【実施例1】
【0017】
(第1実施例)
図2に示すように、燃料ポンプ10は、燃料タンク(図示省略)内に配置され、自動車等の車両のエンジン(図示省略)に燃料(例えばガソリン)を供給する。燃料ポンプ10は、モータ部50とポンプ部30を備える。モータ部50とポンプ部30は、ハウジング2内に配置されている。ハウジング2は、両端が開口された円筒形状を有する。ハウジング2は、金属製(例えばステンレス鋼)である。燃料ポンプ10は、ハウジング2を介して接地されている。
【0018】
図2に示すように、ポンプ部30は、ケーシング32とインペラ34とを備える。ケーシング32は、ハウジング2の下端の開口を閉塞する。ケーシング32の下端には、吸入口38が設けられている。ケーシング32の上端には、ケーシング32内とモータ部50を連通する連通孔(図示省略)が設けられている。ケーシング32は、金属製(例えばステンレス鋼)である。ケーシング32内には、インペラ34が収容されている。ケーシング32は、ハウジング2に直接接触しており、電気的に接続されている。
【0019】
モータ部50は、ポンプ部30の上方に位置する。モータ部50は、ブラシレスモータである。モータ部50は、三相モータである。モータ部50は、ロータ54とステータ60とを備える。ロータ54は、永久磁石を備える。ロータ54の中心には、シャフト52が貫通して固定されている。シャフト52の下端は、インペラ34の中心部に挿入され、貫通している。シャフト52は、金属製(例えばステンレス鋼)である。シャフト52は、ベアリングを介して、ケーシング32と電気的に接続されている。ロータ54は、シャフト52の両端部に配置された軸受53,153によって、シャフト52を中心に回転可能に支持されている。軸受53はシャフト52の上端に配置され、軸受153はシャフト52の下端に配置されている。ロータ54と軸受53,153は金属製(例えばステンレス鋼)である。なお実施例では、
図2の状態で上下を規定する。即ち、モータ部50から見てポンプ部30は「下」に位置し、ポンプ部30から見てモータ部50は「上」に位置する。
【0020】
ロータ54の外周には、ステータ60が配置されている。ステータ60の上端と下端とは、外部樹脂層6によって覆われている。ステータ60は、外部樹脂層6に覆われている状態で、ハウジング2に圧入される。外部樹脂層6は、ハウジング2の上端の開口を閉塞する。外部樹脂層6の上端には、吐出口(図示省略)が形成されている。吐出口は、モータ部50と燃料ポンプ10外の燃料経路(図示省略)とを連通する。吐出口は、ポンプ部30で昇圧された燃料を、燃料経路を介してエンジンに供給するための開口である。
【0021】
ステータ60は、コア90と、コア90を覆う樹脂層64と、コイル線96と、ステータ用ターミナル部材70と、コモン端子71と、を備える。コア90は、複数個のコアプレートが積層されることによって構成されている。コア90は、金属製(例えば電磁鋼板)である。なお、
図2では、見易さを優先して、コイル線96及び複数個のコアプレートの断面は、空白に示されている。コア90は、環状部91と、6個のティース94と、を備える。環状部91は、円筒形状を有する。6個のティース94は、環状部91の内周面に等間隔に配置されている。各ティース94は、環状部91の内周面から、環状部91の中心軸に向かって伸びている。環状部91の中心部には、ロータ54が配置される。
【0022】
ティース94は、ロータ54の外周面に沿って並んでいる。各ティース94の内周側の端部は、ロータ54の外周面に倣った形状に形成されている。各ティース94の内周側の端部と外周側の端部との中間部分には、樹脂層64を挟んで、コイル線96が巻回されている。コイル線96は、絶縁被膜によって被覆されている。なお、
図2では、1個のティースと、該ティース94に巻回されているコイル線96と、のみに符号を付しているが、他のティース94にもコイル線96が巻回されている。
【0023】
ステータ60に電力が供給されると、コイル線96に供給される電流の位相に応じて、6個のティース94は、2個のU相のティース94と、2個のV相のティース94と、2個のW相のティース94と、に分類される。2個のU相のティース94に巻回されるコイル線96は、後述する供給端子72によって、電気的に接続されている。同様に、2個のV相のティース94に巻回されるコイル線96は、後述する供給端子74によって電気的に接続されており、2個のW相のティース94に巻回されるコイル線96は、後述する供給端子76によって電気的に接続されている。
