特許第6239489号(P6239489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239489水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239489
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 57/00 20060101AFI20171120BHJP
   C02F 1/46 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B24B57/00
   C02F1/46 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-230308(P2014-230308)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2016-93858(P2016-93858A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】504327498
【氏名又は名称】横浜マシンサービス有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】世古 納美
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 忠彦
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−117153(JP,A)
【文献】 特開2005−213620(JP,A)
【文献】 特開2006−061840(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0068631(US,A1)
【文献】 特開2013−046936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B57/00−57/02
C02F1/46
B23Q11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を還元槽に入れて還元電極に還元電位を印加し、電気分解処理をして還元水とする水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置において、
前記還元電極に印加するパルス電圧を得るためのパルス信号を発振するPWM発振回路と、
このPWM発振回路で発生したパルス信号を対をなす前記還元電極に印加するために波形整形する波形整形回路と、
前記パルス電圧のピーク値を制御するための駆動直流電源と、
前記パルス電圧に重畳するフラットな直流電圧を得るための重畳直流電源と、
前記パルス電圧に略フラットな直流電圧を重畳して前記還元電極に印加するための駆動回路と
を具備したことを特徴とする水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置。
【請求項2】
還元槽に還元電極の他にコモン電極を設け、このコモン電極と駆動回路のコモン端子間に電流検出回路を接続し、この電流検出回路の両端に増幅回路を介して切換え回路に接続し、この切換え回路によりPWM発振回路と、駆動直流電源と、重畳直流電源とを、前記増幅回路に選択的に接続するようにしたことを特徴とする請求項記載の水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置。
【請求項3】
切換え回路は、PWM発振回路と重畳直流電源と駆動直流電源のいずれか1つの選択又はPWM発振回路と重畳直流電源と駆動直流電源のいずれか2つ以上の組み合わせの選択をするように構成したことを特徴とする請求項記載の水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削機械加工時に用いられる水溶性切削・研削液を、効率よく生成又は再生するための還元電位の発生装置に関するもので、さらに詳しくは、水を電気分解処理して還元水とすることにより、殺菌と、優れた機械加工性能を保持させ、さらに、使用済みの水溶性切削・研削液を再生するための水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
切削、研削機械加工には、冷却、潤滑、切屑流しなどを目的として切削・研削液が使用される。
この切削・研削液は、油性と水溶性に大別される。油性液は、鉱物油を基油とし潤滑性に優れるが、火災、廃棄時の環境汚染の問題、使用時のべたつきなどがある。これに対し、水溶性液は、大半が水であり、上記油性の問題点が少なく有利である。
しかし、水溶性液には、ある程度のべたつきがあり、加工機械を汚したり、一定時間の使用により細菌が発生して皮膚にかぶれが発生したり、腐敗して異臭を発生したりして、作業者によっても、また、廃棄の際の環境への悪影響もある。
【0003】
優れた特性を有する水溶性切削・研削液とするために、水道水、工業用水(地下水)若しくはこれらの軟水化したもの又は使用済み液を、電気分解処理をして還元水にすると、殺菌、腐敗防止、加工性の向上となる。
還元水と鉱物油を比較すると以下の通りである。
1.気化熱:還元水586cal/g、鉱物油90cal/g以下、エタノール93cal/gで、還元水が断然優れている。
2.比熱:還元水1.00cal/g・deg、鉱物油0.44cal/g・deg、エタノール0.57cal/g・degで、還元水が最も温まりにくく、冷めにくい。
