(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
異なる3色のフィルタであって、第1色フィルタ、第2色フィルタ、および、第3色フィルタが所定のパターンで配列されている色フィルタを有する撮像部により取得される画像信号であって、前記第1色フィルタを介して取得される第1色画素信号と、前記第2色フィルタを介して取得される第2色画素信号と、前記第3色フィルタを介して取得される第3色画素信号と、から構成される前記画像信号に対して、画素補間処理を行う画素補間処理装置であって、
前記第1色画素信号、前記第2色画素信号、および、前記第3色画素信号に対して、それぞれ、対応する色フィルタに応じて、信号レベルを補正し、補正後の前記第1〜第3色画素信号から構成される画像信号を第1画像信号として出力する信号補正部と、
前記信号補正部から出力される前記第1画像信号に基づいて、前記第1画像信号が形成する画像の所定の画像領域の彩度を評価し、前記画像領域の彩度評価値を取得する彩度評価値算出部と、
前記第1画像信号により形成される画像において、処理対象の画素である注目画素の周辺画像領域の画素データを用いて、前記画像上において直交する2方向の複数組の相関度をグレー相関度として取得するグレー相関値算出部と、
前記第1〜第3色画素信号から構成される画像信号により形成される画像において、注目画素の周辺画像領域の同色の画素データを用いて、前記画像上において直交する2方向の複数組の相関度をカラー相関度として取得するカラー相関値算出部と、
前記彩度評価値算出部により取得された前記彩度評価値と、前記グレー相関値算出部により取得されたグレー相関度と、前記カラー相関値算出部により取得されたカラー相関度とに基づいて、前記注目画素の画素補間方法を決定する画素補間法決定部と、
前記画素補間法決定部により決定された前記画素補間方法により、前記注目画素に対して、画素補間処理を実行することで、前記画素補間処理後の画像信号である第2画像信号を取得する補間部と、
前記補間部により取得された前記第2画像信号に対して、前記色フィルタの配列パターンに応じた色空間変換を行うことで、所定の出力画像信号を取得する補正処理部と、
を備える画素補間処理装置。
前記グレー相関値算出部は、前記画像上における水平方向の相関度と垂直方向の相関度、および、第1斜め方向の相関度と前記第1斜め方向に直交する第2斜め方向の相関度を取得し、
前記カラー相関値算出部は、前記画像上における水平方向の相関度と垂直方向の相関度、および、第1斜め方向の相関度と前記第1斜め方向に直交する第2斜め方向の相関度を取得する、
請求項1から4のいずれかに記載の画素補間処理装置。
異なる3色のフィルタであって、第1色フィルタ、第2色フィルタ、および、第3色フィルタが所定のパターンで配列されている色フィルタを有する撮像部により取得される画像信号であって、前記第1色フィルタを介して取得される第1色画素信号と、前記第2色フィルタを介して取得される第2色画素信号と、前記第3色フィルタを介して取得される第3色画素信号と、から構成される前記画像信号に対して、画素補間処理を行う画素補間処理方法を、コンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第1色画素信号、前記第2色画素信号、および、前記第3色画素信号に対して、それぞれ、対応する色フィルタに応じて、信号レベルを補正し、補正後の前記第1〜第3色画素信号から構成される画像信号を第1画像信号として出力する信号補正ステップと、
前記信号補正ステップから出力される前記第1画像信号に基づいて、前記第1画像信号が形成する画像の所定の画像領域の彩度を評価し、前記画像領域の彩度評価値を取得する彩度評価値算出ステップと、
前記第1画像信号により形成される画像において、処理対象の画素である注目画素の周辺画像領域の画素データを用いて、前記画像上において直交する2方向の複数組の相関度をグレー相関度として取得するグレー相関値算出ステップと、
前記第1〜第3色画素信号から構成される画像信号により形成される画像において、注目画素の周辺画像領域の同色の画素データを用いて、前記画像上において直交する2方向の複数組の相関度をカラー相関度として取得するカラー相関値算出ステップと、
前記彩度評価値算出ステップにより取得された前記彩度評価値と、前記グレー相関値算出ステップにより取得されたグレー相関度と、前記カラー相関値算出ステップにより取得されたカラー相関度とに基づいて、前記注目画素の画素補間方法を決定する画素補間法決定ステップと、
前記画素補間法決定ステップにより決定された前記画素補間方法により、前記注目画素に対して、画素補間処理を実行することで、前記画素補間処理後の画像信号である第2画像信号を取得する補間ステップと、
前記補間ステップにより取得された前記第2画像信号に対して、前記色フィルタの配列パターンに応じた色空間変換を行うことで、所定の出力画像信号を取得する補正処理ステップと、
を備える画素補間処理方法を、コンピュータに実行させるプログラム。
異なる3色のフィルタであって、第1色フィルタ、第2色フィルタ、および、第3色フィルタが所定のパターンで配列されている色フィルタを有する撮像部により取得される画像信号であって、前記第1色フィルタを介して取得される第1色画素信号と、前記第2色フィルタを介して取得される第2色画素信号と、前記第3色フィルタを介して取得される第3色画素信号と、から構成される前記画像信号に対して、画素補間処理を行う集積回路であって、
前記第1色画素信号、前記第2色画素信号、および、前記第3色画素信号に対して、それぞれ、対応する色フィルタに応じて、信号レベルを補正し、補正後の前記第1〜第3色画素信号から構成される画像信号を第1画像信号として出力する信号補正部と、
前記信号補正部から出力される前記第1画像信号に基づいて、前記第1画像信号が形成する画像の所定の画像領域の彩度を評価し、前記画像領域の彩度評価値を取得する彩度評価値算出部と、
前記第1画像信号により形成される画像において、処理対象の画素である注目画素の周辺画像領域の画素データを用いて、前記画像上において直交する2方向の複数組の相関度をグレー相関度として取得するグレー相関値算出部と、
前記第1〜第3色画素信号から構成される画像信号により形成される画像において、注目画素の周辺画像領域の同色の画素データを用いて、前記画像上において直交する2方向の複数組の相関度をカラー相関度として取得するカラー相関値算出部と、
前記彩度評価値算出部により取得された前記彩度評価値と、前記グレー相関値算出部により取得されたグレー相関度と、前記カラー相関値算出部により取得されたカラー相関度とに基づいて、前記注目画素の画素補間方法を決定する画素補間法決定部と、
前記画素補間法決定部により決定された前記画素補間方法により、前記注目画素に対して、画素補間処理を実行することで、前記画素補間処理後の画像信号である第2画像信号を取得する補間部と、
前記補間部により取得された前記第2画像信号に対して、前記色フィルタの配列パターンに応じた色空間変換を行うことで、所定の出力画像信号を取得する補正処理部と、
を備える集積回路。
【発明を実施するための形態】
【0078】
[第1実施形態]
第1実施形態について、図面を参照しながら、以下、説明する。
【0079】
<1.1:撮像装置の構成>
図1は、第1実施形態に係る撮像装置1000の概略構成図である。
【0080】
撮像装置1000は、
図1に示すように、被写体光を光電変換により画像信号として取得する撮像部C1と、撮像部C1により取得された画像信号に対して所定の信号処理を行う信号処理部C2と、信号処理部C2により所定の信号処理が施された画像信号に対して画素補間処理を行う画素補間処理部100(画素補間処理装置)と、を備える。
【0081】
撮像部C1は、光学系と、任意の3色配列色フィルタと、撮像素子とを備える。
【0082】
なお、説明便宜のために、「任意の3色配列色フィルタ」が、W(白)−Ye(黄色)−R(赤)の3色配列色フィルタである場合を一例として、以下、説明する。
【0083】
光学系は、1または複数のレンズからなり、被写体光を集光し、被写体光を撮像素子面に結像させる。なお、光学系は、露光調整、フォーカス調整機能等を有するものであってもよい。
【0084】
W−Ye−R配列色フィルタは、W成分用色フィルタ、Ye成分用色フィルタ及びR成分用色フィルタの3種類の色成分フィルタを含み、所定のパターンにより構成されている。W−Ye−R配列色フィルタは、撮像素子の撮像素子面上に配置される。なお、W成分用色フィルタは、全ての色を透過する透明なフィルタである。
【0085】
撮像素子は、複数の画素を有しており、光学系で集光され、W−Ye−R配列色フィルタを介して、撮像素子面上に結像された被写体光を光電変換により画像信号(電気信号)に変換する。撮像素子は、W成分取得用の画素において、W成分画素信号を取得し、Ye成分取得用の画素において、Ye成分画素信号を取得する。また、撮像素子は、R成分取得用の画素において、R成分画素信号を取得する。撮像素子は、各画素に取得した画素信号(W成分画素信号、Ye成分画素信号およびR成分画素信号)を、画像信号として信号処理部C2に出力する。
【0086】
信号処理部C2は、撮像部C1から出力される画像信号を入力し、入力された画像信号に対して、所定の信号処理(例えば、ゲイン調整処理、ホワイトバランス調整処理、ガンマ調整処理等)を行う。信号処理部C2は、所定の信号処理を施した画像信号を、画像信号D_rawとして、画素補間処理部100に出力する。
【0087】
画素補間処理部100は、
図1に示すように、信号補正部1と、カラー相関値算出部2と、彩度評価値算出部3と、グレー相関値算出部4と、画素補間法決定部5と、補間部6と、補正処理部7と、を備える。
【0088】
信号補正部1は、信号処理部C2からの画像信号D_rawを入力し、入力された画像信号D_rawに対して、色成分画素信号ごとに、色フィルタの種別に応じた信号レベルの補正処理を行う。そして、当該補正処理後の画像信号を、画像信号D1として、彩度評価値算出部3と、グレー相関値算出部4と、補間部6のグレー画像用補間部62とに出力する。
【0089】
カラー相関値算出部2は、信号処理部C2から出力される画像信号D_raw(画像信号D_rawにより形成される1枚の画像(1フレーム画像)を画像D_rawと表現する。以下、同様。)を入力する。カラー相関値算出部2は、画像D_raw上の注目画素(処理対象の画素)について、以下の4つのカラー相関値を算出する(詳細については後述する)。
(A1)カラー画像領域用垂直方向相関値Cv_color
(A2)カラー画像領域用水平方向相関値Ch_color
(A3)カラー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_color
(A4)カラー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_color
カラー相関値算出部2は、画像D_raw上の画素ごとに取得した上記4つのカラー相関値を画素補間法決定部5に出力する。なお、上記4つのカラー相関値を総称して、「Cx_color」と表記する。
【0090】
彩度評価値算出部3は、信号補正部1から出力される画像信号D1を入力する。彩度評価値算出部3は、画像D_raw上の注目画素(処理対象の画素)について、彩度評価値Lを算出し、さらに、彩度評価値Lを所定の関数により正規化した彩度評価係数KL(0≦KL≦1)を取得する(詳細については後述する)。そして、彩度評価値算出部3は、画像D_raw上の画素ごとに取得した彩度評価係数KLを画素補間法決定部5に出力する。
【0091】
グレー相関値算出部4は、信号補正部1から出力される画像信号D1を入力する。グレー相関値算出部4は、画像D_raw上の注目画素(処理対象の画素)について、以下の4つのグレー相関値を算出する(詳細については後述する)。
(B1)グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_gray
(B2)グレー画像領域用水平方向相関値Ch_gray
(B3)グレー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_gray
(B4)グレー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_gray
グレー相関値算出部4は、画像D_raw上の画素ごとに取得した上記4つのグレー相関値を画素補間法決定部5に出力する。なお、上記4つのグレー相関値を総称して、「Cx_gray」と表記する。
【0092】
画素補間法決定部5は、彩度評価値算出部3から出力される画素ごとの彩度評価係数KLと、カラー相関値算出部2から出力される画素ごとのカラー相関値Cx_colorと、グレー相関値算出部4から出力される画素ごとのグレー相関値Cx_grayとを入力する。画素補間法決定部5は、画素ごとに、彩度評価係数KLと、カラー相関値Cx_colorと、グレー相関値Cx_grayとに基づいて、相関方向と、画素補間方法とを決定する(詳細については後述する)。そして、画素補間法決定部5は、画素ごとに決定した、相関方向に関する情報Co_Dirおよび画素補間方法に関する情報P_Mthdを、補間部6に出力する。また、画素補間法決定部5は、画素ごとに決定した相関方向に関する情報を補正処理部7に出力する。
【0093】
補間部6は、信号処理部C2から出力される画像信号D_rawと、信号補正部1から出力される画像信号D1と、画素補間法決定部5から出力される画素ごとに決定された相関方向および画素補間方法に関する情報と、を入力する。補間部6は、画像D_rawの画素ごとに、画素補間法決定部5により決定された相関方向および画素補間方法により、全ての画素が3色の成分(本実施形態では、W成分、Ye成分、R成分)を持つように、画素補間処理を行う(詳細については後述する)。そして、補間部6は、画素補間処理後の画像信号(全ての画素が、W成分、Ye成分、R成分を有する画像信号)を、画像信号D2として、補正処理部7に出力する。
【0094】
補間部6は、例えば、
図1に示すように、カラー画像用補間部61と、グレー画像用補間部62と、信号逆補正部63と、選択部64とを備える。なお、
図1では、図示を簡略化するため、補間部6の各機能部において、入出力を省略している部分がある。
【0095】
カラー画像用補間部61は、信号処理部C2から出力される画像信号D_rawを入力する。カラー画像用補間部61は、画像信号D_rawに対して、画素補間法決定部5から出力される相関方向に関する情報Co_Dirおよび画素補間方法に関する情報P_Mthdに基づいて、カラー画像用補間処理を実行し、当該カラー画像用補間処理実行後の画像信号を選択部64に出力する。
【0096】
グレー画像用補間部62は、信号補正部1から出力される画像信号D1を入力する。グレー画像用補間部62は、画像信号D1に対して、画素補間法決定部5から出力される相関方向に関する情報Co_Dirおよび画素補間方法に関する情報P_Mthdに基づいて、グレー画像用補間処理を実行し、当該グレー画像用補間処理実行後の画像信号を信号逆補正部63に出力する。
【0097】
信号逆補正部63は、グレー画像用補間部62から出力される画像信号を入力する。信号逆補正部63は、グレー画像用補間部62から出力される画像信号に対して、信号補正部1で実行された補正処理と逆の補正処理を実行する。つまり、信号逆補正部63は、グレー画像用補間部62から出力される画像信号の信号レベルが、信号補正部1に入力される信号レベルと同等となるように、信号補正部1で実行された補正処理と逆の補正処理(逆補正処理)を実行する。そして、信号逆補正部63は、当該逆補正処理後の画像信号を、選択部64に出力する。
【0098】
選択部64は、カラー画像用補間部61から出力される画像信号と、信号逆補正部63から出力される画像信号とを入力する。選択部64は、画素補間法決定部5から出力される相関方向に関する情報Co_Dirおよび画素補間方法に関する情報P_Mthdに基づいて、カラー画像用補間部61から出力される画像信号と、信号逆補正部63から出力される画像信号とのいずれか一方の画像信号を選択し、選択した画像信号を、画像信号D2として、補正処理部7に出力する。
