(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
固液分離を行う浸漬型膜分離装置(メンブレンバイオリアクター(Membrane Bioreactor: MBR))は、下水、し尿、生活排水、工場廃水などの汚水を好気的に生物分解させる有機性廃水の活性汚泥法による排水処理において、膜エレメントによる固液分離を行う技術として知られている。
この浸漬型膜分離装置は、例えば、複数の膜エレメントを膜面を鉛直に並列して縦に積層した状態で固定して構成される膜ユニットを開放式の反応槽内に配置し、各膜エレメントに濾過液を取り出すための配管を接続し、この配管に吸引ポンプを設けて濾過液を処理水槽へ送るように構成されている。
【0003】
反応槽には、原水供給ポンプによって被処理液を供給する原水供給配管が配設されている。各膜エレメントの直下には、散気装置として管に複数の空気噴出口を設けた散気管が膜面に直交方向に配設されている。これにより、各膜エレメントの間に上昇する気泡を均等に供給できるようになっている。散気管にはブロワを設けた空気供給配管が接続されている。空気供給配管はブロワの近傍に逆止弁を設けている。
【0004】
この浸漬型膜分離装置では、被処理液を原水供給ポンプにより継続的に反応槽に供給し、ブロワの駆動により散気管の空気噴出口から空気を噴出させる。この噴出気流により、膜エレメントの膜面間を気泡に同伴させて被処理液の上昇流を発生させながら、好気性微生物への曝気をしながら槽内被処理液を膜ユニットの無いところで下降流にして槽内を旋回させる。それと共に、吸引ポンプの間歇的駆動により膜エレメントの膜の内側の濾板に設けられる濾過液通路側を間歇的に減圧する。膜エレメントの濾過液側の減圧と反応槽の水位による浸漬型膜エレメントへの加圧水圧とによる膜間差圧のもとで汚水を膜濾過させる。濾過液は、配管を介して吸引ポンプの下流側にある処理水槽に送られ貯えられる。
また、この浸漬型膜分離装置では、ブロワの駆動により散気管の空気噴出口から噴出した空気の上昇によって生じる気液混合の上向流によって膜エレメントの膜面を洗浄し、濾過を行いつつも被処理液中の固形分による膜面への汚泥層の付着を抑制することで安定した濾過運転を行っている。
【0005】
しかし、この浸漬型膜分離装置では、空気が噴出する空気噴出口から反応槽内の被処理液が浸入し、被処理液中の固形分が空気噴出口を塞いだり、空気によって乾燥された固形物が空気噴出口の内側に凝固して覆ったりすると噴出する空気の減少やムラが発生して膜面洗浄不良となり、安定した濾過運転ができない。
このため、定期的に散気管の洗浄が必要となる。従来の散気管洗浄では、例えば、ブロワを駆動しながら、又はブロワを停止させて、空気供給配管の途中から水又は洗浄液を空気の流れと同方向となるように流す方法が知られている。しかし、この方法では、被処理液が乾燥、凝固した固形物は、水や水を含んだ液で濡らしただけで気流と同じ方向へ液を流しただけでは簡単に洗浄できない。加えて、洗浄操作中は、空気噴出口から被処理液と同等の比重を持つ液体のみが噴出することとなり、膜エレメントに被処理水の上昇流は生じることができず膜面に被処理水が届かないので、膜濾過を停止しなければならない。
また、散気管を水槽から引き上げて、洗浄を行う方法が知られている。しかし、この方法では、洗浄操作中は、膜エレメントに被処理水が届かないことに加え、膜面の洗浄は同時に行われないので、当然膜濾過を停止しなければならない。
【0006】
そこで、散気管内の洗浄方法として、被処理液を空気噴出口から逆流(反応槽側から散気管内に)させて、空気噴出口廻りの固形物を湿潤させたり、剥離させたりして噴出する空気の減少やムラを解消することが行われている。
例えば、散気開始時に散気管内に流入している固形物を排出するために、散気管の先端を下方に屈曲させ、且つその先端に空気噴出口より大きな開口を設けた散気管を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、特許文献1では、散気管は空気供給管を通してブロワに接続している。空気供給管はブロワの吐出口の近傍に逆止弁を設け、管路頂部に開閉弁を介して分岐ノズルを設けている。
【0007】
また、特許文献1は、散気管の洗浄時に、ブロワを停止し、開閉弁を開けることで散気管内部の圧力を下げ、水圧によって被処理液を空気噴出口より散気管内に流入している。
特許文献1によれば、散気管内の圧力を瞬時に大気圧まで低下させることで、散気管内への被処理液の逆流入を円滑に行うことができる。
【0008】
また、散気管の先端側に散気ドレン管を接続し、この散気ドレン管のドレンバルブを開放し、散気管に供給する空気を散気ドレン管を通して排出し、空気噴出口から散気管内に被処理液を逆流入させて散気管内を洗浄する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献2は、配管内の圧力変化によって生じる脈動を利用して断続的に水洗浄を繰り返すことを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1では、ブロワを停止しても、ブロワモータへの電源OFFをしたところで高速で動作していたインペラはすぐには停止せず、慣性で動き続けるので、風量も静圧も徐々に低下していく。また、空気供給配管に逆止弁が設けられていても、ブロワ停止直後に逆止弁の上流配管内に圧力が残っていると、なかなか逆止弁が閉止せず、散気管内への被処理水の逆流はゆっくりと行われる。
また、ブロワを一旦停止して再び駆動するには、ブロワモータの高出力から、スターデルタ起動回路など直入れ起動以外の起動回路での起動時に、過度の電圧が電気回路に掛からないよう、ブロワのインペラが完全に停止し、且つ電気回路の切り替え後に起動しなければならず、一旦ブロワを停止すると、再駆動には一定時間が必要である。
