(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記塵埃除去機構には、その下部を覆うように前記ブラシ部材により前記エアフィルタの下面から掻き取られた塵埃を収集し、蓄積するダストボックスが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機のエアフィルタ清掃機構。
前記ブラシ材は、基布に対してパイル糸が立毛された厚さが数ミリのブラシ材とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の空気調和機のエアフィルタ清掃機構。
前記クッション材および前記ブラシ材は、接着剤または両面接着テープを介して前記円筒状部材に張設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の空気調和機のエアフィルタ清掃機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示す掻き取り方式のエアフィルタ清掃機構は、エアフィルタの下面にブラシ部材を当接させて移動させ、エアフィルタで捕集された塵埃をブラシ部材により掻き取るものであるため、ブラシ部材の立毛を十分短くして塵埃の掻き取り力を高めることが望ましい反面、立毛を短くして掻き取り力を高めたとき、強度部材として格子状のフィルタ枠を備えているエアフィルタの格子状フィルタ枠にブラシ部材が接し、それを越えて移動する際、駆動機構に大きな負荷トルクがかかる場合がある。従って、大きな負荷トルクが発生しても、ブラシ部材の移動が停止されないように、負荷トルクの大きいモータを使う必要があり、コストアップ要因となっていた。
【0008】
一方、特許文献2に、円筒状駆動ローラの外周面に、エアフィルタの桟部への当たりを吸収するように変形しながらエアフィルタのメッシュ面を押圧する軟質変形部を設けたエアフィルタ清掃機構が開示されているが、この円筒状駆動ローラは、エアフィルタを挟んで回転ブラシと対向配置され、エアフィルタのメッシュ面を回転ブラシ側に押圧することにより、回転ブラシによる塵埃の掻き取り効率を向上できるようにした回転ブラシ方式のエアフィルタ清掃機構に係るものであり、上記した掻き取り方式のエアフィルタ清掃機構における課題を解決し得るものではない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、掻き取り方式のエアフィルタ清掃機構において、ブラシ部材の立毛を短くして塵埃の掻き取り力を高めても、駆動機構にかかる負荷トルクの変動を小さくでき、しかもブラシ部材を確実にエアフィルタ下面に当接させて移動させ、掻き取り残しを低減して清掃性能を向上できるエアフィルタ清掃機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明の空気調和機のエアフィルタ清掃機構は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる空気調和機のエアフィルタ清掃機構は、強度部材として格子状のフィルタ枠を備え、ユニット本体の空気吸い込み口に配設される平面形状のエアフィルタと、前記エアフィルタを挟むようにその両側に対向配置される一対の駆動機構と、前記一対の駆動機構間に結合して配設され、前記エアフィルタの下面に当接して移動されることにより、該エアフィルタで捕集された塵埃を掻き取る塵埃除去機構と、を備え、前記塵埃除去機構は、前記駆動機構に連結されるブラシ支持部材と、該ブラシ支持部材に回転可能に支持されるブラシ部材とから構成され、前記ブラシ部材は、外周の一部が切欠かれている円筒状部材と、その円筒状部材の外周面に柔軟性を有するクッション材を介在して張設され、前記エアフィルタの下面に当接して移動されるブラシ材とから構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、エアフィルタの下面に当接して移動され、エアフィルタで捕集された塵埃を掻き取る塵埃除去機構が、駆動機構に連結されるブラシ支持部材と、このブラシ支持部材に回動可能に支持されるブラシ部材とから構成され、該ブラシ部材が、外周の一部が切欠かれている円筒状部材と、その円筒状部材の外周面に柔軟性を有するクッション材を介在して張設され、エアフィルタの下面に当接して移動されるブラシ材とから構成されているため、エアフィルタの清掃時に、ブラシ部材のブラシ材がエアフィルタの下面に当接されて移動される際、エアフィルタの強度部材である格子状フィルタ枠にブラシ材が接触したとしても、柔軟性を有するクッション材がそれに追従して変形されることから、ブラシ部材を移動する駆動機構に大きな負荷トルクがかかることがなく、ブラシ部材をエアフィルタの下面に当接させて円滑に移動させることができる。