【0099】
補正処理部7は、補間部6から出力される画像信号D2と、画素補間法決定部5から出力される相関方向に関する情報Co_Dirとを入力する。補正処理部7は、画像信号D2に対して補正処理、変換処理等を実行し、RGB色空間の信号である画像信号Doutを取得する。
【0100】
補正処理部7は、例えば、
図2に示すように、第1マトリックス変換部71と、色空間処理部72と、彩度取得部73と、色差補正部74と、第2マトリックス変換部75とを備える。
【0101】
第1マトリックス変換部71は、補間部6の選択部64から出力される画像信号Doutを入力する。第1マトリックス変換部71は、画像信号D2に対して、マトリックス変換を行い、RGB色空間の信号と、W成分画素信号とを含む画像信号D3を取得する。第1マトリックス変換部71は、取得した画像信号D3を色空間処理部72に出力する。
【0102】
また、第1マトリックス変換部71は、画像信号D3に含まれる画素信号のうち、R成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号を、彩度取得部73に出力する。
【0103】
色空間処理部72は、第1マトリックス変換部71から出力される画像信号D3と、画素補間法決定部5から出力される相関方向に関する情報Co_Dirとを入力する。色空間処理部72は、相関方向に関する情報Co_Dirに基づいて、画像信号D3からY成分画素信号(輝度信号)を取得する。また、色空間処理部72は、画像信号D3のR成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号と、上記Y成分画素信号とから、Cb成分画素信号およびCr成分画素信号を取得する。そして、色空間処理部72は、取得したY成分画素信号、Cb成分画素信号、および、Cr成分画素信号から構成される画像信号(YCbCr色空間の信号)を、画像信号D4として、出力する。
【0104】
色空間処理部72は、例えば、
図3Aに示すように、輝度信号取得部721と、選択信号生成部722と、輝度信号出力部723と、減算器724、726と、ゲイン調整部725、727とを備える。
【0105】
輝度信号取得部721は、第1マトリックス変換部71から出力されるR成分画素信号、G成分画素信号およびB成分画素信号を入力とする。輝度信号取得部721は、入力されたR成分画素信号、G成分画素信号およびB成分画素信号から輝度成分画素信号Y0を取得し、輝度信号出力部723に出力する。
【0106】
選択信号生成部722は、画素補間法決定部5から出力される画素ごとの相関方向に関する情報Co_Dirを入力とし、当該相関方向に関する情報Co_Dirに基づいて、選択信号を生成する。そして、選択信号生成部722は、生成した選択信号を輝度信号出力部723に出力する。
【0107】
輝度信号出力部723は、輝度信号取得部721から出力された輝度成分画素信号Y0と、第1マトリックス変換部71から出力されたW成分画素信号Wと、選択信号生成部722から出力される選択信号とを入力する。輝度信号出力部723は、選択信号に従って、輝度成分画素信号Y0およびW成分画素信号Wから輝度成分画素信号Y(Y成分画素信号)を生成して出力する。
【0108】
減算器724は、輝度信号出力部723から出力された輝度成分画素信号Y(Y成分画素信号)と、第1マトリックス変換部71から出力されたB成分画素信号とを入力とし、減算処理を行い、B−Y信号(=B成分画素信号−輝度成分画素信号Y)を取得し、取得したB−Y信号をゲイン調整部725に出力する。
【0109】
ゲイン調整部725は、減算器724から出力されたB−Y信号に対して所定のゲイン調整を行うことでCb成分画素信号を取得し、取得したCb成分画素信号を出力する。
【0110】
減算器726は、輝度信号出力部723から出力された輝度成分画素信号Y(Y成分画素信号)と、第1マトリックス変換部71から出力されたR成分信号とを入力とし、減算処理を行い、R−Y信号(=R成分画素信号−輝度成分画素信号Yout)を取得し、取得したR−Y信号をゲイン調整部727に出力する。
【0111】
ゲイン調整部727は、減算器726から出力されたR−Y信号に対して所定のゲイン調整を行うことでCr成分画素信号を取得し、取得したCr成分画素信号を出力する。
【0112】
つまり、色空間処理部72は、取得したY成分画素信号、Cb成分画素信号、および、Cr成分画素信号から構成される画像信号(YCbCr色空間の信号)を、画像信号D4として、出力する。なお、色空間処理部72は、画像信号D4のうち、Y成分画素信号を、第2マトリックス変換部75に出力し、Cb成分画素信号およびCr画素成分信号を色差補正部74に出力する。
【0113】
色空間処理部72は、例えば、
図3Bに示すように、色空間変換部721Aと、選択信号生成部722と、輝度信号出力部723とを備えるものであってもよい。
【0114】
色空間変換部721Aは、第1マトリックス変換部71から出力されるR成分画素信号、G成分画素信号およびB成分画素信号を入力とする。色空間変換部721Aは、入力されたR成分画素信号、G成分画素信号およびB成分画素信号に対して、RGB−YCbCr色空間変換を行い、輝度成分画素信号Y0、Cb成分画素信号、および、Cr成分画素信号を取得する。そして、色空間変換部721Aは、輝度成分画素信号Y0を輝度信号出力部723に出力し、Cb成分画素信号、および、Cr成分画素信号を色差補正部74に出力する。
【0115】
選択信号生成部722および輝度信号出力部723は、上記で説明したものと同様である。
【0116】
色空間処理部72は、取得したY成分画素信号、Cb成分画素信号、および、Cr成分画素信号から構成される画像信号(YCbCr色空間の信号)を、画像信号D4として、出力する。なお、色空間処理部72は、画像信号D4のうち、Y成分画素信号を、第2マトリックス変換部75に出力し、Cb成分画素信号およびCr画素成分信号を色差補正部74に出力する。
【0117】
彩度取得部73は、第1マトリックス変換部71から出力される画像信号D3のうち、R成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号を入力する。彩度取得部73は、R成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号から、彩度値Sを取得する。そして、彩度取得部73は、取得した彩度値S(彩度信号S)を色差補正部74に出力する。
【0118】
色差補正部74は、色空間処理部72から出力されるCb成分画素信号およびCr成分画素信号と、彩度取得部73から出力される彩度値S(彩度信号S)とを入力する。色差補正部74は、彩度値Sに基づいて、色空間処理部72から出力されるCb成分画素信号およびCr成分画素信号に対して、色差成分補正処理を実行し、色差成分補正処理後のCb成分画素信号およびCr成分画素信号を、第2マトリックス変換部75に出力する。
【0119】
第2マトリックス変換部75は、色空間処理部72から出力されるY成分画素信号と、色差補正部74から出力される、色差成分補正処理後のCb成分画素信号およびCr成分画素信号とを入力する。第2マトリックス変換部75は、入力された画素信号に対して、YCbCr色空間をRGB色空間に変換する処理を行い、R成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号を取得する。第2マトリックス変換部75は、取得した、R成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号から構成される画像信号を、画像信号Doutとして出力する。
【0120】
<1.2:撮像装置の動作>
以上のように構成された撮像装置1000の動作について、以下、説明する。
【0121】
図4は、撮像部C1に設置される任意の3色配列色フィルタC11における第1成分用色フィルタ、第2成分用色フィルタおよび第3成分用色フィルタの配列パターンの一例を示す図である。
図4において、第1色成分用フィルタを白(W)とし、第2色成分用フィルタを黄色(Ye)とし、第3色成分用色フィルタを赤(R)としている。
図4に示すように、3色配列色フィルタでは、横方向のある一列において、第1成分用色フィルタ、第2成分用色フィルタ、第1成分用色フィルタ、第2成分用色フィルタ、・・・と、第1成分用色フィルタと第2成分用色フィルタとが交互に配列されていると、その次の一列において、第3成分用色フィルタ、第1成分用色フィルタ、第3成分用色フィルタ、第1成分用色フィルタ、・・・と、第3成分用色フィルタと第1成分用色フィルタとが交互に配列されている。つまり、第1成分用色フィルタ、第2成分用色フィルタ、および、第3成分用色フィルタが、縦2画素×横2画素の領域に配列され、かつ、2つの第1成分用色フィルタが当該領域の対角方向に配列される。
【0122】
≪3色画素配列の画素の表記方法≫
ここで、3色配列色フィルタの画素の表記方法について説明する。まず、5×5のマトリクス領域の画素を
図4の左上領域AR1のように表す。
図4の左上領域AR1における記号Pは、画素がいずれの色成分用画素であるかを考慮しない表記である(
図4に示す領域AR2〜AR4についても同様)。これに対して、各画素の色成分を区別する場合、画素を示す円の中に、色を示すアルファベットを記載した記号により表記する。例えば、W(白)−Ye(黄色)−R(赤)の3色配列色フィルタである場合、W成分用画素を記号Wと画素位置を示す2桁の数字で示し、Ye成分用画素を記号Yと画素位置を示す2桁の数字で示し、R成分用画素を記号Yと画素位置を示す2桁の数字で示す。
【0123】
記号P,W,Y,Rの添え字のうち、1桁目はマトリクス領域の画素の行番号、2桁目はマトリクス領域の画素の列番号を示している。なお、他の図面における画素配列の表記方法も上記と同様である。また、実施形態の説明や各数式において、記号P,W,Y,Rは、画素値を表す場合もある。たとえば、記号P11は、1行1列目の画素そのものを表すとともに、1行1列目の画素の画素値をも表すものとする。
【0124】
被写体からの光は、撮像部C1の光学系(不図示)で集光され、撮像素子面上に配置されたW−Ye−R配列色フィルタC11を介して、撮像部C1の撮像素子(不図示)に入射される。なお、W−Ye−R配列色フィルタC11は、
図4に示す配列パターンであるものとして、以下、説明する。
【0125】
撮像部C1の撮像素子では、画素ごとに、入射された被写体光は、光電変換により電気信号(画素信号)に変換される。つまり、W色成分用画素ではW色成分画素値が取得され、Ye色成分用画素ではYe色成分画素値が取得され、R色成分用画素ではR色成分画素値が取得される。そして、上記のようにして取得された画像信号(画素ごとにW色成分画素値、Ye色成分画素値、R色成分画素値のいずれか1つの画素値を有する画像信号)は、撮像部C1から信号処理部C2に出力される。
【0126】
信号処理部C2では、撮像部C1から取得された画像信号に対して、所定の信号処理(例えば、ゲイン調整処理、ホワイトバランス調整処理、ガンマ調整処理等)が実行される。そして、所定の信号処理が実行された画像信号(画像信号D_raw)は、画素補間処理部100の信号補正部1、カラー相関値算出部2、および、補間部6のカラー画像用補間部61に出力される。
【0127】
(1.2.1:信号補正処理)
信号補正部1では、入力された画像信号D_rawに対して、色成分画素信号(色成分画素値)ごとに、色フィルタの種別に応じた信号レベルの補正処理が実行される。具体的には、画像信号D_rawを構成する、W成分画素信号、Ye成分画素信号およびR成分画素信号を、それぞれ、Win、YeinおよびRinとし、W色フィルタ用補正ゲインをGain_sig_Wとし、Ye色フィルタ用補正ゲインをGain_sig_Yeとし、R色フィルタ用補正ゲインをGain_sig_Rとすると、信号補正部1は、
Wout=Win×Gain_sig_W
Yeout=Yein×Gain_sig_Ye
Rout=Rin×Gain_sig_R
に相当する処理を実行する。
【0128】
なお、各色フィルタ用補正ゲイン(上記では、Gain_sig_W、Gain_sig_Ye、Gain_sig_R)は、撮像部C1に設置された色フィルタの種別に応じて決定されるゲインである。例えば、W100%の無彩色の光を撮像部C1の撮像素子で受光した場合、当該W100%の無彩色の光が、各色フィルタを通過することにより、同一レベルの電気信号(画素信号)に変換されないことがある。これは、色フィルタの種類により、エネルギー損失の程度や、所定の色成分を多く含む光に対する撮像素子の感度が異なるためである。このような光が色フィルタを通過することにより発生する光電変換後の信号のレベル差を吸収させるように、各色フィルタ用補正ゲイン(上記では、Gain_sig_W、Gain_sig_Ye、Gain_sig_R)が設定される。上述のように、W色フィルタは透明であるが、W100%の光がW色フィルタを通過することにより、エネルギー損失等が発生する。このため、信号補正部1は、W成分画素信号に対しても信号レベルの補正処理を実行する。
【0129】
つまり、上記信号補正処理により、光が色フィルタを通過することにより発生する光電変換後の信号のレベル差を吸収することができ、その結果、信号補正処理後の各画素信号は、適切な輝度情報を有する信号となっている。したがって、信号補正処理後の各画素信号を用いて、グレー画像用補間処理や、グレー相関値算出処理や、彩度評価値算出処理を実行することで、より精度を高くすることができる。
【0130】
このように、信号補正部1では、上記処理が実行されることにより、信号補正処理後のW成分画素信号Wout、信号補正処理後のYe成分画素信号Yout、および、信号補正処理後のR成分画素信号Routが取得される。
【0131】
そして、信号補正部1により取得された画像信号D1は、補間部6のグレー画像用補間部62、彩度評価値算出部3、および、グレー相関値算出部4に出力される。
【0132】
彩度評価値算出部3では、信号補正部1から出力された画像信号D1 (画像D1)から、画素ごとに、彩度評価値が算出され、さらに、彩度評価値Lを所定の関数により正規化した彩度評価係数KL(0≦KL≦1)が取得される。これについて、以下、詳細に説明する。
【0133】
(1.2.2:彩度評価値算出処理)
彩度評価値算出部3は、入力された画像D1において、注目画素を中心とする5画素×5画素の画像領域(以下、「マトリクス領域」という。)を設定する。彩度評価値算出部3は、設定したマトリクス領域において、色成分のばらつき状況を分析することで、当該マトリクス領域の彩度評価値(注目画素の彩度評価値)を算出する。
【0134】
具体的には、彩度評価値算出部3は、注目画素を含むマトリクス領域において、以下の(1)〜(3)の3つの評価値を算出し、算出した3つの評価値の中の最小値を彩度評価値Lとする。
(1)平均色成分差分評価値diff_ave_color
(2)垂直方向評価値v_color
(3)水平方向評価値h_color
上記(1)〜(3)の評価値の算出処理について、以下、説明する。
【0135】
≪(1)平均色成分差分評価値diff_ave_color≫
まず、平均色成分差分評価値diff_ave_colorの算出処理について、
図4を用いて、説明する。
【0136】
彩度評価値算出部3は、マトリクス領域を4つのパターンに分類する。
【0137】
図4において、画素P00及びP11を第1色成分用画素(白)とし、画素P01を第2色成分用画素(Ye)とし、画素P10を第3色成分用画素(R)とすると、
図4の5画素×5画素のマトリックス領域AR1〜AR4は、以下のように分類される。
(A)
図4の5画素×5画素のマトリックス領域AR1は、中心画素が第1色成分用画素(画素P00と同色の画素P22)であり、かつ、中心画素の横方向に隣接する画素が第2色成分画素と同色の画素である場合のマトリクス領域に分類される。
(B)
