(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記診断手段は、前記第1の信号線対に電圧が供給されていない状態における前記漏れ電流検出回路の検出値を基準値に設定するとともに、前記第3の切替部によって前記第1の信号線対に電圧が供給された状態において、前記漏れ電流検出回路の検出値と前記基準値との差に基づいて前記主避雷器の劣化診断する、請求項2に記載の中継器。
前記診断手段によって前記主避雷器の劣化と診断された場合には、前記第3の切替部によって前記第1の信号線対への電圧供給が停止され、かつ、前記第2の切替部によって前記主避雷器が前記漏れ電流検出回路から切り離された後に、前記第1の切替部によって前記信号処理部と前記変換器との間に前記第2の信号線対が接続された状態が維持される、請求項3に記載の中継器。
前記診断手段によって前記主避雷器が正常と診断された場合には、前記第3の切替部によって前記第1の信号線対への電圧供給が停止され、かつ、前記第2の切替部によって前記主避雷器が前記漏れ電流検出回路から切り離された後に、前記第1の切替部によって前記信号処理部と前記変換器との間に前記第1の信号線対が接続される、請求項3に記載の中継器。
前記診断手段によって前記主避雷器の劣化と診断された場合には、前記信号処理部から前記変換器への送信信号に、診断結果を示す信号を重畳させることによって、前記主避雷器の劣化を前記変換器に報知するための報知手段をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の中継器。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
[レベル計の全体構成]
図1は、この発明の実施の形態によるレベル計の代表例として示される液位計の全体構成を示すブロック図である。液位計100は、検出部10を液体中に浸漬させて使用する投げ込み式の液位計である。以下の説明では、液位計100の使用例として、タンクに設置され、当該タンクに貯留される液体の液位を検出する場合について説明する。
【0020】
図1を参照して、液位計100は、検出部10と、中継器20と、変換器50と、ケーブル30と、信号線対40とを備える。
【0021】
検出部10は、ケーブル30の一方端に接続されており、タンク内の液体に浸漬可能に構成される。具体的には、タンクには、液体の流れや攪拌機等から検出部10を守るための保護管200が設けられている。保護管200には、タンク内の液体と同じレベルまで保護管200の内部に液体が侵入するように、周壁に複数の孔が深さ方向に並べて設けられている。
【0022】
検出部10は、保護管200を通じてタンクの底部に設置される。検出部10は、液体の液位を検出し、その検出値をケーブル30の他方端に接続された中継器20に伝達する。
【0023】
中継器20は、検出部10と変換器50との間を中継する。中継器20と変換器50とは、2本1組の信号線で構成される信号線対40によって通信可能に接続されている。中継器20は、検出部10の検出値に基づいて液体の液位を測定すると、測定値を信号線対40を経由して変換器50へ送信する。変換器50は、中継器20から送信される測定値に基づいて液体の液位を監視する。変換器50は、液位を知らせるための液位出力以外に、検出部10での検出異常を知らせるための警報出力を発生する。変換器50はさらに、後述する中継器20内部に設けられた避雷保護回路の劣化診断が行なわれたときに、診断結果に応じて避雷保護回路の劣化を知らせるための故障出力を発生する。
【0024】
図2は、
図1における検出部10および中継器20の詳細な構成を示す回路ブロック図である。
【0025】
図2を参照して、検出部10は、感圧素子14と、増幅部16と、電圧−電流変換部(V/I)18とを含む。検出部10は、感圧素子14と、増幅部16と、電圧−電流変換部18とを収容するための円筒状のケース11をさらに含む。
【0026】
