【実施例】
【0068】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
【0069】
実施例および比較例における種々の測定、分析は以下のように行った。
【0070】
<粒度分布測定>
実施例および比較例において、ELS−Z1000ZS(大塚電子製)を用いて、粒子の粒度分布を測定した。測定には、試料をエタノールまたは水に分散させ、超音波により30秒以上分散させた測定用サンプルを用いた。測定された粒子の粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子が占める体積を小径側から累積していき、累積16%となる粒径をD16
V、累積50%となる粒径をD50
V、累積84%となる粒径をD84
Vと規定した。このとき、D50
Vを体積平均粒径と定義し、D84
V/D16
Vを体積平均粒度分布指標PSD
Vと定義する。
また、測定された粒子の粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積50%となる粒径を数平均粒径と定義する。
【0071】
<励起発光スペクトル測定>
実施例および比較例において、蛍光分光光度計F−7000(日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、励起発光スペクトルを測定した。
【0072】
<内部量子効率測定>
実施例において、絶対PL量子収率測定装置(浜松フォトニクス製)を用いて、内部量子効率を測定した。測定には、0.1gの試料を用いた。測定は励起波長450nmで行った。
【0073】
<走査電子顕微鏡観察>
実施例において、走査電子顕微鏡(SEM)SU8020(日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、粒子の観察を行った。
【0074】
<金属元素分析>
実施例および比較例において、ICP−MS(アジレントテクノロジー製)およびICP−AES(島津製作所製)を用いて、金属元素分析を行った。金属元素分析には、試料を融剤(ホウ砂:炭酸ソーダ=1:1)を用いてアルカリ融解した後、塩酸を添加して定容した測定用サンプルを用いた。ユウロピウムの分析はICP−MS(アジレントテクノロジー製)で行い、それ以外の金属元素の分析はICP−AES(島津製作所製)で行った。
【0075】
<粉末X線回折>
実施例および比較例において、X線回折装置スマートラボ(リガク製)を用いて、粉末X線回折を行った。粉末X線回折において、CuKαを線源として用いた。粉末X線回折によって得られたX線回折スペクトルを解析することにより、試料中に形成されている無機化合物の定性分析と定量分析とを行った。
【0076】
表1は以下に示す実施例および比較例の前駆体準備工程および焼成工程における種々の製造条件を示す。また、表2は得られた前駆体および焼成品の特性を示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
実施例1.
[前駆体準備工程]
(懸濁液形成工程)
原料として、体積平均粒径D50
Vが50nmの非晶質の窒化ケイ素粒子(シグマアルドリッチ製)と、硝酸ストロンチウム(キシダ化学製)と、硝酸ユウロピウム6水和物(キシダ化学製)とを用いた。
【0080】
組成式Eu
0.1Sr
0.9Si
2O
2N
2で表わされる酸窒化物を得るべく、窒化ケイ素粒子と硝酸ストロンチウムと硝酸ユウロピウム6水和物とを、それぞれ28.461質量%、57.964質量%、13.575質量%となるように秤量した。このように秤量すると、後述する懸濁液および蛍光体前駆体粒子には、SrおよびEuの合計とケイ素とのモル比が1:2で含まれ、また、SrおよびEuの合計に対して、90モル%のSrと10モル%のEuとが含まれる。秤量した原料を水100gとエチレングリコール50gとからなる混合溶媒へ投入し、撹拌することによって懸濁液を形成した。
【0081】
(前駆体形成工程)
炭酸水素アンモニウム(キシダ化学製)を水に溶解し、共沈剤として、濃度0.158mol/Lの炭酸水素アンモニウム水溶液216mlを形成した。
【0082】
次に、上述のようにして得られた懸濁液を撹拌混合しながら、共沈剤を1時間かけて滴下した。共沈剤の滴下後、2時間撹拌混合を続けた。このようにして、ストロンチウムイオンとユウロピウムイオンとをそれぞれ炭酸塩と水酸化物として析出させ、窒化ケイ素粒子の表面に、ストロンチウムの炭酸塩およびユウロピウムの水酸化物が均一に混ざり合って堆積された蛍光体前駆体粒子を形成した。
【0083】
その後、蛍光体前駆体粒子が含まれている懸濁液を、遠心分離によって水とエチレングリコールからなる混合溶媒から水へ溶媒置換した。溶媒置換後の懸濁液を100℃に設定された乾燥器に入れ、水を蒸発させることによって、蛍光体前駆体粒子を回収した。
【0084】
[焼成工程]
得られた蛍光体前駆体粒子を、以下の手順で焼成した。先ず、得られた蛍光体前駆体粒子を窒化ホウ素製のるつぼに充填した。その後、蛍光体前駆体粒子が充填されたるつぼを、メタル炉である真空雰囲気炉(ネムス製)内に入れた。るつぼを炉内に入れた後、先ず、拡散ポンプにより炉内を真空とした。その後、炉内を室温から1100℃まで毎時300℃の速度で昇温した。その後、炉内温度を1100℃に保持したまま、水素4体積%、窒素96体積%の混合ガスを炉内に導入して、炉内圧力を大気圧程度まで戻した。その後、炉内を毎時300℃の速度で1450℃まで昇温し、炉内温度を1450℃に3時間保持して、蛍光体前駆体粒子を焼成して、焼成品を得た。
【0085】
[蛍光体前駆体粒子の特性]
得られた蛍光体前駆体粒子を走査電子顕微鏡を用いて観察した。
図1は蛍光体前駆体粒子を走査電子顕微鏡(SEM)により観察して得られた画像を示す。
図1には、粒径100nm程度の粒子が多数見られる。このことから、窒化ケイ素粒子の表面に、ストロンチウムの炭酸塩およびユウロピウムの水酸化物が堆積していることが確認できた。
【0086】
また、得られた蛍光体前駆体粒子の粒度分布を測定した。粒度分布の測定結果から、蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは127nmであった。
【0087】
[蛍光体の特性]
得られた焼成品の励起発光スペクトルを測定した。
図2は実施例1の焼成品の励起発光スペクトルを示す。