また、ブロワを一定時間停止することから空気供給配管は大気圧まで結局低下するので、散気管内を瞬時に大気圧まで下げるため、空気供給配管の管路頂部に設けた開閉弁を開く必要があり、空気供給配管の反応槽の立上り管のほぼ反応槽の被処理液位近くまで被処理水が登ってくることとなる。そのため、特許文献1では、散気管洗浄時には膜濾過運転を停止する必要があった。
【0011】
一方、特許文献2では、ブロワを運転したまま洗浄できるが、膜ユニットへの散気が行われないため、洗浄操作中は、空気噴出口から被処理液と同等の比重を持つ液体のみが噴出することとなり、膜エレメントに被処理水の上昇流は生じることができず膜面に被処理水が届かないので、膜濾過を停止する必要がある。継続的に反応槽に流入してくる原水を適正に処理するには、洗浄する膜ユニット分が全体の膜ユニットから除外されても処理できるよう、予め洗浄切り離し分を足して設備しておかなければならず、イニシャルコストが増大する。また、それぞれの膜ユニットごとに、散気管先端側に散気ドレン管を追加する必要がありさらにコスト増大となる。
【0012】
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、散気管の圧力を瞬間的に大気圧下へ開放することで、膜濾過運転を止めることなく散気管の洗浄が可能な散気装置及び洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る散気装置は、浸漬型膜分離装置に用いられる散気装置であって、反応槽内に浸漬され、前記浸漬型膜分離装置の下方に略水平に設置され前記反応槽の底面側に複数の空気噴出口を設ける散気管と、前記散気管に先端を接続され基端部を反応槽液位から外部空気中に延設される空気供給配管と、前記空気供給配管の基端部に接続され、散気運転時及び散気管洗浄時に駆動されるブロワと、前記空気供給配管の前記反応槽液位から外部空気中の途中に分岐配管を介して接続され、前記散気管の洗浄時に開放される開
閉弁とを備え
、前記開閉弁が、応答性の異なる二つのバルブで構成され、開動作と閉動作とで動作する順序を切り替えるよう構成されている。
【0014】
本発明に係る散気装置は、前記散気管が、前記反応槽の底面側に複数の空気噴出口を設けた直管と、前記直管の管端に接続され、前記反応槽の底面側に開口するエルボ部とで構成されている。
本発明に係る散気装置は、前記開閉弁の動作が、制御装置に備わるタイマーに設定された時間で開閉を繰り返すよう構成されている
。
【0015】
本発明に係る散気装置は、前記空気供給配管が、前記ブロアの吐出部側から前記散気管に向けて順に順に逆止弁、空気フィルタ、風量計及び前記分岐配管を介して前記開閉弁を設けている。
本発明に係る散気装置の洗浄方法は、前記ブロワを運転しながら前記開閉弁を0.2秒間から10秒間の何れかの時間開放する操作を繰り返す。
【0016】
本発明に係る散気装置の洗浄方法は、前記ブロワを運転しながら前記開閉弁を0.2秒間から10秒間の何れかの時間開放し、前記散気管内の圧力を減少させ、前記反応槽内の被処理液を前記エルボ部の開口及び前記複数の空気噴出口から逆流入させ、散気時に前記複数の空気噴出口を逆流し散気管内部に凝固した固形物を湿潤させ、且つ前記散気管内を前記ブロワ側へ固形物を引き剥がして移動させ、前記散気管に逆流入した前記被処理液を、前記空気供給配管の反応槽の被処理液位から所定距離まで逆流入させる工程と、前記ブロワを運転しながら前記開閉弁を0.2秒間から10秒間の何れかの時間閉止し、前記複数の空気噴出口からの前記被処理液を排出させて洗浄する工程とを繰り返す。
【0017】
本発明に係る散気装置の洗浄方法は、前記開閉弁の開閉操作時間は0.2秒〜10秒間、前記開閉弁の操作間隔は0.5秒〜15秒間、前記開閉弁の操作回数は3回〜15回とする。
本発明に係る散気装置の洗浄方法は、前記開閉弁の開閉操作時間は0.2秒〜3秒間、前記開閉弁の操作間隔は0.5秒〜10秒間、前記開閉弁の操作回数は3回〜10回とする。
本発明に係る散気装置の洗浄方法は、前記空気噴出口廻りの固形物を湿潤化及び剥離させる際の管内流速は2.4m/s以上である。
本発明に係る散気装置の洗浄方法は、前記被処理液を前記散気管を介して前記空気供給配管へ逆流入させる前記供給配管の反応槽の被処理液位からの距離Δh’を、2.4m以上反応槽液高以下とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、散気管の圧力を瞬間的に大気圧下へ開放し、その後散気管の圧力を上げることで、散気管に対する被処理液の流入、排出が行われ、この操作を複数回繰り返すことで散気管の洗浄を確実に行うことができる。
本発明によれば、散気管の大気圧下への開放は一瞬であり、膜濾過運転を止めることなく散気管の洗浄ができる。
本発明によれば、複数の空気噴出口の位置を散気管の中心より下方とすることで、大気圧下へ開放した際、散気管内の空気が抜けやすく、被処理液の流入、排出が効果的に行われ、より洗浄効果を高めることができる。
【0019】
本発明によれば、口径の異なる2種類の空気噴出口を持つ散気管を用いるので、散気管内の剥離した固形物を口径の大きい空気噴出口より排出することができる。そのため、剥離した固形物による再閉塞が起こりにくい。
本発明によれば、被処理液の流入方向と散気空気の噴出方向が真逆のため、大気圧下開放の操作を繰り返すことで散気管内の固形物が2方向へ動き、洗浄効果が高い。
本発明によれば、膜濾過を行いながら散気管洗浄できる。
【0020】
