(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユニット本体内が、動力源であるエンジンや誘導電動機および圧縮機が配設された動力源室と、庫外熱交換器および送風機が配設された熱交換器室とに区画されている輸送用冷凍ユニットにおいて、
前記動力源室および前記熱交換器室は、各々送風機を介して独立して外気が流通可能とされているとともに、前記両室を仕切る仕切り壁に連通口が設けられた構成とされ、
前記連通口に、該連通口を開閉する開閉部材が開閉または着脱自在に設けられ、該開閉部材を開放または取り外し時、前記熱交換器室側の送風機を介して前記動力源室側に外気が流通可能とされていることを特徴とする輸送用冷凍ユニット。
前記開閉部材が、前記動力源室側の前記送風機に異常が発生時、自動もしくは手動により開放または取り外し可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の輸送用冷凍ユニット。
前記動力源室側の前記送風機および/または前記動力源室の外面を覆う外面パネルの少なくとも一部が、着脱自在に設けられ、前記動力源室側の前記送風機が異常時、取り外し可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の輸送用冷凍ユニット。
前記動力源室側の前記送風機が、前記エンジンのラジエータ用冷却ファンと兼用化されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の輸送用冷凍ユニット。
前記庫外熱交換器を蒸発器として機能させ、前記冷凍ユニットをヒートポンプ加熱運転する際、開閉部材が開放または取り外され、前記動力源室側で温められた外気が前記熱交換器室側に取り入れ可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の輸送用冷凍ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2の如く、動力源や圧縮機をエンクローズすることにより、低騒音化することができるが、この場合、動力源等に対する空冷機能が損なわれることから、特許文献1に示すように、仕切り板に設けた通風孔に形状記憶合金製のダンパを設け、動力源室側の温度が上昇したときだけ、ダンパを開いて通風するようにしたものや、エンジンのラジエータ用ファンにより動力源室側を独立して空冷する方式が考えられている。
【0006】
しかしながら、通風孔に形状記憶合金製のダンパを設けたものでは、通常運転時に空冷機能を十分に確保することができないことから、動力源の過熱や効率の低下が懸念される一方、ラジエータ用ファンにより動力源室を独立して空冷する方式としたものでは、ラジエータ用ファンが故障したとき、動力源に対する空冷機能が損なわれることから、冷凍ユニットが運転できなくなり、積荷を損傷してしまうという課題を有している。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ユニット本体内を動力源室と熱交換器室とに区画し、動力源室側のエンクローズ機能を強化して低騒音化を図ると同時に、各室を送風機により独立して冷却可能とし、かつ動力源室側の送風機が異常時にも各動力源を空冷して運転を継続できる輸送用冷凍ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明の輸送用冷凍ユニットは、以下の手段を採用している。
すなわち、本発明にかかる輸送用冷凍ユニットは、ユニット本体内が、動力源であるエンジンや誘導電動機および圧縮機が配設された動力源室と、庫外熱交換器および送風機が配設された熱交換器室とに区画されている輸送用冷凍ユニットにおいて、前記動力源室および前記熱交換器室は、各々送風機を介して独立して外気が流通可能とされているとともに、前記両室を仕切る仕切り壁に連通口が設けられた構成とされ、前記連通口に、該連通口を開閉する開閉部材が開閉または着脱自在に設けられ、該開閉部材を開放または取り外し時、前記熱交換器室側の送風機を介して前記動力源室側に外気が流通可能とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ユニット本体内が動力源室と熱交換器室とに区画された輸送用冷凍ユニットにあって、動力源室および熱交換器室が各々送風機