(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ソーラーパネルの被洗浄面を洗浄するための洗浄体と、前記被洗浄面上で前記洗浄体を移動させるための移動部と、前記洗浄体および前記移動部が固定される躯体と、を備える洗浄ユニットを複数備える洗浄装置であって、
前記複数の洗浄ユニットの躯体を互いに前記移動部の移動方向と交差する方向に連結し、かつ前記被洗浄面に対して少なくとも上下方向に屈曲可能な連結部と、
前記連結部を跨いで前記複数の洗浄ユニットの躯体の上方に固定され、前記連結部の屈曲を規制する第1の規制部材と、
を備えるソーラーパネルの洗浄装置。
前記連結部を跨いだ前記複数の躯体の側面に対面して、前記第1の規制部材に固定された第2の規制部材を備える、請求項1または2に記載のソーラーパネルの洗浄装置。
ソーラーパネルの被洗浄面を洗浄するための洗浄体と、前記被洗浄面上で前記洗浄体を移動させるための移動部と、前記洗浄体および前記移動部が固定される躯体と、を備える洗浄ユニットを複数備える洗浄装置であって、
前記複数の洗浄ユニットの躯体を互いに前記移動部の移動方向と交差する方向に連結する天板及び側板とを有する連結部材と、
前記連結部材の側板と前記複数の躯体のそれぞれを回動可能に接続する複数の回動部材とを備えたソーラーパネルの洗浄装置。
前記移動部が板金により形成された移動部ホルダに支持されており、前記移動部ホルダは、前記板金の一部に固定部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のソーラーパネルの洗浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施形態1〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る洗浄装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。なお、実施形態の説明において、説明の便宜上、上、下、左、右の表現を用いるが、これらの表現は示した図に基づくものであって発明の構成を限定するものではない。
【0020】
下記の実施形態においては、ソーラーパネル洗浄装置について説明するが、本発明の形態は、ソーラーパネル洗浄装置に限られず、屋根、床などの平坦な部分に利用する洗浄装置であればよい。
【0021】
図1は、太陽光発電装置100の設置状態を説明する図である。
図1(a)は、太陽光発電装置100の正面図であり、
図1(b)は、太陽光発電装置100の側面図である。太陽光発電装置100は、太陽電池モジュール101と太陽電池モジュール101を保持するための架台102と固定部材103とで構成される。固定部材103は、太陽電池モジュール101を架台102に固定する。太陽電池モジュール101には、太陽電池モジュール101の周辺を保護するためのフレーム104が設けられている。太陽電池モジュール101と設置基準面Gとの設置角度及び高さは設置状態により適宜選択される。設置角度については、発電量等を考慮して10〜30°程度に設定される。設置基準面G自体は、屋根のように傾いている場合もあり得る。
【0022】
また、太陽電池モジュールは各辺がおよそ1m〜2mの矩形状のパネルであり、特にメガソーラー等の陸上に設置されるものは、よりサイズの大きいものが用いられる傾向がある。
【0023】
(洗浄ユニット10の構成)
図2は、本実施形態に係る洗浄装置を構成する洗浄ユニット10及びガイド部30の概略構成を示す平面図である。
図2に示すように、洗浄ユニット10は、洗浄体であるブレード11、ブレード11を保持する保持部材が固定される躯体12、モータ13、タイヤやクローラー等の移動手段である移動部14、タンク15、ポンプ16、液体供給部である配管17及びノズル18、バッテリー19、連結部40を備えており、ガイド部30は、支柱部31と、ガイド輪32を備えている。また、洗浄ユニット10の移動方向をXとし、太陽電池モジュール101の受光面と平行かつX方向と直交する方向をYとする。ブレード11は、洗浄ユニット10と共にX方向に移動できる。