図4の5画素×5画素のマトリックス領域AR2は、中心画素が第2色成分用画素(画素P01と同色の画素P27)の場合のマトリクス領域に分類される。
(C)
図4の5画素×5画素のマトリックス領域AR3は、中心画素が第3色成分用画素(画素P10と同色の画素P72)の場合のマトリクス領域に分類される。
(D)
図4の5画素×5画素のマトリックス領域AR4は、中心画素が第1色成分用画素(画素P11と同色の画素P77)であり、かつ、中心画素の横方向に隣接する画素が第3色成分画素と同色の画素である場合のマトリクス領域に分類される。
【0138】
彩度評価値算出部3は、上記のように分類した5画素×5画素のマトリックス領域について、以下のように、第1色成分用画素(W)の画素値の平均値p00_color1と、第2色成分用画素(Ye)の画素値の平均値p01_color2と、第3色成分用画素(R)の画素値の平均値p10_color3とを算出する。
(A)5画素×5画素の領域が、上記(A)に分類される場合、
p00_color1=(P11+P13+P31+P33+P22)/5
p01_color2=(P21+P23)/2
p10_color3=(P12+P32)/2
(B)5画素×5画素の領域が、上記(B)に分類される場合、
p00_color1=(P12+P21+P23+P32)/4
p01_color2=P22
p10_color3=(P11+P13+P31+P33)/4
(C)5画素×5画素の領域が、上記(C)に分類される場合、
p00_color1=(P12+P21+P23+P32)/4
p01_color2=(P11+P13+P31+P33)/4
p10_color3=P22
(D)5画素×5画素の領域が、が、上記(D)に分類される場合、
p00_color1=(P11+P13+P31+P33+P22)/5
p01_color2=(P12+P32)/2
p10_color3=(P21+P23)/2
そして、彩度評価値算出部3は、
【数2】
に相当する処理を実行することで、2つの色成分差分値color_diff0およびcolor_diff1を取得する。
【0139】
なお、上記数式において、係数k01、k02、k03、k11、k12、および、k13は、取得しようとする色成分差分値に合わせて、設定される係数である。また、変数offset0およびoffset1は、オフセットを設定するための数値(オフセット値)である。
【0140】
彩度評価値算出部3は、上記係数k01〜k03、k11〜k13を、3色フィルタの色と、取得したい色差成分とに基づいて、設定することで、3色フィルタの色がどのようなものであっても、色空間変換処理(色成分差分値取得処理)に相当する上記処理を行うことで、所望の色成分差分値を取得することができる。
【0141】
3色フィルタがW−Ye−R配列色フィルタであり、第1色成分用画素が白であり、第2色成分画素が黄色であり、第3色成分画素が赤である場合、
k01=1
k02=−1
k03=0
k11=1
k12=0
k13=−1
offset0=offset1=0
と設定することで、上記(数式)に相当する処理は、
color_diff0=p00_color1−p01_color2
color_diff1=p00_color1−p10_color3
に相当する処理となる。
【0142】
つまり、この場合、彩度評価値算出部3では、上記に相当する処理を実行することで、(W−Ye)成分であるcolor_diff0と、(W−R)成分であるcolor_diff1を取得することができる。
【0143】
彩度評価値算出部3は、上記のようにして取得した色成分差分値color_diff0およびcolor_diff1を用いて、
diff_ave_color
=abs(color_diff0)+abs(color_diff1)
abs(x):xの絶対値を取得する関数
に相当する処理を実行することで、平均色成分差分評価値diff_ave_colorを算出する。
【0144】
≪(3)垂直方向評価値v_color≫
次に、垂直方向評価値v_colorの算出処理について、
図5を用いて、説明する。
【0145】
彩度評価値算出部3は、
図5(a)に示すように、画素P22を中心画素とする3画素×3画素の領域AR21において、以下の数式に相当する処理を行うことで、垂直方向の第1評価値vM_colorを取得する。
【0146】
vM_color=(abs(P11−P21)+abs(P21−P31)
+(abs(P12−P22)+abs(P22−P32))×2
+abs(P13−P23)+abs(P23−P33))/8
なお、上式において、係数「2」が乗算されている項があるのは、画素間の差分の累積比率を均等にするためである。P11、P31、P22、P13、P33の5つの画素が第1色の色成分(W)の画素となり、P21、P23の2つの画素が第2色の色成分(Ye)の画素となり、P12、P32の2つの画素が第3色の色成分(R)の画素となる。したがって、(第1色成分画素−第2色成分画素)の演算数が「4」であり、(第1色成分画素−第3色成分画素)の演算数が「2」であるため、(abs(P12−P22)+abs(P22−P32))に「2」が乗算されている。なお、この乗算する係数は「2」に限定されることはなく、他の値としてもよい。
【0147】
また、彩度評価値算出部3は、
図5(b)に示すように、画素P12を中心画素とする3画素×3画素の領域AR22において、以下の数式に相当する処理を行うことで、垂直方向の第2評価値vU_colorを取得する。
【0148】
vU_color=(abs(P01−P11)+abs(P11−P21)
+(abs(P02−P12)+abs(P12−P22))×2
+abs(P03−P13)+abs(P13−P23))/8
なお、上式において、係数2が乗算されている項があるのは、垂直方向の第1評価値vM_colorの取得する処理において説明したのと同様の理由による。
【0149】
また、彩度評価値算出部3は、
図5(c)に示すように、画素P32を中心画素とする3画素×3画素の領域AR23において、以下の数式に相当する処理を行うことで、垂直方向の第3評価値vL_colorを取得する。
【0150】
vL_color=(abs(P21−P31)+abs(P31−P41)
+(abs(P22−P32)+abs(P32−P42))×2
+abs(P23−P33)+abs(P33−P43))/8
なお、上式において、係数「2」が乗算されている項があるのは、垂直方向の第1評価値vM_colorの取得する処理において説明したのと同様の理由による。
【0151】
彩度評価値算出部3は、上記処理により取得した垂直方向の第1〜第3の評価値に対して、以下の数式に相当する処理を行うことで、垂直方向評価値v_colorを算出する。
【0152】
v_color=min(vM_color,vU_color,vL_color)
なお、関数min()は、要素の最小値を取得する関数である。
【0153】
≪(4)水平方向評価値h_color≫
次に、水平方向評価値h_colorの算出処理について、
図6を用いて、説明する。
【0154】
彩度評価値算出部3は、
図6(a)に示すように、画素P22を中心画素とする3画素×3画素の領域AR31において、以下の数式に相当する処理を行うことで、水平方向の第1評価値hM_colorを取得する。
【0155】
hM_color=(abs(P11−P12)+abs(P12−P13)
+(abs(P21−P22)+abs(P22−P23))×2
+abs(P31−P32)+abs(P32−P33))/8
なお、上式において、係数「2」が乗算されている項があるのは、画素間の差分の累積比率を均等にするためである。P11、P31、P22,P13、P33の5つの画素が第1色の色成分(W)の画素となり、P21、P23の2つの画素が第2色の色成分の画素(Ye)となり、P12、P32の2つの画素が第3色の色成分(R)の画素となる。したがって、(第1色成分画素−第3色成分画素)の演算数が「4」であり、(第1色成分画素−第2色成分画素)の演算数が「2」であるため、(abs(P21−P22)+abs(P22−P23))に「2」が乗算されている。なお、この乗算する係数は「2」に限定されることはなく、他の値としてもよい。
【0156】
また、彩度評価値算出部3は、
図6(b)に示すように、画素P21を中心画素とする3画素×3画素の領域AR32において、以下の数式に相当する処理を行うことで、水平方向の第2評価値hL_colorを取得する。
【0157】
hL_color=(abs(P10−P11)+abs(P11−P12)
+(abs(P20−P21)+abs(P21−P22))×2
+abs(P30−P31)+abs(P31−P32))/8
なお、上式において、係数2が乗算されている項があるのは、水平方向の第1評価値hM_colorの取得する処理において説明したのと同様の理由による。
【0158】
また、彩度評価値算出部3は、
図6(c)に示すように、画素P23を中心画素とする3画素×3画素の領域AR33において、以下の数式に相当する処理を行うことで、水平方向の第3評価値hR_colorを取得する。
【0159】
hR_color=(abs(P12−P13)+abs(P13−P14)
+(abs(P22−P23)+abs(P23−P24))×2
+abs(P32−P33)+abs(P33−P34))/8
なお、上式において、係数「2」が乗算されている項があるのは、水平方向の第1評価値hM_colorの取得する処理において説明したのと同様の理由による。
【0160】
彩度評価値算出部3は、上記処理により取得した水平方向の第1〜第3の評価値に対して、以下の数式に相当する処理を行うことで、水平方向評価値h_colorを算出する。
【0161】
h_color=min(hM_color,hL_color,hR_color)
なお、関数min()は、要素の最小値を取得する関数である。
【0162】
以上の処理を行った後、彩度評価値算出部3は、以下の数式に相当する処理を行うことで、彩度評価値Lを取得する。
【0163】
L=min(diff_ave_color,gl_color,v_color,h_color)
なお、関数min()は、要素の最小値を取得する関数である。
【0164】
つまり、彩度評価値算出部3は、(1)平均色成分差分評価値diff_ave_color、(2)垂直方向評価値v_color、(3)水平方向評価値h_colorの3つの評価値の中で最小値をとる評価値を、彩度評価値Lとする。
【0165】
彩度評価値算出部3は、上記処理により取得した、注目画素についての彩度評価値Lを正規化して彩度評価係数KLを算出する。
図7は、注目画素についての彩度評価値Lを正規化して彩度評価係数KLを算出するための関数の一例の入出力特性を示す図である。彩度評価値算出部3は、例えば、2つの閾値T1、T2を用いて、下記に相当する処理を行うことで、彩度評価係数KLを取得する。
【0166】
KL=f(L)
なお、関数f(x)は、
x≦T1のとき、f(x)=0
T1≦x≦T2のとき、f(x)=(x−T1)/(T2−T1)
x≧T2のとき、f(x)=1
である。なお、関数f(x)は、上記に限定されず、彩度評価値Lがとる範囲を0〜1の範囲の値に変換する関数であれば他の関数(大局的に彩度評価係数が彩度評価値Lについて単調増加する関数等)であってもよい。
【0167】
上記処理により、彩度評価値Lは、0≦KL≦1を満たす彩度評価係数KLに変換される。
【0168】
なお、2つの閾値T1、T2は、グレー画像領域(彩度の低い画像領域)とカラー画像領域(彩度の高い画像領域)の境界近傍に設定される閾値であるので、実験結果や経験に基づいて最適な値を決定するようにすればよいが、入力画像の特性によって決定される可変パラメータとすることが好ましい。入力画像の特性は、たとえば、撮像装置1000の露光時間、絞り値などの撮影条件により決定される。また、入力画像の特性に、撮像素子(CCD型イメージセンサやCMOS型イメージセンサ)の特性やレンズの光学特性などを考慮するようにしてもよい。
【0169】
以上のようにして彩度評価値算出部3により算出された彩度評価係数KLは、画素補間法決定部5に出力される。
【0170】
(1.2.3:カラー相関値算出処理)
次に、カラー相関値算出処理について説明する。
【0171】
カラー相関値算出部2では、信号処理部C2から出力された画像信号D_raw(画像D_raw)から、画素ごとに、カラー画像領域用相関値(彩度が高い画像領域用の相関値)が算出される。これについて、以下、詳細に説明する。
【0172】
カラー相関値算出部2は、信号処理部C2から出力された画像D_raw上の注目画素(処理対象の画素)について、以下の4つのカラー画像領域用の相関値を算出する。
(A1)カラー画像領域用垂直方向相関値Cv_color
(A2)カラー画像領域用水平方向相関値Ch_color
(A3)カラー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_color
(A4)カラー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_color
上記(A1)〜(A4)のカラー画像領域用の相関値の算出処理について、以下、説明する。
【0173】
≪(A1)カラー画像領域用垂直方向相関値Cv_color≫
まず、カラー画像領域用垂直方向相関値Cv_colorの算出処理について説明する。カラー画像領域用垂直方向相関値Cv_colorの算出処理は、注目画素の色成分に関係なく、共通である。
【0174】
図8は、カラー画像領域用垂直方向相関値Cv_colorの算出処理を説明するための図であり、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0175】
カラー相関値算出部2は、
図8に示すように、画素P01〜P03、P11〜P13、P21〜P23、P31〜P33、P41〜P43からなる領域AR41において、垂直方向に隣接する同色の画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値(重み付け平均値)を求める。つまり、カラー相関値算出部2は、以下の数式に相当する処理を行うことで、カラー画像領域用垂直方向相関値Cv_colorを取得する。
【0176】
sum=abs(P02―P22)+abs(P22−P42)
+abs(P11−P31)+abs(P13−P33)
+abs(P12−P32)×2
+(abs(P01−P21)+abs(P21−P41)+abs(P03―P23)+abs(P23―P43))/2
Cv_color=sum/8
なお、上記数式では、abs(P12−P32)に係数「2」が、(abs(P01−P21)+abs(P21−P41)+abs(P03―P23)+abs(P23―P43))に係数「1/2」が乗算されている。これは、中心画素からの距離(画像上での距離)に応じて重み付けを行うためである。なお、乗算する係数(重み付け係数)は、上記に限定されることはなく、他の値であってもよい。
【0177】
≪(A2)カラー画像領域用水平方向相関値Ch_color≫
次に、カラー画像領域用水平方向相関値Ch_colorの算出処理について、
図9を用いて、説明する。カラー画像領域用垂直方向相関値Cv_colorの算出処理は、注目画素の色成分に関係なく、共通である。
【0178】
図9は、カラー画像領域用水平方向相関値Ch_colorの算出処理を説明するための図であり、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0179】
カラー相関値算出部2は、
図9に示すように、画素P10〜P14、P20〜P24、P30〜P34からなる領域AR51において、水平方向に隣接する同色の画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値(重み付け平均値)を求める。つまり、カラー相関値算出部2は、以下の数式に相当する処理を行うことで、カラー画像領域用水平方向相関値Ch_colorを取得する。
