特許第6239414号(P6239414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239414キャリア、キャリアの製造方法及び現像剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239414
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】キャリア、キャリアの製造方法及び現像剤
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/113 20060101AFI20171120BHJP
   G03G 9/107 20060101ALI20171120BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20171120BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20171120BHJP
   C08F 20/38 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G03G9/10 351
   G03G9/10 361
   G03G9/10 362
   G03G9/10 311
   G03G9/10 321
   G03G9/08 365
   G03G9/08 375
   G03G9/08 381
   C08F20/38
【請求項の数】17
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-54615(P2014-54615)
(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-203077(P2014-203077A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2017年2月24日
(31)【優先権主張番号】13/855,866
(32)【優先日】2013年4月3日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ピー・エヌ・ヴェアジン
(72)【発明者】
【氏名】キンビン・リー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリー・コバレンコ
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・グサロフ
【審査官】 福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5115560(JP,B2)
【文献】 特開2014−182175(JP,A)
【文献】 特開平07−077841(JP,A)
【文献】 特開平04−208944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に示されるような構造を有する少なくとも1つの第1のモノマーまたはそれらの異性体を含むモノマーを重合させて得られた樹脂でコーティングされた固体コアを含むキャリアであって:
【化1】
式中、R1は、メチルまたはHであり;R2は、少なくとも1つの硫黄原子を環に含む脂環式炭化水素であり、ここでこの樹脂は、少なくとも4の炭素:酸素(C/O)比を有する、キャリア。
【請求項2】
1がメチルである、請求項1に記載のキャリア。
【請求項3】
記脂環式炭化水素は、五員環、六員環、または七員環である、請求項1に記載のキャリア。
【請求項4】
2が、ジチエタン、チエタン、トリチアン、ジチエパン、トリチエパン、ジチオカン、トリチオカン、チオラン、ジチオラン、チアン、ジチアン、チエパンおよびチオカンからなる群から選択される、請求項1に記載のキャリア。
【請求項5】
2がチアンである、請求項1に記載のキャリア。
【請求項6】
前記樹脂が、式(II)に示されるような構造を有する少なくとも1つのモノマーまたはそれらの異性体を含むモノマーを重合させて得られた重合体であって、
【化2】
式中、R1はメチルまたはHである、請求項1に記載のキャリア。
【請求項7】
1がメチルである、請求項6に記載のキャリア。
【請求項8】
前記樹脂が、コポリマーを形成する少なくとも1つの第2のモノマーを含み、必要に応じてカーボンブラック、界面活性剤、ワックスまたは着色剤のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載のキャリア。
【請求項9】
前記固体コアが、磁性コアである、請求項1に記載のキャリア。
【請求項10】
前記固体コアが、鉄、スチール、フェライト、マグネタイト、ニッケルおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料からなり、その平均粒径は、直径が50μm〜500μmである、請求項1に記載のキャリア。
【請求項11】
前記コポリマーを形成する前記少なくとも1つの第2のモノマーが、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロプロピルアクリレート、シクロブチルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、メチルアミノエチルメタクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のキャリア。
【請求項12】
前記樹脂は、数平均分子量が60,000〜400,000、重量平均分子量が200,000〜800,000、またはガラス転移温度が85℃〜140℃である、請求項1に記載のキャリア。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のキャリアの製造方法であって、
前記樹脂が乾燥粉末として前記コアに塗布される、キャリアの製造方法。
【請求項14】
前記粉末が、カスケードロール混合、タンブリング、ミリング、振とう、静電粉末クラウド噴霧、流動床、静電ディスク加工処理、静電カーテンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるプロセスによって塗布される、請求項13に記載のキャリアの製造方法。
【請求項15】
トナーおよび請求項1に記載のキャリアを含む現像剤であって、前記トナーが、ラテックス樹脂と、必要に応じてワックスと、必要に応じて着色剤と、を含む、現像剤。
【請求項16】
前記トナーが、少なくとも1つのシリカ表面添加剤を含む、請求項15に記載の現像剤。
【請求項17】
前記トナーが、乳化凝集トナーである、請求項15に記載の現像剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にキャリア樹脂、例えばより高い炭素:酸素(C/O)比を有する樹脂であって、ここでこうしたモノマーは、少なくとも1つの硫黄原子を含有する少なくとも1つの複素環式化合物を含む樹脂、こうしたモノマーを含有するキャリア樹脂、こうした樹脂を含むコーティングを製造するプロセス、こうしたキャリア樹脂を含むコーティング、こうした樹脂を含むキャリア;およびこうしたコーティングされたキャリアを含む現像剤(トナー、キャリア樹脂およびシリカ表面添加剤の組み合わせを含む)に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーの特性は、トナーの材料および材料の量によって影響を受ける。トナーの帯電特徴はまた、コーティングを含む現像剤組成物に使用されるキャリアに依存し得る。
【0003】
より高電荷の現像剤、特により大きなサイズの添加剤パッケージを有するものを可能にする新しいキャリアコーティングが開発されつつある。しかし、こうした現像剤が低いエリアカバレッジ、続いて高いエリアカバレッジにてテストされる場合、現像剤は、電荷通過により低いまたは間違ったサイントナーを示す傾向がある、すなわちデバイス中にあるトナーは、負が弱いまたはさらには間違ったサインになる、すなわち反対の電荷、すなわち正になり、添加された新しい(フレッシュな)トナーは大きく負に帯電し得る。低電荷および/または間違ったサイントナーの存在は、望ましくない背景をもたらし得る。
【0004】