ケース11の内部は封止されており、感圧素子14はケース11内部に加えられる圧力を検出する。具体的には、ケース11には、ケース11の内部と外部とを連通させるための孔12が設けられている。この孔12が圧力導入口となってケース11内部に圧力が加えられる。感圧素子14は、例えばピエゾ抵抗式の半導体圧力センサからなり、感圧部としてのダイヤフラムを備えてなるものである。感圧素子14の感圧部としてのダイヤフラムは、その感圧面が受圧室に面するように配置されている。
【0027】
感圧素子14の出力電圧は増幅部16において予め設定された増幅率で増幅されて電圧−電流変換部18へ出力される。電圧−電流変換部18は、感圧素子14の出力電圧を電流信号に変換する。ケーブル30は、電圧−電流変換部18から出力される電流信号を中継器20へ伝達する。
【0028】
中継器20は、電流−電圧変換部(I/V)21と、増幅部22と、信号処理部23と、電圧−電流変換部24と、操作部26と、表示部27と、電源28とを含む。中継器20は、避雷保護回路25と、漏れ電流検出回路29とをさらに含む。
【0029】
電源28は、中継器20の内部の各部に電源を供給する。表示部27は、ユーザに対してさまざまな情報を通知するための部位である。中継器20によって検出された液体の液位は表示部27に表示される。操作部26は、図示しない複数の操作用スイッチを含む。操作用スイッチを用いて液位計100における各種設定を行なうことができる。
【0030】
電流−電圧変換部21は、検出部10から取得した電流信号を電圧信号に変換する。増幅部22は、電圧信号を予め設定された増幅率で増幅して信号処理部23に出力する。
【0031】
信号処理部23は、増幅部22から受ける電圧信号に基づいて検出部10で検出された圧力の検出値を取得すると、その圧力検出値に基づいて液体の液圧を検出する。そして、信号処理部23は、検出された液圧と液体の密度とに基づいて、容器内の液位を算出する。信号処理部23は、算出された液位を表示部27に表示させる。信号処理部23の機能は、たとえばマイクロコンピュータによって実現される。
【0032】
信号処理部23はさらに、算出された液位を電圧−電流変換部24に出力する。電圧−電流変換部24は、信号処理部23から受ける液位を電圧信号から電流信号に変換する。変換された電流信号は、信号線対40を経由して変換器50に伝達される。
【0033】
信号線対40は、正電位用の信号線40Pと、負電位用の信号線40Nとから構成される。信号線40Pは変換器50の正側の端子に接続され、信号線40Nは変換器50の負側の端子に接続される。信号線対40には、避雷保護回路25が設置されている。避雷保護回路25は、中継器20を雷などの過渡的な異常電圧(サージ)から保護するための装置である。
【0034】
避雷保護回路25は、避雷素子を含む。避雷素子は、たとえば酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体(バリスタ)から構成される。避雷素子は、サージが印加されていない状態において流れる電流(漏れ電流)が小さいことが求められる。しかしながら、高電圧のサージが繰り返し印加されることによって避雷素子が徐々に劣化すると、非直線的な電流−電圧特性が変化するため、漏れ電流が増加してしまう。したがって、避雷素子の劣化を早期に検出する必要がある。
【0035】
本実施の形態において、中継器20は、避雷保護回路25の劣化診断を定期的に実行する。具体的には、漏れ電流検出回路29は、避雷素子を流れる漏れ電流を検出し、その検出値を信号処理部23へ出力する。信号処理部23は、漏れ電流検出回路29から受ける検出値に基づいて、避雷素子の劣化を診断する。そして、避雷素子が劣化していると診断されたときには、中継器20は、避雷保護回路25の劣化をユーザに報知するため、変換器50へ警報の出力を指示する。
【0036】
[避雷保護回路の構成]
次に、
図3から
図5を参照して、
図2に示した避雷保護回路25の詳細な構成について説明する。
図3から
図5は、避雷保護回路25の構成例を示す回路図である。