を介して独立して外気が流通可能とされているとともに、両室を仕切る仕切り壁に連通口が設けられた構成とされ、その連通口に、該連通口を開閉する開閉部材が開閉または着脱自在に設けられ、該開閉部材を開放または取り外し時、熱交換器室側の送風機を介して動力源室側に外気が流通可能とされているため、通常に運転時、開閉部材により動力源室と熱交換器室とを連通する連通口を閉鎖しておくことにより、動力源室側の遮音機能を高めることができる一方、動力源室側の送風機に異常が発生し、動力源であるエンジンや誘導電動機および圧縮機等を空冷することが困難になった場合、開閉部材を開放または取り外すことにより、熱交換器室側の送風機を介して動力源室側にも外気を流通することができる。従って、動力源室側のエンクローズ機能を強化し、輸送用冷凍ユニットを低騒音化することができるとともに、仮に動力源室側の冷却用送風機に異常が発生したとしても、そのまま冷凍ユニットの運転を継続することができ、積荷の損傷を防止して輸送の信頼性を確保することができる。
【0010】
さらに、本発明の輸送用冷凍ユニットは、上記の輸送用冷凍ユニットにおいて、前記開閉部材が、前記動力源室側の前記送風機に異常が発生時、自動もしくは手動により開放または取り外し可能とされていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、開閉部材が、動力源室側の送風機に異常が発生時、自動もしくは手動により開放または取り外し可能とされているため、動力源室側の送風機に異常が発生したとしても、その異常を検知して自動もしくは手動で開閉部材を開放または取り外すことにより、熱交換器室側の送風機を介して動力源室側に対し外気を流通させることができ、従って、動力源室側の送風機が故障時にも、動力源室側に外気を流通させ、動力源や圧縮機を冷却して運転を継続することができ、積荷の損傷を防止することができる。
【0012】
さらに、本発明の輸送用冷凍ユニットは、上記の輸送用冷凍ユニットにおいて、前記動力源室側の前記送風機および/または前記動力源室の外面を覆う外面パネルの少なくとも一部が、着脱自在に設けられ、前記動力源室側の前記送風機が異常時、取り外し可能とされていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、動力源室側の送風機および/または動力源室の外面を覆う外面パネルの少なくとも一部が、着脱自在に設けられ、動力源室側の送風機が異常時、取り外し可能とされているため、動力源室側の送風機に異常が発生時、その送風機および/または動力源室の外面を覆う外面パネルの一部を取り外すことにより、動力源室に対して外気を取り込み易くすることができる。従って、動力源室側の送風機が故障時にも、動力源室側に熱交換器室側の送風機を介して外気を流通させ、運転を継続して積荷の損傷を防止することができる。
【0014】
さらに、本発明の輸送用冷凍ユニットは、上述のいずれかの輸送用冷凍ユニットにおいて、前記動力源室側の前記送風機が、前記エンジンのラジエータ用冷却ファンと兼用化されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、動力源室側の送風機が、エンジンのラジエータ用冷却ファンと兼用化されているため、動力源室側の送風機を既存のラジエータ用冷却ファンと兼用化することにより、送風機を徒に増やすことなく、エンジンや誘導電動機等の動力源および圧縮機に対する空冷機能を確保することができる。従って、動力源や圧縮機等の空冷機能を維持しつつ、構成の複雑化を回避して動力源室側のエンクローズ機能を強化することができる。
【0016】
また、本発明の輸送用冷凍ユニットは、上記の輸送用冷凍ユニットにおいて、前記庫外熱交換器を蒸発器として機能させ、前記冷凍ユニットをヒートポンプ加熱運転する際、開閉部材が開放または取り外され、前記動力源室側で温められた外気が前記熱交換器室側に取り入れ可能とされていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、庫外熱交換器を蒸発器として機能させ、冷凍ユニットをヒートポンプ加熱運転する際、開閉部材が開放または取り外され、動力源室側で温められた外気が熱交換器室側に取り入れ可能とされているため、冷凍ユニットをヒートポンプ加熱運転して積荷を加温する際、蒸発器として機能する庫外熱交換器に対して、動力源室側で温められた外気を供給することができる。従って、ヒートポンプ加熱運転時の加温能力を向上することができるとともに、庫外熱交換器に対する着霜を抑制することができる。
