(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地面を掘削して形成した貯水凹部内に雨水を貯留する内部空間を有する雨水貯留ユニット部材を縦横に敷設すると共に複数段に積み重ねることによって貯水槽を形成し、この貯水槽の上面を被覆材によって被覆してなる雨水貯留施設において,上記貯水槽の一部に、最上段の雨水貯留ユニット部材から複数段下方の下段側雨水貯留ユニット部材列に達する深さを有し、且つ、この下段側雨水貯留ユニット部材列の上面から該上面に積み重ねている上記複数段の上段側の雨水貯留ユニット部材積層部分を透水シートによって被覆してなる土砂沈澱槽部を設けると共にこの土砂沈澱槽部にマンホールを形成してあり、さらに、上記貯水槽外からこのマンホール内に雨水を導入する雨水導入管を配設していると共に貯水槽の下端から雨水を外部に排出する雨水導出管を設けていることを特徴とする雨水貯留施設。
マンホール内に、マンホールの四方隅角部に沿わせる4本の支柱と、これらの支柱にその四方角部を接した状態にして支柱の長さ方向に一定間隔毎に取付けている矩形枠材とからなる直方枠体を挿入、配設していると共にこの直方枠体に昇降用足場枠材を取付けていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の雨水貯留施設。
雨水貯留ユニット部材は、矩形状の底板に下端がこの底板を貫通して下方に開口している一定高さの中空四角錐台を前後左右に立設してなり、この雨水貯留ユニット部材を直角に交差させながら上下方向に積層した際に、上側の雨水貯留ユニット部材における中空四角錐台の両側傾斜壁板部の下端をこの中空四角錐台に対応する下側の雨水貯留ユニット部材の中空四角錐台の天板部における長さ方向の両端部上面に支持させるように構成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の雨水貯留施設。
土砂沈澱槽部におけるマンホールの底部周囲に配設された雨水貯留ユニット部材に代えて、底板の上面にマンホールの底面に向かって下方に緩傾斜し、土砂をマンホール側に案内する土砂誘導傾斜面を有する雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材を配設していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の雨水貯留施設。
貯水槽の数カ所に濾過沈澱槽部を設け、貯水槽外からこれらの濾過沈澱槽部に外部からそれぞれ雨水導入管を通じて雨水を導入するように構成していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項5に記載の雨水貯留施設。
貯水槽に隣接した地中に側溝や排水溝からの雨水を受け入れる沈砂槽を設け、この沈砂槽から雨水導入管を通じてマンホール内に雨水を導入するように構成していることを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の雨水貯留施設。
【技術分野】
【0001】
本発明は、豪雨時において発生する多量の雨水を貯留するために、公園や駐車場、或いは、道路等の地面下に設けられる雨水貯留施設に関する。
【0002】
住宅地や道路等に降った雨水は地中に殆ど浸透することなく側溝や排水溝を通じて河川等に排出されているが、集中豪雨のような短時間で多量の降雨が発生すると、道路上に氾濫して交通マヒを引き起こすことになる。このため、公園や駐車場、或いは、道路等の地面下に雨水貯留施設を設けておき、多量の降雨が発生した際には、側溝や排水溝を通じて雨水をこの雨水貯留施設に一旦、貯留しておくことが行われている。
【0003】
このような雨水貯留施設としては、例えば、特許文献1に記載されているように、地面を掘り下げることによって形成した貯水凹部内に、雨水を貯留する内部空間を有する充填ブロックを縦横に敷設すると共に上下方向に複数段に積み重ねることによって雨水の貯留空間となる貯水槽を形成し、この貯水槽をシート材や舗装材等によって被覆すると共に貯水槽の外側に雨水流入枡を設けて、大雨の際には雨水を側溝や流入管を通じてこの雨水流入枡に取込み、雨水流入枡から配管を通じて貯水槽内に導入するように構成している。
【0004】
雨水には土砂やシルト等(以下、土砂とする)が混入しており、雨水と共に貯水槽内に土砂が流入すると、貯水槽の底にこの土砂が沈降、堆積して貯水可能な容積が減少するばかりでなく排水管等が詰まる虞れがあり、また、貯水槽の底に堆積した土砂の除去も困難となる。
【0005】
このため、上記特許文献1においては、貯水槽の一部に、雨水に混入した土砂を捕捉する織布、不織布等の土砂捕捉シートからなる土砂捕捉壁で周囲が区画された雨水流入空間を設けると共にこの雨水流入空間の中央部に上記充填ブロックが設けられていない作業空間を形成し、上記土砂捕捉壁で囲まれた雨水流入空間内に雨水を導入することによって雨水に混入している土砂を雨水流入空間の底部に沈降させ、この雨水流入空間の底部に形成している土砂排出溝を通じて雨水と共に貯水槽に隣接して設けているオリフィス枡に排出させ、このオリフィス枡の底部に土砂を堆積させて堆積した土砂を定期的に吸引、除去するように構成している。
【0006】
また、特許文献2においては、地面を掘り下げることによって形成した貯水凹部内に、雨水を貯留する内部空間を有する雨水貯留ユニット部材を縦横に敷設すると共に上下方向に複数段に積み重ねることによって雨水の貯留空間となる貯水槽を形成する一方、この貯水槽の形成時に、貯水槽の一部に上記雨水貯留ユニット部材が設けられていない空間部を設けてこの空間部内に、四方に透水性シートを張設した直方体形状の開口枠を挿入、設置することによって濾過沈澱槽部を形成し、この濾過沈澱槽部内に雨水を流入させて、雨水に含まれている土砂を濾過沈澱槽部の底部に沈澱させる一方、透水性シートにより濾過された雨水を貯水槽内を通じて外部に排出するように構成した雨水貯留施設が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前者の雨水貯留施設によれば、雨水流入空間内に導入された土砂を含んでいる雨水の一部は、土砂捕捉シートを通過することなく雨水流入空間部の底部に形成している土砂排出溝を通じて土砂と共にオリフィス枡側に排出されることになり、捕捉シートによる雨水の濾過機能を効果的に発揮させることができなくなるばかりでなく、オリフィス枡側に導入された雨水に含まれた微細な土砂は沈降することなくオリフィス枡から排水管等を通じて河川等に排出される虞れがある。