【0024】
樹脂層64は、コア90全体を覆う。
図1に示すように、樹脂層64は、複数(本実施例では6対)の上部挿入溝97,97を備えている。また、樹脂層64は、複数(本実施例では6対)のコイル線係合部99,99(なお、
図1では1対のコイル線係合部99,99のみに符号が付されている)を備える。6対の上部挿入溝97,97は、環状部91の周方向に、等間隔に配置されている(なお、
図1では1対の上部挿入溝97,97と1対のコイル線係合部99,99のみに符号が付されている)。環状部91の周方向において、6対の上部挿入溝97,97のそれぞれは、6個のティース94のそれぞれと同じ位置に位置する。1対の上部挿入溝97,97に含まれる2個の上部挿入溝97は、環状部91の周方向に間隔を開けて配置されている。上部挿入溝97は、ティース94よりもコア90の外側であって、ステータ60の上端部に形成されている。上部挿入溝97は、上下方向に直線状に伸びている。上部挿入溝97の上端は開放されている一方、下端は閉塞している。1対の上部挿入溝97,97のそれぞれは、1対の上部挿入溝97,97の他の上部挿入溝97側に開放されている。
【0025】
6対のコイル線係合部99,99は、環状部91の周方向に、等間隔に配置されている。環状部91の周方向において、6対のコイル線係合部99,99のそれぞれは、6個のティース94のそれぞれと同じ位置に位置する。6対のコイル線係合部99,99のそれぞれは、6対の上部挿入溝97,97のそれぞれの上方に配置されている。1対のコイル線係合部99,99に含まれる2個のコイル線係合部99は、環状部91の周方向に間隔を開けて配置されている。コイル線係合部99は、環状部91の周方向において、同じ位置のティース94に巻回されているコイル線96の端部を挟持する。1対のコイル線係合部99,99の間には、コイル線96が架設される。
【0026】
ステータ用ターミナル部材70は、樹脂層64の上方に配置されている。
図3に示すように、ステータ用ターミナル部材70は、3個の供給端子72〜76と、6個の嵌合部84a〜84fと、6個のフック部86a〜86fと、3個の連結部87a〜87cと、を備える。なお、
図3では、コア90に取り付けられた後のステータ用ターミナル部材70が示されている。
【0027】
上記の状態では、3個の供給端子72〜76は、相互に絶縁されている状態で、環状に配置されている。3個の供給端子72〜76は、樹脂層62によって相互に絶縁されている。3個の供給端子72〜76は、それぞれ制御回路100(
図4参照)と電気的に接続されている。制御回路100は、3個の供給端子72〜76に供給される電力を制御する。供給端子72〜76は、それぞれ接続線101〜103によって、制御回路100に電気的に接続されている。
【0028】
6個の嵌合部84a〜84fは、コア90の周方向に等間隔に配置されている。6個の嵌合部84a〜84fのそれぞれは、6個のティース94のそれぞれの上方に位置する。嵌合部84aは、供給端子72と供給端子74との間に位置する。自然状態では、各嵌合部84a〜84fの幅は、上部挿入溝97,97の間隔よりも広い。
図1に示すように、ステータ用ターミナル部材70は、コア90の上端に取り付けられている。この状態では、6個の嵌合部84a〜84fは、それぞれコア90の1対の上部挿入溝97の間に位置する。即ち、各嵌合部84a〜84fは、1対の上部挿入溝97の間に挿入される。各嵌合部84a〜84fは、当該嵌合部84a〜84fの幅が狭くなる方向に弾性変形している状態で、一対の上部挿入溝97に嵌合される。
【0029】
6個の嵌合部84a〜84fのそれぞれの上方には、6個のフック部86a〜86fのそれぞれが配置されている。6個のフック部86a〜86fは、コア90の周方向に等間隔に配置されている。フック部86a〜86fのそれぞれは、連結部87a〜87c側の端部(以下では「基部」と呼ぶ)から上方に向かって伸び、さらに、ステータ用ターミナル部材70の外周かつ下方に向かって湾曲している。なお、フック部86a〜86fの基部と反対側の端部を、以下では「下端部」と呼ぶ。フック部86a〜86fは、コイル線96に接着されている。なお、フック部86aとコイル線96とが接着する前では、フック部86aの基部と下端部との間隔は、コイル線96の線径よりも大きい。
【0030】