図2の横軸は波長であり、縦軸は強度である。励起発光スペクトルから、200nm以上の紫外光から500nm以下の可視光までの広い波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が550nmの黄緑色光であることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。
【0088】
また、得られた焼成品の粉末X線回折を行った。
図3中のaは実施例1の焼成品のX線回折スペクトルを示す。
図3の横軸は入射X線方向と回折X線方向とのなす角度であり、縦軸は強度である。このX線回折スペクトルをリートベルト法で解析したところ、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が85質量%生成し、ケイ素含有化合物が15質量%生成していることが分かった。なお、
図3中のcは計算によって得られるSrSi
2O
2N
2結晶のX線回折スペクトルを示す。
【0089】
また、得られた焼成品の金属元素分析を行った。金属元素分析の測定結果から、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.9:0.1のモル比で含まれていることが分かった。
【0090】
また、得られた焼成品の粒度分布を測定した。粒度分布の測定結果から、焼成品の体積平均粒径D50
Vは165nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.26であった。
【0091】
また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率を測定した。測定結果から、焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は73%であった。
【0092】
以上のことから、実施例1により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.9Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、90モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが165nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.26である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が73%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、85質量%の酸窒化物を含む。
【0093】
実施例2.
原料として、体積平均粒径D50
Vが50nmの非晶質の窒化ケイ素粒子(シグマアルドリッチ製)と、硝酸ストロンチウム(キシダ化学製)と、硝酸カルシウム4水和物(キシダ化学製)と、硝酸ユウロピウム6水和物(キシダ化学製)とを用いた。組成式Eu
0.1Sr
0.45Ca
0.45Si
2O
2N
2で表わされる酸窒化物を得るべく、窒化ケイ素粒子と硝酸ストロンチウムと硝酸カルシウム4水和物と硝酸ユウロピウム6水和物とを、それぞれ27.537質量%、28.040質量%、31.289質量%、13.134質量%となるように秤量した。このように秤量すると、懸濁液および蛍光体前駆体粒子には、Sr、CaおよびEuの合計とケイ素とのモル比が1:2で含まれ、また、Sr、CaおよびEuの合計に対して、45モル%のSrと10モル%のEuとが含まれる。
【0094】
それ以外は、実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子および焼成品を得た。
【0095】
得られた蛍光体前駆体粒子の粒度分布を測定したところ、蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは112nmであった。
【0096】
また、得られた焼成品の励起発光スペクトルを測定したところ、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が543nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。
図4中のaは実施例2の焼成品の発光スペクトルを示す。
図4の横軸は波長であり、縦軸は強度である。
【0097】
また、得られた焼成品の粉末X線回折を行ったところ、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が89質量%生成し、ケイ素含有化合物が11質量%生成していることが分かった。
図3中のbは実施例2の焼成品のX線回折スペクトルを示す。
【0098】
また、得られた焼成品の元素分析を行ったところ、得られた焼成品には、SrとCaとEuとがSr:Ca:Eu=0.45:0.45:0.1のモル比で含まれていることが分かった。
【0099】
また、得られた焼成品の粒度分布を測定したところ、焼成品の体積平均粒径D50
Vは142nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.24であった。
【0100】
また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率を測定したところ、焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は81%であった。
【0101】
以上のことから、実施例2により得られた蛍光体は、SrとCaとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.45Ca
0.45Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、Sr、CaおよびEuの合計に対して、45モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが142nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.24である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が81%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、89質量%の酸窒化物を含む。
【0102】
実施例3.