【0009】
さらに、オリフィス枡の底部に堆積する土砂と共に雨水流入空間部の底部に堆積した土砂の除去作業を必要とする上に、雨水流入空間部の底部からオリフィス枡に通じる土砂排出溝にも土砂が堆積してその除去作業に困難をきたすばかりでなく、堆積した土砂によって該土砂排出溝に詰まりが発生し、貯水槽内の雨水を円滑に排出することができなくなるといった問題点がある。
【0010】
一方、後者の雨水貯留施設によれば、貯水槽の一部に上記雨水貯留ユニット部材が設けられていない空間部を設けてこの空間部内に、四方に透水性シートを張設した直方体形状の開口枠を挿入、設置しているので、透水性シートによる濾過能力を増大させるために開口枠の周長を長くすると、開口枠の開口上端にかかる荷重に対して十分に耐えることができる強度に構成することが困難となり、必然的に周長の短い開口枠の設置しか行えなくなって透水能力が低下し、大規模な雨水貯留施設に採用することができないといった問題点があった。
【0011】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、貯水槽内に流入する雨水が多量であっても、この雨水に含まれる土砂を貯水槽内の所定箇所において雨水から確実且つ効率よく分離させて雨水のみを貯水槽から外部に円滑に排出させることができると共に雨水から分離した土砂の回収、排除も容易に行える雨水貯留施設を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の雨水貯留施設は、請求項1に記載したように、地面を掘削して形成した貯水凹部内に雨水を貯留する内部空間を有する雨水貯留ユニット部材を縦横に敷設すると共に複数段に積み重ねることによって貯水槽を形成し、この貯水槽の上面を被覆材によって被覆してなる雨水貯留施設において、上記貯水槽の一部に、最上段の雨水貯留ユニット部材から複数段下方の下段側雨水貯留ユニット部材列に達する深さを有し、且つ、この下段側雨水貯留ユニット部材列の上面から該上面に積み重ねている上記複数段の上段側の雨水貯留ユニット部材積層部分を透水シートによって囲繞してなる土砂沈澱槽部を設けると共にこの土砂沈澱槽部にマンホールを形成してあり、さらに、上記貯水槽外からこのマンホール内に雨水を導入する雨水導入管を配設していると共に貯水槽の下端から雨水を外部に排出する雨水導出管を設けていることを特徴とする。
【0013】
このように構成した雨水貯留施設において、請求項2に係る発明は、透水シートで囲まれた雨水貯留ユニット部材積層部分の一部の雨水貯留ユニット部材を、上面に透水シートを敷設している下段の雨水雨水貯留ユニット部材に至るまで排除することにより、一つの雨水貯留ユニット部材の面積に相当する平面方向の広さを有するマンホールを形成してあり、このマンホールの周囲に、縦横に一列の雨水貯留ユニット部材を上下方向に積み重ねてなる上記雨水貯留ユニット部材積層部分を設けていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、上記マンホール内に、マンホールの四方隅角部に沿わせる4本の支柱と、これらの支柱にその四方角部を接した状態にして支柱の長さ方向に一定間隔毎に取付けている矩形枠材とからなる直方枠体を挿入、配設していると共にこの直方枠体に昇降用足場枠材を取付けていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、上記雨水貯留ユニット部材の好ましい構造であって、矩形状の底板に下端がこの底板を貫通して下方に開口している一定高さの中空四角錐台を前後左右に立設していると共に、この雨水貯留ユニット部材を直角に交差させながら上下方向に積層した際に、上側の雨水貯留ユニット部材における中空四角錐台の両側傾斜壁板部の下端をこの中空四角錐台に対応する下側の雨水貯留ユニット部材の中空四角錐台の天板部における長さ方向の両端部上面に支持させるように構成していることを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、貯水槽の外部から貯水槽の雨水貯留ユニット部材における隣接する中空四角錐台の対向する傾斜壁板部間の空間部を通じて雨水導入管を配管している特徴とする。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、土砂沈澱槽部におけるマンホールの底部周囲に配設された雨水貯留ユニット部材に代えて、底板の上面にマンホールの底面に向かって下方に緩傾斜し、土砂をマンホール側に案内する土砂誘導傾斜面を有する雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材を配設していることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項7に係る発明は、貯水槽の数カ所に濾過沈澱槽部を設け、貯水槽外からこれらの濾過沈澱槽部に外部からそれぞれ雨水導入管を通じて雨水を導入するように構成していることを特徴とする。
【0019】
請求項8に係る発明は、貯水槽に隣接した地中に側溝や排水溝からの雨水を受け入れる沈砂槽を設け、この沈砂槽から雨水導入管を通じてマンホール内に雨水を導入するように構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、雨水貯留ユニット部材を縦横に配列すると共に多段に積載してなる貯水槽の一部に、最上段の雨水貯留ユニット部材から複数段下方の下段側雨水貯留ユニット部材列に達する深さを有し、且つ、この下段側雨水貯留ユニット部材列の上面から該上面に積み重ねている上記上段側の複数段の雨水貯留ユニット部材積層部分を透水シートによって囲繞してなる土砂沈澱槽部を設けると共にこの土砂沈澱槽部にマンホールを形成して、上記貯水槽外からこのマンホール内に雨水を導入する雨水導入管を配設しているので、雨水導入管を通じてマンホール内に導入された全ての雨水を土砂沈澱槽部の底部に配設している透水シートとマンホールの周囲に配設している雨水貯留ユニット部材の積層部分を囲んだ透水シートによって濾過して、この雨水に含まれている土砂を透水シートにより捕捉させることができ、土砂が除去された雨水のみを土砂沈澱槽部の下方の下段側雨水貯留ユニット部材側と土砂沈澱層部の周囲の雨水貯留ユニット部材側に流入、滞留させることができて、貯水槽の底部などに土砂を殆ど堆積させることなく、且つ、雨水導出管等を詰まらせることなく貯水槽から雨水を円滑に排出させることができる。
