(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置決め部は、前記第1ハウジングまたは前記第2ハウジングのいずれか一方が他方に挿入され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを位置決めした後、前記円筒端子と前記弾性接触片とを接触させるような位置に形成されている請求項1記載の電気コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態1に係る電気コネクタについて、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においての「前後」という表現は、電気コネクタ同士を嵌合させる側を「前」とし、その反対方向を「後」として表現したものである。
図1に示す第1電気コネクタ10と、本発明に係る電気コネクタである
図10に示す第2電気コネクタ20とは、例えば、各種のセンサとワイヤハーネスとを接続するために使用することができる。
【0022】
まず、第1電気コネクタ10の構成について、
図1から
図9に基づいて説明する。
図1、
図2および
図14に示す第1電気コネクタ10は、
図10に示す第2電気コネクタ20に嵌合するアウターハウジング11(第1ハウジング)と、第2電気コネクタ20と電気的に接続するための接触端子12(コネクタ端子)および突起状端子13とを備えている。
【0023】
アウターハウジング11は、円筒状に形成されている。アウターハウジング11は、第1部材111と第2部材112とにより形成されている。
第1部材111は、アウターハウジング11の後端部にて、ケーブルCと端子(接触端子12および突起状端子13)との接続部材を保護し、シール部材124を保持するカバー部111aを備えている。第1部材111は、突起状端子13が挿入される端子収容室R1が形成された第1軸部114を備えている。第1軸部114は、アウターハウジング11の中心となる軸線の位置に形成されている。第1軸部114は、先端から基端に向かって、軸太さが段階的に太くなるように形成されている。本実施の形態1の第1軸部114では、先端部、中央部、後端部の3段階に拡径している。
第1軸部114には、軸線に沿って、端子収容室R1に通じる案内穴114aが形成されている。
【0024】
第1部材111は、第1軸部114との間に接触端子12が挿入される端子収容室R2が形成された周壁部111cを備えている。更に、第1部材111には、第2部材112と係止するための係止片111fが形成されている。
【0025】
第2部材112は、第1部材111に連結されると、第1軸部114との間が、第2電気コネクタ20(
図16参照)が嵌合する第1嵌合穴115となる円筒形状部材である。
図2に示すように、第2部材112により形成された第1嵌合穴115の内周面には、奥行き方向F1(
図1参照)に沿って切り欠かれた直線状溝111g(凹部)が、アウターハウジング11の軸線を中心に放射状に形成されている。本実施の形態に係る第2部材112では、40度ごとの9ヵ所うち、直線状溝111gが5ヵ所に形成されている。
図1に示す第1部材111と第2部材112との係止部分の内側には、
図14に示す円環状のシール部材113が設けられている。
【0026】
図2および
図14に示すように、接触端子12は、第1軸部114の外周面に、第1軸部114の中心軸に平行に設けられている。接触端子12は、第1嵌合穴115を正面から見て、第1軸部114を中心として、円周方向に等間隔に配置されている。本実施の形態1では、3つの接触端子12が、第1軸部114の軸太さごとに、かつアウターハウジング11の120度ごとに配置されている。
【0027】
図3から
図6に示すように、接触端子12は、金属片がU字状に折り曲げられた通電用の弾性接触片121と、端子収容室R2(
図14参照)に挿入される本体122と、ケーブルCを圧着固定するための結束部123とを備えている。
【0028】
弾性接触片121は、本体122の床部1221に連設されていることで一端1211が固定されている。弾性接触片121は、床部1221から延びて先端にU字状の折り返し部1212が形成されている。そして、弾性接触片121は、再び、本体122内に延びて他端1213が自由端となっている。
弾性接触片121には、後述する円筒端子と接触する接触部1214が形成されている。接触部1214は、後述する円筒端子の接触面に沿って円弧状に形成されている。接触部1214には、複数の細長の突起部1214aが形成されている。本実施の形態では、2つの突起部1214aが、円筒端子の軸線と直交する方向F3(弾性接触片121の幅方向)に沿って、弾性接触片121に並べられている。
【0029】
一端1211と折り返し部1212との間には、折り返し部1212を、床部1221へ向ける曲げ部1215が形成されている。本実施の形態の曲げ部1215は、弾性接触片121の初期状態において、床部1221から連続する一端1211から突出用開口1222a側へ上り傾斜となった方向を、突出用開口1222aと反対側の床部1221へ向けるような方向へ折り曲げられている。
