(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.第1実施形態
[A1.車両10の構成]
(A1−1.車両10の全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電磁ダンパ12(以下「ダンパ12」ともいう。)を搭載した車両10の一部を簡略的に示す概略構成図である。
図2は、第1実施形態に係る電磁ダンパ12の一部を簡略的に示す回路図である。第1実施形態のダンパ12は、車両10のサスペンション装置の一部を構成する。車両10は、ダンパ12に加え、車速センサ14及びバッテリ16を備える。なお、ダンパ12は、前輪(左前輪、右前輪)及び後輪(左後輪及び右後輪)の両方に設ける。或いは、ダンパ12は、前輪のみ又は後輪のみに設けてもよい(他の実施形態についても同様である。)。
【0019】
車速センサ14は、車両10の車速V[km/h]を検出してダンパ12(後述する電子制御装置26)に通知する。バッテリ16は、例えば、鉛蓄電池であるが、その他の電源又は蓄電装置(例えば、リチウムイオン電池、ジェネレータ、燃料電池又はキャパシタ)とすることも可能である。
【0020】
(A1−2.ダンパ12)
(A1−2−1.ダンパ12の概要)
図1に示すように、ダンパ12は、ダンパ本体20と、インバータ22と、短絡/開放切替回路24(以下「切替回路24」ともいう。)と、電子制御装置26(以下「ECU26」という。)とを有する。
【0021】
(A1−2−2.ダンパ本体20)
(A1−2−2−1.ダンパ本体20の概要)
図1に示すように、ダンパ本体20は、連結部30、インナチューブ32及びナット34を、車輪36(
図3)側の部材として備える。また、ダンパ本体20は、アウタチューブ40、ねじ軸42、ベアリング44及びモータ46を、車体48側の部材として備える。
【0022】
連結部30は、サスペンション装置のナックル(図示せず)に固定されることで、車輪36に連結される。車輪36側から連結部30に対して振動が入力され、連結部30に
図1中、例えば上向きに推力Fwが加わると、アウタチューブ40に対してインナチューブ32及びナット34が上昇し、ねじ軸42が回転する。この際、モータ46からねじ軸42に対して反力を発生させることにより、車輪36側から車体48側への振動を減衰することが可能となる。
【0023】
モータ46は、ECU26からの指令に応じて、ねじ軸42に動力(反力)を伝達する。
【0024】
ダンパ本体20の構成としては、既存のもの(例えば、特許文献1参照)を用いることが可能である。
【0025】
(A1−2−2−2.モータ46)
モータ46は、3相交流ブラシレス式であり、
図2に示すように、3つのコイル50u、50v、50w(以下「モータコイル50u、50v、50w」ともいう。)を備える。モータ46は、バッテリ16から供給される電力に基づいてねじ軸42に対する動力(反力)を生成する。また、モータ46は、車輪36側からねじ軸42に入力された力に基づき発電(回生)を行うことで生成した電力をバッテリ16に出力してもよい。
【0026】
(A1−2−3.インバータ22)
インバータ22は、3相フルブリッジ型の構成とされて、直流/交流変換を行い、直流を3相の交流に変換してモータ46に供給する。インバータ22は、回生動作に伴う交流/直流変換後の直流をバッテリ16に供給してもよい。
【0027】
(A1−2−4.短絡/開放切替回路24)
切替回路24は、インバータ22を介してバッテリ16からの電力が供給されていない状態において、モータ46を含む閉回路52(
図2)をECU26からの指令に基づいて選択的に形成する。
図2に示すように、切替回路24は、ECU26からの指令に基づいてオンオフするスイッチ60a、60b、60cと、抵抗が固定値である抵抗器62a、62b、62c(固定抵抗器)を備える。スイッチ60aは、コイル50u、50vに対応する電力線64u、64vを短絡させるために用いられる。スイッチ60bは、コイル50v、50wに対応する電力線64v、64wを短絡させるために用いられる。スイッチ60cは、コイル50u、50wに対応する電力線64u、64wを短絡させるために用いられる。
【0028】
(A1−2−5.ECU26)
図1に示すように、ECU26は、入出力部70、演算部72及び記憶部74を有する。入出力部70は、インバータ22、切替回路24等との信号の入出力を行う。
【0029】
演算部72は、ダンパ12の各部を制御するものであり、制御管理部80、反力制御部82及び短絡制御部84を備える。制御管理部80、反力制御部82及び短絡制御部84は、記憶部74に記憶された制御プログラムを起動することにより実現される。
【0030】
制御管理部80は、ECU26が実行する制御全体を管理する。反力制御部82は、後述するモータ反力制御を実行する。短絡制御部84は、切替回路24における短絡及び開放を制御する。
【0031】
記憶部74は、演算部72で用いる制御プログラム等の各種のプログラムやデータを記憶する。
【0032】
[A2.第1実施形態における制御]
(A2−1.前提)
図3は、車両10の停止時における積載重量の変化で車高又は車体姿勢が変化する様子を示す図である。
図3の車両10では、積載物300が存在するため、車体48が全体的に沈んでいる(矢印302は、車体48が沈み込む様子を示している。)。車両10が停止中である場合、人の乗り降り、荷物の積み下ろし等による積載重量の変化に対して車高や車体48の姿勢が変化する。このため、振動抑制の観点からすれば、電磁ダンパ12による振動減衰力Fd(以下「減衰力Fd」ともいう。)を発生させることが好ましい。