【0180】
sum=abs(P20―P22)+abs(P22−P24)
+abs(P11−P13)+abs(P31−P33)
+(abs(P10−P12)+abs(P12−P14)+abs(P30―P32)+abs(P32―P34))/2
+abs(P21−P23)×2
Ch_color=sum/8
なお、上記数式では、abs(P21−P23)に係数「2」が、(abs(P10−P12)+abs(P12−P14)+abs(P30―P32)+abs(P32―P34))に係数「1/2」が乗算されている。これは、中心画素からの距離(画像上での距離)に応じて重み付けを行うためである。なお、乗算する係数(重み付け係数)は、上記に限定されることはなく、他の値であってもよい。
【0181】
≪(A3)カラー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_color≫
次に、カラー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_colorの算出処理について説明する。注目画素の色成分によって、カラー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_colorを算出するに用いられる計算式が異なる。
【0182】
{処理対象の画素が第2又は第3色成分画素である場合}
図10は、注目画素が第2色成分画素(Ye)又は第3色成分画素(R)である場合における、カラー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_colorの算出処理を説明するための図である。
図10は、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0183】
カラー相関値算出部2は、
図10に示すように、第1斜め方向に隣接する同色の画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値(重み付け平均値)を求める。つまり、カラー相関値算出部2は、以下の数式に相当する処理を行うことで、カラー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_colorを取得する。
【0184】
sum=abs(P00―P22)+abs(P22−P44)
+abs(P12−P34)+abs(P21―P43)
+abs(P11−P33)×2
+abs(P10−P32)+abs(P01―P23)
Cd1_color=sum/8
なお、上記数式では、abs(P11−P33)に係数「2」が乗算されている。これは、中心画素からの距離(画像上での距離)に応じて重み付けを行うためである。なお、乗算する係数(重み付け係数)は、上記に限定されることはなく、他の値であってもよい。
【0185】
{処理対象の画素が第1色成分画素である場合}
図11は、注目画素が第1色成分画素(W)である場合における、カラー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_colorの算出処理を説明するための図である。
図11は、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0186】
カラー相関値算出部2は、
図11に示すように、第1斜め方向に隣接する同色の画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値(重み付け平均値)を求める。つまり、カラー相関値算出部2は、以下の数式に相当する処理を行うことで、カラー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_colorを取得する。
【0187】
sum=abs(P00―P11)
+(abs(P11−P22)+abs(P22−P33))×2
+abs(P33−P44)
+abs(P12−P34)+abs(P10−P32)
+abs(P01―P23)+abs(P21―P43)
Cd1_color=sum/10
なお、上記数式では、abs(P11−P22)+abs(P22−P33)に係数「2」が乗算されている。これは、中心画素からの距離(画像上での距離)に応じて重み付けを行うためである。なお、乗算する係数(重み付け係数)は、他の値であってもよい。
【0188】
≪(A4)カラー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_color≫
次に、カラー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_colorの算出処理について説明する。注目画素の色成分によって、カラー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_colorを算出するための計算式が異なる。
【0189】
{注目画素が第2又は第3色成分画素である場合}
図12は、注目画素が第2色成分画素(Ye)又は第3色成分画素(R)である場合における、カラー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_colorの算出処理を説明するための図である。
図12は、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0190】
カラー相関値算出部2は、
図12に示すように、第2斜め方向に隣接する同色の画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値(重み付け平均値)を求める。つまり、カラー相関値算出部2は、以下の数式に相当する処理を行うことで、カラー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_colorを取得する。
【0191】
sum=abs(P04―P22)+abs(P22−P40)
+abs(P12−P30)+abs(P23―P41)
+abs(P13−P31)×2
+abs(P03―P21)+abs(P14−P32)
Cd2_color=sum/8
なお、上記数式では、abs(P13−P31)に係数「2」が乗算されている。これは、中心画素からの距離(画像上での距離)に応じて重み付けを行うためである。なお、乗算する係数(重み付け係数)は、上記に限定されることはなく、他の値であってもよい。
【0192】
{注目画素が第1色成分画素である場合}
図13は、処理対象の画素が第1色成分画素(W)である場合における、カラー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_colorの算出処理を説明するための図である。
図13は、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0193】
カラー相関値算出部2は、
図13に示すように、第2斜め方向に隣接する同色の画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値(重み付け平均値)を求める。つまり、カラー相関値算出部2は、以下の数式に相当する処理を行うことで、カラー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_colorを取得する。
【0194】
sum=abs(P04―P13)
+(abs(P13−P22)+abs(P22−P31))×2
+abs(P31−P40)
+abs(P12−P30)+abs(P14−P32)
+abs(P03―P21)+abs(P23―P41)
Cd1_color=sum/10
なお、上記数式では、abs(P13−P22)+abs(P22−P31)に係数「2」が乗算されている。これは、中心画素からの距離(画像上での距離)に応じて重み付けを行うためである。なお、乗算する係数(重み付け係数)は、他の値であってもよい。
【0195】
以上により、カラー相関値算出部2により算出された4つのカラー相関値である、(A1)カラー画像領域用垂直方向相関値Cv_color、(A2)カラー画像領域用水平方向相関値Ch_color、(A3)カラー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_color、および、(A4)カラー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_colorは、画素補間法決定部5に出力される。
【0196】
(1.2.4:グレー画像領域用相関値算出処理)
次に、グレー画像領域用相関値算出処理について、説明する。
【0197】
グレー相関値算出部4は、信号補正部1から出力された画像D1上の注目画素(処理対象の画素)について、以下の4つのグレー画像領域用の相関値を算出する。
(B1)グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_gray
(B2)グレー画像領域用水平方向相関値Ch_gray
(B3)グレー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_gray
(B4)グレー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_gray
上記(B1)〜(B4)のグレー画像領域用の相関値の算出処理について、以下、説明する。
【0198】
≪(B1)グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_gray≫
まず、グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_grayの算出処理について、
図14を用いて、説明する。
【0199】
図14は、グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_grayの算出処理を説明するための図であり、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0200】
グレー相関値算出部4は、
図14に示すように、画素P01〜P03、P11〜P13、P21〜P23、P31〜P33、P41〜P43からなる領域AR61において、垂直方向に隣接する画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値を求める。つまり、グレー相関値算出部4は、以下の数式に相当する処理を行うことで、グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_grayを取得する。
【0201】
sum=abs(P02―P12)+abs(P12−P22)
+abs(P22−P32)+abs(P32−P42)
+abs(P01−P11)+abs(P11−P21)
+abs(P21−P31)+abs(P31−P41)
+abs(P03−P13)+abs(P13−P23)
+abs(P23−P33)+abs(P33−P43)
Cv_gray=sum/6
≪(B2)グレー画像領域用水平方向相関値Ch_gray≫
次に、グレー画像領域用水平方向相関値Ch_grayの算出処理について、
図15を用いて、説明する。
【0202】
図15は、グレー画像領域用水平方向相関値Ch_grayの算出処理を説明するための図であり、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0203】
グレー相関値算出部4は、
図15に示すように、画素P10〜P14、P20〜P24、P30〜P34からなる領域AR71において、水平方向に隣接する画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値を求める。つまり、グレー相関値算出部4は、以下の数式に相当する処理を行うことで、グレー画像領域用水平方向相関値Ch_grayを取得する。
【0204】
sum=abs(P20―P21)+abs(P21−P22)
+abs(P22−P23)+abs(P23−P24)
+abs(P10−P11)+abs(P11−P12)
+abs(P12−P13)+abs(P13−P14)
+abs(P30−P31)+abs(P31−P32)
+abs(P32−P33)+abs(P33−P34)
Ch_gray=sum/6
≪(B3)グレー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_gray≫
次に、グレー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_grayの算出処理について、
図16を用いて、説明する。
【0205】
図16は、グレー画像領域用水平方向相関値Cd1_grayの算出処理を説明するための図であり、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0206】
グレー相関値算出部4は、
図16に示すように、第1斜め方向に隣接する画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値を求める。つまり、グレー相関値算出部4は、以下の数式に相当する処理を行うことで、グレー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_grayを取得する。
【0207】
sum=abs(P00―P11)+abs(P11−P22)+abs(P22−P33)+abs(P33−P44)
+abs(P10−P21)+abs(P21−P32)+abs(P32−P43)
+abs(P01−P12)+abs(P12−P23)+abs(P23−P34)
Cd1_gray=sum/5
≪(B4)グレー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_gray≫
次に、グレー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_grayの算出処理について、
図17を用いて、説明する。
【0208】
図17は、グレー画像領域用水平方向相関値Cd1_grayの算出処理を説明するための図であり、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0209】
グレー相関値算出部4は、
図17に示すように、第2斜め方向に隣接する画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値を求める。つまり、グレー相関値算出部4は、以下の数式に相当する処理を行うことで、グレー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_grayを取得する。
【0210】
sum=abs(P04―P13)+abs(P13−P22)+abs(P22−P31)+abs(P31−P40)
+abs(P03−P12)+abs(P12−P21)+abs(P21−P30)
+abs(P14−P23)+abs(P23−P32)+abs(P32−P41)
Cd2_gray=sum/5
なお、
図14(グレー画像領域用垂直方向相関値算出処理)および
図15(グレー画像領域用水平方向相関値算出処理)における場合と、
図16(グレー画像領域用第1斜め方向相関値算出処理)および
図17(グレー画像領域用第2斜め方向相関値算出処理)における場合とでは、差分演算の対象となる画素間の距離が異なる。しかし、上記では、画素間の距離を考慮した係数を乗算するようにはしていない。これは、画素間の距離の差があまり大きくないためであるが、例えば、上記処理(グレー画像領域用の相関値算出処理)において、画素差分値について、画素間の距離に応じた重み付けを行うようにしてもよい(例えば、画素差分値に2の2乗根を乗算するようにしてもよい)。
【0211】