【0021】
さらに、貯水槽内の雨水の排出後には、マンホール内を通じて保守、点検が可能となるのは勿論、マンホール内からその周囲の雨水貯留ユニット部材間の隙間を通じてジェット水を噴射させることにより、透水シートを洗浄して目詰まり等を解消し得ると共に土砂沈澱槽部の底部に堆積している土砂をマンホールの底部内に流動させて土砂の回収、排除も容易に行うことができる。
【0022】
また、透水シートは、土砂沈澱槽部の底部からこの土砂沈澱槽部内の雨水貯留ユニット部材積層部分の周面を囲むようにして張設しているので、シート全体の張設面積を広くすることができて濾過能力が増大し、土砂を含んでいる多量の雨水の濾過処理が可能となって大規模な雨水貯留施設を提供することができる。
【0023】
請求項2に係る発明によれば、透水シートで囲まれた雨水貯留ユニット部材積層部分の一部に設けているマンホールは、一つの雨水貯留ユニット部材の面積に相当する平面方向の広さを有しているので、比較的、開口幅が狭くて上方からの荷重に充分に耐えることができるマンホールを形成することができる。
【0024】
請求項3に係る発明によれば、上記マンホール内に、マンホールの四方隅角部に沿わせる4本の支柱と、これらの支柱にその四方角部を接した状態にして支柱の長さ方向に一定間隔毎に取付けている矩形枠材とからなる直方枠体を挿入、配設しているので、この直方枠体によってマンホールの形態を正確に保持し得ると共に地震等が発生してもマンホール周囲の雨水貯留ユニット部材積層部分を妄動させることなく所定の位置に安定した状態で支持しておくことができる。さらに、この直方枠体に昇降用足場枠材を取付けているので、作業員による点検作業等が容易に行うことができる。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、上記雨水貯留ユニット部材は、矩形状の底板に下端がこの底板を貫通して下方に開口している一定高さの中空四角錐台を前後左右に立設していると共に、この雨水貯留ユニット部材を直角に交差させながら上下方向に積層した際に、上側の雨水貯留ユニット部材における中空四角錐台の両側傾斜壁板部の下端をこの中空四角錐台に対応する下側の雨水貯留ユニット部材の中空四角錐台の天板部における長さ方向の両端部上面に支持させるように構成しているので、貯水槽を形成する際に、複数個の雨水貯留ユニット部材の積載作業が簡単且つ正確に行えると共に安定した積み重ね状態にすることができるのは勿論、上下に重ね合わせた雨水貯留ユニット部材同士の重なり部分が極めて少なくて雨水の貯留空隙率の大きい貯水槽を形成することができる。
【0026】
請求項5に係る発明によれば、貯水槽の外部から貯水槽の雨水貯留ユニット部材における隣接する中空四角錐台の対向する傾斜壁板部間の空間部を通じて雨水導入管を配管しているので、貯水槽外から濾過沈澱槽部までの雨水導入管の配管用空間部を別に設けることなく、雨水貯留ユニット部材の貯水空間部を利用して雨水導入管を簡単且つ正確に濾過沈澱槽部まで配管施工することができる。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、上記土砂沈澱槽部におけるマンホールの底部周囲に配設された雨水貯留ユニット部材に代えて、底板の上面にマンホールの底面に向かって下方に緩傾斜し、土砂をマンホール側に案内する土砂誘導傾斜面を有する雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材を配設しているので、土砂沈澱槽部内において沈降する土砂をマンホールの底面とマンホール底面周囲の上記雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材における土砂誘導傾斜面上に堆積させ、この土砂誘導傾斜面上をマンホールの底面に向かって流動させてマンホールの底面上に簡単に誘導、集合させることができ、土砂の回収作業が能率よく行うことができると共に保守管理も容易となる。
【0028】
請求項7に係る発明によれば、貯水槽の数カ所に濾過沈澱槽部を設け、貯水槽外からこれらの濾過沈澱槽部に外部からそれぞれ雨水導入管を通じて雨水を導入するように構成しているので、集中豪雨等のように単位時間当たりの降雨量が多くても、複数本の雨水導入管を通じて多量の雨水をそれぞれの濾過沈澱槽部内に分流、導入することができ、これらの濾過沈澱槽部内において多量の雨水の沈澱、濾過処理を短時間で行うことができる。
【0029】
請求項8に係る発明によれば、上記貯水槽に隣接した地中に側溝や排水溝からの雨水を受け入れる沈砂槽を設け、この沈砂槽から雨水導入管を通じてマンホール内に雨水を導入するように構成しているので、側溝や排水溝を通じて流入する雨水に含まれる比較的粒度の大きい土砂を一旦、沈砂槽内において沈降、除去したのち、雨水に含まれる細かい土砂やシルト等を雨水導入管を通じて濾過沈澱槽部内に導入して、上記透水シートにより捕捉、除去させることができ、貯水槽内には土砂が殆ど含まれていない雨水を貯留することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、
図1、
図2において、雨水貯留施設は、公園等の地面を所定深さにまで掘り下げることによって形成した平面長方形状貯水凹部2内に雨水を貯留する内部空間を有する平面矩形状の合成樹脂製の雨水貯留ユニット部材3を縦横に敷き並べると共に多段に積載することによって貯水槽1を形成していると共に、この貯留槽1の一部に、縦横に並列した複数個の雨水貯留ユニット部材列(図においては、縦3個、横3個の雨水貯留ユニット部材列)を最上段から複数段下方の下段側雨水貯留ユニット部材列まで積層してなる雨水貯留ユニット部材積層部分を濾過材である透水シート4で囲むことによって平面矩形状の所定深さの土砂沈澱槽部5を設けている。
【0032】
