(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部の前記部品収容体から前記電子部品の繰り出し方向の延長線上にある前記部品受け渡し位置まで前記電子部品を導く案内経路を有するガイド部を備えることを特徴とする請求項1記載の電子部品供給装置。
前記制御部は、前記駆動源の駆動から前記撓み検出部が前記挿入部材の撓みを検出しない状態が一定時間経過した場合に、前記駆動源を停止させることを特徴とする請求項4記載の電子部品供給装置。
前記撓み検出部は、前記部品収容体の一端部側で前記挿入部材を検出する当該挿入部材の原点センサであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2の過負荷対策を施すためには、特許文献1のように、部品収容体内に搬送ベルトを備えることが必須となる。
しかしながら、一つの電子部品供給装置に対して複数の電子部品の部品収容体を搭載して使用することが一般的であることから、部品収容体は大量生産に適した低コスト化を図る必要があるが、部品収容体内に搬送ベルトを搭載する場合、コスト低減を図ることが困難となるという問題があった。
【0007】
本発明は、部品収容体の生産コストを低減しつつ電子部品供給装置の電子部品搬送の駆動源の過負荷の低減を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電子部品供給装置にかかる本発明は、
内部に電子部品を収容する筒状の部品収容体を有し、前記部品収容体の電子部品を部品受け渡し位置に供給する電子部品供給装置において、
前記部品収容体を保持する保持部と、
前記部品収容体の内部に挿入され、前記電子部品を繰り出し可能で、且つ可撓性を有する挿入部材と、
前記挿入部材の前記部品収容体への挿入を行う駆動源と、
前記部品収容体に挿入状態にある前記挿入部材が、上下方向に対して生じる撓みを検出する撓み検出部と、
前記撓み検出部が前記挿入部材の規定量を超える撓みを検出した場合に前記駆動源を停止させる制御を行う制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記電子部品供給装置において、前記保持部の前記部品収容体から前記電子部品の繰り出し方向の延長線上にある前記部品受け渡し位置まで前記電子部品を導く案内経路を有するガイド部を備える構成としても良い。
【0010】
また、上記電子部品供給装置において、前記ガイド部にある電子部品を前記部品受け渡し位置側に送る搬送部を備える構成としても良い。
【0011】
また、上記電子部品供給装置において、前記部品受け渡し位置における電子部品の有無を検出する部品検出部を備え、前記制御部は、前記駆動源の駆動時に前記部品検出部により電子部品が検出された場合に、前記駆動源を停止させる構成としても良い。
【0012】
また、上記電子部品供給装置において、前記制御部は、前記駆動源の駆動から前記撓み検出部が前記挿入部材の撓みを検出しない状態が一定時間経過した場合に、前記駆動源を停止させる構成としても良い。
【0013】
また、上記電子部品供給装置において、前記撓み検出部を、前記部品収容体の一端部側で前記挿入部材を検出する当該挿入部材の原点センサとする構成としても良い。
【発明の効果】
【0014】
上記発明は、部品収容体に挿入する挿入部材が部品詰まり等でつかえた場合にその可撓性により撓みを生じることを利用して、挿入部材のつかえの発生を撓み検出部により検出し、駆動源を停止させる。これにより、挿入部材の前進が阻害されている状態で駆動源の駆動を継続することによる過負荷の発生を回避することが可能となる。
そして、挿入部材の撓みから駆動源の過負荷を検出するので、従来のように部品収容体内に搬送ベルトを装備することを不要とし、単なる筒状体で部品収容体を形成することができる。このため、部品収容体について大量生産に適した低コスト化を図ることが可能となる。
【0015】
また、部品収容体から部品受け渡し位置まで電子部品を導くガイド部を備える場合には、繰り出された電子部品を円滑に部品受け渡し位置に導くことが可能である。
特に、ガイド部にある電子部品を部品受け渡し位置側に送る搬送部を備える場合には、より確実に繰り出された電子部品を部品受け渡し位置に導くことが可能である。
【0016】
