特許第6239379号(P6239379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239379マイク用減容充填部材およびこれを内蔵させた単一指向性コンデンサマイクロホン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239379
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】マイク用減容充填部材およびこれを内蔵させた単一指向性コンデンサマイクロホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/04 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   H04R19/04
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-267342(P2013-267342)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-126259(P2015-126259A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100086449
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 浩明
(72)【発明者】
【氏名】秋野 裕
【審査官】 渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−166907(JP,A)
【文献】 特開2007−028027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 19/01−19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイク用筒体の前端部に着脱自在に螺合配置されるコンデンサマイクロホンユニットにおけるユニットケース内にてユニット内蔵部材を構成している固定極の中心軸方向に、その前端側を接触させて後端側へと生成電流を引き出す電極引出部材を挿通配置するための挿通孔を有して前記電極引出部材ともどもユニットケース内に減容を可能に配置される弾性体からなり、
該弾性体は、その基端部の外周面側から前記挿通孔の長さ方向と直交する軸方向周りへと至る均等な幅と深さとを有してなる周回溝を介して先端側本体部と基端側可撓鍔部とに二分割され、該基端側可撓鍔部の外周縁部が先端方向へと向かう均等圧を受けて撓曲した際に、前記先端側本体部を介して前記挿通孔の前部側への応力集中を可能にして形成したことを特徴とするマイク用減容充填部材。
【請求項2】
前記挿通孔は、前記電極引出部材が備える大径部と掛合してその動きを規制する拡径部を前記前部側に備える請求項1に記載のマイク用減容充填部材。
【請求項3】
電子回路部材側を内蔵させてなるマイク用筒体と、先端面には前部音響端子を、前端部の周面には後部音響端子を有してなるユニットケースを介して前記マイク用筒体の前端部側に着脱可能に取り付けられるコンデンサマイクロホンユニットとを備え、前記ユニットケース内に確保される空洞は、該ユニットケースと前記マイク用筒体とを連結する支持リングを介して支持されるマイク用減容充填部材によりその内部容量が減じられてなる単一指向性コンデンサマイクロホンにおいて、
前記マイク用減容充填部材として請求項1または2に記載の弾性体が用いられ、
該弾性体は、前記ユニットケース内に収容されてユニット内蔵部材を構成している前記固定極の中心軸方向にその前端側を接触させて後端側へと生成電流を引き出す電極引出部材を前記挿通孔に挿通させて前記ユニットケース内に収容配置することで、基端側可撓鍔部の前記外周縁部が前記支持リングからの均等圧を受けて撓曲した際に前記先端側本体部側の前記挿通孔を経て電極引出部材の前記前端側へと応力を集中させることで、該前端側と接する前記固定極を含む前記ユニット内蔵部材に対する均一で安定した押圧を可能としたことを特徴とする単一指向性コンデンサマイクロホン。
【請求項4】
前記支持リングは、前記基端側可撓部の外周縁部との当接部位に該外周縁部との嵌合が可能な環状凹部を備える請求項3に記載の単一指向性コンデンサマイクロホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一指向性コンデンサマイクロホンの空洞共振の発生を防止するためのマイク用減容充填部材およびこれを内蔵させた単一指向性コンデンサマイクロホンに関する技術である。