また、エアフィルタのメッシュ面に多少の凹凸があっても、クッション材の弾性変形によりその凹凸に追従させてブラシ材をメッシュ面に当接させ、移動させることができる。従って、ブラシ材の立毛を十分短くして塵埃の掻き取り力を確保することができるとともに、そのブラシ材を確実にエアフィルタの下面に当接させて移動させることができ、掻き取り残しを低減して清掃性能を向上することができる。また、駆動機構にかかる負荷トルクの変動を小さくすることにより、駆動機構を構成するモータの小型化、低コスト化を図ることができる。
【0012】
さらに、本発明の空気調和機のエアフィルタ清掃機構は、上記の空気調和機のエアフィルタ清掃機構において、前記塵埃除去機構には、その下部を覆うように前記ブラシ部材により前記エアフィルタの下面から掻き取られた塵埃を収集し、蓄積するダストボックスが設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、塵埃除去機構に、その下部を覆うようにブラシ部材によりエアフィルタから掻き取られた塵埃を収集し、蓄積するダストボックスが設けられているため、ブラシ部材によって掻き取った塵埃を、塵埃除去機構の下部を覆っているダストボックス内に落下させて収集し、蓄積することができる。従って、掻き取られた塵埃が再飛散する虞がなく、またエアフィルタを清掃する度に掻き取られた塵埃を廃棄処理する必要がなく、ダストボックス内に収集、蓄積した後、適当な時期に廃棄処理することができる。
【0014】
さらに、本発明の空気調和機のエアフィルタ清掃機構は、上述のいずれかの空気調和機のエアフィルタ清掃機構において、前記クッション材は、シート状のスポンジ材により構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、クッション材が、シート状のスポンジ材により構成されているため、ブラシ材を円筒状部材の外周面に張設する際、シート状のスポンジ材を張り、その上にブラシ材を張設するか、もしくはブラシ材を張ったシート状のスポンジ材を円筒状部材の外周面に張設すればよく、シート状のスポンジ材を介在させるだけでブラシ部材のエアフィルタ表面に対する追従性の高めることができる。従って、ブラシ部材をエアフィルタ表面に当接させて移動させ、塵埃を掻き取る方式の塵埃除去機構による清掃性能を向上することができるとともに、その移動を円滑化し、負荷変動を小さくして駆動機構のモータの小型化、低コスト化を図ることができる。
【0016】
さらに、本発明の空気調和機のエアフィルタ清掃機構は、上述のいずれかの空気調和機のエアフィルタ清掃機構において、前記ブラシ材は、基布に対してパイル糸が立毛された厚さが数ミリのブラシ材とされていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、ブラシ材が、基布に対してパイル糸が立毛された厚さが数ミリのブラシ材とされているため、パイル糸で構成される立毛の長さを数ミリとしたブラシ材をクッション材に張り、それを円筒状部材の外周面に張設することにより、立毛を短くして塵埃の掻き取り力を高め、かつエアフィルタの表面に対する追従性を高めたブラシ部材を構成することができる。従って、塵埃の掻き取り力を十分に確保したブラシ部材を、エアフィルタの表面に確実に接触、追従させて塵埃を掻き取ることができ、エアフィルタの清掃性能を向上することができる。
【0018】