【0033】
一方、停止時にもバッテリ16(電源)からモータ46への電力供給を継続すると、バッテリ16の残容量の減少速度が早まる。このため、電力消費の観点からすれば、停止時にはバッテリ16(電源)からモータ46への電力供給を停止することが好ましい。
【0034】
そこで、第1実施形態では、車両10の停止時には、コイル50u、50v、50wを短絡させることにより、振動減衰力Fdを発生させつつ、省電力化を図る。
【0035】
(A2−2.具体的な処理)
図4は、第1実施形態における電磁ダンパ12の制御を示すフローチャートである。
図4のステップS1〜S3、S11は、ECU26の制御管理部80が実行する。ステップS9は、ECU26の反力制御部82が実行する。ステップS4〜S8、S10は、短絡制御部84が実行する。
【0036】
図4のステップS1において、ECU26は、バッテリ16からモータ46への電力供給が可能であるか否かを判定する。当該判定は、例えば、バッテリ16の残容量(SOC)が所定のSOC閾値以上であるか否かにより判定する。或いは、バッテリ16とインバータ22の間のコンタクタ(図示せず)が開きっぱなしの状態となる開故障が発生しているか否かにより判定してもよい。
【0037】
モータ46への電力供給が可能である場合(S1:YES)、ステップS2において、ECU26は、車速センサ14から車速Vを取得する。
【0038】
続くステップS3において、ECU26は、車両10が停止状態であるか否かを判定する。具体的には、ECU26は、車速Vが第1車速閾値THv1(以下「閾値THv1」ともいう。)以下であるか否かを判定する。閾値THv1は、車両10が停止状態であるか否かを判定するための閾値であり、例えば、ゼロ又はその近傍値とすることができる。
【0039】
車両10が停止状態である場合(S3:YES)、ステップS4において、ECU26は、バッテリ16からモータ46への電力供給を停止する。具体的には、ECU26は、インバータ22の図示しない各スイッチング素子に対して駆動信号を出力しない。これにより、バッテリ16からモータ46に対して電流が流れない。
【0040】
ステップS5において、ECU26は、モータコイル50u、50v、50wを短絡させる。具体的には、ECU26は、切替回路24の各スイッチ60a〜60cに対してオン信号Sonを出力する。これにより、各スイッチ60a〜60cは、いずれも閉となり、コイル50u、50v、50w、電力線64u、64v、64w及びスイッチ60a〜60c等により閉回路52が形成される。なお、ステップS5の処理は、全てのダンパ12に行う。或いは、前輪又は後輪のダンパ12のみに行うことも可能である。
【0041】
ステップS6において、ECU26は、車速センサ14から車速Vを取得する。ステップS7において、ECU26は、車両10が発進したか否かを判定する。具体的には、ECU26は、車速Vが第2車速閾値THv2(以下「閾値THv2」ともいう。)を超えたか否かを判定する。閾値THv2は、車両10が発進したか否かを判定するための閾値であり、例えば、閾値THv1よりも大きく且つゼロの近傍である値とすることができる。車両10が発進せず、停止状態のままである場合(S7:NO)、ステップS6に戻る。車両10が発進した場合(S7:YES)、ステップS8に進む。
【0042】
ステップS8において、ECU26は、コイル50u、50v、50wの短絡を終了する。具体的には、ECU26は、スイッチ60a〜60cに対するオン信号Sonの出力を停止する。これにより、各スイッチ60a〜60cは開となり、閉回路52が消滅する。
【0043】
ステップS3に戻り、車両10が停止状態でない場合(S3:NO)、ステップS9において、ECU26は、モータ反力制御を実行する。例えば、ECU26は、図示しない横加速度センサが検出した横加速度[m/s/s]又は図示しないヨーレートセンサが検出したヨーレート[rad/s]に応じてモータ46の出力(又はモータ46への目標電流)を制御する。或いは、電磁ダンパ12のストローク速度Vd[mm/s]に応じてモータ46の出力を制御することもできる。或いは、ECU26は、ねじ軸42の回転速度[deg/s]が所定の閾値(回転速度閾値)以下となるようにモータ46をフィードバック制御してもよい。
【0044】
ステップS1に戻り、バッテリ16からモータ46への電力供給ができない場合(S1:NO)、ステップS10において、ECU26は、ステップS5と同様にコイル50u、50v、50wを短絡させる。続くステップS11において、ECU26は、異常症状に応じた故障コードを記憶部74に記憶する。ステップS11の後は、車両10が修理工場に持ち込まれ、故障コードがリセットされる等の所定の処理が行われるまで、
図4の処理は再開されない。
【0045】
[A3.第1実施形態における効果]
以上のような第1実施形態によれば、バッテリ16(電源)からモータ46へのエネルギが遮断された状態のとき、モータ46のコイル50u、50v、50wを短絡させる(
図4のS5)。この場合、モータ46の出力軸にトルク(入力トルク)が付加されると、モータ46は、発電機として機能し、入力トルクとは反対方向のトルク(又は逆起電力)を発生させる。従って、バッテリ16からのエネルギを用いなくとも、モータ46により振動減衰力Fdを発生させることが可能となる。