【背景技術】
【0002】
通常、コンデンサマイクロホンユニットは、一方の面が音導入孔としての前部音響端子を有して閉止され、他方の開放された面を仕切る開放端部の内周面に雌ねじを刻入してなるユニットケースと、該ユニットケース内の前記前部音響端子の側から前記開放端部に向けて順に、振動板を有するダイアフラムリング、スペーサリング、前記振動板に対する固定極および絶縁座が収容され、該絶縁座の背面に前記雌ねじと螺合する雄ねじを介して螺合されるロックリングにより、前記絶縁座を介して前記固定極を前記ダイアフラムリング側に所定の圧力をもって押圧固定できるようにして形成されている。
【0003】
図3は、従来からある上記したようなコンデンサマイクロホンユニットを筒体内に収容して形成される単一指向性筒型コンデンサマイクロホンの一例を示す説明図であり、そのうちの(a)は右側面図を、(b)は正面図をそれぞれ示す。
【0004】
同図によれば、単一指向性コンデンサマイクロホン51は、その前端部53の周面に後部音響端子54を有するマイク用筒体52と、先端面57aに前部音響端子58を有してマイク用筒体52の前端側に螺合配置されるコンデンサマイクロホンユニット57とで構成されている。
【0005】
また、マイク用筒体52内には、その後端部56側に収容配置されている出力コネクタ部と電気的に接続された回路基板(図示せず)がその先端部側を保持部材で保持された状態のもとで配置されている。
【0006】
つまり、筒体52内には、回路基板を含む電子回路部材を収容配置するための空間が必要になる結果、これらを所定の位置に配置した後の後部音響端子54が位置する部位に該後部音響端子54を介して外気と連通する空洞が残置されることになる。
【0007】
そして、該空洞は、音響容量として動作するなかで、後部音響端子54に音響質量があることから、共振が発生して指向周波数応答を劣化させるという問題があった。
【0008】
図4は、上記問題を解決すべく提案された特許文献1における図1(a)を再掲したものであり、単一指向性コンデンサマイクロホン51におけるマイク用筒体52の空洞55内に配置されるマイク用減容充填部材60は、保持部材63に支持させた状態のもとでその中心軸方向に電極引出部材61が固定配置されているおり、該電極引出部材61によりコンデンサマイクロホンユニット57を構成している固定極59側を押圧しつつ、共振周波数を高い周波数に引き上げることができるようにその容積を減らすために空洞55内に収容配置されている。なお、固定極59の前方(図4の左側)には、固定極59と対向してスペーサリングと振動板とを有するダイアフラムリングが取り付けられており(図示省略)、固定極59と振動板とは所定の間隔で配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−9807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記特許文献1に示されているマイク用減容充填部材60は、硬質なプラスチック焼結多孔質体により形成されていることから、固定極59側と直面する電極引出部材61における対面中央部位62に対し、固定極59を含むユニット構成部材側を均等に押圧し得るような応力を集中させることが難しいという不都合があった。
【0011】
本発明は、従来技術の上記課題に鑑み、単一指向性コンデンサマイクロホンの空洞共振の発生を防止しつつ、固定極側に応力を集中して均等に押圧できるマイク用減容充填部材およびこれを内蔵させた単一指向性コンデンサマイクロホンユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、そのうちの第1の発明(マイク用減容充填部材)は、マイク用筒体の前端部に着脱自在に螺合配置されるコンデンサマイクロホンユニットにおけるユニットケース内にてユニット内蔵部材を構成している固定極の中心軸方向に、その前端側を接触させて後端側へと生成電流を引き出す電極引出部材を挿通配置するための挿通孔を有して前記電極引出部材ともどもユニットケース内に減容を可能に配置される弾性体からなり、該弾性体は、その基端部の外周面側から前記挿通孔の長さ方向と直交する軸方向周りへと至る均等な幅と深さとを有してなる周回溝を介して先端側本体部と基端側可撓鍔部とに二分割され、該基端側可撓鍔部の外周縁部が先端方向へと向かう均等圧を受けて撓曲した際に、前記先端側本体部を介して前記挿通孔の前部側への応力集中を可能にして形成したことを最も主要な特徴としている。