ここで、ステータ用ターミナル部材70を、樹脂層64に取り付ける手順を説明する。まず、ステータ用ターミナル部材70を樹脂層64に向けて移動し、各嵌合部84a〜84fを上部挿入溝97に挿入する。さらに、ステータ用ターミナル部材70を樹脂層64に向けて移動すると、一対のコイル線係合部99,99で支持されているコイル線96が、各フック部86a〜86fに挿入される。次いで、各フック部86a〜86fの基部と下端部との間隔がコイル線96の径よりも小さくなるように、各フック部86a〜86fを塑性変形させる。そして、各フック部86a〜86fとコイル線96とを、溶接によって接着する。
【0031】
フック部86a〜86fは、それぞれ、連結部87a〜87cのいずれかによって、供給端子72〜76のいずれかに連結されている。詳細には、連結部87aは、屈曲しながら、供給端子72と、フック部86a,86dと、を連結している。連結部87bは、屈曲しながら、供給端子74と、嵌合部84a,84b,84e,84fと、フック部86b,86eと、を連結している。連結部87cは、屈曲しながら、供給端子76と、嵌合部84c,84dと、フック部86c,86fと、を連結している。ステータ60を上方から見たときに、連結部87a,87b,87cは、コア90の環状領域内に収まっている。連結部87a,87bがステータ用ターミナル部材70の径方向(以下では単に「径方向」と呼ぶ)において重なる部分では、連結部87aが径方向の内側に位置する。連結部87b,87cが径方向において重なる部分では、連結部87cが径方向の内側に位置する。連結部87c,87aが径方向において重なる部分では、連結部87aが径方向の内側に位置する。
【0032】
図5に示すように、ステータ用ターミナル部材70には、樹脂層62が取り付けられている。樹脂層62は、環状形状を有している。樹脂層62は、連結部87a〜87cのうち、径方向の内側に位置する部分を覆っている。樹脂層62は、3個の供給端子72〜76の上部と、6個のフック部86a〜86fと、6個の嵌合部84a〜84fと、を覆っていない。
【0033】
樹脂層62は、6個の凸部62a〜62fを備える。6個の凸部62a〜62fは、コア90の周方向に等間隔に配置されている。凸部62aは、フック部86aとフック部86fとの間に配置されている。同様に、凸部62bは、フック部86aとフック部86bとの間に配置され、凸部62cは、フック部86bとフック部86cとの間に配置され、凸部62dは、フック部86cとフック部86dとの間に配置され、凸部62eは、フック部86dとフック部86eとの間に配置され、凸部62fは、フック部86eとフック部86fとの間に配置されている。凸部62aの中央には、供給端子74が位置し、凸部62bのうち、供給端子74に近い側の端には、供給端子72が位置し、凸部62fのうち、供給端子74に近い側の端には、供給端子76が位置する。凸部62a〜62fによって、外部樹脂層6の厚肉化を防止することができる。この結果、外部樹脂層6が成形される際に、欠陥が生じる事態を回避することができる。また、隣り合う2個の凸部の間に空間が存在することによって、各フック部86a〜86fとコイル線96とを、接着する際に、溶接電極を用いることが容易となっている。
【0034】
5個の凸部62b〜62fは、それぞれ、凹部63b〜63fを備える。凹部63b〜63fによって、凸部62a〜62fの径方向への厚肉化を防止することができる。この結果、樹脂層6sが成形される際に、欠陥が生じる事態を回避することができる。
【0035】
接地端子78は、樹脂層62の上方に配置されている。接地端子78は、導電性材料(例えば銅合金)で作製されている。接地端子78は、端子部78aと、接触部78bと、4個の被保持部78cと、連結部78dと、を備える。端子部78aは、平板形状を有している。
図2に示すように、端子部78aは、燃料ポンプ10の上方に突出している。このため、制御回路100に容易に電気的に接続することができる。
図5に示すように、端子部78aの下端には、連結部78dが接続されている。連結部78dは、板状部78e〜78gと、湾曲部78hと、を備える。板状部78e〜78gは、端子部78aの下端において、端子部78aに垂直な平面上に配置されている。板状部78eは、端子部78aの下端からコア90の外周に向かって直線状に伸びている。端子部78aは、板状部78eの中央に位置する。
【0036】