【0024】
そして、洗浄ユニット10は、太陽電池モジュール101の被洗浄面である受光面に洗浄液を噴き付け、ブレード11を太陽電池モジュールの受光面に押圧しつつ移動させて洗浄液を拭うことで、太陽電池モジュールの受光面を洗浄する。
【0025】
1つの洗浄ユニット10が太陽電池モジュールのパネル1枚に対応している。したがって、洗浄ユニットをパネルの列数分連結させることにより、効率的に被洗浄面全面を洗浄することができる。
【0026】
1つの洗浄ユニットが太陽電池モジュール1枚に対応するので、ブレード11のサイズは、対象となる太陽電池モジュールのサイズに合わせ、全体として1m〜2mほどになる。したがって、洗浄ユニット10のサイズも1m〜2mほどになる。
【0027】
洗浄ユニット10に備えられた移動部14は、太陽電池モジュール101のフレーム104上またはフレーム104近傍上に接触して移動する。この移動部14により、太陽電池モジュール101と洗浄ユニット10との間の距離が一定に保たれる。
【0028】
洗浄装置の上端と下端に位置する洗浄ユニット10の端部には、ガイド部30が設けられる。ガイド部30は、ガイド輪32がフレーム104の側面に接触するように支柱部31に取り付けられている。このガイド輪32により、設置基準面に対して傾斜している太陽電池モジュール101からの洗浄装置の脱落・落下が防止され、かつ洗浄装置が太陽電池モジュール101の上下端に沿って直線的に移動する際の安定性が高められる。
【0029】
ブレード11の延びる方向は、洗浄ユニット10の移動方向と垂直なY方向に対し、わずかに傾いていることが望ましい。本実施形態ではブレード11の延びる方向は、Y方向に対して1〜5°程度傾いている。これにより、洗浄ユニット10が進行する際、ブレード11が拭き取る太陽電池モジュール101上の汚水をブレード11の傾斜方向に押し出す力が働き、太陽電池モジュール101の受光面から汚水をスムーズに排出することができる。また、ブレード11をわずかに傾けることで、ブレード11が太陽電池モジュール101の周囲のフレーム104の段差を乗り越える際、先に当たった箇所から徐々に乗り越えるようになるため、乗り越え時の負荷を大幅に低減することができる。なお、ブレード11の傾きが1〜5°とわずかな量となっているのは、傾きが大きくなるほど、ブレード11を収納する躯体12の幅が増大するためである。
【0030】
本実施形態では、洗浄体として弾性のあるブレードを用いているが、洗浄体はブレードに限定されず、ブラシや回転ブラシ・スポンジ等を替わりに用いても良い。
【0031】
洗浄ユニット10の動作は、モータ13が移動部14を駆動させることで行われる。本実施形態では、モータの回転軸を直近の移動部14に直接連結する1輪駆動形態となっているが、モータの駆動力をシャフト・軸受け・タイミングベルト等で各移動部に伝達し、2輪駆動や4輪駆動にしても良い。また、本実施形態では移動部14として、太陽電池モジュール上を走行するための車輪を用いているが、クローラー等、洗浄ユニットが太陽電池モジュール上を移動できる他の構造を用いることもできる。
【0032】
配管17は、チューブ21によってポンプ16に接続されている。また、配管17には太陽電池モジュール101の方向に水等の液体を噴射するためのノズル18が取り付けられており、上記モータ13の駆動と同時に、ポンプ16がタンク15に蓄えられた水を配管17に流し込み、上記ノズル18を経て太陽電池モジュール101上に水を噴射する。
【0033】
なお、本実施形態では水を勢いよく噴射して太陽電池モジュール101上の汚れを浮かせるために配管17にノズル18を取り付けているが、直接配管17に穴をあけて噴射口としても良い。配管17及びノズル18は、被洗浄面に洗浄のための液体を供給する液体供給部である。
【0034】