本発明によれば、瞬間的に大気圧下へ開放することで固形物を剥離するが、すぐ元の散気状態へ戻すと剥離した固形物で空気噴出口を塞いでしまうので、散気状態を緩やかに戻すことで再閉塞を防止できる。
本発明によれば、開閉弁の開閉を繰り返すだけであるから、洗浄操作が簡潔である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、
図2は、本発明の第一実施形態に係る散気装置10を示す。
なお、
図1は、固液分離を行う浸漬型膜分離装置(MBR)に本実施形態に係る散気装置10を適用した例を示す。
【0023】
本実施形態に係る散気装置10は、例えば、固液分離を行う浸漬型膜分離装置(MBR)の複数の膜エレメント(図示せず)で構成される膜ユニット3を内部に配置した開放式の反応槽1において、膜ユニット3の直下に各膜エレメント(図示せず)を洗浄曝気するための散気管11を配設している。散気管11は、例えば、膜ユニット3の真下に設けた散気ユニット(図示せず)内に配置されている。
【0024】
膜ユニット3は、濾過液を取り出すための配管5を各膜エレメント(図示せず)に接続されている。配管5は、吸引ポンプ7を設け、濾過液を処理水槽へ送るように構成されている。
反応槽1には、原水供給ポンプ(図示せず)によって被処理液を供給する原水供給配管9が配設されている。
【0025】
散気管11は、例えば、
図2に示すように、複数の小口径(例えば、3mm〜5mm)の散気孔15を設けた直管13と、この直管13の末端をエルボ返しして下方へ向け、管端を大口径の散気孔19とするエルボ部17とで構成されている。大口径の散気孔19は、小口径の散気孔15よりも下方に位置している。
【0026】
散気管11は、例えば、
図2、
図3に示すように、小口径の散気孔15を管下部に設けている。散気管11は、沈降する固形物で小口径の散気孔15が閉塞されにくくするため、例えば、
図4に示すように、最下端部に設けず、最下端部から左右の側壁に向かって所定角度θずらして開設しても良い。
【0027】
散気管11の管端11aには、ブロワ23を設けた空気供給配管21が接続されている。空気供給配管21は、ブロワ23の吐出部側から散気管11に向けて順に逆止弁25、空気フィルタ27、風量計29及び、開閉弁31を管端又は途中に有する分岐配管33を設けている。開閉弁31は、大気開放可能で閉止時に漏れが少ないボール弁、バタフライ弁、仕切り弁などの弁で構成されている。
【0028】
次に、本実施形態に係る散気装置10の作用を説明する。
図1に示す固液分離を行う浸漬型膜分離装置(MBR)では、原水供給ポンプ(図示せず)によって被処理液を原水供給配管9を介して反応槽1に供給する。
散気管運転時には、逆止弁25を開、開閉弁31を閉として、ブロワ23の駆動により空気供給配管21を介して散気管11へ空気を供給する。散気管11では、
図5に示すように、小口径の散気孔15及び大口径の散気孔19から空気を噴出させ、この噴出気流により槽内被処理液を旋回させる。
【0029】
同時に、吸引ポンプ7の間歇的駆動により複数の膜エレメントの濾過液通路側を間歇的に減圧し、各膜エレメントの濾過液側の減圧と反応槽1の水位による各膜エレメントへの加圧水圧とによる膜間差圧の元で水を膜濾過させる。膜により所定の固体を分離された濾過液は、配管5を介して処理水槽に貯えられる。
この散気管運転時に、空気が噴出する小口径の散気孔15から槽内の被処理液が浸入し、被処理液中の固形分が小口径の散気孔15を塞いでしまったり、空気によって乾燥され小口径の散気孔15の内側を固形物が覆ってしまったりして噴出する空気の減少やムラが発生する。
【0030】
そこで、本実施形態では、ブロワ23を運転しながら開閉弁31を図示しないタイマー回路を備えた制御装置により、設定された時間での開閉を繰り返す。試験的には手動で開閉を繰り返してもかまわない。その際の開閉操作時間は、0.2秒〜10秒程度、好ましくは0.2秒〜3秒程度(開閉弁31の開放側は極力瞬時開放を目指し、弁の全閉から全開への開放時間能の最大近くで動作させるのが好ましい。)、操作間隔は、0.5秒〜10秒間程度、操作回数は、3回〜10回程度とする。
開閉弁31の操作による膜ユニット3への散気停止時間は、上記のように10秒以下なので、膜面における上昇流が完全に途切れることがないため、散気管11の洗浄時に濾過運転を停止することなく実施できる。
【0031】
開閉弁31を開放すると、
図6に示すように、散気管11内の圧力が減少し、大口径の散気孔19及び小口径の空気噴出口15から反応槽1内の被処理液が流入し、乾燥しかけた固形物を湿潤させ、且つ散気管11内をブロワ23側へ固形物を引き剥がして移動させて除去することができる。
大口径の散気孔19は、小口径の散気孔15よりも下方に位置するので、大口径の散気孔19からの大水量の被処理液の流入と小口径の散気孔15からの被処理液の流入とが直交して洗浄が行われる。
開閉弁31を閉止すると、
図7に示すように、散気管11内の被処理液を大口径の散気孔19から吹き出すこととなり、散気管11を洗浄し、散気管11内の被処理液つまりを解消することができる。
【0032】
次に、本実施形態に係る散気装置10の洗浄機構について詳述する。
先ず、本実施形態に係る散気装置10にて散気を行う場合のブロワ23の必要吐出圧力Pt(kPa)について説明する。
Pt=h+Hf+Hp+Hm+Hd+a
h:水深による水頭(ヘッド)による水圧(kPa)
Hf:空気フィルタ27の通過損失(kPa)
Hp:空気供給配管21の圧力損失(kPa)
Hm:風量計29の通過損失(kPa)
Hd:散気管11などの通過損失(kPa)
a:余裕圧(kPa)
【0033】
ここで、反応槽1の水深を4.5mとした場合、水圧hは44.1kPaとなる。