【0037】
図3を参照して、避雷保護回路25は、主避雷器250と、副避雷器252と、信号線対42,44,46,48,50と、複数のリレーRY1〜RY4と、ダイオードD1とを含む。
【0038】
図2に示した信号線対40のうち、正電位用の信号線40Pは、信号線PL1,PL2,PL3をこの順に接続することにより実現される。負電位用の信号線40Nは、信号線NL1,NL2,NL3をこの順に接続することにより実現される。信号線PL1,NL1の一方端は図示しない電圧−電流変換部24に接続される。信号線PL3,NL3の一方端は変換器50に接続される。信号線PL1上には、電圧−電流変換部24から変換器50への電流の流れを阻止するためのダイオードD1が設けられている。
【0039】
信号線PL1,NL1と信号線PL2,NL2との間にはリレーRY4が接続されている。リレーRY4は、信号線PL1,NL1と信号線PL2,NL2との接続/遮断を切り替え可能に構成されている。リレーRY4はさらに、信号線PL1,NL1と信号線PL2,NL2とが遮断された状態において、信号線PL2,NL2を信号線対48に接続することが可能に構成されている。信号線対48は、一方端が信号線PL1に接続された信号線PL6と、一方端が漏れ電流検出回路29に接続された信号線NL6とから構成される。信号線PL1と信号線PL6との接続ノードはダイオードD1のカソード側に設けられる。信号処理部23からの制御信号CS4に応じてリレーRY4がI側に制御されることにより、信号線PL1,NL1と信号線PL2,NL2とが接続される。一方、制御信号CS4に応じてリレーRY4がII側に制御されることにより、信号線PL6,NL6と信号線PL2,NL2とが接続される。
【0040】
信号線PL2,NL2と信号線PL3,NL3との間にはリレーRY2が設けられている。リレーRY2は、信号線PL2,NL2と信号線PL3,NL3との接続/遮断を切り替え可能に構成されている。リレーRY2はさらに、信号線PL2,NL2と信号線PL3,NL3とが遮断された状態において、信号線PL3,NL3を信号線対46に接続することが可能に構成されている。信号線対46は、一方端が信号線PL4に接続された信号線PL5と、一方端が信号線NL4に接続された信号線NL5とから構成される。信号処理部23からの制御信号CS2に応じてリレーRY2がI側に制御されることにより、信号線PL2,NL2と信号線PL3,NL3とが接続される。一方、制御信号CS2に応じてリレーRY2がII側に制御されることにより、信号線PL5,NL5と信号線PL2,NL2とが接続される。
【0041】
図3に示されるように、リレーRY4が制御信号CS4に応じてI側に制御されるとともに、リレーRY2が制御信号CS2に応じてI側に制御されている場合には、信号線PL1,PL2,PL3が接続されることにより、信号線40Pが形成される。また、信号線NL1,NL2,NL3が接続されることにより、信号線40Nが形成される。この結果、
図3中において実線矢印で示されるように、電圧−電流変換部24と変換器50との間に電流が流れる経路が形成される。
【0042】
信号線対42は、一方端が信号線PL1に接続された信号線PL4と、一方端が信号線NL1に接続された信号線NL4とから構成される。信号線対44は、一方端が信号線PL3に接続された信号線PL8と、一方端が信号線NL3に接続された信号線NL8とから構成される。信号線PL4,NL4と信号線PL8,NL8との間にはリレーRY1が接続されている。リレーRY1は、信号線PL4,NL4と信号線PL8,NL8との接続/遮断を切り替え可能に構成されている。信号処理部23からの制御信号CS1に応じてリレーRY1がI側に制御されることにより、信号線PL4,NL4と信号線PL8,NL8とが遮断される。一方、制御信号CS1に応じてリレーRY1がII側に制御されることにより、信号線PL4,NL4と信号線PL8,NL8とが接続される。
【0043】