【0030】
折り返し部1212の初期状態は、本体122の床部1221から突出することで、接触部1214は本体122の天井部1222の突出用開口1222aから突出していない。弾性接触片121の他端1213は、本体122の天井部1222に接触した状態である。弾性接触片121の他端1213には、基端側に凸となる湾曲部1216が形成されている。
【0031】
本体122は、矩形の筒状に形成されている。
側面部1223には、側面部1223の一部が切り起こされて形成されたランス1224が形成されている。
【0032】
図26に示すように、ランス1224は、接触端子12が、アウターハウジング11(
図14参照)の端子収容室R2に挿入されたときに、端子収容室R2からの抜けを防止するものである。
図3と、
図26および
図27に示すように、ランス1224の先端部1224bには、凸部1224cが先端部1224bを隆起させることで形成されている。凸部1224cは、先端へ向かうに従って突出度合いが大きくなるように形成されている。また、凸部1224cは、先端へ向かうに従って突出幅が大きくなるように形成されている。ランス1224は、本体122(コネクタ端子)から延びる第1部分1224mと、第1部分1224mの傾斜角度より外側に拡がる凸部1224cによる第2部分1224nとを備えている。
【0033】
図4に示すように、結束部123は、ケーブルCを圧着固定する。結束部123は、インシュレーションバレル部123aと、ワイヤバレル部123bとを備えている。結束部123の後部には、ケーブルCが挿通するシール部材124が設けられている。
【0034】
図14に示す突起状端子13は、第1軸部114の基端部の端子収容室R1に挿入されて、第2電気コネクタ20の後述する筒状端子と接触する接続端子である。
図9に示すように、突起状端子13は、接触部131と、本体132と、結束部133とを備えている。
接触部131は、所定間隔で並ぶ接触片131aの先端側および基端側に設けられた連設部131bがC字状に折り曲げられて形成されている。接触片131aの先端側の連設部131bには、先細り形状の傾斜部131dが設けられている。
本体132は、矩形の筒状に形成されている。
【0035】
結束部133は、ケーブルCを圧着固定する。結束部133は、インシュレーションバレル部133aと、ワイヤバレル部133bとを備えている。
【0036】
次に、第2電気コネクタ20の構成について、
図10から
図14に基づいて説明する。
図10、
図11および
図14に示す第2電気コネクタ20は、
図1に示す第1電気コネクタ10に嵌合するインナーハウジング21(第2ハウジング)と、第1電気コネクタ10の接触端子12(コネクタ端子)と電気的に接続する円筒端子22および筒状端子23とを備えている。
【0037】
インナーハウジング21には、第1電気コネクタ10(
図1参照)の第1軸部114が挿入される第2嵌合穴211が、インナーハウジング21の前部の周壁部212により形成されている。第2嵌合穴211は、開口部から奥側に向かって、段階的に内径が狭くなるように形成されている。周壁部212部の外周面212aであって、第1電気コネクタ10の第1嵌合穴115に挿入されて、第1嵌合穴115の内周面に接触する外周面212aの前部は、突起状のものが形成されていない円筒状部212bである。外周面212aの後部には、直線状凸部212c(凸部)が、インナーハウジング21の軸線を中心に放射状に形成されていることで、円周方向F4に沿って並んでいる。本実施の形態に係るインナーハウジング21では、直線状凸部212cが120度ごとの3ヵ所に形成されている。
【0038】
第2嵌合穴211には、第2軸部213が形成されている。第2軸部213は、円筒形状に形成されている。第2軸部213の内部には、筒状端子23が配置されている。
円筒端子22は、円筒端子22の軸線を第2軸部213の軸線と合わせて、接触面2212を露出した状態で、インナーハウジング21の第2嵌合穴211の内周面に固定されている。円筒端子22は、
図12に示すように、円筒形状の接触部221と、直線状の接続部222とを備えている。
【0039】
接触部221は、接触端子12(
図3参照)の弾性接触片121に接触するものである。接触部221は、導電性板材の両端同士を接合部2211により接合されている。接合部2211は、例えば、一方の端部2211aを凸形状に形成し、他方の端部2211bを凹形状にして、一方の端部2211aを他方の端部2211bに嵌め込みかしめることで、端部同士(2211a,2211b)が接合されている。接合部2211が凸形状と凹形状との嵌め込みより形成されているため、接合部2211は、長さが接触部221の基端から先端まで、幅が、一方の端部2211aの凸形状による突出量、または他方の端部2211bの凹形状による凹み量による領域となる。
【0040】
図14に示すように、円筒端子22は、インナーハウジング21の第2嵌合穴211の3段階に変わる内周面に、それぞれに配置されているため、異なる直径で3つ設けられている。第2嵌合穴211は、開口側が広く、奥側が狭く形成されているため、接触部221の直径は、開口側が大きく、奥側が小さくなるように形成されている。