また、制御部が部品検出部による電子部品の検出により駆動源を停止させることにより、前進する挿入部材の停止位置の適正化を図り、電子部品を適正に送ることが可能となる。
【0017】
また、制御部が駆動源の駆動から撓み検出部が挿入部材の撓みを検出しない状態が一定時間経過した場合に駆動源を停止させる場合、部品収容体がガイド部の案内経路よりも短い場合であっても電子部品を適正に送ることが可能となる。
即ち、駆動源により一定時間駆動すると、部品収容体内の全ての電子部品をガイド部に繰り出し動作が完了するので、部品受け渡し位置に部品検出部を設けることなく挿入部材の前進を適正に停止させることが可能となる。
【0018】
また、撓み検出部を原点センサとした場合には、後退復帰する挿入部材の位置決め位置を検出する手段と撓み検出を行う手段とを共用することができ、部品点数の低減及び製造コストの低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[発明の実施形態の概要]
本発明の実施形態である電子部品供給装置10について
図1〜
図10に基づいて説明する。
図1は電子部品供給装置10の側面図である。
なお、図中、部品繰り出し方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向、X方向とY方向に直交する方向をZ方向(上下方向)とする。なお、X方向とY方向はいずれも水平であり、Z方向は鉛直上下方向となっている。
電子部品供給装置10は、基板に電子部品を実装する電子部品実装装置(図示略)に取り付けられ、その部品受け渡し位置P(
図1矢印)において電子部品実装装置に電子部品Cを供給する。
電子部品実装装置は、基板を保持する搬送装置と、電子部品を吸着可能な吸着ノズルを搭載したヘッドと、当該ヘッドを任意に移動位置決め可能な移動機構とを主に備えている。そして電子部品供給装置10の部品受け渡し位置Pにヘッドを移動して吸着ノズルにより電子部品を受け取ると、搬送機構に保持された基板の実装目標位置にヘッドを移動位置決めして電子部品を実装している。
【0021】
電子部品供給装置10は、内部に一列に電子部品Cを収容する筒状の部品収容体20を複数保持する保持部30と、部品収容体20の一端部21から挿入して他端部22から電子部品Cの繰り出しを行う長尺で(挿入部材40は部品繰り出し方向(X方向)長さが、それと直交する幅方向(Y方向)長さより長く形成されている。)、可撓性(Y方向に対して折り曲げ可能なこと)を有する挿入部材40と、挿入部材40の部品収容体20への挿入を行う駆動機構50と、部品収容体20から繰り出された複数の電子部品Cを部品受け渡し位置Pに送る搬送部60と、空の部品収容体20を機外に排出する排出機構70と、全体構成を支持するフレーム80と、各部の動作を制御する制御部90とを備えている。
【0022】
[電子部品及び部品収容体]
図2は上記部品収容体20の斜視図、
図3はZ方向に沿った断面を示した図である。
図3に示すように、電子部品供給装置10が供給する電子部品Cは、部品本体部C1の左右の側面から突出し、下方に向かって延びるリードC2を備えている。そして、リードC2は一側面につき一乃至複数本が設けられている。
【0023】
上記部品収容体20は、
図2及び
図3に示すように、その両端部21,22が開口した断面略矩形の筒状体である。そして、部品収容体20は、その中空内部空間の断面形状が門型となるように外壁が形成されている。また、断面門型とすることにより、その内底面には、全長に渡って凸条23が形成されている。
そして、上記部品収容体20の内部において、複数の電子部品Cが凸条23に跨がった状態で一列に並んで収容されている。
【0024】
[フレーム]
フレーム80は、
図1に示すように、保持部30と搬送部60を支持する本体部81と、本体部81の下部側で垂直に設けられた二本の脚部82とを備えている。それぞれの脚部82には二つずつで合計四つの高さ調節部材83(
図1では二つのみ図示)が装備されている。このため、電子部品供給装置10の設置場所が完全な水平ではない場合であっても個々の高さ調節部材83により本体部81を水平にすることができるようになっている。
【0025】
[保持部]
部品収容体20の保持部30は、
図1に示すように、フレーム80の本体部81の上部において対向して立設された支持板31,32を備えており、各支持板31,32には、部品収容体20の両端部21,22がそれぞれ緩やかに嵌合する嵌合溝33,34が上下方向に沿って形成されている。