さらに、多くのトナーは、表面添加剤としてシリカを含有する。シリカは、トナーのための実質的な電荷ドライバであることができるが、シリカは、RH感受性であることが知られている。故に、高い電荷を維持しながら、RH感受性を改善するために、シリカと上手く働く新しいキャリア設計を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、アクリレートを含み、必要に応じて少なくとも約4の炭素と酸素との比を含有する、コーティングされたキャリア組成物を含む、高い電荷および改善されたRH感受性を示すキャリアアクリレート樹脂、例えば環状炭化水素を含むもの、例えば少なくとも1つの硫黄を含む複素環状基を含むもの、およびこのキャリア樹脂を含む現像剤を記載する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
キャリア樹脂組成物は、式(I)に示されるような構造を有する少なくとも1つの第1のモノマー、またはそれらの異性体を含むものが開示される:
【化1】
式中、Rは、メチルまたはHであり;Rは、アリール、環状ヘテロアルキル、環状ヘテロアルキルアルキルまたは環状ヘテロアルキルアリールであり、ここでアリール、環状ヘテロアルキル、環状ヘテロアルキルアルキルまたは環状ヘテロアルキルアリールは、少なくとも1つの硫黄原子を含有し、必要に応じてここでこの樹脂は、少なくとも約4の炭素:酸素(C/O)比を有する。
【0007】
以下を含むラテックスのキャリアコーティング樹脂を調製するプロセスが、開示される。コポリマー樹脂を形成する工程であって、ここでこの樹脂は、約50nm〜500nmの粒径を有する工程;コポリマー樹脂を溶液として回収する工程またはこのコポリマー樹脂溶液を乾燥し、粉末を形成する工程;および粒子、例えば磁性コアを有するものにこの樹脂をコーティングする工程。
【0008】
少なくとも1つの硫黄を含む少なくとも1つの複素環状基を有する少なくとも1つのアクリレートモノマーを含むポリマーコーティング樹脂を含む、キャリア組成物が開示され、ここでこのモノマーは、必要に応じて、少なくとも約4、少なくとも約4.3、少なくとも約4.5、少なくとも約4.7、少なくとも約4.9、少なくとも約5、少なくとも約6またはそれ以上の炭素:酸素(C/O)比を有する。実施形態において、こうした分子としては、テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル2−メチルプロパ−2−エノエート(異性体、テトラヒドロ−2H−チオピラン−2−イル2−メチルプロパ−2−エノエートまたはテトラヒドロ−2H−チオピラン−3−イル2−メチルプロパ−2−エノエートを含む)が挙げられる。
【0009】
「複素環」は、1つ以上の非炭素原子を環に含む環状炭化水素である。好適な非炭素原子としては、窒素、酸素および硫黄が挙げられる。
【0010】
「アリール」基は、単一の環を有する約6〜約14個の炭素原子の芳香族炭素環状基(例えばフェニル)であり、または多環状であることができる。
【0011】
「ヘテロアリール」基は、ヘテロ芳香族環系における環原子として1〜4個のヘテロ原子を有するアリール環系であり、ここでこの原子の残りは、炭素原子である。好適なヘテロ原子としては、酸素、硫黄および窒素が挙げられる。
【0012】
「参照キャリアに対して負に帯電可能な負の添加剤」とは、添加剤が、添加剤を用いておよび添加剤を用いずにトナー摩擦帯電電荷を決定することによって測定されるトナー表面に対して負に帯電していることを意味する。同様に、「キャリアに対して正に帯電可能な正の添加剤」とは、添加剤が、添加剤を用いておよび添加剤を用いずにトナー摩擦帯電電荷を決定することによって測定されるトナー表面に対して正に帯電していることを意味する。
【0013】
キャリアに対して負に帯電可能な負の添加剤としては、シリカ粒子、アルミナ粒子またはいずれかの小さいサイズの粒子(例えば、いずれかの好適な技術によって決定される場合に体積平均粒子直径が約7〜約100nm)(ポリマー性微粒子を含む)が挙げられ、必要に応じて粒子を摩擦帯電接触状態のキャリアに対して負に帯電可能にする組成物で処理される。処理材料は、フルオロシラン、他のハロゲン含有オルガノシラン、シラザン、シロキサンなどであってもよい。
【0014】
ラテックス樹脂は、第1および第2のモノマー組成物を含んでいてもよい。第1のモノマー組成物のためのモノマーまたはモノマー混合物の選択は、第2のモノマー組成物のためのそれらの選択とは独立しており、逆も同様である。第1のモノマー組成物および/または第2のモノマー組成物のための例示的なモノマーとしては、ポリエステル、スチレン、アルキルアクリレート、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアリーレート、イソブチルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート;β−カルボキシエチルアクリレート(β−CEA)、フェニルアクリレート、メチルα−クロロアクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレートおよびブチルメタクリレート;ブタジエン;イソプレン;メタクリロニトリル;アクリロニトリル;ビニルエーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど;ビニルエステル、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルベンゾエートおよびビニルブチレート;ビニルケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンおよびメチルイソプロペニルケトン;ビニリデンハライド、例えばビニリデンクロリドおよびビニリデンクロロフロリド;N−ビニルインドール;N−ビニルピロリドン;メタクリレート(MA);アクリル酸;メタクリル酸;アクリルアミド;メタクリルアミド;ビニルピリジン;ビニルピロリドン;ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド;ビニルナフタレン;p−クロロスチレン;ビニルクロリド;ビニルブロミド;ビニルフロリド;エチレン;プロピレン;ブチレン;イソブチレン;など、およびこれらの混合物が挙げられる。モノマーの混合物が使用される場合、通常ラテックスポリマーはコポリマーである。
【0015】
第1のモノマー組成物および第2のモノマー組成物は、互いに独立に、2つまたは3つまたはそれ以上の異なるモノマーを含んでいてもよい。故に、ラテックスポリマーは、コポリマーを含むことができる。こうしたラテックスコポリマーの例示的な例としては、ポリ(スチレン−n−ブチルアクリレート−β−CEA)、ポリ(スチレン−アルキルアクリレート)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン)、ポリ(スチレン−アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート−アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート−アリールアクリレート)、ポリ(アリールメタクリレート−アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(スチレン−アルキルアクリレート−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン−アクリロニトリル)、ポリ(アルキルアクリレート−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(メチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルアクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルアクリレート−イソプレン);ポリ(スチレン−プロピルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−アクリロニトリル(acrylononitrile))などが挙げられる。
【0016】
第1のモノマー組成物および第2のモノマー組成物は、実質的に水不溶性、例えば疎水性であってもよく、反応容器に添加される場合に、適切な撹拌を行いながら、水性相に分散されてもよい。
【0017】
第1のモノマー組成物と第2のモノマー組成物との重量比は、約0.1:99.9〜約50:50、約0.5:99.5〜約25:75、約1:99〜約10:90の範囲であってもよい。
【0018】
第1のモノマー組成物および第2のモノマー組成物は同じであることができる。第1の/第2のモノマー組成物の例は、スチレンおよびアルキルアクリレートを含む混合物、例えばスチレン、n−ブチルアクリレートおよびβ−CEAを含む混合物であってもよい。モノマーの総重量に基づいて、スチレンは、約1%〜約99%、約50%〜約95%、約70%〜約90%の量で存在してもよいが、より多いまたは少ない量で存在してもよい;アルキルアクリレート、例えばn−ブチルアクリレートは、約1%〜約99%、約5%〜約50%、約10%〜約30%の量で存在してもよいが、より多いまたはより少ない量で存在してもよい。