実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子を得た。また、蛍光体前駆体粒子を、アンモニア4体積%、窒素96体積%の混合ガス雰囲気の下で焼成した以外は、実施例1と同様の方法により焼成し、焼成品を得た。
【0103】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が550nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が92質量%生成し、ケイ素含有化合物が8質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.9:0.1のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは153nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.27であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は83%であった。
【0104】
以上のことから、実施例3により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.9Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、90モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが153nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.27である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が83%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、92質量%の酸窒化物を含む。
【0105】
実施例4.
実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子を得た。また、蛍光体前駆体粒子を、1250℃で焼成した以外は、実施例1と同様の方法により焼成し、焼成品を得た。
【0106】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が550nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が82質量%生成し、ケイ素含有化合物が18質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.9:0.1のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは148nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.25であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は72%であった。
【0107】
以上のことから、実施例4により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.9Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、90モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが148nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.25である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が72%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、82質量%の酸窒化物を含む。
【0108】
実施例5.
実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子を得た。また、蛍光体前駆体粒子を、1550℃で焼成した以外は、実施例1と同様の方法により焼成し、焼成品を得た。
【0109】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が552nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が88質量%生成し、ケイ素含有化合物が12質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.9:0.1のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは173nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.24であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は80%であった。
【0110】
以上のことから、実施例5により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.9Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、90モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが173nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.24である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が80%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、88質量%の酸窒化物を含む。
【0111】
実施例6.
組成式Eu
0.1Sr
0.7Ca
0.2Si
2O
2N
2で表わされる酸窒化物を得るべく、窒化ケイ素粒子と硝酸ストロンチウムと硝酸カルシウム4水和物と硝酸ユウロピウム6水和物とを、それぞれ28.043質量%、44.420質量%、14.162質量%、13.375質量%となるように秤量した以外は、実施例2と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子および焼成品を得た。
【0112】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは121nmであった。また、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が548nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が86質量%生成し、ケイ素含有化合物が14質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとCaとEuとがSr:Ca:Eu=0.7:0.2:0.1のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは151nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.27であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は79%であった。
【0113】
以上のことから、実施例6により得られた蛍光体は、SrとCaとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.7Ca
0.2Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、Sr、CaおよびEuの合計に対して、70モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが151nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.27である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が79%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、86質量%の酸窒化物を含む。
【0114】
実施例7.
組成式Eu
0.1Sr
0.2Ca
0.7Si
2O
2N
2で表わされる酸窒化物を得るべく、窒化ケイ素粒子と硝酸ストロンチウムと硝酸カルシウム4水和物と硝酸ユウロピウム6水和物とを、それぞれ27.048質量%、12.241質量%、47.809質量%、12.901質量%となるように秤量した以外は、実施例2と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子および焼成品を得た。
【0115】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは114nmであった。また、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が541nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が88質量%生成し、ケイ素含有化合物が12質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとCaとEuとがSr:Ca:Eu=0.2:0.7:0.1のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは146nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.23であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は77%であった。
【0116】
以上のことから、実施例7により得られた蛍光体は、SrとCaとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.2Ca
0.7Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、Sr、CaおよびEuの合計に対して、20モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが146nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.23である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が77%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、88質量%の酸窒化物を含む。
【0117】
実施例8.