通常、空気フィルタ27の通過損失Hf=0.2kPa、風量計29の通過損失Hm=0.5kPa、散気管11などの通過損失Hd=2kPa(粗気泡性散気管として)、余裕圧a=5kPa程度を見込むものとする。
空気供給配管21の圧力損失Hpは、配管口径、配管長、空気流速などの影響を受ける。
ブロワ23の必要吐出圧力Ptにおいて水圧hの占める割合が一番大きい。
【0034】
1)空気供給配管21の直管部の圧力損失Hpl(kPa)は、次式の通りとなる。
Hpl=1,267×10
-2×273/T×4・f・L/D・V
2/2g
L:管長(m)
D:管径(m)
f:係数(0.004〜0.059)
V:管内流速(m/s)
V=4Q/60πD
2
g:重力加速度(9.8m/s
2)
Q:風量(m
3/min)
T:絶対温度(K)
【0035】
2)空気供給配管21の異形管部の圧力損失(90度曲管、T字管、管入口部などにおける圧力損失)Hp2(kPa)は、次式の通りとなる。
Hp2=K・V
2/2g×l.267×10
-2
V:管内流速(m/s)
K:各異形管部の圧力損失係数
【0036】
空気供給配管21の圧力損失Hpは、空気流速(管内流速)Vの二乗及び配管長さに比例し、配管径に反比例する。通常、散気に供する空気供給配管21における経済的な管内流速は、10m/s以下(4m/s〜8m/s程度)であり、この場合の空気供給配管21の圧力損失HpはlkPa以下と小さい。
散気管11に被処理液を逆流させるには、ブロワ23の吐出圧力より散気管11などの通過損失Hd、余裕圧a及び散気管11の上部から空気噴出口(小口径の散気孔15及び大口径の散気孔19)までの高さ分の水圧差Δhを減じれば良い。つまり、(Hd+a+△h)の圧力が減じれば散気空気は、hl迄しか押し込めず、水圧により散気管11内には被処理液が流入する。
hl=Pt−(Hd+a+△h)
【0037】
空気供給配管21から分岐した分岐配管33に設けた開閉弁31を開ければ、全風量(散気空気)がこの分岐配管33より流出しようとする。空気供給配管21と同口径であれば分岐配管33の管内流速も空気供給配管21と同じであり、分岐配管33の配管圧力損失Hpもごく小さい。つまり、hlにかかる圧力よりも分岐配管33にて放散される圧力が小さければ、水圧hにより散気管11内に被処理液が逆流する。その差が大きければ瞬時に散気管11内に被処理液が流入する。
また、被処理液が散気管11内に流入する場合に、空気噴出口が流入時の抵抗となるが、膜洗浄用の散気の場合、粗気泡が有利なため、空気噴出口が大きいので被処理液の流入の抵抗が小さい。
【0038】
hl=Pt−(Hd+a+△h)>Pt−(h+Hd+a)+h’
h−△h>h’
分岐配管33の口径を空気供給配管21の口部より小さくした場合、風量(散気量)は変わらず分岐配管33より全量流出すると、分岐配管33における管内流速が大きくなるため、二乗に比例して空気供給配管21の圧力損失Hpが大きくなる。この分岐配管33の圧力損失h’が、h−△hよりも小さくなければならない。
【0039】
反応槽1の水深や分岐配管33の配管状態により差はあるが、分岐配管33における管内流速が50m/s以下であれば、通常の膜分離装置の散気装置を考えれば分岐配管33の圧力損失h’は十分h−△hよりも小さくなり、開閉弁31を開けることにより散気管11内に被処理液が瞬時に逆流できる。
空気供給配管21の管内流速と分岐配管33における管内流速が50m/s時の空気供給配管21との断面積比と口径比との関係を表1に示す。
【0041】
散気管11は、下部に2mm〜10mm(本実施形態では4mm〜5mm)の空気噴出口(小口径の散気孔15)があり、散気管11の先端が下方に屈曲し開放されて大きな空気噴出口(大口径の散気孔19)を形成している。
開閉弁31が開となり、散気管11に繋がる空気供給管21内の圧力が低下し、散気管11には水圧hがかかる。
【0042】
散気管11内を流れる流体(液体)の経済的な管内流速は1m/s〜2m/s程度となる。散気管11内に逆流し、空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りの固形物を湿潤化及び剥離させるのに2.4m/s以上(例えば、3m/s)必要とする。被処理液は、各空気噴出口(小口径の散気孔15及び大口径の散気孔19)から流入するが、先端が下方に屈曲し開放された空気噴出口(大口径の散気孔19)から被処理液が流入しやすい。大口径の散気孔19の開放部が散気管11と同口径で抵抗が最も小さいためである。
【0043】
例えば、
図5に示すように、
図1に示す散気管11を口径を13A(13mm)とし、空気が2.5m/sで流入するものとし、仮にポンプ23が押し込こむとすると、必要揚程は大凡1m(9.8kPa)程度となる。
なお、
図6は、散気管洗浄時に開閉弁31を開にした状態を示し、
図7は、散気管洗浄時に開閉弁31を閉にした状態を示す。
【0044】
十分水深(水圧)があれば、例えば、
図6に示すように、短時間(0.5m進むのに0.2秒)で散気管11を被処理液で満たすことができる。そのため、短時間で開閉弁31を開け閉めすることで、散気管11内に被処理液が流出入し、この脈動によって散気管11内の空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りの固形物を湿潤化及び剥離し、除去できる。
また、短時間での開閉弁31の操作のため、膜洗浄用空気の途切れが最小限に抑えられ、膜の閉塞に影響が無く、膜濾過運転を行いながら散気管11の洗浄が可能となる。
【0045】
散気管11の直管13の損失水頭Hl
1をダーシーの式より求めると、下記の通りとなる。
Hl
1=f
l+L/D×V
2/2g
f
l=0.02+0.0005/D
L:管長(m)
V:管内流速(m/s)
D:管内径(m)
【0046】