【0019】
トナーを製造するために、樹脂は、ポリエステル樹脂、例えば非晶質樹脂、結晶性樹脂、および/またはこれらの組み合わせであってもよい。好適な樹脂としてはまた、非晶質ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂の混合物を挙げることができる。
【0020】
樹脂は、ジオールを、二酸と、必要に応じた触媒の存在下で反応させることによって形成されたポリエステル樹脂であってもよい。重縮合触媒が、結晶性または非晶質ポリエステルのいずれかを形成する際に利用されてもよい。
【0021】
いずれかの好適な界面活性剤は、ラテックス、顔料およびワックス分散液の調製のために使用されてもよい。エマルション系に依存して、いずれかの所望の非イオン性またはイオン性界面活性剤、例えばアニオン性またはカチオン性界面活性剤が考慮されてもよい。
【0022】
好適なアニオン性界面活性剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、Tayca Power(登録商標)(Tayca Corp.から入手可能)、DOWFAX(登録商標)(Dow Chemical Co.から入手可能)など、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
好適なカチオン性界面活性剤の例としては、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、MIRAPOL(登録商標)およびALKAQUAT(登録商標)(Alkaril Chemical Companyから入手可能)、SANIZOL(登録商標)(ベンズアルコニウムクロリド、Kao Chemicalsから入手可能)など、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
好適な非イオン性界面活性剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(sanofiからANTAROX890(登録商標)、IGEPAL CA−210(登録商標)およびANTAROX897(登録商標)として入手可能)など、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
界面活性剤は、いずれかの所望のまたは有効な量、例えばラテックスポリマーを調製するために使用される総モノマーの少なくとも約0.01重量%で使用されてもよいが、この量はそれらの範囲外であることができる。
【0026】
いずれかの好適な開始剤または開始剤の混合物は、ラテックスプロセスおよびトナープロセスに使用されてもよい。
【0027】
水溶性フリーラジカル開始剤は乳化重合反応に使用されるが、他のフリーラジカル開始剤も使用できる。好適なフリーラジカル開始剤の例としては、過酸化物、アゾ化合物など;およびこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
重合されるべきモノマーの総重量に基づいて、開始剤は、約0.1%〜約5%からの量で存在してもよい。
【0029】
連鎖移動剤は、必要に応じて、ラテックスの重合度を制御し、それによって生成物ラテックスの分子量および分子量分布を制御するために使用されてもよい。
【0030】
実施形態において、分岐剤は、必要に応じて、ターゲットラテックスの分岐構造を制御するために第1の/第2のモノマー組成物に含まれてもよい。
【0031】
開示のラテックスプロセスおよびトナープロセスにおいて、乳化は、いずれかの好適なプロセス、例えば高温における混合によって行われてもよい。
【0032】
いずれのタイプの反応器も、制限なく使用されてもよい。反応器は、その中の組成物を撹拌するための手段、例えばインペラを含むことができる。
【0033】
本開示のラテックスは、トナー、インクおよび現像剤を既知の方法によって形成するための乳化−凝集−合一プロセスのために選択されてもよい。
【0034】
本開示のラテックスは、種々のトナー成分、例えば必要に応じたワックス分散液、必要に応じた着色剤、必要に応じた凝固剤、必要に応じたシリカ、必要に応じた電荷向上添加剤または電荷制御添加剤、必要に応じた界面活性剤、必要に応じた乳化剤、必要に応じたフロー添加剤などと溶融ブレンドまたは他の方法で混合してもよい。
【0035】
種々の既知の好適な着色剤、例えば染料、顔料、染料混合物、顔料混合物、染料および顔料の混合物などが、トナーに含まれていてもよい。着色剤は、例えばトナーの約0.1〜約35重量%の量でトナーに含まれていてもよい。
【0036】
本開示のトナーはまた、単一タイプのワックスまたは2つ以上の異なるワックスの混合物のいずれかであることができるワックスを含有してもよい。
【0037】
含まれる場合、ワックスは、例えばトナー粒子の約1重量%〜約25重量%の量で存在してもよい。ワックスの融点は、少なくとも約30℃であることができる。
【0038】
選択されてもよいワックスは、例えば約500〜約20,000の重量平均分子量を有するワックスが挙げられる。
【0039】
トナー粒子は、当業者の範囲内のいずれかの方法によって調製されてもよい。トナー粒子の製造に関する実施形態を、乳化−凝集プロセスに関して以下に記載するが、化学プロセス、例えば懸濁およびカプセル化プロセスを含むトナー粒子を調製するいずれかの好適な方法が使用されてもよい。
【0040】
上記の混合物の調製の後、凝集剤が混合物に添加されてもよい。好適な凝集剤としては、例えば、二価カチオンまたは多価カチオン材料の水溶液が挙げられる。
【0041】
粒子は、予め決定された所望の粒径が得られるまで凝集させてもよい。粒径は、例えば平均粒径に関してCOULTER COUNTERを用いて、当該技術分野において既知のようにモニターすることができる。
【0042】
トナー粒子の所望の最終サイズが達成されたら、混合物のpHは、塩基を用いて約6〜約10の値に調整されてもよい。pHの調整は、凍結のために、すなわちトナー成長を停止するために利用されてもよい。実施形態において、EDTAを添加して、上記で記述された所望の値にpHを調整するのに役立ててもよい。
【0043】
シェルは、形成された凝集トナー粒子に適用されてもよい。
【0044】
所望の粒径への凝集の後、上述のようなシェルの必要に応じた形成に関して、次いで粒子は、所望の最終形状に合一させてもよく、この合一は、例えば混合物を、約55℃〜約100℃の温度に加熱することによって達成され、これは可塑化を防止するために結晶性樹脂の融点未満であってもよい。
【0045】
合一後、混合物を、室温、例えば20℃〜約25℃に冷却してもよい。冷却後、トナー粒子は、必要に応じて、水で洗浄されてもよく、次いで乾燥されてもよい。
【0046】
トナー粒子はまた、所望によりまたは必要により、他の必要に応じた添加剤を含有してもよい。例えば、トナーは、トナーの約0.1〜約10重量%の量でいずれかの既知の電荷添加剤を含んでいてもよい。
【0047】
表面添加剤は、洗浄または乾燥後にトナー組成物に添加できる。
【0048】
トナー粒子の特徴は、いずれかの好適な技術および装置によって決定されてもよい。体積平均粒子直径D50v、GSDおよびGSDは、測定機器、例えば製造者によって推奨されるように操作されるBeckman Coulter MULTISIZER3によって測定されてもよい。
【0049】
種々の好適な固体コアまたは粒子材料が、本開示のキャリアのためにおよび現像剤のために利用できる。特徴的な粒子特性としては、実施形態において、トナー粒子が、正電荷または負電荷を得ることができるようにする特性、および電子写真画像形成装置に存在する現像剤の貯蔵器において所望のフロー特性を提供するキャリアコアが挙げられる。
【0050】
フェライトは、コアとして利用されてもよく、金属、例えば鉄および少なくとも1つの追加の金属、例えば銅、亜鉛、ニッケル、マンガン、これらの組み合わせなどを含む。
【0051】
コア金属上のポリマー性コーティングはラテックスを含み、実施形態において、ラテックスはコポリマーを含むことができる。キャリアコアのコーティングとして利用されるラテックスコポリマーは、少なくとも1つのアクリレート、必要に応じて酸性アクリレートモノマー、および必要に応じて伝導性材料、例えばカーボンブラックを含んでいてもよい。ポリマーコーティングを形成する際に利用されてもよい好適なシクロアクリレートとしては、例えばシクロヘキシルメタクリレート(CHMAまたはポリCHMAのPCHMA)、シクロプロピルアクリレート、シクロブチルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0052】