【0018】
さらに、本発明の輸送用冷凍ユニットは、上述のいずれかの輸送用冷凍ユニットにおいて、前記開閉部材が、前記仕切り壁の壁面に沿ってスライド可能に設置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、開閉部材が、仕切り壁の壁面に沿ってスライド可能に設置されているため、既に多数の機器類が収容設置されていることから、開閉部材の設置スペースを十分に確保することができない動力源室内もしくは熱交換器室内において、開閉部材を仕切り壁の壁面に沿わせてスライド可能に設置することにより、最小限のスペースで連通口を自動もしくは手動で開閉できる開閉部材を設置することができる。従って、動力源室側もしくは熱交換器室側を拡張することなく、ユニット寸法を維持したまま、開閉部材を設置することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、通常に運転時、開閉部材により動力源室と熱交換器室とを連通する連通口を閉鎖しておくことにより、動力源室側の遮音機能を高めることができる一方、動力源室側の送風機に異常が発生し、動力源であるエンジンや誘導電動機および圧縮機等を空冷することが困難になった場合、開閉部材を開放または取り外すことにより、熱交換器室側の送風機を介して動力源室側にも外気を流通することができるため、動力源室側のエンクローズ機能を強化し、輸送用冷凍ユニットを低騒音化することができるとともに、仮に動力源室側の冷却用送風機に異常が発生したとしても、そのまま冷凍ユニットの運転を継続することができ、積荷の損傷を防止して輸送の信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、
図1ないし
図4を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係る輸送用冷凍ユニットの正面図(A)とその平面図(B)が示され、
図2には、その開閉部材を取り外した状態の正面図(A)とその平面図(B)、
図3には、その変形例に係る輸送用冷凍ユニットの正面図(A)とその平面図(B)、
図4には、その開閉部材を取り外した状態の正面図(A)とその平面図(B)が示されている。
図1および
図2において、輸送用冷凍ユニット1は、コンテナの前面に架装されるタイプのユニットとされており、正面視が略矩形状で奥行き方向(厚さ方向)が所定の薄型寸法とされたユニット本体2を備えている。
【0023】
このユニット本体2内には、冷凍ユニット1の動力源となる機器類と、コンデンシングユニット側の構成機器類とが搭載されており、輸送用冷凍ユニット1は、このユニット本体2内に搭載されている動力源となる機器類、コンデンシングユニット側の構成機器類およびコンテナ内部に設置されているエバポレータユニット側の構成機器類とから構成されるものである。
【0024】
ユニット本体2は、内部が仕切り壁3によって上下2室に区画されており、下部室が動力源室4、上部室が熱交換器室5とされている。下部の動力源室4内には、冷凍ユニット1の動力源となる専用のエンジン(サブエンジンとも云う。)や誘導電動機、更には冷媒を圧縮する圧縮機等の機器類(以下、本実施形態では、これらを総称して動力源6と称する場合もある。)、並びにエンジンの補機であるラジエータ7およびラジエータ用冷却ファン8等が配設されている。
【0025】
動力源室4の外周は、外面パネル9でエンクローズされている。なお、この外面パネル9は、必要に応じて内面に吸音が張り付けられた吸音パネルとしてもよい。また、外面パネル9には、適所に外気を取り入れる外気取り入れ口10と、それを排気する排気口11が設けられ、動力源6を空冷するための外気が流通可能とされている。この外気は、ラジエータ用冷却ファン8を外気流通用の送風機として兼用化することにより、強制的に流通される構成とされている。
【0026】
