特許第6239433号(P6239433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239433
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】汚泥濃縮機および汚泥濃縮システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/12 20060101AFI20171120BHJP
   B01D 33/00 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 29/46 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C02F11/12 DZAB
   B01D33/00 Z
   B01D29/46 A
   B01D29/46 C
   B01D29/38 510D
   B01D29/38 520E
   B01D29/38 540
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-82565(P2014-82565)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2015-202447(P2015-202447A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】西村 武幸
(72)【発明者】
【氏名】千賀 達也
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−054684(JP,A)
【文献】 特開2001−224914(JP,A)
【文献】 特開2004−025007(JP,A)
【文献】 特開2008−149272(JP,A)
【文献】 特開2006−015274(JP,A)
【文献】 特開平01−253589(JP,A)
【文献】 特開2012−179033(JP,A)
【文献】 特開2008−012524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00−11/20
B01D 29/46
B01D 29/66
B01D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過された水を送るスクリューを有する回転軸と、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記スクリューを取り囲むように配置された複数の固定プレートと、隣接する前記固定プレートの間に配置された可動プレートとを含み、隣接する前記固定プレート間にろ過溝が形成された積層ろ体と、
ろ液を排出する配管から前記積層ろ体の内側に水または空気を逆流させることにより、前記積層ろ体の外周部に対して、前記積層ろ体の内側から水または空気による洗浄を行う洗浄手段と、を備える、汚泥濃縮機。
【請求項2】
前記洗浄手段は、前記固定プレートと前記可動プレートとの隙間である濃縮ろ過溝内に、水または空気を逆流させることにより、前記ろ過溝内を含む前記積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている、請求項1に記載の汚泥濃縮機。
【請求項3】
前記洗浄手段は、前記モータおよび前記スクリューを含み、前記モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、前記スクリューを通常運転時とは逆方向に回転させることによって、前記濃縮ろ過溝内にろ過した水を逆流させて前記ろ過溝内を含む前記積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている、請求項2に記載の汚泥濃縮機。
【請求項4】
前記回転軸には、前記スクリューに加えて、内部ポンプ部が設けられており、
前記洗浄手段は、前記モータおよび前記スクリューに加えて前記内部ポンプ部をさらに含み、前記モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、前記スクリューに加えて前記内部ポンプ部を通常運転時とは逆方向に回転させることによって、前記濃縮ろ過溝内にろ過した水を逆流させて前記ろ過溝内を含む前記積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている、請求項3に記載の汚泥濃縮機。
【請求項5】
前記洗浄手段は、通常運転中の所定のタイミングで、前記モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、前記濃縮ろ過溝内にろ過した水を逆流させることによって前記ろ過溝内を含む前記積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている、請求項3または4に記載の汚泥濃縮機。
【請求項6】
汚泥濃縮機本体に設けられ、ろ過された水を送るスクリューを有する回転軸と、
前記汚泥濃縮機本体に設けられ、前記回転軸を回転させるモータと、
前記スクリューを取り囲むように配置された複数の固定プレートと、隣接する前記固定プレートの間に配置された可動プレートとを含み、隣接する前記固定プレート間にろ過溝が形成された積層ろ体と、
ろ液を排出する配管から前記積層ろ体の内側に水または空気を逆流させることにより、前記積層ろ体の外周部に対して、前記積層ろ体の内側から水または空気を供給して洗浄を行う洗浄手段と、を備える、汚泥濃縮システム。
【請求項7】
前記洗浄手段は、前記モータおよび前記スクリューを含み、前記モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、前記スクリューを通常運転時とは逆方向に回転させることによって、前記固定プレートと前記可動プレートとの隙間である濃縮ろ過溝内に、前記汚泥濃縮機本体の内部からろ過した水を逆流させて、前記ろ過溝内を含む前記積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている、請求項6に記載の汚泥濃縮システム。
【請求項8】
前記回転軸には、前記スクリューに加えて、内部ポンプ部が設けられており、
前記洗浄手段は、前記モータおよび前記スクリューに加えて前記内部ポンプ部をさらに含み、前記モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、前記スクリューに加えて前記内部ポンプ部を通常運転時とは逆方向に回転させることによって、前記固定プレートと前記可動プレートとの隙間である濃縮ろ過溝内に、ろ過した水を逆流させて前記ろ過溝内を含む前記積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている、請求項7に記載の汚泥濃縮システム。
【請求項9】
前記洗浄手段は、前記汚泥濃縮機本体の外部に設置され、前記汚泥濃縮機本体にろ過した水を逆流させて、前記ろ過溝内を含む前記積層ろ体の外周部を洗浄するための外部ポンプを含む、請求項6または7に記載の汚泥濃縮システム。
【請求項10】
前記汚泥濃縮機本体が収容される槽内での前記汚泥濃縮機本体の上下位置を調整するための上下位置調整機構をさらに備える、請求項6〜9のいずれか1項に記載の汚泥濃縮システム。
【請求項11】
前記洗浄手段は、前記汚泥濃縮機本体が収容される槽の底部側に配置され、空気の気泡を発生させる気泡発生部を含み、前記槽の下部に前記汚泥濃縮機本体を配置した状態で、前記気泡発生部により前記槽の底部側で発生させた気泡の浮上作用によって槽内の汚泥を対流攪拌および浮遊させることによって、前記ろ過溝内を含む前記積層ろ体の外周部近傍を洗浄するように構成されている、請求項6〜10のいずれか1項に記載の汚泥濃縮システム。
【請求項12】
ろ過された水を送るスクリューを有する回転軸と、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記スクリューを取り囲むように配置された複数の固定プレートと、隣接する前記固定プレートの間に配置された可動プレートとを含み、隣接する前記固定プレート間にろ過溝が形成された積層ろ体と、
前記積層ろ体の外周部に対して、水または空気による洗浄を行う洗浄手段と、を備え、