組成式Eu
0.15Sr
0.85Si
2O
2N
2で表わされる酸窒化物を得るべく、窒化ケイ素粒子と硝酸ストロンチウムと硝酸ユウロピウム6水和物とを、それぞれ27.481質量%、52.858質量%、19.661質量%となるように秤量した以外は、実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子および焼成品を得た。
【0118】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは131nmであった。また、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が551nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が84質量%生成し、ケイ素含有化合物が16質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.85:0.15のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは168nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.31であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は75%であった。
【0119】
以上のことから、実施例8により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.15Sr
0.85Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、85モル%のSrと15モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが168nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.31である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が75%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、84質量%の酸窒化物を含む。
【0120】
実施例9.
組成式Eu
0.05Sr
0.95Si
2O
2N
2で表わされる酸窒化物を得るべく、窒化ケイ素粒子と硝酸ストロンチウムと硝酸ユウロピウム6水和物とを、それぞれ29.514質量%、63.447質量%、7.039質量%となるように秤量した以外は、実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子および焼成品を得た。
【0121】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは133nmであった。また、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が550nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が85質量%生成し、ケイ素含有化合物が15質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.95:0.05のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは157nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.29であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は74%であった。
【0122】
以上のことから、実施例9により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.05Sr
0.95Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、95モル%のSrと5モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが157nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.29である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が74%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、85質量%の酸窒化物を含む。
【0123】
実施例10.
原料として、数平均粒径500nmの結晶性窒化ケイ素(高純度化学製)を微粉砕機(アシザワ・ファインテック社製LMZ015)により粉砕して得られた、体積平均粒径D50
Vが110nmの窒化ケイ素粒子を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子および焼成品を得た。
【0124】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは208nmであった。また、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が549nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が87質量%生成し、ケイ素含有化合物が13質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.9:0.1のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは329nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.22であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は79%であった。
【0125】
以上のことから、実施例10により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.9Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、90モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが329nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.22である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が79%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、87質量%の酸窒化物を含む。
【0126】
実施例11.
原料として、体積平均粒径D50
Vが25nmの非晶質の窒化ケイ素粒子(HEFEI KAIER NANOMETER ENERGY & TECHNOLOGY CO., LTD製)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子および焼成品を得た。
【0127】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは53nmであった。また、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が550nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が84質量%生成し、ケイ素含有化合物が16質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.9:0.1のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは113nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.30であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は73%であった。
【0128】
以上のことから、実施例11により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.9Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、90モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが113nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.30である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が73%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、84質量%の酸窒化物を含む。
【0129】
比較例1.
原料として、体積平均粒径D50
Vが195nmの結晶質の窒化ケイ素粒子(宇部興産製)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子および焼成品を得た。
【0130】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは286nmであった。また、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が550nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が85質量%生成し、ケイ素含有化合物が15質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.9:0.1のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは438nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.41であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は76%であった。
【0131】
以上のことから、比較例1により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.9Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、90モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが438nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.41である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が76%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、85質量%の酸窒化物を含む。
【0132】
比較例2.
実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子を得た。また、蛍光体前駆体粒子を、窒素100体積%のガス雰囲気の下で焼成した以外は、実施例1と同様の方法により焼成し、焼成品を得た。
【0133】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が557nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSr
2SiO
4と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が5質量%生成し、ケイ素含有化合物が95質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.9:0.1のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは184nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.33であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は50%であった。
【0134】
以上のことから、比較例2により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.9Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、90モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが184nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.33である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が50%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、5質量%の酸窒化物を含む。
【0135】
比較例3.
実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子を得た。また、蛍光体前駆体粒子を、1100℃で焼成した以外は、実施例1と同様の方法により焼成し、焼成品を得た。
【0136】
得られた焼成品の励起発光スペクトルを測定したところ、焼成品は発光しなかった。これは、焼成不足のためである。従って、比較例3では、蛍光体は得られなかった。
【0137】
比較例4.
実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子を得た。また、蛍光体前駆体粒子を、1700℃で焼成した以外は、実施例1と同様の方法により焼成し、焼成品を得た。
【0138】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が551nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が93質量%生成し、ケイ素含有化合物が7質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.9:0.1のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは960nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.45であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は81%であった。
【0139】
以上のことから、比較例4により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.1Sr
0.9Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、90モル%のSrと10モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが960nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.45である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が81%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、93質量%の酸窒化物を含む。
【0140】
比較例5.