また、本実施形態ではタンク15に蓄えられた水を太陽電池モジュール101に噴射する構成としているが、水が足りない場合に、タンク15以外にもホースを接続して水を供給する構成であってもよい。また、タンク15を備えることなく太陽電池モジュール上端に配管を設置し、そこから水を供給する構成であってもよい。これにより、大容量のタンクを洗浄ユニット10に備える必要がなく、軽量化を図ることができる。
【0035】
本実施形態ではモータ13とポンプ16とはバッテリー19から給電されることで動作するが、外部電源を用いてモータ13とポンプ16とに直接給電してもよい。外部電源からモータ13及びポンプ16に直接給電する場合は、電源コードを洗浄ユニット10から外部電源に配線する必要がある。このような場合、太陽電池モジュール101ならびにその周辺にある障害物に電源コードが引っかかり、洗浄装置の駆動を妨げる恐れがあるため、バッテリーを搭載することが好ましいといえる。
【0036】
本実施形態に係る洗浄ユニット10及びガイド部30に備えられた各種部品について、さらに詳細に説明する。
図3は、本実施の形態における洗浄ユニット10にガイド部30が接続された状態の概略構成を示す側面図である。
【0037】
ブレード11は、太陽電池モジュール101の表面(受光面)とブレード11のエッジが平行になるように配置されている。また、ブレード11は、太陽電池モジュール101の平面の法線方向から洗浄ユニット10の移動方向に30〜45°程度傾いて固定されている。
【0038】
ブレードを傾けて固定する理由は、太陽電池モジュール101の洗浄に使用する水の拭き払い性を高くするためである。ブレード11の材料は、水、汚れの拭き取り性能および耐候性を考慮し、弾性のある材料(緩衝部材)を用いるのが好ましい。例えば、ブレード11として、EPTゴム、ウレタンゴムなどを用いたゴムブレードを用いることが好ましい。
【0039】
配管17及び配管17に配置されるノズル18又は穴等の噴射口は、ブレード11又は太陽電池モジュール101に水を吹き付けられるように配置されている。噴射口の個数や噴射量については、洗浄ユニット10の進行速度やポンプの最大圧力・最大流量によって最適な値が異なることから、モータ13及びポンプ16の性能から必要量を算出すると良い。
【0040】
洗浄ユニット10の全ての構成要素は、直接又は間接的に躯体12に固定されている。躯体12は、洗浄ユニット10が屋外で使用され、さらに水を使用しての洗浄を行うことから、耐候性に優れた材料で構成されることが好ましい。また、洗浄ユニット10の躯体12は、太陽電池モジュール101の長手方向を覆う形状であり、洗浄装置のサイズはユニット連結数により長いもので数mになることから、躯体12には高剛性・低重量であることが求められる。本実施形態では躯体12には軽量で防錆性に優れた金属部材であるアルミニウム部材を用い、トラス構造などの剛性に優れたフレーム構造とすることにより、軽量化を図っている。
【0041】
連結部40は、複数の洗浄ユニット10の躯体12を互いに移動部14の移動方向と交差する方向に連結し、太陽電池モジュール101の被洗浄面に対して少なくとも上下方向に屈曲可能にするためのものである。
【0042】
以下、本実施形態に係る洗浄ユニット10の連結部40の構成について詳細に説明する。
図4は本実施形態で洗浄対象とする縦置き2列太陽電池モジュールと、それに設置された洗浄装置を示す。
【0043】
本実施形態の洗浄装置は、2列太陽電池モジュール用の洗浄装置であり、複数の洗浄ユニット10が移動部の移動方向と交差する方向に連結部40で連結され、複数の洗浄ユニット10の両端にはガイド部30が設けられている。
【0044】
図4(a)に示すように、本実施形態では、洗浄ユニット10の躯体12を互いに連結する連結部40として蝶番41を用いている。蝶番41は、2枚の金属板の間を回転軸で連結し、回転、回動可能とした構造体であり、屋外での使用に耐えるため、強度の高いアルミやステンレス製であることが望ましい。複数の洗浄ユニット10の躯体12は、互いが対向するそれぞれの端部の底面に蝶番41が取り付けられており、この蝶番41を中心軸として被洗浄面に対して少なくとも上下方向に屈曲可能に構成されている。なお、連結部40にはロータリージョイントやバネ板など、少なくとも上下に屈曲可能な部材を用いることができる。