詳しくは、最上段の雨水貯留ユニット部材3から複数段下方の下段側の縦横に数個ずつ(図においては3個ずつ計9個)並設してなる平面四角形状の雨水貯留ユニット部材列上に底部側透水シート4aを敷設してあり、この底部側透水シート4aを介して、この雨水貯留ユニット部材列における中央の雨水貯留ユニット部材以外の他の雨水貯留ユニット部材3(図においては8個)上に最上段まで積み重ねられている複数段の雨水貯留ユニット部材積層部分を、上記底部側透水シート4aの四方縁辺から上方に向かって直角に連設してなる矩形筒状の周壁側透水シート4bで囲むことによって土砂沈澱槽部5を形成している。なお、上記透水シート4は不織布、或いは、ランダムに並列しているスプリットヤーンを直交させてその交差部を熱融着することにより多数の小さな透水孔を形成してなる割り布等からなる。
【0033】
上記土砂沈澱槽部5の雨水貯留ユニット部材3が設けられていない中央部には、一個分の雨水貯留ユニット部材3に相当する広さ(1000mm角程度)を有し、上記底部側透水シート4aに達する深さのマンホール6が形成されてあり、このマンホール6を中央にしてその周囲に上記雨水貯留ユニット部材積層部分を設けている。
【0034】
雨水貯留ユニット部材3としては、例えば
図3、
図4に示すように、平面矩形状の一定厚みを有する底板31上に、下端がこの底板31を貫通して下方に向かって全面的に開口している一定高さを有する中空四角錐台32を前後左右に一定間隔を存して立設し、並設し、隣接する中空四角錐台32、32の下端間を一定幅を有する底板部31' によって連結してなる構造を有する。
【0035】
上記中空四角錐台32は前後方向に長い平面矩形状の天板部32a と、この天板部32a の前後左右の縁辺からそれぞれ下方に向かって末広がり状に傾斜した前後及び両側の傾斜壁板部32b 、32b'とからなり、さらに、上記天板部32a の長さ方向の中央部から下方に向かって一定深さのV字状の中央溝部32c が設けられていると共に、天板部32a 上に、中央溝部32c の上端開口部を中央にしてこの開口端を前後から挟むようにして前後一対の中空突起部32d 、32d を突設している。
【0036】
さらに、中空四角錐台32における両側傾斜壁板部32b'、32b'の下端間の開口幅寸法は、天板部32a に突設している上記前後中空突起部32d 、32d を跨いで天板部32a の前後両端部上にその下端を支持させることができる寸法に形成されていて、雨水貯留ユニット部材3、3を互いに直角に交差させながら上下方向に積層できるように構成している。また、雨水貯留ユニット部材3における上記底板31には上下面間に亘って貫通している複数個の通水孔32e を穿設していると共に上記前後中空突起部32d 、32d の頂部にも内部に連通する通水孔32f を穿設している。
【0037】
一方、上記マンホール6内には、このマンホール6の四方隅角部に沿わせる4本の支柱7aと、これら支柱にその四方角部を接した状態にして支柱7aの長さ方向に雨水貯留ユニット部材3の厚みに等しい一定間隔毎に連結、支持させている矩形枠材7bとからなる直方枠体7(
図5に示す)を挿入、配設してあり、この矩形枠材7bの四方外面を対向する雨水貯留ユニット部材3の底板31の端面に近接、又は、当接させて雨水貯留ユニット部材3を安定した積載状態に保持している。さらに、各矩形枠材7bの内隅部に昇降用足場枠材7cを取付けている。
【0038】
上記貯水槽1と、この貯留槽1の一部に上記土砂沈澱槽部5を設けてなる雨水貯留施設には
図1に示すように、その一端部側に雨水を上記マンホール6の上端部内に導入する雨水導入管8を配設していると共に他端部側における貯水槽1の下端に貯水槽1内の雨水を外部に排出する雨水導出管9を連結、連通させている。
【0039】
上記雨水導入管8は、貯水槽1の一端側から上記マンホール6に至るまで一列に配列している最上段の雨水貯留ユニット部材列における左右に隣接する中空四角錐台32、32の対向する傾斜壁板部32b'、32b'間に設けられた真っ直ぐな溝状の貯水空間部内を通じて配管され、その先端開口部を上記マンホール6の上端開口部内に臨ませている。貯水槽1の一端側から外部に引き出されているこの雨水導入管8の基端は、側溝や排水溝側に直接、連通させておいてもよいが、図においては、貯水槽1の一端側の外側地中に、側溝や排水溝からの雨水を受け入れる沈砂槽10を設け、この沈砂槽10に雨水導入管8の基端を連通させている。なお、沈砂槽10からマンホール6までの雨水導入管8は、一本に限らず、複数本、配管しておいてもよい。
【0040】
一方、上記雨水導出管9は、貯水槽1の他端側の外側地中に築造されている排水槽11の下端部にその先端を連通させている。この排水槽11には、下端部に流量を調節するオリフィス12a を有する余水吐12が設けられている。
【0041】
上記のように構成した雨水貯留施設を築造するには、まず、公園等の地面を掘削して上記貯水凹部2を設けたのち、この貯水凹部2の底面から四方の掘削壁面全面に亘って保護シート13と遮水シート14とを重ね合わせた状態で敷設、被覆し、しかるのち、貯水凹部2上記雨水貯留ユニット部材3を多列、多段に配列、積載することによって貯水槽1を形成する。
【0042】
この貯水槽1を形成するには、まず、貯水凹部2の底面に敷設している遮水シート14上に、全ての雨水貯留ユニット部材3の中空四角錐台32の長さ方向を同一方向に向けた状態となるように、縦横に設置して一段目(最下段)の雨水貯留ユニット部材列を形成したのち、この一段目の全ての雨水貯留ユニット部材3上に、二段目となる多数個の雨水貯留ユニット部材3を、その中空四角錐台32が下段側の雨水貯留ユニット部材3の中空四角錐台32と直交するように重ね合わせて、その中空四角錐台32の下端開口部をこの下端開口部に対向する下段側の雨水貯留ユニット部材3の中空四角錐台32における天板部32a の両端部上に支持させる。
【0043】
同様にして下段側の雨水貯留ユニット部材3に対して上段側の雨水貯留ユニット部材3を、直交するように向きをかえながら、順次、複数段、積載することによって貯水槽1を形成するが、この貯水槽1の形成途上において、下段側に数段(図においては3段)の雨水貯留ユニット部材列を形成したのち、この数段目の雨水貯留ユニット部材列から上方に上段側の雨水貯留ユニット部材列を数段(図においては5段)、配列、積載する。この際、貯水凹部2の中央部には、
図6に示すように、上段側の雨水貯留ユニット部材列の一部が積層されていない空間凹部15を設けておく。この空間凹部15の広さは、数個の雨水貯留ユニット部材3、図においては縦横に3個ずつ、計9個の雨水貯留ユニット部材3の並列形態に相当する広さを有している。
【0044】