その他の配管要素の損失水頭Hl
2は、下記の通りとなる。
Hl
2=f×V
2/2g
f:各種配管要素の損失係数
V:管内流速(m/s)
※曲管の損失係数r/d=1、90度で0.3/ヶ
【0047】
散気管11の洗浄のため被処理液を散気管11内に逆流させる方法において、空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りを洗浄するために大気圧まで下げる必要はない。
図6に示すように、散気管11の上部まで空気を押し込むのに必要な圧力未満とすれば、散気管11からの空気噴き出しが無くなり、散気管11Aに被処理液が水圧により瞬時に逆流する。
【0048】
散気管11上部から空気噴出口(大口径の散気孔19)下部までの高さ△hは、0.5kPa〜1.5kPaである。このため、ブロワ23を運転しながら開閉弁31の操作でも散気管11の洗浄が可能であり、空気供給管21から分岐配管33及び開閉弁31の口径を空気供給配管21の口径よりも小さくすることが可能となる。空気供給配管21の口径の30%〜40%の口径まで小さくできる。
また、開閉弁31を数回操作することで、空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りで被処理液の出入りが起こり(脈動)、洗浄される。
【0049】
散気管11の洗浄は、ブロワ23を運転しながら開閉弁31をタイマー回路を有する図示しない制御装置によって、設定された所定の時間で開閉を繰り返すことによって達成される。また、試験的には手動によって開閉を繰り返してもかまわない。
その際の開閉操作時間は、0.2秒〜10秒程度で、好ましくは0.2秒〜3秒程度で、開放操作は極力短い時間で開くよう弁を含む操作系の全閉〜全開の動作能に近づけることが好ましい。また、操作間隔は、0.5秒〜10秒間程度、操作回数は3回〜10回程度とする。
開閉弁31を操作することによる膜ユニット3への散気停止時間は上記0.2秒〜10秒の間の何れかの時間をとるので、膜面における上昇流が完全に途切れることがないため、散気管11の洗浄時に濾過運転を停止することなく実施できる。
【0050】
散気管11の洗浄により剥離した固形物を散気管11外に排出するには、散気管11は、例えば、
図2に示すように、複数の小口径の散気孔15を設けた直管13と、この直管13の末端をエルボ返しして下方へ向け、管端を大口径の散気孔19とするエルボ部17とで構成する形状が望ましい。
即ち、大口径の散気孔19の位置を散気管11の中心11cより下方とすることで、散気管11内への被処理液の流入、排出を効果的に行い、より洗浄効果を高めることができる。
また、口径の異なる2種類の空気噴出口(小口径の散気孔15及び複数の大口径の散気孔19)を複数持つ散気管11を用いた場合、散気管11内の剥離した固形物は大口径の散気孔19より排出することができる。
【0051】
次に、
図8に基づいて、本実施形態に係る散気装置10の散気管11の洗浄についてさらに説明する。
ここで、反応槽1の水深を4.5mとし、散気管11は口径13A(13mm)の塩化ビニル樹脂管を用いた。散気管11の下方開口部垂直距離x=30mm、散気管11の水平部長さy=500mm、散気管11の立ち上がり部z=30mmとする。
次に、各部(a点、b点、c点、d点、e点、f点)において、水深3mに相当する圧力損失になる最大線速を計算した。
【0052】
1)a点における散気管エルボ流入部(端部より5mm流入部分)
直管部:L=0.005m、D=0.013m
f
l=0.02+0.0005/D=0.05846
Hl
1=f
l×L/D×Vd
2/2g=0.0222m
(Vd=4.4m/s)→到達時間:0.0011秒
流入口:管突出(損失係数3)
Hl
2=f
2×Vd
2/2g=2.9633m
合計損失Hl=2.9855m
【0053】
2)b点における散気管エルボ上部(端部より30mm流入)
直管部:L=0.030m、D=0.013m
f
l=0.02+0.0005/D=0.05846
Hl
1=f
l×L/D×Vd
2/2g=0.1273m
(Vd=4.3m/s)→到達時間:0.007秒
流入口:管突出(損失係数3)
Hl
2=f
2×Vd
2/2g=2.8301m
合計損失HI=2.9574m
【0054】
3)c点における水平管流入部(エルボ後10mm)
直管部:L=0.040m、D=0.013m
f
l=0.02+0.0005/D=0.05846
Hl
1=f
l×L/D×Vd
2/2g=0.1543m
(Vd=4.1m/s)→到達時間:0.0098秒
流入口:管突出(損失係数3)
Hl
2=f
2×Vd
2/2g=2.573m
エルボ:90度・r/d=l(損失係数0.3)×1ヶ
Hl
3=f
3×Vd
2/2g=0.2573m
合計損失HI=2.9845m
【0055】
4)d点における水平管中央部(エルボ後250mm)
直管部:L=0.280m、D=0.013m
f
l=0.02+0.0005/D=0.05846
Hl
1=f
l×L/D×Vd
2/2g=0.8096m
(Vd=3.55m/s)→到達時間:0.0789秒
流入口:管突出(損失係数 3)
Hl
2=f
2×Vd
2/2g=1.929m
エルボ:90度・r/d=l(損失係数0.3)×1ヶ
Hl
3=f
3×Vd
2/2g=0.1929m
合計損失HI=2.9315 m
【0056】
5)e点における水平管立上り部(エルボ後500mm)
直管部:L=0.530m、D=0.013m
f
l=0.02+0.0005/D=0.05846
Hl
1=f
l×L/D×Vd
2/2g=1.2452m
(Vd=3.2m/s)→到達時間:0.1656秒
流入口:管突出(損失係数 3)
Hl
2=f