さらに、本発明の空気調和機のエアフィルタ清掃機構は、上述のいずれかの空気調和機のエアフィルタ清掃機構において、前記クッション材および前記ブラシ材は、接着剤または両面接着テープを介して前記円筒状部材に張設されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、クッション材およびブラシ材が、接着剤または両面接着テープを介して円筒状部材に張設されているため、円筒状部材の外周面に対してクッション材およびブラシ材を接着剤または両面接着テープを用いて簡便に張設することができる。従って、クッション材を介在したブラシ部材を簡易に低コストで提供でき、清掃性能の向上に資することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、エアフィルタの清掃時に、ブラシ部材のブラシ材がエアフィルタの下面に当接されて移動される際、エアフィルタの強度部材である格子状フィルタ枠にブラシ材が接触したとしても、柔軟性を有するクッション材がそれに追従して変形されることから、ブラシ部材を移動する駆動機構に大きな負荷トルクがかかることがなく、ブラシ部材をエアフィルタの下面に当接させて円滑に移動させることができる。また、エアフィルタのメッシュ面に多少の凹凸があっても、クッション材の弾性変形によりその凹凸に追従させてブラシ材をメッシュ面に当接させ、移動させることができるため、ブラシ材の立毛を十分短くして塵埃の掻き取り力を確保することができるとともに、そのブラシ材を確実にエアフィルタの下面に当接させて移動させることができ、掻き取り残しを低減して清掃性能を向上することができる。また、駆動機構にかかる負荷トルクの変動を小さくすることにより、駆動機構を構成するモータの小型化、低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、
図1ないし
図12を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係る天井埋込み型空気調和機の斜視図が示されている。
空気調和機1は、
図1に示されるように、室内の天井に設置される室内機2と、室外に設置される室外機3とから構成されており、この室内機2と室外機3は、液管およびガス管からなる2本の冷媒配管4と電気配線5を介して接続されている。
【0023】
室外機3は、
図1に示されるように、冷媒を圧縮する圧縮機6、冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器7、室外熱交換器7に外気を流通させる室外ファン8および制御ボックス9等から構成されている。また、室内機2は、
図1に示されるように、天井内に設置されるユニット本体10と、ユニット本体10の下部に装着される天井パネル11とを備えている。ユニット本体10内には、中央部にターボファン12がファンモータ(図示省略)を介して回転自在に設置され、該ターボファン12の周りを取り囲むように室内熱交換器13が設置されている。また、ターボファン12の下方には、室内空気をターボファン12に導くベルマウス14が配置されている。
【0024】
上記したユニット本体10の下面を覆うように天井パネル11が設けられている。天井パネル11の中央部には、室内空気を吸込むための4角形状の開口(空気吸込み口)15が設けられており、この開口15には、吸込みグリル16が設置されている。吸込みグリル16は、天井パネル11に対して、ワイヤ17、図示省略の昇降モータ等を介して後述するエアフィルタ清掃機構22を構成するダストボックス30等と共に室内の床面近くまで降下されるように昇降自在とされている。
【0025】
天井パネル11には、空気吸込み口15の周りを取り囲むように、パネルの4辺に対応した空気吹出し口18が4箇所に設けられており、該空気吹出し口18を介して室内熱交換器13で冷却または加熱された空気が室内に吹出されるようになっている。4つの空気吹出し口18には、吹出し風の風向を調整するためのフラップ19がそれぞれ独立して回動可能に設置されている。
【0026】
図2には、吸込みグリル16を取り外した状態の天井パネル11を下方から見た斜視図が示されている。天井パネル11の裏面側には、4角形状の空気吸込み口15と対応した形状の枠体20が設けられており、この枠体20を介してターボファン12に吸引される空気中の塵埃を捕集する4角形状のエアフィルタ21(
