【実施例1】
【0011】
本実施例におけるPSA式の気体分離装置の全体構成を
図1に示す。
図1において、気体分離装置1は、空気を供給する空気供給ユニット2と、製品ガスを生成するPSAユニット3で構成される。本実施例では、一例として、空気供給ユニット2とPSAユニット3は別筐体に分かれて格納されているとして説明するが、上記二つのユニットが同じ筐体内に格納されていてもよい。
【0012】
この空気供給ユニット2は、空気を圧縮する圧縮機4と、圧縮機4を駆動する電動モータ9と、容量制御を行うためのインバータ回路10と、圧縮空気を貯留させる空気槽5と、圧縮空気を除湿するエアードライヤー6と、析出したドレン水を回収しながら不純物を除去するドレンフィルタ7を有している。本実施例では、一例として、これら圧縮機4と、空気槽5と、エアードライヤー6とドレンフィルタ7とは筐体に格納されている。一方、PSAユニット3は、空気供給ユニット2から供給される圧縮空気から所定の気体を分離することにより、製品ガスを生成する吸着槽19A、19Bと、製品ガス(窒素)を貯留する窒素槽(製品ガス貯留タンク)41を有している。
【0013】
空気槽5で貯留された圧縮空気は後述の吸着槽19A、19Bに供給され、空気槽5で貯留された圧縮空気から所定の気体が分離される。本実施例では、吸着槽19A、19Bで酸素を吸着することにより、窒素を分離する場合について説明するが、窒素を吸着することにより酸素を分離してもよいし、大気以外の圧縮空気から他の気体を分離するものであってもよい。
【0014】
圧縮機4として、往複動式、スクリュー式あるいはスクロール式等の圧縮機や、外部から1次圧を供給され再圧縮するブースタ圧縮機等が用いられている。空気槽5には、空気槽5からの圧縮空気を流す配管16が接続されており、この配管16の端末位置には2系統に分岐した配管17A、17Bが接続されている。配管17A、17Bには、それぞれ流路を開閉する供給弁18A、18Bが途中に設けられており、酸素分子を吸着して窒素ガスを製品ガスとして取り出すための吸着槽19A,19Bがそれぞれ接続されている。この吸着槽は容積一定である。また、配管17A、17Bには、それぞれ供給弁18A、18Bと吸着槽19A,19Bとの間位置に配管21A、21Bが接続されており、これら配管21A、21Bには、途中に流路を開閉する排気弁22A、22Bが、端末に消音用のフィルタ付きの排気サイレンサ23が設けられている。この排気サイレンサは各吸着槽19A、19B毎に設けられていてもよい。また、配管17A、17Bには、互いの配管21A、21Bと吸着槽19A、19Bとの間位置を結ぶように配管25A、25Bが接続されており、この配管25A、25Bには流路を開閉する下均圧弁26A、26Bが設けられている。
【0015】
吸着槽19A,19Bには、例えば、酸素分子を吸着する吸着手段である吸着剤が充填されている。吸着剤は、具体的には分子ふるいカーボンやゼオライト等を用いている。吸着槽19A、19Bには、互いに合流する配管31A、31Bがそれぞれ接続されている。これら配管31A、31Bには、互いの吸着槽19A、19B側同士を結ぶように配管32A、32Bが接続されており、この配管32A、32Bには絞り33が設けられている。また、配管31A、31Bには、互いの配管32A、32Bよりも吸着槽19A、19Bとは反対側同士を結ぶように配管35A、35Bが接続されておりこの配管35A、35Bには流路を開閉する上均圧弁36A、36Bが設けられている。また、配管31A、31Bには、それぞれの配管35A、35Bよりも吸着槽19A、19Bとは反対側に流路を開閉する取り出し弁38A、38Bがそれぞれ設けられている。配管31A、31Bの合流位置には配管40が接続されており、この配管40には窒素ガスを貯留させる製品ガス貯留タンクとしての窒素槽41が接続されている。この窒素槽41には、吐出口42が設けられた配管43が接続されており、この配管43の途中位置には窒素槽41側から順に、塵埃等を除去するとともにガスの圧力を調整するフィルタレギュレータ44、流路を開閉する吐出弁45、製品ガスの流量を調整する流量調整弁46、製品ガスの流量をセンシングする流量センサ61が設けられている。配管43のフィルタレギュレータ44と吐出弁45との間位置には配管48および配管49が接続されており、配管48には、配管43側から順に、流路を開閉する開閉弁50と、ガスの流量を調整する流量調整弁51と、サイレンサ52とが設けられている。配管49には、配管43側から順に、流路を開閉する開閉弁54と、ガスの流量を調整する流量調整弁55と、酸素濃度を検出する酸素センサ56とが設けられている。
