摘出器具のねじ付き部を受容するように構成されたねじ付き部を有する、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記挿入/摘出器具の前記ねじ付き部は前記第2のキー付き部に対して回転可能である、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広義には大腿義足に関し、より具体的には、大腿義足の挿入及び摘出を容易にする機構に関する。
【背景技術】
【0002】
股関節形成術は、機能を回復させるために、負傷した又は疾患した股関節に利用され得るものである。股関節形成術などの外科手技を実施する際に、医師は一般に、患者に対する外傷を最小にするために、損傷を受ける組織を可能な限り少なくして、患者の回復に要する時間と労力を減じるように試みる。この目的を容易にすべく、医療技術の発展により、最小侵襲の外科手技が可能になっており、この外科手技では、必要最小数の切開部が形成され、各切開部は機能的に可能な限り小さいものとなる。したがって、最小侵襲の手技においては、医師が手技を実施する開口部は比較的小さく、結果として、手術用具及び機器の可動範囲及び操作性が制限される。このように、最小侵襲の手技は、患者に与える外傷を最小化すること、及び患者の回復期間を短縮することなどの利点をもたらすだけでなく、手技の間に医師とその医師の用具の作業空間と可動範囲が減じられることなどの問題をももたらす。
【0003】
股関節形成術などの外科手術において、股関節に対する位置及び方向は、解剖学的な方向を用いて記述され得る。したがって、本明細書で用いられる際に、近位側は股関節に向かう方向を指し、遠位側は股関節から離れる方向を指し、前側は身体の前方に向かう方向を指し、後側は身体の後方に向かう方向を指し、内側は身体の中心線に向かう方向を指し、外側は身体の中心線から離れる方向を指す。加えて、股関節の側面は、解剖学上の平面、つまり、身体を上側部(頭部により近い)と下側部(足により近い)とに分割する横断面と、身体を左側部と右側部とに分割する矢状面と、身体を前側部と後側部とに分割する前頭面とに対して記述され得る。
【0004】
完全な股関節形成術においては、股関節の「ボール」及び「ソケット」が義足装置インプラントと置換されて、新たな関節が形成される。股関節のボールは多くの場合、大腿骨の近位端部から大腿骨頭を除去し、大腿骨の髄内管(intramedullary canal)に大腿義足を部分的に挿入し、大腿義足の近位端部にボールを結合することによって置換される。股関節のソケットは多くの場合、寛骨臼から骨を除去してカップ形状の開口部を形成し、そのカップ形状の開口部に寛骨臼カップ義足を挿入することによって置換される。部分的な股関節形成術においては、股関節のボール又はソケットのいずれかが義足装置と置換され得る。完全な又は部分的な股関節形成術の後、それに続く股関節インプラントの補綴物の一つが関わる医療事象が生じた場合、移植された義足装置を摘出又は除去して別の義足との置換を可能にするために、ある手技が必要となり得る。
【0005】
患者の大腿骨に対して大腿義足装置を挿入及び摘出するには一般に、大腿義足装置と係合し、医師が大腿義足装置に十分な力を加えることを可能にする、特殊な用具が必要となる。大腿義足装置と現存する大腿骨との締まり嵌めが望まれるため、大腿義足装置の挿入及び摘出のいずれにおいても一般に、相当な衝撃力を大腿義足装置に加えることが必要となる。そのような衝撃力は通常、用具の衝撃面に加えられる。その衝撃力は、用具を通じて大腿義足装置に伝達される。
【0006】
股関節の解剖学的構造及び最小侵襲の股関節形成術における限られた操作範囲により、挿入及び摘出用の用具は一般に、利用可能なアクセス角度に対応するために、また手技の間に骨及び組織との不所望な接触及び衝突を回避するために、図1の用具のように湾曲している。用具の湾曲形状は、いくつかの利点をもたらすと同時に、大腿義足装置の挿入及び除去の間に、更なる問題と困難をもたらす。
【0007】
図1に示すように、例えば、用具10は湾曲しているため、医師が衝撃面12に加えた衝撃力Fは、用具10を通じて大腿義足装置に力が加えられる伝達位置14から偏位している。この偏位16の結果として生じる1つの問題は、伝達位置14を中心としたモーメントMが発生することである。換言すれば、衝撃面12に衝撃力Fを加えることで、用具10が伝達位置14を中心として回転する傾向が生じる。したがって、手技の間に、用具10が伝達位置14を中心として回転するのを防止し、用具10の安定性を維持するために、医師は、衝撃力Fによって発生したモーメントMに対抗するように、用具10に手動力Fを加えなければならない。