【0013】
この場合、前記挿通孔は、前記電極引出部材が備える大径部と掛合してその動きを規制する拡径部を前記前部側に具備させておくのが好ましい。
【0014】
また、第2の発明(単一指向性コンデンサマイクロホン)は、電子回路部材側を内蔵させてなるマイク用筒体と、先端面には前部音響端子を、前端部の周面には後部音響端子を有してなるユニットケースを介して前記マイク用筒体の前端部側に着脱可能に取り付けられるコンデンサマイクロホンユニットとを備え、前記ユニットケース内に確保される空洞は、該ユニットケースと前記マイク用筒体とを連結する支持リングを介して支持されるマイク用減容充填部材によりその内部容量が減じられてなる単一指向性コンデンサマイクロホンにおいて、前記マイク用減容充填部材として請求項1または2に記載の弾性体が用いられ、該弾性体は、前記ユニットケース内に収容されてユニット内蔵部材を構成している前記固定極の中心軸方向にその前端側を接触させて後端側へと生成電流を引き出す電極引出部材を前記挿通孔に挿通させて前記ユニットケース内に収容配置することで、基端側可撓鍔部の前記外周縁部が前記支持リングからの均等圧を受けて撓曲した際に前記先端側本体部側の前記挿通孔を経て電極引出部材の前記前端側へと応力を集中させることで、該前端側と接する前記固定極を含む前記ユニット内蔵部材に対する均一で安定した押圧を可能としたことを最も主要な特徴としている。
【0015】
この場合、前記支持リングは、前記基端側可撓部の外周縁部との当接部位に該外周縁部との嵌合が可能な環状凹部を設けて形成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明(マイク用減容充填部材)によれば、弾性体は、その基端部の外周面側から挿通孔の長さ方向と直交する軸方向周りへと至る均等な幅と深さとを有してなる周回溝を介して先端側本体部と基端側可撓鍔部とに二分割されているので、該基端側可撓鍔部の外周縁部に前端方向へと向かう均等圧をかけて撓曲させた際に、先端側本体部側を介して挿通孔の前部側に応力を集中させることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、挿通孔には、電極引出部材が備える大径部と掛合してその動きを規制する拡径部がその前部側に設けられているので、該拡径部と大径部とを掛合させて電極引出部材を安定的に位置決めして挿通配置することが可能となる。
【0018】
請求項3の発明(単一指向性コンデンサマイクロホン)によれば、マイク用減容充填部材として請求項1または2に記載の弾性体が用いられているので、固定極の中心軸方向にその前端側を接触させて後端側へと生成電流を引き出す電極引出部材を挿通孔を介して挿通配置した状態のもとでユニットケース内に配置した上で、支持リングにより基端側可撓鍔部の外周縁部に先端方向へと向かう均等圧をかけて基端側可撓鍔部側を撓曲させた際に、電極引出部材の前端側に応力を集中させて、該前端側と接する固定極側を含むユニット内蔵部材側に対し均一で安定した圧力を加えることができるので、コンデンサマイクロホンユニットに単一指向特性の優れた安定した性能を付与することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、支持リングには、基端側可撓鍔部の外周縁部との当接部位に該外周縁部と嵌合する環状凹部が設けられているので、該環状凹部を介することで弾性体における基端側可撓鍔部の外周縁部の全周に対しより確実に均等圧をかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の発明に係るマイク用減容充填部材の一例を示す説明図であり、そのうちの(a)は正面図を、(b)は右側縦断面図をそれぞれ示す。
図2】第2の発明に係る単一指向性コンデンサマイクロホンの一例を一部を省略して示す説明図であり、そのうちの(a)は正面図を、(b)は右側縦断面図をそれぞれ示す。
図3】本発明を含む単一指向性コンデンサマイクロホンの一般的な外観構成例を示す説明図であり、そのうちの(a)は右側面図を、(b)は正面図をそれぞれ示す。
図4】特許文献1における図1(a)の再掲図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示す第1の発明に係るマイク用減容充填部材は、図2に示すように第2の発明に係る単一指向性コンデンサマイクロホンに組み込んで実施されるので、図2のほか、単一指向性コンデンサマイクロホンの一般的な外観構成例を示す図3をも参酌しながら以下に説明する。