【0045】
この構造によって、
図4の行Nに位置する2枚の太陽電池モジュールのように、同じ行に位置する太陽電池モジュールが架台の寸法バラツキ等の影響できれいに並んでいないことがあっても、複数の洗浄ユニット10のそれぞれが隣接する太陽電池モジュールの被洗浄面に沿わせることができる。
【0046】
本実施形態の洗浄装置は、
図4の行Nに乗った際にも、蝶番41が太陽電池モジュールの角度変化に追従して柔軟に回動することにより、洗浄ユニット10の移動部14やブレード11が安定して太陽電池モジュール101に接触し、移動性や洗浄性を保つことができる。
【0047】
なお、本実施形態では洗浄装置の両端にガイド部30が連結されているが、洗浄ユニット10とガイド部30との連結は、上記洗浄ユニット間の連結と異なり、連結部に自由度を持たせなくともよい。
【0048】
ガイド部30は、
図4(b)に示すように、ガイド輪32が太陽電池モジュール101のフレーム104に沿って回転し、洗浄装置を両側から押さえるようにして誘導する。これにより、洗浄装置は太陽電池モジュール101から脱落・落下することを防止され、かつ太陽電池モジュール101のY軸方向両端に沿って直線的に進行する際の安定性が高められる。
【0049】
また、フレーム上には太陽電池モジュールを止めるボルトなどの突起物があり、そこを乗り越える際の衝撃にも対応することができる。さらに、移動部14がフレーム近傍またはフレーム上を安定して移動することにより、太陽電池モジュール101のパネル強度が弱い部分に移動部14が乗り上げることによる損傷を防ぐことができる。
【0050】
ガイド輪32は、サスペンション構造にするか、もしくは太陽電池モジュール101のフレーム104との間に多少の余裕を持たせることが望ましい。これにより、太陽電池モジュール101の行方向のずれや突起物にも対応することができる。
【0051】
洗浄ユニット10を連結する構成では、各洗浄ユニット10が、上述した構成要素を全て備えている必要はない。例えば、バッテリー19は2つの洗浄ユニット10のどちらか一方に備えられていれば洗浄装置を稼動させられる。同様の理由で、モータ13やポンプ16、タンク15も洗浄ユニットのいずれか片方に備えられていれば良い。なお、ポンプ16が片方の洗浄ユニットだけの搭載になった場合、ポンプ16を搭載していない側の洗浄ユニット10の配管17に洗浄液を供給するため、双方の配管17を柔軟性のあるチューブ等で連結する。
【0052】
ここで、洗浄時のブレード11の押し圧によって洗浄ユニット10のそれぞれが太陽電池モジュールの被洗浄面に対して上向きの力を受け、特に可動部分を有する連結部40が影響を受けやすく、連結部40が大きく屈曲して、連結部40近傍が上方に浮き上がり、太陽電池モジュール101とブレード11の間に隙間が生じて洗浄不良が発生したり、連結部40近傍の移動部14である車輪が太陽電池モジュール上面から浮き上がって洗浄装置が移動できなくなったり、連結部分40近傍のみ移動が止まることで連結部分40に移動方向の負荷がかかって破損する等の問題が発生する。また、作業性や運搬性の向上のために洗浄ユニットの軽量化を進めていくと浮き上がりの影響が顕著になる。この浮き上がりを抑制するため、実施形態1の洗浄装置は、連結部40の屈曲を規制する第1の規制部材42を備えている。
【0053】
本実施形態における第1の規制部材42は、躯体12と同様に、軽量で防錆性に優れた金属部材であるアルミニウム部材を用いた棒状体である。また、第1の規制部材42は、トラス構造などの剛性に優れたフレーム構造とすることにより、強度を保ちつつ軽量化を図っている。
図4(b)に示すように、第1の規制部材42は、連結部40を跨いで複数の洗浄ユニット10の躯体12の上方、例えば、ガイド部30の支柱部31にそれぞれ固定されている。
【0054】