実施例2と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子を得た。また、蛍光体前駆体粒子を、1700℃で焼成した以外は、実施例1と同様の方法により焼成した。
【0141】
比較例5では、焼成中に溶融したため、蛍光体は得られなかった。これは、蛍光体前駆体粒子に含有されているカルシウムの量が多く、焼成中に合成される酸窒化物の融点が下がったためである。
【0142】
比較例6.
組成式Eu
0.1Sr
0.1Ca
0.8Si
2O
2N
2で表わされる酸窒化物を得るべく、窒化ケイ素粒子と硝酸ストロンチウムと硝酸カルシウム4水和物と硝酸ユウロピウム6水和物とを、それぞれ26.858質量%、6.078質量%、54.254質量%、12.810質量%となるように秤量した以外は、実施例2と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子を得た。また、蛍光体前駆体粒子を、実施例1と同様の方法により焼成した。
【0143】
比較例6では、焼成中に溶融したため、蛍光体は得られなかった。これは、蛍光体前駆体粒子に含有されているカルシウムの量が多く、焼成中に合成される酸窒化物の融点が下がったためである。
【0144】
比較例7.
組成式Eu
0.005Sr
0.995Si
2O
2N
2で表わされる酸窒化物を得るべく、窒化ケイ素粒子と硝酸ストロンチウムと硝酸ユウロピウム6水和物とを、それぞれ30.530質量%、68.741質量%、0.728質量%となるように秤量した以外は、実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子および焼成品を得た。
【0145】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは123nmであった。また、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が548nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が83質量%生成し、ケイ素含有化合物が17質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.995:0.005のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは186nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.32であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は52%であった。
【0146】
以上のことから、比較例7により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.005Sr
0.995Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、99.5モル%のSrと0.5モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが186nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.32である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が52%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、83質量%の酸窒化物を含む。
【0147】
比較例8.
組成式Eu
0.25Sr
0.75Si
2O
2N
2で表わされる酸窒化物を得るべく、窒化ケイ素粒子と硝酸ストロンチウムと硝酸ユウロピウム6水和物とを、それぞれ25.710質量%、43.634質量%、30.657質量%となるように秤量した以外は、実施例1と同様の方法により、蛍光体前駆体粒子および焼成品を得た。
【0148】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、得られた蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは132nmであった。また、得られた焼成品は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が545nmであることが分かった。このことから、得られた焼成品は可視光で励起される蛍光体であることが確認できた。また、得られた焼成品には、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物とSiO
2と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物とが生成していることが分かった。また、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が84質量%生成し、ケイ素含有化合物が16質量%生成していることが分かった。また、得られた焼成品には、SrとEuとがSr:Eu=0.75:0.25のモル比で含まれていることが分かった。また、得られた焼成品の体積平均粒径D50
Vは172nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.31であった。また、得られた焼成品の励起波長450nmにおける内部量子効率は48%であった。
【0149】
以上のことから、比較例8により得られた蛍光体は、SrとEuとSiとを含有する酸窒化物を含むものである。また、この蛍光体は、組成式Eu
0.25Sr
0.75Si
2O
2N
2で表わされる。この組成式より、この蛍光体は、SrおよびEuの合計に対して、75モル%のSrと25モル%のEuとを有する。また、この酸窒化物は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する。また、この蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが172nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.31である。また、この蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が48%である。また、この蛍光体は、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、84質量%の酸窒化物を含む。
【0150】
比較例9.
組成式Eu
0.1Sr
0.45Ba
0.45Si
2O
2N
2で表わされる市販の酸窒化物蛍光体(北京中村宇▲極▼科技有限公司製)を用いた。
【0151】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、市販の酸窒化物蛍光体は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が550nmであることが分かった。
図4中のbは市販の酸窒化物蛍光体の発光スペクトルを示す。また、市販の酸窒化物蛍光体は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物以外の結晶成分を含んでいないことが分かった。また、市販の酸窒化物蛍光体の体積平均粒径D50
Vは15400nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは2.22であった。また、市販の酸窒化物蛍光体の励起波長450nmにおける内部量子効率は77%であった。
【0152】
比較例10.