図1では、このエアフィルタ21が外された状態とされている)が設置されている。エアフィルタ21は、強度部材として機能する格子状のフィルタ枠21Aとメッシュ面21Bとからなる平面形状のエアフィルタであり、公知のエアフィルタを用いることができる。
【0027】
また、枠体20には、エアフィルタ21により捕集された塵埃を自動的に除去してエアフィルタ21を清掃するエアフィルタ清掃機構22が組み込まれている。このエアフィルタ清掃機構22の平面図が
図3に示され、
図4にそのA−A縦断面相当図、
図5に吸込みグリル16およびダストボックス30を下降させた状態の縦断面相当図が示されている。エアフィルタ清掃機構22は、エアフィルタ21と吸込みグリル16との間に組み込まれており、該エアフィルタ清掃機構22を構成しているダストボックス30が吸込みグリル16と共に昇降可能とされている(
図5参照)。
【0028】
エアフィルタ21の下面側には、吸込みグリル16との間にエアフィルタ清掃機構22を構成する平行に対向配置された左右一対の駆動機構23と、駆動機構23を介してエアフィルタ21の下面に沿って往復動される塵埃除去機構24とが設置されている。左右一対の駆動機構23は、エアフィルタ21を挟むようにその左右両側にエアフィルタ21に沿って延長された一対のドライブシャフト25と、各ドライブシャフト25を回転駆動するモータ26と、ドライブシャフト25を回転自在に支持する軸受け27等とから構成されている。
【0029】
ドライブシャフト25は、外周に雄ネジが設けられたネジ軸とされており、一端部がモータ26に連結され、他端部が軸受け27により支持されることによって回転自在とされている。モータ26は、
図3に示されるように、ドライブシャフト25の一端部に連結されて配置され、かつエアフィルタ21に対して対角線上に配置されている。このような配置構成とすることにより、エアフィルタ21を挟んだ一方の側および他方の側に、同一のドライブシャフト25およびモータ26を配置することができ、ドライブシャフト25およびモータ26として用いられる部品の共通化を図ることができる。
【0030】
塵埃除去機構24は、左右一対の駆動機構25間に、駆動機構25と直交する方向に配置されるとともに、その両端部が左右一対の駆動機構25に連結され、駆動機構25の延長方向に往復動されることにより、エアフィルタ21で捕集された塵埃を掻き取り除去するものである。言い換えると、塵埃除去機構24は、ドライブシャフト25の延長方向にエアフィルタ21の下面に沿って往復移動されることにより、エアフィルタ21の下面から塵埃を掻き取り除去するものである。
【0031】
塵埃除去機構24は、ドライブシャフト25の延長方向、つまり移動方向に対して直交する方向に延びる細長い円筒状のブラシ部材28と、該ブラシ部材28を支えるブラシ支持部材29と、ブラシ部材28によりエアフィルタ21から掻き取り除去された塵埃を捕集するダストボックス30とを備えている。円筒状のブラシ部材28は、
図6および
図10ないし
図12に示されるように、両端軸部28Eがブラシ支持部材29に回動可能に支持されるとともに、外周の一部が切欠き面28Bとされている円筒状部材28Aと、円筒状部材28Aの外周面に柔軟性を有するクッション材28Cを介在して張設され、エアフィルタの下面に当接して移動されるブラシ材28Dとから構成されている。
【0032】
ブラシ材28Dは、基布に対して径方向外側に向かって、周方向の一方向に傾斜して延びる多数の繊維(パイル糸)が立毛された厚さが数ミリ(例えば、2〜3mm)のブラシ材とされており、スポンジ材からなるシート状のクッション材28Cを介在して円筒状部材28Aの外周面の所定の範囲に張設されている。円筒状部材28Aは、プラスチック成型品であり、その外周面にクッション材28Cおよびブラシ材28Dがそれぞれ接着剤または両面接着テープを介して張設されるようになっている。
【0033】
このブラシ部材28は、多数の繊維が立毛されているブラシ材28Dが、
図6および