本実施形態の洗浄装置では、連結部40を跨いで複数の洗浄ユニット10の躯体12の上方に固定され、連結部40の屈曲を規制する第1の規制部材42を備えることで、連結部40が屈曲され上方に浮き上がるときに、浮き上がった連結部40近傍の複数の洗浄ユニット10の躯体12の上面に当たってその上方への動きを止めることで、洗浄ユニットが浮き上がることが規制される。このため、列状に並んだソーラーパネルの洗浄不良の発生を抑えることができる。また、この第1の規制部材42は洗浄不良が発生しない範囲で連結部40の動きを妨げないので、複数の洗浄ユニット10のそれぞれは、戴置される複数の太陽電池モジュール上面の各々に沿うことができる。
【0055】
また、第1の規制部材42を躯体12の上方に固定する構造の一例として、複数の洗浄ユニット10それぞれの躯体12に台座を設けて、その台座に第1の規制部材42の両端が固定される。その両端は回動するようにされていてもよいし、完全に固定されていてもよい。太陽電池モジュールに対応した洗浄ユニット10のサイズが1m〜2mと大きいことから、第1の規制部材42は完全に固定されていてもある程度しなるので、連結部40の太陽電池モジュール上面に沿う動きは妨げられない。
【0056】
さらに、本実施形態の洗浄装置では、
図4(a)に示すように、第1の規制部材42と躯体12との間に緩衝部材を配置することもできる。緩衝部材43は、例えば、ブレード11と同様の、EPTゴム、ウレタンゴムなどの弾性体を用いることができる。緩衝部材43は、第1の規制部材42と躯体12の対向端部との間に配置され、第1の規制部材42または躯体12に固定される。
【0057】
緩衝部材43は、連結部40が上方に浮き上がろうとすると、緩衝部材43に当接した躯体12の対向端部を弾性力により下方へ押し下げるように機能するので、連結部40の浮き上がりをさらに規制することができる。また、緩衝部材43によって躯体12が第1の規制部材42に当たるときの衝撃を緩和することができ、衝撃による洗浄不良の発生を抑えることができる。
【0058】
本発明に係る洗浄装置は、上記のように、ソーラーパネルの被洗浄面を洗浄するための洗浄体と、被洗浄面上で洗浄体を移動させるための移動部と、洗浄体および移動部が固定される躯体とを備える洗浄ユニットを複数備える洗浄装置であって、複数の洗浄ユニットの躯体を互いに移動部の移動方向と交差する方向に連結し、かつ被洗浄面に対して少なくとも上下方向に屈曲可能な連結部と、連結部を跨いで複数の洗浄ユニットの躯体の上方に固定され、連結部の屈曲を規制する第1の規制部材とを備えることにより、洗浄不良の発生を抑えつつ、ソーラーパネルを効率的に洗浄することができる。
【0059】
〔実施形態2〕
以下、本発明の第2の実施形態に係る洗浄装置ついて詳細に説明する。なお、本実施形態に係る洗浄装置は、実施形態1に示した連結部40の浮き上がりを規制する規制部材の変形例であり、実施形態1に新たに追加した第2の規制部材44以外の構成要素については、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
図5は本実施形態で洗浄対象とする縦置き2列太陽電池モジュールと、それに設置された洗浄装置を示す。
【0061】
本実施形態では、連結部40を跨いだ複数の洗浄ユニット10の躯体12の側面に対面して、第1の規制部材42に固定された第2の規制部材44を備えることを特徴としている。第2の規制部材44は、躯体12や第1の規制部材42と同様に、軽量で防錆性に優れた金属部材であるアルミニウム部材を用い、トラス構造などの剛性に優れたフレーム構造とすることにより、軽量化を図っている。
【0062】
第2の規制部材44は、
図5(a)に示すように、2つの躯体12の対向端部の側面に対面して配置され、第1の規制部材42に固定されている。第2の規制部材44は、躯体12の移動方向側に設けることが好ましく、洗浄ユニット10が前後方向に往復移動する場合には前後に設けてもよい。
【0063】
連結部40に用いる蝶番41の可動部には遊びがあり、このような遊びが大きい場合は、