コーティングは、イソボルニルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートのコポリマーを含むことができ、シクロヘキシルメタクリレートは、コポリマーの約0.1%〜約99.9重量%、コポリマーの約35%〜約65重量%の量で存在し、イソボルニルメタクリレートは、コポリマーの約99.9%〜約0.1重量%、コポリマーの約65%〜約35重量%の量で存在する。
【0053】
電荷制御剤モノマーとしては、酸性アクリレートおよびジアルキルアミノアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーコーティングを形成する際に利用されてもよい好適な酸性アクリレートモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、これらの組み合わせなどが挙げられる。ポリマーコーティングを形成する際に利用されてもよい好適なジアルキルアミノアクリレートとしては、例えばジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、メチルアミノエチルメタクリレート、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0054】
シクロアクリレートを電荷制御剤モノマーと組み合わせる場合、シクロアクリレートは、コポリマーの約0.1重量%〜コポリマーの約99.8重量%、コポリマーの約50重量%〜コポリマーの約95重量%の量でキャリアコアのポリマー性コーティングとして利用されるコポリマーに存在してもよい。電荷制御剤モノマーは、コポリマーの約0.1重量%〜コポリマーの約5重量%の量でこうしたコポリマーに存在してもよい。
【0055】
高いC/O比を有するキャリア樹脂(例えばCHMA)は、例えばPMMAと比較して、良好な電荷を与えつつ、RH感受性を改善する。
【0056】
故に、実施形態において、Aゾーン電荷は、約−15〜約−60μC/g、約−20〜約−55μC/gであってもよいが、Cゾーン電荷は、約−15〜約−60μC/g、約−20〜約55μC/gであってもよい。Aゾーン電荷と、Cゾーン電荷との比は、RH比として本明細書においては称されることもあり、約0.4〜約1.0、約0.6〜約0.8であってもよい。
【0057】
上記で与えられたように、好適なこうした環状化合物としては、硫黄を含む複素環が挙げられる。故に、分子、例えばチアン、チエパン、チエタン、チエット、チイレン、チイラン、ジチオカン、トリチオカン、ジチオンカン(dithioncan)、トリチアン、ジチエパン、チオピラン、チオラン、トリテパン、チオラン、ジチオラン、チオフェン、ジチオラン、ジチアン、チエピン、チオカン、ジチエタン、ベンゾチオフェン、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアジン、イソチアゾール、チアシン、ベンゾチアジン、チアントレンなどが、本明細書の教示の実施に使用できる。こうした試薬は、市販されている(例えばAlfa Aesar、Chiron AS、Endeavor Specialty Chemicals、MP Biomedicalsなど)、または当該技術分野において既知のように合成できる。
【0058】
故に、こうした複素環は、キャリア樹脂に組み込まれる。複素環は、コポリマーの1つの試薬であるモノマーとして使用でき、またはモノマーのペンダント基であることができる。故に、複素環は、キャリア樹脂を合成するためのラテックスを製造するために使用されるアクリレートまたは他のモノマーに加えることができる。例えば、チアン残基は、当該技術分野において既知であるように、アクリル酸、アクリレート、メタクリレート、メタクリル酸、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどに付加される。本明細書に教示されるように、複素環を保持するアクリレートは、次いで本明細書に教示される方法または当該技術分野において既知の方法を実施して樹脂に組み込まれる。
【0059】
ポリマー性コーティングを形成するための方法は、当業者の範囲内であり、本明細書で教示されるようにポリマー性コーティングを形成するために利用されるモノマーの乳化重合を含む。
【0060】
重合プロセスにおいて、反応体は、混合容器のような好適な反応器に添加されてもよい。適切な量の出発材料は、必要に応じて、溶媒中に溶解されてもよく、必要に応じた開始剤が溶液に添加されてもよく、必要に応じて少なくとも1つの界面活性剤と接触されて、エマルションを形成してもよい。コポリマーは、エマルション中で形成されてもよく、次いでこれはキャリア粒子のポリマー性コーティングとして回収および使用されてもよい。
【0061】
利用される場合、好適な溶媒としては、水および/または有機溶媒(トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、炭素テトラクロリド、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ヘプタン、ヘキサン、メチレンクロリド、ペンタン、これらの組み合わせなどを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
ポリマー性コーティングを形成するためのラテックスは、必要に応じて不活性ガス、例えば窒素下で、界面活性剤または共界面活性剤を含有する水性相に調製されてもよい。ラテックス分散液を形成するために樹脂と共に利用され得る界面活性剤は、約0.01〜約15重量%の固形分、約0.1〜約10重量%の固形分の量で、本明細書で教示されるようにイオン性または非イオン性界面活性剤であることができる。
【0063】
本明細書で教示されるような開始剤は、キャリアポリマー性コーティングのためのラテックスを形成するために添加されてもよい。好適な開始剤の例としては、水溶性開始剤、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸カリウム、および有機可溶性開始剤(有機過酸化物およびアゾ化合物を含む(Vazo過酸化物、例えばVAZO64(商標)、2−メチル2−2’−アゾビスプロパンニトリル、VAZO88(商標)、2−2’−アゾビスイソブチルアミド脱水物およびこれらの組み合わせを含む))が挙げられる。
【0064】
開始剤は、例えばモノマーの約0.1〜約8重量%、約0.2〜約5重量%の好適な量で添加できる。
【0065】
エマルションを形成する際、出発材料、界面活性剤、必要に応じた溶媒および必要に応じた開始剤は、当業者の範囲内のいずれかの手段を利用して組み合わせてもよい。実施形態において、反応混合物は、温度を、約10℃〜約100℃、約20℃〜約90℃、約45℃〜約75℃に維持しながら(しかし、この範囲外の温度を利用してもよい)、約1分〜約72時間、約4時間〜約24時間(しかし、この範囲外の時間が利用されてもよい)混合されてもよい。
【0066】
コポリマーが形成されたら、樹脂は、当業者の範囲内のいずれかの技術(濾過、乾燥、遠心分離、噴霧乾燥、これらの組み合わせなどを含む)によってエマルションから回収されてもよい。
【0067】
得られたら、キャリアのためのコーティングとして利用されるコポリマーは、当業者の範囲内のいずれかの方法(例えば凍結乾燥、必要に応じて真空中の凍結乾燥、噴霧乾燥、これらの組み合わせなどを含む)によって粉末形態に乾燥されてもよい。
【0068】
コポリマーの粒子は、約40nm〜約500nm、約50nm〜約400nm、約60nm〜約300nm、約20nm〜約250nm、約30nm〜約225nm、約40nm〜約200nm、約45nm〜約175nmのサイズを有していてもよい。
【0069】
乾燥されたポリマー性コーティングの粒子のサイズが大き過ぎる場合、粒子は、粒子をさらに分散させ、いずれかのアグロメレートまたは緩く結合した粒子を破断させるための均質化または超音波処理に供してもよく、それによって上述されたサイズを有する粒子、例えば一次粒子を得る。利用される場合、ホモジナイザは、約6,000rpm〜約10,000rpm、約7,000〜約9,750rpmの速度にて、約0.5分〜約60分、約5分〜約30分の期間操作されてもよい。
【0070】
キャリアコーティングとして利用されるコポリマーは、約60,000〜約400,000、約170,000〜約280,000のMn、および約200,000〜約800,000、約400,000〜約600,000のMwを有していてもよい。