2×Vd
2/2g=1.5673m
エルボ:90度・r/d=l(損失係数0.3)×1ヶ
Hl
3=f
3×Vd
2/2g=0.1567m
合計損失HI=2.9693m
【0057】
6)f点における立上り部
直管部:L=0.560m、D=0.013m
f
l=0.02+0.0005/D=0.05846
Hl
1=f
l×L/D×Vd
2/2g=1.2188m
(Vd=3.08m/s)→到達時間:0.1818秒
流入口:管突出(損失係数 3)
Hl
2=f
2×Vd
2/2g=1.452m
エルボ:90度・r/d=1(損失係数 3)×2ヶ
Hl
3=f
3×Vd
2/2g=0.2904m
合計損失HI= 2.9612m
【0058】
7)立上り部をlmH上昇した場合(参考)
この部分での水深は2.4m程となるため、水深2mに相当する圧力損失になる最大線速を計算した。
直管部:L=1.560m、D=0.013m
f
l=0.02+0.0005/D=0.05846
Hl
1=f
l×L/D×Vd
2/2g=1.2921m
(Vd=1.9m/s)→到達時間:0.8211秒
流入口:管突出(損失係数 3)
Hl
2=f
2×Vd
2/2g=0.5526m
エルボ:90度・r/d=1(損失係数 3)×2ヶ
Hl
3=f
3×Vd
2/2g=0.1105m
合計損失HI=1.9551m
【0059】
以上のように、本実施形態に係る散気装置10の散気管11の水平管におけるc点〜e点において、管内流速は4.1m/s〜3.2m/sを示し、空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りの固形物を湿潤化及び剥離させるのに必要とされる2.4m/s以上(例えば、3m/s)の値を得ている。
ここで、空気噴出口廻りの固形物を湿潤化及び剥離させるのに2.4m/s以上(例えば、3m/s)必要とする理由について説明する。
【0060】
例えば、空調設備で冷温水配管では、配管の腐食防止のための最大流速2.4m/s〜3.6m/sを守らないと、管壁がえぐられる潰食が生じる(例えば、鋼管では1m/sを超えると起こる)ことが知られている。
従って、潰食が生じかねない流速である2.4m/s以上、例えば、3m/s以上の管内速度であれば、空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りの固形物は十分に剥離できることは自明である。
【0061】
また、本実施形態に係る散気装置10の散気管11では、開閉弁31を開いてから水平管におけるc点〜e点に到達する時間が、c点では0.0098秒、d点では0.0789秒、e点では0.1656秒であった。これらの結果から、開閉弁31を開くと、逆流する被処理液は瞬く間に水平管の全ての領域に達していることが分かる。従って、開閉弁31の開閉時間は正に瞬間であるが、確実性を考慮すると、0.2秒〜3秒あれば洗浄効果が確実に達成できる。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る散気装置10によれば、散気管11の圧力を瞬間的に大気圧下へ開放し、その後散気管11の圧力を上げることで、散気管11内への被処理液の流入、排出を行うことができる。
また、本実施形態に係る散気装置10によれば、散気管11の圧力を瞬間的に大気圧下へ開放し、その後散気管11の圧力を上げることで、散気管11内への被処理液の流入、排出を行う操作を複数回繰り返すことで散気管11の洗浄を行うことができる。
本実施形態に係る散気装置10によれば、散気管11の大気圧下への開放は一瞬であり、膜濾過運転を止めることなく散気管11の洗浄を行うことができる。
【0063】
本実施形態に係る散気装置10によれば、小口径の散気孔15の位置を散気管11の中心より下方とすることで、散気管11内への被処理液の流入、排出を効果的に行い、より洗浄効果を高めることができる。
本実施形態に係る散気装置10によれば、口径の異なる2種類の空気噴出口(小口径の散気孔15及び大口径の散気孔19)を複数持つ散気管11を用いた場合、散気管11内の剥離した固形物は大口径の散気孔19より排出することができる。
【0064】
本実施形態に係る散気装置10によれば、開閉弁31を開放(開)する際には、大口径の散気孔19及び小口径の散気管15から反応槽1内の被処理液が流入し、乾燥しかけた固形物を湿潤させ、開閉弁31の閉時に、散気管11内の被処理液を大口径の散気孔19から吹き出すことで、散気管11内の被処理液つまりを解消することできる。
【0065】
なお、本実施形態では、開閉弁31の開閉時間を0.2秒〜3秒として説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、空気供給管32A〜100A(管内流速8m/s)とした場合、分岐配管の口径(50m/s以下で口径比0.4とした場合)は13AA〜40Aとすることができるが、その際の開閉弁31の開閉時間について考察する。
タイマーや制御機器により自動で開閉する場合、弁形式や制御方法などによる開閉の動作時間が異なる。
その際の開閉弁の開時には、電磁弁又は空気圧式バタフライ弁にて、瞬時〜1秒にて開となる。電磁弁は、通電により数十m秒〜数百m秒の高速動作が可能であり、瞬時に開となる。
【0066】
開閉弁の閉時には、電動式ボール弁で2秒〜4秒又は6秒〜14秒、空気圧式バタフライ弁で1秒〜15秒にて閉となる。
以上の条件から、開閉弁31の開閉時間は、瞬時(0.2秒未満)〜15秒が望ましい。
開閉弁31の閉止に伴って散気管11による散気を15秒程度停止しても、開閉弁31の閉止前に散気が行われているので、膜ユニット3での膜濾過に悪影響を与えることはない。