図5(b)に示すように、洗浄ユニット10の連結部40が移動方向に対して、くの字状に折れ曲がる場合がある。洗浄ユニット10が移動方向に対して折れ曲がると、ブレード11の傾きが変化し、水の拭き払い性が低下する虞がある。
【0064】
本実施形態の洗浄装置では、連結部40を跨いだ複数の洗浄ユニット10の躯体12の側面に対面して、第1の規制部材42に固定された第2の規制部材44を備えることにより、洗浄ユニット10の連結部40の移動方向への折れ曲がりを抑制することができる。このため、洗浄装置の移動時に、洗浄ユニット10のブレード11の傾きを一定に維持し、水の拭き払い性を保つことができる。
【0065】
〔実施形態3〕
以下、本発明の第3の実施形態に係る洗浄装置について詳細に説明する。なお、本実施形態に係る洗浄装置は、連結部40の屈曲を規制する第1の規制部材42以外の構成要素については、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
図6は本実施形態で洗浄対象とする縦置き2列太陽電池モジュールと、それに設置された洗浄装置を示す。
【0067】
本実施形態では、連結部40の屈曲を規制する第1の規制部材42として、線状部材45と張力調整部46を設けたことを特徴としている。
【0068】
線状部材45としては、金属線、ワイヤ線等の硬くて丈夫な線材を用いることができる。
図6(b)に示すように、線状部材45は、洗浄ユニット10の端部にあるガイド部30の支柱部31に固定され、連結部40の上方で橋渡しされる。また、支柱部31には張力調整部46が設けられており、張力調整部46により線状部材45の端部を巻き取り、洗浄ユニット10の連結部40に加わる張力を調整している。
図6では、張力調整部46を線状部材45の両端に設けているが、線状部材45のどちらか一端側だけに設てもよい。
【0069】
本実施形態に係る洗浄装置によれば、
図6(a)に示すように、第1の規制部材42として、線状部材45と線状部材45の張力を調整する張力調整部46を備え、線状部材45の張力により連結部40の屈曲を規制することができる。また、本実施形態に係る洗浄装置は、第1の規制部材を構成するための部品点数、部品単価を削減できるので、軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0070】
〔実施形態4〕
以下、本発明の第4の実施形態に係る洗浄装置について詳細に説明する。なお、本実施形態に係る洗浄装置は、連結部40の構成と、連結部40の屈曲を規制する第3の規制部材50以外の構成要素については、上述した実施形態1〜3と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
図7は、本実施形態で洗浄対象とする横置き2列太陽電池モジュールと、それに設置された洗浄装置を示す。
【0072】
本実施形態の洗浄装置は、横置き太陽電池モジュール用の洗浄ユニット10を2連結させ、横置き2列太陽電池モジュールを1度に洗浄できる構成となっている。また、洗浄ユニット10の移動部14は、
図4〜6で示したように、連結部付近ではフレーム104の近傍に2列で配置してもよいが、ここでは、移動部14が太陽電池モジュール101のフレーム104上を移動するように配置している。
【0073】
上述したように移動部14は、フレーム104上またはフレーム104の近傍のどちらを移動するようにしてもよく、太陽電池モジュール101のサイズやフレーム104の間隔に応じて、移動部14の設置箇所を変更することができる。本実施形態の洗浄装置では、連結部付近の移動部14をフレーム104上に1列で配置することで、部品削減と軽量化することができる。
【0074】
本実施形態の洗浄装置では、連結部40が、
図7(a)、(b)に示すように、天板47aと側板47bとからなる連結部材47と、連結部材47に挿入した躯体12を側板47bと回動可能に接続する回動部材48とを備えている。
【0075】