【0041】
接続部222は、接触部221からインナーハウジング21の後端部へ向かってまっすぐ延びて、先端部がインナーハウジング21から露出してプリント配線基板に接続されるものである。接続部222には、インナーハウジング21から円筒端子22の引き抜きを防止するランス2221が形成されている。
【0042】
図10,
図11および
図14に示すように、筒状端子23は、第2軸部213の内部に配置されている。筒状端子23は、突起状端子13が挿入される側である先端部を、第2軸部213から露出させた状態で、第2軸部213と密着した状態で一体的に配置されている。
筒状端子23は、
図13に示すように、円筒状に形成された筒部231を備えている。筒部231より後ろ側には、減厚部232が形成されている。減厚部232は、円筒状の筒部231から、後述する接続部が延びる方向の厚み(直径)が薄くなるように、第1方向A1の直径はそのままに、第1方向A1と直交する第2方向A2の直径を徐々に小さくした後に、平坦状にしたものである。
【0043】
更に、減厚部232より後ろ側であり、筒状端子23の基端部には、閉鎖部233が形成されている。閉鎖部233は、減厚部232の第1方向A1の幅が拡がって形成されている。また、筒状端子23は、筒部231の後端部からL字状に形成された接続部234を備えている。接続部234は、閉鎖部233から直角に折れ曲がり、更に、直角に、かつ筒部231と平行に折れ曲がる板状部234aを備えている。また、接続部234は、閉鎖部233側を基端としたときの板状部234aの先端面から突出した針部234bを備えている。
【0044】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る第1電気コネクタ10および第2電気コネクタ20の使用状態について、図面に基づいて説明する。
図15に示すように、第1電気コネクタ10を第2電気コネクタ20に、または第2電気コネクタ20を第1電気コネクタ10に接近させ、アウターハウジング11の第1嵌合穴115に、インナーハウジング21の周壁部212の先端部を位置合わせすると共に、第1軸部114の案内穴114aに、インナーハウジング21の第2軸部213の先端部を位置合わせする。
【0045】
次に、インナーハウジング21の周壁部212を、第1嵌合穴115の奥行き方向F1に進行させると共に、インナーハウジング21の第2軸部213を、案内穴114aの奥行き方向F1に進行させる。
【0046】
図16に示すように、インナーハウジング21の周壁部212の前部は、突起状のものが無い円筒状部212bである。そのため、周壁部212の前部が、アウターハウジング11の第1嵌合穴115に挿入された状態では、アウターハウジング11の直線状溝111gに、インナーハウジング21の直線状凸部212cが嵌っていない。従って、作業者が第1電気コネクタ10のアウターハウジング11、または第2電気コネクタ20のインナーハウジング21のいずれかを、アウターハウジング11の第1嵌合穴115の円周方向F2(
図1参照)、またはインナーハウジング21の外周面212aの円周方向F4(
図10参照)に沿って軸回転させながら挿入することができる。作業者は、軸回転による嵌合方向を気にせず、インナーハウジング21をアウターハウジング11に対して進行させることができる。
【0047】
図16に示す状態から嵌合が進み、インナーハウジング21の周壁部212の後部まで、アウターハウジング11の第1嵌合穴115が進行した状態では、周壁部212の直線状凸部212cが、アウターハウジング11の直線状溝111gに嵌る。直線状凸部212cが、直線状溝111gに嵌ることで、アウターハウジング11とインナーハウジング21が位置決めされる。従って、アウターハウジング11とインナーハウジング21とのいずれか一方が軸回転することが規制される。突起状端子13が、筒状端子23に挿入し始め接触する。また、第2電気コネクタ20に形成された円筒端子22が、第1電気コネクタ10に形成された接触端子12の弾性接触片121に接触する。
【0048】
このように、アウターハウジング11の直線状溝111gと、インナーハウジング21の直線状凸部212cとによる位置決め部は、アウターハウジング11にインナーハウジング21が挿入され、アウターハウジング11とインナーハウジング21とを位置決めした後、円筒端子22と弾性接触片121とを接触させるような位置に形成されている。
【0049】
そのため、挿入当初は、第2電気コネクタ20は、第1電気コネクタ10に対して、軸回転に対する嵌合方向に制限が無い電気コネクタとすることができる。
また、アウターハウジング11とインナーハウジング21とが位置決めされた後に、円筒端子22と弾性接触片121とが接触するため、円筒端子22と弾性接触片121とが接触するときには、アウターハウジング11とインナーハウジング21とは互いに軸回転が規制される。従って、第1電気コネクタ10または第2電気コネクタ20による軸回転により、円筒端子22の円筒状の接触部221と、接触端子12の弾性接触片121とが擦れて、傷付いたり、摩耗したりすることを防止することができる。