【0046】
第1実施形態のように、停車時(
図4のS3:YES)にバッテリ16からモータ46へのエネルギ供給を中止する場合(S4)、停車中の人の乗り降り又は荷物の積み下ろし等による積載荷重の変化に対する車高又は車体48の姿勢の変化を抑制することが可能となる。
【0047】
また、何らかの異常によりバッテリ16からモータ46へのエネルギが遮断されたこと(
図4のS1:NO)を契機としてコイル50u、50v、50wを短絡する場合(S10)、バッテリ16からモータ46へのエネルギ供給が困難であっても、振動減衰力Fdを発生することができる。このため、異常発生時の乗り心地又は操縦安定性も確保することが可能となる。
【0048】
B.第2実施形態
[B1.車両10Aの構成(第1実施形態との比較)]
第2実施形態のハードウェアの構成は、第1実施形態と同様である。以下では、同一の構成要素には、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。第2実施形態では、ECU26が実行する制御が、第1実施形態と異なる。
【0049】
[B2.第2実施形態における制御]
(B2−1.前提)
図5は、第2実施形態における車両10Aの発進時又は加速時において車体48のノーズ92が持ち上がる様子を示す図である。
図5の車両10Aでは、発進又は加速に伴ってノーズ92が上側に変位している(矢印310は、車両10Aが発進する様子を示し、矢印312は、ノーズ92が持ち上がる様子を示している。)。このように、車両10Aが発進又は加速中である場合、ノーズ92が持ち上がり、その後、ノーズ92が下降する。このため、振動抑制の観点からすれば、電磁ダンパ12による振動減衰力Fdを発生させることが好ましい。
【0050】
一方、発進時又は加速時にもバッテリ16(電源)からモータ46への電力供給を継続すると、バッテリ16のSOCの減少速度が早まる。このため、電力消費の観点からすれば、発進時又は加速時にはバッテリ16(電源)からモータ46への電力供給を停止することが好ましい。
【0051】
そこで、第2実施形態では、車両10Aの発進時又は加速時には、コイル50u、50v、50wを短絡させることにより、振動減衰力Fdを発生させつつ、省電力化を図る。
【0052】
(B2−2.具体的な処理)
図6は、第2実施形態における電磁ダンパ12の制御を示すフローチャートである。
図6のステップS21〜S27、S29〜S32は、
図4のステップS1〜S7、S8〜S11と同じである。このため、
図4と比較して、
図6は、ステップS28を含む点で
図4と相違する。また、
図6の各ステップS21〜S32のうちステップS21〜S23、S32は、ECU26の制御管理部80が実行する。ステップS30は、ECU26の反力制御部82が実行する。ステップS24〜S29、S31は、短絡制御部84が実行する。
【0053】
図6のステップS27において車両10Aが発進すると(S27:YES)、ステップS28において、ECU26は、発進から所定時間Tx(以下「時間Tx」ともいう。)が経過したか否かを判定する。時間Txは、例えば、発進時の加速に伴ってノーズ92の変位が大きくなる時間として設定され、例えば、2〜8秒間に設定される。車両10Aの平均加速度(車速Vの時間微分値の平均値)が大きくなるほど時間Txを長くしてもよい。
【0054】
所定時間Txが経過していない場合(S28:NO)、ECU26は、ステップS28を繰り返す。所定時間Txが経過した場合(S28:YES)、ステップS29において、ECU26は、コイル50u、50v、50wの短絡を終了する。
【0055】
[B3.第2実施形態における効果]
以上のような第2実施形態によれば、切替回路24(電気回路)は、車両10Aの発進時(
図6のS27:YES→S28:NO)にコイル50u、50v、50wを短絡させる(短絡状態を継続する。)。発進時には車両10Aのノーズ92が持ち上がることが通常である(
図5)。第2実施形態によれば、発進時にコイル50u、50v、50wを短絡させるため、バッテリ16からのエネルギを消費することなしに、ノーズ92の変位に対して振動減衰力Fdを発生することが可能となる。
【0056】
C.第3実施形態
[C1.車両10Bの構成(第1・第2実施形態との比較)]
第3実施形態のハードウェアの構成は、第1・第2実施形態と同様である。以下では、同一の構成要素には、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。第3実施形態では、ECU26が実行する制御が、第1・第2実施形態と異なる。
【0057】
[C2.第3実施形態における制御]
(C2−1.前提)
図7は、本発明の第3実施形態に係る電磁ダンパ12を搭載した車両10Bの減速時において車体48のノーズ92が下がる様子を示す図である。
図7の車両10Bでは、減速に伴ってノーズ92が下側に変位している(矢印320は、車両10Bが減速する様子を示し、矢印322は、ノーズ92が下がる様子を示している。)。このように、車両10Bが減速中である場合、ノーズ92が下がり、その後、ノーズ92が持ち上がる。このため、振動抑制の観点からすれば、電磁ダンパ12による振動減衰力Fdを発生させることが好ましい。
【0058】
一方、減速時にもバッテリ16(電源)からモータ46への電力供給を継続すると、バッテリ16のSOCの減少速度が早まる。このため、電力消費の観点からすれば、減速時にはバッテリ16(電源)からモータ46への電力供給を停止することが好ましい。