また、本実施形態では、開閉操作時間を0.2秒〜3秒程度、操作間隔を0.5秒〜10秒間程度、操作回数を3回〜10回程度とする場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、散気管11の小口径の散気管15の閉塞状況に応じて、散気管11の開閉操作時間を0.2秒〜5秒程度、操作間隔を0.5秒〜15秒間程度、操作回数を3回〜15回程度とすることも可能である。
【0067】
図9〜
図11は、本発明の第一実施形態に係る散気装置10の散気管11を、直管13の両側にエルボ部17を設けた散気管11Aに置き換えた本発明の変形例を示す。
図9は、散気運転時の状態を示す説明図である。
図10は、散気管洗浄時に開閉弁31を開にした状態を示す説明図である。
図11は、散気管洗浄時に開閉弁31を閉にした状態を示す説明図である。
【0068】
図9〜
図11に示す例示においても、十分水深(水圧)があれば、短時間(0.5m進むのに0.2秒)で散気管11Aを被処理液で満たすことができる。そのため、短時間で開閉弁31を開け閉めすることで、散気管11A内に被処理液が流出入し、この脈動によって散気管11A内の空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りの固形物を湿潤化及び剥離し、除去できる。
また、短時間での開閉弁31の操作のため、膜洗浄用空気の途切れが最小限に抑えられ、膜の閉塞に影響が無く、膜濾過運転を行いながら散気管11Aの洗浄が可能となる。
【0069】
散気管11Aの洗浄のため被処理液を散気管11内に逆流させる方法において、空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りを洗浄するために大気圧まで下げる必要はない。
図10に示すように、被処理液が散気管11A内を充満し、空気噴出口(小口径の散気孔15)から空気を吹き出す圧力未満にすれば、散気管11Aからの空気噴き出しが無くなり、散気管11Aに被処理液が水圧により瞬時に逆流する。
【0070】
図1、
図2に示す散気装置10と同様に、散気管11A上部から空気噴出口(大口径の散気孔19)下部までの高さΔhは、ヘッドで0.5kPa〜1.5kPa、つまり5cm〜15cmの大きさである。このため、ブロワ23を運転しながら開閉弁31の操作でも散気管11Aの洗浄が可能であり、空気供給管21から分岐配管33及び開閉弁31の口径を空気供給配管21の口径よりも小さくすることが可能となる。空気供給配管21の口径の30%〜40%の口径まで小さくできる。
また、開閉弁31を数回操作することで、空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りで被処理液の出入りが起こり(脈動)、洗浄される。
【0071】
図12〜
図14は、
図9〜
図11に示す散気管11Aを、大口径の散気孔19を設けない直管型の散気管11Bに置き換えた本発明の変形例を示す。
図12は、散気運転時の状態を示す説明図である。
図13は、散気管洗浄時に開閉弁31を開にした状態を示す説明図である。
図14は、散気管洗浄時に開閉弁31を閉にした状態を示す説明図である。
【0072】
図12〜
図14に示す例示においても、十分水深(水圧)があれば、短時間(0.5m進むのに0.2秒)で散気管11Bを被処理液で満たすことができる。そのため、短時間で開閉弁31を開け閉めすることで、散気管11B内に被処理液が流出入し、この脈動によって散気管11B内の空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りの固形物を湿潤化及び剥離し、除去できる。
また、短時間での開閉弁31の操作のため、膜洗浄用空気の途切れが最小限に抑えられ、膜の閉塞に影響が無く、膜濾過運転を行いながら散気管11Bの洗浄が可能となる。
【0073】
散気管11Bの洗浄のため被処理液を散気管11B内に逆流させる方法において、空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りを洗浄するために大気圧まで下げる必要はない。
図13に示すように、散気管11Bの上部まで空気を押し込むのに必要な圧力未満とすれば、散気管11Bからの空気噴き出しが無くなり、散気管11Bに被処理液が水圧により瞬時に逆流する。
また、開閉弁31を数回操作することで、空気噴出口(小口径の散気孔15)廻りで被処理液の出入りが起こり(脈動)、洗浄される。
【0074】
図15は、本発明の第二実施形態に係る散気装置10Aを示す。
本実施形態に係る散気装置10Aは、開閉弁31を開閉弁31と同等の応答性を有するバルブ(以下、応答性の早いバルブと称する)31aと開閉弁31の応答性より遅い応答性を有するバルブ(以下、応答性の遅いバルブと称する)31bとに置き換える構成とした点で、本発明の第一実施形態に係る散気装置10とは異なる。
なお、本実施形態に係る散気装置10Aのその他の構成は、本発明の第一実施形態に係る散気装置10と同じであるから同一符号を用いて示し、その他の構成の説明を省略し、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bについて説明する。
【0075】
本実施形態に係る散気装置10Aでは、応答性の早いバルブ31aを分岐配管33に接続し、応答性の遅いバルブ31bを応答性の早いバルブ31aに対して直列に接続している。
本実施形態に係る散気装置10Aにおいて、応答性の早いバルブ31aには、応答性が瞬時〜1秒程度と開閉弁31と同等である電磁弁などを用いる。また、応答性の遅いバルブ31bには、応答性が1秒〜15秒程度と開閉弁31の応答性より遅い電動式ボール弁などを用いる。
【0076】