また、上記グレー画像領域用の相関値算出処理においては、カラー画像領域用の相関値との比較を容易にするためにスケールを合わせるようにしている。つまり、
図14〜
図17で示された演算対象の画素間の距離は、隣接する画素間の距離である。したがって、上記グレー画像領域用の相関値算出処理の数式においては、各画素差分値に「2」を乗算してスケールを合わせた結果、上記グレー画像領域用の相関値算出処理の数式の各式における最後の乗算値(1/6と1/5)が累積数の逆数の2倍の値となっている。ただし、グレー画像領域における相関方向は、グレー画像領域用の相関値のみを用いて判定されるため、必ずしもスケールを合わせる必要はない。
【0212】
以上により、グレー相関値算出部4により取得されたグレー画像領域用相関値(Cv_gray、Ch_gray、Cd1_gray、Cd2_gray)は、画素補間法決定部5に出力される。
【0213】
(1.2.5:画素補間法決定部5での処理)
≪相関判定方法と画素補間方法の選択≫
画素補間法決定部5では、彩度評価値算出部3が算出した彩度評価係数KLと閾値TH1,TH2(TH1≦TH2)との関係に基づいて、画素ごとに、相関判定方法と画素補間方法とを選択する。
【0214】
具体的には、相関判定方法の選択とは、(1)グレー画像領域用の相関値を採用して相関方向を判定するのか、(2)カラー画像領域用の相関値を採用して相関方向を判定するのか、あるいは、(3)グレー画像領域用とカラー画像領域用の相関値を総合判断して選択された相関値を用いて相関方向を判定するかの選択である。
【0215】
また、画素補間方法の選択とは、グレー画像領域用とカラー画像領域用のうちいずれの画素補間方法を採用するかの選択である。
【0216】
図18は、彩度評価係数KLと閾値TH1,TH2との関係により選択される相関判定方法および画素補間方法の種別を示している。具体的には、
図18に示すように、相関判定方法および画素補間方法は、以下の(a)〜(c)の組み合わせに分類される。
(a)KL>TH2の場合
相関判定方法:カラー画像領域用の相関値を用いて相関方向を判定する。
画素補間方法:カラー画像領域用の画素補間方法を用いる。
(b)TH1<KL≦TH2の場合
相関判定方法:カラー画像領域用の相関値とグレー画像領域用の相関値とを総合判断して選択された相関値を用いて相関方向を判定する。
画素補間方法:カラー画像領域用の画素補間方法を用いる。
(c)KL≦TH1の場合
相関判定方法:グレー画像領域用の相関値を用いて相関方向を判定する。
画素補間方法:グレー画像領域用の画素補間方法を用いる。
【0217】
上記により、画素ごとに決定された画素補間方法についての情報は、画素補間法決定部5から補間部6に出力される。
【0218】
(1.2.5.1:相関方向判定処理)
≪判定用相関値の選択≫
画素補間法決定部5では、(1)カラー相関値算出部2により算出されたカラー画像領域用の4方向の相関値Cv_color,Ch_color,Cd1_color,Cd2_colorと、(2)グレー相関値算出部4により算出されたグレー画像領域用の4方向の相関値Cv_gray,Ch_gray,Cd1_gray,Cd2_grayとから、次のようにして、判定用相関値Cv,Ch,Cd1,Cd2を選択する。なお、判定用相関値は、注目画素(処理対象画素)の相関方向(画素補間処理を実行するときに参照される相関方向)を決定するために用いられる。
(a)KL>TH2の場合の判定用相関値
画素補間法決定部5は、カラー画像領域用の相関値を、判定用相関値Cv,Ch,Cd1,Cd2として用いる。つまり、画素補間法決定部5は、
Cv=Cv_color
Ch=Ch_color
Cd1=Cd1_color
Cd2=Cd2_color
とする。
(c)KL≦TH1の場合の判定用相関値
画素補間法決定部5は、グレー画像領域用の相関値を、判定用相関値Cv,Ch,Cd1,Cd2として用いる。つまり、画素補間法決定部5は、
Cv=Cv_gray
Ch=Ch_gray
Cd1=Cd1_gray
Cd2=Cd2_gray
とする。
(b)TH1<KL≦TH2の場合の判定用相関値
この場合、画素補間法決定部5は、グレー画像領域用の相関値とカラー画像領域用の相関値とを総合判断して、判定用相関値Cv,Ch,Cd1,Cd2を決定する。この判断方法について、
図19、
図20のフローチャートを参照しながら、以下説明する。
【0219】
まず、判定用相関値Cv,Chの決定方法について、
図19のフローチャートを参照しながら、以下、説明する。
【0220】
(S101):
ステップS101において、画素補間法決定部5は、下記数式に示すように、カラー画像領域用の相関値Cv_colorとCh_colorとの差分絶対値diff_Cvh_colorを算出する。
【0221】
diff_Cvh_color=abs(Cv_color−Ch_color)
また、画素補間法決定部5は、下記数式に示すように、グレー画像領域用の相関値Cv_grayとCh_grayとの差分絶対値diff_Cvh_grayを算出する。
【0222】
diff_Cvh_gray=abs(Cv_gray−Ch_gray)
(S102):
ステップS102において、画素補間法決定部5は、下記数式により、差分絶対値diff_Cvh_colorと差分絶対値diff_Cvh_grayとの差分絶対値diff_color_grayを算出する。
【0223】
diff_color_gray=abs(diff_Cvh_color−diff_Cvh_gray)
(S103):
ステップS103において、画素補間法決定部5は、ステップS102で算出した差分絶対値diff_color_grayと、閾値Thvとの大小関係を判定する。
【0224】
そして、diff_color_gray≦Thvである場合、画素補間法決定部5は、処理をステップS104に進める。それ以外の場合、画素補間法決定部5は、処理をステップS105に進める。
【0225】
(S104):
ステップS104において、画素補間法決定部5は、以下の数式に相当する処理を行うことで、判定用相関値Cv,Chを取得する。
【0226】
Cv=min(Cv_color、Cv_gray)
Ch=min(Ch_color、Ch_gray)
なお、min()は、要素の最小値を取得する関数である。
【0227】
(S105〜S107):
ステップS105において、画素補間法決定部5は、差分絶対値diff_Cvh_colorと、差分絶対値diff_Cvh_grayとの大小関係を判定する。
【0228】
そして、diff_Cvh_color>diff_Cvh_grayの場合、画素補間法決定部5は、
Cv=Cv_color
Ch=Ch_color
とする(ステップS106)。
【0229】
一方、diff_Cvh_color>diff_Cvh_grayではない場合、画素補間法決定部5は、
Cv=Cv_gray
Ch=Ch_gray
とする(ステップS107)。
【0230】
以上の処理により、画素補間法決定部5は、判定用相関値Cv,Chを選択(決定)する。
【0231】
上記処理において、差分絶対値diff_color_grayが閾値THv以下の場合とは、差分絶対値diff_Cvh_colorと差分絶対値diff_Cvh_grayとの差が小さいときである。つまり、この条件を満たす場合として、垂直方向、水平方向のいずれの方向にも強い相関が見られない場合が想定される。
【0232】
このような場合、画素補間法決定部5は、垂直方向、水平方向それぞれについて、グレー画像領域用とカラー画像領域用の相関値の大小を比較し、相関値の小さい方、つまり、相関の高い方を選択する(ステップS104)。
【0233】
また、上記処理において、差分絶対値diff_color_grayが閾値THvより大きい場合とは、差分絶対値diff_Cvh_colorと差分絶対値diff_Cvh_grayとの差が大きいときである。つまり、この条件を満たす場合として、垂直方向、水平方向のいずれかに強い相関が見られる場合が想定される。
【0234】
このような場合、画素補間法決定部5は、差分絶対値diff_Cvh_colorと差分絶対値diff_Cvh_grayの大小を比較し、差分絶対値が大きい方の相関値を選択する(ステップS105〜S107)。
【0235】
次に、判定用相関値Cd1,Cd2の決定方法について、
図20のフローチャートを参照しながら、以下、説明する。
【0236】
(S111):
ステップS111において、画素補間法決定部5は、下記数式に示すように、カラー画像領域用の相関値Cd1_colorとCd2_colorとの差分絶対値diff_Cd12_colorを算出する。
【0237】
diff_Cd12_color=abs(Cd1_color−Cd2_color)
また、画素補間法決定部5は、下記数式に示すように、グレー画像領域用の相関値Cd1_grayとCd2_grayとの差分絶対値diff_Cd12_grayを算出する。
【0238】
diff_Cd12_gray=abs(Cd1_gray−Cd2_gray)
(S112):
ステップS112において、画素補間法決定部5は、下記数式により、差分絶対値diff_Cd12_colorと差分絶対値diff_Cd12_grayとの差分絶対値diff_color_grayを算出する。
【0239】
diff_color_gray=abs(diff_Cd12_color−diff_Cd12_gray)
(S113):
ステップS113において、画素補間法決定部5は、ステップS112で算出した差分絶対値diff_color_grayと、閾値Thdとの大小関係を判定する。
【0240】
そして、diff_color_gray≦Thdである場合、画素補間法決定部5は、処理をステップS114に進める。それ以外の場合、画素補間法決定部5は、処理をステップS115に進める。
【0241】
(S114):
ステップS114において、画素補間法決定部5は、以下の数式に相当する処理を行うことで、判定用相関値Cd1,Cd2を取得する。
【0242】
Cd1=min(Cd1_color、Cd1_gray)
Cd2=min(Cd2_color、Cd2_gray)
なお、min()は、要素の最小値を取得する関数である。
【0243】
(S115〜S117):
ステップS115において、画素補間法決定部5は、差分絶対値diff_Cd12_colorと、差分絶対値diff_Cd12_grayとの大小関係を判定する。
【0244】
そして、diff_Cd12_color>diff_Cd12_grayの場合、画素補間法決定部5は、
Cd1=Cd1_color
Cd2=Cd2_color
とする(ステップS116)。
【0245】
一方、diff_Cd12_color>diff_Cd12_grayではない場合、画素補間法決定部5は、
Cd1=Cd1_gray
Cd2=Cd2_gray
とする(ステップS117)。
【0246】
以上の処理により、画素補間法決定部5は、判定用相関値Cd1,Cd2を選択(決定)する。
【0247】
上記処理において、差分絶対値diff_color_grayが閾値Thd以下の場合とは、差分絶対値diff_Cd12_colorと差分絶対値diff_Cd12_grayとの差が小さいときである。つまり、この条件を満たす場合として、第1斜め方向、第2斜め方向のいずれの方向にも強い相関が見られない場合が想定される。
【0248】
このような場合、画素補間法決定部5は、第1斜め方向、第2斜め方向それぞれについて、グレー画像領域用とカラー画像領域用の相関値の大小を比較し、相関値の小さい方、つまり、相関の高い方を選択する(ステップS114)。
【0249】
また、上記処理において、差分絶対値diff_color_grayが閾値Thdより大きい場合とは、差分絶対値diff_Cd12_colorと差分絶対値diff_Cd12_grayとの差が大きいときである。つまり、この条件を満たす場合として、第1斜め方向、第2斜め方向のいずれかに強い相関が見られる場合が想定される。
【0250】
このような場合、画素補間法決定部5は、差分絶対値diff_Cd12_colorと差分絶対値diff_Cd12_grayの大小を比較し、差分絶対値が大きい方の相関値を選択する(ステップS115〜S117)。
【0251】
以上の処理により、画素補間法決定部5は、グレー画像領域用の相関値とカラー画像領域用の相関値とを総合判断して、判定用相関値(TH1<KL≦TH2の場合の判定用相関値)Cv,Ch,Cd1,Cd2を決定する。
【0252】
画素補間法決定部5は、以上の演算処理を実行することにより、上記(a),(b),(c)のそれぞれの場合について、判定用相関値Cv,Ch,Cd1,Cd2を選択(決定)する。
【0253】
以上のように、本実施形態における相関判定方法と画素補間方法との組み合わせは、彩度評価係数KLと閾値TH1,TH2との関係により3パターンに分類される。つまり、1つの閾値を設けて、グレー画像領域(彩度の低い画像領域)とカラー画像領域(彩度の高い画像領域)とを判定する方法ではなく、2つの閾値TH1とTH2を設けることにより、グレー画像領域とカラー画像領域の境界領域において、画素補間処理方法が急激に変化することを緩和している。これにより、特に、画素補間処理後の画像上のグレー画像領域とカラー画像領域との境界付近に位置する画像領域において、視覚的違和感が生じることを効果的に抑制することができる。
【0254】
つまり、グレー画像領域とカラー画像領域との境界付近に位置する画像領域は、RGBの各成分の値が略等しいが、それらの値に多少のばらつきがある。したがって、相関を判定する場合には、RGB各成分のばらつきが小さいことに着目して、RGBを区別することなく、なるべく近接する画素を用いて相関値を算出する。あるいは、RGB各成分が多少なりともばらついていることに注目して、RGBを区別して相関値を算出する。このような2つの考え方を総合的に判断して、最適な相関値を選択することで、相関方向の判定精度を向上させることができる。これに対して、RGB各成分のばらつきを無視し、グレー画像領域とみなして画素補間を行った場合、偽色が発生する可能性がある。そこで、撮像装置1000では、画素補間についてはカラー画像領域用の画素補間処理を行うこととしている。
【0255】
なお、本実施形態においては、彩度評価値Lを正規化した彩度評価係数KLを用い、彩度評価係数KLと閾値TH1,TH2との比較により、グレー画像領域であるか、あるいは、カラー画像領域であるかの判定を行っているが、これは、処理上の便宜のためであり、本質的には、彩度評価値Lと2つの閾値との比較により、グレー画像領域であるか、あるいは、カラー画像領域であるかを判定していることにほかならない。
【0256】
≪各画素における相関方向の判定処理≫
次に、画素補間法決定部5は、上記処理により取得した判定用相関値Cv,Ch,Cd1,Cd2に基づいて、画素ごとに、
図21の関係図または
図22の関係図を用いて、相関方向を決定する。
【0257】
図21は、判定用相関値Ch、Cvと、相関方向判定用領域A1〜A4との関係を示す図である。
図21において、横軸(X軸)は判定用相関値Chであり、縦軸(Y軸)は判定用相関値Cvである。また、
図21に示すように、相関方向判定用領域A1〜A4は、直線F1〜F3によって決定されている。つまり、相関方向判定用領域A1は、Y軸と直線F1とに囲まれる領域であり、相関方向判定領域A2は、X軸と直線F2とに囲まれる領域であり、相関方向判定領域A3は、直線F1、直線F2および直線F3に囲まれる領域であり、相関方向判定領域A4は、X軸、Y軸および直線F3に囲まれる領域である。
【0258】
図22は、判定用相関値Cd1、Cd2と、相関方向判定用領域B1〜B4との関係を示す図である。
図22において、横軸(X軸)は判定用相関値Cd2であり、縦軸(Y軸)は判定用相関値Cd1である。また、
図22に示すように、相関方向判定用領域B1〜B4は、直線F11〜F13によって決定されている。つまり、相関方向判定領域B1は、Y軸と直線F11とに囲まれる領域であり、相関方向判定領域B2は、X軸と直線F12とに囲まれる領域であり、相関方向判定領域B3は、直線F11、直線F12および直線F13に囲まれる領域であり、相関方向判定領域B4は、X軸、Y軸および直線F13に囲まれる領域である。