【0008】
一例として、衝撃力Fの軸と伝達位置14との偏位16が50mmであり、医師が、伝達位置14から230.7mmのグリップ偏位22にて用具10を把持する場合、伝達位置14で発生するモーメントMは、衝撃力Fの大きさの約1/5の大きさを有する。したがって、モーメントMに対抗するために、医師は、衝撃力Fの大きさの1/5の手動力Fを加えなければならない。衝撃力Fが例えば226.8kgf(500lbf)である場合、医師は、器具の適切な位置決めを維持すると同時に、約45.36kgf(100lbf)の手動力Fを加えなければならない。
【0009】
発生するモーメントMに起因するもう一つの問題は、伝達位置14にて大腿義足装置と係合する用具10の先端部18が削ぎ取られて、大腿義足装置内に留まり得ることである。上記のように、用具10に加えられた衝撃力Fによって発生したモーメントMを相殺するように、対抗する十分な手動力Fを医師が加えなければならない。しかしながら、モーメントMに対抗するように手動力Fを加える代わりに、医師のなかには、衝撃面12の縁部を叩き、それによって衝撃面12に対して角度20で衝撃力Fを加えることにより、モーメントMを消去するように直感的に試みる者もいる。しかしながら、角度20で衝撃力Fを用具10に加えることにより、医師は、大腿義足装置に係合する用具10の先端部18に、相当な剪断応力Fを発生させることになる。剪断応力Fは、結果として用具10から先端部18を削ぎ取ることになり、手技の間に更なる対応策を取ることが必要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の議論を鑑みると、効率を高めかつ誤りの危険性を抑えて挿入/摘出を可能にする機構を有する、改善された大腿義足を提供することが有益となろう。また、効率を高めかつ誤りの危険性を抑えて挿入/摘出を可能にする機構を有する、改善された挿入/摘出用具を提供することが有益となろう。また、効率を高めかつ誤りの危険性を抑えて大腿義足装置を挿入/摘出するための、改善された方法を提供することが有益となろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一実施形態によれば、ステム部とネック部とを有する大腿義足が提供される。ステム部は、近位ステム部の軸を画定する近位端部を有する。ネック部は、近位端部の近位側に位置する。ネック部は近位表面を有し、挿入/摘出穴がその近位表面から遠位側に延びる。挿入/摘出穴は、挿入/摘出器具と結合するように構成される。挿入/摘出穴は挿入/摘出器具の結合軸を画定し、その結合軸は、近位ステム部の軸を含んだ前頭面の上に投影される場合に、近位ステム部の軸と平行をなさない。
【0012】
本開示の別の実施形態によれば、大腿義足と挿入/摘出器具とを含んだ大腿義足システムが提供される。その大腿義足は大腿ステム部とネック部とを有する。大腿ステム部は、近位ステム部の軸を画定する近位端部を有する。ネック部は、近位端部の近位側に位置する。ネック部は近位表面を有し、挿入/摘出穴がその近位表面から遠位側に延びる。挿入/摘出穴は挿入/摘出器具の結合軸を画定し、その結合軸は、近位ステム部の軸を含んだ前頭面の上に投影される場合に、近位ステム部の軸と平行をなさない。挿入/摘出器具は、挿入/摘出穴と結合するように構成された遠位端部を有する。
【0013】
本開示の更に別の実施形態によれば、大腿義足を挿入する方法が提供され、その方法は、挿入/摘出器具を大腿義足に結合することと、大腿義足の遠位端部を大腿骨に挿入することと、挿入/摘出器具の近位端部に衝撃を与えること、とを含む。その器具は長手軸を画定する本体を有し、大腿義足は、近位部と長手軸を画定するステム部とを有する。挿入/摘出器具を大腿義足に結合することは、器具の本体の長手軸が大腿義足のステム部の長手軸と平行とならないように、器具を大腿義足の近位部と結合することを含む。
【0014】
上述した特徴及び利点、並びにその他は、以下の詳細な説明と添付の図面を参照することによって、当業者には更に容易に明らかとなろう。これらの又は他の有益な特徴のうちの1つ又は複数をもたらす大腿義足及び大腿義足システムを提供することが望ましいが、本明細書で開示される教示内容は、添付の特許請求の範囲に含まれる実施形態が上記の利点のうちの1つ又は複数を達成するか否かにかかわらず、それらの実施形態にまで及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