比較例9で用いた市販の酸窒化物蛍光体をビーズミルで粉砕し、分級することにより、サブミクロンサイズの酸窒化物蛍光体を得た。
【0153】
実施例1と同様に種々の測定、分析を行ったところ、粉砕後の市販の酸窒化物蛍光体は、200nm以上500nm以下の波長範囲の光によって励起され、発光ピーク波長が562nmであることが分かった。
図4中のcは粉砕後の市販の酸窒化物蛍光体の発光スペクトルを示す。また、粉砕後の市販の酸窒化物蛍光体は、SrSi
2O
2N
2と同じ結晶構造を有する酸窒化物以外の結晶成分を含んでいないが、酸窒化物の結晶の一部が粉砕によって非晶質化していることが分かった。また、粉砕後の市販の酸窒化物蛍光体の体積平均粒径D50
Vは364nmであり、体積平均粒度分布指標PSD
Vは1.33であった。また、粉砕後の市販の酸窒化物蛍光体の励起波長450nmにおける内部量子効率は36%であった。
【0154】
実施例と比較例の対比検討.
図5は蛍光体の体積平均粒径D50
Vと励起波長450nmにおける内部量子効率との関係を示すグラフである。
図5の横軸は蛍光体の体積平均粒径D50
Vであり、縦軸は蛍光体の励起波長450nmにおける内部量子効率である。
図5中、ダイヤモンド形状の点は実施例1−11を示し、四角形状の点a,bは比較例9,10を示す。
【0155】
図5に示されるように、実施例1−11の蛍光体は、体積平均粒径D50
Vが50nm以上400nm以下、より具体的には、100nm以上350nm以下であり、かつ、励起波長450nmにおける内部量子効率が60%以上、より具体的には、70%以上である。このため、実施例1−11から発光特性の優れた小粒径の蛍光体を得ることができた。特に、実施例2,3,5では、励起波長450nmにおける内部量子効率が80%以上であり、発光特性の極めて優れた小粒径の蛍光体を得ることができた。
【0156】
一方、比較例9の蛍光体は、励起波長450nmにおける内部量子効率が77%と高いが、体積平均粒径D50
Vが15400nmと大きい。比較例9の蛍光体を粉砕することにより得られた比較例10の蛍光体では、体積平均粒径D50
Vを364nmまで小さくすることができたが、励起波長450nmにおける内部量子効率が36%に低下した。また、
図4に示されるように、比較例9,10の蛍光体の発光ピーク波長における発光強度は、実施例2の蛍光体の発光ピーク波長における発光強度より低い。このため、市販品の蛍光体(比較例9,10)からは、発光特性の優れた小粒径の蛍光体を得ることができなかった。
【0157】
また、実施例1−11の蛍光体は、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.20以上1.35以下、より具体的には、1.21nm以上1.32以下である。このため、実施例1−11から粒径の揃った蛍光体を得ることができた。
【0158】
図6は蛍光体のSr含有量と励起波長450nmにおける内部量子効率との関係を示すグラフである。
図6の横軸は蛍光体のSr含有量であり、縦軸は蛍光体の励起波長450nmにおける内部量子効率である。
図6中、ダイヤモンド形状の点は実施例1−11を示し、四角形状の点a,bは比較例6,7を示す。
【0159】
図6に示されるように、比較例6では、Ca含有量が多く、アルカリ土類金属元素(Sr,Ca)とEuとの合計に対して、15モル%よりも少ないSrを有する。このため、焼成中に合成される酸窒化物の融点が下がり、蛍光体が得られなかった。焼成温度を下げると、合成反応が進行し難くなって、ケイ素含有化合物等の不純物が多くなるため、励起波長450nmにおける内部量子効率が低下すると考えられる。また、比較例7の蛍光体は、Sr含有量が99モル%より多い。このため、Euの含有量が少なくなり、励起波長450nmにおける内部量子効率が低下する。
【0160】
従って、Sr含有量は、好ましくは、15モル%以上99モル%以下である。また、励起波長450nmにおける内部量子効率が60%以上である実施例1−11の蛍光体は、アルカリ土類金属元素(Sr,Ca)とEuとの合計に対して、20モル%以上95モル%以下のSrを有する。このため、Sr含有量は、さらに好ましくは、20モル%以上95モル%以下である。
【0161】
図7は蛍光体のEu含有量と励起波長450nmにおける内部量子効率との関係を示すグラフである。
図7の横軸は蛍光体のEu含有量であり、縦軸は蛍光体の励起波長450nmにおける内部量子効率である。
図7中、ダイヤモンド形状の点は実施例1−11を示し、四角形状の点a,bは比較例7,8を示す。
【0162】
図7に示されるように、比較例7の蛍光体は、アルカリ土類金属元素(Sr,Ca)とEuとの合計に対して、1モル%よりも少ないEuを有する。このため、Euの含有量が少なく、励起波長450nmにおける内部量子効率が低下する。また、比較例8の蛍光体は、Eu含有量が20モル%より多い。このため、濃度消光が発生し、励起波長450nmにおける内部量子効率が低下する。