この空間凹部15の形成後、空間凹部15の底面、即ち、数段、積載してなる下段側の雨水貯留ユニット部材列の最上段の雨水貯留ユニット部材列における空間凹部15の露出している雨水貯留ユニット部材3の上面に底面側透水シート4aを敷設すると共に空間凹部15の四方周面に上記底面側透水シート4aの四方縁辺から立ち上げるようにしてこの底面側透水シート4aに連設してなる周壁側透水シート4bを張設してこの周壁側透水シート4bにより空間凹部15の四方の面にそれぞれ露出している上段側の雨水貯留ユニット部材列の積層面を全面的に被覆する。なお、周壁側透水シート4bの上端部は最上段の雨水貯留ユニット部材列上に折り重ねておく。
【0045】
こうして、空間凹部15の底面から四方周面にかけて透水シート4を敷設、張設したのち、この空間凹部15の底面に敷設している透水シート4a上に複数段(図においては5段)設けられる上段側雨水貯留ユニット部材列における最下部の上段側雨水貯留ユニット部材列を配設する。この際、空間凹部15の中央部には、雨水貯留ユニット部材3を設けることなく、この中央部を囲むようにして複数個の雨水貯留ユニット部材3を縦横に配列する。即ち、図においては、空間凹部15の中央部に一個分の雨水貯留ユニット部材3に相当する空間部を設けるようにしてこの空間部の周囲に、縦横に雨水貯留ユニット部材3を3個ずつ、並設している。
【0046】
さらに、このように空間凹部15の底面上に上段側雨水貯留ユニット部材列における最下部の上段側雨水貯留ユニット部材列を設けたのち、同様にして、空間凹部15の中央部に一個分の雨水貯留ユニット部材3に相当する空間部を設けるようにして次の上段側雨水貯留ユニット部材列を積み重ね、この積載作業を繰り返し行って、空間凹部15内に、中央部に雨水貯留ユニット部材3が設けられていない空間部によって形成されたマンホール6を有する複数段の上段側雨水貯留ユニット部材列からなる雨水貯留ユニット部材積層部分を形成すると共にこの雨水貯留ユニット部材積層部分の底面から四方周面に亘って透水シート4により被覆してなる土砂沈澱槽部5を形成する。なお、この雨水貯留ユニット部材積層部分においても、下側の雨水貯留ユニット部材3に直交するようにして上側の雨水貯留ユニット部材3を積み重ねている。
【0047】
しかるのち、上記マンホール6内に直方枠体7を挿入、設置すると共に、貯水槽1における最上段の雨水貯留ユニット部材列の上面全面に、
図4に示すように、上下方向に貫通した多数の通水孔17を有する剛性材料からなる仕切板16を縦横に敷設して補強層を形成し、この補強層上に透水シート或いは遮水シートを敷設すると共に土砂等からなる被覆層によって被覆して舗装層を形成する。また、マンホール6の上端点検口に蓋体18を開閉可能に設けている。
【0048】
このように構成した雨水貯留施設は、降雨時において側溝や排水溝に流入した雨水を上記沈砂槽10内に送り込み、この沈砂槽10内で一旦滞留させて雨水に含まれる土砂やシルト等における比較的粒径が大きい土砂等を該沈砂槽10の底部に沈降、堆積させる。堆積した土砂等は、後日、地上側から吸引ホース等を使用して吸引、排除される。一方、沈砂槽10から雨水導入管8を通じて貯水槽1内における土砂沈澱槽部5の中央部に設けているマンホール6に流入した雨水は、土砂沈澱槽部5の底部に敷設している底部側透水シート4aによりこの雨水に含まれている土砂を捕捉、濾過されながらこの底部側透水シート4aを透過して下段側の雨水雨水貯留ユニット部材列の貯水空間部内に貯留されると共に、水位が上昇するに伴って周壁側透水シート4bによって囲まれている雨水貯留ユニット部材積層部分内からこの雨水貯留ユニット部材積層部分周囲の上段側の雨水貯留ユニット部材列側に流動する際に、雨水に含まれている土砂が周壁側透水シート4bによって捕捉、濾過されながらこの周壁側透水シート4bを透過して上段側の雨水貯留ユニット部材列の貯水空間部内に貯留される。
【0049】
さらに、土砂沈澱槽部5内に滞留する雨水に含まれる土砂は、沈降してこの土砂沈澱槽部5内のマンホール周囲の雨水貯留ユニット部材列における各雨水貯留ユニット部材3の底板部31' や底部側透水シート4a上に堆積する一方、土砂沈澱槽部5外の貯水槽1内には土砂が排除された雨水が貯留される。
【0050】
このように土砂が排除された雨水は、貯水槽1の他端下端部に設けている雨水導出管9を通じて排水槽11内に流出し、オリフィス12a により流量が調節されながら排水管19を通じて河川等に排出される。また、貯水槽1が満杯になった場合は、排水槽11に設けている余水吐12よりオーバーフローし、排水管19を通じて河川等に排出される。また、排水槽11内にポンプを設置し、排水槽11内の雨水を汲み上げて公園やグランド等への散水などに使用することもできる。
【0051】
貯水槽1内の雨水が排水槽11側に排出され水位が低下するに伴って、周壁側透水シート4bに捕捉されている土砂の一部が雨水の流動や地上側から伝達される振動等によって周壁側透水シート4bから離脱、落下し、土砂沈澱槽部5内の雨水貯留ユニット部材列における各雨水貯留ユニット部材3の底板部31' や底部側透水シート4a上に堆積する。
【0052】
堆積した土砂等を排除するには、作業ができる程度まで貯水槽1内の雨水が排水されたのち、マンホール6の底面に敷設している底面側透水シート4a上に堆積している土砂に対しては、地上側からマンホール6内に吸引ホースを挿入して吸引、除去し、周壁側透水シート4bに捕捉されている土砂や沈澱槽部5内の雨水貯留ユニット部材列における各雨水貯留ユニット部材3の底板部31' 上に堆積している土砂に対しては、マンホール6内から各段の雨水貯留ユニット部材列における隣接する中空四角錐台32、32間の空間部を通じて噴射ノズル(図示せず)を挿入し、その先端から噴射するジェット水(高圧水)によって周壁側透水シート4bに捕捉されている土砂を洗い落とすと共に洗い落とした土砂を雨水貯留ユニット部材3の底板部31'上に堆積している土砂と共に底板部31'上をマンホール6側に向かって流動するジェット水の流れによってマンホール6の底部上に排出し、吸引等によって外部に排除する。
【0053】
また、透水シート4が破損したり、濾過能力が低下して交換する場合には、地上側から土砂沈澱槽部5内の直方枠体7及び雨水貯留ユニット部材積層部分を撤去して透水シート4を交換し、再び、土砂貯水槽部5内に直方枠体7及び雨水貯留ユニット部材積層部分を設ければよい。
【0054】