【0259】
画素補間法決定部5は、判定用相関値Cv,Ch,Cd1,Cd2に基づいて、画素ごとに、
図21の関係図または
図22の関係図を用いて、以下の(1)、(2)により、相関方向を決定する。
(1)画素補間法決定部5は、画素ごとに、4つの判定用相関値Cv,Ch,Cd1,Cd2を比較し、判定用相関値Cvまたは判定用相関値Chが最小値をとる場合、つまり、
Cv=min(Cv,Ch,Cd1,Cd2)、または、
Ch=min(Cv,Ch,Cd1,Cd2)、
である場合、
図21の関係図を用いて、相関方向を決定する。
【0260】
つまり、判定用相関値の対応関係(座標点(Ch,Cv))が領域A1に含まれる場合、画素補間法決定部5は、注目画素の相関方向を「水平方向」と判定する。
【0261】
また、判定用相関値の対応関係(座標点(Ch,Cv))が領域A2に含まれる場合、画素補間法決定部5は、注目画素の相関方向を「垂直方向」と判定する。
【0262】
また、判定用相関値の対応関係(座標点(Ch,Cv))が領域A3に含まれる場合、画素補間法決定部5は、注目画素について、「いずれの方向にも相関がない」と判定する。
【0263】
また、判定用相関値の対応関係(座標点(Ch,Cv))が領域A4に含まれる場合、画素補間法決定部5は、注目画素について、「垂直、水平の両方向において相関が高い」と判定する。
(2)画素補間法決定部5は、画素ごとに、4つの判定用相関値Cv,Ch,Cd1,Cd2を比較し、判定用相関値Cd1または判定用相関値Cd2が最小値をとる場合、つまり、
Cd1=min(Cv,Ch,Cd1,Cd2)、または、
Cd2=min(Cv,Ch,Cd1,Cd2)、
である場合、
図22の関係図を用いて、相関方向を決定する。
【0264】
つまり、判定用相関値の対応関係(座標点(Cd2,Cd1))が領域B1に含まれる場合、画素補間法決定部5は、注目画素の相関方向を「第2斜め方向」(d2方向)と判定する。
【0265】
また、判定用相関値の対応関係(座標点(Cd2,Cd1))が領域B2に含まれる場合、画素補間法決定部5は、注目画素の相関方向を「第1斜め方向」(d1方向)と判定する。
【0266】
また、判定用相関値の対応関係(座標点(Cd2,Cd1))が領域B3に含まれる場合、画素補間法決定部5は、注目画素について、「いずれの方向にも相関がない」と判定する。
【0267】
また、判定用相関値の対応関係(座標点(Cd2,Cd1))が領域B4に含まれる場合、画素補間法決定部5は、注目画素について、「垂直、水平の両方向において相関が高い」と判定する。
【0268】
以上のようにして、画素ごとに取得された相関方向の判定結果(相関方向に関する情報Co_Dir)は、画素補間法決定部5から、補間部6および補正処理部7に出力される。
【0269】
また、画素ごとに取得された画素補間方法(カラー画像領域用画素補間法/グレー画像領域用画素補間法)についての情報P_Mthdは、画素補間法決定部5から補間部6に出力される。
【0270】
なお、上記関係図は一例であり、他の直線により規定される領域を有する関係図であってもよい。
【0271】
(1.2.6:補間部6での処理)
補間部6では、画素補間法決定部5により画素ごとに決定された、(1)相関方向の判定結果、および、(2)画素補間方法に基づいて、
(A)カラー画像用補間処理では、信号処理部C2から出力される画像D_rawに対して、画素ごとに、画素補間処理が実行され、
(B)グレー画像用補間処理では、信号補正部1から出力される画像D1に対して、画素ごとに、画素補間処理が実行される。
【0272】
(1.2.6.1:グレー画像領域用画素補間処理)
画素補間法決定部5により判定された注目画素の画素補間方法が「グレー画像領域用画素補間法」である場合、補間部6のグレー画像用補間部62は、注目画素がどの色成分用の画素であるかを区別せずに、画素補間法決定部5により決定された相関方向に存在する画素を用いて画素補間処理を行う。グレー画像用補間部62において「グレー画像領域用画素補間法」により画素補間処理が実行される場合の具体的な処理について、以下、説明する。
【0273】
≪領域A1:水平方向画素補間(グレー画像領域用)≫
画素補間法決定部5により判定された注目画素の画素補間方法が「グレー画像領域用画素補間法」である場合であって、画素補間法決定部5により注目画素についての相関方向が「水平方向」であると判定された場合、グレー画像用補間部62は、以下の数式に相当する処理により、注目画素についての画素補間処理を行う。
【0274】
Sout=(P21+2×P22+P23)/4
つまり、グレー画像用補間部62は、注目画素にない色の色成分値をSoutとする。例えば、注目画素P22がW画素である場合、注目画素のYe色成分値およびR色成分値を、それぞれ、Ye(P22)およびR(P22)とすると、
Ye(P22)=R(P22)=Sout
となる。
【0275】
≪領域A2:垂直方向画素補間(グレー画像領域用)≫
画素補間法決定部5により判定された注目画素の画素補間方法が「グレー画像領域用画素補間法」である場合であって、画素補間法決定部5により注目画素についての相関方向が「垂直方向」であると判定された場合、グレー画像用補間部62は、以下の数式に相当する処理により、注目画素についての画素補間処理を行う。
【0276】
Sout=(P12+2×P22+P32)/4
つまり、グレー画像用補間部62は、注目画素にない色の色成分値をSoutとする。例えば、注目画素P22がW画素である場合、注目画素のYe色成分値およびR色成分値を、それぞれ、Ye(P22)およびR(P22)とすると、
R(P22)=Ye(P22)=Sout
となる。
【0277】
≪領域B2:第1斜め方向画素補間(グレー画像領域用)≫
画素補間法決定部5により判定された注目画素の画素補間方法が「グレー画像領域用画素補間法」である場合であって、画素補間法決定部5により注目画素についての相関方向が「第1斜め方向」であると判定された場合、グレー画像用補間部62は、以下の数式に相当する処理により、注目画素についての画素補間処理を行う。
【0278】
Sout=(P11+2×P22+P33)/4
つまり、グレー画像用補間部62は、注目画素にない色の色成分値をSoutとする。例えば、注目画素P22がW画素である場合、注目画素のYe色成分値およびR色成分値を、それぞれ、Ye(P22)およびR(P22)とすると、
Ye(P22)=R(P22)=Sout
となる。
【0279】
≪領域B1:第2斜め方向画素補間(グレー画像領域用)≫
画素補間法決定部5により判定された注目画素の画素補間方法が「グレー画像領域用画素補間法」である場合であって、画素補間法決定部5により注目画素についての相関方向が「第2斜め方向」であると判定された場合、グレー画像用補間部62は、以下の数式に相当する処理により、注目画素についての画素補間処理を行う。
【0280】
Sout=(P13+2×P22+P31)/4
つまり、グレー画像用補間部62は、注目画素にない色の色成分値をSoutとする。例えば、注目画素P22がW画素である場合、注目画素のYe色成分値およびR色成分値を、それぞれ、Ye(P22)およびR(P22)とすると、
Ye(P22)=R(P22)=Sout
となる。
【0281】
≪領域A3、B3:メディアン補間(グレー画像領域用)≫
画素補間法決定部5により判定された注目画素の画素補間方法が「グレー画像領域用画素補間法」である場合であって、画素補間法決定部5により注目画素について「いずれの方向にも相関がない」と判定された場合、グレー画像用補間部62は、以下の数式に相当する処理により、注目画素についての画素補間処理を行う。
【0282】
Sout=P22
つまり、グレー画像用補間部62は、注目画素にない色の色成分値をSoutとする。例えば、注目画素P22がW画素である場合、注目画素のYe色成分値およびR色成分値を、それぞれ、Ye(P22)およびR(P22)とすると、
Ye(P22)=R(P22)=Sout
となる。
【0283】
≪領域A4、B4:平均値補間(グレー画像領域用)≫
画素補間法決定部5により判定された注目画素の画素補間方法が「グレー画像領域用画素補間法」である場合であって、画素補間法決定部5により注目画素について「垂直、水平の両方向において相関が高い」と判定された場合、グレー画像用補間部62は、以下の数式に相当する処理により、注目画素についての画素補間処理を行う。
【0284】
Sout=(P11+P12+P13
+P21+P22+P23
+P31+P32+P33)/9
つまり、カラー画像用補間部61は、注目画素にない色の色成分値をSoutとする。例えば、注目画素P22がW画素である場合、注目画素のYe色成分値およびR色成分値を、それぞれ、Ye(P22)およびR(P22)とすると、
Ye(P22)=R(P22)=Sout
となる。
【0285】
以上のようなグレー画像用補間処理が実行された画像信号は、グレー画像用補間部62から信号逆補正部63に出力される。
【0286】
≪信号逆補正処理≫
信号逆補正部63では、グレー画像用補間部62から出力される画像信号に対して、信号補正部1で実行された補正処理と逆の補正処理が実行される。
【0287】
具体的には、グレー画像用補間部62から出力される画像信号を構成する、W成分画素信号、Ye成分画素信号およびR成分画素信号を、それぞれ、Win1、Yein1、および、Rin1とすると、信号逆補正部63は、
Wout=Win/Gain_sig_W
Yeout=Yein/Gain_sig_Ye
Rout=Rin/Gain_sig_R
に相当する処理を実行する。
【0288】
なお、ゲイン値Gain_sig_W、Gain_sig_Ye、および、Gain_sig_Rは、信号補正部1での信号補正処理に使用された補正ゲインと同一のものである。
【0289】
上記処理を実行することで、グレー画像用補間処理後の画像信号の各画素信号の信号レベルを、信号補正部1で信号補正処理が実行される前の画像信号の各画素信号の信号レベルと同等にすることができる。
【0290】
信号逆補正部63により、上記の信号逆補正処理が実行された画像信号は、選択部64に出力される。
【0291】
(1.2.6.2:カラー画像領域用画素補間処理)
画素補間法決定部5により判定された注目画素の画素補間方法が「カラー画像領域用画素補間法」である場合、補間部6のカラー画像用補間部61は、画素補間法決定部5により決定された相関方向に存在する画素を用いて画素補間処理を行う。なお、画素補間処理後の注目画素のW色成分の画素値をWoutとし、Ye色成分の画素値をYeoutとし、R色成分の画素値をRoutとする。
【0292】
≪水平方向画素補間≫
注目画素がW色成分用であって、画素補間法決定部5により注目画素についての相関方向が「水平方向」であると判定された場合、カラー画像用補間部61は、注目画素の水平方向に存在するYe色成分用画素を用いて、Yeoutを算出する。
【0293】
図23は、中心画素(注目画素)がW色成分用画素である場合の5画素×5画素のマトリクス領域を示す図である。
図23に示すマトリクス領域は、
図4に示す領域AR1に対応する。
【0294】
図23において、記号W,Y,Rの添え字のうち、1桁目はマトリクス領域の画素の行番号、2桁目はマトリクス領域の画素の列番号を示している。つまり、
図23は、注目画素P22を含む25個の画素P00〜P44からなるマトリクス領域の画素配列を表しており、中心画素P22(W22)がW色成分用画素である場合を示している。また、実施形態の説明や各数式において、記号P,W,Y,Rは、画素値を表す場合もある。たとえば、記号P11は、1行1列目の画素そのものを表すとともに、1行1列目の画素の画素値をも表すものとする。
【0295】
図23において、画素W22が注目画素である場合、カラー画像用補間部61は、画素W22の水平方向に存在する画素Y21,Y23の平均値を算出することにより、画素W22におけるYe色成分の画素値Yeoutを取得する。あるいは、カラー画像用補間部61は、画素Y21,Y23だけでなく、水平方向に存在する画素Y21,Y23以外のYe色成分用画素を用いてリニア補間を行うことにより、Ye色成分の画素値Yeoutを取得してもよい。
【0296】
一方、画素W22の水平方向には、R色成分用画素は存在しない。この場合、カラー画像用補間部61は、補間方向(水平方向)に直角な垂直方向におけるR色成分の画素値の変化率(ラプラシアン)から、画素W22におけるR色成分用の画素値Routを取得する。
【0297】
≪垂直方向画素補間(カラー画像領域用)≫
注目画素がW色成分用画素であって、画素補間法決定部5により注目画素についての相関方向が「垂直方向」であると判定された場合、カラー画像用補間部61は、注目画素の垂直方向に存在するR色成分用画素を用いて、Routを算出する。
【0298】
図23において、画素W22が注目画素である場合、カラー画像用補間部61は、画素W22の垂直方向に存在する画素R12,R32の平均値を算出することにより、画素W22におけるR色成分の画素値Routを取得する。あるいは、カラー画像用補間部61は、画素R12,R32だけでなく、垂直方向に存在する画素R12,R32以外のR色成分用画素を用いてリニア補間を行うことにより、R色成分の画素値Routを取得してもよい。
【0299】
一方、画素W22の垂直方向には、Ye色成分用画素は存在しない。この場合、カラー画像用補間部61は、補間方向(垂直方向)に直角な水平方向におけるYe色成分の画素値の変化率(ラプラシアン)から、画素W22におけるYe色成分用の画素値Yeoutを取得する。
【0300】
≪第1斜め方向画素補間(カラー画像領域用)≫
注目画素がYe色成分用画素であって、画素補間法決定部5により注目画素についての相関方向が「第1斜め方向」であると判定された場合、カラー画像用補間部61は、注目画素の第1斜め方向に存在するR色成分用画素を用いて、Routを算出する。
【0301】
図24は、中心画素(注目画素)がYe色成分用画素である場合の5画素×5画素のマトリクス領域を示す図である。
図24に示すマトリクス領域は、
図4に示す領域AR2に対応する。
【0302】
図24において、画素Y22が注目画素である場合、カラー画像用補間部61は、画素Y22の(矢印Aの方向)に存在する画素R11,R33の平均値を算出することにより、画素Y22におけるR色成分の画素値Routを取得する。あるいは、カラー画像用補間部61は、画素R11,R33だけでなく、第1斜め方向に存在する画素R11,R33以外のR色成分用画素を用いてリニア補間を行うことにより、R色成分の画素値Routを取得してもよい。
【0303】
一方、画素Y22の第1斜め方向には、W色成分用画素は存在しない。この場合、カラー画像用補間部61は、補間方向(垂直方向)に直角な第2斜め方向(矢印B方向)における画素値の変化率(ラプラシアン)から、画素Y22におけるW色成分用の画素値Woutを取得する。
【0304】
≪第2斜め方向画素補間(カラー画像領域用)≫
注目画素がYe色成分用画素であって、画素補間法決定部5により注目画素についての相関方向が「第2斜め方向」であると判定された場合、カラー画像用補間部61は、注目画素の第2斜め方向に存在するR色成分用画素を用いて、Routを算出する。
【0305】
図24において、画素Y22が注目画素である場合、カラー画像用補間部61は、画素Y22の第2斜め方向(矢印B方向)に存在する画素R13,R31の平均値を算出することにより、画素Y22におけるR色成分の画素値Routを取得する。あるいは、カラー画像用補間部61は、画素R13,R31だけでなく、第1斜め方向に存在する画素R13,R31以外のR色成分用画素を用いてリニア補間を行うことにより、R色成分の画素値Routを取得してもよい。
【0306】
一方、画素Y22の第2斜め方向には、W色成分用画素は存在しない。この場合、カラー画像用補間部61は、補間方向(垂直方向)に直角な第1斜め方向(矢印A方向)における画素値の変化率(ラプラシアン)から、画素Y22におけるW色成分用の画素値Woutを取得する。