連結部材47は、2つの躯体12の対向端部を内包する天板47aと側板47bとを有する鋼材であり、連結部材47の底部を開口させた配置で2つの躯体12の対向端部を内包する嵌め合い構造となっている。連結部材47の側板と2つの躯体12には、貫通孔が形成されており、回動部材48が挿入されている。
【0076】
また、連結部40は、連結部材47の上部を跨いで複数の躯体12のそれぞれに固定された板バネ部材49と、連結部材47の天板47aと板バネ部材49との間の間隔を調整する第3の規制部材50とを備えている。
【0077】
板バネ部材49は、バネ力を有する湾曲した金属板であり、例えば、焼入れ処理されたSUS430が用いられている。板バネ部材49は、連結部材47の上部を跨いで躯体12の上面に端部が固定されている。また、板バネ部材49の中央にはネジ切り加工が施され、長ネジ等で構成される第3の規制部材50が挿入されている。
【0078】
板バネ部材49は、屋外使用と強度の関係から、アルミニウムやステンレス製であることが望ましいが、やわらかい材質で厚めにしたり、硬い材質で薄めにしてもよい。
【0079】
本実施形態の洗浄装置は、上記のように、ソーラーパネルの被洗浄面を洗浄するための洗浄体10と、被洗浄面上で洗浄体10を移動させるための移動部14と、洗浄体10および移動部14が固定される躯体12とを備える洗浄ユニットを複数備える洗浄装置であって、複数の洗浄ユニット10の躯体12のそれぞれに対しその上方に配置される天板47aとその側方に配置される側板47bとを備えた連結部材47と、側板47aと複数の躯体12のそれぞれを回動可能に接続する複数の回動部材48と、連結部材47の上方を跨いで複数の躯体12のそれぞれに固定された板バネ部材49と、板バネ部材49と天板47aとの間に設けられ、板バネ部材49と天板47aとの間の間隔を調整可能な第3の規制部材50とを備える。
【0080】
本実施形態の洗浄装置では、連結部40が、複数の洗浄ユニット10の躯体12が連結部材47と板バネ部材49で連結されることにより、全体で1つの剛体としての挙動を示す。このため、持ち運びの際に連結部40をロックする必要がないという利点がある。
【0081】
なお、板バネ部材49の強度は材質や厚みによるものの、躯体12の強度よりも大幅に低いため、洗浄装置の自重によるたわみの大半は、この板バネ部材49で補助された連結部40に生じる。そのため、隣接する太陽電池モジュールの角度変化に追従して板バネ部材49の湾曲が変位し、洗浄装置の洗浄性や移動性を維持することができる。
【0082】
また、連結部材47の天板47aと板バネ部材49との間の間隔を第3の規制部材50で調整することにより、連結部材47の浮き上がりの規制量を調整することができる。さらに、本実施形態に係る洗浄装置の規制手段では、躯体12の対向端部の側面位置が連結部材47で規制されることにより、洗浄ユニット10が移動方向へ折れ曲がることを防止するので、ブレード11の傾きを一定に維持し、水の拭き払い性を保つことができる。
【0083】
なお、連結部40や洗浄装置全体の自重により、連結部材47の浮き上がりが小さくなる場合もあり、板バネ部材49及び第3の規制部材50は必ずしも備える必要はない。すなわち、連結部40は、複数の洗浄ユニット10の躯体12を互いに移動部の移動方向と交差する方向に連結する天板及び側板とを有する連結部材47と、連結部材47の側板と複数の躯体12のそれぞれを回動可能に接続する複数の回動部材48とにより構成することも可能である。
【0084】
〔実施形態5〕
以下、本発明の第5の実施形態に係る洗浄装置について詳細に説明する。なお、本実施形態に係る洗浄装置は、移動部14を支持する移動部ホルダ60以外の構成要素については、上述した実施形態1〜4と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
図8は、実施形態4で示した連結部材47に、移動部14を支持する移動部ホルダ60を設置した状態を示す。また、
図8(a)は、移動部ホルダ60を板金で形成した状態を示す平面図であり、