そして、保持部30では、各支持板31,32の上端部で、嵌合溝33,34に各部品収容体20の両端部21,22を嵌合させて下方に落として込むことにより本体部81の上部に積み上げることができるようになっている。
また、最も下側の部品収容体20は、後述する排出機構70の第一と第二の支持部材71,72により規定の高さで下方から支持される。
【0026】
また、支持板31には最も下側に保持された部品収容体20の一端部21の開口に臨む貫通穴35が形成されている。これは最も下側の部品収容体20の一端部21に挿入される挿入部材40が支持板31を貫通して通過するためのものである。
【0027】
また、支持板32には最も下側に保持された部品収容体20の他端部22の開口に臨む貫通穴36が形成されている。これは部品収容体20に挿入された挿入部材40によって押し出された複数の電子部品Cが支持板31を通過するためのものである。
なお、保持部30の最も下側に保持される部品収容体20の他端部22側は、当該部品収容体20の長手方向に沿った延長線上に搬送部60が位置している。従って。部品収容体20から押し出された電子部品Cは支持板32の貫通穴36を通って搬送部60に送られる。
【0028】
[挿入部材]
図4は挿入部材40及び駆動機構50の構成を示す概略図である。挿入部材40は、可撓性を有する平板長尺の金属ベルト41とその先端部に装備されて電子部品Cに当接するプッシャー42とを備えている。
挿入部材40の非使用時は、金属ベルト41がその可撓性により駆動機構50のドラム51に巻回されている。また、金属ベルト41は、全長に渡って、その幅方向(長手方向及び厚さ方向に直交する方向)における中央部分が僅かに窪むように湾曲している。そして、挿入部材40は、ドラム51に巻回されている状態では、上記幅方向の湾曲が緩和されてドラム周面に沿って容易に撓むことができ、ドラム51から引き出されると、幅方向に湾曲して長手方向に真直に延びた状態を維持することができるようになっている。
従って、
図5に示すように、金属ベルト41の巻回状態が解かれた挿入部材40は、部品収容体20に一端部から挿入すると、その剛性により一列に並んだ電子部品Cを他端部22側に押し出すことができる。
【0029】
プッシャー42は、金属ベルト41の伸長時において部品収容体20内の電子部品Cに当接して繰り出しを行うので、電子部品Cを傷つけないように金属ベルトよりも軟らかい材料(ゴムやプラスチックのような樹脂材料)から形成されている。なお、挿入時に周囲との摩擦を生じないように、表面に低摩擦材のコーティングをすることがより望ましい。
【0030】
[駆動機構]
駆動機構50は、
図1及び
図4に示すように、その主要な構成がフレーム80の本体部81の後端部側(部品受け渡し位置Pを前端部側とする)に設けられている。
駆動機構50は、前述した挿入部材40を巻回するドラム51と、ドラム51と同一軸で連結されて連動回転を行う従動ベルトプーリ52と、挿入部材40の部品収容体20に沿った進退移動動作の駆動源となる繰り出しモーター53と、当該繰り出しモーター53の出力軸に取り付けられた主動ベルトプーリ54と、各ベルトプーリ52,54に掛け渡されたタイミングベルト55とを備えている。
【0031】
従動ベルトプーリ52は主動ベルトプーリ54よりも外径が大きく、繰り出しモーター53の回転は減速してドラム51に伝達される。
そして、繰り出しモーター53により、ドラム51を
図4における時計方向に回転させると、挿入部材40が前進して部品収容体20に挿入され、ドラム51を
図4における反時計方向に回転させると、挿入部材40はドラム51に巻き取られて後退し、部品収容体20から引き出される。
【0032】
[原点センサ]
図1及び
図4に示すように、挿入部材40は、先端のプッシャー42が支持板31の貫通穴35の手前となる位置が原点(非使用時の待機位置)と定められており、当該原点位置となる貫通穴35の内部には検出部としての原点センサ(撓み検出部)56が設けられている。
この原点センサ(撓み検出部)56は、検出対象物に投光する光源と、投光による反射光を受光する受光素子と、光源と受光素子とに個々に設けられた光学系とを備えており、光源が下方に投光するように設けられている。
そして、挿入部材40が前進している時には、