【0050】
筒状端子23の軸線と、突起状端子13の軸線がずれていると、突起状端子13が筒状端子23に挿入し始めるときに、突起状端子13の接触部131の挿入姿勢が、筒状端子23の内周面に摺動しながら矯正される。
しかし、突起状端子13は、端子収容室R1に隙間がある状態で挿入され、ランス134により係止された状態である。そのため、突起状端子13の接触部131が筒状端子23により挿入姿勢が矯正されても、端子収容室R1の中で、突起状端子13の本体部132が矯正される方向にずれることで、突起状端子13を筒状端子23の軸線の方向に追従させることができる。
【0051】
更に、第1電気コネクタ10と第2電気コネクタ20との嵌合が進行することで、
図14に示すように、インナーハウジング21の周壁部212が、アウターハウジング11の第1嵌合穴115の奥まで進み、アウターハウジング11の第1軸部114がインナーハウジング21の第2嵌合穴211の奥まで進み、インナーハウジング21の第2軸部213が第1軸部114の案内穴114aの奥まで進む。
この状態で、第1軸部114の外周面に設けられた、それぞれの接触端子12は、インナーハウジング21の内周面に設けられた円筒端子22の接触部221のそれぞれに接触する。また、突起状端子13の接触部131は、筒状端子23の筒部231内に挿入されて接触した状態となる。
このようにして、第1電気コネクタ10と第2電気コネクタ20とが嵌合する。
第1軸部114の外周面に、第1軸部114の中心軸に平行に接触端子12が設けられ、第2軸部213と円筒端子22とが同軸になるように、第2軸部213に円筒端子22が設けられている。そのため、第1軸部114と第2軸部213が嵌合することにより、接触端子12と円筒端子22との接触を、安定させることができる。
【0052】
次に、アウターハウジング11とインナーハウジング21との嵌合の際の軸回転方向の位置決めを行う位置決め部について、図面に基づいて説明する。
図17および
図19に示すように、アウターハウジング11の直線状溝111gと、インナーハウジング21の直線状凸部212cとが、位置決め部として機能する。
【0053】
前述したように、
図10に示す周壁部212の前部が、
図16に示すアウターハウジング11の第1嵌合穴115に挿入された状態では、アウターハウジング11の直線状溝111gに、インナーハウジング21の直線状凸部212cが嵌っていない。そのため、アウターハウジング11またはインナーハウジング21のいずれかを軸回転させながら挿入することができる。
【0054】
しかし、
図17に示すように、直線状凸部212cが、直線状溝111gに嵌った後は、アウターハウジング11とインナーハウジング21が位置決めされるため、アウターハウジング11またはインナーハウジング21の軸回転が規制される。
このとき、直線状凸部212cと直線状溝111gとは、円筒端子22の接合部2211以外の接触面2212に、接触端子12の弾性接触片121を接触させる。
【0055】
図17および
図18では、第1電気コネクタ10の第1軸部114の先端部に位置する接触端子12が、第2電気コネクタ20の第2嵌合穴211の最も奥部に位置する円筒端子22に接触している。
直線状凸部212cは、
図10および
図11に示すように、インナーハウジング21の外周面212aに、120度ごと、3ヵ所に形成されている。一方、直線状溝111gは、
図2に示すように、アウターハウジング11の第1嵌合穴115の内周面に、5ヵ所に形成されている。そのため、インナーハウジング21の3つの直線状凸部212cが、アウターハウジング11の5つの直線状溝111gのうち、3つの直線状溝111gが形成された位置に一致したときに、アウターハウジング11とインナーハウジング21とを嵌合させることができる。
【0056】
図17および
図18に示す例では、円筒端子22の接合部2211が、接触端子12の一方側(
図17では円周方向の左側)に最も接近した位置である。また、弾性接触片121の突起部1214aが円筒端子22の接触面2212に接触した状態である。
この状態から、アウターハウジング11を反時計回りに、直線状溝111gの間隔、1つ分である40度軸回転させる。接触端子12は、アウターハウジング11の端子収容室R2に収容されているため、アウターハウジング11を軸回転させると、接触端子12の位置も軸回転する。
または、インナーハウジング21を時計回りに40度軸回転させる。円筒端子22は、インナーハウジング21に固定されているため、インナーハウジング21を軸回転させると、円筒端子22の位置も軸回転する。
【0057】
この軸回転によって移動した直線状凸部212cが、
図17にて直線状凸部212cが挿入していた直線状溝111gの他方側(
図17では円周方向の右側)に隣接する直線状溝111gに挿入される(
図19および
図20参照)。
軸回転によって直線状凸部212cが、隣り合った直線状溝111gの間を移動することで、円筒端子22の接合部2211が接触端子12の突起部1214aを超える。
【0058】