図8(b)は、
図8(a)の状態から折り曲げ加工によって移動部ホルダ60を形成した側面図である。
【0086】
本発明の洗浄装置では、連結部40が太陽電池モジュールの角度変化に追従して柔軟に屈曲することにより、洗浄ユニット10の移動部14やブレード11が安定して太陽電池モジュール101に接触し、移動性や洗浄性を保つことができる。このため、連結部40の近傍に設置される移動部14は、連結部40の屈曲を妨げないように設置する必要がある。
【0087】
実施形態5の洗浄装置では、連結部40の屈曲を妨げずに移動部14を設置するための移動部ホルダ60を備えている。移動部ホルダ60は、
図8(a)、(b)に示すように、1枚の板金から折り曲げ加工により形成された構造となっており、低コストでありながら剛性の高いホルダを形成することができる。
【0088】
移動部ホルダ60は、1枚の板金に天板部60a、側板部60b、固定部60cが形成されている。側板部60bは、天板部60aを上面として下方に向けて折り曲げられ、移動部14の支持部として機能する。さらに、固定部60cは、側板部60bから左右に折り曲げられ、実施形態4の洗浄装置では連結部材47への固定部として機能する。
【0089】
固定部60cは、連結部40の連結部材47に設けられた回動部材48と同じ位置に固定用のネジ穴が設けられており、固定部60cと回動部材48が一緒に連結部材47の側部へ固定される。これにより、固定部60cを固定するネジ部材が連結部材47の内部で躯体12に干渉して屈曲動作を妨げることが防止される。
【0090】
〔実施形態6〕
図9は、実施形態5で示した移動部ホルダ60の変形例を示す。また、
図9(a)は、実施形態5の移動部ホルダ60を板金で形成した状態を示す平面図であり、
図9(b)は、
図9(a)の状態から折り曲げ加工によって移動部ホルダ60を形成した側面図である。
【0091】
最近では、太陽電池モジュール101にフレーム104が設けられていないフレームレスタイプも採用されている。フレームレスの太陽電池モジュール101では、辺部の強度が弱いため、移動部14の位置を太陽電池モジュール101の辺部から中央寄りに移動し、かつ連結部40と干渉しないように連結部40に対して一対で両側に設置する必要がある。
【0092】
上記の場合、
図9(a)に示すように、移動部ホルダ60の天板部60aを躯体12側に延長して固定部60cとすることにより、移動部ホルダ60を連結部40の近傍に設置することができる。すなわち、天板部60aから延長した固定部60cを躯体12の上面に固定することで、移動部ホルダ60を連結部40に干渉させずに近づけることができる。
【0093】
なお、固定部60cを固定するネジ部材61は、板バネ部材49を躯体12に固定するためのネジ部材を兼用することができる。また、固定部60cを躯体12の下面側に屈曲させて躯体12に固定してもよい。
【0094】
以上のように、本発明に係る洗浄装置は、ソーラーパネルの被洗浄面を洗浄するための洗浄体と、被洗浄面上で前記洗浄体を移動させるための移動部と、洗浄体および移動部が固定される躯体とを備える洗浄ユニットを複数備える洗浄装置であって、複数の洗浄ユニットの躯体を互いに移動部の移動方向と交差する方向に連結し、かつ被洗浄面に対して少なくとも上下方向に屈曲可能な連結部を備え、連結部の屈曲を規制する規制部材を備えることにより、洗浄不良の発生を抑えつつ、ソーラーパネルを効率的に洗浄することができる。
【0095】
なお、上記実施形態に示した本発明の洗浄装置は、太陽電池モジュール101の長手・短手の長さに対応する大きさの躯体12を、太陽電池モジュール101の列数の個数連結させることで、あらゆる並び方の太陽電池モジュール列を一度に洗浄することができる。
【0096】
また、上記実施形態を用いて具体的に説明を行ったが、本発明はそれらに限定されるものではない。上述した4つの実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。