板状部78eの一端には、板状部78fの一端が接続されている。板状部78fは、板状部78eに垂直方向に伸びている。板状部78eの他端には、板状部78gの一端が接続されている。板状部78gは、板状部78eに垂直方向であって、板状部78fに平行に伸びている。板状部78gの中間位置には、湾曲部78hが接続されている。湾曲部78hは、板状部78gの中間位置から板状部78eと平行、即ち、板状部78gと垂直に伸び、途中で上方に湾曲している。湾曲部78hは、上下方向に弾性変形可能である。
【0037】
湾曲部78hの上端には、接触部78bが接続されている。接触部78bは、環状の平板形状を有しており、シャフト52の上方に位置する。接触部78bは、板状部78e,78f,78gと平行に配置されている。
【0038】
板状部78fの両端のそれぞれには、板状部78fから板状部78eと反対側に突出する被保持部78cが接続されている。2個の被保持部78cは、それぞれ、板状部78fから下方に向かって伸びている。板状部78gの両端のそれぞれには、板状部78gから板状部78eと反対側に突出する被保持部78cが接続されている。2個の被保持部78cは、それぞれ、板状部78fから下方に向かって伸びている。
【0039】
図5に示すように、接地端子78は、樹脂層62の上端に取り付けられる。具体的には、4個の被保持部78cのそれぞれを、凹部63b,63c,63e,63fのそれぞれに挿入する。この結果、接地端子78は、樹脂層62に保持される。この状態では、接地端子78は、樹脂層62によって、3個の供給端子72〜76に対して絶縁されている。このように、接地端子78と、3個の供給端子72〜76と、を同時的に一体化するのではなく、3個の供給端子72〜76を保持する樹脂層62に、供給端子72〜76に対して絶縁されている状態で接地端子78を保持させることによって、3個の供給端子72〜76を一体化した後に、接地端子78と、3個の供給端子72〜76と、を一体化している。この結果、接地端子78を、3個の供給端子72〜76に対して適切に絶縁させることができる。
【0040】
図2に示すように、接地端子78及びステータ用ターミナル部材70がコア90に取り付けられ、ステータ60が外部樹脂層6で覆われた状態では、接地端子78の接触部78bは、スプリング79の上端に接触している。スプリング79の下端は、ピン81の上端に接触している。ピン81の下端は、シャフト52の上端に接触している。スプリング79及びピン81は、導電性材料(例えばステンレス鋼)で作製されている。この結果、接地端子78は、スプリング79及びピン81を介して、シャフト52に電気的に接続されている。
【0041】
図1,2に示すように、コモン端子71は、コア90の他端に取り付けられる。コモン端子71は、6個の挿入部83と、6個のフック部85とを備えている。6個の挿入部83は、互いに間隔をあけて周方向に配置されている。6個の挿入部83のそれぞれは、6個のティース94のそれぞれ下方に位置する。コモン端子71の6個の挿入部83のそれぞれは、U相のティース94に対応する下部挿入溝92(即ち、環状部91の周方向において、ティース94と同じ位置の下部挿入溝92)と、V相のティース94に対応する下部挿入溝92と、W相のティースに対応する下部挿入溝92とのそれぞれに取り付けられる。コモン端子71の6個のフック部85のそれぞれは、ティース94に巻回されているコイル線96のそれぞれに溶接されている。これによりコモン端子71はコイル線96に電気的に接続されている。
【0042】
図4に示すように、自動車が始動されると、燃料ポンプ10の駆動が開始される。燃料ポンプ10の駆動中、制御回路100は、U,V,W相の電流を予め決められたタイミングでモータ部50に供給する。即ち、制御回路100は、U,V,W相のそれぞれの電力を供給している状態と、していない状態と、を切り替える(即ちスイッチング)。これにより、2個のU相のティース94と、2個のV相のティース94と、2個のW相のティース94のそれぞれが形成する磁界の変化に応じて、ロータ54が回転する。ロータ54と同様に、インペラ34が回転し、吸入口38から燃料が吸入される。インペラ34内に吸入された燃料は、昇圧され、連通孔から燃料ポンプ10に導入され、吐出口から燃料経路に吐出される。
【0043】
制御回路100は、接地端子78から、スプリング79、ピン81、シャフト52、ケーシング32、ハウジング2に接地されている。このため、制御回路100が電流を供給している状態から供給していない状態に切り替えるタイミングで、スイッチングによって制御回路100に発生するスイッチング・ノイズを抑制することができる。