大腿義足及び大腿義足システムの機構が、以下の図面を参照すれば、以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろう。
図1】股関節形成術手技の間に、加えた力を大腿義足に伝達するために使用される、従来技術の用具の側面図。
図2】股関節置換術で使用される大腿義足の側面図。
図3図2の大腿義足の破断側面図を示しており、明確にするために大腿義足の近位部が示されている図。
図4図2の大腿義足の破断上面斜視図を示しており、明確にするために大腿義足の近位部が示されている図。
図5図2の大腿義足を挿入又は摘出するために使用される挿入/摘出器具の側面図。
図6図2の大腿義足の側面の断面図を示しており、明確にするために、大腿義足の近位部が、図5の挿入/摘出器具の破断側面図と共に示され、明確にするために、挿入/摘出器具の遠位部が示されている図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2に示すように、大腿義足100は、ステム部104と、ネック部108と、大腿骨頭部継手112とを有している。ネック部108はステム部104から近位側に延び、大腿骨頭部継手112はネック部108から近位側に延びている。ステム部104、ネック部108、及び大腿骨頭部継手112は、ある実施形態においては、1つの材料片から形成され、別の実施形態においては、後で互いに結合される個別の材料片から形成される。
【0017】
ステム部104は、ステム近位端部116と、ステム遠位端部120と、ステム本体部124とを有している。ステム部104は、例えばチタン合金などの金属若しくは合金、又は、大腿骨への長期間にわたる移植に望ましい同様の特性を有することが当該技術分野で知られている別の材料から構成される。ステム部104は、ステム近位端部116からステム本体部124にかけて、ステム本体部124に沿って実質的に直線状である。ステム近位端部116は、本明細書で近位ステム部の軸128と呼ばれる縦軸を画定しており、この近位ステム部の軸128は、ステム近位端部116のおよそ中心を通って軸方向に延びている。ステム近位端部116が横断面に投影されると、近位ステム部の軸128は、横断面に実質的に垂直な方向に延びる。
【0018】
ステム本体部124は、ステム近位端部116とステム遠位端部120との間に延びており、概ね細長い形状を有している。ステム本体部124は一実施形態においてはテーパを有しており、ステム本体部124がステム遠位端部120に近づくにつれて細くなり、ステム近位端部116に近づくにつれて太くなるようになっている。このテーパは、大腿骨の髄内管に大腿義足100を挿入するのを容易にするように寸法決めされ構成されている。
【0019】
ネック部108は、ステム近位端部116から近位側に延びており、ネック近位端部152と、ネック遠位端部156と、ネック内側部160と、ネック外側部164とを有している。ネック内側部160及びネック外側部164は、ネック近位端部152とネック遠位端部156との間に延びており、ネック部108に沿って互いに反対側に配置されている。ネック外側部164はショルダー部176を有している。特に、ネック部108は、ネック外側部164が、ショルダー部176を形成するネック遠位端部156におけるよりもネック近位端部152においてより内側にあるように付形されている。
【0020】
ネック遠位端部156は、ステム近位端部116に隣接して位置しており、ネック近位端部152はネック遠位端部156から近位側に延びている。ネック近位端部152は、ネック近位端部152の少なくとも一部及びネック外側部164に沿って延びる近位表面180を有している。近位表面180は、ステム部104及びネック部108から実質的に近位側に離れて面するように配向されている。加えて、ネック近位端部152を横断面で見ると、近位表面180は横断面に実質的に平行である。
【0021】
ネック近位端部152はまた、図3に示すように、近位表面180の中へと遠位側に延びる挿入/摘出穴184を有している。挿入/摘出穴184は、挿入/摘出穴の軸200を有している。挿入/摘出穴184は、近位表面180に直交しない角度Aをなして、近位表面180の中へと遠位側に延びている。特に、以下で更に詳細に説明するように、挿入/摘出穴184は、遠位側に延びる際に、外側にも延びる。
【0022】