【0016】
酸素センサ56および流量センサ61は制御部60に通信可能に接続されており、検出信号を制御部60に出力する。制御部60は検出信号を受けて、吸着槽19A、19Bにおける窒素ガスの生成を制御する。具体的には、供給弁18A、18B、排気弁22A、22B、下均圧弁26A、26B、上均圧弁36A、36B、取り出し弁38A、38B、吐出弁45、開閉弁50および54は、制御部60に通信可能に接続されており、制御部60からの指令で作動する。
【0017】
以上、気体分離装置1の構成を説明したが、以下、気体分離装置において行われる気体分離方法について説明する。
【0018】
気体分離装置1では、圧縮機4によって空気を圧縮する圧縮工程、圧縮工程により圧縮された空気を空気槽5に貯留する貯蔵工程、圧縮空気をエアードライヤー6により除湿する除湿工程、除湿工程により除湿された空気から気体を分離する分離工程が行われる。
【0019】
気体分離装置1の分離工程では、以下の(a)〜(d)の工程が順次繰り返される。
(a)吸着・還流工程:圧縮機4により圧縮され空気槽5に貯留された圧縮空気を、供給弁18を開くことで、吸着剤が充填された吸着槽19に供給するとともに、窒素槽41内に残存する窒素ガスを、取り出し弁38を開くことで吸着槽19に還流して吸着槽19内を昇圧させ、圧力を利用して吸着剤に酸素分子を吸着させる工程。
(b)取り出し工程:吸着工程から引き続いて、空気槽5から圧縮空気を吸着槽19に供給し続けると同時に、吸着剤により分離生成された窒素ガスを吸着槽19より取り出して窒素槽41に貯留させる工程。
(c)均圧工程:上均圧弁36および下均圧弁26の開閉により取り出し工程終了後の一対の吸着槽19の均圧化を図り、次回の吸着工程の吸着効率を高めて、より高純度の窒素ガスを生成するための工程。
(d)再生工程:均圧工程終了後の吸着槽19内を、排気弁22を開くことにより配管21を介して、吸着剤に吸着された酸素分子を脱着することにより吸着剤を再生する工程。なお、この再生工程において、排気弁22以外の吸着槽19に関連する供給弁18、下均圧弁26、上均圧弁36および取り出し弁38は、閉状態とする。
【0020】
吸着槽19Aで吸着工程・取り出し工程(工程(a)(b))が行われている間に吸着槽19Bでは、再生工程(工程(d))が行われる。その後、(c)均圧工程が同時に行われ、吸着槽19A、19Bを入れ替えて吸着工程・取り出し工程(工程(a)(b))と再生工程(工程(d))が行われる。上記の吸着工程(a)、取り出し工程(b)、均圧工程(c)の時間を併せてサイクルタイムとする。
【0021】
本実施例における制御フローを
図2を用いて説明する。
図2において、気体分離装置1の運転を開始した場合、標準のサイクルタイムT0にて運転を開始する(S1)。このとき空気槽5の圧力をセンシングし制御部60に信号を送る。制御部60からインバータ回路10に指令を送ることで電動モータ9の回転数を制御し、圧縮機4を運転させる。このとき、空気槽5の圧力が規定の圧力P0に達すると減速運転を開始する。空気槽5の圧力が最高圧力Pmax0に達すると圧縮機4を停止させ、空気槽5の圧力が復帰圧力Pmin0にまで低下した場合圧縮機の運転を再開させる(S2)。
【0022】
このとき、気体分離装置吐出口に設けている流量検出手段61にて製品ガスの使用量Qをセンシングし、製品ガスの使用量Qがあらかじめ制御部60に設定しておいた閾値Q1よりも少ないかどうかを判断する(S3)。そして、少ない場合、サイクルタイムを標準サイクルタイムT0から省エネサイクルタイムT1に変更するよう制御部60から信号を送る(S4)。このときT0とT1の関係はT0<T1とする。このサイクルタイム変更の信号と同時に、圧縮機が減速運転を開始する圧力を、P0からP1に、圧縮機4を停止させる最高圧力Pmax0をPmax1に、圧縮機の運転を再開させる復帰圧力Pmin0をPmin1に変更するよう制御部60から信号を送る(S5)。このとき、それぞれの圧力の関係はP0>P1、Pmax0>Pmax1、Pmin0>Pmin1とする。標準サイクルタイムT0運転中に製品ガス使用量QがQ1以上である場合は、そのまま標準サイクルタイムT0運転を継続する。また、制御圧力もP0、Pmax0、Pmin0にて運転を行う。