次に、本実施形態に係る散気装置10Aの作用を説明する。
本実施形態に係る散気装置10Aの散気状態時には、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを閉とする。
そして、本実施形態に係る散気装置10Aを散気状態から大気圧下開放状態に切り替える前に、応答性の早いバルブ31aは閉を維持し、応答性の遅いバルブ31bを開とする。
【0077】
次に、本実施形態に係る散気装置10Aの大気圧下開放状態時には、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを開とする。
次に、本実施形態に係る散気装置10Aの散気状態への復帰時には、応答性の早いバルブ31aは開を維持し、応答性の遅いバルブ31bを閉とする。
次に、本実施形態に係る散気装置10Aの散気状態への復帰時には、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを閉とする。
【0078】
このように、本実施形態では、応答性の異なるバルブ31a,31bを利用することで、瞬間的な大気圧下への開放(応答性の遅いバルブを開にした後、応答性の速いバルブを開)と緩やかな散気状態への復帰(応答性の遅いバルブを閉にした後、応答性の速いバルブを閉)を自動で行うことができる。
その他の効果は、本発明の第一実施形態に係る散気装置10と同じであるから省略する。
【0079】
図16は、本発明の第三実施形態に係る散気装置10Bを示す。
本実施形態に係る散気装置10Bは、応答性の遅いバルブ31bを分岐配管33に接続し、応答性の早いバルブ31aを応答性の遅いバルブ31bに対して直列に接続する構成とした点で、本発明の第二実施形態に係る散気装置10Aとは異なる。
なお、本実施形態に係る散気装置10Bのその他の構成は、本発明の第二実施形態に係る散気装置10Aと同じであるから同一符号を用いて示し、その他の構成の説明を省略し、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bについて説明する。
【0080】
次に、本実施形態に係る散気装置10Bの作用を説明する。
本実施形態に係る散気装置10Bの散気状態時には、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを閉とする。
そして、本実施形態に係る散気装置10Bを散気状態から大気圧下開放状態に切り替える前に、応答性の早いバルブ31aは閉を維持し、応答性の遅いバルブ31bを開とする。
【0081】
次に、本実施形態に係る散気装置10Bの大気圧下開放状態時には、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを開とする。
次に、本実施形態に係る散気装置10Bの散気状態への復帰時には、応答性の早いバルブ31aは開を維持し、応答性の遅いバルブ31bを閉とする。
次に、本実施形態に係る散気装置10Bの散気状態への復帰時には、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを閉とする。
【0082】
このように、本実施形態では、応答性の異なるバルブ31a,31bを利用することで、瞬間的な大気圧下への開放(応答性の遅いバルブを開にした後、応答性の速いバルブを開)と緩やかな散気状態への復帰(応答性の遅いバルブを閉にした後、応答性の速いバルブを閉)を自動で行うことができる。
その他の効果は、本発明の第一実施形態に係る散気装置10と同じであるから省略する。
【0083】
図17は、本発明の第四実施形態に係る散気装置10Cを示す。
本実施形態に係る散気装置10Cは、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを分岐配管33aを介して分岐配管33に並列に接続する構成とした点で、本発明の第三実施形態に係る散気装置10Bとは異なる。
なお、本実施形態に係る散気装置10Cのその他の構成は、本発明の第三実施形態に係る散気装置10Bと同じであるから同一符号を用いて示し、その他の構成の説明を省略し、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bについて説明する。
【0084】
次に、本実施形態に係る散気装置10Cの作用を説明する。
本実施形態に係る散気装置10Cの散気状態時には、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを閉とする。
【0085】
そして、本実施形態に係る散気装置10Cの大気圧下開放状態時には、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを同時に開とする。又は、応答性の遅いバルブ31bより応答性の早いバルブ31aを先行して開とする。なお、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを同時に開としても、時間差で応答性の早いバルブ31aが先に全開となり圧が抜ける。
次に、本実施形態に係る散気装置10Cの散気状態への復帰時には、応答性の早いバルブ31a及び応答性の遅いバルブ31bを同時に閉とする。又は、応答性の遅いバルブ31bより応答性の早いバルブ31aを先行して閉とする。
【0086】
このように、本実施形態では、応答性の異なるバルブ31a,31bを利用することで、瞬間的な大気圧下への開放(応答性の遅いバルブを閉にした後、応答性の速いバルブを開)と緩やかな散気状態への復帰(応答性の遅いバルブを閉にした後、応答性の速いバルブを閉)を自動で行うことができる。
その他の効果は、本発明の第一実施形態に係る散気装置10と同じであるから省略する。