上部の熱交換器室5内には、冷却運転時に凝縮器、加温運転時に蒸発器として作用する庫外熱交換器12と、この庫外熱交換器12に対して外気を通風する送風機13とが配設されている。ここでは、庫外熱交換器12が左右に分割配置されており、その庫外熱交換器12に対し送風機13が通風方向の上流側に配置され、送風機13からの吹き出し風を庫外熱交換器12に押し込んで通風するプッシャー方式の例が示されている。なお、送風機13は、1台のみが図示されているが、庫外熱交換器12の大きさに応じて複数台設置してもよいことはもちろんである。
【0027】
熱交換器室5の外周も、外面パネル14によりエンクローズされており、その正面中央部に外気を吸込むための吸込みグリル15が設けられ、吸込みグリル15を挟んでその両側部に吹出しグリル16が設けられた構成とされている。この熱交換器室5には、送風機13を介して吸込みグリル15から外気が吸込まれ、庫外熱交換器12を通風後、吹出しグリル16から外部に排気されることにより、外気が強制流通される構成とされている。
【0028】
さらに、本実施形態では、ユニット本体2の内部を動力源室4と熱交換器室5とに区画している仕切り壁3の中央部位に、動力源室4と熱交換器室5間を連通する連通口17が設けられるとともに、その連通口17に対して、該連通口17を開閉する開閉部材18が開閉または着脱自在に設けられた構成とされている。
【0029】
上記連通口17は、通常の冷却運転時は閉鎖状態とされており、後述するようにラジエータ用冷却ファン8が異常時(故障時)や、もしくは低外気温下の加温運転時に、互いに区画されている動力源室4と熱交換器室5間において外気を吸排可能とするためのものであり、熱交換器室5に設けられている送風機13を介して、動力源室4内において動力源6を空冷するための外気を流通可能な大きさの開口とされている。
【0030】
また、連通口17を開閉する開閉部材18は、メンテナンスの頻度が高い動力源室4側に設けられており、ボルト等を介して着脱自在とされるか、またはアクチュエータを介して自動でもしくは手動によって開閉自在とされている。開閉部材18をアクチュエータによって自動で開閉する場合、異常検知信号や加温運転信号に基づいてアクチュエータを駆動し、開閉部材18を開放するようにすればよい。
【0031】
なお、上記した
図1、
図2に示す実施形態は、庫外熱交換器12に対して送風機13を通風方向の上流側に配置したプッシャー方式についてのものであるが、
図3、
図4に示すように、庫外熱交換器12に対して送風機13を通風方向の下流側に配置し、送風機13による吸引風を庫外熱交換器12に通風するプラー方式の構成とした冷凍ユニット1にも同様に適用できるものである。
【0032】
この場合、連通口17を通しての外気の吸排は、プッシャー方式では、
図2に矢印で示すように、連通口17を通して熱交換器室5側から動力源室4側に外気が流通されるのに対し、プラー方式では、
図4に矢印で示すように、逆に連通口17を通して動力源室4側から熱交換器室5側に外気が流通されることになる。また、庫外熱交換器12は、吸込みグリル15に対向して配置され、その両側の吹出しグリル16に面して送風機13が分散配置されたレイアウトとされている。
【0033】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
輸送用冷凍ユニット1において、動力源6が配設されている動力源室4と、庫外熱交換器12および送風機13が配設されている熱交換器室5とが仕切り壁3により区画されており、動力源室4は、ラジエータ用冷却ファン8を兼用化することにより、独立して外気が流通可能とされ、また、熱交換器室5は、送風機13を介して外気が庫外熱交換器12を通して流通可能とされている。
【0034】
このため、通常の冷却運転時は、熱交換器室5側において、送風機13を介して流通される外気と庫外熱交換器12内を流通する冷媒とが熱交換され、冷凍サイクルが機能されることにより、コンテナ内を冷却することができる。また、動力源室4においては、ラジエータ用冷却ファン8を介して流通される外気により、動力源6であるエンジン、誘導電動機、圧縮機並びにエンジン用のラジエータ7等を空冷して運転することができる。
【0035】
一方、通常の冷却運転時、仕切り壁3に設けられている連通口17は、
図1(A)および
図3(A)に示されるように、開閉部材18により閉鎖されており、動力源室4が仕切り壁3および外面パネル9によってエンクローズされていることから、騒音源である動力源6からの発生音を遮音し、外部への放出を最小限にして輸送用冷凍ユニット1を低騒音化することができる。
【0036】