【0044】
また、接地端子78がスプリング79に接触し、スプリング79がピン81に接触する構成によって、接地端子78とスプリング79との接触位置を調節することができる。また、この状態では、接地端子78の連結部78dとスプリング79とは、弾性変形している。連結部78d(即ち接地端子78)の復元力によって、接地端子78と、スプリング79及びピン81と、を適切に接触させることができる。また、シャフト52と接地端子78とが直接的に接触することを防止することができる。
【0045】
本実施例の燃料ポンプ10は、3個の供給端子72〜76を保持する樹脂層62と、3個の供給端子72〜76に対して絶縁されている状態で固定部材に保持されている接地端子78と、を備える。即ち、接地端子78を、3個の供給端子72〜76を保持する樹脂層62に、3個の供給端子72〜76に対して絶縁されている状態で保持させる。この結果、接地端子78を、3個の供給端子72〜76に対して適切に絶縁させることができる。
【0046】
接地端子78が接地している状態では、スプリング79は、ピン81を押圧している。そのため、ロータ54が回転に伴う振動で上方に浮かないようにすることができる。
【0047】
(対応関係)
樹脂層62が「固定部材」の一例である。ピン81が「少なくとも1個の金属部材」の一例である。連結部78dが「接地端子の少なくとも一部」の一例である。スプリング79が「ばね部材」の一例である。
【0048】
(第2実施例)
第1実施例との相違点を中心に説明する。
図6に示すように、第2実施例の燃料ポンプ10は、接地端子78に代えて、接地端子88を備える。接地端子88は、樹脂層62の上方に配置されている。接地端子88は、導電性材料で作製されている。接地端子88は、端子部88aと、接触部88bと、4個の被保持部88cと、連結部88dと、を備える。端子部88a、4個の被保持部88cは、それぞれ、接地端子78の端子部78a、4個の被保持部78cと同様である。端子部88aの下端には、連結部88dが接続されている。連結部88dは、板状部88e,88f,88gと、屈曲部88hと、を備える。板状部88e,88f,88gは、板状部78e,78f,78gと同様である。板状部88gの中間位置には、屈曲部88hが接続されている。屈曲部88hは、板状部88gの中間位置から板状部88eと平行、即ち、板状部88gと垂直に伸び、途中で下方に湾曲している。屈曲部88hは、上下方向に弾性変形可能である。
【0049】
屈曲部88hの下端には、接触部88bが接続されている。接触部88bは、接地端子78の接触部78bと同様に、環状の平板形状を有しており、シャフト52の上方に位置する。接触部88bは、板状部88e,88f,88gと平行に配置されている。
【0050】
接地端子88は、接地端子78と同様に、樹脂層62の上端に取り付けられる。即ち、第1実施例と同様に、3個の供給端子72〜76を一体化した後に、接地端子88と、3個の供給端子72〜76と、を一体化している。この結果、接地端子88を、3個の供給端子72〜76に対して適切に絶縁させることができる。
【0051】
図7に示すように、接地端子88及びステータ用ターミナル部材70がコア90に取り付けられ、ステータ60が外部樹脂層6で覆われた状態では、接地端子88の接触部88bは、軸受53の上端に接触している。この結果、接地端子88は、軸受53を介して、シャフト52に電気的に接続されている。また、この状態では、連結部88dは、弾性変形している。連結部88d(即ち接地端子88)の復元力によって、接地端子88を適切に接地させることができる。
【0052】
本実施例では、接地端子88は軸受53に直接的に接触している。そのため、接地端子88と軸受53とを電気的に接続するための部品を設置しなくて済む。
【0053】
(対応関係)
軸受53が「少なくとも1個の金属部材」の一例である。
【0054】
(第3実施例)
第1実施例との相違点を中心に説明する。