リレーRY1が制御信号CS1に応じてII側に制御されている場合には、信号線PL1,PL4,PL8,PL3が接続されるとともに、信号線NL1,NL4,NL8,NL3が接続される。すなわち、信号線対42と信号線対44とが連結される。これにより、電圧−電流変換部24と変換器50との間には、信号線対40に対して並列に接続された信号線対が形成される。
【0044】
また、リレーRY2が制御信号CS2に応じてII側に制御されている場合には、信号線PL1,PL4,PL5,PL3が接続されるとともに、信号線NL1,NL4,NL5,NL3が接続される。すなわち、信号線対42と信号線対46とが直結される。この場合においても、電圧−電流変換部24と変換器50との間には、信号線対40に対して並列に接続された信号線対が形成される。これにより、
図4中において実線矢印で示されるように、電圧−電流変換部24と変換器50との間に電流が流れる経路が形成される。
【0045】
図3および
図4に示される構成から明らかなように、リレーRYIをI側に制御した状態においては、リレーRY2の制御に応じて、電圧−電流変換部24と変換器50との間には、並列に接続された2つの信号線対が選択的に接続される。以下の説明では、それぞれの信号線対を区別するために、信号線対40を「主信号線対」とも記し、信号線対42,46からなる信号線対を「副信号線対」とも表記する。
【0046】
ただし、避雷保護回路25内部でリレーRY2をI側からII側に切り替える過渡期においては、電圧−電流変換部24と変換器50との間の電流経路に瞬断が生じてしまう。そこで、リレーRY2をI側からII側に切り替える過渡期には、最初にリレーRY1をII側に制御して電圧−電流変換部24と変換器50との間に電流経路を形成し、この状態でリレーRY2をI側からII側に切り替える。そして、副信号線対が形成された後に、リレーRY1をI側に戻す。このようにして、リレーRY1を一時的にII側に制御した状態でリレーRY2をI側からII側に切り替えることにより、主信号線対と副信号線対との切り替えを無瞬断で行なうことができる。
【0047】
信号線対40(主信号線対)において、信号線PL2,NL2には主避雷器250が接続される。主避雷器250は、避雷素子SPD1,SPD2,SPD3と、抵抗素子R1,R2とを含む。避雷素子SPD1,SPD2,SPD3は、たとえばバリスタから構成される。避雷素子SPD1は、信号線PL2と信号線NL2との間に接続される。避雷素子SPD2は、リレーRY3を介して信号線PL2と接地線GNDとの間に接続される。避雷素子PD3は、リレーRY3を介して信号線NL2と接地線GNDとの間に接続される。抵抗素子R1は、信号線PL2に介挿接続される。抵抗素子R2は、信号線NL2に介挿接続される。
【0048】
リレーRY3は、避雷素子SPD2と接地線GNDとの接続/遮断を切り替え可能に構成されている。リレーRY3はまた、避雷素子SPD3と信号線NL2および接地線GNDとの接続/遮断を切り替え可能に構成されている。リレーRY3はさらに、避雷素子SPD2が接地線GNDから遮断された状態において、避雷素子SPD2を信号線PL2と信号線NL2との間に接続することが可能に構成されている。リレーRY3はまた、避雷素子SPD3が信号線NL2および接地線GNDから遮断された状態において、避雷素子SPD3を信号線PL2と信号線NL2との間に接続することが可能に構成されている。
【0049】
信号処理部23からの制御信号CS3に応じてリレーRY3がI側に制御されることにより、信号線PL2と接地線GNDとの間に避雷素子SPD2が接続されるとともに、信号線NL2と接地線GNDとの間に避雷素子SPD3が接続される。これにより、中継器20をサージから保護するための主避雷器250が実現される。
【0050】
これに対して、制御信号CS3に応じてリレーRY3がII側に制御された場合には、
図5に示されるように、信号線PL2と信号線NL2との間に、避雷素子SPD1,SPD2,SPD3が並列に接続された状態が形成される。この状態で、リレーRY4をII側に制御することにより、避雷素子SPD1,SPD2,SPD3の各々を漏れ電流検出回路29に接続させることができる。