また、動力源室4側において、外気を流通させ、動力源6を空冷する送風機であるラジエータ用冷却ファン8に異常が発生し、運転ができなくなった場合、そのままでは、冷凍ユニット1の運転を継続することができなくなるが、本実施形態では、仕切り壁3に開閉部材18を備えた連通口17を設け、その開閉部材18を開閉または着脱自在としているため、ラジエータ用冷却ファン8が異常停止しても、それを検知して開閉部材18を手動または自動により取り外すかまたは開くことにより、
図2または
図4に示すように、熱交換器室5側の送風機13を介して動力源室4内に外気を流通させることができる。
【0037】
つまり、ラジエータ用冷却ファン8が異常停止しても、熱交換器室5側の送風機13が回転しておれば、送風機13から吹出された外気の一部が、
図2に示されるように、連通口17を経て動力源室4内に吹出され、動力源室4内を流通して外部に排気されることになるため、この外気流により動力源6を空冷することができる。同様に、
図4に示すプラー方式の場合、熱交換器室5側の送風機13の吸引作用により、連通口17を経て動力源室4側の空気を吸引することにより、動力源室4側において外気を流通させ、動力源6を空冷することができる。
【0038】
従って、本実施形態によると、動力源室4側の送風機であるラジエータ用冷却ファン8が故障等で異常停止した場合でも、動力源6に対する空冷機能を確保して冷却運転を継続することができ、積荷の損傷を防止して輸送の信頼性を確保することができる。また、動力源室4と熱交換器室5とを区画して動力源室4側のエンクローズ機能を強化することにより、輸送用冷凍ユニット1の低騒音化を図ることができる。
【0039】
また、開閉部材18は、動力源室4側の送風機であるラジエータ用冷却ファン8に異常が発生時、自動もしくは手動により開放または取り外し可能とされているため、動力源室4側の空冷用の送風機(冷却ファン8)に異常が発生時したとしても、その異常を検知して自動もしくは手動で開閉部材18を開放または取り外すことにより、熱交換器室5側の送風機13を介して動力源室4側に対し外気を流通させることができ、従って、動力源室4側の送風機(冷却ファン8)が故障時にも、動力源室4側に外気を流通させ、動力源6や圧縮機を冷却して運転を継続することができ、積荷の損傷を防止することができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、動力源室4側の送風機が、エンジンのラジエータ用冷却ファン8と兼用化されている。このため、動力源室4側の送風機を既存のラジエータ用冷却ファン8と兼用化することにより、送風機を徒に増やすことなく、エンジンや誘導電動機等の動力源6および圧縮機に対する空冷機能を確保することができる。これによって、動力源6や圧縮機等の空冷機能を維持しつつ、構成の複雑化を回避して動力源室4側のエンクローズ機能を強化することができる。
【0041】
[他の実施形態]
次に、本発明の他の実施形態について、
図5ないし
図9を用いて説明する。
(1)上記第1実施形態では、開閉部材18が、動力源室4側において、仕切り壁3に対してボルト等により着脱自在またはアクチュエータ等を介して開閉自在に設けられているが、
図5に示すように、仕切り壁3にガイド溝19を設け、このガイド溝19に対して平板状の開閉部材18Aをスライド自在に嵌合し、手動またはアクチュエータにより自動で開閉可能としてもよい。
【0042】
このように、開閉部材18Aを仕切り壁3にガイド溝19を設け、その壁面に沿ってスライド可能に設置することにより、既に多数の機器類が収容設置されており、開閉部材18A用の設置スペースを十分に確保することができない動力源室4内もしくは熱交換器室5内において、最小限のスペースで連通口17を自動もしくは手動で開閉できる開閉部材18Aを設置することができる。従って、動力源室4側もしくは熱交換器室5側を拡張することなく、ユニット寸法を維持したまま、開閉部材18Aを設置することができる。
【0043】
(2)上記第1実施形態では、開閉部材18が、メンテナンスの頻度が高く、着脱等がし易いと考えられる動力源室4側に設けられているが、動力源室4側に設けることを必須とするものではなく、設置スペース等を考慮して、