【0071】
キャリアコーティングとして利用されるコポリマーは、約85℃〜約140℃、約100℃〜約130℃のTgを有していてもよい。
【0072】
多数の添加剤、例えば電荷向上添加剤(粒子状アミン樹脂、例えばメラミン、アルキル−アミノアクリレートおよびメタクリレート、ポリアミド、およびフッ素化ポリマー、例えばポリビニリジンフロリドおよびポリ(テトラフルオロエチレン)およびフルオロアルキルメタクリレート、例えば2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートを含む)をキャリアに添加してもよい。利用されてもよい他の電荷向上添加剤としては、四級アンモニウム塩(ジステアリールジメチルアンモニウムメチルスルフェート(DDAMS)、ビス[1−[(3,5−二置換−2−ヒドロキシフェニル)アゾ]−3−(一置換)−2−ナフタレノラート(2−)]クロメート(1−)、セチルピリジニウムクロリド(CPC)、FANAL PINK(登録商標)D4830、これらの組み合わせなどを含む)、および他の有効な既知の電荷剤または添加剤が挙げられる。電荷添加剤構成成分は、種々の有効量、例えばポリマー/コポリマー、伝導性構成成分、および他の電荷添加剤構成成分の重量の合計に基づいて約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約3重量%にて選択されてもよい。
【0073】
伝導性構成成分の添加は、キャリアに付与される負の摩擦帯電電荷をさらに増大させるように作用することがあり、そのため例えば電子写真現像サブシステムにおいてトナーに付与される負の摩擦帯電電荷をさらに増大させる。構成成分は、ロール混合、タンブリング、ミリング、振とう、静電粉末クラウド噴霧、流動床の使用、静電ディスク加工処理、および静電カーテンの使用によって含まれていてもよく、ここでキャリアコーティングは、ロータリキルンまたは加熱された押出機装置を通過させることのいずれかによりキャリアコアに融着される。
【0074】
伝導率は、そうでなければ弱く現像され得るベタ領域の良好な現像を可能にするために、半導体磁気ブラシ現像に重要であり得る。必要に応じて伝導性構成成分、例えばカーボンブラックを伴う本開示のポリマー性のコーティングの添加は、約20%〜約90%、約40%〜約80%の相対湿度の変化に対して低減した現像剤の摩擦帯電応答を示すキャリアをもたらすことができる、すなわち電荷は、相対湿度が変化する場合に、より一定である。故に、高い相対湿度での電荷の低下が少なく、プリント上の背景トナーを低減するとともに、低い相対湿度においては電荷の増大が少なく、続いて現像の損失が少なく、改善された光学密度によりこうした改善された画像品質性能をもたらす。
【0075】
粉末コーティングプロセスは、従来の溶液コーティングプロセスとは異なる。溶液コーティングは、組成物および分子量特性により、樹脂がコーティングプロセスにおいて溶媒中に可溶性であるようにする、コーティングポリマーを必要とする。これは、粉末コーティングに比べて、相対的に低いMwの構成成分を必要とする。粉末コーティングプロセスは、溶媒溶解性を必要としないが、約10nm〜約2μm、約30nm〜約1μm、約50nm〜約500nmの粒径を有する粒子としてコーティングされた樹脂を必要とする。
【0076】
粉末コーティングを適用するために利用されてもよいプロセスの例は、例えば、カスケードロール混合、タンブリング、ミリング、振とう、静電粉末クラウド噴霧、流動床の使用、静電ディスク加工処理、静電カーテンの使用、これらの組み合わせなどによってキャリアコア材料およびコポリマーコーティングを合わせる工程を含む。樹脂コーティングされたキャリア粒子が粉末コーティングプロセスによって調製される場合、コーティング材料の大部分は、キャリア表面に融着されてもよく、それによってキャリア上のトナー固着部位の数を低下させる。ポリマー性コーティングの融着は、機械的固着、静電引力、それらの熱との組み合わせなどによって生じ得る。
【0077】
コポリマーのコアへの適用後、加熱が開始されて、キャリアコアの表面にわたってコーティング材料のフローを許容してもよい。コーティング材料、実施形態において粉末粒子の濃度、および加熱のパラメータは、キャリアコアの表面上のコーティングポリマーの連続フィルムの形成を可能にするように、またはキャリアコアの選択された領域のみをコーティング可能にするように選択されてもよい。ポリマー性粉末コーティングを有するキャリアは、約170℃〜約280℃、約190℃〜約240℃の温度に、約10分〜約180分、約15分〜約60分間加熱され、ポリマーコーティングが溶融し、キャリアコア粒子に融着できるようにしてもよい。キャリアの表面上の粉末の組み込みの後、加熱は、キャリアコアの表面にわたってコーティング材料のフローを可能にするために開始されてもよい。粉末は、ロータリキルンまたは加熱された押出機装置を通過させることによってのいずれかでキャリアコアに融着されてもよい。
【0078】
コーティングカバレッジは、キャリアコアの約10%〜約100%を含む。キャリアコアの選択された領域がコーティングされていないまたは露呈している場合、キャリア粒子は、例えばコア材料が金属である場合、電気伝導性特性を保持してもよい。
【0079】
次いでコーティングされたキャリア粒子が、実施形態において室温に冷却されてもよく、現像剤の形成の際に使用するために回収されてもよい。
【0080】
本開示のキャリアは、約20〜約100μm、約30μm〜約75μmのサイズを有するコア、実施形態においてはフェライトコアを含んでいてもよく、必要に応じてカーボンブラックを含む本開示のポリマーコーティングで約0.5%〜約10重量%、約0.7%〜約5重量%コーティングされる。
【0081】
こうして形成されたトナー粒子は、現像剤組成物に配合されてもよい。トナー粒子は、二成分現像剤組成物を得るためにキャリア粒子と混合されてもよい。現像剤中のトナー濃度は、現像剤の総重量の約1%〜約25重量%であってもよい。
【0082】
キャリア伝導率または抵抗率を測定するために、キャリアの約30〜約50gを、2つの円形平面の平行なスチール電極(約3cmの半径)間に置き、約0.4〜約0.5cmの層を形成するために4kgの重量によって圧縮されてもよく;約10vのDC電圧が電極間に適用されてもよく、DC電流は、電圧適用後1分で、電極および電圧源間において直列で測定されてもよい。(ohmcm)−1単位の伝導率は、amps単位の電流をセンチメートル単位の層厚さで乗じ、cm単位の電極面積と電圧10vで除することによって得られてもよい。抵抗率は、伝導率の逆数として得られてもよく、ohm−cm単位で測定されてもよい。電圧は、150Vに増大する場合があり、150Vの電圧の値を用いて繰り返される測定であってもよい。
【0083】
キャリアは、10vにて測定される場合には約10〜約1014ohm−cm、150vにて測定される場合には約10〜約1013ohm−cmの抵抗率を有してもよい。
【0084】
RH感受性を担う現像剤は、キャリアコーティング樹脂のモルC/O比を増大させることによって、硫黄を含む複素環を含むキャリア樹脂を用いることによって、またはその両方によって改善できることを見出した。故に、本開示の現像剤は、約0.4〜約1.0、約0.6〜約0.8のRH感受性を有していてもよい。
【0085】
トナーは、電気写真プロセスのために利用できる。
【0086】
ポリマー樹脂、例えばポリ(シクロヘキシルメタクリレート,CHMA)(PCHMA)を含有するものは、ポリ(メチルメタクリレート,MMA)(PMMA)を含む樹脂と同様の電荷を提供するが、改善されたRH感受性を有することを見出した。シクロヘキシル基は、RH感受性についてメチル基より優れる。
【0087】
キャリア樹脂においては高い電荷および良好なRH感受性の両方を有するのが望ましい。2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)モノマーを、キャリアのためのコポリマーコーティングとしてCHMAモノマーに1.5モル%までで添加した場合、Cゾーン電荷(乾燥条件)は、DMAEMA量の増大に伴って一般に増大した。しかし、Aゾーンの性能は、改善されなかった。DMAEMAの量が増大し、Cゾーンの電荷が増大するにつれて、一般にはRH比(CゾーンとAゾーン電荷との比)も、本質的に1より増大した。
【0088】
故に、キャリア樹脂に使用されるモノマーのより高い炭素対酸素(C/O)比により、シリカを含有するトナーの良好な電荷を提供しつつ、RH感受性を改善する。
【0089】