図8に示されるように、エアフィルタ21の下面と当接する位置に回転され、その状態でブラシ部材28がエアフィルタ21の下面に沿って移動されることにより、ブラシ材28Dの多数の繊維でエアフィルタ21の下面(空気流に対する上流面)に捕集されている塵埃を掻き取って、エアフィルタ21から除去する構成とされている。なお、このブラシ部材28は、後述するように、一方向への往動時、上記の如く塵埃を掻き取り、多方向への復動時、切欠き面28Bがエアフィルタ21の下面と対向する位置に回転され、エアフィルタ21の下面に対し非接触状態とされて復動されるようになっている。
【0034】
また、ブラシ支持部材29は、
図4ないし
図6および
図8に示されるように、ブラシ部材28の周囲を覆うとともに、ブラシ部材28をその長手軸線まわり(
図4の紙面に対して垂直な軸線まわり)に回転可能に支持するものであり、エアフィルタ21側および吸込みグリル16側に面する上面および下面に、それぞれ開口29A,29B(
図6参照)が設けられ、ブラシ部材28がエアフィルタ21の下面に開口29Aを介して当接可能とされるとともに、エアフィルタ21から除去された塵埃が開口29Bを介してダストボックス30内に落下し、収集可能とされている。
【0035】
さらに、ブラシ支持部材29の長手方向の両端部には、左右一対の駆動機構23のドライブシャフト25が貫通され、ドライブシャフト25の外周に設けられている雄ネジと噛み合わされる雌ネジ29C(
図3参照)が設けられている。これによって、塵埃除去機構24の両端部が左右一対の駆動機構23、すなわち平行な一対のドライブシャフト25に連結され、ドライブシャフト25がモータ26を介して回転されることにより、塵埃除去機構24がドライブシャフト25の延長方向に移動可能とされている。
【0036】
図7には、吸込みグリル16とダストボックス30との配置関係が示されている。
ダストボックス30は、
図4、
図5に示されるように、ブラシ部材28およびブラシ支持部材29と共に移動し、ブラシ部材28によりエアフィルタ21から除去された塵埃を収集するものである。また、ダストボックス30は、エアフィルタ21、ブラシ部材28およびブラシ支持部材29等から分離され、吸込みグリル16と共にワイヤ17を介して昇降可能とされているものである。このダストボックス30には、収集部31と、爪部32および誘導部33とが設けられている。
【0037】
収集部31は、ダストボックス30の本体であり、ブラシ部材28によりエアフィルタ21から除去された塵埃を収集する凹部にて構成されている。収集部31の凹部は、ドライブシャフト25の延長方向に対して直交する方向、すなわちブラシ28に沿って延長されるとともに、吸込みグリル16側に凹むものであり、エアフィルタ21から除去された一定量の塵埃を蓄積することが可能な容積(深さ、幅、長さ)を有している。
【0038】
爪部32は、ブラシ部材28およびブラシ支持部材29の移動をダストボックス30に伝達するとともに、互いに分離されているブラシ部材28およびブラシ支持部材29とダストボックス30とを一体化させるためのものである。爪部32は、
図7に示されるように、ダストボックス30の上面の4隅に配置されたものであり、上方に向って突出されており、4箇所の爪部32内にブラシ支持部材29が収納可能とされている。つまり、ブラシ支持部材29がダストボックス30の外側から内側に向って移動し、爪部32の傾斜面と接触すると、爪部32が弾性変形して回動することによりブラシ支持部29が4箇所の爪部32内に納まるようになっている。
【0039】
誘導部33は、
図7に示されるように、吸込みグリル16側に設けられたレール34とともに、ダストボックス30を吸込みグリル16の面に沿って移動させるものである。この誘導部33には、ダストボックス30における長手方向の両端のそれぞれに一対の車輪35が設けられている。車輪35は、吸込みグリル16の面に対して直交方向に延びる回転軸線まわりに回転可能に支持された円柱状の部材である。車輪35の円周面には、レール34が配置される円環状の溝が形成されている。
【0040】
レール34は、