【0307】
なお、注目画素がW色成分用画素、Ye色成分用画素及びR色成分用画素のいずれであっても、上記と同様の方法により画素補間処理が実行される。
【0308】
≪メディアン補間(カラー画像領域用)≫
画素補間法決定部5により注目画素について「いずれの方向にも相関がない」と判定された場合、カラー画像用補間部61は、注目画素を中心とする3画素×3画素の領域内に存在する画素を用いて、メディアン補間を実行する。
【0309】
図24に示すように、注目画素が画素Y22である場合、カラー画像用補間部61は、画素W12,W21,W23,W32の中間値を計算して、画素Y22におけるWoutを取得する。カラー画像用補間部61は、画素R11、R13,R31,R33の中間値を計算して、画素Y22におけるRoutを取得する。なお、中間画素がW色成分用画素又はR色成分用画素の場合であっても、同様の処理によりメディアン補間が行われる。また、中間値の計算対象となる画素は、注目画素を中心とする5画素×5画素の領域内に存在する画素であってもよい。
【0310】
≪平均値補間(カラー画像領域用)≫
画素補間法決定部5により注目画素について「垂直、水平の両方向において相関が高い」と判定された場合、カラー画像用補間部61は、注目画素を中心とする3画素×3画素の領域内に存在する画素を用いて、メディアン補間を実行する。
【0311】
図24に示すように、注目画素が画素Y22である場合、カラー画像用補間部61は、画素W12,W21,W23,W32の平均値を計算して、画素Y22におけるWoutを取得する。カラー画像用補間部61は、画素R11、R13,R31,R33の平均値を計算して、画素Y22におけるRoutを取得する。なお、中間画素がW色成分用画素又はR色成分用画素の場合であっても、同様の処理により平均値補間が行われる。
【0312】
以上の処理により、カラー画像用補間部61では、画素ごとに、Wout、Yeout、Routが取得される。そして、取得されたWout、Yeout、Routにより形成される画像(画素ごとに3つの色成分値(W色成分値、Ye色成分値、R色成分値)を持つ画像信号)は、選択部64に出力される。
【0313】
選択部64では、画素補間法決定部5から出力される相関方向に関する情報Co_Dirおよび画素補間方法に関する情報P_Mthdに基づいて、信号逆補正部63から出力される画像信号と、カラー画像用補間部61から出力される画像信号とのいずれか一方が選択される。そして、選択された画像信号は、画像信号D2として、補正処理部7に出力される。
【0314】
例えば、相関方向が「垂直方向」であり、画素補間方法が「カラー画像領域用画素補間法」である場合、相関方向を垂直方向とするカラー画像領域用画素補間法を実行することにより取得された画像信号が、選択部64により、選択され、当該画像信号が、補正処理部7に出力される。
【0315】
なお、補間部6は、画素補間法決定部5から出力される相関方向に関する情報Co_Dirおよび画素補間方法に関する情報P_Mthdにより決定される相関方向および画素補間方法により実行された画像信号が、補間部6から補正処理部7に出力される構成を有していればよい。したがって、補間部6の構成は、
図1に示した構成に限定されず、他の構成であってもよい。
【0316】
また、補間部6は、画素補間法決定部5から出力される相関方向に関する情報Co_Dirおよび画素補間方法に関する情報P_Mthdにより決定される相関方向および画素補間方法による画素補間処理のみが実行されるように構成されていてもよい。
【0317】
(1.2.7:補正処理部7での処理)
次に、補正処理部7での処理について、説明する。
【0318】
補正処理部7の第1マトリックス変換部71において、入力された画像信号D2は、マトリックス変換処理が実行され、RGB色空間の画像信号に変換される。
【0319】
具体的には、画像信号の第1色成分画素信号(W)、第2色成分画素信号(Ye)、および、第3色成分画素信号(R)を、それぞれ、color1、color2、および、color3とすると、第1マトリックス変換部71は、
【数3】
に相当する処理により、R成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号を取得する。
【0320】
なお、また、offset_R、offset_G、および、offset_Bは、オフセット値である。
【0321】
本実施形態では、
color1=W
color2=Ye
color3=R
である。このため、W−Ye−R色空間を、RGB色空間に変換する上記式(3)は、最終的には、以下の式となる。
【0322】
R=Rout
G=Yeout−Rout
B=Wout−Yeout
ここで、R、G、および、Bは、RGB色空間におけるR成分値、G成分値、および、B成分値であり、Wout、Yeout、およびRoutは、W−Ye−R色空間(画像信号D2)におけるW色成分画素信号、Ye色成分画素信号、および、R成分画素信号である。
【0323】
上記色空間変換のための変換行列を、3色配列フィルタの色に応じて決定することで、3色配列フィルタを構成する色フィルタがどのようなものであっても、第1マトリックス変換部71において、R成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号を取得することができる。この場合、上記式(3)における変換行列の係数は、色フィルタに応じて適宜変更される。
【0324】
上記により取得されたR成分画素信号、G成分画素信号、B成分画素信号と、画像信号D2に含まれるW成分画素信号とにより構成される画像信号は、画像信号D3として、第1マトリックス変換部71から、色空間処理部72に出力される。また、画像信号D3に含まれるR成分画素信号、G成分画素信号、B成分画素信号は、彩度取得部73に出力される。
【0325】
色空間処理部72では、第1マトリックス変換部71から出力された画像信号D3が、YCbCr色空間の画像信号D4に変換される。色空間処理部72での具体的処理について、以下、説明する。
【0326】
色空間処理部72の輝度信号取得部721では、
図3Aに示すように、第1マトリックス変換部71から出力されるR成分画素信号、G成分画素信号およびB成分画素信号が入力される。そして、輝度信号取得部721では、以下の数式に相当する処理により、輝度信号Y0が取得される。
【0327】
Y0=0.299×R+0.587×G+0.114×B
なお、R、G、Bは、注目画素のR色成分値、G色成分値、B色成分値である。
【0328】
選択信号生成部722では、画素補間法決定部5から出力された、画素ごとの相関方向および画素補間方法に関する情報から選択信号が生成される。具体的には、以下のようにして、選択信号が生成される。なお、
図3Aでは図示していないが、選択信号生成部722には、注目画素(処理対象の画素)の色成分についての情報が入力されているものとする。
【0329】
画像信号D3はW成分画素信号を含んでいるため、W成分画素信号を、注目画素の輝度信号として利用することも可能である。このため、選択信号生成部722は、注目画素の輝度として、W成分画素信号、輝度信号Y0、および、平均値(W成分画素信号と輝度信号Yとの平均)のいずれか一つの選択を指示する選択信号を、輝度信号出力部723に出力する。具体的には、選択信号生成部722は、以下の処理を行う。
【0330】
選択信号生成部722は、注目画素におけるフィルタの色成分と、注目画素の相関方向に基づいて、W成分画素信号および輝度信号Y0のいずれか一方の選択を指示する。
(1)注目画素がW色成分用画素である場合、選択信号生成部722は、相関方向に関係なく、注目画素のW成分画素信号の選択を指示する選択信号を輝度信号出力部723に出力する。
(2)注目画素がYe色成分用画素又はR色成分用画素であり、かつ、相関方向が水平方向及び垂直方向のいずれかである場合、選択信号生成部722は、注目画素のW成分画素信号の選択を指示する。注目画素の水平方向又は垂直方向にW色成分用画素が存在すため、W色成分用画素の画素値を利用することにより、輝度信号の精度を高めることができるためである。
(3)注目画素がYe色成分用画素又はR色成分用画素であり、かつ、相関方向が第1斜め方向及び第2斜め方向のいずれかである場合、選択信号生成部722は、注目画素の輝度信号Y0の選択を指示する。この理由は、注目画素の第1斜め方向又は第2斜め方向には、W色成分用画素が存在しないためである。
(4)注目画素がYe色成分用画素又はR色成分用画素であり、かつ、いずれの方向にも相関を有しない場合、選択信号生成部722は、注目画素の輝度信号Y0の選択を指示する。
(5)注目画素がYe色成分用画素又はR色成分用画素であり、かつ、垂直方向及び水平方向の両者に相関を有する場合、選択信号生成部723は、注目画素におけるW成分画素信号と輝度信号Y0との平均値の選択を指示する。
【0331】
以上のようにして、選択信号生成部722で生成された選択信号に従い、輝度信号出力部723では、W信号(W成分画素信号)およびY0信号からY信号(Y成分画素信号)を生成し、生成したY信号(Y成分画素信号)を第2マトリックス変換部75に出力する。
【0332】
このように、色空間処理部72では、注目画素がW画素である場合、W色信号(W成分画素信号)をY成分画素信号(Yout信号)とする。また、注目画素の相関方向が「垂直方向」又は「水平方向」である場合も同様に、W成分画素信号をYout信号とする。それ以外の場合は、R色成分値、G色成分値およびB色成分値から変換により取得された輝度信号Y0を用いて、Youtを取得する。したがって、色空間処理部72では、精度の高い輝度信号成分(Y成分画素信号)を取得することができる。
【0333】
また、色空間処理部72では、減算器724、726、および、ゲイン調整部725、727により、Y信号(Y成分画素信号)と、R成分信号(R成分画素信号)と、B信号成分(B成分画素信号)とから、Cb成分信号(Cb成分画素信号)およびCr成分信号(Cr成分画素信号)が取得される。つまり、Cb成分画素信号およびCr成分画素信号が、精度の良いY成分画素信号から取得されたものであるため、Cb成分画素信号およびCr成分画素信号も精度の良い信号となる。
【0334】
なお、色空間処理部72は、
図3Bに示す構成を有するものであってもよい。この場合、第1マトリックス変換部71から出力されるR成分画素信号、G成分画素信号およびB成分画素信号が色空間変換部721Aに入力される。そして、色空間変換部721Aでは、以下の数式に相当する処理(RGB−YCbCr色空間変換処理)により、輝度成分画素信号Y0、Cb成分画素信号、およびCr成分画素信号が取得される。
【0335】
Y0=0.299×R+0.587×G+0.114×B
Cr=0.500×R−0.419×G−0.081×B
Cb=−0.169×R−0.332×G+0.500×B
このようにして取得された輝度成分画素信号Y0は、色空間変換部721Aから輝度信号出力部723に出力され、輝度信号出力部723において、上記で説明したのと同様の処理が実行される。
【0336】
また、上記処理により取得された、Cb成分画素信号、およびCr成分画素信号は、色空間変換部721Aから色差補正部74に出力される。
【0337】
彩度取得部73では、第1マトリックス変換部71から出力された画像信号D3に含まれるR成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号から、彩度値Sが取得される。
【0338】
具体的には、彩度取得部73は、RGB色空間をHSV色空間(H:色相、S:彩度、V:明度)に変換する処理を利用して、R成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号から、(画素ごとに)彩度値Sを取得する。
【0339】
そして、彩度取得部73により(画素ごとに)取得された彩度値S(彩度信号S)は、色差補正部74に出力される。
【0340】
色差補正部74では、彩度取得部73から出力される彩度値Sに基づいて、色空間処理部72から出力されるCb成分画素信号およびCr成分画素信号に対して、色差成分補正処理が実行される。
【0341】
具体的には、彩度値Sを閾値THsと比較し、
(1)S>THsである場合、
色差補正部74は、
Cb’=Cb
Cr’=Cr
として、Cb成分画素信号Cb’およびCr成分画素信号Cr’を第2マトリックス変換部75に出力する。
(2)S≦THsである場合、
色差補正部74は、
Cb’=ks×Cb
Cr’=ks×Cr
0≦ks≦1
として、Cb成分画素信号Cb’およびCr成分画素信号Cr’を第2マトリックス変換部75に出力する。
【0342】
なお、この場合(S≦THsである場合)、
色差補正部74は、
Cb’=0
Cr’=0
とし、つまり、Cb成分値およびCr成分値を「0」(無彩色の信号)として、Cb成分画素信号Cb’およびCr成分画素信号Cr’を第2マトリックス変換部75に出力するようにしてもよい。
【0343】
また、上記の場合(S≦THsである場合)、
色差補正部74は、
Cb’=f(Cb)
Cr’=f(Cr)
とし、Cb成分画素信号Cb’およびCr成分画素信号Cr’を第2マトリックス変換部75に出力するようにしてもよい。なお、関数f(x)は、入力信号xのレベルを小さくする関数であれば、どのような関数でもあってもよい。
【0344】
このように、色差補正部74において、精度の高い画素補間処理後の画像信号D3を用いて取得した精度の高い彩度値Sに基づいて、色差成分画素信号の補正を行うことで、より偽色発生等の副作用を適切に低減することができる。
【0345】
画素補間処理部100では、信号補正部1により、信号レベルの補正を行った画像信号D1を用いて、彩度評価値の算出、グレー相関値の算出、グレー画像用補間処理が実行される。また、画素補間処理部100では、カラー画像用補間処理においても、相関方向を考慮して画素補間処理を行うため、精度の高い画素補間処理が実行される。
【0346】
つまり、画素補間処理部100では、上記のように、精度の高い画素補間処理を実行することができるので、精度の高い画素補間処理後の画像信号D2を取得することができる。
【0347】
そして、この精度の高い画素補間処理後の画像信号D2を用いて、彩度取得部73により、彩度値Sを算出することで、精度の高い彩度値Sを取得することができる。さらに、この精度の高い彩度値Sに基づいて、色差補正部74により、上記のように、色差画素信号の補正処理を行うことで、注目画素が、グレー画像領域に含まれる画素である可能性が高い場合、当該注目画素の色成分を適切に低減し、偽色発生等の副作用を適切に防止することができる。
【0348】
以上のようにして取得された色差補正処理後の色差成分信号Cb’、Cr’は、第2マトリックス変換部75に出力される。
【0349】
第2マトリックス変換部75では、色空間処理部72から出力されるY成分画素信号と、色差補正部74から出力される補正後のCb成分画素信号Cb’およびCr成分画素信号Cr’とに対して、YCbCr色空間をRGB色空間に変換する処理が実行される。つまり、第2マトリックス変換部75では、YCbCr色空間の画像信号を、RGB色空間の画像信号に変換する処理が実行される。
【0350】
そして、上記色空間変換後のR成分画素信号、G成分画素信号、および、B成分画素信号により構成される画像信号Doutが、第2マトリックス変換部75から出力される。
【0351】
以上のように、撮像装置1000では、信号補正部1により、撮像部C1の3色フィルタの配列に応じて、信号レベルの補正を行い、当該補正後の画像信号D1を用いて、彩度評価値算出処理、グレー相関値算出処理が実行される。また、撮像装置1000では、画素補間法決定部5が、カラー相関値算出処理により取得された3つのカラー相関値Cx_colorと、3つのグレー相関値Cx_grayと、彩度評価係数KLとを用いて、相関方向および画素補間方法とを決定する。そして、撮像装置1000では、決定された相関方向および画素補間方法により、補間部6が、カラー画像用の画素補間処理、または、グレー画像用の画素補間処理を、相関方向の画素を用いて実行する。従って、3色フィルタの配列がどのようなものであっても、精度の高い画素補間処理を実現することができる。