【0051】
信号線対42(副信号線対の一部)には、副避雷器252が接続される。副避雷器252は、避雷素子SPD4,SPD5,SPD6と、抵抗素子R3,R4とを含む。副避雷器252は、リレーRY3を有していない点を除いて主避雷器250と回路構成が同じである。すなわち、避雷素子SPD4は信号線PL4と信号線NL4との間に接続され、避雷素子SPD5は信号線PL4と接地線GNDとの間に接続され、避雷素子SPD6は信号線NL4と接地線GNDとの間に接続される。また、抵抗素子R3は信号線PL4に介挿接続され、抵抗素子R4は信号線NL4に介挿接続される。これにより、
図4および
図5に示されるように、電圧−電流変換部24と変換器50との間に副信号線対が接続されている場合においても、副避雷器252によって中継器20をサージから保護することが可能となる。
【0052】
以上のように、本実施の形態に係る中継器20において、避雷保護回路25は、主避雷器250と副避雷器252との二重系を構築する。主避雷器250と副避雷器252とのいずれを使用するかは、主にリレーRY2の制御によって電圧−電流変換部24と変換器50との間に主信号線対(信号線対40)および副信号線対(信号線対42,46)を切り替えて接続することにより、選択することができる。なお、上記のように、主信号線対と副信号線対との切り替え時にはリレーRY1を一時的にII側に制御することにより、主信号線対と副信号線対との切り替えを無瞬断で行なうことができる。
【0053】
このような構成とすることにより、後述する主避雷器250の劣化診断によって主避雷器250の劣化と診断された場合には、主避雷器250に代えて副避雷器252を使用することができる。主避雷器250を劣化した状態で継続使用した場合には、避雷保護回路25の保護機能の低下や、液位計100の測定精度の低下を招く可能性がある。また、サージの発生によって内部回路の故障を誘引する虞もある。本実施の形態によれば、主避雷器250の劣化と診断された後は、主避雷器250の使用を停止するため、このような不具合の発生を未然に防止することができる。また、主避雷器250が新品に交換されるまでは副避雷器252を使用することによって、避雷保護回路25の保護機能および液位計100の測定精度が損なわれず、液位計100を安定して使用することができる。
【0054】
なお、本実施の形態において、主信号線対(信号線対40)は「第1の信号線対」に対応し、副信号線対(信号線対42,46)は「第2の信号線対」に対応する。また、リレーRY1,RY2は、信号処理部23と変換器50との間に、第1の信号線対(主信号線対)と第2の信号線対(副信号線対)とを切り替えて接続するための「第1の切替部」に対応する。リレーRY3は、第1の切替部(RY1,RY2)によって信号処理部23および変換器50の間に第2の信号線対が接続された状態において、主避雷器250を漏れ電流検出回路29に接続するための「第2の切替部」に対応する。リレーRY4は、第2の切替部(RY3)によって主避雷器250が漏れ電流検出回路29に接続された状態において、第1の信号線対に電圧を供給するための「第3の切替部」に対応する。
【0055】
[主避雷器の劣化診断]
次に、本実施に形態に係る主避雷器250の劣化診断について説明する。
図5を参照して、主避雷器250の劣化診断は、リレーRY2,RY3,RY4の各々をII側に制御することにより実行される。すなわち、電圧−電流変換部24と変換器50との間には副信号線対(信号線対42,46)が接続される。そして、信号線PL2および信号線NL2の間には避雷素子SPD1,SPD2,SPD3が並列に接続される。さらに信号線PL2が信号線PL6を介して信号線PL1に接続されるととに、信号線NL2が信号線NL6を介して漏れ電流検出回路29に接続される。
【0056】
これにより、
図5中において実線矢印で示されるように、電圧−電流変換部24と変換器50との間に電流が流れる経路が形成される。さらに、