機構、樹脂、シリカ、およびトナーの他の要素間の分子相互作用、およびトナー性能におけるいずれかの1つ以上のそれらの影響を詳細に分析するために、コンピュータ分析を種々の分子に関して行った。
【0090】
すべての置換されたメタクリレートに関して、試験されるべきポリマーを代表してトリマーを使用した。ポリマー中のC(炭素)リッチおよびO(酸素)リッチな官能基(アルキル/芳香族およびアシル)の可能性としての作用を区別するために、3つのアシル基すべてが、同じサイドに配位するように設計された。
【0091】
シリカモデルの表面ヒドロキシルを模倣するために、一層シリンダ様シリカモデルを使用して、式Si123216を有する表面処理されたシリカを設計した。このモデルにおいて、すべてのシリカは、正四面体幾何学形状であり、酸素によって連結されていた。シリンダの縁部は、2つのヒドロキシル基で末端処理され、ジェミナルシラノール[Si(OH)]を表していたが、これは,βクリストバライトの表面において典型的であり、未処理のシリカの表面ヒドロキシル基の2つのタイプのうちの1つとして非晶質シリカ表面上において実験的に同定された(例えば、Leonardelli et al.,J Am Chem Soc(1992)114:6412;およびVigne−Maeder&Sautet,J Phys Chem(1997)101(41):8197を参照のこと、それぞれが本明細書において参考としてその全体が組み込まれる)。すべての計算は、Accelrys Materials Studio4.2の市販のソフトウェアパッケージからのDMo13モジュールを用いて行われた。密度汎関数理論(DFT)は、すべてのモデルおよびカップリングされたトナー/キャリア複合体の表面電子特性の調査のために使用された。
【0092】
DMo13密度汎関数方法の新しい拡張では、必要とされる正確性に依存して、局所および勾配依存関数に関して電子構造計算を行うように設計される。Perdew’s91の、一般化された勾配近似(PW91)を密度汎関数方法として使用した(Perdew,Physica B172:1−6,1991;およびPerdew et al.,Phys Rev Lett77(18)3865−3868,1996)。基準のセットとして、d−分極関数(DND)に関して設定された二重数値基準は、すべての計算について使用された。DFTを用いることは、入念な拡張機能探究を必要とし得る。異なる基準セットタイプに関して、DNDは、6−31Gである同じサイズのガウス型基準セットよりも良好に行われることが報告されている。DND数値解は、分子および固形分計算のために分離された原子限度に関して高度に正確なDFT解を与えることができる。
【0093】
シリカ上の吸着されたポリマー複合体の初期構造、最適化された構造および電子特性を調査した。幾何学的最適化収束は、エネルギー、勾配および変位が、それぞれ2×10−5Ha、4×10−3Ha/Å、および5×10−3Åより低い場合に達成されたが、ここでHaは、Hartree原子単位(au)であり、1au=4.359×1018Jである。HOMOおよびLUMO軌道の計算は、上記モデルの電荷移動の方向を理解するために、こうした複合体モデルにおいて電子移動に影響を与え得る最も本質的な因子を同定するために行われた。
【0094】
異なる材料上の電子移動活性部位は、電子移動の根源および行先として摩擦帯電電荷に不可欠であり、電子を供与および受容する相対的な能力は、特定のトナー/チャージャ対の摩擦帯電電荷特性を直接決定する。
【0095】
電荷移動のリバースギャップおよびフォワードギャップを探究するために、上記系についての励起された軌道を調査した。一般に、フェルミ準位よりも上(M+9)および下(n−9)の10準位の軌道を計算した。フォワード電子移動およびリバース電子移動の両方について最低のエネルギーギャップを、20の軌道のセットから収集した。こうしたエネルギーギャップの計算エラーは、DMAEMAダイマーおよびトリマー/シリカ複合体のフォワードおよびリバース電子移動バリアを比較することによって評価された。
【0096】
キャリアコーティング樹脂からのシリカトナー添加剤への電子移動をモデル化するために、キャリア樹脂のトリマーユニットおよびシリカ表面モデルを含むキャリア樹脂シリカ複合体を分析した。
【0097】
単一材料内の通常の分子内電子移動において、光子、衝突、または熱エネルギーからの十分なエネルギーの吸着は、最高占有分子軌道(HOMO)から最低非占有分子軌道(LUMO)への電子の移動をもたらし得ることが、当該技術分野において認識されている。電子およびホール(電子がHOMOから離れる場合に残る)の両方が、同じ分子上にあるので、分子の正味の電荷変化はない。エネルギーギャップのサイズは、軌道間の電子を移動させるのに必要なエネルギー量を決定する。故に、キャリア樹脂およびトナー添加剤は、接触の前に、HOMOおよびLUMO、ならびに関連するギャップを有する。LUMOを超える可能性として他のエネルギー準位(増大するエネルギーのLUMO+1、LUNO+2などとして既知)およびHOMO未満の可能性として他のエネルギー準位(減少するエネルギーのHOMO−1、HOMO−2などとして既知)が存在することに留意すべきである。そのため、一般に電子は、HOMO−nからLUMO+mに移動でき、ここでnおよびmは材料内で≧0である。HOMOn=0は、HOMOとして記述され、LUMOm=0はLUMOとして記述される。
【0098】
トナー添加剤およびキャリアの接触時、いくつかの特定の可能性が、HOMO−nおよびLUMO+mの位置に関して生じることを見出した。2つの材料の接触が、キャリア樹脂上に位置しているHOMO−nおよびトナー添加剤上のLUMO+mをもたらし得る。この状況において、電子移動は、キャリア樹脂を正に帯電させ、トナー添加剤を負に帯電させ、トナーの負の帯電にとって所望の移動である。一方、LUMO+mがキャリア樹脂上に位置し、HOMO−nがトナー添加剤上に位置する場合、電子移動は、トナー添加剤を正に帯電させ、キャリア樹脂を負に帯電させ、これは、トナーの負の帯電にとって所望でない。もちろん、HOMOおよびLUMOは、ただ1つの分子上に位置してもよく、または両方の分子上に部分的にあることもできる。結果として生じるフロンティア分子軌道のディスポジションは、2つの材料の特性の結果であり、それらの相互作用はまた、接触状態の2つの分子の配向に依存する。材料のバルクサンプルにおいて、接触状態の分子の異なる配向は、ランダムに得られる。そのため、移動した全体の電荷は、こうした異なるプロセスの合計である。電荷移動のためにより重要なプロセスは、最低エネルギーのプロセスである。故に、モデル化データの収集において、接触配向が決定され、所望のフォワード電荷移動(ポリマーからシリカ)(すなわち負のトナー電荷)のための最低エネルギーギャップおよびリバース電荷移動(シリカからポリマー)(すなわち正のトナー電荷)のための最低エネルギーギャップが同定された。
【0099】
高い負のトナー電荷のための重要な属性は、以下の通りである:
1)フォワード電荷移動のためのエネルギーギャップは、低くなることが必要である;
2)リバースエネルギーギャップは、フォワードギャップより高くなるべきである(負のギャップ差、(1)を(2)から引く);
3)樹脂は、高いC/O比モノマーを有する;
4)樹脂のTgは、相対的に高くなければならない;および
5)帯電部位での水の吸着は低くなければならない。
【実施例】
【0100】
実施例1
属性1)および2)について、以下の表1は、シリカへの電子電荷移動(所望)と、ポリマーへの電子電荷移動(所望でない)を、多数の異なるコーティング材料について示す。テトラヒドロチオピラニルメタクリレートに基づく繰り返しユニットのためのデータを示す。Sによる二置換および三置換された繰り返しユニットについてのデータも示す。ポリマーについて対応するモノマーは、1,3−ジチアン−4−イルメタクリレート(A)、1,3−ジチアン−2−イルメタクリレート(B)および1,3−ジチアン−5−イルメタクリレート(C)、1,2−ジチアン−4−イルメタクリレート(D)(これは、硫黄により環にて二置換されている)、および1,3,5−トリチアン−6−イルメタクリレート(E)(環において硫黄によって三置換される)である。
【0101】
【化2】
【表1】
【0102】
データは、MMA繰り返しユニットに関して、フォワード移動のためのギャップが、リバース移動のためのギャップよりも低く(4.79対6.24eV)、それによって、所望されるように、MMAについては正電荷およびトナーシリカについては負電荷を予測することを示した。MMA繰り返しユニットを含むPMMAは、良好な帯電を有することが知られている。参照としてMMAを用いて、より低いフォワード対リバースエネルギーギャップ、およびMMAより低いフォワードエネルギーギャップを有する材料は、より高度に帯電し、より高いフォワードエネルギーギャップを有する材料は、より低く帯電するが、依然として正のままである。フォワードエネルギーギャップが、リバースギャップよりも高い場合、キャリアは負に帯電し、トナーシリカは正に帯電する。