図6(A)に示すように、金属ベルト41又はプッシャー42に投光が行われてその反射光が受光され、原点センサ56のセンサ出力は挿入部材あり(ON状態)となる。
また、挿入部材40が原点センサ56より手前に後退している場合には、
図6(B)に示すように、金属ベルト41及びプッシャー42は投光位置から外れるため反射光は受光されず、原点センサ56のセンサ出力は挿入部材なし(OFF状態)となる。
これらの検出に基づいて後述する制御部90は、繰り出しモーター53による挿入部材40の巻き取りの際に、原点センサ56がON状態からOFF状態に切り替わった時に繰り出しモーター53を停止させて、挿入部材40を原点位置に停止させる制御を行う。
【0033】
また、原点センサ56は、その光学系によりセンサから投光方向(鉛直上下方向)について検出可能な距離範囲dが定められており、金属ベルト41又はプッシャー42が当該距離範囲dを外れている場合には、光源から投光されていても反射光が受光素子に受光されず、原点センサ56のセンサ出力は挿入部材なし(OFF状態)となる。
例えば、部品収容体20から一連の電子部品Cを繰り出す際に、電子部品Cがスタックして挿入部材40が前進できない状態となり、そのまま繰り出しモーター53が駆動を継続すると、
図6(C)に示すように、金属ベルト41はその可撓性によって各部が上下方向に撓みを生じる。
その結果、金属ベルト41は、原点センサ56の検出可能距離範囲dから逸脱し、原点センサ56の出力は挿入部材なし(OFF状態)となる。
【0034】
従って、制御部90では、上記原点センサ56の検出範囲特性と挿入部材40の可撓性とを利用して、挿入部材40の前進不能時による繰り出しモーター53の過負荷状態の発生の検出を行っている。即ち、制御部90は、挿入部材40が前進する方向に繰り出しモーター53を駆動している状態で、原点センサ56の出力がOFF状態となると、繰り出しモーター53の過負荷状態が発生したものとして当該モーター53の緊急停止を行う。
このように、原点センサ56は、挿入部材40の原点位置検出と繰り出しモーター53の過負荷状態の検出の両方を行っている。
【0035】
[排出機構]
図7及び
図8は排出機構70の排出動作を順番に示した概略構成図である。
排出機構70は、
図1並びに
図7及び
図8に示すように、フレーム80において、前述した保持部30の下方に配置されている。
そして、この排出機構70は、保持部30の最も下側の部品収容体20の両端部の底面を下から個別に載置支持する第一と第二の支持部材71,72と、保持部30における下から二番目の部品収容体20の両端部の開口に個別に挿入して支持することができる第三と第四の支持部材73,74とを備えている。
また、フレーム80の本体部81であって保持部30の下側の部分は、部品収容体20を落下させることが可能な図示しない開口部が形成されており、当該開口部の下方には落下する部品収容体20を受け止めて後方に排出する排出スロープ75が取り付けられている。
【0036】
各支持部材71〜74は、いずれもソレノイド等のアクチュエーター71a〜74a(
図9参照)により部品収容体20の長手方向に沿って進退移動を行うことで部品収容体の保持と解除とを切り替え可能となっている。また、第一と第二の支持部材73,74は、昇降動作を行うアクチュエーター71b,72b(
図9参照)も併設されており、最も下側の部品収容体20を排出後に下から二番目の部品収容体20の受け取りに行く動作を行うことが可能となっている。
以下、最も下側の部品収容体20を落下排出する動作を順に説明する。
【0037】
電子部品Cの繰り出し動作を行っている通常時は、第一と第二の支持部材71,72は最下部の部品収容体20の下側に位置して支持状態にあり、第三と第四の支持部材73,74は下から二番目の部品収容体20の両端部に挿入された状態にある(
図7(A))。
次いで、第一と第二の支持部材71,72が後退して最下部の部品収容体20の下側から離間すると、当該部品収容体20は落下して排出スロープ75上を滑って機外に排出される(
図7(B))。また、下から二番目の部品収容体20とその上の部品収容体20は第三及び第四の支持部材73,74に支持されているので落下しない。
【0038】
次いで、第一と第二の支持部材71,72が前進して支持位置に戻り(