図3及び図4を参照すると、ネック近位端部152と挿入/摘出穴184が更に詳細に示されている。図示のように、挿入/摘出穴184は、器具受容部188と、義足キー付き部192と、義足ねじ付き部196とを有している。器具受容部188は、近位表面180のすぐ遠位側に位置しており、近位表面180に向かって開口している。器具受容部188は、近位表面180に対して画定される器具受容部の深さ204(図3に示す)を有している。器具受容部188はまた、この実施形態において、義足キー付き部192と義足ねじ付き部196の両方と開口連通している。いくつかの実施形態において、器具受容部188は、義足キー付き部192と開口連通しない。
【0023】
義足キー付き部192もまた、近位表面180のすぐ遠位側に位置しており、近位表面180に向かって開口している。義足キー付き部192は、近位表面180に対して画定される義足キー付き部の深さ208(図3に示す)を有しており、義足キー付き部の深さ208は、器具受容部の深さ204よりも浅くなっている。義足キー付き部192は、器具受容部188から外側に偏位している。
【0024】
義足ねじ付き部196は、器具受容部188から遠位側に延びている。義足ねじ付き部196(図3に示す)は壁216によって画定されている。義足ねじ付き部196は、壁216の中に延びるねじ山(図示せず)を有している。
【0025】
挿入/摘出穴の軸200は、挿入/摘出穴184の器具受容部188及び義足ねじ付き部196(図3に示す)の中心を通って軸方向に延びている。しかしながら、他の実施形態において、挿入/摘出穴の軸200は、器具受容部188の中心を通じて延びる必要はない。挿入/摘出穴の軸200と近位ステム部の軸128が前頭面に投影されると、挿入/摘出穴の軸200は、近位ステム部の軸128に対して実質的に平行な方向に向くのではなく、近位ステム部の軸128に対して角度Aをなして延びる。特に、挿入/摘出穴の軸200は、近位ステム部の軸128に対して近位側にかつ内側に角度Aをなして延びている。少なくとも1つの実施形態において、角度Aは、約1度〜約45度の範囲にある。角度Aは一実施形態において、近位ステム部の軸128に対して12度をなす。
【0026】
一実施形態において、挿入/摘出穴184は、ショルダー176に対しておよそ平行をなす方向に配向される。上記のように、ショルダー176は、ネック外側部164が遠位端部156(図2に示す)よりもネック近位端部152においてより内側に延びることによって形成されている。換言すれば、ショルダー176は、近位表面180に対して遠位側に延びる際に外側に延びる。したがって、ステム部104とネック部108(図2に示す)を前頭面で見ると、ショルダー176は、近位ステム部の軸128に対して実質的に平行な方向に配向されるのではなく、むしろ近位ステム部の軸128に対して角度Aをなして延びる。
【0027】
一実施形態において、様々な寸法及び形状の複数の大腿義足を含んだキットが提供され、医師はそのキットから最良に適合する義足を選択して、特定の患者の大腿骨に挿入することが可能となる。最良に適合する義足は、いくつかの検討事項の中でも特に、患者の大腿骨の形態と地形学によって決まる。したがって、有効な適合範囲をもたらすために、キットの各大腿義足は、近位ステム部の軸128に対して角度Aをなして配向されたショルダー176を有しており、この角度Aは、キットの他の大腿義足それぞれの角度とは異なっている。この実施形態において、キットの大腿義足それぞれの近位ステム部の軸128に対する挿入/摘出穴184の角度は、キット中の最も小さな大腿義足の近位ステム部の軸128に対するショルダー176の角度におおよそ等しい。この実施形態において、キット中の最小の大腿義足の近位ステム部の軸128に対するショルダー176の角度は約12度である。この実施形態の利点は、個別の義足の寸法又は形状にかかわらず挿入/摘出穴184が同じ角度で配向されているため、任意の大腿義足を(下記のように)患者の大腿骨に挿入する間、医師が同じ感覚を有し、かつ同じ方向に同じ力を及ぼすということである。別の実施形態において、キット中の大腿義足それぞれの近位ステム部の軸128に対する挿入/摘出穴184の角度は、近位ステム部の軸128に対するその大腿義足のショルダー176の角度におおよそ等しい。
【0028】
図2に戻ると、大腿骨頭部継手112は、ネック近位端部152から近位側に延びており、結合表面228を有しているが、この結合表面228は大腿骨頭部継手112を囲んで延び、内向きにテーパ付きとなっており、そのため大腿骨頭部継手112は、ボール部(図示せず)の相補的なテーパと摩擦嵌めによって嵌合するように構成されている。まとめると、大腿義足100とボール部とによって、股関節形成術の間に患者の大腿骨頭を置換するために使用される大腿骨インプラントが完成する。