【0163】
従って、Eu含有量は、好ましくは、1モル%以上20モル%以下である。また、励起波長450nmにおける内部量子効率が60%以上である実施例1−11の蛍光体は、アルカリ土類金属元素(Sr,Ca)とEuとの合計に対して、5モル%以上15モル%以下のEuを有する。このため、Eu含有量は、さらに好ましくは、5モル%以上15モル%以下である。
【0164】
図8は窒化ケイ素粒子の体積平均粒径D50
Vと蛍光体の体積平均粒径D50
Vとの関係を示すグラフである。
図8の横軸は窒化ケイ素粒子の体積平均粒径D50
Vであり、縦軸は蛍光体の体積平均粒径D50
Vである。
図9は窒化ケイ素粒子の体積平均粒径D50
Vと蛍光体の体積平均粒度分布指標PSD
Vとの関係を示すグラフである。
図9の横軸は窒化ケイ素粒子の体積平均粒径D50
Vであり、縦軸は蛍光体の体積平均粒度分布指標PSD
Vである。
図8,9中、ダイヤモンド形状のプロットは実施例1−11を示し、四角形状のプロットaは比較例1を示す。
【0165】
図8に示されるように、比較例1では、窒化ケイ素粒子の体積平均粒径D50
Vが150nmより大きい。このため、蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vも大きくなった。その結果、蛍光体の体積平均粒径D50
Vが400nmより大きくなり、所望の粒径の蛍光体を得ることができなかった。また、
図9に示されるように、粒度分布を制御することができず、蛍光体の体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.35より大きくなり、所望の粒度分布の蛍光体を得ることができなかった。
【0166】
従って、窒化ケイ素粒子の体積平均粒径D50
Vは、好ましくは、150nm以下である。また、体積平均粒径D50
Vが50nm以上400nm以下であり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.20以上1.35以下である蛍光体が得られる実施例1−11では、窒化ケイ素粒子の体積平均粒径D50
Vが120nm以下である。このため、窒化ケイ素粒子の体積平均粒径D50
Vは、さらに好ましくは、120nm以下である。
【0167】
図10は蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vと蛍光体の体積平均粒径D50
Vとの関係を示すグラフである。
図10の横軸は蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vであり、縦軸は蛍光体の体積平均粒径D50
Vである。
図11は蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vと蛍光体の体積平均粒度分布指標PSD
Vとの関係を示すグラフである。
図11の横軸は蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vであり、縦軸は蛍光体の体積平均粒度分布指標PSD
Vである。
図10,11中、ダイヤモンド形状のプロットは実施例1−11を示し、四角形状のプロットaは比較例1を示す。
【0168】
図10に示されるように、比較例1では、蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vが250nmより大きい。このため、蛍光体の体積平均粒径D50
Vが400nmより大きくなり、所望の粒径の蛍光体を得ることができなかった。また、
図11に示されるように、粒度分布を制御することができず、蛍光体の体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.35より大きくなり、所望の粒度分布の蛍光体を得ることができなかった。
【0169】
従って、蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは、好ましくは、250nm以下である。また、体積平均粒径D50
Vが50nm以上400nm以下であり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.20以上1.35以下である蛍光体が得られる実施例1−11では、蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vが210nm以下である。このため、蛍光体前駆体粒子の体積平均粒径D50
Vは、さらに好ましくは、210nm以下である。
【0170】
図12は焼成温度と蛍光体の励起波長450nmにおける内部量子効率との関係を示すグラフである。