図6に示されるように、熱交換器室5側に開閉部材18Bを設置してもよい。これによっても、第1実施形態と同様の効果を期待することができる。特に、スペース的に動力源室4側に比べて熱交換器室5側の方に余裕がある場合は、開閉部材18Bを熱交換器室5側に設置し、アクチュエータにより自動開閉できるようにすることが好ましい。
【0044】
(3)上記第1実施形態では、動力源室4側の送風機であるラジエータ用冷却ファン8に異常が発生時、開閉部材18を取り外しまたは開くことにより、熱交換器室5側の送風機13を介して動力源室4側で外気を流通させるようにしているが、この際、
図7に示されるように、ラジエータ用冷却ファン8Aを着脱自在に構成しておき、開閉部材18を取り外しまたは開くと同時に、ラジエータ用冷却ファン8Aを取り外すようにしてもよい。
【0045】
このように、ラジエータ用冷却ファン8Aを着脱自在とし、該冷却ファン8Aが異常発生時、それを取り外すことにより、熱交換器室5側の送風機13を介して動力源室4側に外気を取り込み易くすることができるため、動力源6に対する空冷機能を維持して運転を継続し、積荷の損傷を防止することができる。
【0046】
(4)上記(3)のように、異常が発生(故障)したラジエータ用冷却ファン8Aを取り外すだけでなく、
図8に示されるように、動力源室4の外周をエンクローズしている外面パネル9の一部である左右の側部パネル9A,9Bを着脱自在に構成しておき、開閉部材18を取り外しまたは開くと同時に、左右の側部パネル9A,9Bを取り外すようにしてもよい。なお、この場合、ラジエータ用冷却ファン8Aを同時に取り外してもよい。
【0047】
このように、動力源室4側の送風機であるラジエータ用冷却ファン8Aに異常が発生した時、
図8(B)に示すように、動力源室4の外周をエンクローズしている外面パネル9の一部である左右の側部パネル9A,9Bを取り外すことにより、熱交換器室5側の送風機13を介して動力源室4側に外気をより取り込み易くすることができる。従って、動力源6に対する空冷機能を維持して運転を継続し、積荷の損傷を防止することができる。
【0048】
(5)以上の実施形態では、輸送用冷凍ユニット1を冷却運転している時、動力源室4側の送風機であるラジエータ用冷却ファン8に異常が発生した場合の対応として、開閉部材18を取り外しまたは開き、熱交換器室5側の送風機13を介して、動力源室4側に外気を吸・排し、動力源6を空冷する例について説明したが、仕切り壁3に対して連通口17を設け、その連通口17に開閉部材18を設置したことにより、輸送用冷凍ユニット1をヒートポンプ加熱運転する際、動力源室4内で動力源6を空冷することで温度上昇した外気の熱を、ヒートポンプ加熱運転に有効利用して加熱能力を向上することができる。
【0049】
近年、輸送用冷凍ユニット1でも、積荷を加温して輸送する際、ヒートポンプサイクルで加熱運転するようにしたものが見られる。この場合、庫内側の熱交換器が凝縮器、庫外熱交換器12が蒸発器とされ、外気から吸熱して運転されるため、外気温が低いと、加熱能力が低下したり、あるいは庫外熱交換器12に着霜したりする等の問題が生ずる。
本実施形態では、連通口17および開閉部材18を利用し、
図9に示すように、ヒートポンプ加熱運転時、開閉部材18を取り外しまたは開放することにより、動力源室4側で動力源6を空冷することで温度上昇した外気を熱交換器室5側に取り込み、庫外熱交換器12に通風するようにしている。
【0050】
これにより、ヒートポンプ加熱運転時、蒸発器として機能する庫外熱交換器12で温度上昇した外気から吸熱して熱を汲み上げ、それを凝縮器として機能する庫内側熱交換器から庫内に放熱して積荷を加温することができる。従って、輸送用冷凍ユニット1をヒートポンプ加熱運転する際、連通口17および開閉部材18を有効に利用して、加温能力を向上することができるとともに、庫外熱交換器12に対する着霜を抑制することができる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、コンテナの前面に架装されるタイプの輸送用冷凍ユニット1の例について説明したが、他の動力発生源を搭載した一体型の輸送用冷凍ユニットやアンダーマウントタイプの輸送用冷凍ユニットにも同様に適用できることは云うまでもない。
【0052】
また、上記実施形態では、送風機としてプロペラファンを用いたものを例示したが、これに限定されるものではなく、他のファンを用いてもよいことはもちろんであり、他の構成機器類についても同様である。