図7に示されるように、吸込みグリル16に対して着脱可能とされた板状の部材である。レール34には、吸込みグリル16の面に沿って延びるとともに、吸込みグリル16の外側から内側に向って延びる突出部が設けられ、レール34の突出部と車輪35の溝とが噛み合わされている。なお、吸込みグリル16およびダストボックス30を天井面に配置された天井パネル11に対して昇降自在とするワイヤ17は、一端部が吸込みグリル16の縁領域である枠部の4隅に固定され、他端部が天井パネル11またはユニット本体10内に設けられた昇降用モータのプーリに巻きつけられており、昇降用モータの回転により吸込みグリル16およびダストボックス30が昇降可能とされている。
【0041】
また、ブラシ部材28の両端軸部28Eは、上述の如くブラシ支持部材29の両端部位に回転自在に支持されており、その両端軸部28Eには、
図9に示されるように、ブラシ部材28を回転する一対の歯車36が設けられている。歯車36は、ブラシ支持部材29に隣接して設置されている図示省略のブラシモータのモータ軸(ブラシモータ軸)37に設けられた歯車38と噛み合わされ、左右一対のブラシモータを介してブラシ部材28が回転可能とされている。なお、この左右一対のブラシモータは、歯車36に対して逆サイドに設置され、部品の共通化が図れるようになっている。
【0042】
なお、本実施形態では、
図9に示す如く、一対の駆動機構23を介して移動される塵埃除去機構24の両端に一対の位置検知手段43を設け、塵埃除去機構24の移動に伴いその両側に配置されている一対の位置検知用部材39,40に設けられている突起41,42を検知することにより、塵埃除去機構24の両端位置とその状態を検知し、その検知信号に基づいて一対の駆動機構23のモータ26をオンオフ制御し、塵埃除去機構24の両端位置を調整できる構成としている。
【0043】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果が奏される。
上記空気調和機1において、冷房時、室外機3の室外熱交換器7が凝縮器、室内機2の室内熱交換器13が蒸発器として作用し、また、暖房時、室外機3の室外熱交換器7が蒸発器、室内機2の室内熱交換器13が凝縮器として作用する一方、ターボファン12を介して室内空気が循環され、室内熱交換器13で熱交換される。これにより、冷房時、室内空気は蒸発器として作用する室内熱交換器13で冷却され、室内に吹出されることにより冷房に供される。また、暖房時、室内空気は凝縮器として作用する室内熱交換器13で加熱され、室内に吹出されることにより暖房に供されることになる。
【0044】
この冷暖房時、室内空気は、ターボファン12により、吸込みグリル16から空気吸込み口15、エアフィルタ21、ベルマウス14を経て吸込まれる。この空気は、ターボファン12から半径方向外側へ吹出され、室内熱交換器13を通過する過程で冷却または加熱された後、吹出し口18を経て室内に吹出される。室内機2のユニット本体10に吸込まれる空気は、エアフィルタ21を通過する過程で、空気中に含まれている塵埃が捕集される。この塵埃は、運転時間が経過するに伴ってエアフィルタ21の上流面(下面)に堆積し、空気の流通を阻害して空気調和機1の運転効率を低下するため、適切な頻度で除去する必要がある。
【0045】
エアフィルタ21に堆積した塵埃の除去は、エアフィルタ清掃機構22を適当なインターバル、例えば空気調和機1の累積運転時間が設定時間経過後の運転終了時毎に稼働することにより行われる。このエアフィルタ21の清掃運転は、軸部28Eに連結されたブラシモータを介してブラシ部材28を所定角度回転させ、ブラシ材28Dをエアフィルタ21の下面(上流面)に接触させた状態(
図6、
図8参照)とし、この状態で駆動機構23のモータ26を駆動してドライブシャフト25を回転させ、塵埃除去機構24をエアフィルタ21の一端側(スタート位置)から他端側(折返し位置)に向けて移動させることにより行われる。
【0046】
つまり、塵埃除去機構24の移動(往動)に伴い、そのブラシ部材28がエアフィルタ21の下面に沿って移動されることにより、エアフィルタ21の下面に当接されているブラシ材28Dの多数の繊維(パイル糸)が、エアフィルタ21の下面に堆積していた塵埃を掻き取るように作用し、これによって、エアフィルタ21は塵埃が付着していない状態に復元される。一方、エアフィルタ21から除去された塵埃は、ブラシ部材28の下方に設けられ、ブラシ部材28と共に移動するダストボックス30内に落下、収集される。こうして、塵埃除去機構24がエアフィルタ21の一端側から他端側に往動される間にエアフィルタ21は自動的に清掃される。