図8は、本発明雨水貯留施設の別な実施例を示すもので、上記実施例においては、土砂沈澱槽部5内に積載している雨水貯留ユニット部材積層部分を、全て同じ構造の雨水貯留ユニット部材3によって形成しているが、この実施例においては、雨水貯留ユニット部材積層部分における最下段の雨水貯留ユニット部材列、即ち、マンホール6の底部周囲に配設される雨水貯留ユニット部材列を形成する数個(図においては8個)の雨水貯留ユニット部材を他の雨水貯留ユニット部材3と異なった構造の2種類の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Bによって形成している。
【0055】
これらの雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Bのうち、一方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Aは、
図10、
図11に示すように、上記雨水貯留ユニット部材3の底板31と平面形状が同大、同形の底板31a の上面を、周壁側透水シート4b側に向けている外端縁からマンホール6の底部側に向けている内端縁に向かって斜め下方に緩やかに傾斜させた土砂誘導傾斜面31a'に形成していると共にこの土砂誘導傾斜面31a'の上面に、この雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A上に載置する上記雨水貯留ユニット部材3を支持する頂面が平坦な中空角錐突部32a を縦横に一定間隔毎に突設している。
【0056】
雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Aの底板下面から中空角錐突部32a の頂面までの高さは、上記雨水貯留ユニット部材3の底板下面から中空四角錐台32の頂き面までの高さに等しくしている。また、全ての中空角錐突部32a は、その下端を底板31a の下面から下方に向かって全面的に開口していると共にその頂面に透水孔33a を穿設しているが、底板31a
には透水孔が設けられていなく、従って、その底板31a から下方に土砂を沈降させることなく底板上の土砂を土砂誘導傾斜面31a'上を伝ってマンホール6側に誘導可能に形成している。
【0057】
なお、中空角錐突部32a は、底板31a から直接、突設しておいてもよいが、図においては底板31a の外端縁と両側端縁とに下端が底板31a の下面から下方に全面的に開口している中空突条壁34a を突設してこの中空突条壁34a 上に中空角錐突部32a を突設してあり、さらに、両側縁の中空突条壁34a 、34a 間にも、土砂誘導傾斜面31a'を数分割する中空突条壁34a'を並設してこれらの中空突条壁34a'に中空角錐突部32a を突設している。
【0058】
また、上記他方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Bは
図9に示すように、雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材列のコーナー部分に配設されるもので、上記雨水貯留ユニット部材3の底板31と平面形状が同大、同形の底板31b の上面を、
図12、
図13に示すように、周壁側透水シート4bの隅角部に向けている外端角部とマンホール6の隅角部に向けている内端角部とを結ぶ対角線上中央にして、この中央から隣接する雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Aに向かって斜め下方に緩やかに傾斜した土砂誘導傾斜面31b'に形成していると共にこの土砂誘導傾斜面31a'の下傾端を、隣接する雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Aの土砂誘導傾斜面31a'に連通させるように構成している。
【0059】
さらに、上記土砂誘導傾斜面31b'の上面に、この雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3B上に載置する上記雨水貯留ユニット部材3を支持する頂面が平坦な中空角錐突部32b を上記雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Aに突設している中空角錐突部32a と同じ高さでもって縦横に同一間隔毎に突設している。
【0060】
なお、これらの中空角錐突部32b は、上記一方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Aと同様に、底板31b から直接、突設しておいてもよいが、雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Bの上記対角線とこの雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Bの直角に隣接する縁辺間の土砂誘導傾斜面31b'を数分割するようにこの土砂誘導傾斜面31b'上に突設している中空突条壁34b の上面に突設している。
【0061】
また、全ての中空角錐突部32b は、その下端を中空突条壁34b の下端開口部を通じて底板31b の下面から下方に向かって全面的に開口していると共にその頂面に透水孔33b を穿設しているが、底板31b には透水孔が設けられていなく、従って、その底板31b から下方に土砂を沈降させることなく底板上の土砂を土砂誘導傾斜面31b'上を伝って隣接する雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Aの土砂誘導傾斜面31a'に流動させるように構成している。
【0062】
このように構成した上記2種類の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Bは、一方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Aをマンホール6の底部の四方縁辺にその土砂誘導傾斜面31a'の下傾端を接合させるようにして底面側透水シート4A上に配設され、直角に隣接する雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3A間のコーナー部に他方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Bを、その対角線を中央にして互いに直角に連設している両側の土砂誘導傾斜面31b'、31b'の下傾端を隣接する雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Aの土砂誘導傾斜面31a'に連通させるように底面側透水シート4A上に配設される。その他の構成については上記実施例と同じであるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