【0103】
表のデータは、フォワードギャップがリバースギャップよりも低くなるにつれて、ポリマーが負のトナー電荷に必要とされるように正に帯電することを示す。故に、CHMAモノマーを含むPCHMAは、電荷移動ギャップがほぼ等しいので、PMMAと同様に良好に帯電する。モデル化データは実験的な観察と一致し、PCHMAはPMMAと同様に帯電する(乾燥条件下、電荷に対する水の作用は考慮しない)。次のエントリーは、DMAEMAをPCHMAに添加することにより、フォワードエネルギーギャップを低下させて電荷移動を改善することを示す。DMAEMA樹脂は、さらに低いフォワードギャップエネルギー対リバースエネルギーギャップ(3.73eV対5.23eV)を有する。故に、観察されるように、DMAEMAをPCHMAに添加することにより、ポリマー上の電荷を増大させた。
【0104】
テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イルメタクリレートについての繰り返しユニット(モノマーは、テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル2−メチルプロパ−2−エノエートである)は、DMAEMAの場合よりも低いフォワードギャップエネルギー対リバースエネルギーギャップ(3.42eV対6.09eV)を有し、故に、ポリマーに高い電荷を提供する際にさらにより強力である。同様に、テトラヒドロチオピラン−3−イルメタクリレート繰り返しユニットはまた、DMAEMAよりも低いフォワードエネルギーギャップ対リバースエネルギーギャップ(3.98eV対5.97eV)を有し、故にそれはまたDMAEMAよりもポリマーに高い電荷を提供する点で、より強力である。電荷測定は、テトラヒドロチオピラン−3−イルメタクリレートをPCHMA樹脂に添加する場合に、良好なRH感受性を伴ってより高い電荷を示す。テトラヒドロチオピラン−2−イルメタクリレート繰り返しユニットはまた、より低いフォワードギャップエネルギー対リバースエネルギーギャップ(4.70eV対5.90eV)を有するが、DMAEMAの場合よりも低くはなく、CHMAおよびPMMAの場合とほぼ同じである。故に、依然として正の帯電に有効である一方、その異性体は、高い電荷を提供するほど強力ではない。ジチアニルメタクリレートおよびトリチアニルメタクリレート繰り返しユニットはすべて、リバースエネルギーギャップに比べてより低いフォワードエネルギーギャップを有し、すべてはCHMAの場合よりも低いフォワードエネルギーギャップを有するので、CHMAに比べて正の帯電が増大する。故に、モノ、ジ、およびトリ硫黄置換された環は、一般に、トナー上のシリカ表面添加剤に対して帯電する場合に、キャリアコーティングとして正の電荷を改善するのに有効である。
【0105】
実施例2.CHMA樹脂の合成
乳化重合によって生じたポリマー粒子を含むラテックスエマルションは、次の通りに調製された。約0.75gのラウリル硫酸ナトリウム(SLS)および約380gの脱イオン水(DIW)を含む水性界面活性剤溶液は、ビーカー中でこの2つを合わせ、約10分間混合することによって調製した。次いで水性界面活性剤溶液は、反応器に移した。反応器は、約450rpmにて撹拌しながら、窒素で連続的にパージした。別に、約0.47gの過硫酸アンモニウム開始剤を、約4gのDIWに溶解させ、溶液を形成した。別個の容器において、約112gのシクロヘキシルメタクリレートをビーカーに添加し、モノマー溶液を形成した。約10重量%のモノマー溶液をシードとして水性界面活性剤混合物に添加した。次いで反応器を、約1℃/分の制御された速度にて約65℃まで加熱した。反応器の温度が約65℃に到達したら、開始剤溶液を反応器に添加し、40分間撹拌し、その後約0.8重量%/分の割合で計量ポンプを用いて、モノマー溶液の残りを連続的に反応器に供給した。一旦すべてのモノマー溶液が主要な反応器に充填されたら、温度を、さらに2時間約65℃に維持し、反応を完了させた。次いで完全な冷却を適用し、反応器温度を約35℃に低下させた。次いで生成物を容器に回収し、FTSシステム凍結乾燥器を用いて粉末形態に乾燥させた。Nanotrac Particle Size Analyzer(Microtrac)を用いて決定されるような最終的なラテックスサイズは、89nmであった。
【0106】
実施例3.CHMAおよびDMAEMA樹脂の合成
モノマー溶液はまた、1.05gのジメチル−アミノエチルメタクリレートを含有していた以外、ラテックスエマルションを、実施例2と同じ様式で調製し、乾燥させた。最終のラテックスサイズは、103nmであった。
【0107】
実施例4.テトラヒドロチオピラン−3−イルメタクリレートモノマーの合成
新たに蒸留されたテトラヒドロチアピラン−3−オール(8.97g,75.3mmol)およびトリエチルアミン(10.6mL,75.5mmol)を、無水テトラヒドロフラン(THF)(40mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。次いでメタクリロイルクロリド(8.1mL,83.2mmol)を徐々に滴下した。次いで反応を徐々に室温まで加温した。一晩撹拌した後、30mLのDIWを添加して、混合物を5MのNaOHで塩基性にした。次いでTHFを、ロータリーエバポレーションによって除去し、生成物をジエチルエーテル(3×40mL)で抽出した。エーテル抽出物を合わせ、0.1MのNaOHで洗浄し、続いてDIWで洗浄し、その後硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過した。次いで生成物をロータリーエバポレーションで濃縮し、真空下で乾燥させて、テトラヒドロ−2H−チオピラン−3−イルメタクリレートを淡橙色液体として得た(7.63g,54%)。H NMR(600MHz,CDCl,ppm)δ6.08(s,1H),5.54(s,1H),4.94(m,1H),2.78(m,1H),2.62(m,1H),2.49(m,1H),2.47(m,1H),2.14(m,1H),1.99(m,1H),1.91(s,3H),1.85(m,1H),1.49(m,1H)。13C NMR(150MHz,CDCl,ppm)δ166.61,136.69,125.62,71.21,32.26,31.82,28.10,27.43,18.43。
【0108】
実施例5.テトラヒドロチオピラン−4−イルメタクリレートの合成
4−オキソチアン(5.14g,44.2mmol)をメタノール(40mL)中に、窒素雰囲気下で溶解させ、0℃に冷却した。次いでホウ酸水素ナトリウム(0.5g,13.2mmol)を少量ずつ徐々に添加した。30分後、5MのNaOH(10mL)および30mLのDIWを添加し、生成物をジクロロメタン(3×40mL)で抽出した。ジクロロメタン抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーションで濃縮した。粗黄色油を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィによって精製し(1:9エチルアセテート:ヘキサン)、テトラヒドロチアピラン−4−オールを白色固体として得た(4.96g,96%)。H NMR(600MHz,CDCl,ppm)δ3.53(m,1H),2.83(m,1H),2.69−2.63(m,2H),2.50(m,2H),2.09−2.03(m,2H),1.59(m,2H)。13C NMR(150MHz,CDCl,ppm)δ68.95,68.15,36.66,36.42,36.30,36.06,35.80,35.68,35.45,27.61,27.14,26.95,26.70,26.41,25.93。GC−MS:実測m/z118(C10OSについて計算:m/z118.20)。
【0109】