前記洗浄手段は、前記モータおよび前記スクリューを含み、前記モータを通常運転時とは逆回転させて、前記スクリューを逆回転させることによって、前記ろ過溝内に水を逆流させて前記ろ過溝内を含む前記積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている、汚泥濃縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、汚泥濃縮機および汚泥濃縮システムに関し、特に、汚泥をろ過して固体成分の濃度を高める汚泥濃縮機および汚泥濃縮システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汚泥をろ過して固体成分の濃度を高める汚泥濃縮機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、汚泥と凝集剤とが送り込まれる混和槽と、混和槽内に配置された筒状体と、スクリューと、スクリューを回転駆動させるモータとを備える汚泥フロック化装置(汚泥濃縮機)が開示されている。筒状体は、間隔をあけて配置された複数の固定リングと、隣り合う固定リングの間に配置された可動リングとを含んでいる。スクリューは、筒状体の内部に配置されて回転することにより可動リングを移動させるように構成されている。この特許文献1の汚泥フロック化装置では、可動リングが隣り合う固定リングの間でスクリューから外力を受けて押し動かされることにより、固定リングと可動リングとの間のギャップにフロックが詰まるのを抑制するように構成されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の汚泥フロック化装置(汚泥濃縮機)では、固定リングと可動リングとの間のギャップにフロックが詰まるのを抑制することが可能であるものの、固定リング(固定プレート)の外周部に付着するフロックを除去することができない。このため、汚泥フロック化装置が目詰まりを起こして、汚泥を濃縮する能力が低下するという不都合がある。
【0005】
上記不都合を解消するために、従来では、固定リングと可動リングとの間のギャップにフロックが詰まるのを抑制し、かつ、固定リングの外周部に付着するフロックを除去する装置も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
上記特許文献2の汚泥フロック化装置では、上記特許文献1と同様、可動リングが加圧部材により加圧されることで隣り合う固定リングの間で押し動かされることにより、固定リングと可動リングとの間のギャップにフロックが詰まるのを抑制するように構成されている。さらに、この特許文献2では、筒状体の外周部に沿って加圧部材が固定リングに当接して加圧しながら回転することによって、固定リングの外周部に付着するフロックを掻き取るように構成されている。これらにより、特許文献2では、目詰まりに起因する汚泥の濃縮能力の低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−054684号公報
【特許文献2】特開2009−213986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2の汚泥フロック化装置(汚泥濃縮機)では、目詰まりに起因する汚泥の濃縮能力の低下を抑制することが可能である一方、筒状体の外周部に沿って加圧部材が可動リングを加圧するとともに、表面にブラシ繊維が植設されたクリーニング部材が固定リングに当接して回転するため、加圧部材およびクリーニング部材と可動リングとに摩擦が生じることとなる。その結果、加圧部材、クリーニング部材および可動リング(可動プレート)外周部が摩耗するので、これらの部材の交換を要するという問題点がある。
【0009】
また、特許文献1および2の構成はともに混和槽底部に排液管を設ける構成であるため、排液管を設置するために混和槽を持ち上げるための架台を設けること、または、混和槽をフロア上に設置する場合は排液管を地中に埋設する必要があり、設置コストが増加するという問題点がある。
【0010】
さらに、特許文献1においては開閉弁を設け、排出されるろ液の量を調整する構成となっており、特許文献2においてはろ液が流れるろ液越流管を設け、ろ液越流管の出口開口の高さを変えることで水頭差(ろ液排出流路に接続される液面の高さと汚泥濃縮機が設けられた槽の液面の高さとの差)を変更し、ろ過体に流入するろ液の量を調整する構成となっている。このため、ろ液の量を調整するための構造が必要であり、かつ、ろ液の量を調整するために開閉弁やろ液越流管の高さを変更するといった煩わしい作業が伴うという問題点がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、可動プレートの外周部の摩耗を防止しながら、設置コストも安価に済ませることができ、容易にろ液の量を調整可能で、クリーニング部材等を必要とすることなく、目詰まりに起因する汚泥の濃縮能力の低下を抑制することが可能な汚泥濃縮機および汚泥濃縮システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の第1の局面による汚泥濃縮機は、ろ過された水を送るスクリューを有する回転軸と、回転軸を回転させるモータと、スクリューを取り囲むように配置された複数の固定プレートと、隣接する固定プレートの間に配置された可動プレートとを含み、隣接する固定プレート間にろ過溝が形成された積層ろ体と、ろ液を排出する配管から積層ろ体の内側に水または空気を逆流させることにより、積層ろ体の外周部に対して、積層ろ体の内側から水または空気による洗浄を行う洗浄手段と、を備える。
【0013】
この発明の第1の局面による汚泥濃縮機では、上記のように、積層ろ体の外周部に対して、水または空気による洗浄を行う洗浄手段を設けることによって、積層ろ体の外周部に付着する固体成分を除去することができるので、目詰まりに起因して汚泥を濃縮する能力が低下するのを抑制することができる。また、水または空気により積層ろ体の外周部を洗浄するので、固定プレートおよび可動プレートの外周部に加圧部材やクリーニング部材を当接して回転することにより固定プレートおよび可動プレートの外周部に付着した固体成分を除去する場合と異なり、加圧部材、クリーニング部材および可動プレートの外周部の摩耗を防止することができる。これらにより、可動プレートの外周部の摩耗を防止しながら、クリーニング部材等を必要とすることなく、目詰まりに起因する汚泥の濃縮能力の低下を抑制することができる。また、ろ過された水を送るスクリューを設けることによって、汚泥濃縮機の上側からろ液を排出することができるので、下側に流路が形成されていない槽でも汚泥濃縮機を配置することができる。これにより、汚泥濃縮機の配置の自由度を向上させることができる。また、スクリューにより水が送られるので、水頭差(ろ液排出流路に接続される液面の高さと汚泥濃縮機が設けられた槽の液面の高さとの差)を設けなくても適切にろ過を行うことができる。これらにより、設置コストも安価に済ませることができ、容易にろ液の量を調整可能な汚泥濃縮機を提供することができる。
【0014】
上記第1の局面による汚泥濃縮機において、好ましくは、洗浄手段は、固定プレートと可動プレートとの隙間である濃縮ろ過溝内に、水または空気を逆流させることにより、ろ過溝内を含む積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている。このように構成すれば、積層ろ体の外周側から内周側に水成分をろ過する構成において、洗浄の際に内周側から外周側に向かって水または空気が流れるので、ろ過溝内を含む積層ろ体の外周部近傍に付着した固体成分を水圧または空気圧により容易に剥離させて外側に除去することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、洗浄手段は、モータおよびスクリューを含み、モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、スクリューを通常運転時とは逆方向に回転させることによって、濃縮ろ過溝内にろ過した水を逆流させてろ過溝内を含む積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている。このように構成すれば、ろ過溝内を含む積層ろ体の目詰まりを解消するためのクリーニング部材等を別途設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができる。また、ろ過した水を逆流させてろ過溝内を含む積層ろ体の外周部が洗浄されるので、洗浄のための専用水を別途引いてくる必要がなく、その洗浄のための専用水を引くための配管なども設ける必要がない。この点でも、部品点数が増加するのを抑制することができる。これらの結果、洗浄手段を設けたとしても、汚泥濃縮機の構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0016】