【0022】
マイク用減容充填部材11は、図2に示されているようなユニットケース35の空洞38内に配置されてその内部容量を減じる例えばシリコーンゴムなどからなる弾性体12として形成されている。
【0023】
すなわち、該弾性体12は、マイク用筒体32の前端部33に支持リング40を介して着脱自在に螺合配置されるコンデンサマイクロホンユニット34におけるユニットケース35内にてユニット内蔵部材を構成している固定極39の中心軸方向に、その前端41a側を接触させて後端41b側へと生成電流を引き出す電極引出部材41を挿通配置するための挿通孔13を有して形成されている。
【0024】
この場合、挿通孔13は、電極引出部材41が前端41a側に備える大径部42と掛合する拡径部14aをその前部14側に設けて形成されており、該拡径部14aを介することで、電極引出部材41の動きを規制することができるようになっている。
【0025】
また、弾性体12は、挿通孔13を介して挿通配置される電極引出部材41ともどもユニットケース35の空洞38内に配置された際にその内部容量を所望に応じて実質的に減じることができるように、例えばユニットケース35の内径よりも若干小径な略円柱形状等、適宜の形状と体積とが付与されて形成されている。
【0026】
また、弾性体12は、その基端部18の外周面15側から挿通孔13の長さ方向と直交する軸方向周りへと至る均等な幅と深さとを有してなる周回溝17を介して先端側本体部19と基端側可撓鍔部20とに二分割されて形成されている。
【0027】
このため、弾性体12は、基端側可撓鍔部20の外周縁部20aが図2に示すように先端12a方向へと向かう均等圧を受けて撓曲した際に、先端側本体部19を介して挿通孔13の前部14側に応力を集中させることができることになる。
【0028】
一方、図2に示す第2の発明に係る単一指向性コンデンサマイクロホン31は、図示しない電子回路部材側を内蔵させてなるマイク用筒体32と、先端面35aに形成された前部音響端子(図示省略)と周面36に形成された後部音響端子37とを有するユニットケース35を介してマイク用筒体32の前端部33側に着脱可能に取り付けられるコンデンサマイクロホンユニット34とを備えて形成されている。なお、図2は、マイク用筒体32とコンデンサマイクロホンユニット34とは、ユニットケース35内に螺合配置される支持リング40の外側とマイク用筒体32の内側とに相互に螺合するネジ部が形成され、支持リング40を回して嵌め合わせることで一体的に連結できるようになっている。
【0029】
また、ユニットケース35内に確保される空洞38は、ユニットケース35内に螺合配置されている支持リング40を介して支持されるマイク用減容充填部材11によりその内部容量が実質的に減じられることになる。
【0030】
この場合、マイク用減容充填部材11としては、請求項1または2に記載の弾性体、すなわち、周回溝1を介して先端側本体部19と基端側可撓鍔部20とに二分割されている弾性体12が用いられている。
【0031】
また、該弾性体12は、コンデンサマイクロホンユニット34のユニットケース35内に収容されてユニット内蔵部材を構成している固定極39の中心軸方向にその前端41a側を接触させて後端41b側へと生成電流を引き出す電極引出部材41を挿通孔13に挿通させてユニットケース35内に収容配置されている。
【0032】
このため、基端側可撓鍔部20の外周縁部20aが支持リング40からの均等圧を受けて撓曲した際に先端側本体部19側の挿通孔13を経て電極引出部材40の前端41a側へと応力を集中させることで、該前端41a側と接する固定極39を含む前記ユニット内蔵部材側に対し均一で安定した押圧ができることになる。なお、固定極39の前方(図2の左側)には、固定極39と対向してスペーサリングと振動板とを有するダイアフラムリングが取り付けられており(図示省略)、固定極39と振動板とは所定の間隔で配置される。
【0033】
次に、上記構成からなる本発明の作用について説明すれば、マイク用減容充填部材(第1の発明)11としての弾性体12には、まず、電極引出部材41の後端41b側が挿通孔13の前部14側から挿入されて電極引出部材41が配置される。このとき、挿通孔13がその前部14に拡径部14aを、電極引出部材41がその前端41a側に大径部42をそれぞれ備えている場合には、拡径部14aと大径部42とを掛合させて電極引出部材41を安定的に位置決めして挿通配置することができる。