【0352】
このように、撮像装置1000では、撮像部C1の3色フィルタの配列がどのようなものであっても、精度の高い画素補間処理が実行された画像信号D2を取得することができる。
【0353】
さらに、撮像装置1000では、精度の高い画素補間処理が実行された画像信号D2を用いて、精度の高い彩度値Sを取得し、精度の高い画素補間処理が実行された画像信号D2から取得されたYCbCr色空間の画像信号の色差成分画素信号を補正する。これにより、偽色発生等の副作用を適切に防止することができる。
【0354】
以上のように、撮像装置1000では、撮像部C1の3色フィルタの配列がどのようなものであっても、適切に画素補間処理を行うことができる。
【0355】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、説明する。
【0356】
なお、本実施形態において、上記実施形態と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0357】
図25は、第2実施形態の撮像装置2000の概略構成図である。
【0358】
撮像装置2000は、第1実施形態の撮像装置1000の画素補間処理部100を画素補間処理部200に置換した構成を有している。
【0359】
画素補間処理部200は、第1の画素補間処理部100において、グレー相関値算出部4を、グレー相関値算出部4Aに置換し、境界検出部8を追加した構成を有している。
【0360】
境界検出部8は、画像信号D_raw(画像D_raw)を入力し、入力された画像D_rawにおいて、グレー画像領域と、カラー画像領域との境界部分を検出する。そして、境界検出部8は、検出したカラー領域/グレー領域境界部分についての情報をグレー相関値算出部4Aに出力する。
【0361】
グレー相関値算出部4Aは、信号補正部1から出力される画像信号D1と、境界検出部8から出力されるカラー領域/グレー領域境界部分についての情報とを入力する。
【0362】
(2.1:グレー画像領域用相関値算出処理)
グレー相関値算出部4Aによるグレー画像領域用相関値算出処理について、以下、説明する。
【0363】
グレー相関値算出部4Aは、信号補正部1から出力された画像D1上の注目画素(処理対象の画素)について、以下の4つのグレー画像領域用の相関値を算出する。
(B1)グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_gray
(B2)グレー画像領域用水平方向相関値Ch_gray
(B3)グレー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_gray
(B4)グレー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_gray
上記(B1)〜(B4)のグレー画像領域用の相関値の算出処理について、以下、説明する。
【0364】
≪(B1)グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_gray≫
まず、グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_grayの算出処理について、
図26を用いて、説明する。
【0365】
図26は、グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_grayの算出処理を説明するための図であり、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0366】
グレー相関値算出部4Aは、
図26に示すように、画素P01〜P03、P11〜P13、P21〜P23、P31〜P33、P41〜P43からなる領域AR61において、垂直方向に隣接する画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値を求める。つまり、グレー相関値算出部4Aは、以下の数式に相当する処理を行うことで、グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_grayを取得する。
【0367】
sum={abs(P02―P12)+abs(P12−P22)
+abs(P22−P32)+abs(P32−P42)}×gv
+abs(P01−P11)+abs(P11−P21)
+abs(P21−P31)+abs(P31−P41)
+abs(P03−P13)+abs(P13−P23)
+abs(P23−P33)+abs(P33−P43)
Cv_gray=sum/(4+gv×2)
つまり、グレー相関値算出部4Aは、領域AR61の中心の列についての重み付けをゲイン値gvで調整することができる。例えば、
図26に示すように、点線L1の左側の画像領域がカラー画像領域であり、点線L1の右側の画像領域がグレー画像領域である場合、グレー相関値算出部4Aは、境界検出部8から出力されるカラー領域/グレー領域境界部分についての情報により、カラー領域/グレー領域境界部分が点線L1に相当する部分であると判断し、領域AR61の中央列の差分値の比率(重み付け)が高くなるように、例えば、
gv=2
に設定する。これにより、グレー相関値算出処理において、領域AR61の中央列の重要度を上げて評価することができるようになるため、カラー領域/グレー領域境界付近において、相関値評価の精度を高くすることができる。その結果、カラー領域/グレー領域境界付近における偽色発生等の副作用を適切に抑制することができる。
【0368】
≪(B2)グレー画像領域用水平方向相関値Ch_gray≫
次に、グレー画像領域用水平方向相関値Ch_grayの算出処理について、
図27を用いて、説明する。
【0369】
図27は、グレー画像領域用水平方向相関値Ch_grayの算出処理を説明するための図であり、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0370】
グレー相関値算出部4Aは、
図27に示すように、画素P10〜P14、P20〜P24、P30〜P34からなる領域AR71において、水平方向に隣接する画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値を求める。つまり、グレー相関値算出部4Aは、以下の数式に相当する処理を行うことで、グレー画像領域用水平方向相関値Ch_grayを取得する。
【0371】
sum=abs{(P20―P21)+abs(P21−P22)
+abs(P22−P23)+abs(P23−P24)}×gh
+abs(P10−P11)+abs(P11−P12)
+abs(P12−P13)+abs(P13−P14)
+abs(P30−P31)+abs(P31−P32)
+abs(P32−P33)+abs(P33−P34)
Ch_gray=sum/(4+gh×2)
つまり、グレー相関値算出部4Aは、領域AR71の中心の行についての重み付けをゲイン値ghで調整することができる。例えば、
図27に示すように、点線L2の上側の画像領域がカラー画像領域であり、点線L2の下側の画像領域がグレー画像領域である場合、グレー相関値算出部4Aは、境界検出部8から出力されるカラー領域/グレー領域境界部分についての情報により、カラー領域/グレー領域境界部分が点線L2に相当する部分であると判断し、領域AR71の中央行の差分値の比率(重み付け)が高くなるように、例えば、
gh=2
に設定する。これにより、グレー相関値算出処理において、領域AR71の中央行の重要度を上げて評価することができるようになるため、カラー領域/グレー領域境界付近において、相関値評価の精度を高くすることができる。その結果、カラー領域/グレー領域境界付近における偽色発生等の副作用を適切に抑制することができる。
【0372】
≪(B3)グレー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_gray≫
次に、グレー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_grayの算出処理について、
図28を用いて、説明する。
【0373】
図28は、グレー画像領域用水平方向相関値Cd1_grayの算出処理を説明するための図であり、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0374】
グレー相関値算出部4Aは、
図28に示すように、第1斜め方向に隣接する画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値を求める。つまり、グレー相関値算出部4は、以下の数式に相当する処理を行うことで、グレー画像領域用水平方向相関値Cd1_grayを取得する。
【0375】
sum={abs(P00―P11)+abs(P11−P22)+abs(P22−P33)+abs(P33−P44)}×gd1
+abs(P10−P21)+abs(P21−P32)+abs(P32−P43)
+abs(P01−P12)+abs(P12−P23)+abs(P23−P34)
Cd1_gray=sum/(3+gd1×2)
つまり、グレー相関値算出部4Aは、中心ライン(
図28のP00〜P44のライン)についての重み付けをゲイン値gd1で調整することができる。例えば、
図28に示すように、点線L3の左側の画像領域がカラー画像領域であり、点線L3の右側の画像領域がグレー画像領域である場合、グレー相関値算出部4Aは、境界検出部8から出力されるカラー領域/グレー領域境界部分についての情報により、カラー領域/グレー領域境界部分が点線L3に相当する部分であると判断し、中央ライン(
図28のP00〜P44のライン)の差分値の比率(重み付け)が高くなるように、例えば、
gd1=1.5
に設定する。これにより、グレー相関値算出処理において、中央ラインの重要度を上げて評価することができるようになるため、カラー領域/グレー領域境界付近において、相関値評価の精度を高くすることができる。その結果、カラー領域/グレー領域境界付近における偽色発生等の副作用を適切に抑制することができる。
【0376】
≪(B4)グレー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_gray≫
次に、グレー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_grayの算出処理について、
図29を用いて、説明する。
【0377】
図29は、グレー画像領域用水平方向相関値Cd2_grayの算出処理を説明するための図であり、中心画素P22を中心とする5画素×5画素のマトリクス領域を示している。なお、図中の矢印の先にある2つの画素は、差分処理の対象画素であることを示している。
【0378】
グレー相関値算出部4Aは、
図29に示すように、第2斜め方向に隣接する画素の画素値の絶対値差分を算出し、算出した絶対値差分の平均値を求める。つまり、グレー相関値算出部4Aは、以下の数式に相当する処理を行うことで、グレー画像領域用水平方向相関値Cd1_grayを取得する。
【0379】
sum={abs(P04―P13)+abs(P13−P22)+abs(P22−P31)+abs(P31−P40)}×gd2
+abs(P03−P12)+abs(P12−P21)+abs(P21−P30)
+abs(P14−P23)+abs(P23−P32)+abs(P32−P41)
Cd2_gray=sum/(3+gd2×2)
つまり、グレー相関値算出部4Aは、中心ライン(
図29のP04〜P40のライン)についての重み付けをゲイン値gd2で調整することができる。例えば、
図29に示すように、点線L4の左側の画像領域がカラー画像領域であり、点線L4の右側の画像領域がグレー画像領域である場合、グレー相関値算出部4Aは、境界検出部8から出力されるカラー領域/グレー領域境界部分についての情報により、カラー領域/グレー領域境界部分が点線L4に相当する部分であると判断し、中央ライン(
図29のP04〜P40のライン)の差分値の比率(重み付け)が高くなるように、例えば、
gd2=1.5
に設定する。これにより、グレー相関値算出処理において、中央ラインの重要度を上げて評価することができるようになるため、カラー領域/グレー領域境界付近において、相関値評価の精度を高くすることができる。その結果、カラー領域/グレー領域境界付近における偽色発生等の副作用を適切に抑制することができる。
【0380】
以上により、グレー相関値算出部4Aにより取得されたグレー画像領域用相関値(Cv_gray、Ch_gray、Cd1_gray、Cd2_gray)は、画素補間法決定部5に出力される。
【0381】
このように、第2実施形態の撮像装置2000では、境界検出部8により検出されたカラー画像領域とグレー画像領域との境界に関する情報に基づいて、グレー相関値算出部4Aが、中央ラインにおける相関度評価値の影響度(重み付け)を調整することができる。したがって、撮像装置2000では、カラー画像領域とグレー画像領域との境界において生じやすい偽色発生現象を効果的に抑制することができる。
【0382】
なお、偽色は、垂直方向、あるいは、水平方向に、カラー画像領域とグレー画像領域との境界が存在するときに発生しやすい。したがって、グレー画像領域用垂直方向相関値Cv_grayの算出処理用の調整値gv、および、グレー画像領域用水平方向相関値Ch_grayの算出処理用の調整値ghを、グレー画像領域用第1斜め方向相関値Cd1_grayの算出処理用の調整値gd1、および、グレー画像領域用第2斜め方向相関値Cd2_grayの算出処理用の調整値gd2よりも大きな値とすることが好ましい。
【0383】
以上のように、撮像装置2000では、第1実施形態と同様に、撮像部C1の3色フィルタの配列がどのようなものであっても、適切に画素補間処理を行うことができ、さらに、カラー画像領域とグレー画像領域との境界における偽色発生を効果的に抑制することができる。
【0384】
[他の実施形態]
上記実施形態では、画素補間処理を実数演算により実行する場合を想定して説明している部分があるが、整数演算により、画素補間処理を実行するようにしてもよい。また、画素補間処理において、所定のビット数を使用した場合の制約や、所定のダイナミックレンジ内で処理を実行するために、適宜、ゲイン調整やクリップ処理を実行するようにしてもよい。
【0385】
上記実施形態の撮像装置の一部または全部は、集積回路(例えば、LSI、システムLSI等)として実現されるものであってもよい。
【0386】
上記実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。そして、上記実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
【0387】
また、上記実施形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。なお、上記実施形態に係る撮像装置をハードウェアにより実現する場合、各処理を行うためのタイミング調整を行う必要があるのは言うまでもない。上記実施形態においては、説明便宜のため、実際のハードウェア設計で生じる各種信号のタイミング調整の詳細については省略している。
【0388】
また、上記実施形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。
【0389】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0390】
上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0391】
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。