上記モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより濃縮ろ過溝内にろ過した水を逆流させる構成において、好ましくは、回転軸には、スクリューに加えて、内部ポンプ部が設けられており、洗浄手段は、モータおよびスクリューに加えて内部ポンプ部をさらに含み、モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、スクリューに加えて内部ポンプ部を通常運転時とは逆方向に回転させることによって、濃縮ろ過溝内にろ過した水を逆流させてろ過溝内を含む積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている。このように構成すれば、スクリューの推進力に加えて内部ポンプ部の推進力を用いてろ過した水を逆流させることができるので、効果的にろ過溝内を含む積層ろ体の外周部を洗浄することができる。また、通常運転時にスクリューに加えて内部ポンプ部を用いてろ過した水を送ることができるので、ろ過した水をより高い位置に押し上げることができる。
【0017】
上記モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより濃縮ろ過溝内にろ過した水を逆流させる構成において、好ましくは、洗浄手段は、通常運転中の所定のタイミングで、モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、濃縮ろ過溝内にろ過した水を逆流させることによってろ過溝内を含む積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている。このように構成すれば、通常運転の間に間欠的にろ過溝内を含む積層ろ体の外周部が洗浄されるので、汚泥濃縮機の運転を長期間にわたって行ったとしても、目詰まりに起因して汚泥を濃縮する能力が低下するのを抑制することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による汚泥濃縮システムは、汚泥濃縮機本体に設けられ、ろ過された水を送るスクリューを有する回転軸と、汚泥濃縮機本体に設けられ、回転軸を回転させるモータと、汚泥濃縮機本体にスクリューを取り囲むように配置された複数の固定プレートと、隣接する固定プレートの間に配置された可動プレートとを含み、隣接する固定プレート間にろ過溝が形成された積層ろ体と、ろ液を排出する配管から積層ろ体の内側に水または空気を逆流させることにより、積層ろ体の外周部に対して、積層ろ体の内側から水または空気を供給して洗浄を行う洗浄手段と、を備える。
【0019】
この発明の第2の局面による汚泥濃縮システムでは、上記のように、積層ろ体の外周部に対して、汚泥濃縮機本体の内部または外部から水または空気を供給して洗浄を行う洗浄手段を設けることによって、積層ろ体の外周部に付着する固体成分を除去することができるので、目詰まりに起因して汚泥を濃縮する能力が低下するのを抑制することができる。また、水または空気により積層ろ体の外周部を洗浄するので、固定プレートおよび可動プレートの外周部に加圧部材やクリーニング部材を当接して回転することにより固定プレートおよび可動プレートの外周部に付着した固体成分を除去する場合と異なり、加圧部材、クリーニング部材および可動プレートの外周部の摩耗を防止することができる。これらにより、可動プレートの外周部の摩耗を防止しながら、クリーニング部材等を必要とすることなく、目詰まりに起因する汚泥の濃縮能力の低下を抑制することが可能な汚泥濃縮システムを提供することができる。また、ろ過された水を送るスクリューを設けることによって、汚泥濃縮機の上側からろ液を排出することができるので、下側に流路が形成されていない槽でも汚泥濃縮機本体を配置することができる。これにより、汚泥濃縮機本体の配置の自由度を向上させることができる。また、スクリューにより水が送られるので、水頭差(ろ液排出流路に接続される液面の高さと汚泥濃縮機本体が設けられた槽の液面の高さとの差)を設けなくても適切にろ過を行うことができる。これらにより、設置コストも安価に済ませることができ、容易にろ液の量を調整可能な汚泥濃縮システムを提供することができる。
【0020】
上記第2の局面による汚泥濃縮システムにおいて、好ましくは、洗浄手段は、モータおよびスクリューを含み、モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、スクリューを通常運転時とは逆方向に回転させることによって、固定プレートと可動プレートとの隙間である濃縮ろ過溝内に、汚泥濃縮機本体の内部からろ過した水を逆流させて、ろ過溝内を含む積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている。このように構成すれば、ろ過溝内を含む積層ろ体の目詰まりを解消するためのクリーニング部材等を別途設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができる。また、ろ過溝内を含む積層ろ体の外周部が洗浄されるので、洗浄のための専用水を別途引いてくる必要がなく、その洗浄のための専用水を引くための配管なども設ける必要がない。この点でも、部品点数が増加するのを抑制することができる。これらの結果、洗浄手段を設けたとしても、汚泥濃縮システムの構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0021】
この場合、好ましくは、回転軸には、スクリューに加えて、内部ポンプ部が設けられており、洗浄手段は、モータおよびスクリューに加えて内部ポンプ部をさらに含み、モータを通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、スクリューに加えて内部ポンプ部を通常運転時とは逆方向に回転させることによって、固定プレートと可動プレートとの隙間である濃縮ろ過溝内に、ろ過した水を逆流させてろ過溝内を含む積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている。このように構成すれば、スクリューの推進力に加えて内部ポンプ部の推進力を用いてろ過した水を逆流させることができるので、効果的にろ過溝内を含む積層ろ体の外周部を洗浄することができる。また、通常運転時にスクリューに加えて内部ポンプ部を用いてろ過した水を送ることができるので、ろ過した水をより高い位置に押し上げることができる。
【0022】
上記第2の局面による汚泥濃縮システムにおいて、好ましくは、洗浄手段は、汚泥濃縮機本体の外部に設置され、汚泥濃縮機本体にろ過した水を逆流させて、ろ過溝内を含む積層ろ体の外周部を洗浄するための外部ポンプを含む。このように構成すれば、汚泥濃縮機本体の外部に設置された外部ポンプを用いてろ過した水を容易に逆流させることができるので、固定プレートおよび可動プレートの外周部を容易に洗浄することができる。また、汚泥濃縮機本体内に内部ポンプ部を設ける場合に比べて、汚泥濃縮機本体を軽量化することができるとともに、汚泥濃縮機本体の構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0023】
上記第2の局面による汚泥濃縮システムにおいて、好ましくは、汚泥濃縮機本体が収容される槽内での汚泥濃縮機本体の上下位置を調整するための上下位置調整機構をさらに備える。このように構成すれば、汚泥中の固体成分の比重に起因する汚泥の上下の濃度差を考慮して、固体成分の濃度が薄い上下方向の位置に汚泥濃縮機本体を配置することができるので、固体成分の付着を抑制して効率的に汚泥を濃縮することができる。
【0024】