図5中において点線矢印で示されるように、信号線PL2に供給される電圧を受けて、避雷素子SPD1,SPD2,SPD3に漏れ電流が流れる経路が形成される。避雷素子SPD1,SPD2,SPD3の漏れ電流は漏れ電流検出回路29に入力される。
【0057】
なお、主避雷器250の劣化診断を行なうときを除いて、漏れ電流検出回路29は主避雷器250から電気的に切り離されている。このため、漏れ電流検出回路29にサージが侵入するのを回避することができる。
【0058】
図6は、漏れ電流検出回路29の構成例を示す回路図である。
図6を参照して、漏れ電流検出回路29は、オペアンプOPと、抵抗R5〜R10とを含む。
【0059】
抵抗R5は、信号線NL6と接地線GNDとの間に接続される。抵抗R5の一方端は、抵抗R6を介してオペアンプOPの非反転入力端子(+)に接続される。抵抗R5の他方端は、抵抗R7を介してオペアンプOPの反転入力端子(−)に接続される。抵抗R8は、オペアンプOPの反転入力端子と接地線GNDとの間に接続される。抵抗R9は、オペアンプOPの非反転入力端子と出力端子との間に接続される。すなわち、オペアンプOPおよび抵抗R6〜R9は差動増幅回路を構成する。抵抗R10は、オペアンプOPの出力端子と信号線NL1との間に接続される。
【0060】
このような構成とすることにより、主避雷器250から受ける漏れ電流は抵抗R5によって電圧に変換されてオペアンプOPの反転入力端子に入力される。オペアンプOPの非反転入力端子には接地電圧が入力される。差動増幅回路は、入力端子間の電圧差、すなわち漏れ電流と抵抗R5の抵抗値との積に値する電圧を、抵抗R6と抵抗R9との抵抗値の比で決まる増幅率で増幅して出力端子に出力する。差動増幅回路の出力電圧は信号処理部23に伝達される。
【0061】
信号処理部23は、漏れ電流検出回路29の検出値に基づいて主避雷器250の避雷素子SPD1,SPD2,SPD3が劣化しているか否かを診断する。具体的には、信号処理部23は、避雷素子SPD1,SPD2,SPD3に漏れ電流が流れる経路が形成されていないとき、すなわち、リレーRY3およびRY4がI側に制御されているときの漏れ電流検出回路29の出力電圧を基準値に設定する。そして、信号処理部23は、リレーRY3およびRY4がII側に制御されて避雷素子SPD1,SPD2,SPD3に漏れ電流が流れる経路が形成されているときの漏れ電流検出回路29の検出値を受けると、当該検出値と基準値とを比較し、比較結果に基づいて避雷素子SPD1,SPD2,SPD3が劣化しているか否かを診断する。
【0062】
このように、信号処理部23は、リレーRY3およびRY4の切り替え前後での漏れ電流検出回路29の検出値の差に基づいて避雷素子の劣化を診断する。漏れ電流検出回路29においては、構成部品の特性ばらつきや環境温度の変化に起因して検出誤差が生じる場合がある。そのため、避雷素子の劣化度合いが小さいために漏れ電流が微小電流であるときには、検出誤差の影響を受けて正確な劣化診断が困難となる。本実施の形態では、上記のように、基準値と検出値との差をとることによって検出誤差が相殺される。これにより、避雷素子の劣化診断を正確に行なうことができるとともに、避雷素子の劣化を早期に診断することが可能となる。
【0063】
図7は、本実施の形態に係る中継器20により実行される主避雷器250の劣化診断を説明するためのタイミングチャートである。
【0064】
本実施の形態において、主避雷器250の劣化診断は、たとえば所定の時間間隔で定期的に実行される。なお、主避雷器250の劣化診断は、操作部26(
図2)または変換器50から劣化診断の実行を指示する実行指令を受けたときに実行されてもよい。
【0065】
図7を参照して、時刻t1以降、液位計100は通常運転しているものとする。通常運転時には、リレーRY1〜RY4は、信号処理部23からの制御信号CS1〜CS4に応じてI側に制御されている。これにより、