テトラヒドロチアピラン−4−オール(4.81g,40.7mmol)およびトリエチルアミン(6.2mL,44.5mmol)を無水ジクロロメタン(60mL)に溶解させ、0℃に冷却した。メタクリロイルクロリド(4.0mL,45.0mmol)を、次いで徐々に滴下した。次いで反応を室温まで徐々に加温した。一晩撹拌した後、反応をDIW(20mL)、1MのNaOH(2×20mL)、DIW(20mL)、1MのHCl(20mL)、DIW(20mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。次いで有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、次いでロータリーエバポレーションで濃縮し、真空下で乾燥させ、テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イルメタクリレートを淡黄色液体として得た(4.85g,61%)。H NMR(600MHz,CDCl,ppm)δ6.07(s,1H),5.52(s,1H),4.88(m,1H),2.77(m,2H),2.55(m,2H),2.07(m,2H),1.90(m,5H)。13C NMR(150MHz,CDCl,ppm)δ166.29,166.23(minor),136.55,13.70(minor),125.40(multiplet:126.58,126.31,125.72,125.28,125.07,124.65,124.19),70.86,69.86(minor),32.33(multiplet:32.59,32.44,32.21,32.04),25.71(multiplet:26.66,26.19,25.71,25.44,24.95),18.26(multiplet:18.43,18.09)。
【0110】
実施例6.CHMAおよびテトラヒドロ−2H−チオピラン−3−イルメタクリレート樹脂
0.3348gのSLSおよび170.09gのDIWからなる界面活性剤溶液は、ビーカー中にて10分間混合することによって調製した。次いで水性界面活性剤溶液を反応器に移した。次いで反応器を、450rpmにて撹拌しながら窒素で連続的にパージした。別個の容器に、50gのシクロヘキシルメタクリレートおよび0.2768gのテトラヒドロ−2H−チオピラン−3−イルメタクリレートを合わせた。その溶液の10重量%をシードとして水性界面活性剤混合物に添加した。次いで反応器を制御された速度で65℃に加熱し、その温度を維持した。別個に、0.2098gの過硫酸アンモニウム開始剤を1.8gのDIWに溶解させ、開始剤溶液を形成した。次いで開始剤溶液を反応器に滴下し、40分後エマルションの残りを、2時間にわたって0.8重量%/分の速度にて計量ポンプを用いて連続的に供給した。すべてのモノマーエマルションが主要反応器に充填されたら、温度を65℃にさらに3時間維持し、反応を完了させた。次いで完全に冷却し、反応器温度を35℃に低下させた。生成物を容器に回収し、凍結乾燥器を用いて乾燥して粉末にした。最終的なラテックス粒径は77nmであり、標準偏差は19nmであった。凍結乾燥されたラテックスのオンセットTgは96.1℃であった。Mwは651,000であり、Mnは213,000であった。
【0111】
実施例7.キャリアの調製および分析
キャリアを、250mlのポリエチレンンボトルに120gの35μmのフェライトコアを添加することによって調製した。次いで、0.912gの乾燥された粉末ポリマーラテックスを添加した。ボトルを密封し、CゾーンTurbulaミキサに充填した。Turbulaミキサを約45分間操作し、粉末をキャリアコア粒子上に分散した。次いで、Haakeミキサが、以下の条件で設定した:設定温度200℃、30分のバッチ時間、30rpm、高剪断ローター。Haakeミキサを操作温度に到達した後、ミキサの回転を開始し、TurbulaからのブレンドをHaakeミキサに移した。約45分後、キャリアをミキサから放出し、45μmのスクリーンを通してシーブした。
【0112】
現像剤を、Xerox700Digital Color Pressシアントナーと合わせることによって、表2に列挙される種々の樹脂を用いて調製した。トナーの濃度は約5pphであった。現像剤を、28℃/85%RHでの高温高湿度Aゾーン、および12℃/15%RHでの低温低湿度Cゾーンにおいて一晩調整し、次いで密封し、Turbulaミキサを用いて60分間撹拌した。帯電特徴を、トータルチャージブローオフ方法を用いてμC/g単位でq/m値として、および100V/cm電界を用いるチャージスペクトログラフによって、mm変位の単位でq/d値として得た。q/d値は、mm単位の値に0.092で乗じることによって、mm変位からfC/μmに変換できる。帯電結果を、以下の表2に示す。
【0113】
0.5%のテトラヒドロ−2H−チオピラン−3−イルメタクリレートを有するシクロヘキシルメタクリレートを含むキャリアのための帯電を表2に示し、AゾーンおよびCゾーンの両方において、シクロヘキシルメタクリレートでコーティングされた比較キャリアより高い電荷、ならびにq/dおよびq/m比の両方について良好なRH感受性を示す。故に、0.5%のテトラヒドロ−2H−チオピラン−3−イルメタクリレートは、電荷を増大させ、同様にRH感受性を改善するために有効な電荷制御剤である。1%DMAEMAを有するシクロヘキシルメタクリレートは、0.5%のテトラヒドロ−2H−チオピラン−3−イルメタクリレートを有するものよりも高く増大したAゾーン電荷を有していたが、Cゾーン電荷もより高く、故にq/dおよびq/mの両方のRH比は、シクロヘキシルメタクリレートの場合に比べて低下した。故に、0.5%テトラヒドロ−2H−チオピラン−3−イルメタクリレートは、CHMAの場合に比べてより高い電荷および改善されたRH比の両方を提供し、DMAEMAの添加の場合のようにRH比は低下しない。q/dおよびq/mの両方について0.5%テトラヒドロ−2H−チオピラン−3−イルメタクリレートを用いるより高いRH比は、当該技術分野において既知であるように、電子写真プリンタにおける性能について改善された自由度をもたらすことが予測され、Aゾーンにおいて低過ぎるq/dは、より大きな背景およびトナーのダスティングをもたらし、一方でCゾーンの高いq/mは、所望でないトナー画像現像およびプリント上のより明るい画像をもたらす。故に、良好なRH比が、良好なダーク画像と背景のない範囲を増大させる。全体の電荷レベルは、上述の方法によって所望により変更できる。
【0114】
【表2】
【0115】
実施例8
MMA繰り返しユニットのC/O比は、2.5で低く、MMAは、不十分なRH感受性を有する。CHMA繰り返しユニットは、5のC/O比を有し、改善されたRH比を有する。DMAEMAは、CHMAよりもわずかに小さい4のC/O比を有し、DMAEMAは、RH感受性を低下させ得る。テトラヒドロチオピランメタクリレート繰り返しユニットはDMAEMAよりも良好な4.5のC/O比を有するが、CHMAの場合よりわずかに低い。故に、テトラヒドロチオピランメタクリレートは、DMAEMAのようにより高い電荷を提供するが、水の吸着性が小さく、故に良好なRH感受性を有する。チアニル基は、非常に強い正の電荷を提供する。チアニル含有樹脂は、低レベルで有効であり、高いC/Oモノマー、例えばCHMAと組み合わせることができ、RH安定性を最大限にする。
【0116】
キャリア粉末コーティングプロセスにおいて、Tgは、高温にてコーティングするのに十分低くなければならない(200℃は、典型的なコーティング温度である)が、樹脂は、トナーおよび添加剤固着およびさらには現像剤ブロッキングをもたらし得るので、通常の輸送および配送温度下で流動しない、または実行時にプリンタ中で遭遇する条件下で流動しないように十分高くなければならない。現像剤は機械において可能性として55℃〜60℃に到達し得るので、こうした温度よりも高いTgが望ましい。PMMAおよびCHMAは、100℃のTgを有し、粉末コーティングプロセスにおいて非常によくコーティングされ、このコーティングは、約80°〜約140℃の操作性Tg範囲を有し得る。
【0117】
MMAのメチル基を環状CHMA基で置換しても、Tgに対する効果はほんどない。長鎖の、ひいてはより高いC/O比を有する線状アルキルメタクリレートは、低いTgを有する:メタクリレートについて、メチルは100℃であり、エチルは65℃であり、ブチルは29℃であり、ヘキシルは−3℃である。故に、本開示の操作性のC/O比(すなわち、少なくとも4を超える)について、Tgは、より長い脂肪族鎖に関しては低過ぎる。アクリレート(メタクリレートとは反対に)は、より低いTgを有しており、一般に不適切である。
【0118】
DMAEMAは、18℃のTgを有するが、少なくとも少量のCHMAで共重合され、コポリマーのTgに対して強力には作用しない。
【0119】
高いC/O比および高いTgのための望ましい構造は、環状炭化水素、例えば6員のCHMAを含む。チアニル中の炭素のための硫黄の置換は、例えばTgに対する作用はほんのわずかである(すなわち、チアン基とシクロヘキシルとの比較)。故に、高い帯電チアニルメタクリレートは、より高いTgを有する。