上記第2の局面による汚泥濃縮システムにおいて、好ましくは、洗浄手段は、汚泥濃縮機本体が収容される槽の底部側に配置され、空気の気泡を発生させる気泡発生部を含み、槽の下部に汚泥濃縮機本体を配置した状態で、気泡発生部により槽の底部側で発生させた気泡の浮上作用によって槽内の汚泥を対流攪拌および浮遊させることによって、ろ過溝内を含む積層ろ体の外周部近傍を洗浄するように構成されている。このように構成すれば、発生した気泡によりろ過溝内を含む積層ろ体の外周部に付着した固体成分を除去することができる。また、気泡により汚泥中の固体成分を浮上させることができるので、槽の下部の固体成分の濃度が薄くなった位置で効率的に汚泥をろ過して濃縮することができる。
この発明の第3の局面による汚泥濃縮機は、ろ過された水を送るスクリューを有する回転軸と、回転軸を回転させるモータと、スクリューを取り囲むように配置された複数の固定プレートと、隣接する固定プレートの間に配置された可動プレートとを含み、隣接する固定プレート間にろ過溝が形成された積層ろ体と、積層ろ体の外周部に対して、水または空気による洗浄を行う洗浄手段と、を備え、洗浄手段は、モータおよびスクリューを含み、モータを通常運転時とは逆回転させて、スクリューを逆回転させることによって、ろ過溝内に水を逆流させてろ過溝内を含む積層ろ体の外周部を洗浄するように構成されている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、上記のように、可動プレートの外周部の摩耗を防止しながら、設置コストも安価に済ませることができ、容易にろ液の量を調整可能で、クリーニング部材等を必要とすることなく、目詰まりに起因する汚泥の濃縮能力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態による汚泥濃縮システムを備える水処理システムを示した概略図である。
図2】本発明の第1実施形態による汚泥濃縮システムを示した図である。
図3】本発明の第1実施形態による汚泥濃縮機の要部拡大図である。
図4図3の150−150線に沿った断面図である。
図5】本発明の第2実施形態による汚泥濃縮システムを示した図である。
図6】本発明の第3実施形態による汚泥濃縮システムを示した図である。
図7】本発明の第3実施形態の変形例による汚泥濃縮機を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(第1実施形態)
第1実施形態による汚泥濃縮システム100は、水処理システム101の一部の構成要素として設けられている。水処理システム101は、工業、農業、畜産業または家庭(生活用)などから排出される被処理水を河川などに放流可能な水質になるように処理するように構成されている。また、水処理システム101は、図1に示すように、汚泥濃縮機1と、汚泥貯留槽2と、タンク3と、流量調整槽4と、生物反応槽(曝気槽)5と、最終沈殿池6と、脱水機7とを備えている。また、汚泥濃縮システム100は、水処理システム101のうち、汚泥濃縮機1と、汚泥貯留槽2と、タンク3とにより構成されている。なお、汚泥濃縮機1は、本発明の「汚泥濃縮機本体」の一例である。
【0029】
まず、水処理システム101のうち汚泥濃縮システム100以外の構成要素について概略的に説明し、その後、汚泥濃縮システム100の構成について詳細に説明する。
【0030】
水処理システム101のうち、流量調整槽4は、被処理水が流入されて貯留されるとともに、その後の被処理水の流量が所定の量になるように調整するように構成されている。つまり、被処理水が流入する量が時間帯により異なる場合でも、一旦被処理水を流量調整槽4で貯留することにより、流量調整槽4の後段への被処理水の流量が所定の量になるように調整される。
【0031】
生物反応槽5は、曝気(エアレーション)することにより活性汚泥(微生物)によって被処理水を生物処理するように構成されている。最終沈殿池6は、水中の浮遊物(活性汚泥など)を沈殿させるように構成されている。脱水機7は、汚泥貯留槽2で凝集および濃縮された濃縮汚泥を脱水して(含水率を下げて)、固分と液分(ろ液)とに分離して、それぞれ排出するために設けられている。
【0032】
ここで、水処理システム101のうち、汚泥濃縮機1と、汚泥貯留槽2と、タンク3とにより構成される第1実施形態による汚泥濃縮システム100について詳細に説明する。
【0033】
汚泥濃縮機1が収容される汚泥貯留槽2は、最終沈殿池6から送られる汚泥を貯留するように構成されている。また、汚泥貯留槽2では、凝集剤が投入されることにより、汚泥中の固体成分が凝集されてフロックが形成されるように構成されている。
【0034】
汚泥濃縮機1は、図2に示すように、汚泥貯留槽2内に配置されており、汚泥貯留槽2内の汚泥を濃縮する(固体成分(フロック)の濃度を高める)ように構成されている。具体的には、汚泥濃縮機1は、汚泥中の水分をろ過して汚泥貯留槽2の外へろ液として排出するように構成されている。また、汚泥濃縮機1により排出されるろ液は、配管31を介してタンク3に送られるように構成されている。タンク3は、汚泥濃縮機1から送られたろ液を、所定の量貯留するように構成されている。
【0035】
汚泥濃縮機1は、回転軸11と、固定プレート12と、可動プレート13と、羽根車14と、モータ15と、接続部材16とを含む。また、汚泥濃縮機1は、各固定プレート12・・12間にスペーサ16aが介装されて、所定間隔のろ過溝Sが形成されている。また、汚泥濃縮機1は、該ろ過溝S内に可動プレート13が可動自在に遊嵌されている。また、汚泥濃縮機1は、可動プレート13が各固定プレート12の間(ろ過溝S)に配置された状態で、接続部材16により固定プレート12とスペーサ16aとが接続されて、筒状に積層された積層ろ体Fが形成されている。また、汚泥濃縮機1では、ろ液が積層ろ体Fのろ過溝Sから流入するとともに、ろ過溝Sから可動プレート13の厚みを引いた分の細隙である濃縮ろ過溝NSより汚泥濃縮機1内へ取り込まれる。また、汚泥濃縮機1は、汚泥貯留槽2の水面に浮かぶフロート17により吊られるように支持されて汚泥貯留槽2内に配置されている。なお、羽根車14は、本発明の「洗浄手段」および「内部ポンプ部」の一例であり、モータ15は、本発明の「洗浄手段」の一例である。また、フロート17は、本発明の「上下位置調整機構」の一例である。
【0036】
回転軸11は、モータ15の駆動により回転するように構成されている。また、回転軸11には、通常運転時の回転方向で下方から上方にろ過された水を押し上げる(送る)スクリュー11aが設けられている。また、回転軸11には、ポンプ機能を有する羽根車14が取り付けられている。つまり、モータ15による回転軸11の回転駆動により、スクリュー11aおよび羽根車14の両方が回転駆動されるように構成されている。また、回転軸11が通常運転時(ろ過運転時)にモータ15により一方方向に回転されることによって、スクリュー11aおよび羽根車14によりろ過されたろ液をタンク3に送る(A方向にろ液を送る)ように構成されている。また、回転軸11が洗浄時にモータ15により他方方向に回転されることによって、スクリュー11aおよび羽根車14によりタンク3内のろ液を洗浄水として汚泥濃縮機1に逆流させる(B方向にろ液(洗浄水)を送る)ように構成されている。なお、スクリュー11aは、本発明の「洗浄手段」の一例である。
【0037】
スクリュー11aが回転することにより、可動プレート13はスクリュー11aから外力を受けて濃縮ろ過溝S内にて、ラジアル方向(水平方向)へ偏心可動されるように構成されている。また、スクリュー11aおよび羽根車14の回転数を増加させると、タンク3へ送るろ液の量が増加するので、汚泥濃縮機1内部に負圧が生じ(圧力が低下し)、多くの水をろ液として取り込むことが可能となる。したがって、ろ過時において、スクリュー11aおよび羽根車14の回転数を調整することにより、ろ過流量(ろ液の流量)を調整することが可能である。なお、スクリュー11aおよび羽根車14は、ろ過による圧力損失およびろ液を持ち上げるのに必要な水圧以上の推進力が得られる回転数で運転される。
【0038】