図3に示されるように、電圧−電流変換部24と変換器50との間には主信号線対(信号線40)が接続されるため、実線矢印で示される電流の経路が形成される。したがって、主避雷器250が使用状態とされる一方で、副避雷器252が非使用状態とされる。
【0066】
通常運転時において主避雷器250の劣化診断の開始条件が成立すると(時刻t2)、最初に、信号処理部23からの制御信号CS1を受けてリレーRY1がII側に制御される。これにより、信号線対42と信号線対44とが直結されるため、電圧−電流変換部24と変換器50との間には、信号線対40に対して並列に接続された信号線対が形成される。
【0067】
続いて、信号処理部23からの制御信号CS2を受けてリレーRY2がII側に制御される(時刻t3)。これにより、
図4に示されるように、電圧−電流変換部24と変換器50との間には副信号線対(信号線42,46)が接続される。この状態でリレーRY1をII側からI側に切り替えることにより(時刻t4)、
図4中に実線矢印で示される電流の経路が形成される。すなわち、時刻t2から時刻t4までの間に主信号線対から副信号線対への切り替えが行なわれる。リレーRY1を一時的にII側に制御した状態でリレーRY2をI側からII側に切り替えることにより、主信号線対と副信号線対との切り替えを無瞬断で行なうことができる。
【0068】
上記の信号線対の切り替えにより、時刻t4以降は、副避雷器252が使用状態とされる一方で、主避雷器250が非使用状態とされる。この状態で主避雷器250の劣化診断が実行される。具体的には、信号処理部23からの制御信号CS3,CS4を受けてリレーRY3,RY4がそれぞれII側に制御される。これにより、
図5に示されるように、信号線PL2および信号線NL2の間には避雷素子SPD1,SPD2,SPD3が並列に接続される。さらに信号線PL2が信号線PL6を介して信号線PL1に接続されるととに、信号線NL2が信号線NL6を介して漏れ電流検出回路29に接続される。この結果、
図5中において点線矢印で示されるように、信号線PL2に供給される電圧を受けて、避雷素子SPD1,SPD2,SPD3に漏れ電流が流れる経路が形成される。
【0069】
漏れ電流検出回路29は避雷素子SPD1,SPD2,SPD3の漏れ電流を検出し、その検出値を信号処理部23に出力する。信号処理部23は、漏れ電流検出回路29の検出値に基づいて主避雷器250の避雷素子SPD1,SPD2,SPD3が劣化しているか否かを診断する(時刻t5)。上記のように、信号処理部23は、リレーRY3およびRY4の切り替え前後での漏れ電流検出回路29の検出値の差に基づいて避雷素子の劣化を診断する。
【0070】
主避雷器250の正常と診断された場合、信号処理部23は、リレーRY3,RY4をII側からI側に切り替えることにより、主避雷器250と漏れ電流検出回路29とを電気的に遮断する(時刻t6)。信号処理部23はさらに、リレーRY1をII側からI側に切り替えると、続いて、リレーRY2をII側からI側に切り替える(時刻t7)。リレーRY2をI側に切り替えた後、信号処理部23はリレーRY1を再びI側に戻す(時刻t8)。このようにして、時刻t6から時刻t8までの間に副信号線対から主信号線対への切り替えが行なわれる。この結果、電圧−電流変換部24と変換器50との間には主信号線対が接続され、液位計100は通常運転時の状態に戻る。よって、主避雷器250が使用状態とされる一方で、副避雷器252が非使用状態とされる。
【0071】
これに対して、主避雷器250の劣化と診断された場合には、信号処理部23は、リレーRY3,RY4をII側からI側に切り替えることによって主避雷器250と漏れ電流検出回路29とを電気的に遮断した後(時刻t6)、リレーRY1をI側に制御された状態に維持するとともに、リレーRY2をII側に制御された状態に維持する。これにより、電圧−電流変換部24と変換器50との間に副信号線対が接続された状態が維持される。したがって、劣化診断後においても引き続き、副避雷器252が使用状態とされる一方で、主避雷器250が非使用状態とされる。