透水シート4で囲まれた土砂沈澱槽部5内に積載している雨水貯留ユニット部材積層部分において、その最下段の雨水貯留ユニット部材列を上記2種類の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Bによって形成しておくと、土砂沈澱槽部5内において沈降する土砂をマンホール6の底面とマンホール底面周囲の上記雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材列における一方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Aの土砂誘導傾斜面31a'上及び他方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Bの土砂誘導傾斜面31b'上に堆積させ、一方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Aからはその土砂誘導傾斜面31a'を通じて土砂をマンホール6の底面に円滑に誘導、集積させることができると共に、他方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Bからは、その土砂誘導傾斜面31b'から隣接する一方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Aの土砂誘導傾斜面31a'、31a'上に誘導され、これらの土砂誘導傾斜面31a'、31a'上を通じてマンホール6内に誘導、集積させることができる。
【0064】
図14〜
図16は本発明のさらに別な実施例を示すもので、上記実施例においては、地面を所定深さにまで掘り下げることによって形成した平面長方形状貯水凹部2内に雨水貯留ユニット部材3を縦横に敷き並べると共に多段に積載することにより形成してなる貯水槽1において、この貯水槽1の一部に形成している土砂沈澱槽部5は、縦横に3個ずつ、計9個の雨水貯留ユニット部材3の並列形態に相当する広さを有し、且つ、深さが最上段の雨水貯留ユニット部材列から複数段(図においては5段)の高さに相当する深さを有する空間凹部15を設け、この空間凹部15の下端開口部に露出して空間凹部15の底面を形成している下段側の雨水貯留ユニット部材3の上面から四方周面に透水シート4a、4bを張設すると共に該空間凹部15の中央部に、一個分の雨水貯留ユニット部材3の面積に相当する広さを有する空間部を空間凹部15の全高に亘って設けるようにしてこの空間部の周囲に一段が縦横に配列した8個の雨水貯留ユニット部材3からなる雨水貯留ユニット部材列を複数段(図においては5段)、積み重ねることによって中央部にマンホール6を設けた土砂沈澱槽部5に形成しているが、この実施例においては、マンホール6'を土砂沈澱槽部5'の中央部に設けることなく、貯水凹部2の一側壁面に沿うようにして設けているものである。
【0065】
具体的には、地面を所定深さにまで掘り下げることによって形成した平面長方形状貯水凹部2内に上記実施例と同一構造、同一形状を有する雨水貯留ユニット部材3を縦横に敷き並べると共に多段に積載することにより形成してなる貯水槽1において、貯水槽1の一側壁面側にこの一側壁面に沿って縦方向(貯水槽1の長さ方向)に配列される雨水貯留ユニット部材3の3個分に相当する長さと横方向(貯水槽1の幅方向)に配列される雨水貯留ユニット部材3の2個分に相当する幅を有する平面長方形状の広さを有し、且つ、深さが最上段の雨水貯留ユニット部材列から複数段(図においては5段)の高さに相当する深さを有する空間凹部15'を設け、この空間凹部15'の下端開口部に露出して該空間凹部15'の底面を形成している下段側の雨水貯留ユニット部材列における複数個(図においては6個)の雨水貯留ユニット部材3の上面に底面側透水シート4a' を敷設すると共に空間凹部15'の底面から貯水槽1の一側壁面側以外の空間凹部15'の三方の面に亘って周壁側透水シート4b' を張設してこの周壁側透水シート4b'により、空間凹部15'の三方に該空間凹部15'を囲むように積載されている上段側の雨水貯留ユニット部材列における空間凹部15'に露出した積層面を全面的に被覆している。
【0066】
さらに、6個分の雨水貯留ユニット部材3を二列状態となるように縦横に配列可能な広さを有する上記平面長方形状の空間凹部15'内には、5個の雨水貯留ユニット部材3を縦横に配設すると共に複数段(5段)、積み重ねることにより、貯水槽1の一側壁面側に面する部分に一つの雨水貯留ユニット部材3の広さに相当するマンホール6'を形成している。
【0067】
詳しくは、空間凹部15'の底面に敷設している底面側透水シート4a' 上に、貯水槽1の一側壁面に沿って2個の雨水貯留ユニット部材3を1個の雨水貯留ユニット部材3の長さに相当する間隔を存して縦方向(貯水槽1の長さ方向)に配設してこれらの雨水貯留ユニット部材3、3間に1個の雨水貯留ユニット部材3の大きさに相当する空間部を設けると共にこれらの雨水貯留ユニット部材3、3の内側、即ち、貯水槽1の一側壁面と反対側の面に突き合わせるようにして雨水貯留ユニット部材3、3を横方向に並設し、さらに、内側に並設したこれらの雨水貯留ユニット部材3の対向面間に一個の雨水貯留ユニット部材3を配設することにより、上記空間部の3方を囲繞してなる5個の雨水貯留ユニット部材3からなる平面コ字状の雨水貯留ユニット部材列を形成している。
【0068】
そして、空間凹部15'内にこの雨水貯留ユニット部材列を一段目として複数段(5段)、積み重ねることによって、貯水槽1貯水槽1の一側壁面側に面する部分に一つの雨水貯留ユニット部材3の広さに相当するマンホール6'を形成していると共に、この雨水貯留ユニット部材積層部分の底面から貯水槽1の一側壁面に接する面以外の3方の周面に亘って透水シート4'により被覆してなる土砂沈澱槽部5'を形成している。なお、この空間凹部15'内における雨水貯留ユニット部材積層部分においても、空間凹部15'外の貯水槽1内に積載している雨水貯留ユニット部材3と同様に、下側の雨水貯留ユニット部材3に直交するようにして上側の雨水貯留ユニット部材3を積み重ねている。