【0029】
ここで図5を参照すると、器具300が示されており、この器具300は、股関節形成術の間に、上述し図2に示した大腿義足100を患者の大腿骨に挿入し、また大腿義足100を患者の大腿骨から除去できるように構成されている。器具300は、器具本体、つまりハウジング312と、シャフト316とを有している。ハウジング312はハウジングの軸320を画定しており、また、ハウジング衝撃端部324と、ハウジング係合端部328と、長手開口部332と、器具キー付き部336とを有している。ハウジングの軸320は、ハウジング衝撃端部324とハウジング係合端部328とを貫通してハウジング312の中心を通って延びており、またこの実施形態においては、衝撃の軸308と一致している。衝撃の軸308は、大腿義足100などの大腿義足に力が伝達される軸である。しかしながら、別の実施形態において、ハウジングの軸320は、衝撃の軸308と一致する必要はない。
【0030】
ハウジング衝撃端部324は、ハウジング係合端部328の反対側に配置されている。長手開口部332は、ハウジングの軸320に沿ってハウジング衝撃端部324からハウジング係合端部328へと、ハウジング312を貫通して延びている。器具キー付き部336は、ハウジング係合端部328の遠位端部に位置している。
【0031】
シャフト316はシャフトの軸340を画定しており、また、シャフト衝撃端部344と、シャフト係合端部348とを有し、シャフト係合端部348は器具ねじ付き部352を有している。シャフト軸340は、シャフト衝撃端部344とシャフト係合端部348とを貫通するシャフト316の中心を通って軸方向に延びている。シャフト316は、ハウジング312の長手開口部内332に回転可能に受容及び保持されるように寸法決めされ構成されており、そのため、シャフトの軸340はハウジングの軸320と一致している。この実施形態において、シャフトの軸340もまた、結果的に衝撃の軸308と一致する。しかしながら、別の実施形態において、シャフトの軸340は、衝撃の軸308と一致する必要はない。シャフト316がハウジング312内に受容される際に、シャフト衝撃端部344はハウジング衝撃端部324に隣接し、シャフト係合端部348はハウジング係合端部328と隣接し、シャフト316はハウジング312に対して回転可能となる。
【0032】
シャフト衝撃端部344は、衝撃表面356を有するノブ354を有している。シャフト衝撃端部344のノブ354は、ノブ354がハウジング衝撃端部324から突出するように、ハウジング衝撃端部324の外向きに延びている。ノブ354は、シャフト衝撃端部344に動作可能に連結されており、また把持されるように構成されている。シャフト316は、ノブ354を回転させることによってハウジング312に対して回転されることができ、ここでノブ354はハウジング衝撃端部324を越えて突出する。衝撃表面356は、シャフトの軸340と整列し、かつシャフトの軸340に対して実質的に直角となるように、ノブ354上に近位側に配置されている。したがって、衝撃表面356に加えられた衝撃は、シャフトの軸340に沿ってシャフト316を通じて伝達される。
【0033】
器具ねじ付き部352はハウジング係合端部328から突出しており、そのため、器具ねじ付き部352のねじ山360が露出している。器具ねじ付き部352はシャフトの軸340と実質的に一致する。上述のように、シャフト316は、シャフト衝撃端部344上のノブ354が回転されると、シャフト係合端部348も回転され、それによって器具ねじ付き部352がハウジング係合端部328に対して回転するように構成されている。
【0034】
図6に示すように、器具300は、ハウジング係合端部328とシャフト係合端部348が大腿義足100の挿入/摘出穴184と係合して、股関節形成術の間に、患者の大腿骨の中に大腿義足100を挿入すること、及び患者の大腿骨から大腿義足100を除去することが容易となるように配置及び構成されている。特に、義足キー付き部192は器具キー付き部336と結合するように構成されており、義足ねじ付き部196は器具ねじ付き部352と結合するように構成されている。
【0035】
操作の際、器具300を使用して患者の大腿骨への大腿義足の挿入を容易にするために、器具ねじ付き部352がまず器具受容部188に挿入されて、器具300が挿入/摘出穴184と概ね位置合わせされる。ねじ付き部が器具受容部188内に受容されると、器具キー付き部336が義足キー付き部192に挿入されて、器具300と大腿義足100との位置合わせが維持される。