【0072】
すなわち、主避雷器250の劣化と診断された後は、副避雷器252を使用して液位計100の通常運転が行なわれる。主避雷器250が新品に交換されるまでは副避雷器252を使用することによって、避雷保護回路25の保護機能および液位計100の測定精度が損なわれず、液位計100を安定して使用することができる。
【0073】
なお、主避雷器250の劣化と診断された場合には、信号処理部23は、主避雷器250の劣化をユーザに報知するため、変換器50へ警報の出力を指示する。液位計100の通常運転時、信号処理部23は、検出部10の検出値に基づいて算出された液位を、電流信号に変換して変換器50に送信する。信号処理部23は、この変換器50への送信信号を用いて主避雷器250の劣化を報知する。これにより、中継器20と変換器50との間に警報出力のための専用の配線を設けることが不要となるため、液位計100を簡素かつ低廉な構成で実現することができる。
【0074】
図8は、中継器20から変換器50へ送信される信号の波形例を示す図である。
図8において、液位を示す電流信号を実線で示している。
【0075】
図7に示されるタイミングチャートにおいて、主避雷器250の劣化と診断された場合(時刻t5)、信号処理部23は、
図8中に破線で示されるように、変換器50へ送信する電流信号に、診断結果を示す信号を重畳させる。この信号はアナログ信号であってもデジタル信号であってもよい。変換器50は、電流信号に重畳された信号を検出することにより、主避雷器250の劣化を知らせる警報を出力する。
【0076】
以上説明したように、本発明の実施の形態による中継器によれば、避雷保護回路を、主避雷器と副避雷器との二重系によって構成することにより、主避雷器の劣化と診断された場合には、主避雷器に代えて副避雷器を使用することができる。これにより、主避雷器を劣化した状態で継続使用することによって生じるレベル計の性能低下(避雷保護機能および測定精度の低下など)を防止することができる。この結果、レベル計を安定して使用することが可能となり、レベル計の信頼性を向上させることができる。
【0077】
また、本発明の実施の形態による中継器によれば、主避雷器の劣化診断を行なうときのみ漏れ電流検出回路を主避雷器に電気的に接続する。これにより、サージが主避雷器を通じて漏れ電流検出回路に侵入するのを回避することができる。
【0078】
漏れ電流検出回路へのサージの侵入を防止するためには、漏れ電流検出回路と避雷器とを直接電気的に接続することなく、電気磁気的な結合によって避雷器の漏れ電流を検出する構成を採用することも可能である。しかしながら、この構成では部品特性のばらつきや環境温度の変化に起因した検出誤差があるため、微小な漏れ電流の検出が難しいという課題がある。
【0079】
これに対して、本実施の形態は、漏れ電流検出時のみ主避雷器と漏れ電流検出回路とを電気的に接続する。そして、主避雷器に漏れ電流の経路が形成されていない状態における漏れ電流検出回路の検出値を基準値に設定するとともに、主避雷器に漏れ電流の経路が形成された状態における漏れ電流検出回路の検出値と、当該基準値との差に基づいて主避雷器の劣化を診断する。このような構成とすることにより、漏れ電流検出回路が検出誤差を有している場合であっても、検出値と基準値との差をとることによって当該検出誤差を相殺できるので、微小な漏れ電流を検出することができる。この結果、主避雷器の劣化診断を正確に行なうことができるとともに、主避雷器の劣化を早期に診断することが可能となる。
【0080】
本実施の形態では、レベル計の一例として、投げ込み式の液位計の構成について説明したが、本発明の適用はこのようなレベル計に限定されるものではない。具体的には、検出部と変換器とを中継するための中継器を備えており、かつ中継器に避雷保護回路が搭載されていれば、本発明を適用することが可能である点について確認的に記載する。
【0081】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。