図8に示すように、第3実施例の燃料ポンプ10は、接地端子78に代えて、接地端子98を備える。接地端子98は、樹脂層62の上方に配置されている。接地端子98は、導電性材料で作製されている。接地端子98は、端子部98aと、接触部98bと、4個の被保持部98cと、連結部98dと、を備える。端子部98a、4個の被保持部98cは、それぞれ、接地端子78の端子部78a、4個の被保持部78cと同様である。端子部98aの下端には、連結部98dが接続されている。連結部98dは、板状部98e〜98gと、湾曲部98hと、を備える。板状部98e〜98gは、板状部78e〜78gと同様である。板状部98gの中間位置には、湾曲部98hが接続されている。湾曲部98hは、板状部98gの中間位置からコア90の外周に向かって板状部98gと垂直に伸び、途中で上方に湾曲し、途中でコア90の外周に向かって板状部98gと垂直に伸び、途中で下方に湾曲している。湾曲部98hは、径方向に弾性変形可能である。
【0055】
湾曲部98hの下端には、接触部98bが接続されている。接触部98bは、接地端子平板形状を有しており、コア90の上方に位置する。接触部98bは、板状部98eと平行に配置されている。
【0056】
接地端子98は、接地端子78と同様に、樹脂層62の上端に取り付けられる。これにより、接地端子98を、3個の供給端子72〜76に対して適切に絶縁させることができる。
【0057】
図9に示すように、接地端子98及びステータ用ターミナル部材70がコア90に取り付けられた状態では、接地端子98の接触部98bは、ハウジング2に接触している。この結果、接地端子98は、ハウジング2に電気的に接続されている。また、この状態では、連結部98dは、弾性変形している。連結部98d(即ち接地端子98)の復元力によって、接地端子98を適切に接地させることができる。
【0058】
本実施例では、接地端子98はハウジング2に直接的に接触している。そのため、接地端子98とハウジング2とを電気的に接続するための部品を設置しなくて済む。
【0059】
(対応関係)
ハウジング2が「少なくとも1個の金属部材」の一例である。
【0060】
(第4実施例)
第1実施例との相違点を中心に説明する。
図10に示すように、第4実施例の燃料ポンプは、接地端子78に代えて、接地端子108を備える。接地端子108は、樹脂層62の上方に配置されている。接地端子108は、導電性材料で作製されている。接地端子108は、接地端子108aと、2個の接触部108bと、4個の被保持部108cと、連結部108dと、を備える。端子部108aは、接地端子78の端子部78aと同様である。
【0061】
連結部108dは、板状部108e〜108lを備える。板状部108e〜108lは、端子部108aの下端において、端子部108aに垂直な平面上に配置されている。板状部108e〜108jは、端子部108aの下端からコア90の周方向に並んでいる。板状部108e〜108jは、端子部108aの下端において、略六角形状に環状に配置されている。板状部108eの端子部108a側の端部には、コア90の外周方向に突出する板状部108kが接続されている。板状部108jの端子部108a側の端部には、コア90の外周方向に突出する板状部108lが接続されている。
【0062】
板状部108g、108hのそれぞれには、コア90の外周方向に2個の孔が形成されている。これにより、外部樹脂層6を成形する際に、板状部108g、108hを通過して、樹脂が流れやすくなっている。
【0063】
板状部108fと板状部108gとの接続部分には、コア90の外周方向に突出する接触部108bが接続されている。接触部108bは、当該接続部分からコア90の外周に向かって伸び、途中で下方に湾曲している。板状部108hと板状部108iとの接続部分には、コア90の外周方向に突出する接触部108bが接続されている。接触部108bは、当該接続部分からコア90の外周に向かって伸び、途中で下方に湾曲している。2個の接触部108bは、上下方向及び径方向に弾性変形可能である。
【0064】
板状部108fと板状部108eとの接続部分には、コア90の外周方向に突出する被保持部108cが接続されている。被保持部108cは、当該接続部分から下方に向かって伸びている。板状部108fのうち、板状部108gとの接続部分の近傍には、コア90の外周に向かって突出する被保持部108cが接続されている。被保持部108cは、板状部108fから下方に向かって伸びている。板状部108iと板状部108jとの接続部分には、コア90の外周に突出する被保持部108cが接続されている。被保持部108cは、当該接続部分から下方に向かって伸びている。板状部108iのうち、板状部108hとの接続部分の近傍には、コア90の外周に向かって突出する被保持部108cが接続されている。被保持部108cは、板状部108iから下方に向かって伸びている。