3.熱伝導率:還元水0.51W/m/K、鉱物油0.12W/m/K、エタノール0.18W/m/Kで、還元水が最も熱を伝えやすい。
このように、還元水は、気化熱、比熱、熱伝導率の何れにおいても鉱物油より数値が大きく切削・研削液として優れた性質を有している。
【0004】
電気分解により還元水を得る方法として、特許文献1に示す方法が知られている。この特許文献1記載の方法によれば、対象とする水性研削・切削液中に、一対の交流電極板と2つの接地電極板を挿入し、該交流電極に交流電源を通電させて高周波交流により電気分解処理を行うに際し、交流の発振周波数約5〜100KHzを中心に変動幅±3〜5KHzのFM変調をかけ、ランダム信号発生器を内蔵した装置で、ゆるやかな上下周波数変動中に急激に周波数上昇又は下降の変化する部分をもたらすことによって電界干渉を発生させ衝撃波を作り、上記電気分解により発生する水素量を多くするとともにナノバブルまで小さくした酸素を発生させることを特徴としてなる水性研削・切削液の電分解処理方法としている。
【0005】
本発明人等が従来のパルス電圧を印加して次の条件で酸化還元電位の経時変化を測定したところ、図5の特性曲線Oで示す結果が得られた。なお、パルス電圧の印加は、水に浸透性と親和性を付加する。
条件
・容器:アルカリ水製造装置
・水:軟水
・水量:160リットル
・室温:25℃
・パルス波:10kHz、15V、5A
この特性曲線Oから明らかなように、120分で約−200mVとなり、この値で略収束し、それ以上の時間をかけてもほとんど下降しなかった。
このように、電気分解処理によって水溶性切削・研削液を殺菌するとともに、元の加工性能を生成するために、所定の還元電位を得るのに長時間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−46936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、種々研究を重ねて、水を、還元電位−150mV〜−300mVで電気分解した水溶性切削・研削液を使用することが望ましいとの知見を得た。
解決しようとする問題点は、水から水溶性切削・研削液を生成し、また、殺菌、腐敗防止、加工性の向上のため電気分解処理をして還元水とするために、従来のパルス電圧だけを印加する方法では、−150mVを得るのに90分以上、−200mVを得るのに120分以上を要し、−250〜−300mVには、極めて長い時間を要していた。
本発明は、可能な限り短時間で所定の還元電位を得ることのできる装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水道水、工業用水(地下水)若しくはこれらの軟水化したもの又は使用済みの水溶性切削・研削液を還元槽18に入れて還元電極19に還元電位を印加し、電気分解処理をして還元水とする水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置において、
前記還元電極19に印加するパルス電圧を得るためのパルス信号を発振するPWM発振回路10と、
このPWM発振回路10で発生したパルス信号を対をなす前記還元電極19に印加するために波形整形する波形整形回路11と、
前記パルス電圧のピーク値を制御するための駆動直流電源14と、
前記パルス電圧に重畳するフラットな直流電圧を得るための重畳直流電源13と、
前記パルス電圧に略フラットな直流電圧を重畳して前記還元電極19に印加するための駆動回路12と
を具備したことを特徴とする。
【0010】
還元槽18に還元電極19の他にコモン電極20を設け、このコモン電極20と駆動回路12のコモン端子間に電流検出回路15を接続し、この電流検出回路15の両端に増幅回路16を介して切換え回路17に接続し、この切換え回路17によりPWM発振回路10と、駆動直流電源14と、重畳直流電源13とを、前記増幅回路16に選択的に接続する。
前記切換え回路17は、PWM発振回路10と重畳直流電源13と駆動直流電源14のいずれか1つの選択又はPWM発振回路10と重畳直流電源13と駆動直流電源14のいずれか2つ以上の組み合わせの選択をするように構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項記載の発明によれば、
水を還元槽に入れて還元電極に還元電位を印加し、電気分解処理をして還元水とする水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置において、
前記還元電極に印加するパルス電圧を得るためのパルス信号を発振するPWM発振回路と、
このPWM発振回路で発生したパルス信号を対をなす前記還元電極に印加するために波形整形する波形整形回路と、
前記パルス電圧のピーク値を制御するための駆動直流電源と、
前記パルス電圧に重畳する略フラットな直流電圧を得るための重畳直流電源と、
前記パルス電圧に略フラットな直流電圧を重畳して前記還元電極に印加するための駆動回路と
を具備したしたので、簡単、かつ、容易に水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置を得ることができる。
【0014】
請求項記載の発明によれば、
還元槽に還元電極の他にコモン電極を設け、このコモン電極と駆動回路のコモン端子間に電流検出回路を接続し、この電流検出回路の両端に増幅回路を介して切換え回路に接続し、この切換え回路によりPWM発振回路と、駆動直流電源と、重畳直流電源とを、前記増幅回路に選択的に接続するようにしたので、還元電極に流れる電流が増加したり、減少したりした場合に、デューティ比、重畳する略フラットな直流電圧、駆動電圧のピーク値のいずれかの選択的な制御により、還元電極の駆動電流を一定値に保持することができる。