【0023】
省エネサイクルタイムT1運転中に製品ガス使用量Qがあらかじめ制御部60に設定しておいた、閾値Q1よりも小さい閾値Q2よりも少ないかどうかを判断する(S6)。そして、少ない場合、サイクルタイムを省エネサイクルタイムT1から省エネサイクルタイムT2に変更するよう制御部60から信号を送る(S7)。このときT1とT2の関係はT1<T2とする。このサイクルタイム変更の信号と同時に、圧縮機4が減速運転を開始する圧力を、P1からP2に、圧縮機4を停止させる最高圧力Pmax1をPmax2に、圧縮機の運転を再開させる復帰圧力Pmin1をPmin2に変更するよう制御部60から信号を送る(S8)。このとき、それぞれの圧力の関係はP1>P2、Pmax1>Pmax2、Pmin1>Pmin2とする。
【0024】
省エネサイクルタイムT1運転中に製品ガス使用量QがQ2以上Q1未満である場合は(Q1>Q≧Q2)、そのまま省エネサイクルタイムT1運転を継続し、製品ガス使用量QがQ1以上になったかどうかを判断し(S9)、その場合は、標準サイクルタイムT0、制御圧力P0、Pmax0、Pmin0にて運転するよう制御部60より信号を送る。
【0025】
省エネサイクルタイムT2運転中に製品ガス使用量QがQ2より少ない場合はそのまま省エネサイクルタイムT2運転を継続し(S10)、製品ガス使用量QがQ2以上になった場合は、標準サイクルタイムT0、制御圧力P0、Pmax0、Pmin0にて運転するよう制御部60より信号を送る。なお、製品ガス使用量QがQ2以上になった場合、さらにQがQ1以上になったかどうかを判断して、Q1以上の場合に標準サイクルタイムT0、制御圧力P0、Pmax0、Pmin0にて運転するようにしても良い。その場合は、
図2の制御フローとは異なるが、S10からS9のステップに移行しても良い。
【0026】
なお、本実施例では、変更するサイクルタイムおよび制御圧力を3段階に分けているが、更に段階を設けてもよい。また、サイクルタイムを変更する閾値を製品ガス発生量Qにより定義しているが、製品ガス濃度により定義してもよいし、製品ガス発生量Qおよび製品ガス濃度の両方により定義してもよい。
【0027】
図3は、本実施例における各サイクルタイムと空気槽の制御圧力の関係を示す図である。
図3において、上段の図は通常サイクルタイムT0における空気槽の制御圧力の変化を示している。
図3の通常サイクルタイムT0の最初は均圧工程であり、圧縮機を停止させ、空気槽の圧力が復帰圧力Pmin0にまで低下した場合、圧縮機の運転を再開させ吸着工程に移行する。圧縮機の運転は電動モータの回転数を最高速で制御し空気槽の圧力が減速運転開始圧力P0に達すると減速運転を開始する。そして空気槽の圧力が最高圧力Pmax0に達するかサイクルタイムT0に達すると圧縮機を停止させ1サイクルが終了する。
【0028】
図3の中段の図は省エネサイクルタイムT1における空気槽の制御圧力の変化を示している。省エネサイクルタイムT1の最初の均圧工程では、圧縮機を停止させ、空気槽の圧力が復帰圧力Pmin1にまで低下した場合、圧縮機の運転を再開させ吸着工程に移行する。圧縮機の運転は電動モータの回転数を最高速で制御し空気槽の圧力が減速運転開始圧力P1に達すると減速運転を開始する。そして空気槽の圧力が最高圧力Pmax1に達すると圧縮機を停止させサイクルタイムT1で1サイクルが終了する。
【0029】
さらに、
図3の下段の図は省エネサイクルタイムT2における空気槽の制御圧力の変化を示している。省エネサイクルタイムT2の最初の均圧工程では、圧縮機を停止させ、空気槽の圧力が復帰圧力Pmin2にまで低下した場合、圧縮機の運転を再開させ吸着工程に移行する。圧縮機の運転は電動モータの回転数を最高速で制御し空気槽の圧力が減速運転開始圧力P2に達すると減速運転を開始する。そして空気槽の圧力が最高圧力Pmax2に達すると圧縮機を停止させサイクルタイムT2で1サイクルが終了する。
【0030】
以上のように、本実施例は、気体分離装置として、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された圧縮空気を貯留する空気槽と、空気槽に貯留された圧縮空気のうち一部の気体を吸着する吸着槽と、吸着槽で吸着されなかった製品ガスを貯留する製品ガス貯留タンクと、圧縮機と前記吸着槽の動作を制御する制御部とを備え、制御部は、製品ガスの使用量が減少した場合、圧縮機が減速運転を開始する空気槽の圧力と圧縮機が停止する空気槽の圧力を使用量が減少する前よりも低くするように構成する。