【0059】
そこで、第3実施形態では、車両10Bの減速時には、コイル50u、50v、50wを短絡させることにより、振動減衰力Fdを発生させつつ、省電力化を図る。
【0060】
(C2−2.具体的な処理)
図8は、第3実施形態における電磁ダンパ12の制御を示すフローチャートである。
図8のステップS41〜S44、S53〜S55は、
図4のステップS1〜S8、S9〜S11と同じである。
図8に示すように、ステップS44では、
図4のステップS4〜S8を実行する。このため、
図4と比較して、
図8は、ステップS45〜S52を含む点で
図4と相違する。
図8のステップS41〜S43、S45、S55は、ECU26の制御管理部80が実行する。ステップS53は、ECU26の反力制御部82が実行する。ステップS44、S46〜S52、S54は、短絡制御部84が実行する。
【0061】
図8のステップS43において車両10Bが停止状態でない場合(S43:NO)、ステップS45において、ECU26は、車両10Bが所定の減速状態であるか否かを判定する。例えば、車両10Bの減速状態(車速Vがゼロ又は所定値よりも小さい状態)が所定の時間閾値THtを超えて継続している状態を前記所定の減速状態とすることが可能である。ここでの時間閾値THtは、例えば、車両10Bの減速度(車速Vの時間微分値)がゼロ又はその近傍値になる可能性が高い値とすることができる。
【0062】
或いは、前記所定の減速状態は、車両10Bの減速度(絶対値)が所定の減速度閾値(絶対値)よりも小さい状態としてもよい。
【0063】
車両10Bが所定の減速状態である場合(S45:YES)、ステップS46に進む。ステップS46〜S48は、
図4のステップS4〜S6と同様である。
【0064】
ステップS49において、ECU26は、車両10Bが停止状態に移行したか否かを判定する。当該判定は、
図4のステップS3と同様である。車両10Bが停止状態に移行していない場合(S49:NO)、ステップS45に戻る。車両10Bが停止状態に移行した場合(S49:YES)、ステップS50に進む。ステップS50〜S52は、
図4のステップS6〜S8と同様である。
【0065】
ステップS45に戻り、車両10Bが所定の減速状態にない場合(S45:NO)、車両10Bは、加速状態等にある。この場合、ステップS53において、ECU26は、
図4のステップS9と同様にモータ反力制御を実行する。
【0066】
[C3.第3実施形態における効果]
以上のような第3実施形態によれば、切替回路24(電気回路)は、車両10Bの減速時(
図8のS45:YES)にコイル50u、50v、50wを短絡させる(S47)。減速時には車両10Bのノーズ92が下がる傾向にある(
図7)。第3実施形態によれば、減速時にコイル50u、50v、50wを短絡させるため、バッテリ16からのエネルギを消費することなしに、ノーズ92の変位に対して振動減衰力Fdを発生することが可能となる。
【0067】
第3実施形態において、ECU26は、車両10Bの減速状態が所定の時間閾値THtを超えて継続した場合(
図8のS45:YES)、コイル50u、50v、50wを短絡させる(S47)。これにより、減速時のうちコイル50u、50v、50wを短絡させることが適切な場面を選択することが可能となる。
【0068】
D.第4実施形態
[D1.車両10Cの構成(第1実施形態との比較)]
図9は、本発明の第4実施形態に係る電磁ダンパ12a(以下「ダンパ12a」ともいう。)を搭載した車両10Cの一部を簡略的に示す概略構成図である。
図10は、第4実施形態に係る電磁ダンパ12aの一部を簡略的に示す回路図である。第4実施形態のダンパ12aは、車両10Cのサスペンション装置の一部を構成する。
【0069】
第4実施形態のハードウェアの構成は、基本的に、第1〜第3実施形態と同様である。以下では、同一の構成要素には、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
車両10Cは、ダンパ12a、車速センサ14及びバッテリ16に加え、車両重量推定装置100(以下「重量推定装置100」ともいう。)を備える。重量推定装置100は、積載物300(
図3)を含む車両10C全体の重量Ww(以下「推定重量Ww」ともいう。)を推定する。重量Wwの推定は、例えば、車両10Cの停止時におけるダンパ12aの変位量に基づいて行うことが可能である。
【0071】
また、第4実施形態の短絡/開放切替回路24aは、固定抵抗器62a〜62c(
図2)の代わりに、可変抵抗器102a〜102cを備える(
図10)。
【0072】
さらに、第4実施形態の電子制御装置26a(以下「ECU26a」という。)の短絡制御部84aは、スイッチ制御部110及び抵抗制御部112を備える。スイッチ制御部110は、スイッチ60a〜60cを制御するものであり、第1〜第3実施形態における短絡制御部84と同様の機能を有する。抵抗制御部112は、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを制御する。
【0073】
[D2.第4実施形態における制御]
(D2−1.概要)
図11は、第4実施形態における電磁ダンパ12aの制御の一部を示すフローチャートである。
図11にも示しているように、第4実施形態のダンパ12aの制御は、第1実施形態のダンパ12の制御(
図4)とほとんど同じであるが、一部が異なる。すなわち、