【0015】
請求項記載の発明によれば、
切換え回路は、PWM発振回路と重畳直流電源と駆動直流電源のいずれか1つの選択又はPWM発振回路と重畳直流電源と駆動直流電源のいずれか2つ以上の組み合わせの選択をするように構成したので、使用する水溶性切削・研削液の性質、目的の還元電位を得るまでの時間の長短等に応じて選択的な組み合わせを変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置の実施例1を示す電気回路ブロック図である。
図2図1において、PWM発振回路10でパルス幅を制御したときの各部の出力波形図である。
図3図1において、重畳直流電源13で重畳電圧v2を制御したときの各部の出力波形図である。
図4図1において、駆動直流電源14で駆動電圧v1を制御したときの各部の出力波形図である。
図5】本発明の水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置による特性曲線Pと、従来の方法による特性曲線Oの比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、
水を還元槽18に入れて還元電極19に還元電位を印加し、電気分解処理をして還元水とする水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生方法において、前記還元電極19にパルス電圧に直流電圧を重畳して印加する。
具体的一例として、パルス電圧は、周波数5kHz〜30kHz、デューティ比30〜80%で、重畳する略フラットな直流電圧は、10〜30Vで、駆動電圧のピークは、50V以下とする。
【0018】
本発明は、
水溶性切削・研削液を還元槽18に入れて還元電極19に還元電位を印加し、電気分解処理をして還元水とする水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置において、
前記還元電極19に印加するパルス電圧を得るためのパルス信号を発振するPWM発振回路10と、
このPWM発振回路10で発生したパルス信号を対をなす前記還元電極19に印加するために波形整形する波形整形回路11と、
前記パルス電圧のピーク値を制御するための駆動直流電源14と、
前記パルス電圧に重畳する略フラットな直流電圧を得るための重畳直流電源13と、
前記パルス電圧に略フラットな直流電圧を重畳して前記還元電極19に印加するための駆動回路12と
を具備している。
【0019】
前記還元槽18に還元電極19の他にコモン電極20を設け、このコモン電極20と駆動回路12のコモン端子間に電流検出回路15を接続し、この電流検出回路15の両端に増幅回路16を介して切換え回路17に接続し、この切換え回路17によりPWM発振回路10と、駆動直流電源14と、重畳直流電源13とを、前記増幅回路16に選択的に接続する。
また、前記切換え回路17は、PWM発振回路10と重畳直流電源13と駆動直流電源14のいずれか1つの選択又はPWM発振回路10と重畳直流電源13と駆動直流電源14のいずれか2つ以上の組み合わせの選択をするように構成する。
【実施例1】
【0020】
図1において、本発明の水溶性切削・研削液生成用還元電位の発生装置は、PWM(パルス幅制御)発振回路10と、波形整形回路11と、駆動回路12と、重畳直流電源13と、駆動直流電源14と、電流検出回路15と、増幅回路16と、切換え回路17と、還元槽18とからなる。
【0021】
前記PWM発振回路10は、図2(a)に示すようなパルス(脈流)信号を発振し、発振周波数fは、5kHz〜30kHzの範囲で調整でき、かつ、オン、オフのデューティ比dは、0から100%の範囲で調整できるものとする。
前記波形整形回路11は、図2(b)に示すように、前記PWM発振回路10のパルス信号を奇数番目のパルス信号b−1と偶数番目のパルス信号b−2に分離する。
前記重畳直流電源13は、パルス信号に重畳するための略フラットな直流電圧v1を出力する。
前記駆動直流電源14は、パルス信号のピーク電圧v1を制御する。
前記駆動回路12は、駆動直流電源14で設定したパルス電圧v1に重畳直流電源13で設定した略フラットな直流電圧v2を重畳して、図2(c)のc−1とc−2に示すように、互いに180度の位相のずれた信号として出力する。
【0022】
前記還元槽18は、2個を1対とする還元電極19が互いに対峙して設けられ、これらの還元電極19の間にコモン電極20が設けられる。これらの還元電極19は、2個1対に限られず、多数個を対としたものであってもよい。
前記駆動回路12のコモン端子c−0と前記コモン電極20の間に抵抗などからなる電流検出回路15が挿入され、この電流検出回路15の両端に、増幅回路16が接続され、この増幅回路16の出力側には、切換え回路17を介して前記PWM発振回路10と、前記重畳直流電源13と、前記駆動直流電源14が選択的に接続され、この切換え回路17により、デューティ比dと、電圧値v2と、電圧値v1を選択的に切換える。
【0023】
次に本発明の作用を説明する。
還元槽18に水を入れて回路のスイッチを入れて電気分解を開始する。この水には、水道水、工業用水(地下水)若しくはこれらの水を市販の軟水化装置で軟水化したもののような薬品の混ぜ物を添加しない水が用いられる。
水 軟水