これは、アウターハウジング11の軸線を中心とした直線状溝111gの間隔の角度が、インナーハウジング21の軸線を中心とした円筒端子22の接合部2211(
図12参照)の範囲の角度より大きくなるように設定されているからである。
【0059】
接合部2211は、接触部221の両方の端部(2211a,2211b)を突き合わせ接合しているため、段差が生じやすい。
しかし、直線状凸部212cと直線状溝111gとが位置決め部として機能するため、第1電気コネクタ10をどのような挿入位置で、第2電気コネクタ20に嵌合させても、直線状凸部212cと直線状溝111gとが嵌合した状態では、接触端子12が円筒端子22の接合部2211に接触することはない。そのため、接触端子12の弾性接触片121が円筒端子22の接合部2211に接触して傷付いたり、摩耗したりすることが防止できる。従って、第1電気コネクタ10および第2電気コネクタ20は高い信頼性を確保することができる。
【0060】
また、直線状凸部212cと直線状溝111gとが、アウターハウジング11およびインナーハウジング21の軸線を中心に放射状に形成されているため、アウターハウジング11またはインナーハウジング21のいずれかが軸回転された状態で挿入されても、直線状凸部212cと直線状溝111gとが一致した角度で、アウターハウジング11とインナーハウジング21とを嵌合させることができる。
【0061】
次に、接触端子12と、円筒端子22との接触状態を、
図21および
図22に基づいて説明する。
第1電気コネクタ10と第2電気コネクタ20とが嵌合すると、
図21に示すように、第2電気コネクタ20の第2嵌合穴211の内周面に形成された円筒端子22に、第1電気コネクタ10の接触端子12が接触する。
接触端子12の弾性接触片121は、円筒端子22の軸線方向F5に沿って配置されている。従って、弾性接触片121は、円弧面に形成された接触面2212の円弧方向に対して直交する方向で接触するため、接触面2212の曲率がばらついても、弾性接触片121を安定して接触面2212に接触させることができる。
【0062】
また、
図22に示すように、弾性接触片121の接触部1214は、円筒端子22の軸線方向F5に対して直交する断面において、円筒端子22(接触部221)の接触面2212に沿って円弧面に形成されている。従って、接触部1214を接触面2212の曲面に応じて接触させることができるので、接触部1214と接触面2212との更なる接触安定化を図ることができる。
更に、
図21に示すように接触部1214の突起部1214aは、円筒端子22の軸線方向F5に沿って細長く形成されている。また、突起部1214aは、接触部221の円周方向F6に沿って複数形成されている。
【0063】
例えば、弾性接触片121の接触部1214に突起部1214aが無く、接触部1214が直接、円筒端子22の接触面2212に接触するとする。その場合に、円筒端子22の接触面2212の円弧面に合わせて、弾性接触片121の接触部1214を円弧面に形成することで、接触面2212と接触部1214との接触範囲が広く確保される。
このとき、接触面2212と接触部1214とのそれぞれの円弧面の曲率がばらつくと、接触が不安定になってしまう。
【0064】
しかし、接触部1214の突起部1214aが複数形成されていることで、円筒端子22の接触面2212と、弾性接触片121の接触部1214とのそれぞれの円弧面の曲率がばらついても、2ヵ所以上で弾性接触片121と円筒端子22(接触部221)とが接触するため、接触端子12と円筒端子22とを安定した状態で、接触させることができる。従って、接触端子12は、高い接触信頼性を確保することができる。
【0065】
突起部1214aは、円筒端子22の軸線方向F5に沿って細長に形成されているため、円弧状の接触面2212の曲率がばらついても、細長の突起部1214aは接触面2212の円弧方向と直交する方向で接触するため影響を受けにくい。
【0066】
突起部1214aは、接触部1214の頂部1214b(
図22参照)から、接触部1214の円弧方向に沿って等間隔に配置されている。そのため、それぞれの突起部1214aが円筒端子22の接触面2212に均等に接触するため、突起部1214aと接触面2212との接触を、更に安定させることができる。
【0067】
次に、アウターハウジング11の端子収容室R2に接触端子12を挿入する際の接触端子12の状態を説明する。
接触端子12の初期状態は、
図4および
図5に示すように、弾性接触片121の先端の折り返し部1212が本体122の床部1221から突出している。
この状態で、
図14に示すアウターハウジング11の後端から端子収容室R2に、接触端子12が挿入される。
図23Aに示すように、端子収容室R2に接触端子12が挿入されると、端子収容室R2の床面R21によって折り返し部1212が押し上げられた状態で、接触端子12の弾性接触片121(折り返し部1212)が端子収容室R2の床面に摺動しながら、端子収容室R2を進行する。この状態では、弾性接触片121の接触部1214は、折り返し部1212が端子収容室R2の床面R21に接触するため、少し押し上げられるものの低い位置にある。従って、接触部1214は、突出用開口1222a(