図11のステップS62〜S64は、
図4のステップS5〜S7と同様である。
図4と比較して、
図11は、ステップS61、S65を含む点で
図4と相違する。また、
図11のステップS61、S65は、ECU26aの抵抗制御部112が実行する。ステップS62〜S64は、スイッチ制御部110が実行する。
【0074】
図4のステップS4においてバッテリ16からモータ46への電力供給を停止した後、
図11のステップS61において、ECU26aは、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを設定する(詳細は、
図12を参照して後述する。)。上記のように、ステップS62〜S64は、
図4のステップS5〜S7と同様である。
【0075】
ステップS64において車両10Cが発進していない場合(S64:NO)、ステップS65において、ECU26は、抵抗Rxを設定(又は再設定)した後、ステップS63に戻る。
【0076】
なお、ECU26aの演算負荷を軽減する観点からすれば、抵抗Rxの設定は、ステップS61のみで行い、ステップS65を省略することも可能である。
【0077】
(D2−2.抵抗Rxの設定)
(D2−2−1.抵抗Rxと振動減衰力Fdとの関係)
図12は、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxに応じた電磁ダンパ12aのストローク速度Vdと振動減衰力Fdとの関係の一例を示す図である。
図12に示すように、同じストローク速度Vdで比較した場合、抵抗Rxが小さいほど振動減衰力Fdが大きくなる。そこで、第4実施形態では、
図12の特性を考慮して、抵抗Rxを変化させる。
【0078】
(D2−2−2.抵抗Rxの設定の具体的処理)
図13は、第4実施形態において可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを設定するフローチャート(
図11のS61、S65の詳細)である。ステップS71において、ECU26aは、車両重量推定装置100から現在の推定重量Wwを取得する。ステップS72において、ECU26aは、推定重量Wwが相対的に大きいか否かを判定する。具体的には、ECU26aは、推定重量Wwが第1重量閾値THww1(以下「閾値THww1」ともいう。)以上であるか否かを判定する。
【0079】
推定重量Wwが相対的に大きい場合(S72:YES)、ステップS73において、ECU26aは、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを相対的に小さい値に設定する。これにより、振動減衰力Fdは相対的に大きくなる(
図12参照)。
【0080】
推定重量Wwが相対的に大きくない場合(S72:NO)、ステップS74において、ECU26aは、推定重量Wwが相対的に中くらいであるか否かを判定する。具体的には、ECU26aは、推定重量Wwが第2重量閾値THww2(以下「閾値THww2」ともいう。)以上であるか否かを判定する。
【0081】
推定重量Wwが相対的に中くらいである場合(S74:YES)、ステップS75において、ECU26は、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを相対的に中くらいの値に設定する。これにより、振動減衰力Fdは相対的に中くらいとなる(
図12参照)。
【0082】
推定重量Wwが相対的に中くらいでない場合(S74:NO)、推定重量Wwは、相対的に小さい。この場合、ステップS76において、ECU26は、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを相対的に大きい値に設定する。これにより、振動減衰力Fdは相対的に小さくなる(
図12参照)。
【0083】
[D3.第4実施形態における効果]
以上のような第4実施形態によれば、電磁ダンパ12aは、コイル50u、50v、50wの短絡によって生じる閉回路52内に可変抵抗器102a〜102cを備える(
図10)。また、ECU26aは、振動減衰力Fdに関連する車両10Cの状態としての停止状態(
図4のS3:YES)に応じて可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを切り替える(
図11のS61、S65)。
【0084】
これにより、コイル50u、50v、50wの短絡時であっても、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを切り替えることで、振動減衰力Fdを変化させることが可能となる(
図12参照)。このため、短絡時において、より好適に振動減衰力Fdを生成することが可能となる。
【0085】
第4実施形態によれば、車両10C全体の推定重量Wwに応じて抵抗Rxを切り替える(
図13)。これにより、短絡時において、推定重量Wwに応じた振動減衰力Fdを生成することが可能となる。
【0086】
E.第5実施形態
[E1.車両10Dの構成(第4実施形態との比較)]
図14は、本発明の第5実施形態に係る電磁ダンパ12b(以下「ダンパ12b」ともいう。)を搭載した車両10Dの一部を簡略的に示す概略構成図である。第5実施形態のダンパ12bは、車両10Dのサスペンション装置の一部を構成する。
【0087】
第5実施形態のハードウェアの構成は、基本的に、第4実施形態(
図9)と同様である。以下では、同一の構成要素には、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0088】