【0036】
次に、シャフト衝撃端部344(図5に示す)上のノブ354を回転させることによって、器具ねじ付き部352がハウジング312に対して回転される。器具キー付き部336は義足キー付き部192と嵌合されるため、ハウジング312は大腿義足100に対して回転することを防止される。したがって、器具ねじ付き部352がハウジング312に対して回転されると、器具ねじ付き部352は大腿義足100に対しても回転される。したがって、器具ねじ付き部352は、挿入/摘出穴184内の義足ねじ付き部196の中に延び、それと係合する。この実施形態において、器具ねじ付き部352と義足ねじ付き部196との係合により、器具300が大腿義足100と結合され、そのため、器具300は大腿義足100から離れる動きを制限される。別の実施形態において、ねじ付き部は、器具300を大腿義足100と結合させるために使用される必要はないが、器具300は、大腿義足100から離れる器具300の動きを制限する別の方式で大腿義足100に結合される。例えば、大腿義足100から離れる器具300の動きを制限するような方式で器具300を大腿義足100と結合するために、コレット又はバヨネット型の留め金が使用される。
【0037】
器具ねじ付き部352が義足ねじ付き部196と完全に係合すると、衝撃の軸308は挿入/摘出穴の軸200と実質的に一致する。したがって、挿入/摘出穴の軸200は、近位ステム部の軸128に対して実質的に平行な方向に配向されるのではなく、むしろ近位ステム部の軸128に対して角度Aをなして延びるため、衝撃の軸308もまた近位ステム部の軸128と平行ではない。衝撃の軸308を近位ステム部の軸128に対して角度Aをなして配向することの利点は、医師が患者の股関節の筋骨格系と不必要に干渉することを回避し得るということである。衝撃の軸308は角度Aをなして配向されているため、医師は、大腿義足を挿入又は除去するために、大腿義足100に対して直交するアクセス線を有する必要がない。てこ作用とアクセスとの最も有効な組み合わせは、近位ステム部の軸128に対して約1度〜約45度の範囲にある角度Aをなして、衝撃の軸308を配向させることによって達成される。
【0038】
次いで、衝撃が器具300に加えられ、器具300を通じて、取り付けられた大腿義足100に伝達される。より具体的には、衝撃力が衝撃表面356(図5に示す)に加えられると、その衝撃力は、順に、衝撃表面356、ノブ354、シャフト316、そしてねじ付き部352を通じて大腿義足100に伝達され、それによって患者の大腿骨に大腿義足100を挿入することが容易となる。衝撃の軸308は挿入/摘出穴の軸200と一致するため、衝撃力は、器具ねじ付き部352を中心としたモーメントを発生させたり、器具ねじ付き部352に剪断応力を加えたりすることなく、完全にかつ直接的に、大腿義足100に伝達される。したがって、股関節形成術の間に大腿義足100と組み合わせて器具300を使用すると、より効率よく、かつ誤りの危険性を抑えて、患者の大腿骨に大腿義足100を挿入することが容易となる。
【0039】
一実施形態において、ハウジング312は雌ねじ(図示せず)を有し、そのため、器具ねじ付き部352がハウジング312に対して回転されると、シャフト316はハウジング312内で軸方向に移動する。したがって、器具ねじ付き部352と義足ねじ付き部196との係合を高めることで、シャフト316はハウジング312内で軸方向に移動するようになる。ハウジング312内におけるシャフト316の遠位側への動きは、シャフト衝撃端部344(図5に示す)上のノブ354がハウジング衝撃端部324上のハウジング近位表面364と接触することによって制限される。この実施形態において、衝撃表面356に加えられた衝撃力は、シャフト316の他にもハウジング312を通じて、大腿義足100に伝達される。
【0040】
加えて、この実施形態において、ハウジング312を通じて大腿義足100に衝撃力を伝達することを容易にするために、器具キー付き部336は義足キー付き部192と接触するように構成されている。具体的には、器具キー付き部の表面338が、義足キー付き部の表面194と接触し、かつその表面194上に平坦に寄りかかるように構成されている。義足キー付き部の表面194は、挿入/摘出穴の軸200に対して実質的に直角に配置されている。衝撃力が衝撃表面356(図5に示す)に加えられると、その衝撃力は、順に衝撃表面356、ノブ354、ハウジング近位表面364、器具キー付き部336、そして最終的に器具キー付き部の表面338を通じて伝達される。挿入/摘出穴の軸200に対する(したがって衝撃の軸308に対する)義足キー付き部の表面194の配置により、器具ねじ付き部352又は器具キー付き部336のいずれも剪断応力を受けないように、衝撃力が、器具キー付き部336に沿った方向に、器具キー付き部336を通じて大腿義足100に伝達されることになる。そのため、大腿義足100に衝撃力が伝達されることで、効率を高めかつ誤りの危険性を抑えて、患者の大腿骨に大腿義足100を挿入することが更に容易となる。