図5参照)から一部は露出しているが、完全には突出しておらず、本体122に収納されている。
【0068】
更に、接触端子12が端子収容室R2を進行すると、
図23Bに示すように、折り返し部1212が端子収容室R2に形成された隆起部116に乗り上げる。
隆起部116は、接触端子12の挿入方向F7に対して上り傾斜となる傾斜部1161と、高さが一定となる水平部1162とを備えている。
折り返し部1212が隆起部116に乗り上げることで、折り返し部1212は更に上向きになる。そうすることで、弾性接触片121の接触部1214が、突出用開口1222aから突出する。また、弾性接触片121の自由端である他端1213が、折り返し部1212の起き上がりに伴って、本体122の床部1221へ向かって下がり、床部1221に接触して、支点となって弾性接触片121を支持する。
【0069】
湾曲部1216(他端1213)が床部1221に接触することにより、折り返し部1212と湾曲部1216(他端1213)とが弾性接触片121全体を支持する。そのため、接触部1214に円筒端子22が接触して荷重が付与されたときに、折り返し部1212と湾曲部1216とに負荷が分散され、接触部1214への荷重により、折り返し部1212が塑性変形してしまうことを防止でき、接触部1214の円筒端子22に対する接触荷重を増加することができる。
【0070】
また、自由端である他端1213を本体122の床部1221に接触した状態としているため、接触部1214から他端1213まで後方へ延びる弾性接触片121の長さを、本体122の中で許容される長さとすることができる。従って、弾性接触片121のばね長を長くすることができるので、弾性接触片121のばね性を向上させることができる。また、弾性接触片121を塑性変形し難いばね形状とすることができる。
【0071】
他端1213には、床部1221と接触する湾曲部1216が形成されているため、湾曲部1216が床部1221に接触する際に、床部1221に傷を付け難い。また、湾曲部1216が床部1221を摺動する際に、湾曲部1216が床部1221を移動しやすい。
【0072】
このように、弾性接触片121の接触部1214を、接触端子12が端子収容室R2に挿入されて弾性接触片121が隆起部116に乗り上がるまで、突出用開口1222aから突出しない状態とすることができる。
また、折り返し部1212が隆起部116により持ち上げられることで、接触部1214を突出用開口1222aから突出させ、本体122から露出させることができる。
【0073】
特に、本実施の形態では、一端1211と折り返し部1212との間に、折り返し部1212を、床部1221へ向ける曲げ部1215が、弾性接触片121を形成するばね材の曲がり度合いを一端1211からの曲がり度合いと異ならせる曲がり度合変更部として形成されている。そのため、折り返し部1212が隆起部116により持ち上げられたときに、曲げ部1215が弾性接触片121の曲がり度合いを低下させるため、曲げ部1215より一端1211側を撓ませ変形させることができる。
【0074】
そして、弾性接触片121が、一端1211から突出用開口1222a側へ上り傾斜となった方向を、曲げ部1215を介して、床部1221へ向けるように形成されている。そのため、折り返し部1212を、隆起部116の高さほど高く位置しても、曲げ部1215より一端1211側が撓みつつ、曲げ部1215が開くことで、曲げ部1215より先の折り返し部1212の形状を保持した状態で、接触端子12を端子収容室R2に収容させることができる。
【0075】
従って、接触端子12は、アウターハウジング11に挿入するまでの過程で、通電用の弾性接触片121が損傷したり、変形したりすることを防止することができ、かつアウターハウジング11に挿着した状態で接触圧を維持することができる。
【0076】
また、弾性接触片121は、初期状態において、曲げ部1215が折り返し部1212を床部1221へ向けように湾曲しており、隆起部116の水平部1162(天面116a)に乗り上げたときに、弾性接触片121の隆起部116に乗り上げた領域S1が、天面116aに沿った状態となる。本実施の形態では、隆起部116の天面116aが平坦面に形成されており、弾性接触片121の領域S1部分が平板状に形成されている。そのため、弾性接触片121は、天面116aと領域S1とが平行に、隆起部116に乗り上げることで、隙間なく接触する。
【0077】
このように、弾性接触片121が隆起部116に乗り上げた領域S1が、天面116aに沿った状態となることで、弾性接触片121の接触部1214が円筒端子22(
図21参照)と接触したときに、接触部1214への接触圧を弾性接触片121の領域S1全体で均一に受け、隆起部116の天面116aにより担持される。従って、接触部1214を偏りなく円筒端子22を押圧させることができる。
【0078】
本実施の形態では、弾性接触片121に弾性変更部として曲げ部1215が形成することで、曲げ部1215が形成された位置の弾性接触片121の曲がり度合いを低下させていた。しかし、反対に、弾性接触片121の曲がり度合いを向上させることも可能である。