固定プレート12および可動プレート13は、スクリュー11aを取り囲むように配置されている。また、固定プレート12および可動プレート13は、回転軸11の軸方向に沿って複数設けられている。また、固定プレート12および可動プレート13は、図4に示すように、中空の略円形状(円環形状)に形成されている。また、複数の固定プレート12は、スペーサ16aと接続部材16により、回転軸11の軸方向(上下方向)に所定の間隔(ろ過溝Sの幅)を隔てて配列され、該ろ過溝S内に可動プレート13を可動自在に遊嵌しながら固定されている。具体的には、複数の固定プレート12は、図3および図4に示すように、スペーサ16aを介して上下方向に隣接するように配置された状態で、接続部材16をスペーサ16aの挿通穴16bと接続穴12aに通すことにより、固定されている。なお、図4に示すように、固定プレート12は、固定プレート12の周方向においてたとえば120度ずつの間隔を隔てて3か所において、接続部材16により固定されている。
【0039】
また、複数の固定プレート12は、汚泥貯留槽2で凝集されるフロックの大きさよりも狭い上下方向の間隔を隔てて配置されている。これにより、ろ過溝S内に形成される細隙の濃縮ろ過溝NSによりフロックを通さずに、積層ろ体Fの外側の濃縮ろ過溝NSから内側に向かって汚泥中の水分がろ過されるように構成されている。
【0040】
可動プレート13は、図3に示すように、上下方向に隣接する固定プレート12の間(ろ過溝S)に配置されている。つまり、可動プレート13は、回転軸11の軸方向に沿って複数設けられている。また、可動プレート13は、図4に示すように、中空の略円形状(円環形状)に形成されている。また、可動プレート13は、回転軸11(スクリュー11a)に通された状態で、移動可能に配置されている。つまり、可動プレート13は、上下方向において、隣接する固定プレート12の間(ろ過溝S)の範囲内で移動可能に構成されている。また、可動プレート13は、上下方向と直交する水平方向において、スクリュー11aの回転に対応して移動するように構成されている。これにより、可動プレート13がろ過溝Sにおいてスクリュー11aから外力を受けてラジアル方向へ偏心可動して、隣接する固定プレート12間のフロック(固体成分)を掻き取るようにして取り除くように構成されている。その結果、ろ過溝Sの目詰まりを抑制することが可能である。また、図3に示すように、望ましくは、可動プレート13は、スクリュー11aに押し動かされることで積層ろ体Fの外へ可動プレート13の外径が突出するように構成されている。これにより、積層ろ体Fの外周部のフロックをより効果的に取り除くことが可能である。
【0041】
ここで、図4に示すように、可動プレート13は、内径D1と外径D2とを有する円環形状に形成されている。また、スクリュー11aは、回転直径(回転する最大の位置の直径)D3を有するように形成されている。また、固定プレート12は、内径D4と外径D5とを有する円環形状に形成されている。
【0042】
可動プレート13の内径D1は、スクリュー11aの回転直径D3よりも小さくなるように形成されている。これにより、スクリュー11aが可動プレート13の内周に当接して、可動プレート13を水平方向に移動させることが可能である。また、スクリュー11aの回転直径D3は、固定プレート12の内径D4よりもわずかに小さく(たとえば、2mm)なるように形成されている。これにより、スクリュー11aと固定プレート12との間に最小限の隙間しか存在しないため、スクリュー11aの推進力を効率的にろ液に伝えることが可能である。
【0043】
また、可動プレート13の外径D2は、固定プレート12の内径D4よりも大きい。これにより、可動プレート13が固定プレート12の内側の穴部を通り抜けることが防止される。また、固定プレート12の外径D5は、可動プレート13の外径D2よりも大きい。
【0044】
ここで、第1実施形態では、汚泥貯留槽2において、凝集剤により凝集されたフロック(固体成分)の比重が水よりも大きいために、フロック(固体成分)の濃度が下側において濃くなっている場合の例を示している。したがって、第1実施形態では、汚泥濃縮機1は、汚泥貯留槽2の上寄りに配置されている。これにより、フロック(固体成分)の濃度が低い位置で効率的に水分をろ過することが可能となる。具体的には、汚泥濃縮機1は、フロート17により吊り下げられるように支持されている。これにより、水面が下降した場合でも、水面の下降に伴ってフロート17も下降するので、汚泥濃縮機1のろ過部分(固定プレート12および可動プレート13)が水面より上部に出ることを防止することが可能である。
【0045】
また、第1実施形態では、スクリュー11a、羽根車14およびモータ15は、洗浄手段として固定プレート12および可動プレート13の外周部に対して、水による洗浄を行うように構成されている。具体的には、洗浄手段としてのスクリュー11a、羽根車14およびモータ15は、濃縮ろ過溝NS(固定プレート12と可動プレート13との隙間)内に、タンク3の水(ろ液)を逆流させることにより、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄し、フロックの目詰まりを解消するように構成されている。つまり、モータ15が通常運転時とは逆方向に回転駆動されることにより、スクリュー11aおよび羽根車14が通常運転時の一方方向とは逆の他方方向に回転されることによって、濃縮ろ過溝NS内に、ろ過した水を逆流させるように構成されている。
【0046】
また、洗浄手段としてのスクリュー11a、羽根車14およびモータ15は、通常運転中の所定のタイミングで、モータ15を通常運転時とは逆方向に回転させることにより、スクリュー11aおよび羽根車14を他方方向に回転させることによって、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄するように構成されている。たとえば、配管31のろ液の流量に基づいて、流量が一定値未満となった場合に、モータ15を通常運転時とは逆方向に回転させて、タンク3内のろ液を逆流させ、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を汚泥濃縮機1の内部から外部へ洗浄するように構成されている。つまり、固定プレート12の外周部のフロック(固体成分)の堆積に起因してろ過流量が減少していると判断した場合に、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄するように構成されている。この場合、ろ液の流量は、たとえば、配管31に流量計を設けて測定される。また、たとえば、ろ液の流量は、タンク3に水位計を設けて測定される。
【0047】
次に、図1を参照して、上述した第1実施形態による汚泥濃縮システム100を含む水処理システム101の水処理の流れについて説明する。
【0048】
まず、流量調整槽4に流入されて流量が調整された被処理水が生物反応槽(曝気槽)5に送られる。そして、生物反応槽5では、微生物の活動により被処理水中の有機物などが分解される。この際、生物反応槽5では、微生物の活動により、汚泥が増加される。
【0049】
生物反応槽5における生物処理後の被処理水は、活性汚泥とともに最終沈殿池6に送られる。そして、最終沈殿池6では、水中の浮遊物(活性汚泥など)が沈殿されて上澄みの処理水が河川などに放流される。また、一部の上澄みの処理水は流量調整槽4に返送される。一方、最終沈殿池6において沈殿された汚泥は、汚泥貯留槽2に送られる。また、一部の汚泥は生物反応槽5に返送される。これにより、生物反応槽5内の活性汚泥の量が所定の量に保たれる。
【0050】
汚泥貯留槽2では、汚泥濃縮機1により、汚泥中の水分がろ過されて、固体成分(フロック)の濃度が高められるように構成されている。これにより、脱水機7に流入する濃縮汚泥の濃度を調整することができ、脱水機7により適切に脱水を行うことが可能である。
【0051】
汚泥貯留槽2の汚泥濃縮機1によりろ過されたろ液(水分)は、タンク3に送られる。そして、タンク3では、汚泥濃縮機1の洗浄のためにろ液を一時貯めるように構成されている。また、タンク3のろ液は、一部が河川などに放流され、一部が流量調整槽4に返送される。
【0052】
汚泥貯留槽2で凝集および濃縮された濃縮汚泥は、脱水機7に送られる。そして、脱水機7により濃縮汚泥が脱水されて(含水率が下げられて)、脱水ケーキ(固分)とろ液(液分)とに分離される。脱水機7により脱水された脱水ケーキは、排出されて焼却などの処理が行われる。また、脱水機7から排出されるろ液は、流量調整槽4に返送される。
【0053】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0054】