図12の横軸は焼成温度であり、縦軸は蛍光体の励起波長450nmにおける内部量子効率である。
図12中、ダイヤモンド形状の点は実施例1−11を示し、四角形状の点a−cは比較例3−5を示す。
【0171】
図13は焼成温度と蛍光体の体積平均粒径D50
Vとの関係を示すグラフである。
図13の横軸は焼成温度であり、縦軸は蛍光体の体積平均粒径D50
Vである。
図14は焼成温度と蛍光体の体積平均粒度分布指標PSD
Vとの関係を示すグラフである。
図14の横軸は焼成温度であり、縦軸は蛍光体の体積平均粒度分布指標PSD
Vである。
図13,14中、ダイヤモンド形状のプロットは実施例1−11を示し、四角形状のプロットbは比較例4を示す。
【0172】
図12に示されるように、比較例3では、焼成温度が1150℃より低い。このため、合成反応が進行せず、焼成不足のため、蛍光体は得られなかった。また、焼成温度が低いと、合成反応が進行し難くなって、ケイ素含有化合物等の不純物が多くなるため、励起波長450nmにおける内部量子効率が低下すると考えられる。また、
図12に示されるように、比較例4では、焼成温度が1650℃より高い。このため、
図13に示されるように、粒成長が進みすぎて、蛍光体の体積平均粒径D50
Vが400nmより大きくなり、所望の粒径の蛍光体を得ることができなかった。また、
図14に示されるように、粒度分布を制御することができず、蛍光体の体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.35より大きくなり、所望の粒度分布の蛍光体を得ることができなかった。また、
図12に示されるように、比較例5では、焼成温度が1650℃より高い。比較例5のように、アルカリ土類金属元素(Sr,Ca)とEuとの含有割合によっては、焼成中に合成される酸窒化物の融点が下がるため、焼成温度が高いと、焼成中に溶融して、蛍光体が得られなくなる。
【0173】
従って、焼成温度は、好ましくは1150℃以上1650℃以下である。また、体積平均粒径D50
Vが50nm以上400nm以下であり、体積平均粒度分布指標PSD
Vが1.20以上1.35以下である蛍光体が得られる実施例1−11では、焼成温度が1200℃以上1600℃以下である。このため、焼成温度は、さらに好ましくは、1200℃以上1600℃以下である。
【0174】
実施例1−11では、蛍光体前駆体粒子を、水素と窒素との混合ガス雰囲気またはアンモニアと窒素との混合ガス雰囲気の下で焼成した。その場合、酸窒化物を主成分として含む蛍光体が得られた。具体的には、実施例1−11の蛍光体には、酸窒化物とケイ素含有化合物との合計に対して、酸窒化物が50質量%以上、さらに具体的には、70質量%以上含まれる。酸窒化物を主成分として含むことにより、励起波長450nmにおける内部量子効率の高い蛍光体が得られた。
【0175】
一方、比較例2では、蛍光体前駆体粒子を、窒素100体積%のガス雰囲気の下で焼成した。その場合、酸窒化物の合成反応が進行せず、Sr
2SiO
4と同じ結晶構造を有するケイ素含有化合物が主成分として生成した。
【0176】
従って、焼成は、水素と窒素との混合ガス雰囲気またはアンモニアと窒素との混合ガス雰囲気の下で行うことが好ましい。
【0177】
なお、上述した実施例では、アルカリ土類金属元素として、Srのみを用いる場合の他に、SrおよびCaの組み合わせを用いる場合についてのみ説明したが、CaのかわりにBaおよびMgの少なくとも一方を用いる場合やCaとともにBaおよびMgの少なくとも一方を用いる場合でも、本発明を適用できる。
【0178】
また、上述した実施例では、賦活剤元素として、Euのみを用いる場合について説明したが、EuとともにCeを用いる場合でも、本発明を適用できる。
【0179】
また、上述した実施例では、湿式化学法として、共沈法を用いる場合についてのみ説明したが、クエン酸塩法を用いる場合でも、本発明を適用できる。
【0180】
また、上述した実施例では、窒化ケイ素粒子の表面に、アルカリ土類元素の炭酸塩および賦活剤元素の水酸化物が堆積する場合について説明したが、炭酸塩や水酸化物以外の炭酸水素塩、リン酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩または有機金属化合物が堆積する場合でも、本発明を適用できる。
【0181】
以上のように、本発明を実施の形態および実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されない。該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白である。本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は他の実施態様も含む。