【0065】
図11に示すように、接地端子108は、接地端子78と同様に、樹脂層62の上端に取り付けられる。これにより、接地端子108を、3個の供給端子72〜76に対して適切に絶縁させることができる。
【0066】
図12に示すように、ハウジング2は、内部に向かって突出している2個の凸部3を備える。なお、
図12には、1個の凸部3のみが図示されている。2個の凸部3は、上下方向及び径方向に弾性変形可能である。接地端子108及びステータ用ターミナル部材70がコア90に取り付けられた状態では、接地端子108の2個の接触部108bのそれぞれは、凸部3に接触している。この結果、接地端子108は、ハウジング2に電気的に接続されている。また、この状態では、接触部108b及び凸部3は、弾性変形している。接触部108b及び凸部3の復元力によって、接地端子108を適切に接地させることができる。これにより、スイッチングにより制御回路100に発生するスイッチング・ノイズを抑制することができる。
【0067】
また、
図11に示すように、接地端子108の板状部108e〜108hは、樹脂層62の上方において、樹脂層62の形状に沿って配置されている。この構成では、板状部108e〜108hが、連結部87aの上方に位置し、板状部108i,108jが、連結部87cの上方に位置し、板状部108k,108lが、連結部87bの上方に位置する。なお、連結部87a〜87cは、3個の供給端子72〜76とコア90とを導通している。従って、接地端子108は、連結部87a〜87cを電気的に遮蔽している。そのため、制御回路100に発生したスイッチング・ノイズが導通部から燃料ポンプ外へ放射されること(いわゆる放射ノイズ)を高度に抑制することができる。
【0068】
本実施例では、接地端子108はハウジング2に直接的に接触している。そのため、接地端子108とハウジング2とを電気的に接続するための部品を設置しなくて済む。
【0069】
(対応関係)
連結部87a〜87cが「導通部」の一例である。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0071】
(1)上記の各実施例では、燃料ポンプ10は、3個の供給端子72〜76を備えるが、変形例においては、2個又は4個以上の供給端子を備えていてもよい。この場合、モータ部50は、供給端子の個数と同数の層を持つブラシレスモータである。即ち、「複数個」は2以上の整数個であればよい。
【0072】
(2)上記の各実施例では、接地端子78,88は、それぞれピン81、軸受53に電気的に接続し、接地端子98,108は、ハウジング2に電気的に接続している。これに代えて、例えば、接地端子は、燃料ポンプ10が設置された燃料タンクの金属材料で作製されている部材に電気的に接続していてもよい。即ち、「燃料ポンプ」は、「少なくとも1個の金属部材」を備えていなくてもよい。また、「接地端子」は、「少なくとも1個の金属部材」に接触していなくてもよく、「接触部」を備えていなくてもよい。
【0073】
(3)上記の各実施例では、接地端子78,88は、それぞれピン81、軸受53に直接的に接触し、接地端子98,108は、ハウジング2に直接的に接触している。これに代えて、接地端子は、シャフト52、コア90の少なくとも一方に直接的に接触していてもよい。即ち、「接地端子」は、「少なくとも1個の金属部材」に電気的に接続していればよい。
【0074】
(4)上記の各実施例では、接地端子78,88,98,108は、それぞれ弾性変形している状態で、燃料ポンプ10の金属部材に接触しているが、接地端子78,88,98は、弾性変形していない状態で、燃料ポンプ10の金属部材に接触していてもよい。即ち、「接地端子の少なくとも一部」が、弾性変形していない状態で、「少なくとも1個の金属部材」に接触していてもよい。
【0075】
(5)第1実施例では、接地端子78は、連結部78d備える。変形例では、例えば、4個の被保持部78c及び接触部78bのそれぞれが、連結部78dを介さずに、直接的に接地端子78と連結されていてもよい。即ち、接地端子は、「連結部」を備えていなくてもよい。なお、第2〜4実施例でも同様の変形例が考えられる。
【0076】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。