第1実施形態では、上記のように、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部に対して、ろ過した水を逆流させることによる洗浄を行う洗浄手段(スクリュー11a、羽根車14およびモータ15)を設けることによって、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部に付着する固体成分(フロック)を除去することができるので、目詰まりに起因して汚泥を濃縮する能力が低下するのを抑制することができる。また、ろ過した水を逆流させることによりろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を汚泥濃縮機1の内部より洗浄することによって、積層ろ体Fの外周部に加圧部材やクリーニング部材を当接して加圧しながら回転することにより積層ろ体Fの外周部に付着した固体成分を除去する場合と異なり、可動プレート13の外周部の摩耗を防止することができる。これらにより、可動プレート13の外周部の摩耗を防止しながら、クリーニング部材等を必要とすることなく、目詰まりに起因する汚泥の濃縮能力の低下を抑制することができる。また、下方から上方にろ過された水を押し上げるスクリュー11aを設けることによって、汚泥濃縮機1の上側からろ液を排出することができるので、下側に流路が形成されていない槽でも汚泥濃縮機1を配置することができる。これにより、汚泥濃縮機1の配置の自由度を向上させることができる。また、スクリュー11aにより下方から上方に水が押し上げられるので、水頭差(ろ液排出流路に接続される液面の高さと汚泥濃縮機1が設けられた槽の液面の高さとの差)を設けなくても適切にろ過を行うことができる。これらにより、設置コストも安価に済ませることができ、容易にろ液の量を調整することができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、洗浄手段としてのモータ15を通常運転時とは逆方向に回転させることにより、洗浄手段としてのスクリュー11aを通常運転時とは逆方向に回転させることによって、濃縮ろ過溝NS(固定プレート12と可動プレート13との隙間)内に、ろ過した水を逆流させてろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を汚泥濃縮機1の内部より洗浄するように構成する。これにより、積層ろ体Fの外周側から内周側に水成分をろ過する構成において、洗浄の際に内周側から外周側に向かって水が流れる(逆流する)ので、積層ろ体Fの外周部近傍に付着した固体成分を水圧により容易に剥離させて外側に除去することができる。また、既存のモータ15およびスクリュー11aを用いて洗浄を行うことにより、ろ過した水を逆流させるための専用のモータおよびスクリューを別途設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができる。また、ろ過した水を逆流させてろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部が洗浄されるので、洗浄のための専用水を別途引いてくる必要がなく、その洗浄のための専用水を引くための配管なども設ける必要がない。この点でも、部品点数が増加するのを抑制することができる。これらの結果、洗浄手段を設けたとしても、汚泥濃縮機1の構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、上記のように、モータ15を通常運転時とは逆方向に回転させるように駆動することにより、スクリュー11aに加えて羽根車14も通常運転時とは逆方向に回転させることによって、濃縮ろ過溝NS内に、ろ過した水を逆流させてろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄するように構成する。これにより、スクリュー11aの推進力に加えて羽根車14の推進力を用いてろ過した水を逆流させることができるので、効果的にろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄することができる。また、通常運転時にスクリュー11aに加えて羽根車14を用いてろ過した水を押し上げることができるので、ろ過した水をより高い位置に押し上げることができる。
【0057】
また、第1実施形態では、上記のように、通常運転中の所定のタイミングで、モータ15を通常運転時とは逆方向に回転させてスクリュー11aおよび羽根車14を逆方向に回転させることにより、濃縮ろ過溝NS内に、ろ過した水を逆流させることによってろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄するように構成する。これにより、通常運転の間に間欠的にろ過溝S内を含む積層ろ体Fが洗浄されるので、汚泥濃縮機1の運転を長期間にわたって行ったとしても、目詰まりに起因して汚泥を濃縮する能力が低下するのを抑制することができる。
【0058】
また、第1実施形態では、上記のように、汚泥濃縮機1を汚泥貯留槽2の水面に浮遊させるためのフロート17を設ける。これにより、汚泥中の固体成分の比重が水よりも大きいことに起因して汚泥の濃度が汚泥貯留槽2の下側で高くなる場合に、固体成分の濃度が薄い汚泥貯留槽2の上寄りの位置に汚泥濃縮機1を配置することができるので、固体成分の付着を抑制して効率的に汚泥を濃縮することができる。また、フロート17により、汚泥貯留槽2内の水面が変化した場合でも汚泥濃縮機1を水面に対して所定の位置に位置させることができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、汚泥濃縮機1の内部に羽根車14を設けた上記第1実施形態とは異なり、汚泥濃縮機201の外部に外部ポンプ32を設置した例について説明する。
【0060】
図5に示すように、本発明の第2実施形態の汚泥濃縮システム200は、汚泥濃縮機201と、汚泥貯留槽2と、タンク3とを備えている。汚泥濃縮機201は、スクリュー11aを有する回転軸11と、固定プレート12と、可動プレート13と、モータ15と、接続部材16とを含んでいる。また、汚泥貯留槽2内には、気泡発生部21と、ガイド22と、座部23とが設けられている。また、汚泥濃縮機201および汚泥貯留槽2の外部に配置されたタンク3内には、外部ポンプ32が設置されている。なお、汚泥濃縮機201は、本発明の「汚泥濃縮機本体」の一例であり、スクリュー11a、モータ15および外部ポンプ32は、本発明の「洗浄手段」の一例である。また、気泡発生部21も、本発明の「洗浄手段」の一例である。
【0061】
ここで、第2実施形態では、汚泥濃縮機201は、ガイドブラケット202を介してガイド22に支持されている。具体的には、汚泥濃縮機201は、ガイドブラケット202が取り付けられている。また、ガイドブラケット202は、汚泥貯留槽2内に上下に延びるように配置されたガイド22に固定されている。これにより、汚泥濃縮機201を汚泥貯留槽2内の任意の上下位置に配置して固定することが可能である。なお、ガイド22およびガイドブラケット202は、本発明の「上下位置調整機構」の一例である。
【0062】
ここで、第2実施形態では、汚泥貯留槽2において、凝集剤により凝集されたフロック(固体成分)の比重が水よりも小さいために、フロック(固体成分)の濃度が上側において濃くなっている場合の例を示している。したがって、第2実施形態では、汚泥濃縮機201は、汚泥貯留槽2の下寄り(座部23寄り)に配置されている。これにより、フロック(固体成分)の濃度が低い位置で効率的に水分をろ過することが可能となる。具体的には、ガイドブラケット202のガイド22に対する取付位置が下寄りに調整されて、汚泥濃縮機201が汚泥貯留槽2の下寄りに配置されて固定されている。また、汚泥濃縮機201は、汚泥貯留槽2の底部に設けられた座部23に当接するように配置されている。
【0063】
また、汚泥濃縮機201により排出されるろ液は、配管31を介してタンク3に送られるように構成されている。具体的には、ろ過運転中(通常運転中)には、弁33により配管31に配管31aが接続される。そして、ろ液は、配管31aを通ってタンク3に排出される。なお、配管31aは、タンク3の上側に設けられており、大気解放されている。これにより、ろ過運転中(通常運転中)に、タンク3内に貯められたろ液の逆流が防止される。また、洗浄時にタンク3のろ液(洗浄水)を逆流させて、汚泥濃縮機201を洗浄する場合は、弁33により配管31に配管31bが接続される。そして、外部ポンプ32を駆動させることにより、配管31bを通って、タンク3からろ液が汚泥濃縮機201に送られる。