図7(C)の状態)、さらに、上昇して新たに最も下側となった部品収容体20の両端部の底面に当接させる(
図7(D))。
そして、その状態から第三及び第四の支持部材73,74が後退して、新たに最も下側となった部品収容体20の両端部を支持する状態が解除され(
図8(A))、第一と第二の支持部材71,72のみが新たに最も下側となった部品収容体20を支えた状態となる。
【0039】
次いで、第一と第二の支持部材71,72が下降して、新たに最も下側となった部品収容体20を電子部品Cの繰り出しが可能な高さに位置決めする(
図8(B))。
そして、第三及び第四の支持部材73,74が前進して新たに下から二番目となった部品収容体20の両端部に挿入され(
図8(C))、排出動作が完了する。
【0040】
[搬送部]
搬送部60は、
図1に示すように、支持板32から部品受け渡し位置Pまで電子部品Cを導く案内経路を有するガイド部61と、ガイド部61内の電子部品Cを微小振動で加振する加振機構62とを備えている。
上記ガイド部61は、案内経路として、電子部品Cを一列で搬送する凹状溝を有し、当該凹状溝の内底面には部品収容体20の凸条23と断面形状及び寸法が等しい凸条がガイド部61の全長に渡って形成されている。また、ガイド部61の凸条は、保持部30において最も下側の部品収容体20の凸条23に近接し連通するように形成されている。また、部品収容体20の凸条23とガイド部61の凸条とは段差が生じないように或いはガイド部61の凸条が僅かに低くなるように形成されている。また、電子部品Cの引っかかりを生じないように、ガイド部61内の凸条には面取りを施しても良い。
これにより、挿入部材40の押圧で部品収容体20の他端部22の開口から繰り出された各電子部品Cは、円滑にガイド部61に移動して部品受け渡し位置Pに搬送される。
また、ガイド部61の全長は部品収容体20の全長よりも長く設定されており、部品収容体20内の全ての電子部品Cをガイド部61の案内経路内に送り出すことが可能となっている。
【0041】
また、ガイド部61の案内経路における部品受け渡し位置Pには、当該部品受け渡し位置Pに電子部品Cが存在するかを検出する部品検出部としての部品検出センサ63が設けられている。
この部品検出センサ63は、光源と受光素子とを案内経路内の電子部品Cを挟むように配置し、電子部品Cが受光素子の受光を遮ることでその存在を検出する。
【0042】
なお、挿入部材40は、部品受け渡し位置Pまで届かない長さに設定されており、挿入部材40が部品検出センサ63に検出されることはない。挿入部材40によりガイド部61に押し出された電子部品Cは、後述する加振機構62により部品受け渡し位置Pに搬送される。なお、挿入部材40は、一つの部品収容体20内の全電子部品Cを一列に並んだ状態で部品受け渡し位置P側に移動させた場合に、先頭の電子部品Cを部品受け渡し位置Pまで到達させることが可能な長さに設定しても良い。
【0043】
加振機構62は、ガイド部61を加振することにより、凸条に載置された各電子部品Cを部品受け渡し位置P側に向かって前進移動させる。なお、ガイド部61のいずれの部位をいかなる方向にいかなる周期及び振幅で振動させるかにより、電子部品Cがいずれに向かって移動するかが変わってくるが、ここでは、電子部品Cが前進移動を行うように、加振位置、加振方向、加振周期及び加振振幅が調整されている。
【0044】
[電子部品供給装置の制御系]
図9は電子部品供給装置10の制御系を示すブロック図である。
電子部品供給装置10の制御部90はI/F(インターフェイス)95を備えており、フレーム80の後端部側に設けられており、
図9に示すように、繰り出しモーター53、第一〜第四の支持部材71〜74のアクチュエーター71a〜74a,71b,72bが、それぞれ図示しない駆動回路を介して接続されている。
また、前述した原点センサ56と部品検出センサ63も制御部90のインターフェイス95に接続されている。
【0045】
そして、制御部90は、各種の制御プログラムを実行するCPU91と、制御プログラムが格納されたROM92と、各種のデータを格納することで各種の処理の作業領域となるRAM93と、CPU91と各種の機器との接続を図るI/F95と、各種の設定や操作の入力手段である操作スイッチ94とを有している。
また、操作スイッチ94には、部品供給動作時のエラー報知を行う表示ランプ又はブザー等の報知装置が設けられている。