図24および
図25に示す弾性接触片121xは、弾性変更部として欠損部1217が形成されている。欠損部1217は、弾性接触片121xの一端1211から折り返し部1212への方向の領域S2の両側縁部が、矩形状に切り欠かれて形成されている。
【0079】
一端1211と折り返し部1212との間に、欠損部1217が形成されていることで、折り返し部1212が隆起部116(
図23B参照)により持ち上げられたときに、欠損部1217が弾性接触片121の曲がり度合いを低下させるため、欠損部1217の位置で撓ませ変形させることができる。
【0080】
従って、折り返し部1212が、隆起部116の高さほど高く位置しても、欠損部1217が撓むことで、欠損部1217より先の折り返し部1212の形状を保持した状態で、接触端子12を端子収容室R2に収容させることができる。
【0081】
次に、接触端子12を端子収容室R2に挿入する際のランス1224の状態について説明する。
接触端子12はアウターハウジング11の端子収容室R2に収容される。端子収容室R2には、
図23Aおよび
図23Bに示すように、本体122の床部1221と対向する床R21と、天井部1222と対向する天井R22と、
図26および
図27に示すように側面部1223,1223と対向する側壁R23,R23(抜け防止用壁)とによる第1収容室R2Aが形成されている。また、端子収容室R2には、接触端子12の挿入方向F7の奥側に、第1収容室R2Aより、本体122の上下方向の隙間が広く、本体122の左右方向の隙間が広い第2収容室R2Bが形成されている。
【0082】
接触端子12が端子収容室R2に挿入されるときには、まず、第1収容室R2Aに進入する。本体122の側面部1223から切り起こされたランス1224は、第1収容室R2Aの対向する一対の側壁R23,R23により押さえ付けられ、弾性変形した状態で、接触端子12が進行する。
【0083】
そして、
図27に示すように、ランス1224を押さえ付けていた側壁R23を通過して、第2収容室R2Bまで移動すると、ランス1224が元の状態に復帰する。そうすることで、それぞれのランス1224が側壁R23と本体122との隙間より拡がる。そのため、端子収容室R2から接触端子12を引き抜こうとしても、ランス1224が、抜け防止用壁として機能する側壁R23に引っ掛かるため、端子収容室R2からの接触端子12の抜けを防止することができる。
【0084】
ランス1224に凸部1224cが形成されている。従って、端子収容室R2の側壁R23とランス1224との間には、第2部分1224nを通過させる隙間Sが設けられている。
【0085】
例えば、接触端子が端子収容室に挿入されるときに、端子収容室の側壁にランスの基端部が押さえ付けられると、基端部が閉じた状態で塑性変形してしまい、ランスの拡がりが無くなってしまう。そうなると、ケーブルの強い引き抜きにより、接触端子が端子収容室から引き抜かれてしまうおそれがある。
【0086】
しかし、端子収容室R2の側壁R23とランス1224との間に、第2部分1224nの凸部1224cを通過させる隙間Sが設けられているため、本体122と側壁R23との間に十分な隙間が確保できる。
この隙間Sにより、ランス1224が側壁R23に接触する位置Pが、基端部1224aより先端部1224b側となる。本実施の形態では、接触端子12と側壁R23との間の隙間Sは、側壁R23がランス1224の長さの半分以上の先端側に接触するように設けられている。
【0087】
従って、ランス1224の弾性復帰力を維持することができ、基端部1224aの塑性変形を防止することができるので、ランス1224と端子収容室R2の側壁R23との掛かりが浅くなって、接触端子12が後方への引っ張りにより引き抜かれてしまうことが防止できる。
よって、接触端子12は、アウターハウジング11の端子収容室R2に挿入した状態を維持することができるので、高い信頼性を確保することができる。
【0088】
例えば、ランスに凸部を設けず、傾斜角度が一定とした場合、側壁がランスの基端部に接触してしまう場合に、ランスの長さを更に長くすれば、ランスが端子収容室の抜け防止用壁に係止する位置が、本体から更に遠い位置に設定される。そうすれば、端子収容室の抜け防止用壁である側壁と本体との隙間が大きく確保できるので、側壁がランスの基端部に接触しないようにすることができる。
しかし、ランスを更に長くすると、ランスが第1収容室の側壁に係止した状態で、第2収容室に収容されるため、接触端子を、ランスの長さを長くした分、大きく前進させた状態とする必要があり、第2収容室の奥行きを深く確保する必要がある。
【0089】
しかし、本実施の形態に係るコネクタ端子である接触端子12は、本体122からの傾斜角度が、基端部1224aより先端部1224bの方が大きくなるように、ランス1224に凸部1224cが形成されている。従って、抜け防止用壁である側壁R23と本体122との隙間を大きく確保しても、ランス1224の凸部1224cを側壁R23に係止させることができるので、第2収容室R2Bを奥深く形成しなくてもよい。
【0090】