車両10Dは、ダンパ12b、車速センサ14及びバッテリ16に加え、ノーズ変位量センサ120(以下「変位量センサ120」ともいう。)を備える。変位量センサ120は、車体48のノーズ92の上下方向の変位量Hn(以下「ノーズ変位量Hn」ともいう。)[mm]を検出又は推定する。変位量Hnは、基準高さに対する上下方向のずれである。変位量Hnは、車両10Dの前後加速度とある程度の相関関係があることから、前後加速度センサが検出した前後加速度に基づいて算出することが可能である。或いは、ノーズ92の下面に図示しない超音波センサを配置してノーズ92の下面と路面との距離に基づいて変位量Hnを算出してもよい。
【0089】
[E2.第5実施形態における制御]
(E2−1.概要)
図15は、第5実施形態における電磁ダンパ12bの制御の一部を示すフローチャートである。
図15にも示しているように、第5実施形態のダンパ12bの制御は、第2実施形態のダンパ12の制御(
図6)とほとんど同じであるが、ステップS81を含む点で異なる。ステップS81の詳細は、
図16を参照して後述する。
【0090】
また、
図15のステップS81は、電子制御装置26b(以下「ECU26b」という。)の抵抗制御部112aが実行する。ステップS82は、スイッチ制御部110が実行する。
【0091】
(E2−2.抵抗Rxの設定)
図16は、第5実施形態において可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを設定するフローチャート(
図15のS81の詳細)である。ステップS91において、ECU26bは、変位量センサ120から現在のノーズ変位量Hnを取得する。ステップS92において、ECU26bは、変位量Hnが相対的に高いか否かを判定する。具体的には、ECU26bは、変位量Hnが第1変位量閾値THhn1(以下「閾値THhn1」ともいう。)以上であるか否かを判定する。
【0092】
変位量Hnが相対的に大きい場合(S92:YES)、ステップS93において、ECU26bは、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを相対的に小さい値に設定する。これにより、振動減衰力Fdは相対的に大きくなる(
図12参照)。
【0093】
変位量Hnが相対的に大きくない場合(S92:NO)、ステップS94において、ECU26bは、変位量Hnが相対的に中くらいであるか否かを判定する。具体的には、ECU26bは、変位量Hnが第2変位量閾値THhn2(以下「閾値THhn2」ともいう。)以上であるか否かを判定する。
【0094】
変位量Hnが相対的に中くらいである場合(S94:YES)、ステップS95において、ECU26は、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを相対的に中くらいの値に設定する。これにより、振動減衰力Fdは相対的に中くらいとなる(
図12参照)。
【0095】
変位量Hnが相対的に中くらいでない場合(S94:NO)、変位量Hnは、相対的に小さい。この場合、ステップS96において、ECU26は、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを相対的に大きい値に設定する。これにより、振動減衰力Fdは相対的に小さくなる(
図12参照)。
【0096】
[E3.第5実施形態における効果]
以上のような第5実施形態によれば、電磁ダンパ12dは、コイル50u、50v、50wの短絡によって生じる閉回路52内に可変抵抗器102a〜102cを備える(
図10)。また、ECU26bは、振動減衰力Fdに関連する車両10Cの状態としての発進状態(
図6のS27:YES)に応じて可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを切り替える(
図15のS81)。
【0097】
これにより、コイル50u、50v、50wの短絡時であっても、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを切り替えることで、振動減衰力Fdを変化させることが可能となる。このため、短絡時において、より好適に振動減衰力Fdを生成することが可能となる。
【0098】
第5実施形態によれば、ノーズ92の変位量Hnに応じて抵抗Rxを切り替える(
図16)。これにより、短絡時において、変位量Hnに応じた振動減衰力Fdを生成することが可能となる。
【0099】
F.第6実施形態
[F1.車両10Eの構成(第4・第5実施形態との比較)]
図17は、本発明の第6実施形態に係る電磁ダンパ12c(以下「ダンパ12c」ともいう。)を搭載した車両10Eの一部を簡略的に示す概略構成図である。第6実施形態のダンパ12cは、車両10Eのサスペンション装置の一部を構成する。
【0100】
第6実施形態のハードウェアの構成は、基本的に、第4・第5実施形態と同様である。以下では、同一の構成要素には、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0101】
車両10Eは、ダンパ12c、車速センサ14及びバッテリ16に加え、傾斜センサ130を備える。傾斜センサ130は、車両10Eの前後方向(ピッチング方向)の傾斜A[deg]を検出又は推定する。
【0102】
[F2.第6実施形態における制御]