【0041】
上述したプロセスを通じて器具300が挿入のみに使用される実施形態においては、ねじ付き部196及び352は除かれてもよい。器具300がねじ付き部196及び352を有さない実施形態において、シャフト係合端部348は位置合わせのためにのみ使用され、器具300と大腿義足100との間の唯一の接触領域は、器具キー付き部の表面338が義足キー付き部の表面194と接触する箇所である。換言すれば、衝撃は、器具300のハウジング312のみを通じて大腿義足100に伝達される。
【0042】
しかしながら、ねじ付き部196と352が含まれる実施形態において、器具300は、大腿義足100を挿入することに加えて、大腿義足100を摘出するためにも使用され得る。具体的には、義足及び器具のそれぞれのねじ付き部196及び352が、大腿骨への挿入に加えて、大腿骨からの摘出に、義足100と器具300を使用することを可能にしている。器具300が義足100の挿入に使用されるプロセスについては上述した。器具300が義足100の摘出に使用されるプロセスは、義足100から離れる方向に器具300に力を加えると、義足100が大腿骨から離れる方向に引っ張られ、それによって義足100が髄間管(intermedullary canal)から摘出されるように、ねじ付き部196と352が互いに係合するという点で、挿入のプロセスとは異なっている。
【0043】
一例として、器具300は、いくつかの実施形態において、挿入衝撃に対して反対の方向に衝撃力を加えることを可能にする機構を有する。具体的に言えば、器具300は、ノブ354がシャフトの軸340と整列し、かつシャフトの軸340に対して実質的に直交し、そのため、ノブ354の下側に加えられた衝撃がシャフトの軸340に沿ってシャフト316を通じて伝達されるように構成されている。別法として、ハウジング312は、シャフト衝撃端部344にてハウジングの軸320から外向きに延びるフランジ(図示せず)を有し、また、シャフト係合端部348から離れる方向に加えられた衝撃を受容するように構成される。このようにして、器具300は依然として大腿義足100と共に使用されるが、衝撃は反対方向に加えられるため、器具300は、大腿義足100の挿入よりもむしろ摘出を容易にする。したがって、股関節形成術の間に大腿義足100と組み合わせて器具300を使用すると、より効率よくかつ誤りの危険性も少なく、患者の大腿骨から大腿義足100を摘出することが容易となる。
【0044】
その結果として、図5の器具300は大腿義足100を挿入及び摘出するように構成されているが、いくつかの実施形態において、大腿義足100を摘出するためのものとは別の器具が大腿義足100を挿入するために使用される。
【0045】
大腿義足及び器具の1つ又は複数の実施形態の、上記の詳細な説明は、一例として示したものである。本明細書で説明した他の機構及び機能を組み込むことなく獲得され得る、本明細書で説明した特定の個々の機構及び機能の利点が存在することが理解されよう。更に、上で開示した実施形態並びに他の機構及び機能の様々な代替形態、修正形態、変形形態、若しくは改善形態、又はそれらの代替形態が、他の種々の実施形態、システム、又は用途に望ましくは組み合わされ得ることが理解されよう。現時点では予想又は予期されない代替形態、修正形態、変形形態、又は改善形態を、当業者は後に作ることができ、それらはまた、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。したがって、添付の特許請求の趣旨及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 大腿義足(femoral prosthesis)であって、
近位ステム部の軸を画定する近位端部を有する、ステム部と、
前記近位端部の近位側に位置する、ネック部と、
前記ネック部の近位表面から遠位側に延び、挿入/摘出器具と結合するように構成された挿入/摘出穴であって、前記近位ステム部の軸を含む前頭面に投影される場合には、前記近位ステム部の軸と平行をなさない挿入/摘出穴の軸を画定する、挿入/摘出穴と、を備える大腿義足。