【0047】
塵埃除去機構24が他端側(折返し位置)に到達すると、塵埃除去機構24はいったん停止され、ブラシモータを介してブラシ部材28の切欠き面28Bがエアフィルタ21と対向する位置に回転される(
図4、
図5参照)。この状態で、駆動機構23のモータ26が逆転され、塵埃除去機構24はスタート位置に向って移動(復動)される。塵埃除去機構24が元のスタート位置に戻されると、ブラシ部材28は、ブラシモータ(ブラシモータ軸37)により回転され、ブラシ材28Dの表面に付着されていた塵埃がダストボックス30内に落下される。これによって、エアフィルタ21の自動清掃が終了される。
【0048】
また、エアフィルタ21の自動清掃によって、ダストボックス30内に一定量の塵埃が蓄積されると、それを適時廃棄処理する。この際、昇降モータ(図示省略)を駆動することによりワイヤ17を介して、
図1、
図3に示されるように、ダストボックス30を吸込みグリル16と共に床面付近まで降下させることができるため、床面上においてダストボックス30内の塵埃を廃棄処理することができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、エアフィルタ21の清掃時、塵埃除去機構24が往復移動される際に、何らかの理由により斜めに傾くなど、不平衡状態が発生することがあり、この場合、駆動機構23や塵埃除去機構24に過負荷がかかるため、塵埃除去機構24の平衡状態が失われたとき、これを検知して、速やかに塵埃除去機構24を平衡状態に自動調整できるようにしている。
【0050】
ここでは、上記の如く、一対の駆動機構23を介して移動される塵埃除去機構24の両端に一対の位置検知手段43を設け、塵埃除去機構24の移動に伴いその両側に配置されている一対の位置検知用部材39,40に設けられている複数個の突起41,42を検知することにより、塵埃除去機構24の両端位置とその状態を検知し、その検知信号に基づいて一対の駆動機構23のモータ26をオンオフ制御することにより、塵埃除去機構24における両端位置の調整、すなわち塵埃除去機構24の不平衡状態の自動調整と往復動制御とを行うようにしている。
【0051】
このため、塵埃除去機構24を一対の駆動機構23によりエアフィルタ21に沿ってスムーズに往復動させ、エアフィルタ21を自動清掃することができる。従って、一対の駆動機構23や塵埃除去機構24に対して余計なストレスをかけることなく、それらを円滑に作動させることができ、エアフィルタ21を自動的に清掃して塵埃の堆積による効率の低下を防ぐとともに、過負荷による駆動機構23や塵埃除去機構24の故障や誤動作あるいは品質や性能の早期劣化を防止し、エアフィルタ清掃機構22の信頼性を向上することができる。
【0052】
加えて、本実施形態においては、エアフィルタ21の下面に当接して移動され、エアフィルタ21で捕集された塵埃を掻き取る塵埃除去機構24が、一対の駆動機構23に連結されるブラシ支持部材29と、このブラシ支持部材29に回動可能に支持されるブラシ部材28とから構成され、そのブラシ部材28が、外周の一部が切欠き面28Bとされている円筒状部材28Aと、その円筒状部材28Aの外周面に柔軟性を有するクッション材28Cを介在して張設され、エアフィルタ21の下面に当接して移動されるブラシ材28Dとから構成されている。
【0053】
このため、エアフィルタ21の清掃時に、ブラシ部材28のブラシ材28Dがエアフィルタ21の下面に当接されて移動される際、エアフィルタ21の強度部材である格子状のフィルタ枠21Aにブラシ材28Dが接触したとしても、柔軟性を有するクッション材28Cがそれに追従して変形されることから、ブラシ部材28を移動する駆動機構23のモータ26に大きな負荷トルクがかかることがなく、ブラシ部材28をエアフィルタ21の下面に当接させて円滑に移動させることができる。また、エアフィルタ21のメッシュ面21Bに多少の凹凸があっても、クッション材28Cの弾性変形によりその凹凸に追従させてブラシ材28Dをメッシュ面21Bに当接させ、移動させることができる。