(F2−1.概要)
図18は、第6実施形態における電磁ダンパ12cの制御の一部を示すフローチャートである。
図18にも示しているように、第6実施形態のダンパ12cの制御は、第3実施形態のダンパ12の制御(
図8)とほとんど同じであるが、一部が異なる。また、
図18のステップS103、S105は、電子制御装置26c(以下「ECU26c」という。)の抵抗制御部112bが実行する。ステップS101、S102、S104は、スイッチ制御部110が実行する。
【0103】
図8のステップS45において車両10Eが所定の減速状態である場合(S45:YES)、
図18のステップS101において、ECU26cは、コイル50u、50v、50wが短絡中であるか否かを判定する。短絡中でない場合(S101:NO)、ステップS102において、ECU26cは、バッテリ16からモータ46への電力供給を停止する。
【0104】
続くステップS103において、ECU26cは、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを設定する。ステップS104において、ECU26cは、コイル50u、50v、50wを短絡させた後、
図8のステップS48に進む。
【0105】
ステップS101に戻り、コイル50u、50v、50wが短絡中である場合(S101:YES)、ステップS105において、ECU26cは、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを設定する。
【0106】
(F2−2.抵抗Rxの設定)
図19は、第6実施形態において可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを設定するフローチャート(
図18のS103、S105の詳細)である。ステップS111において、ECU26cは、傾斜センサ130から現在の走行路の傾斜Aを取得する。ステップS112において、ECU26cは、車両10Eが降坂中であるか否かを判定する。具体的には、ECU26cは、傾斜Aが第1傾斜閾値THa1(以下「閾値THa1」ともいう。)以下であるか否かを判定する。
【0107】
車両10Eが降坂中である場合(S112:YES)、ステップS113において、ECU26cは、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを相対的に小さい値に設定する。これにより、振動減衰力Fdは相対的に大きくなる(
図12参照)。
【0108】
車両10Eが降坂中でない場合(S112:NO)、ステップS114において、ECU26cは、車両10Eが平坦路を走行中であるか否かを判定する。具体的には、ECU26cは、傾斜Aが第2傾斜閾値THa2(以下「閾値THa2」ともいう。)以下であるか否かを判定する。
【0109】
車両10Eが平坦路を走行中である場合(S114:YES)、ステップS115において、ECU26cは、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを相対的に中くらいの値に設定する。これにより、振動減衰力Fdは相対的に中くらいとなる(
図12参照)。
【0110】
車両10Eが平坦路を走行中でない場合(S114:NO)、車両10Eは、登坂中であると考えられる。この場合、ステップS116において、ECU26cは、抵抗Rxを相対的に大きい値に設定する。これにより、振動減衰力Fdは相対的に小さくなる(
図12参照)。
【0111】
[F3.第6実施形態における効果]
以上のような第6実施形態によれば、電磁ダンパ12cは、コイル50u、50v、50wの短絡によって生じる閉回路52内に可変抵抗器102a〜102cを備える(
図10)。また、ECU26cは、振動減衰力Fdに関連する車両10Eの状態としての減速状態(
図8のS45:YES)に応じて可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを切り替える(
図18のS103、S105)。
【0112】
これにより、コイル50u、50v、50wの短絡時であっても、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを切り替えることで、振動減衰力Fdを変化させることが可能となる。このため、短絡時において、より好適に振動減衰力Fdを生成することが可能となる。
【0113】
第6実施形態によれば、走行路の傾斜Aに応じて抵抗Rxを切り替える(
図19)。これにより、短絡時において、傾斜Aに応じた振動減衰力Fdを生成することが可能となる。
【0114】
G.変形例
なお、本発明は、上記各実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0115】
[G1.適用対象]
上記実施形態では、電磁ダンパ12、12a〜12cを車両10、10A〜10Eに適用した例を説明した。しかしながら、例えば、コイル50u、50v、50wの短絡に伴う振動減衰機能に着目すれば、これに限らない。例えば、振動減衰性能を要するその他の装置(例えば、製造装置、エスカレータ又はエレベータ)に電磁ダンパ12、12a〜12cを適用することも可能である。
【0116】
[G2.電磁ダンパ12、12a〜12c]
(G2−1.ダンパ本体20)
上記各実施形態では、
図1等に示す構成のダンパ本体20を用いた(
図1、
図9、
図14及び