【0034】
このようにして電極引出部材41が挿通配置された後の弾性体12は、コンデンサマイクロホンユニット34を構成するユニットケース35内に確保される空洞38内に収容される。
【0035】
弾性体12を収容した後のユニットケース35には、支持リング40が螺合配置される。しかる後、ユニットケース35に螺合配置されている支持リング40を押し出し方向に回転させることで、弾性体12は、その基端側可撓鍔部20の外周縁部20aが先端12a側に撓曲された状態で位置固定される。
【0036】
このとき、支持リング40に環状凹部40aが設けられているときは、該環状凹部40aと基端側可撓鍔部20の外周縁部20aとを嵌合させることができるので、周縁部20aの全周に対しより好ましい均等圧をかけることができる。
【0037】
また、弾性体12は、基端側可撓鍔部20の外周縁部20aが撓曲されることで、先端側本体部19を介して挿通孔12の前部14側に応力を集中させることができるので、該応力を挿通孔12に挿通配置されている電極引出部材41の前端41a側にも集中させることができる。
【0038】
しかも、電極引出部材41の前端41aは、ユニット内蔵部材を構成している固定極39とその中心軸方向にて接触しているので、ユニットケース38内の固定極39を含むユニット内蔵部材側に対し均一で安定した圧力を加えることができることになる。
【0039】
このため、第1の発明(マイク用減容充填部材)によれば、弾性体12は、その基端部18の外周面15側から挿通孔13の長さ方向と直交する軸方向周りへと至る均等な幅と深さとを有してなる周回溝17を介して先端側本体部19と基端側可撓鍔部20とに二分割されているので、該基端側可撓鍔部20の外周縁部20aに先端12a方向へと向かう均等圧をかけて撓曲させた際に、先端側本体部19側を介して挿通孔12の前部14側に応力を集中させることができる。
【0040】
また、電極引出部材41が備える大径部42と掛合してその動きを規制する拡径部14aが挿通孔13の前部14側に設けられている場合には、該拡径部14aと大径部42とを掛合させて電極引出部材41を安定的に位置決めして挿通配置することが可能となる。
【0041】
一方、第2の発明(単一指向性コンデンサマイクロホン)によれば、マイク用減容充填部材11として請求項1または2に記載の弾性体12が用いられているので、固定極39の中心軸方向にその前端41a側を接触させて後端41b側へと生成電流を引き出す電極引出部材41を挿通孔13を介して挿通配置した状態のもとでユニットケース35内に配置した上で、支持リング40により基端側可撓鍔部20の外周縁部20aに先端12a方向へと向かう均等圧をかけて基端側可撓鍔部20側を撓曲させた際に、電極引出部材41の前端41a側に応力を集中させて、該前端41a側と接する固定極39側を含むユニット内蔵部材側に対し均一で安定した圧力を加えることができるので、コンデンサマイクロホンユニット34に対し単一指向特性の優れた安定した性能を付与することができる。
【0042】
また、基端側可撓鍔部20の外周縁部20aとの当接部位に該外周縁部20aと嵌合する環状凹部40aが支持リング40に設けられている場合には、該環状凹部40を介することで弾性体12における基端側可撓鍔部20の外周縁部20aの全周に対しより確実に均等圧をかけることができる。
【0043】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その具体的な構成はこれに限定されるものではない。例えば、弾性体12における先端側本体部20の断面形状は、図示例に限られるものではなく、基端側可撓鍔部20の外周縁部20aが支持リング40から受けた圧力を弾性体12の先端12a側に応力として集中できる形状を呈するものでさえあれば、適宜選定することができる。
【符号の説明】
【0044】
11 マイク用減容充填部材
12 弾性体
12a 先端
13 挿通孔
14 前部
14a 拡径部
15 外周面
17 周回溝
18 基端部
19 先端側本体部
20 基端側可撓鍔部
20a 外周縁部
31 単一指向性コンデンサマイクロホン
32 マイク用筒体
33 前端部
34 コンデンサマイクロホンユニット
35 ユニットケース
35a 先端面
36 周面
37 後部音響端子
38 空洞
39 固定極
40 支持リング
40a 環状凹部
41 電極引出部材
41a 前端
41b 後端
42 大径部
図1
図2
図3
図4