そして、制御部90では、制御プログラムによって、以下に説明する電子部品の供給動作制御を実行する。
【0046】
図10は上記制御プログラムによりCPU91が実行する供給動作制御の処理の流れを示している。
まず、制御部90のCPU91は、部品検出センサ63の出力によりガイド部61内の電子部品Cが全てピックアップされたか否かを監視する(ステップS1)。
即ち、ガイド部61内にまだ電子部品Cが残っている間は、先頭の電子部品Cが電子部品実装装置によりピックアップされて、部品検出センサ63の検出出力が部品無しとなった場合に加振機構62が駆動され、すぐに次の電子部品Cが前進して部品受け渡し位置Pに到達し、短時間で部品検出センサ63の検出出力が部品ありに戻る。しかし、ガイド部61内に電子部品Cが残っていない場合には、加振機構62を駆動させても部品検出センサ63の検出出力が部品ありに戻らないので、CPU91は、加振機構62を駆動させてから一定時間経過しても部品検出センサ63の検出出力が部品ありとならない場合に、ガイド部61内に電子部品Cがないと判定する。
【0047】
そして、ガイド部61内の電子部品Cが全てピックアップされたと判定した場合には、CPU91は、繰り出しモーター53の駆動を開始する(ステップS3)。
これにより、原点位置で待機していた挿入部材40は前進移動を開始する。そして、挿入部材40が原点位置から前進移動を行うことにより、原点センサ56の出力は挿入部材あり(ON状態)となる。また、挿入部材40は前進することにより、最も下側に位置する部品収容体20の一端部21の開口から挿入され、内部の全ての電子部品Cを前方に押圧し、順番に搬送部60のガイド部61に送り出す。
【0048】
そして、CPU91は、繰り出しモーター53を挿入部材40の前進方向に駆動している間、原点センサ56の出力から、挿入部材40の撓みの発生を監視する(ステップS5)。挿入部材40の撓みは、前述した
図6(C)の場合のように、原点センサ56の出力が挿入部材なし(OFF状態)となるか否かにより判定する。
【0049】
挿入部材40の撓みが発生していないと判定した場合には、CPU91は、部品検出センサ63により、先頭の電子部品Cが部品受け渡し位置Pに到達したか否かを判定する(ステップS7)。
これにより、先頭の電子部品Cが部品受け渡し位置Pに到達していないと判定した場合にはステップS5に処理を戻して、再び、挿入部材40の撓みの発生を監視する。
また、部品検出センサ63により、先頭の電子部品Cの部品受け渡し位置Pへの到達が検出された場合には、CPU91は、繰り出しモーター53の駆動を停止させる(ステップS9)。これにより、最下部の部品収容体20内の電子部品Cは全て搬送部60のガイド部61に送り出された状態となる。
そして、繰り出しモーター53の逆回転での駆動を開始して、金属ベルト41を巻き取ると共に挿入部材40を後退移動させる(ステップS11)。
なお、挿入部材40を後退させても、加振機構62が駆動されているので、電子部品Cは部品受け渡し位置Pに送られる。
【0050】
CPU91は、挿入部材40が後退移動を行っている間、原点位置の復帰(OFF状態)が検出されるまで繰り返し原点センサ56の出力を監視する(ステップS13)。
そして、挿入部材40が原点位置まで戻ったことが検出されると、CPU91は、繰り出しモーター53の逆回転の駆動を停止させる(ステップS15)。
【0051】
次いで、CPU91は、排出機構70のアクチュエーター71a,72a,71b,72bを制御して前述した
図7(A)〜
図7(B)の動作を実行し、空となった部品収容体20を機外に排出する(ステップS17)。
さらに、CPU91は、排出機構70のアクチュエーター71a,72a,73a,74a,71b,72bを制御して前述した
図7(C)〜
図8(C)の動作を実行し、次の部品収容体20を電子部品Cの繰り出しが可能となる位置に移動させる(ステップS19)。
【0052】
一方、ステップS5において、挿入部材40の撓みの発生が検出された場合には、CPU91は、繰り出しモーター53の駆動を停止し(ステップS21)、逆回転での駆動を開始して、金属ベルト41を巻き取ると共に挿入部材40を後退移動させる(ステップS23)。