【0069】
このように構成した土砂沈澱槽部5'のマンホール6'内に上記実施例と同様に、直方枠体7を挿入、設置すると共に、貯水槽1における最上段の雨水貯留ユニット部材列の上面全面に、
図14に示すように、上下方向に貫通した多数の通水孔を有する剛性材料からなる仕切板16を縦横に敷設して補強層を形成し、この補強層上に透水シート或いは遮水シートを敷設すると共に土砂等からなる被覆層によって被覆して舗装層を形成することや、マンホール6'の上端点検口に蓋体18を開閉可能に設けている点、さらには、沈砂層10から雨水導入管8を通じて上記土砂沈澱槽部5'に設けているマンホール6'に雨水を導入する点、その他の構造については上記実施例と同様であるので、同一部分に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
このように構成した雨水貯留施設は、上記実施例と同様に、雨水を上記沈砂槽10内から雨水導入管8を通じて貯水槽1内における土砂沈澱槽部5'に設けている上記マンホール6'に流入させる。さらに、マンホール6'に流入した雨水は、土砂沈澱槽部5'の底部に敷設している底部側透水シート4a' によりこの雨水に含まれている土砂を捕捉、濾過されながら下段側の雨水雨水貯留ユニット部材列の貯水空間部内に貯留されると共に、水位が上昇するに伴って周壁側透水シート4b' によって囲まれている土砂沈澱槽部5'内の雨水貯留ユニット部材積層部分から周壁側透水シート4bを透過して上段側の雨水貯留ユニット部材列の貯水空間部内に貯留される。
【0071】
上記土砂沈澱槽部5'内に滞留する雨水に含まれる土砂は、沈降してこの土砂沈澱槽部5'内のマンホール周囲の雨水貯留ユニット部材列における各雨水貯留ユニット部材3の底板部31' や底部側透水シート4a' 上に堆積する一方、土砂沈澱槽部5外に流通した雨水は、貯水槽1の他端下端部に設けている雨水導出管9を通じて排水槽11内に流出し、排水管19を通じて河川等に排出される。なお、土砂沈澱槽部5'の底部等に堆積した土砂等を排除する方法については上記実施例と同様である。
【0072】
また、土砂沈澱槽部5'に積載している雨水貯留ユニット部材積層部分において、最下段に設けている雨水貯留ユニット部材列、即ち、マンホール6'の底部における3方の周囲に配設される雨水貯留ユニット部材列を形成する数個(図においては5個)の雨水貯留ユニット部材を
図8に示した雨水貯留施設と同様に、
図10〜
図13に示した構造を有する2種類の雨水貯留ユニット部材3A、3Bを組み合わせることによって形成しておいてもよい。
【0073】
図17はその実施例を示すもので、上記2種類の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Bにおける一方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Aをマンホール6'の底部における貯水槽1の長さ方向に面した縁辺と、マンホール6'の幅方向に面した内側の縁辺との3箇所に、その土砂誘導傾斜面31a'の下傾端を接合させるようにして底面側透水シート4A上に配設され、直角に隣接する雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3A間のコーナー部に他方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Bを、その対角線を中央にして互いに直角に連設している両側の土砂誘導傾斜面31b'、31b'の下傾端を隣接する雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Aの土砂誘導傾斜面31a'に連通させるように底面側透水シート4A上に配設している。その他の構成については上記
図14〜
図16に示す実施例と同じであるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
このように透水シート4'で囲まれた土砂沈澱槽部5'内に積載している雨水貯留ユニット部材積層部分において、その最下段の雨水貯留ユニット部材列を上記2種類の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Bによって形成しておくと、土砂沈澱槽部5'内に沈降する土砂をマンホール6'の底面とマンホール底面周囲の上記雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材列における一方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Aの土砂誘導傾斜面31a'上及び他方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Bの土砂誘導傾斜面31b'上に堆積させ、一方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Aからはその土砂誘導傾斜面31a'を通じて土砂をマンホール6の底面に円滑に誘導、集積させることができると共に、他方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3Bからは、その土砂誘導傾斜面31b'から隣接する一方の雨水貯留兼土砂誘導ユニット部材3A、3Aの土砂誘導傾斜面31a'、31a'上に誘導され、これらの土砂誘導傾斜面31a'、31a'上を通じてマンホール6内に誘導、集積させることができる。
【0075】
なお、以上のいずれの実施例においても、土砂沈澱槽部5、5'を貯水槽1内の一カ所のみに設けているが、例えば、土砂沈澱槽部5の中央部にマンホール6'を設けている場合には、
図18に示すように数カ所に設けておき、これらの土砂沈澱槽部5、5、5のマンホール6の上端開口部にまで沈砂槽10から貯水槽1の最上段の雨水貯留ユニット部材列における隣接する中空四角錐台32、32の対向する傾斜壁板部32b'、32b'間の空間部を通じてそれぞれ雨水導入管8、8、8を配管しておいてもよい。貯水槽1の一側壁面に沿ってマンホール6'を設けている土砂沈澱槽部5'においても同様である。