(2) 前記挿入/摘出穴の軸が前記前頭面に投影される場合には、前記挿入/摘出穴の軸は前記近位ステム部の軸から近位側にかつ内側に延びる、実施態様1に記載の大腿義足。
(3) 前記挿入/摘出穴の軸が前記前頭面に投影される場合には、前記挿入/摘出穴の軸は、約1度〜約45度の範囲の角度をなして前記近位ステム部の軸から近位側にかつ内側に延びる、実施態様2に記載の大腿義足。
(4) 前記挿入/摘出穴の軸が前記前頭面に投影される場合には、前記挿入/摘出穴の軸は、約12度の角度をなして前記近位ステム部の軸から近位側にかつ内側に延びる、実施態様2に記載の大腿義足。
(5) 前記ステム部は実質的に直線状である、実施態様4に記載の大腿義足。
【0047】
(6) 前記挿入/摘出穴は、
前記挿入/摘出器具のキー付き部(keyed portion)と嵌合するように構成されたキー付き部を備える、実施態様2に記載の大腿義足。
(7) 前記キー付き部は、前記挿入/摘出穴の軸に対して実質的に直角に配置されたキー付き部表面を有する、実施態様6に記載の大腿義足。
(8) 前記挿入/摘出穴は、
前記挿入/摘出器具のねじ付き部を受容するように構成されたねじ付き部を更に備える、実施態様6に記載の大腿義足。
(9) 大腿義足システムであって、
大腿義足であって、
近位ステム部の軸を画定する近位端部を有する大腿ステム部と、
前記近位端部の近位側に位置するネック部と、
前記ネック部の近位表面から遠位側に延びる挿入/摘出穴であって、前記近位ステム部の軸を含む前頭面に投影される場合には、前記近位ステム部の軸と平行をなさない挿入/摘出穴の軸を画定する挿入/摘出穴と、を有する大腿義足と、
挿入/摘出器具であって、
前記挿入/摘出穴と結合するように構成された遠位端部を、有する挿入/摘出器具と、を備える大腿義足システム。
(10) 前記挿入/摘出穴の軸が前記前頭面に投影される場合には、前記挿入/摘出穴の軸は前記近位ステム部の軸から近位側にかつ内側に延びる、実施態様9に記載のシステム。
【0048】
(11) 前記挿入/摘出穴の軸が前記前頭面に投影される場合には、前記挿入/摘出穴の軸は、約1度〜約45度の範囲の角度をなして前記近位ステム部の軸から近位側にかつ内側に延びる、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記挿入/摘出穴の軸が前記前頭面に投影される場合には、前記挿入/摘出穴の軸は、約12度の角度をなして前記近位ステム部の軸から近位側にかつ内側に延びる、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記大腿ステム部は実質的に直線状である、実施態様10に記載のシステム。
(14) 前記挿入/摘出器具は、
衝撃の軸(impact axis)を画定するシャフトであって、前記挿入/摘出器具が前記大腿義足と結合される場合に、前記衝撃の軸が前記挿入/摘出穴の軸と平行をなすように構成されているシャフトを更に有する、実施態様10に記載のシステム。
(15) 前記衝撃の軸は、前記挿入/摘出器具が前記大腿義足と結合される場合に、前記挿入/摘出穴の軸と一直線になる、実施態様14に記載のシステム。
【0049】
(16) 前記挿入/摘出穴は第1のキー付き部を有し、
前記挿入/摘出器具は第2のキー付き部を有し、
前記第1及び第2のキー付き部は、キー付き関係で互いに嵌合するように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
(17) 前記第1のキー付き部は、前記挿入/摘出穴の軸に対して実質的に直角に配置された第1のキー付き部表面を有する、実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記挿入/摘出穴は更に、前記挿入/摘出器具のねじ付き部を受容するように構成されたねじ付き部を有する、実施態様16に記載のシステム。
(19) 前記挿入/摘出器具の前記ねじ付き部は前記第2のキー付き部に対して回転可能である、実施態様18に記載のシステム。
(20) 大腿義足を挿入する方法であって、
挿入/摘出器具のシャフトによって画定される衝撃の軸が、前記大腿義足のステム部によって画定される長手軸と平行をなさないように、前記挿入/摘出器具を大腿構成要素の近位部と結合することと、
前記大腿義足の遠位端部を大腿骨に挿入することと、
前記挿入/摘出器具の近位端部に衝撃を与えることと、を含む方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6