【0031】
また、制御部は、圧縮機が停止し、空気槽の圧力が所定の圧力以下に低下すると圧縮機の運転を開始するように構成し、製品ガスの使用量が減少した場合、さらに圧縮機の運転を開始する空気槽の圧力を使用量が減少する前よりも低くするように構成する。
【0032】
また、製品ガスの使用量が減少した場合、さらに吸脱着の1サイクルの時間であるサイクルタイムを使用量が減少する前よりも長くするように構成する。
【0033】
これにより、圧縮機の無駄な運転を抑えることができ、省エネ効果を得ることができ、さらに制御圧力を低下させることで圧縮機にかかる負荷を低減し、圧縮機の長寿命化を図ることができる。
【実施例2】
【0034】
本実施例について
図4の制御フロー図を用いて説明する。なお、基本的な装置の構成、動作は実施例1で説明した気体分離装置1と同様のため省略する。
【0035】
本実施例においては、省エネサイクルタイム運転中の製品ガス濃度Nを、酸素センサ56によりセンシングし、その製品ガス濃度Nとあらかじめ制御部60に設定している製品ガス濃度閾値N1の関係により制御圧力を変化させる制御を行う。すなわち、製品ガス濃度は、制御圧力が高いほど高くなるので、製品ガス濃度により制御圧力を制御することで更なる省エネ効果を得ることができる。
【0036】
図4において、S1からS4までは実施例1と同様なので説明を省略する。省エネサイクルタイムT1運転に移行した際に、S11にて製品ガス濃度NがN1より高いかどうかを判定する。そして製品ガス濃度NがN1より高い場合は、圧縮機が減速運転を開始する圧力をPaとし、圧縮機4を停止させる最高圧力をPmaxa、圧縮機の運転を再開させる復帰圧力をPminaとする(S12)。製品ガス濃度NがN1よりも低い場合は圧縮機が減速運転を開始する圧力をPbとし、圧縮機4を停止させる最高圧力をPmaxb、圧縮機の運転を再開させる復帰圧力をPminbとする(S13)。このとき、それぞれの圧力の関係はP0>Pb>Pa、Pmax0>Pmaxb>Pmaxa、Pmin0>Pminb>Pminaとする。そして、省エネサイクルタイムT2運転移行までのS6,S7の処理を、実施例1と同様に行う。
【0037】
そして、省エネサイクルタイムT2運転に移行した際に、製品ガス濃度NがN2より高いかどうかを判定する(S14)。製品ガス濃度NがN2より高い場合は、圧縮機が減速運転を開始する圧力をPc、とし、圧縮機4を停止させる最高圧力をPmaxc、圧縮機の運転を再開させる復帰圧力をPmincとする(S15)。製品ガス濃度NがN2よりも低い場合は圧縮機が減速運転を開始する圧力をPdとし、圧縮機4を停止させる最高圧力をPmaxd、圧縮機の運転を再開させる復帰圧力をPmindとする(S16)。このとき、それぞれの圧力の関係はP0>Pb>Pa>Pd>Pc、Pmax0>Pmaxb>Pmaxa>Pmaxd>Pmaxc、Pmin0>Pminb>Pmina>Pmind>Pmincとする。
【0038】
その後、省エネサイクルタイムT2運転中の製品ガス使用量QがQ2より少ないかどうかの判断(S10)、及び、その後の処理を実施例1と同様に行う。なお、実施例1と同様に、製品ガス使用量QがQ2以上になった場合、さらにQがQ1以上になったかどうかを判断して、Q1以上の場合に標準サイクルタイムT0、制御圧力P0、Pmax0、Pmin0にて運転するようにしても良い。その場合は、
図4の制御フローとは異なるが、S10からS9のステップに移行しても良い。
【0039】
以上のように、本実施例は、気体分離装置として、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された圧縮空気を貯留する空気槽と、空気槽に貯留された圧縮空気のうち一部の気体を吸着する吸着槽と、吸着槽で吸着されなかった製品ガスを貯留する製品ガス貯留タンクと、製品ガスの濃度を測定するガスセンサと、圧縮機と吸着槽の動作を制御する制御部とを備え、制御部は、製品ガスの使用量が減少した場合、圧縮機が減速運転を開始する空気槽の圧力を使用量が減少する前よりも低い値に設定し、該低い値は、ガスセンサにより検出した製品ガスの濃度が所定値よりも大きい場合、小さい場合に比べてより低く設定するように構成する。