そして、CPU91は、原点位置の復帰(OFF状態)が検出されるまで巻き取りを継続して(ステップS25)、原点センサ56が復帰(OFF状態)を検出すると、繰り出しモーター53の逆回転の駆動を停止させる(ステップS27)。
その後、挿入部材40の撓みの発生原因なる部品詰まり等が作業者により解消されて、操作スイッチ94に設けられた図示しない復帰ボタンが押されると、ステップS1に処理が戻される。
【0053】
[部品受け渡し位置の技術的効果]
電子部品供給装置10は、部品収容体20に挿入する挿入部材40が部品詰まり等でつかえた場合にその可撓性により撓みを生じることを利用して、挿入部材40のつかえの発生を原点センサ56により検出し、繰り出しモーター53を停止させる。これにより、挿入部材40の前進不能状態で繰り出しモーター53の駆動を継続することによる過負荷の発生を回避することが可能となる。
そして、挿入部材40の撓みから繰り出しモーター53の過負荷を検出するので、従来の部品収容体のように内部に搬送ベルトを装備することは不要であり、単なる筒状体で部品収容体20を形成することができる。このため、部品収容体20について大量生産に適した低コスト化を図ることが可能となる。
【0054】
また、上記のように、挿入部材40の撓みの検出を、当該挿入部材40の原点位置決めに使用する原点センサ56により行っているので、センサを共用することができ、部品点数の低減及び製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0055】
また、電子部品供給装置10の搬送部60がガイド部61を備えているので、当該ガイド部61内に部品収容体20内の全ての電子部品Cを一度に送り出すことができ、繰り出しモーター53の駆動頻度を低減することが可能である。
また、搬送部60は加振機構62を備えるので、より確実に繰り出された電子部品を部品受け渡し位置Pに導くことが可能である。
【0056】
また、制御部90が部品検出センサ63による電子部品Cの検出により繰り出しモーター53を停止させることにより、前進する挿入部材40の停止位置の適正化を図り、電子部品Cを適正に送ることが可能となる。
【0057】
[その他]
なお、挿入部材40は幅を有する金属ベルト41を備える構成としたが、当該金属ベルト41に替えて可撓性を有するワイヤ材を使用しても良い。また、ある程度の剛性と可撓性とを有するのであれば、金属に限らず他の材料(樹脂など)を利用しても良い。
【0058】
また、電子部品供給装置10に搬送部60を備えない構成としても良い。その場合には、先頭の電子部品Cがピックアップされる度に、挿入部材40を前進させて次の電子部品Cを部品受け渡し位置Pに繰り出すように動作制御が行われる。
【0059】
なお、前述した支持板31,32の間隔を調節可能とし、長さの異なる各種の部品収容体を保持部30に積載可能としても良い。
また、部品収容体20が短く、内部の全ての電子部品Cを挿入部材40が繰り出しても、先頭の電子部品Cが部品受け渡し位置Pの部品検出センサ63に届かないような場合には、
図10におけるステップS7における判定を、部品検出センサ63による先頭の電子部品Cの検出に替えて、繰り出しモーター53の前進方向の駆動開始から一定時間が経過したか否かによる判定を行っても良い。
つまり、ステップS3における繰り出しモーター53の駆動開始からの経過時間を計測し、ステップS5及びステップS7を経て、挿入部材40の撓みが生じることなく、繰り出しモーター53が一定時間、前進駆動を継続した場合には、部品収容体20から全ての電子部品Cがガイド部61側に送り出されているのものとみなして、繰り出しモーター53の駆動を停止させる。この場合の一定時間とは、部品収容体20内の電子部品Cを全て送り出すことが可能な時間とすることが望ましい。
この構成の場合には、部品受け渡し位置Pに部品検出センサ63を設けることなく挿入部材40の前進を適正に停止させることが可能となる。
また、上記実施形態では、リード付の電子部品に対応するために部品収容体20の上下方向に沿った断面は、筒状、門型であったが、電子部品はリードが外部に延びる形状のものに限定されず、部品収容体20の断面形状も電子部品の形状に合わせることが可能である。例えば、部品収容体20の形状は筒状、箱型等、種々変更可能である。
また、上記実施形態では、撓み検出部が原点センサを兼ねているが、撓み検出部として別の高さセンサを設け、2個の高さセンサにすることも容易に考えられる。