【0064】
また、第2実施形態では、洗浄手段としての外部ポンプ32は、固定プレート12および可動プレート13の外周部に対して、水による洗浄を行うように構成されている。具体的には、洗浄手段としての外部ポンプ32は、濃縮ろ過溝NS(固定プレート12と可動プレート13との隙間)内に、タンク3の水(ろ液)を逆流させることにより、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄し、フロックの目詰まりを解消するように構成されている。また、この際、外部ポンプ32の駆動とともに、モータ15を通常運転時とは逆方向に回転駆動することにより、スクリュー11aにより、濃縮ろ過溝NS内に、ろ過した水を逆流させるように構成する。これにより、外部ポンプ32に加えて、スクリュー11aおよびモータ15も洗浄手段として機能する。
【0065】
また、第2実施形態では、汚泥貯留槽2の底部に気泡発生部21が設けられている。気泡発生部21は、エア源(図示せず)に接続されており、汚泥貯留槽2内に気泡を噴射するように構成されている。つまり、汚泥貯留槽2の下部に汚泥濃縮機201を配置した状態で、気泡発生部21により汚泥貯留槽2の底部側で気泡を発生させるように構成されている。また、発生させた気泡の浮上作用によって汚泥貯留槽2内の汚泥を対流攪拌および浮遊させることによって、ろ過溝Sを含む積層ろ体Fの外周部近傍が洗浄されるように構成されている。また、気泡により、凝縮された固体成分(フロック)が浮上するように構成されている。
【0066】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
第2実施形態では、上記のように、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部に対して、ろ過した水を逆流させて、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄するための外部ポンプ32を設ける。これにより、汚泥濃縮機201の外部に設置された外部ポンプ32を用いてろ過した水を容易に逆流させることができるので、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を容易に洗浄することができる。また、汚泥濃縮機201の内部に内部ポンプ部(羽根車14)を設ける場合(第1実施形態)に比べて、汚泥濃縮機201を軽量化することができるとともに、汚泥濃縮機201の構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0069】
また、第2実施形態では、汚泥貯留槽2の下部に汚泥濃縮機201を配置した状態で、気泡発生部21により汚泥貯留槽2の底部側で気泡を発生させるとともに、発生させた気泡の浮上作用によって汚泥貯留槽2内の汚泥を対流攪拌および浮遊させることによって、ろ過溝Sを含む積層ろ体Fの外周部近傍を洗浄するように構成する。これによって発生した気泡によりろ過溝Sを含む積層ろ体Fの外周部に付着した固体成分を除去することができる。また、気泡により汚泥中の固体成分(フロック)を浮上させることができるので、汚泥貯留槽2の下部の固体成分の濃度が薄くなった位置で効率的に汚泥をろ過して濃縮することができる。
【0070】
また、第2実施形態では、上記のように、汚泥濃縮機201が収容される汚泥貯留槽2内での汚泥濃縮機201の上下位置を調整するためのガイド22およびガイドブラケット202を設ける。これにより、汚泥中の固体成分(フロック)の比重に起因する汚泥の上下の濃度差を考慮して、固体成分の濃度が薄い上下方向の位置(第2実施形態では汚泥貯留槽2の底部(下)寄りの位置)に汚泥濃縮機201を配置することができるので、固体成分の付着を抑制して効率的に汚泥を濃縮することができる。
【0071】
また、第2実施形態においても、スクリュー11a、モータ15および外部ポンプ32を用いて、固定プレート12および可動プレート13の外周部に対して、ろ過した水による洗浄を行う。これにより、固定プレート12および可動プレート13の外周部に付着する固体成分(フロック)を除去することができるので、可動プレート13の外周部の摩耗を防止しながら、クリーニング部材等を必要とすることなく、目詰まりに起因する汚泥の濃縮能力の低下を抑制することができる。
【0072】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0073】
(第3実施形態)
次に、図6を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上記第1および第2実施形態とは異なり、空気を逆流させることにより固定プレート12および可動プレート13の外周部を洗浄する構成の例について説明する。
【0074】
図6に示すように、本発明の第3実施形態の汚泥濃縮システム300は、汚泥濃縮機301と、汚泥貯留槽2と、タンク3とを備えている。汚泥濃縮機301は、スクリュー11aを有する回転軸11と、固定プレート12と、可動プレート13と、モータ15と、接続部材16とを含んでいる。また、汚泥貯留槽2内には、気泡発生部21と、ガイド22と、座部23とが設けられている。なお、汚泥濃縮機301は、本発明の「汚泥濃縮機本体」の一例であり、気泡発生部21は、本発明の「洗浄手段」の一例である。
【0075】
ここで、この第3実施形態では、上記第2実施形態と同様に、汚泥貯留槽2において、凝集剤により凝集されたフロック(固体成分)の比重が水よりも小さいため、フロック(固体成分)の濃度が上側において濃くなっている場合の例を示している。したがって、第3実施形態では、汚泥濃縮機301は、汚泥貯留槽2の下寄り(座部23寄り)に配置されている。これにより、フロック(固体成分)の濃度が低い位置で効率的に水分をろ過することが可能となる。具体的には、ガイドブラケット202のガイド22に対する取付位置が下寄りに調整されて、汚泥濃縮機301が汚泥貯留槽2の下寄りに配置されて固定されている。また、汚泥濃縮機301は、汚泥貯留槽2の底部に設けられた座部23に当接するように配置されている。
【0076】
また、汚泥濃縮機301により排出されるろ液は、配管31を介してタンク3に送られるように構成されている。また、配管31は、弁34aおよび弁34bにより接続が切り替えられる。具体的には、ろ過運転中(通常運転中)には、弁34aが開放されるとともに、弁34bが閉塞される。これにより、ろ液は、タンク3に排出される。また、汚泥濃縮機301を洗浄する場合は、弁34aが閉塞されるとともに、弁34bが開放される。そして、エア源302から送られる空気が弁34bを介して汚泥濃縮機301に逆流するように送られる。
【0077】
また、第3実施形態では、エア源302は、洗浄手段として固定プレート12および可動プレート13の外周部に対して、空気による洗浄を行うように構成されている。具体的には、洗浄手段としてのエア源302は、濃縮ろ過溝NS(固定プレート12と可動プレート13との隙間)内に、空気を逆流させることにより、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄し、フロックの目詰まりを解消するように構成されている。なお、エア源302は、本発明の「洗浄手段」の一例である。また、エア源302から空気を逆流させる際に、汚泥濃縮機301および配管31内に残るろ液も空気に押されて逆流する。この逆流するろ液によっても、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部が洗浄される。
【0078】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0079】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