【0040】
また、制御部は、圧縮機が停止し、空気槽の圧力が所定の圧力以下に低下すると圧縮機の運転を開始し、製品ガスの使用量が減少した場合、さらに圧縮機が停止する空気槽の圧力と圧縮機の運転を開始する空気槽の圧力を使用量が減少する前よりも低い値に設定し、該低い値は、ガスセンサにより検出した製品ガスの濃度が所定値よりも大きい場合、小さい場合に比べてより低く設定するように構成する。
【0041】
また、製品ガスの使用量が減少した場合、さらに吸脱着の1サイクルの時間であるサイクルタイムを使用量が減少する前よりも長くするように構成する。
【0042】
これにより、製品ガス濃度が製品の仕様値よりも十分に高く裕度がある場合、制御圧力をさらに低くすることが可能であり、圧縮機にかかる負荷をより低減することができ更なる省エネ効果を得ることができる。
【実施例3】
【0043】
本実施例について
図5の制御フロー図を用いて説明する。なお、装置の構成、動作は実施例1で説明した気体分離装置1と同様のため省略する。
【0044】
気体分離装置にて精製する製品ガス濃度は、周囲温度の影響を受けやすく周囲温度が高い場合製品ガス濃度が悪化する。また、吸着槽19A,19Bに充填されている吸着剤は高い圧力で吸着させるほど製品ガスの精製効率は良い。よって、一定制御圧力Pが低い状態で周囲温度が高くなると、製品ガスの濃度が仕様値を下回ってしまう可能性がある。
【0045】
よって、本実施例においては、気体分離装置内に配置された温度センサ62から吸着槽の周囲温度Dを制御部60が受け取り、装置が省エネサイクルタイムT1または省エネサイクルタイムT2運転中に周囲温度Dがあらかじめ制御部60に設定している閾値D1を超えた場合、サイクルタイムを通常サイクルタイムT0に変更するよう制御部60から信号を送り、圧縮機が減速運転を開始する圧力をP0、圧縮機4を停止させる最高圧力をPmax0、圧縮機の運転を再開させる復帰圧力をPmin0に変更するよう制御部60から信号を送る。
【0046】
図5において、S1からS3までは実施例1と同様なので説明は省略する。S3において、製品ガスの使用量Qが閾値Q1よりも少ない場合、周囲温度Dがあらかじめ制御部60に設定している閾値D1より低いか判断する(S17)。そして、D1を超えた場合は、温度が高いので、サイクルタイムを標準サイクルタイムT0に戻す。周囲温度DがD1以下であれば、実施例1と同様に省エネサイクルタイムT1に変更する。S6において、製品ガスの使用量Qが閾値Q2よりも少ない場合、周囲温度Dがあらかじめ制御部60に設定している閾値D1より低いか判断する(S18)。そして、D1を超えた場合は、温度が高いので、サイクルタイムを標準サイクルタイムT0に戻す。周囲温度DがD1以下であれば、実施例1と同様に省エネサイクルタイムT2に変更する。以降、実施例と同様の処理を行う。
【0047】
以上のように、本実施例は、気体分離装置として、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された圧縮空気を貯留する空気槽と、空気槽に貯留された圧縮空気のうち一部の気体を吸着する吸着槽と、吸着槽で吸着されなかった製品ガスを貯留する製品ガス貯留タンクと、吸着槽の周囲温度を測定する温度センサと、圧縮機と吸着槽の動作を制御する制御部とを備え、制御部は、製品ガスの使用量が減少した場合、圧縮機が減速運転を開始する空気槽の圧力を、温度センサによる周囲温度が所定値よりも低い場合は使用量が減少する前よりも低くし、高い場合は使用量が減少する前の値に戻すように構成する。
【0048】
また、制御部は、圧縮機が停止し、空気槽の圧力が所定の圧力以下に低下すると圧縮機の運転を開始し、製品ガスの使用量が減少した場合、さらに圧縮機が停止する空気槽の圧力と圧縮機の運転を開始する空気槽の圧力を、周囲温度が所定値よりも低い場合は使用量が減少する前よりも低くし、高い場合は使用量が減少する前の値に戻すように構成する。
【0049】
また、製品ガスの使用量が減少した場合、さらに吸脱着の1サイクルの時間であるサイクルタイムを使用量が減少する前よりも長くするように構成する。
【0050】
これにより、本実施例によれば、省エネ効果と圧縮機の長寿命化を図りつつ、周囲温度による影響を軽減し製品ガスの信頼性を高めることができる。