図17)。しかしながら、例えば、コイル50u、50v、50wの短絡に伴う振動減衰機能に着目すれば、これに限らない。例えば、電磁モータ46を使ったアクチュエータを用いるものであれば、電磁油圧ハイブリッド式、ボールねじ式、ラック&ピニオン式、ダイレクト式(リニアモータ)等の構成を適用可能である。
【0117】
(G2−2.短絡/開放切替回路24、24a)
上記各実施形態では、インバータ22とモータ46との間に切替回路24、24aを配置した(
図1、
図9、
図14及び
図17)。しかしながら、例えば、コイル50u、50v、50wを短絡させる観点からすれば、これに限らない。例えば、インバータ22内に切替回路24、24aを設けることも可能である。或いは、バッテリ16とインバータ22の間に切替回路24、24aを設けてもよい。
【0118】
(G2−3.モータ46)
上記各実施形態では、モータ46として3相交流ブラシレス式モータを用いたが、例えば、コイル50u、50v、50wの短絡に伴う振動減衰機能に着目すれば、これに限らない。例えば、モータ46は、3相交流ブラシ式モータであってもよい。また、モータ46は、直流モータとすることも可能である。
【0119】
(G2−4.可変抵抗器102a〜102c(負荷))
第4〜第6実施形態では、可変抵抗器102a〜102cの抵抗Rxを切り替えることで、振動減衰力Fdを可変とした(
図11のS61、S65、
図15のS81、
図18のS103、S105)。しかしながら、例えば、コイル50u、50v、50wの短絡時において減衰力Fdを変化させる観点からすれば、これに限らない。例えば、可変抵抗器102a〜102c以外の負荷(例えば、エアコンディショナ)の大きさを切り替えることにより減衰力Fdを変化させることも可能である。
【0120】
[G3.制御]
上記各実施形態では、切替回路24、24aの制御をECU26、26a〜26cで行った(
図1、
図9、
図14及び
図17)。しかしながら、例えば、バッテリ16からモータ46への電力(エネルギ)が遮断された状態のとき、コイル50u、50v、50wを短絡させるスイッチ制御手段を設ける観点からすれば、これに限らない。例えば、バッテリ16とインバータ22を結ぶ電力線を分岐させて比較器に入力し、当該比較器の入力に応じてスイッチ60a〜60cをオンオフすることも可能である。
【0121】
第1実施形態等では、停止状態として車速Vが閾値以下の場合を用いた(
図4のS3等)。しかしながら、例えば、人の乗り降り又は荷物の積み下ろしの際の振動減衰力Fdに着目すれば、これに限らない。例えば、イグニションスイッチ(IGSW)がオフ又はアクセサリの位置にあることを停止状態の判断基準とすることも可能である。或いは、車両10、10A〜10Eのドアが開かれたことを停止状態の判断基準としてもよい。
【0122】
第2実施形態(
図6)及び第5実施形態(
図6及び
図15)では、車両10A、10Dが停止状態になった後、発進から所定時間が経過するまでコイル50u、50v、50wを短絡させた(
図6のS23:YES〜S28:NO、
図15のS81、S82)。しかしながら、例えば、発進時の短絡に着目すれば、発進(
図6のS27:YES)からコイル50u、50v、50wを短絡させることも可能である。
【0123】
第3実施形態(
図8)及び第6実施形態(
図8及び
図18)では、車両10B、10Eの減速状態が所定の時間閾値THtを超えて継続した場合(
図8のS45:YES)、コイル50u、50v、50wを短絡させる例を説明した(
図8のS47、
図18のS104)。
【0124】
しかしながら、例えば、減速時のうちコイル50u、50v、50wを短絡させることが適切な場面を選択する観点からすれば、これに限らない。例えば、車速Vが所定の車速閾値THvxを下回った状態である場合、コイル50u、50v、50wを短絡させてもよい。ここでの車速閾値THvxは、例えば、車両10B、10Eが平坦な舗装路を閾値THvxと同じ車速Vで走行していると仮定した場合、短絡による振動減衰力Fdでも十分に減衰特性を発揮できると考えられる値とすることができる。
【0125】
或いは、車両10B、10Eの減速度の絶対値がゼロより大きく所定の減速度閾値を下回る場合、コイル50u、50v、50wを短絡させてもよい。
【0126】
第4実施形態(
図4、
図11及び
図13)では、車両10Cが停止状態であること(
図4のS3:YES)を前提として、推定重量Wwに応じて振動減衰力Fdを変化させた(
図13)。しかしながら、例えば、推定重量Wwに応じて振動減衰力Fdを変化させる観点からすれば、停止状態以外の場合(発進時、減速時等)にも、
図13に示す処理で振動減衰力Fdを変化させてもよい。
【0127】
第5実施形態(
図6、
図15及び
図16)では、車両10Dの発進から所定時間Txが経過するまで、ノーズ92の変位量Hnに応じて振動減衰力Fdを変化させた(
図15、
図16)。しかしながら、例えば、変位量Hnに応じて振動減衰力Fdを変化させる観点からすれば、それ以外の場合(停止時、減速時等)にも、
図16に示す処理で振動減衰力Fdを変化させてもよい。
【0128】
第6実施形態(
図8、
図18及び
図19)では、車両10Eが所定の減速状態であること(
図8のS45:YES)を前提として、走行路の傾斜Aに応じて振動減衰力Fdを変化させた(
図19)。しかしながら、例えば、傾斜Aに応じて振動減衰力Fdを変化させる観点からすれば、それ以外の場合(停止時、発進時等)にも、
図19に示す処理で振動減衰力Fdを変化させてもよい。