【0054】
従って、ブラシ材28Dの立毛を十分短くして塵埃の掻き取り力を確保することができるとともに、そのブラシ材28Dを確実にエアフィルタ21の下面に当接させて移動させることができ、掻き取り残しを低減して清掃性能を向上することができる。また、駆動機構23にかかる負荷トルクの変動を小さくすることにより、駆動機構26を構成するモータ26の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0055】
つまり、エアフィルタ21の表面にブラシ部材28のブラシ材28Dを当接させて移動させ、塵埃を掻き取る方式の塵埃除去機構24の場合、ブラシ材28Dの立毛を短くして掻き取り力を高めたとき、エアフィルタ21の格子状フィルタ枠21Aにブラシ材28Dが当接することにより大きな負荷トルクがかかっても移動が停止されないように、負荷トルクの大きいモータ26を使う必要があり、コストアップ要因となる一方、かかる問題を解決すべく、ブラシ材28Dの立毛を長くすると、掻き取り力が低下し、清掃性能が低下してしまうが、本実施形態により双方の問題を同時に解消することができる。
【0056】
また、塵埃除去機構24には、その下部を覆うように、ブラシ部材28によりエアフィルタ21から掻き取られた塵埃を収集し、蓄積するダストボックス30が設けられているため、ブラシ部材28によって掻き取られた塵埃を、塵埃除去機構24の下部を覆っているダストボックス30内に落下させて収集し、蓄積することができる。従って、掻き取られた塵埃が再飛散する虞がなく、またエアフィルタ21を清掃する度に掻き取られた塵埃を廃棄処理する必要がなく、ダストボックス30内に収集、蓄積した後、適当な時期に廃棄処理することができる。
【0057】
また、上記クッション材28Cが、シート状のスポンジ材により構成されている。このため、ブラシ材28Dを円筒状部材28Aの外周面に張設する際、シート状のスポンジ材を張り、その上にブラシ材28Dを張設するか、もしくはブラシ材28Dを張ったシート状のスポンジ材を円筒状部材28Aの外周面に張設すればよく、シート状のスポンジ材28Cを介在させるだけでブラシ部材28のエアフィルタ21表面に対する追従性の高めることができる。これによって、ブラシ部材28をエアフィルタ21の表面に当接させて移動させ、塵埃を掻き取る方式の塵埃除去機構24による清掃性能を向上することができるとともに、その移動を円滑化し、負荷変動を小さくして駆動機構23のモータ26の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0058】
さらに、上記ブラシ材28Dが、基布に対してパイル糸が立毛された厚さが数ミリのブラシ材28Dとされているため、パイル糸で構成される立毛の長さを数ミリ(例えば、2〜3mm)としたブラシ材28Dをクッション材28Cに張り、それを円筒状部材28Aの外周面に張設することにより、立毛を短くして塵埃の掻き取り力を高め、かつエアフィルタ21の表面に対する追従性を高めたブラシ部材28を構成することができる。これによって、塵埃の掻き取り力を十分に確保したブラシ部材28を、エアフィルタ21の表面に確実に接触、追従させて塵埃を掻き取ることができ、エアフィルタ21の清掃性能を向上することができる。
【0059】
加えて、本実施形態では、クッション材28Cおよびブラシ材28Dを、接着剤または両面接着テープを介して円筒状部材28Aに張設している。このため、円筒状部材28Aの外周面に対してクッション材28Cおよびブラシ材28Dを接着剤または両面接着テープを用いて簡便に張設することができる。従って、クッション材28Cを介在したブラシ部材28を簡易に低コストで提供でき、清掃性能の向上に資することができる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、エアフィルタ21の下面に当接して移動する塵埃除去機構24のブラシ部材28側にクッション材28Cを設けた例について説明したが、エアフィルタ21とそれを支持する枠体20との間にクッション材を介装した構成としてもよく、かかる形態とすることによって、上記実施形態の効果を更に高めることができる。