第3実施形態では、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部に対して、空気による洗浄を行うエア源302を設けることによって、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部に付着する固体成分を除去することができるので、目詰まりに起因して汚泥を濃縮する能力が低下するのを抑制することができる。また、空気によりろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄するので、積層ろ体Fの外周部に加圧部材やクリーニング部材を当接して加圧しながら回転することにより積層ろ体Fの外周部に付着した固体成分を除去する場合と異なり、可動プレート13の外周部の摩耗を防止することができる。これらにより、可動プレート13の外周部の摩耗を防止しながら、クリーニング部材等を必要とすることなく、目詰まりに起因する汚泥の濃縮能力の低下を抑制することができる。
【0081】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0082】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0083】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、本発明の汚泥濃縮機を縦方向に立てた状態で配置する縦型濃縮機(バーチカル濃縮機)に適用する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、汚泥濃縮機は、斜めに立てた状態や横に向けた状態で配置されていてもよい。
【0084】
また、上記第1実施形態では、汚泥濃縮機の内部に羽根車(内部ポンプ部)を設け、上記第2実施形態では、汚泥濃縮機の外部に外部ポンプを設けて、ろ過したろ液を逆流させる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、内部ポンプ部および外部ポンプのいずれも設けずに、モータによりスクリューのみを逆回転させることにより、ろ液を逆流させる構成でもよい。この場合、モータおよびスクリューが洗浄手段として機能する。
【0085】
また、上記第1実施形態では、内部ポンプ部として羽根車を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、羽根車以外の内部ポンプ部を汚泥濃縮機に設けてもよい。
【0086】
また、上記第1実施形態では、羽根車(内部ポンプ部)をスクリューと共通の回転軸に設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、内部ポンプ部をスクリューの回転軸とは別個に設けられた回転軸に設けてもよい。
【0087】
また、上記第1実施形態では、汚泥貯留槽の下寄りに汚泥濃縮機を設け、上記第2および第3実施形態では、汚泥貯留槽の上寄りに汚泥濃縮機を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、槽の上下方向の中央付近に汚泥濃縮機を設けてもよい。たとえば、槽内の固体成分が、比重が水より大きいものと、小さいものとが混在する汚泥を濃縮する際に、槽の上下方向の中央付近の固体成分の濃度が最も低い場合に、槽の上下方向の中央付近に汚泥濃縮機を設けてもよい。
【0088】
また、上記第2実施形態では、モータ、スクリューおよび外部ポンプにより、ろ液を逆流させて、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部の洗浄を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、モータおよびスクリューを逆回転させずに、外部ポンプのみにより、ろ液を逆流させて、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部の洗浄を行ってもよい。
【0089】
また、上記第3実施形態では、汚泥濃縮機の内部から空気を逆流させて、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部の洗浄を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、図7に示す第3実施形態の変形例のように、汚泥濃縮機401の外部にスパイラル噴射管402を設けて、積層ろ体Fの外側から空気を噴射させて、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄してもよい。具体的には、この変形例によるスパイラル噴射管402は、汚泥濃縮機401の外部にらせん状に設けられている。また、スパイラル噴射管402は、内側(汚泥濃縮機401側)に複数の噴射口402aが設けられている。また、スパイラル噴射管402は、エア源(図示せず)に接続されている。そして、スパイラル噴射管402は、エア源から供給される空気を噴射口402aから噴射して、汚泥濃縮機401の外周部を洗浄するように構成されている。また、スパイラル噴射管402は、上下方向に移動可能に構成されていてもよいし、回動するように構成されていてもよい。これにより、空気を汚泥濃縮機401の外周部に万遍なく噴射することが可能となる。なお、汚泥濃縮機401は、本発明の「汚泥濃縮機本体」の一例であり、スパイラル噴射管402は、本発明の「洗浄手段」の一例である。
【0090】
また、上記第1〜第3実施形態では、汚泥濃縮機によりろ過されたろ液をタンクに貯める構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、タンクを設けずにろ液を直接次の処理に送ってもよい。この場合、汚泥濃縮機を洗浄する水を外部から引いてもよい。つまり、ろ過したろ液以外の水を用いて固定プレートおよび可動プレートの外周部を洗浄してもよい。
【0091】
また、上記第1〜第3実施形態では、生物反応槽として曝気槽を用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、生物反応槽において、曝気(エアレーション)せずに生物処理を行ってもよい。
【0092】
また、上記第1〜第3実施形態では、被処理水を生物反応槽、最終沈殿池、汚泥貯留槽および脱水機により処理する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、被処理水をその他の処理(たとえば、化学的処理(薬品処理、オゾン処理など)等)によりさらに水処理してもよい。
【0093】
また、上記第1実施形態では、汚泥濃縮機の内部に羽根車(内部ポンプ部)を設け、上記第2実施形態では、汚泥濃縮機の外部に外部ポンプを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、汚泥濃縮機の内部に内部ポンプ部を設けるとともに、汚泥濃縮機の外部に外部ポンプを設けてもよい。
【0094】
また、上記第1〜第3実施形態では、隣接する固定プレート間にスペーサを設けて固定プレート間にろ過溝を形成する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スペーサを設けずに固定プレート間にろ過溝を形成してもよい。たとえば、固定プレートに凸部を設けて、隣接する固定プレート間の位置を位置決めしてもよい。
【0095】
また、上記第2および第3実施形態では、気泡発生部により発生させた気泡によりろ過溝を含む積層ろ体の外周部近傍が洗浄される構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、汚泥濃縮機を斜めに立てた状態や横に向けた状態で配置して、気泡発生部により発生した気泡をろ過溝内に侵入させて、積層ろ体の外周部に加えて、ろ過溝内も洗浄されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1、201、301、401 汚泥濃縮機(汚泥濃縮機本体)
11 回転軸
11a スクリュー(洗浄手段)
12 固定プレート
13 可動プレート
14 羽根車(洗浄手段、内部ポンプ部)
15 モータ(洗浄手段)
17 フロート(上下位置調整機構)
21 気泡発生部(洗浄手段)
22 ガイド(上下位置調整機構)
32 外部ポンプ(洗浄手段)
100、200、300 汚泥濃縮システム
202 ガイドブラケット(上下位置調整機構)
302 エア源(洗浄手段)
402 スパイラル噴射管(洗浄手段)
F 積層ろ体
NS 濃縮ろ過溝
S ろ過溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7