水量 160リットル
室温 24℃
PWM発振回路10は、例えば、10kHzで、デューティ比50%のパルス信号を出力するものとする。このパルス信号は、波形整形回路11にて奇数番目のパルス信号b−1と偶数番目のパルス信号b−2に分離され、駆動回路12に送られる。パルス電圧の印加は、水に浸透性と親和性を付加するためである。
前記重畳直流電源13では、10〜24Vの略フラットな直流電圧v2を設定し、駆動回路12へ送る。
前記駆動直流電源14は、前記パルス信号に直流電圧v2を重畳したときのピーク値v1が48Vとなるように設定して駆動回路12に送る。
この駆動回路12のパルス信号に略フラットな直流電圧10〜24Vを重畳した図2(c)c−1とc−2に示す電圧が2つの還元電極19間に印加される。
【0024】
還元槽18内の水溶性切削・研削液に、パルス電圧に略フラットな直流電圧10〜24Vを重畳した電圧が印加されたときの酸化還元電位の経時的変化を測定すると、図5の特性曲線Pが得られた。この特性曲線Pによれば、60分で目的の−250mVが得られた。また、60分を過ぎても少しずつ還元電位が降下する。
【0025】
水溶性切削・研削液は、切削・研削液として使用をすることにより、還元電極19の腐食や汚れが発生し、還元電極19に流れる電流が減少し、図5の点線曲線Qのように還元電位が+の方向に移行してくる。この還元電極19に流れる電流の減少は、電流検出回路15にて検出され、増幅回路16を介して切換え回路17に信号を送る。この切換え回路17にてPWM発振回路10を選択したものとすると、PWM発振回路10でパルス幅を広くするようにデューティ比を大きくして電流を増やすように制御して図5の曲線Pに近づける。電流は、上げ過ぎると危険を伴うので、5Aを上限とする。
逆に何らかの原因で駆動回路12の駆動電流が増加した場合には、電流検出回路15で検出し,増幅回路16,切換え回路17を介してPWM発振回路10でパルス幅を狭くして電流を減らす。このようにして駆動電流を一定値に保つ。
【0026】
図2は、電流の変化をパルス信号のデューティ比(パルス幅)で制御するようにしたが、図3の例では、重畳電圧v2で制御する例を示している。すなわち、還元電極19の腐食や汚れが発生し、還元電極19に流れる電流が減少し、図5の点線曲線Qのように還元電位が+の方向に移行してくる。この還元電極19に流れる電流の減少は、電流検出回路15にて検出され、増幅回路16を介して切換え回路17に信号を送る。この切換え回路17にて重畳直流電源13を選択したものとすると、ピーク電圧v1はそのままで、重畳直流電源13で重畳電圧v2を上げて電流を増やすように制御して図5の曲線Pに近づける。電流は、上げ過ぎると危険を伴うので、5Aを上限とすることは、前記同様である。
逆に何らかの原因で駆動回路12の駆動電流が増加した場合には、電流検出回路15で検出し,増幅回路16,切換え回路17を介して重畳直流電源13で重畳電圧v2を下げて電流を減らす。このようにして駆動電流を一定値に保つ。
【0027】
図4は、駆動電圧v1で制御するさらに他の例を示している。すなわち、還元電極19の腐食や汚れが発生し、還元電極19に流れる電流が減少し、図5の点線曲線Qのように還元電位が+の方向に移行してくる。この還元電極19に流れる電流の減少は、電流検出回路15にて検出され、増幅回路16を介して切換え回路17に信号を送る。この切換え回路17にて駆動直流電源14を選択したものとすると、重畳直流電源13の重畳電圧v2はそのままで、ピーク電圧v1を上げて電流を増やすように制御して図5の曲線Pに近づける。電流は、上げ過ぎると危険を伴うので、5Aを上限とすることは、前記同様である。
逆に何らかの原因で駆動回路12の駆動電流が増加した場合には、電流検出回路15で検出し,増幅回路16,切換え回路17を介して駆動直流電源14で駆動電圧v1を下げて電流を減らす。このようにして駆動電流を一定値に保つ。
【0028】
前記実施例では、駆動電流を一定に保つために、パルス信号のデューティ比(パルス幅)で制御する方法、重畳電圧v2で制御する方法、ピーク電圧v1で制御する方法のいずれか単独の方法としたが、いずれか2以上の組み合わせ、すなわち、(1)パルス信号のデューティ比(パルス幅)で制御する方法と、重畳電圧v2で制御する方法の組み合わせの方法、(2)パルス信号のデューティ比(パルス幅)で制御する方法と、ピーク電圧v1で制御する方法の組み合わせの方法、(3)重畳電圧v2で制御する方法と、ピーク電圧v1で制御する方法の組み合わせの方法、(4)パルス信号のデューティ比(パルス幅)で制御する方法と、重畳電圧v2で制御する方法と、ピーク電圧v1で制御する方法のすべての組み合わせの方法とすることもできる。
【0029】
前記実施例では、水は、水道水、工業用水(地下水)若しくはこれらの軟水化したものを用いたが、ストレートな水に限られず、また、現在切削・研削に使用されているクーラント液であってもよい。また、現に使用されている水溶性切削・研削液(水に、エマルジョン、ソリュブル、ソリューション、シンセティックなどを混合希釈したもの)の性能回復としても用いることもできる。更に、防錆目的で低級な環境規制に抵触しないアミンを添加したものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
10…PWM発振回路、11…波形整形回路、12…駆動回路、13…重畳直流電源、14…駆動直流電源、15…電流検出回路、16…増幅回路、17…切換え回路、18…還元槽、19…還元電極、20…コモン電極。
図1
図2
図3
図4
図5