接触端子12を端子収容室R2の入り口にて、拡がった状態のランス1224の凸部1224cが、側壁R23に擦れながら押さえ付けられる。凸部1224cは、先端へ向かうに従って突出度合いが大きくなるように形成されている。そのため、接触端子12の進行に伴って、側壁R23が接触するランス1224の位置が後退(先端方向へ移動)すると、凸部1224cの突出度合いに応じて、徐々にランス1224を閉じさせることができる。従って、ランス1224が側壁R23に引っ掛かることなく、接触端子12をスムーズに端子収容室R2に挿入することができる。
【0091】
また、凸部1224cは、先端へ向かうに従って突出幅が大きくなるように形成されているため、凸部1224cの先端部の押し潰しに対する強度を向上させることができる。従って、接触端子12が端子収容室R2内へ進行するに従って高まる側壁R23からのランス1224への押圧力によって、凸部1224cが変形してしまうことを防止することができる。
更に、ランス1224が、接触端子12の本体122の壁面である側面部1223が切り起こされて形成さているため、特別な板材などを本体122に接続してランスとする必要が無いので、容易にランス1224を形成することができる。
【0092】
図26および
図27に示す例では、ランス1224に凸部1224cが設けられていたが、凸部1224cの代わりに、ランスの先端部を外側に折り返した屈曲部としてもよい。
【0093】
ここで、接触端子のランスの先端部を屈曲部とした第1変形例について、
図28および
図29に基づいて説明する。
図28および
図29に示すように、ランス1224xは、基端部1224aから延びる第1部分1224mと、先端部1224bを外側に折り返した第2部分1224nとを備えている。
先端部1224bを外側に折り返して第2部分1224nとした屈曲部1224dは、第1部分1224mの傾斜角度より外側に位置している。そのため、接触端子12xを第2収容室R2へ挿入する際に、側壁R23が、基端部1224aに接触しないような隙間Sを、接触端子12xの本体122と側壁R23との間に、設けることができる。
【0094】
この第1変形例においても、接触端子12xが端子収容室R2に挿入する際には、側壁R23がランス1224xの半分以上の先端側となる位置(
図28では第2部分1224nに接触する。)に接触する。従って、ランス1224xの弾性復帰力を維持することができるため、接触端子12xが後方への引っ張りにより引き抜かれてしまうことが防止できる。
【0095】
また、屈曲部1224dによって、側壁R23との係止位置を、第1部分1224mの傾斜角度を延長した位置より、外側に位置させることができるため、隙間Sを大きくしても、第2収容室R2Bを奥深くせずに、ランス1224xを係止させることができる。
【0096】
ランス1224xの先端部1224bに屈曲部1224dとしているため、ランス1224xを形成する折り返した板材の端面1224eと、側壁R23の入口面R23aとが向き合うような状態である。しかし、側壁R23の入口面R23aには、側壁R23の入口の間隔を拡げる傾斜面R23bがそれぞれの側壁R23に形成されている。そのため、屈曲部1224dが傾斜面R23bに摺動しながら、ランス1224xを徐々に狭くなる第1収容室R2Aに押し込ませることができる。
図28および
図29においては、傾斜面R23bが側壁R23に形成されていたが、傾斜面R23bを側壁R23に形成する代わりに、傾斜面を端面1224eに形成してもよい。
【0097】
ここで、接触端子のランスの先端部を折り曲げて傾斜した傾斜部とした第2変形例について、
図30および
図31に基づいて説明する。
図30および
図31に示すように、ランス1224yは、基端部1224aから延びる第1部分1224mと、先端部1224bを外側に折り曲げて傾斜させた第2部分1224nとを備えている。
先端部1224bを外側に折り曲げて傾斜させた第2部分1224とした傾斜部1224fは、第1部分1224mの傾斜角度より外側に位置している。そのため、接触端子12yを第2収容室R2へ挿入する際に、側壁R23が基端部1224aに接触しないような隙間Sを、接触端子12yの本体122と側壁R23との間に設けることができる。
【0098】
この第2変形例においても、接触端子12yが端子収容室R2に挿入する際には、側壁R23がランス1224yの半分以上の先端側となる位置(
図30では第2部分1224nに接触する。)に接触する。従って、ランス1224yの弾性復帰力を維持することができるため、接触端子12yが後方への引っ張りにより引き抜かれてしまうことが防止できる。
【0099】
また、傾斜部1224fによって、側壁R23との係止位置を、第1部分1224mの傾斜角度を延長した位置より、外側に位置させることができるため、隙間Sを大きくしても、第2収容室R2Bを奥深く形成することなく、ランス1224yを係止させることができる。
【0100】
なお、本実施の形態では、第1ハウジングをアウターハウジング11、第2ハウジングをインナーハウジング21として説明したが、第1ハウジングをインナーハウジング、第2ハウジングをアウターハウジングとしてもよい。